NFT市場は2021〜2022年のバブル期を経て、2026年時点では収益モデルとして通用するものと市場から退出したものが明確に分かれつつあります。
Nikeが2021年12月に買収したRTFKTは2024年12月に事業終了を発表、STEPNのユーティリティトークン GST は2023年5月時点でピーク比99.9%減、LINE NFTはグローバル版DOSIへ統合、Rakuten NFTは「みんなのチケット」へ用途を絞って刷新されています。
一方でCryptoNinja Partners(CNP)は二次流通ロイヤリティで年間約2,800万円規模の収益が続くなど、モデルの選択次第で成否が大きく分かれています。
NFTの新規事業・既存事業への活用は、どの「型」を選ぶかで収益源が変わります。自社が持つ資産(IP・顧客・実物・技術)にどの型を当てはめられるかを見極めることが、検討段階の出発点になります。
コンテンツ販売型・マーケットプレイス開設型・ゲーム型・IP活用型・実物連携型・会員権チケット型の6つの型を、代表企業の実額(取引額・売上・ロイヤリティ収入)と出典付きで整理します。
さらに、NFT固有の収益の仕組みである二次流通ロイヤリティを、ERC-721とEIP-2981の技術仕様・マーケットプレイス側の実装現状(OpenSeaの2023年8月任意化、Blurの0.5%ミニマム)とセットで解説し、法的・税務上の注意点(国税庁のNFT課税FAQ、JCBAガイドライン第3版)と、技術パートナー選定の実務論点までを一気通貫でカバーします。
目次
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NFTビジネスモデルの主要な型と収益源【一覧表】
NFTを使ったビジネスは、「何を売って、どこからお金が入るか」で6つの型に整理できます。以下は各型の収益源・代表企業・取引や売上の実数字を一覧化したものです。基礎(NFTとは・ブロックチェーンとは)は本記事末尾の補足で扱い、まず型と収益源の全体像を先に示します。
| 型 | コンテンツ販売型(アート・音楽) | マーケットプレイス開設型 | ゲーム(GameFi・Play-to-Earn)型 | IP・キャラクター活用型 | 実物資産連携(RWA・トレーサビリティ)型 | 会員権・チケット型 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 何を売るか | デジタルアート/音源/映像/グラフィック作品 | プラットフォーム上の取引手数料・出品機能 | ゲーム内NFTアイテム(キャラクター・土地・カード)+トークン | IPを冠したNFTコレクション/NFT付き物販 | 実物資産の所有権・製造履歴証明を伴うNFT | 会員権NFT/イベントチケットNFT/リセール可能なNFTチケット |
| 主な収益源 | 一次販売(作品の直接販売)+二次流通ロイヤリティ | 取引手数料(売買のたびに一定率)+クリエイターフィーの一部 | NFT販売収益+トークン販売+アセット取引手数料 | 一次販売+二次流通ロイヤリティ+ライセンス収入 | NFT一次販売+実物商品販売+証明サービス手数料 | 会員費/チケット販売+二次流通ロイヤリティ |
| 代表企業・プロジェクト | Beeple(Christie’s落札)/Perfume(Imaginary Museum) | OpenSea/Blur/DOSI(旧LINE NFT統合先)/みんなのチケット(旧Rakuten NFT) | The Sandbox(Animoca Brands)/Sorare/CryptoKitties(過去)/STEPN(衰退) | Yuga Labs(BAYC)/CryptoNinja Partners/集英社(SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE) | UniCask(ウイスキー樽NFT)/集英社SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE(アートプリント+NFT証明書) | みんなのチケット(旧Rakuten NFT、2025-09-30刷新)/NOT A HOTEL MEMBERSHIP/楽天イーグルス・ヴィッセル神戸リセール |
| 取引・売上規模(実額) | Beeple「Everydays」$69.3M(2021-03-11 Christie’s)/Perfume 20,000 MATIC 約325万円(2021-06-18) | LINE NFT運用18ヶ月で販売34万点超・取引33万件超(サービス終了時の実績、2024-01) | The Sandbox 2023年 SAND販売$64M+NFT販売$5M/Sorare 2022年取引総額 約$500M・ユーザー300万人超 | Yuga Labs 2022年ロイヤリティ収入$107.8M(うちBAYC単体$32.3M)/CNP 年間ロイヤリティ約2,800万円(イケハヤ氏 note) | UniCask第1弾 約4,000万円完売(2021、Springbank 1991)/集英社ONE PIECEアートプリント 297,000〜495,000円×Edition 20(2024-04-18) | 楽天イーグルス・ヴィッセル神戸のNFTチケットリセール導入 2025-08(楽天プレスリリース) |
※上記は各型における一般的な収益源と代表事例です。実額は各社の公式発表・プレスリリース時点における数値であり、以降の変動は反映していません。
ここからは、各型の詳細と収益構造、参入企業の事例、二次流通ロイヤリティの仕組みと実額、法・税・技術面の実務論点を順に解説していきます。
NFTをビジネスに活用するメリット
NFTを事業に組み込むことで得られる便益は、従来のデジタルビジネス(EC・SaaS・広告モデル等)では実現しにくかった特性に由来します。ここでは、参入検討段階の意思決定に効きやすい4つの観点で整理します。二次流通での作り手への還元は本節では概説にとどめ、実装の流れと実額は次節「二次流通ロイヤリティの仕組みと実額」で詳しく扱います。
参入ハードルの低さ(既存基盤・ツールの活用)
NFTの発行と販売は、既存のブロックチェーン基盤(Ethereum、Polygon、Ronin など)とマーケットプレイス(OpenSea、Blur、DOSI など)を利用することで、自社でチェーンを構築せずに始められます。
ERC-721という共通規格が2018年に標準化されて以降、規格対応のスマートコントラクトを実装することでOpenSeaを含む主要マーケットプレイスに自動で流通できる状態が整っています。
Ethereum Improvement Proposals第721号は、NFTの標準APIを次のように定めています。
The following standard allows for the implementation of a standard API for NFTs within smart contracts. This standard provides basic functionality to track and transfer NFTs.
