職場で「これは法律的にまずいのではないか」という場面に出くわしたとき、頭に浮かぶ言葉が「公益通報」です。ニュースや社内研修で耳にはするものの、正確に何を指すのか、通報した自分は守られるのかまでは、意外とはっきりしないまま使われています。
公益通報は、公益通報者保護法という法律に定義された制度です。誰が・何を・どこに通報すれば保護されるのかが条文で決まっており、混同されがちな「内部告発」「内部通報」とも意味の重なりと違いがあります。
本記事では、公益通報とは何かという定義から、保護される人の範囲・対象になる行為・3つの通報先と選び方・通報者がどう守られるかまでを解説します。あわせて、企業側に求められる内部通報体制の整備や、2025年に成立した改正法の内容も整理します。
目次
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公益通報とは
公益通報とは、労働者や退職者、役員などが、勤務先で起きている(またはまさに起きようとしている)法令違反の事実を、社内の窓口・行政機関・報道機関などの通報先に知らせることをいいます。ただし、金銭目的など不正の目的での通報は含みません。この通報を理由に解雇や不利益な扱いを受けないよう、通報者を守るのが公益通報者保護法(平成16年法律第122号)です。
消費者庁は、公益通報を次のように整理しています。
公益通報とは、①労働者・退職者・役員が②役務提供先(又はその役員、従業員、代理人その他の者)について③通報対象事実(通報の対象となる法令違反)が生じ、又はまさに生じようとしている旨を④一定の通報先に通報すること(法第2条第1項)
出典:公益通報者保護制度の概要|消費者庁
公益通報として認められるには、次の4つの要件がそろっている必要があります。
- 労働者・退職者・役員などの立場で通報すること
- 金銭を不正に得る目的や他人を陥れる目的といった「不正の目的」でないこと
- 通報する内容が法令違反(通報対象事実)であること
- 社内窓口や行政機関など、法の定める通報先に知らせること
単なる社内の不満や事実に基づかない中傷は3つ目の要件にあたらず、不正の目的での通報は2つ目の要件を欠くため、いずれも公益通報にはなりません。
公益通報で保護されるのは誰か(通報者の範囲)
「守られるのは正社員だけなのか」は、多くの人が最初に気になる点です。公益通報者保護法が保護する通報者は正社員に限りません。次のように、雇用形態や立場が異なる人まで広く含まれます。
- 労働者:正社員のほか、パートタイマー・アルバイト・派遣労働者を含みます。国家公務員・地方公務員も対象です
- 退職者:通報の日からさかのぼって1年以内に勤務先で働いていた退職者。派遣労働者だった人も、通報の日からさかのぼって1年以内に派遣先で働いていた場合は対象です
- 役員:取締役・執行役・監査役・理事などの役員も対象です(原則として、まず社内で調査・是正を促してから通報することが前提とされます)
- 取引先事業者に従事する人:取引先の労働者・退職者・役員も、通報の主体に含まれます
消費者庁は、通報者の範囲を次のように説明しています。
出典:公益通報者保護制度の概要|消費者庁
- 労働者:労働基準法第9条に規定する労働者のことをいう。正社員、派遣労働者、アルバイト、パートタイマーなどのほか、公務員も含まれる。
- 退職者:通報の日前1年以内に雇用元(勤務先)で働いていた者をいう。(略)
- 役員:法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人のほか、法令の規定に基づき法人の経営に従事している者(会計監査人を除く。)をいう。
退職者と役員が保護の対象に加わったのは、2020年に成立し2022年に施行された改正によるものです。退職後に不正を知らせた人や、経営に関わる立場の人も守る必要があるという考え方が反映されました。改正の内容は記事後半で詳しく取り上げます。
公益通報の対象になる行為(通報対象事実)
次に気になるのは、「自分が見たあの行為は、通報の対象になるのか」でしょう。公益通報の対象になる事実(通報対象事実)は、刑事罰や過料の対象となる法令違反に限られます。社内規程に反するだけの行為や、道義的に問題があるだけの行為は、それ自体では通報対象事実にあたりません。
対象になりうる行為の例としては、次のようなものが挙げられます。
- 会社のお金や商品の横領・着服
- 入札談合やカルテルなどの独占禁止法違反
- 食品の産地・消費期限の偽装、品質データの改ざん
- 有害物質の不法投棄など環境関連法令の違反
- 個人情報の不正な持ち出し・漏えい
対象になる法律は、国民の生命・身体・財産などを守るための幅広い法令に及びます。消費者庁は、その範囲を次のように示しています。
国民の生命・身体・財産等の保護に関する法令(約500本)に規定する ①直接に刑事罰又は過料が科せられる行為 ②最終的に刑事罰又は過料が科せられることにつながる行為