出典:EIP-721: Non-Fungible Token Standard|Ethereum Improvement Proposals
グローバル取引が可能(地理・プラットフォーム制約からの解放)
NFTはパブリックブロックチェーン上で流通するため、購入者の所在地や国籍を問わず、24時間365日世界中から購入可能です。従来のデジタルコンテンツ販売では、決済手段・言語対応・地域別ライセンス処理が越境販売の障壁となっていましたが、暗号資産による決済とグローバルマーケットプレイスの利用によって、これらの手間を省いた形での海外展開ができます。
Sorare(サッカーカード型NFT)は2022年カタールワールドカップ期間の4週間で新規ユーザー60万人を獲得し、2023年2月時点でユーザー数300万人超に達しました。国境をまたぐ需要を1つのプラットフォームで取り込める点が、NFTの構造上の強みです。
出典・参考資料(1件)
プログラマビリティによる新しい収益機会
NFTはスマートコントラクトの仕組みの上で動くため、発行時に条件付きの挙動をあらかじめ組み込めます。二次流通時のロイヤリティ配分、保有者向けの特典解放、期間限定の権利付与など、従来のデジタルコンテンツ販売では実装が難しかった仕組みを、コードとしてトークン自身に持たせられます。
The Sandboxは仮想空間内の土地(LAND)NFTをベースに、SANDトークンの販売、土地NFTの二次流通、体験コンテンツの制作パートナーからの手数料など、複数の収益源を1つのプラットフォームで組み合わせています。
Animoca Brands の投資家向け開示によれば、The Sandbox は2023年にSAND販売から6,400万ドル、NFT販売から500万ドルの新規ブッキングを計上しています。
二次流通での作り手への還元(詳細は次節)
従来のデジタルコンテンツ販売では、一次販売後の転売益は転売者に帰属し、作り手は関与できませんでした。NFTでは、規格レベルで二次流通時のロイヤリティ配分を宣言でき、対応マーケットプレイスがその配分を尊重して支払う仕組みが整っています。作り手にとっては、単発の一次販売収益に依存しない継続的な収益源を持てる可能性が生まれます。
ただし、実装は規格側とマーケットプレイス側の両方に依存し、2023年以降は主要マーケットプレイスがロイヤリティを任意化する動きが続いています。詳しくは次節で、仕組みの原理・マーケットプレイス側の政策・実額を扱います。
二次流通ロイヤリティの仕組みと実額
二次流通ロイヤリティは、NFTが最初の販売以降に転売されるたびに、あらかじめ設定した割合の金額が発行者(クリエイター・運営)に自動的に配分される仕組みです。従来のデジタルコンテンツ販売とNFTを分ける最大の収益特性で、参入検討段階の担当者が最も関心を持つ論点でもあります。ここでは仕組み・規格・マーケットプレイス側の実装現状・実額の順で整理します。
登場人物と資金の流れ
二次流通ロイヤリティが機能する場面には、次の登場人物が関わります。
- 作者(発行者):NFTを発行する側。スマートコントラクトを実装するときに、二次流通時のロイヤリティ受取先アドレスと料率(例:10%)を宣言する
- 一次購入者:発行時に作者から直接NFTを購入する。この購入は「一次販売」と呼ばれ、代金は全額が作者に入る
- 二次購入者:一次購入者からNFTを転売で購入する。転売時の代金のうち、あらかじめ宣言した料率分がロイヤリティとして作者に自動で配分される
- マーケットプレイス:OpenSea・Blur・DOSIなど、NFTの売買を仲介するプラットフォーム。取引手数料を徴収し、ロイヤリティを作者へ送金する処理を実装する
- スマートコントラクト:NFTの規格に沿って、ロイヤリティ料率と受取先アドレスをオンチェーンで宣言する。実際の支払いはマーケットプレイス側の実装に依存する
ERC-721とEIP-2981の役割分担
NFTの基本規格であるERC-721(EIP-721)は「NFTの所有権と移転を追跡する標準API」を定めるものであり、ロイヤリティの規定は含みません。ロイヤリティ配分の宣言は、後発のEIP-2981(NFT Royalty Standard)が別途規格化しています。
ERC-721準拠のNFTが自動でロイヤリティを配るわけではなく、EIP-2981への対応とマーケットプレイス側の遵守がセットで初めて機能します。
EIP-2981は、ロイヤリティ額をシグナルするための関数と、マーケットプレイス側の実装義務・任意性を次のように定義しています。
This standard allows contracts, such as NFTs that support ERC-721 and ERC-1155 interfaces, to signal a royalty amount to be paid to the NFT creator or rights holder every time the NFT is sold or re-sold.
Marketplaces that support this standard MUST pay royalties no matter where the sale occurred or in what currency.
The royalty payment must be voluntary, as transfer mechanisms such as transferFrom() include NFT transfers between wallets, and executing them does not always imply a sale occurred.
出典:EIP-2981: NFT Royalty Standard|Ethereum Improvement Proposals
EIP-2981は「規格に準拠したマーケットプレイスはロイヤリティを支払う義務がある」と定めていますが、規格そのものへの準拠は各マーケットプレイスの任意判断です。この構造が、後述するOpenSeaやBlurの政策転換につながっています。
マーケットプレイス側の実装現状(OpenSea・Blur)
2022年頃までは、OpenSeaを含む主要マーケットプレイスがクリエイターの設定した2.5〜10%のロイヤリティを二次流通時に強制徴収する運用が業界標準でした。しかし2022年後半から新興マーケットプレイスBlurがロイヤリティを任意徴収に切り替え、取引シェアを拡大したことに対抗する形で、OpenSea側も政策を転換しました。
OpenSeaは2023年8月17日、既存コレクション向けの強制徴収ツール(Operator Filter)を段階的に廃止し、新規コレクションについては2023年8月31日以降クリエイターフィーを任意化すると発表しました。
出典・参考資料(2件)
Blurは、取引手数料をゼロに近づけつつ、クリエイターへは0.5%のミニマム・ロイヤリティのみを支払う体系を採用しました。2024年11月には投資会社Split Capitalがこの0.5%ミニマムの撤廃と取引手数料導入を求めるガバナンス提案を提出しています。
出典・参考資料(1件)
読者が押さえるべき実務含意は、「NFTを発行すれば自動で二次流通ロイヤリティが入る」ではなく、「発行時に規格上宣言はできるが、実際の支払いは主要マーケットプレイスの政策次第で変動する」という点です。事業設計時にはロイヤリティ収入を主要な柱に据えるか、一次販売と組み合わせるかを、マーケットプレイスの実装状況を前提に決める必要があります。
実額の事例:CNPの年間約2,800万円、Yuga Labsの年間$107.8M
実際にどれくらいのロイヤリティ収入が生まれ得るかを、国内・海外の代表事例で示します。
国内では、CryptoNinja Partners(CNP)の初期関与者であるイケハヤ氏がnoteで公表した数字が、業界内で最も具体的な実額の参考例として挙げられます。同氏の記事によれば、CNPの2次流通ロイヤリティは次のように計算されています。
そのうち10%、つまり「45万円」が運営会社に入っています
つまり、年間では約2800万円もの収入が運営会社に入っているということです。
出典:3分で450万円売れた!NFTのビジネスモデルを事例で解説。|イケハヤ(note)
この年間約2,800万円という数字は、年間取引額約2.8億円にロイヤリティ料率10%を乗じた発信者側の試算値です。CNP公式(NinjaDAO)が発表した会計数字ではなく、初期関与者による集計である点は事業設計の参考にする際に留意する箇所です。
海外では、Bored Ape Yacht Club(BAYC)を運営するYuga Labsが、Otherdeed for Otherside、BAYC、Mutant Ape Yacht Club(MAYC)の3コレクション合計で2022年のロイヤリティ収入1億780万ドル(BAYC単体で3,230万ドル)を計上したと業界メディアが集計しています。
Yuga Labsは非上場のため公式決算は公開されておらず、上記数値は各業界メディアが同社の発表を集計したものです。BAYCは2021年4月の一次販売時、1体あたり0.08 ETH(当時約190ドル)で発行され、12時間で完売しました。二次流通ロイヤリティは、この一次販売後の継続収益として計上されています。
NFTビジネスモデル 型別の詳細解説
ここからは、冒頭の一覧表で示した6つの型について、収益構造・代表企業(名前と型内での位置づけ)・成功要因・課題を段落で詳しく解説します。企業ごとの取引額・売上・ユーザー数の実数字と年月は次節「参入企業事例」に集約し、本節では型の中での位置づけに絞ります。
コンテンツ販売型(アート・音楽)
デジタルアート・音源・映像などの作品を、NFTとして直接販売する型です。作品ごとに1点物または限定エディションで発行し、一次販売代金と二次流通ロイヤリティを収益源とします。従来のデジタルコンテンツ販売と異なり、作品の「唯一性」がブロックチェーンで担保されるため、コレクション対象としての価格付けが可能になります。
代表企業として、デジタルアート領域ではBeeple(Mike Winkelmann)が2021年3月にChristie’sで「Everydays: The First 5000 Days」を6,930万ドルで落札させ、NFTアートを既存アート市場の文脈に接続しました。
日本の音楽領域では、Perfumeが2021年6月にNFT作品「Imaginary Museum “Time Warp”」をリリースし、初回作品が20,000 MATIC(当時約325万円)で落札されました。
成功要因は、作品の希少性・作り手のブランド力・二次流通市場の流動性の3つが揃うことです。一方で、単発の一次販売に依存した企画は、話題性が薄れた後に売上が急落する構造的な課題があります。
マーケットプレイス開設型
NFTの売買を仲介するプラットフォームを自社で運営し、取引手数料を収益源とする型です。ユーザーからの手数料・クリエイターフィーの一部・付帯サービス(決済・広告・データ分析)を組み合わせて収益化します。事業スケールにはユーザー数と取引高の獲得が不可欠で、参入障壁は高い部類です。