出典:公益通報者保護制度の概要|消費者庁
刑法・食品衛生法・金融商品取引法・大気汚染防止法・個人情報保護法などが法律の別表に列挙され、そのほかの法律も政令で追加される仕組みです。自分の見た行為がどの法律にあたるか判断が難しい場合でも、まずは通報先の窓口や後述する消費者庁の相談先に相談する方法があります。
対象になる法律の一覧は、消費者庁のページで確認できます。
出典・参考資料(1件)
公益通報はどこにする?3つの通報先と選び方
公益通報の通報先は、大きく3つに分かれます。どこに通報しても保護の対象になりますが、外部に行くほど保護されるための条件が厳しくなる点が特徴です。まずは全体像を整理します。
| 通報先 | ①事業者内部(社内窓口) | ②権限のある行政機関 | ③報道機関など外部 |
|---|---|---|---|
| 具体的な通報先 | 勤務先の内部通報窓口や上司など、事業者があらかじめ定めた通報先 | その違反について処分や勧告をする権限を持つ行政機関 | 被害の発生・拡大を防ぐために必要と認められる報道機関・消費者団体など |
| 保護される条件 | 不正があると思うこと(思料)で足りる | 不正があると信じるに足りる相当の理由があること。または、思うことに加えて氏名などを記載した書面を提出すること | 相当の理由があることに加え、社内通報では解雇されそう・証拠隠滅のおそれがある・生命や身体への危害が急迫しているなど一定の事由があること |
| どんな時に選ぶか | まず社内で是正したい場合。最も保護の条件がゆるやか | 社内で対応されない、行政に是正してほしい場合 | 内部・行政では被害を防げない場合。保護の条件が最も厳しい |
※各通報先の保護要件は公益通報者保護法第3条各号にもとづく整理です。実際の該当性は個別の事情により異なります。
大まかに言えば、社内窓口は「おかしいと思う」程度でも保護されますが、行政機関へ通報する場合はそう信じるだけの証拠や裏づけ(相当の理由)が求められます。報道機関などの外部は、社内では対応されない・証拠隠滅のおそれがあるといった事情がさらに必要です。まずは社内、次に行政、外部は最後の手段、という順序が基本になります。
どの行政機関に通報すればよいか分からない場合は、消費者庁が通報先・相談先を検索できるページを用意しています。「通報」の前に制度や手続きを確認したい場合の相談先としても使えます。
出典・参考資料(1件)
公務員が職務に関連する法令違反を通報する場合も、公益通報者保護法の対象です。国や地方公共団体も通報を受ける「事業者」に含まれ、内部の窓口や権限のある行政機関へ通報できます。
通報者はどのように守られるのか
公益通報者保護法は、通報を理由とした不利益から通報者を守るために、主に3つの効果を定めています。
- 解雇の無効:公益通報をしたことを理由とする解雇は、無効になります(第3条)
- 不利益な取扱いの禁止:降格・減給・退職金の不支給など、解雇以外の不利益な扱いも禁止されます(第5条)
- 損害賠償責任の免除:事業者は、公益通報によって損害を受けたことを理由に、通報者へ賠償を請求できません(第7条)
(略)事業者は、その使用し、又は使用していた公益通報者が第三条各号に定める公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、降格、減給、退職金の不支給その他不利益な取扱いをしてはならない。
出典:公益通報者保護法 第5条第1項|e-Gov法令検索
一方で、どんな通報でも守られるわけではありません。金銭を不正に得る目的や、他人に損害を加える目的といった「不正の目的」での通報は公益通報にあたらず、保護されません。また、通報先ごとに定められた条件(前述の思料・相当の理由など)を満たさない通報も、保護の対象から外れることがあります。逆に、不正の目的でない正当な通報であれば、法の保護を受けられます。
匿名でも通報でき、保護されるのか
「名前を出すと不利益を受けそうで怖い」という理由から、匿名で通報したいと考える人は少なくありません。公益通報者保護法は、通報を実名に限っていません。匿名の通報であっても、法の要件を満たせば公益通報にあたります。
公益通報者保護法は対象となる通報を顕名(実名)の通報に限定しておらず、匿名であっても、本法に定める要件を満たしていれば公益通報に該当します
出典:公益通報者保護制度の概要と実務上の留意点|消費者庁
消費者庁の指針の解説でも、企業は匿名の内部公益通報も受け付ける体制を整えることが必要とされています。匿名であることだけを理由に調査しないことは、正当な理由にはあたらないと整理されています。
公益通報・内部告発・内部通報の違い
「公益通報」「内部告発」「内部通報」は似た文脈で使われますが、意味の重なり方が異なります。整理のポイントは、法的な保護は言葉の呼び方ではなく、公益通報者保護法の要件を満たすかどうかで決まるという点です。