グローバルでは OpenSea・Blur、国内では DOSI(LINEヤフーが旧LINE NFTから統合)、みんなのチケット(楽天グループが旧Rakuten NFTから用途を絞って刷新)などが該当します。汎用のNFTマーケットプレイスとしての事業は、取引高の変動が大きく、2022〜2023年のNFTバブル収束以降は各社とも収益モデルの見直しを進めています。
成功要因は、特定用途(チケット、ゲームアセット、コレクティブル)への専門特化と、既存の顧客基盤・ブランドを活かした差別化です。汎用マーケットプレイスの後発参入は、OpenSea・Blur級の流動性を前提に競う必要があり、事業設計として難易度が高くなります。
ゲーム(GameFi・Play-to-Earn)型
ゲーム内のキャラクター・アイテム・土地などをNFTとして発行し、プレイヤー間の売買・レンタルを可能にする型です。ゲーム運営側は一次販売収益・取引手数料・独自トークンの販売益を組み合わせて収益化します。プレイヤー側にとってはゲーム内資産に交換価値が付き、「Play-to-Earn」(遊びながら稼ぐ)という表現で2021〜2022年に注目を集めました。
代表例として、Animoca Brands 傘下の The Sandbox(仮想空間内の土地NFT)、Sorare(サッカーカード型)が現在も収益を継続しています。
過去にはCryptoKitties(2017-11ローンチ、Ethereumの2017-12ネットワーク混雑を引き起こす規模で流行)や、STEPN(歩いて稼ぐアプリで2022-05にMAU約70万人のピーク)が話題になりましたが、いずれもトークン経済の持続性の課題に直面しました。
成功要因は、ゲームそのものの継続的な魅力に、NFT・トークン設計を後付けの経済圏として組み込むことです。「稼ぐ」ことを主目的にプレイヤーを集めるモデルは、新規参入者の流入が止まった時点でトークン価格が急落する構造的な弱さを持っています。
IP・キャラクター活用型(出版・エンタメ)
既存の強力なIP(漫画・アニメ・キャラクター・スポーツチーム等)を軸に、NFTコレクションを発行する型です。既存ファンコミュニティへの訴求力が高く、一次販売収益に加えて二次流通ロイヤリティが継続的に発生します。
CryptoNinja Partners(CNP)や、Yuga Labsが運営するBored Ape Yacht Club(BAYC)はこの型の代表例で、コミュニティ主導のIPが多面的な事業展開に発展した事例です。
集英社「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」は、ONE PIECEなどの原稿から制作したアートプリント(物理商品)と、NFT販売証明書を組み合わせる形態を採ります。純粋な「デジタルNFTを売って収益化する」モデルではなく、NFTを「販売証明書として活用する物販」寄りの位置づけであり、後述の実物資産連携型に近い性質を持ちます。
成功要因は、IP自身のファンコミュニティ規模と、NFT保有者向けの継続的な体験・特典設計です。単発のコレクション発売で終わらせず、コミュニティ・イベント・派生事業と連動させる設計が、二次流通量の維持につながります。
実物資産連携(RWA・トレーサビリティ)型
実物資産(不動産・ウイスキー樽・美術品・製造品など)の所有権や製造履歴を、NFTに紐づけて管理・売買する型です。実物単体では譲渡・分割が難しい資産を、NFTを介して分割保有・移転しやすくする用途と、真贋証明・製造履歴のトレーサビリティ用途の2軸があります。RWA(Real World Assets)と呼ばれるカテゴリで、機関投資家や実物商流の関心が高い領域です。
UniCask は、ウイスキー樽の所有権をNFTとして分割販売する事業で、2021年の第1弾(Springbank 1991 Vintage)は販売開始から約9分で完売し、総売上約4,000万円を記録しました。集英社の SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE も、アートプリントの真贋証明としてNFTを活用する点で本型の性質を持ちます。
成功要因は、実物資産の受渡・保管・法的所有権の移転を、NFT運用と整合させる実務設計です。日本国内では、実物資産の所有権証明としてNFTを法的にどう位置づけるかが未整備の領域も多く、契約書・約款での定めが不可欠になります。
RWAの型を自社の実物資産に当てはめる検討では、トークン化の技術的な仕組み・発行方法・不動産や債券・高級酒などの金融商品トークン化事例をあわせて把握しておくと、企画・社内合意形成で使える解像度が上がります。RWA そのものを掘り下げたい方は、以下の記事で仕組みから発行方法・金融商品事例までを解説しています。
RWAとは?仕組みから発行方法、トークン化による金融商品事例まで解説
RWA(Real World Asset)は、現実世界の資産をデジタル化し、ブロックチェーン上で管理・取引できるようにする技術です。土地や不動産、株式、債券、さらには高級ワインやウイスキーの樽まで、現実世界で価値を持つさまざまな実物資産がデ…
会員権・チケット型
会員資格やイベントチケットをNFT形式で発行し、保有権の譲渡・リセールを可能にする型です。従来の紙・電子チケットでは不正転売の温床になっていた高需要イベントの二次流通を、NFTのプログラマビリティで健全化しつつ、リセール時のロイヤリティを主催者・興行者に還元する設計が可能になります。
楽天グループは2025年9月30日、汎用NFTマーケットプレイス「Rakuten NFT」を、ブロックチェーン技術を活用したチケットリセールプラットフォーム「みんなのチケット」に刷新しました。NFTチケットとしての用途に絞り、エンタメ・スポーツ興行を対象とする方針で、2025年8月には楽天イーグルス・ヴィッセル神戸のチケットリセールに導入されています。