| 用語 | 公益通報 | 内部通報 | 内部告発 |
|---|---|---|---|
| 言葉の位置づけ | 公益通報者保護法に定義がある法律用語 | 法令上の定義語ではない一般的な呼び方 | 法令上の定義語ではない一般的な呼び方 |
| 主な使われ方 | 法令違反の事実を、法の定める通報先へ知らせる行為 | 社内の通報窓口や上司への通報を指すことが多い | 社外・報道機関などへの告発を指す語感で使われることが多い |
| 法的な保護 | 第2条の要件(主体・不正の目的でない・通報対象事実・通報先)を満たせば保護される | その通報が公益通報の要件を満たせば「内部公益通報」として保護される | 呼び方では決まらず、公益通報の要件を満たせば保護される |
※「内部通報」「内部告発」は法律上の定義語ではなく、一般的な使われ方を整理したものです。
「内部告発だから保護されない」「内部通報だから保護される」といった呼び方による線引きは正確ではありません。消費者庁は、社内窓口への通報だけでなく上司などへの報告が公益通報にあたる場合も内部公益通報に含めています。実際に、社外への告発であっても、正当な通報として解雇が無効と判断された例もあります。大切なのは、通報の内容と通報先が法の要件を満たしているかどうかです。
出典・参考資料(1件)
企業に求められる内部通報体制の整備
ここからは、社内で通報窓口や体制づくりを担う立場の人に向けて、企業側の義務を整理します。公益通報者保護法は、事業者に対して、通報に適切に対応するための体制整備を求めています。
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体制整備義務(300人超)と従事者の指定
常時使用する労働者の数が300人を超える事業者には、通報に対応する体制の整備と、通報対応業務に従事する「公益通報対応業務従事者」の指定が義務づけられています。従業員数が300人以下の事業者については、これらは努力義務とされています。
指定された従事者には、通報者を特定させる情報を漏らしてはならない守秘義務が課され、違反した場合は30万円以下の罰金の対象になります(第21条)。一方、体制整備義務そのものに違反した場合は、直ちに刑事罰が科されるわけではなく、行政による助言・指導、勧告、勧告に従わない場合の公表という措置が段階的にとられます。
常時使用する労働者の数が三百人以下の事業者については、第一項中「定めなければ」とあるのは「定めるように努めなければ」と、前項中「とらなければ」とあるのは「とるように努めなければ」とする。
出典:公益通報者保護法 第11条第3項|e-Gov法令検索
近年の法改正(2022年改正・2025年改正)
体制整備義務や従事者の守秘義務、退職者・役員への保護拡大は、2020年(令和2年)に公布され、2022年(令和4年)6月1日に施行された改正で導入されたものです。現在の制度は、この改正後の内容にもとづいて運用されています。
さらに、2025年(令和7年)にも改正法が成立しました。2025年6月11日に公布され、2026年(令和8年)12月1日から施行される予定です。施行後は、次のような仕組みが新たに加わります。
- 公益通報を理由に労働者を解雇・懲戒した個人や法人に対する刑事罰の新設
- 公益通報から1年以内の解雇・懲戒は、公益通報を理由とするものと推定する仕組み(立証責任の転換)
- 保護される通報者の範囲に、フリーランス(業務委託先)を追加
公益通報を理由とする解雇その他不利益な取扱いの禁止(公益通報を理由として労働者を解雇・懲戒をした者及び法人に対する刑事罰(個人:6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金、法人:3,000万円以下の罰金))
出典:公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和7年法律第62号)の概要|消費者庁
2025年の改正が施行されると、通報者に対する報復への抑止力が強まります。現行制度では解雇の無効や不利益取扱いの禁止が保護の柱ですが、施行後はこれに刑事罰や立証責任の転換が加わることになります。企業にとっては、通報を受け止める体制の整備がこれまで以上に重要になります。
とくに従業員300人以下の中小企業では、体制整備が努力義務にとどまる一方で、限られた予算と人員のなかで社内規程の管理や内部通報の受付をどう整えるかが実務上の課題になります。改正公益通報者保護法への対応をふまえた中小企業向けの体制づくりを、具体的なツールとあわせて知りたい場合は、以下の記事が参考になります。
従業員のコンプライアンス教育を支えるサービス
公益通報が起きにくく、通報が寄せられたときに機能する組織をつくるには、内部通報窓口などの体制整備に加えて、全社員が「何が法令違反にあたるのか」「どう通報すればよいのか」を理解できる状態を保つことが欠かせません。