NOT A HOTEL の MEMBERSHIP NFT のような会員権型も存在し、宿泊権や施設利用権をNFTとして販売・譲渡可能にする事例が出ています。成功要因は、既存の顧客関係を持つ企業が特定用途に絞ってNFTを活用することで、需給の整った二次流通市場を作れることにあります。
出典・参考資料(2件)
国内・海外の参入企業事例(型別グルーピング)
ここでは前節で名前を挙げた企業の実数字(取引額・売上・ユーザー数)と年月を、型別に集約します。2021〜2022年のバブル期時点の数値と、2026年時点で継続している事例を区別できるよう、実施年月を明示します。
国内事例
- CryptoNinja Partners(IP活用型):2022年、ホルダー限定イベントの参加権30名分が開始から3分でほぼ完売。年間ロイヤリティ収入は約2,800万円規模(イケハヤ氏 note、2.8億円×10%の試算値)
- Perfume「Imaginary Museum “Time Warp”」(コンテンツ販売型):2021年6月18日、第一弾作品を20,000 MATIC(当時約325万円)で落札。8月に第二弾を順次発売
- 集英社「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」(IP活用型/実物連携型):2024年4月18日、尾田栄一郎「ONE PIECE / CLUB」等アートプリント3作品を販売開始。価格297,000〜495,000円(税込)、Edition 20、1作品最大10点を抽選販売
- UniCask(実物連携型):2021年、第1弾「Springbank 1991 Vintage」ウイスキー樽NFTを約9分で完売、総売上約4,000万円。2022年2月の第2弾「羽生」は約24分で完売、売上約500万円
- DOSI(旧LINE NFT、マーケットプレイス型):LINE NFTは運用18ヶ月でNFT販売数34万点超・取引数約33万件、参画ブランド100超。2024年1月5日順次終了、1月10日にグローバル版DOSIへ統合
- みんなのチケット(旧Rakuten NFT、会員権・チケット型):2025年9月30日にNFTチケット特化サービスへ刷新。2025年8月に楽天イーグルス・ヴィッセル神戸のチケットリセールに導入
出典・参考資料(3件)
海外事例
- Beeple「Everydays: The First 5000 Days」(コンテンツ販売型):2021年3月11日、Christie’sオンラインで6,930万ドルで落札(ハンマー価格6,025万ドル+フィー905万ドル)
- Yuga Labs/BAYC(IP活用型):2021年4月にBAYCを0.08 ETH(当時約190ドル)×10,000体で発行し12時間で完売。2022年通期でロイヤリティ収入合計1億780万ドル(うちBAYC単体3,230万ドル)を業界メディアが集計
- The Sandbox(ゲーム型):Animoca Brands 傘下。2023年にSAND販売から6,400万ドル、NFT販売から500万ドルの新規ブッキング。2023年末時点でユーザー580万人・クリエイター28万人・パートナー200社超。全社ブッキングは2022年 4.02億ドル → 2023年 2.80億ドルへ推移
- Sorare(ゲーム型/スポーツNFT):2022年取引総額約5億ドル(2021年約2.7億ドルから増加)、2023年2月時点ユーザー300万人超、2022年カタールW杯期間4週間で新規60万人増、2023年1月にプレミアリーグと4年間ライセンス契約
- CryptoKitties(ゲーム型):2017年11月28日ローンチ。2017年12月にEthereumトラフィックの一時25%を占有し、12月6日にEthereum上で当時最高となる約80万トランザクションを記録
出典・参考資料(3件)
2026年時点で生き残っているモデルと廃れたモデル
2021〜2022年のNFTバブル期には数多くの企画がありましたが、2026年時点では収益を継続できているモデルと、事業として畳まれたモデルが明確に分かれています。事業立ち上げ判断の材料として、両者を区別しておくことが重要です。
継続的に収益を生んでいるモデル
- 強力なIPコミュニティ+二次流通の継続:CNP・Yuga Labs(BAYC)など、コミュニティ主導のIPが継続収益を生んでいる。単発の発売で終わらず、コミュニティ運営・派生事業と連動している
- 用途特化型プラットフォーム:楽天の「みんなのチケット」のように、汎用NFTマーケットプレイスから特定用途(NFTチケット)に絞ることで存続している。The Sandbox もゲーム+クリエイターエコノミーに用途を特化
- スポーツ・カード型ゲーム:Sorareは既存スポーツファン層とNFTの相性の良さで継続。プレミアリーグ等の公式ライセンス契約が事業基盤
形を変えて残ったモデル
- LINE NFT → DOSI:日本ローカルの汎用NFTマーケットプレイスは終了したが、グループ全体のグローバル版DOSIに統合。事業自体は継続している
- Rakuten NFT → みんなのチケット:汎用NFTマーケットプレイスは撤退し、NFTチケットに用途を絞って刷新。エンタメ・スポーツ興行のリセール需要に応える
事業として畳まれた・大幅縮小したモデル
Nikeは2024年12月2日、2021年12月に買収したデジタルスニーカーブランド RTFKT の事業終了を発表し、2025年1月末にサービスを停止しました。
Today, we’re announcing the plan to wind down RTFKT operations.