ここでは、そのうち従業員のコンプライアンス教育を支えるサービスを紹介します。窓口の設計・運用を含めた体制づくり全般については、コンプライアンス支援サービスの比較もあわせて検討するとよいでしょう。
1. OneCompliance(株式会社Oyster)

OneComplianceは、株式会社Oysterが提供する、コンプライアンス領域に特化したeラーニングサービスです。法務・労務・ハラスメント・情報セキュリティなどを横断する26のコースを備え、公益通報につながる会計不正・贈収賄・反社会的勢力への対応といったテーマも扱います。
コンテンツは、元行政機関の弁護士や大学教授などの専門家が作成・レビューするとしており、法改正や社会情勢の変化に合わせて随時更新されます。受講者ごとの進捗をダッシュボードで管理でき、未受講者への自動リマインドや確認テストで学習の定着を促せる点も特徴です。料金は受講者数に応じた体系で、無料トライアルが用意されています。
同社の谷口氏は、コンプライアンス研修に取り組む狙いを次のように語っています。

当社が目指しているのは、ハラスメントのない働きやすい職場づくりや、違反・不正行為が起きにくい環境をつくることです。悪意があって違反するケースもゼロではない一方で、「知らなかった」ことで問題が起きる場面も現実にあります。だからこそ、知識と意識をしっかり学べる場を、継続的に提供したいと思ってサービスを作ってきました。
2. BUSINESS LAWYERS COMPLIANCE(弁護士ドットコム株式会社)

弁護士ドットコム株式会社が「BUSINESS LAWYERS」ブランドで提供する、ドラマ・漫画形式のコンプライアンス研修教材です。従業員が陥りやすい違反事例をショートドラマ仕立てで学べる構成で、テーマには「内部通報(公益通報)」も含まれています。内部通報(公益通報)を従業員教育の一環として扱える点が特徴です。
コンテンツは弁護士法人 直 法律事務所が監修し、1本あたり約10分の動画に確認テストが付きます。全50種類以上のラインナップから必要な動画を選んで導入でき、自社のeラーニングシステムへの掲載や集合研修での利用にも対応します。
3. Legal Learning(株式会社LegalOn Technologies)

契約審査AIなどを手がける株式会社LegalOn Technologiesが提供する、法務・コンプライアンス領域に特化した動画学習サービスです。弁護士が解説する講座を300件以上そろえ、法務担当者の育成に加えて、全社員向けの「コンプライアンス推進プラン」も展開しています。
ハラスメントや法令知識をドラマ仕立てで学べるコンテンツを役員・管理職向けと従業員向けに分けて提供するほか、最新の法改正を弁護士がニュース番組形式で解説する「法改正ステーション」を定期配信します。公益通報者保護法のような制度改正を継続的に追いたい企業に向いています。料金や詳細は問い合わせで確認する形です。
以下は、ご紹介したサービスの比較です。
| サービス名 | OneCompliance | BUSINESS LAWYERS COMPLIANCE | Legal Learning |
|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社Oyster | 弁護士ドットコム株式会社 | 株式会社LegalOn Technologies |
| 対応領域・研修範囲 | コンプライアンス特化のeラーニング(全26コース) 法務・労務・ハラスメント・情報セキュリティ・会計不正・反社対応などを横断 | ドラマ・漫画形式の研修教材(全50種類以上) 「内部通報(公益通報)」を含む。動画1本約10分+確認テスト | 法務・コンプライアンス特化の動画学習(講座300件超) 全社員向け「コンプライアンス推進プラン」・法改正ステーションを提供 |
| 監修 | 弁護士・大学教授など専門家 | 弁護士法人 直 法律事務所 | 弁護士(動画講座を解説) |
| 料金 | 受講者数に応じた従量課金(要お問い合わせ) | 60万円(税抜)/本(付属資料込み、グループ展開は別途見積り) | 要お問い合わせ |
| 無料トライアル | 無料トライアルあり | デモ動画の視聴が可能 | 無料デモ体験あり(法務学習用・コンプラ研修用の2種) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※各社の公式情報等にもとづく2026年8月時点の整理です。料金・提供内容は変更される場合があるため、最新情報は各サービスの資料・公式サイトでご確認ください。