出典:Nike to Shut Down Virtual Sneaker Label RTFKT Under New CEO|Bloomberg
Play-to-Earn型のSTEPNは、稼働ユーザー数のピーク(2022年5月・約70万人)以降急減し、2023年5月までにユーティリティトークンGSTはピーク時から99.9%減少しました。2022年7月の中国ユーザー向けサービス停止が引き金となり、新規流入前提のトークン経済の脆弱性が可視化されました。
出典・参考資料(1件)
CryptoKittiesも、2017-2018年の話題性から数年後には主要な取引が消え、コレクティブル系NFTゲームの初期事例として記録されています。
これらの事例から抽出できる示唆は、①「稼ぐこと」を主目的にプレイヤーを集めるモデルは新規流入停止で急落する、②大手企業の買収による参入も、既存事業との統合設計がなければ撤退に至る、③汎用マーケットプレイスは大手2〜3社に流動性が集中し、後発の存続余地が狭い、の3点です。参入時は「NFT自体の話題性」ではなく、既存事業・顧客資産にNFTを組み込む具体設計が事業の存続を左右します。
自社の資産と NFT ビジネスモデルのマッチングフレーム
自社にどの型が当てはまるかを判断するには、既に持っている資産(IP・顧客基盤・実物・技術)を軸に、相性の良い型と失敗しやすいパターンを逆引きするのが実務的です。以下のマトリクスで、自社資産と型の対応関係を整理します。
| 自社が持つ資産 | 強力なIP・キャラクター(漫画・アニメ・スポーツチーム) | 既存の顧客基盤(会員・ファンクラブ・EC) | 実物資産(不動産・美術品・製造品・地域資源) | 強い技術力(開発・監査・運用) | アーティスト・クリエイターとのネットワーク | 地域・自治体との関係(ふるさと納税・観光) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 相性の良い型 | IP・キャラクター活用型/会員権・チケット型 | 会員権・チケット型/IP・キャラクター活用型 | 実物資産連携(RWA・トレーサビリティ)型 | マーケットプレイス開設型/ゲーム型 | コンテンツ販売型/マーケットプレイス開設型(特化型) | 会員権・チケット型/実物資産連携型 |
| 想定される収益源 | 一次販売+二次流通ロイヤリティ+会員特典販売 | 会員費/チケット販売+リセール時ロイヤリティ | 分割販売+証明サービス手数料+物販売上 | 取引手数料+ゲーム内アセット売上+トークン販売 | 販売手数料+作品一次販売の共同運営 | ふるさと納税返礼NFT/観光NFT/地域参画権 |
| 失敗しやすいパターン | 話題性頼みの単発コレクションで終わらせ、コミュニティ運営を継続しない | 既存顧客がNFT保有・ウォレット管理に不慣れで導入時に離脱 | 実物の受渡・保管・所有権移転の実務設計が未整備で稟議が通らない | 汎用プラットフォームで先行する OpenSea・Blur級の流動性なしで成立しない | アーティストの継続的な発表と二次流通市場の流動性が確保できない | 地域住民・自治体側のリテラシー整備が追いつかず、単発企画で終わる |
※上記は本記事で取り上げた事例・型別解説から整理した相性の傾向です。個別プロジェクトの成否は、市場環境・実装体制・パートナー選定など複数要因に依存します。
いずれの型でも共通するのは、「NFTを使えば新しいビジネスができる」から発想せず、「既に持っている資産をNFTでどう活かせるか」から逆算することです。参入後の運営体制・パートナー選定については、後段の「NFT参入における技術・体制面の障壁とパートナー選定」で扱います。
この「目的を先に固めてから技術を当てはめる」という考え方は、Web3事業の企画から実装まで伴走している現場からも語られています。株式会社アツラエ セールスチーム マネージャーの大波氏は、どのような企業でNFTを含むWeb3活用の成果が出やすいかを次のように述べています。
効果が出やすいのは、活用の目的が明確化されている企業様です。「Web3を使うこと」ではなく、「この経営課題に対してWeb3のどの特性を活かすのか」を整理できているお客様は、PoCを実施した後の展開までスムーズに進みます。単発の施策で終わらせず、既存のマーケティング施策や顧客接点の中にWeb3を組み込んで設計していただくパターンが、成果が出やすい典型例です。
NFTビジネスの法的・税務上の注意点
NFTを事業として組み込むにあたっては、金融商品取引法・資金決済法・著作権法・所得税法などの関連法令と、業界団体のガイドラインを踏まえた実務設計が必要です。ここでは、事業立ち上げ判断の段階で整理しておくべき論点を、条文・ガイドラインを引きながら示します。
NFTの法規制フレーム(JCBAガイドライン第3版)
NFTが金融商品取引法や資金決済法の規制対象となるかは、NFTの設計・仕組みごとに個別具体的に判断する必要があります。「NFT=規制対象」と一律に扱う書き方は不正確で、多くの汎用NFT(アート・IPコレクティブル)は一定の要件を満たすことで規制対象から外れるのが実務の通例です。
一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)NFT部会が2024年8月に公表した「NFTビジネスに関するガイドライン第3版」は、規制該当性の判断フレームを次のように整理しています。
NFTを利用した事業やサービスを運営するにあたっては、その対象となるNFTが資金決済法、金融商品取引法等の規制対象に該当しないかを個別具体的に検討する必要があります。当該検討の結果、当該NFTが規制対象となる場合、各法令に基づき必要な届出や登録等の手続を行う必要があります。
出典:NFTビジネスに関するガイドライン第3版 §3-1|日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)
とくに、NFTの保有により何らかの経済的利益(収益分配・配当等)を得られる設計にすると、金融商品取引法上の有価証券(電子記録移転権利)に該当する可能性が生じます。