ここで取り上げたほかにも、コンプライアンス研修eラーニングには多くのサービスがあります。料金や教材テーマ、選び方まで含めて幅広く比較したうえで自社に合う一社を選びたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
コンプライアンス研修eラーニングおすすめ比較29選!料金・教材テーマ・選び方を解説
コンプライアンス研修を全社員に行き渡らせたいのに、集合研修では日程調整や会場手配が追いつかず、受講記録の管理も煩雑になっていませんか。ハラスメント防止や情報セキュリティ、個人情報保護など扱うべきテーマは年々増え、法改正のたびに教材を作り直す…
まとめ
公益通報とは、労働者や退職者・役員などが、不正の目的でなく、勤務先の法令違反を一定の通報先に知らせることをいい、公益通報者保護法によって解雇の無効・不利益取扱いの禁止などの保護が定められています。保護される人は正社員に限らずパート・派遣・退職者・役員まで広く、匿名であっても要件を満たせば対象になります。通報先は社内・行政機関・外部の3つがあり、外部に行くほど保護の条件が厳しくなります。
企業側には、300人を超える事業者を中心に内部通報体制の整備が求められ、2025年に成立した改正法が2026年12月に施行されると、通報者への報復に対する抑止はさらに強まります。制度を正しく理解し、通報を受け止める体制と従業員教育を整えておくことが、これからの企業に一層求められます。
自社の内部通報体制やコンプライアンス教育を見直す際は、関連するサービスの資料もあわせて確認してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 公益通報とは何ですか?
公益通報とは、労働者や退職者・役員などが、不正の目的でなく、勤務先の法令違反を社内窓口・行政機関・報道機関などの通報先に知らせることをいいます。公益通報者保護法に定義があり、通報を理由とする解雇や不利益な扱いから通報者が守られます。社内の不満や事実に基づかない中傷、金銭目的の通報は公益通報にあたりません。
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Q. 公益通報はアルバイトやパート、派遣社員でもできますか?
公益通報は、アルバイト・パートタイマー・派遣社員でも行うことができ、いずれも保護の対象になります。公益通報者保護法が守る「労働者」は正社員に限らず、労働基準法第9条の労働者にあたるパート・アルバイト・派遣労働者や公務員を含みます。さらに、退職後1年以内の退職者や、取締役などの役員、取引先事業者に従事する人も通報の主体に含まれます。
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Q. 公益通報は匿名でもできますか?匿名でも保護されますか?
公益通報は、匿名でも行うことができ、法律の要件を満たしていれば匿名であっても公益通報として保護の対象になります。公益通報者保護法は、対象となる通報を実名の通報に限っていません。消費者庁も、企業は匿名の内部公益通報を受け付ける体制を整えることが必要であり、匿名であることだけを理由に調査しないことは正当な理由にあたらないと整理しています。
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Q. 公益通報をしたら、会社から解雇されたり報復されたりしませんか?
公益通報者保護法により、公益通報を理由とする解雇は無効になり、降格・減給・退職金の不支給などの不利益な取扱いも禁止されています。事業者は通報を理由に通報者へ損害賠償を請求することもできません(第3条・第5条・第7条)。さらに2026年12月1日施行予定の改正法では、公益通報を理由とする解雇・懲戒への刑事罰が新設される予定です。
Q. 公益通報と内部告発は何が違うのですか?
「公益通報」は公益通報者保護法に定義がある法律用語で、「内部告発」は法令上の定義がない一般的な呼び方です。法律で保護されるかどうかは呼び方ではなく、公益通報者保護法の要件(通報する人・不正の目的でないこと・通報対象事実・通報先)を満たすかで決まります。社外への告発でも、要件を満たせば保護され得ます。
Q. 2025年の法改正で公益通報の制度はどう変わりますか?
2025年に成立した改正法は2026年12月1日に施行される予定で、公益通報を理由に解雇・懲戒をした個人や法人への刑事罰の新設、立証責任の転換、保護対象へのフリーランスの追加が予定されています。通報から1年以内の解雇・懲戒は公益通報を理由とするものと推定され、業務委託関係にあるフリーランスも保護対象に加わります。施行までは、現行の解雇の無効・不利益取扱いの禁止・損害賠償責任の免除が保護の柱です。
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松嶋真倫
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