NFTがその保有により何らかの経済的利益を得られるような性質・仕組みを有する場合、金融商品取引法上の有価証券に該当する可能性があるため、留意する必要があります。
不動産などの収益物件に関する権利をトークン化し、配当等がなされるRWAトークンのように、NFTの保有により当該NFTの発行体等の事業収益の一部が分配される仕組みを有するNFTについては、いわゆる集団投資スキーム持分をトークン化したものとして「電子記録移転権利」に該当し、金融商品取引法上の規制対象となる可能性があります。
出典:NFTビジネスに関するガイドライン第3版 §3-2|日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)
また、決済手段としての利用可能性が高いNFTは、資金決済法上の暗号資産に該当し得ます。JCBAガイドラインは、以下の要件を満たすことで暗号資産該当性から外れるとしています。
NFTを含むトークンについて、①利用規約等により決済手段としての利用を禁止するとともに、②当該トークンの発行上限を(分割可能性を考慮の上)100万個以下に設定したり、または最小取引単価を1,000円以上に設定したりすることにより、「社会通念上、法定通貨や暗号資産を用いて購入又は売却を行うことができる、物品等にとどまる」といえる場合には、基本的に暗号資産に該当しないと考えられます。
出典:NFTビジネスに関するガイドライン第3版 §3-3|日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)
実務では、コンテンツ販売型・IP活用型・会員権チケット型の多くは、これらの要件を満たすことで金商法・資金決済法の規制対象外として設計されます。一方、RWA(実物資産連携)型で収益分配を伴う設計や、独自トークンの決済手段化を志向するゲーム型は、規制該当性の個別判定が不可欠です。
著作権の扱い(NFT売買では原則移転しない)
NFTの譲渡と、対象となるコンテンツの著作権の譲渡は別問題です。著作権法第61条は「著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる」と定めていますが、譲渡には明示的な合意(契約)が必要で、NFTの売買行為だけでは著作権は移転しません。BUSINESS LAWYERS(ビジネス弁護士向け専門メディア)の弁護士解説は次の通り整理しています。
NFTの発行や販売を行うことによって、著作権者からNFT保有者に対するNFTコンテンツの著作権の移転が生じるものではなく、当該著作権は引き続き著作権者に帰属し続けます。
出典:NFTアートと著作権法の関係|BUSINESS LAWYERS
NFT保有者にどの範囲の利用権を認めるかは、発行時に規約や契約書で明記する必要があります。この設計を曖昧にしたまま販売を進めると、購入者と発行者の間で権利範囲の認識齟齬が発生し、二次流通市場での譲渡時にもトラブルの温床になります。
出典・参考資料(1件)
課税タイミングと所得区分(国税庁NFT課税FAQ)
NFTの譲渡による所得は、取引の主体と態様により所得区分が変わります。国税庁が令和5年(2023年)1月13日に公表した「NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)」は、一次流通(クリエイター側)と二次流通(購入者の転売)で以下のように区分しています。
デジタルアートを制作し、そのデジタルアートを紐づけたNFTを譲渡したことにより得た利益は、所得税の課税対象となります。
ご質問の取引は、「デジタルアートの閲覧に関する権利」の設定に係る取引に該当し、当該取引から生じた所得は、雑所得(又は事業所得)に区分されます。
出典:NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)問1|国税庁
二次流通(購入者の転売)は原則として譲渡所得に区分され、営利継続の場合は事業所得・雑所得となります。
デジタルアートを紐づけたNFTを転売したことにより得た利益は、所得税の課税対象となります。
ご質問の取引は、「デジタルアートの閲覧に関する権利」の譲渡に該当し、当該取引から生じた所得は、譲渡所得に区分されることになります。
(注)そのNFTの譲渡が、棚卸資産若しくは準棚卸資産の譲渡又は営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡に該当する場合には、事業所得又は雑所得に区分されます。
出典:NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)問4|国税庁
法人が発行体となる場合の課税、贈与・相続、消費税・源泉徴収の扱いも同FAQ全15問に含まれます。事業設計時に自社の取引主体と態様を整理し、税理士・会計士と早期にすり合わせておくことが実務の要点です。
NFT参入における技術・体制面の障壁とパートナー選定
NFT事業の立ち上げは、スマートコントラクトの実装・監査・保守運用という技術領域と、規制対応・パートナー選定という体制領域の両方で実務難度が高くなります。ここでは、事前に想定しておくべき障壁と、外部パートナーを選定する際の観点を整理します。
スマートコントラクト実装のリスクと監査の必要性
NFTの根幹はスマートコントラクトであり、コードの脆弱性・秘密鍵管理の不備は事業存続を左右するリスクにつながります。2022年3月23日、Axie Infinityを運営するSky Mavis社のRoninブリッジで、マルチシグ運用の秘密鍵が侵害され、約6億2,500万ドル相当の資金が流出する事件が発生しました。
on March 23rd, our Ronin validator nodes and Axie DAO validator nodes were compromised, resulting in 173,600 Ethereum and 25.5M USDC drained from the Ronin bridge in two transactions
The attacker used hacked private keys in order to forge fake withdrawals.
出典:Axie Infinity’s Ronin Network Suffers $625M Exploit|CoinDesk
スマートコントラクトはデプロイ後の修正が困難であり、事前の設計・実装・監査の質が事業リスクを規定します。実務では、専門の監査事業者に外部監査を依頼することが業界標準となっており、国内ではNRIセキュアテクノロジーズやテコテック等、海外ではCertikやOpenZeppelinなどが監査サービスを提供しています。
スマートコントラクト単体の監査だけでなく、ウォレットや秘密鍵の保護・取引モニタリング・オンチェーン分析まで含めて、ブロックチェーン全体のセキュリティ対策を俯瞰したい場合は、以下の記事が主な攻撃手法・脆弱性・対策サービスの選び方まで整理しています。
ブロックチェーンセキュリティとは?主な攻撃・脆弱性と対策サービスの選び方を解説
暗号資産やNFT、DeFiなどのブロックチェーンサービスを事業に取り入れるとき、スマートコントラクトの脆弱性を突かれて資産が流出したり、不正な取引で被害を受けたりしないか、不安を感じていませんか。ブロックチェーンは「改ざんに強い」と言われる…
パートナー選定で確認する4つの観点
NFT事業立ち上げの外部パートナー(コンサル・受託開発)を選定する際は、次の4点を商談で確認します。
- 企画から実装まで一気通貫で対応できるか:企画コンサルと開発ベンダーを分けると、要件の伝達コストとリスク責任の切れ目が発生する。トークン設計・スマートコントラクト実装・運用まで同じチームで担える体制か
- 金融規制対応の実務経験があるか:JCBAガイドラインに沿った該当性判定、資金決済法・金商法対応の実務経験、金融庁との折衝経験の有無
- スマートコントラクト監査の体制または外部監査事業者との連携:自社内での監査体制、または独立監査事業者とのパイプ。監査費用の目安と、監査後の修正対応フローを事前に確認
- 類似型・類似規模の実績:同じ型(IP活用・実物連携・会員権等)での実装経験と、実額規模(発行数・売上)が自社の想定と近いか
Web3・ブロックチェーン領域のコンサル・受託開発は事業者ごとに得意領域が異なるため、「NFT事業立ち上げ」を主要メニューに掲げているかを起点に、上記4観点で絞り込みます。
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NFT事業の立ち上げに適した Web3 ビジネス支援サービス
ここまでの型別解説・法規制フレーム・技術体制の論点を踏まえて、NFT事業の企画・トークン設計・スマートコントラクト実装・運用までを伴走できる Web3 ビジネス支援サービスを紹介します。単発のNFT発行ツール(SaaS)ではなく、企画段階から本格実装までを同じチームで担えるコンサル・受託開発型のサービスを、以下のとおり紹介します。
逆に、企画・実装を自社で進められる体制があり、まずは NFT の発行・配布から小さく試したい場合は、ノーコードで使える SaaS 型の NFT 発行・配布ツールという選択肢もあります。対応チェーン・NFT 規格・料金・ノーコード可否といった導入判断で見るべき比較軸で 13 ツールを横並びに整理した以下の記事が、用途から絞り込むための材料になります。
まずは比較表で全体像を掴んだうえで、各サービスの詳細を確認してください。
| サービス名 | MCB Web3支援サービス | MARUNAGE | Web3 CONSULTING & DEVELOPMENT | Web3事業立ち上げ・導入支援コンサル | WEB3/ブロックチェーン総合コンサル | web3×地方創生コンサルティング | Decentierコンサルティング | Web3コンサルティング・ブロックチェーン開発 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 運営会社 | マネックスクリプトバンク株式会社 | 株式会社IndieSquare | 株式会社アツラエ(旧クリプトリエ事業承継) | コンセンサス・ベイス株式会社 | 株式会社ICHIZEN HOLDINGS | 株式会社あるやうむ | 株式会社Decentier | Netsujo株式会社 |
| NFTの主な支援メニュー | INO(Initial NFT Offering)支援/Web3コミュニティ支援(NFT配布・DAO組成) | NFT発行・販売代行(特典配布・証明書・チケット・販売の4類型)/INO・DAO・RWA設計 | NFTマーケティング活用の受託開発/Web3 PoC・MVP開発/自社SaaS MintMonster | トークンエコノミクス構築(FT・NFT)/スマートコントラクト設計/既存サービスのトークン化 | トークノミクス設計/IEO・IDO準備・上場支援/マーケットメイク/RWA事業構築 | ふるさと納税NFT/観光NFT/地域おこし協力隊DAO/自治体向けRWAプラットフォーム TOKKEN | ユーティリティNFTを得意領域に明示/ブロックチェーンコンサル/自社プロダクトSLAPS(デジタル会員権発行) | NFT・SBT・DID・RWA・トークン設計/Web3 PoC設計/スマートコントラクト発注前監査 |
| 対応範囲 | 企画〜発行〜運営まで一貫 | 企画〜発行・流通〜認証・管理・カスタマー対応まで代行 | 企画〜PoC・MVP〜受託開発〜運用まで一貫 | 戦略立案〜技術実装〜組織構築まで一貫 | 戦略立案〜開発〜マーケティング〜研修まで一貫 | 自治体・地域案件の企画〜実装まで一貫 | 市場調査〜事業戦略〜設計・要件定義〜開発まで一貫 | 構想整理〜PoC設計〜スマートコントラクト実装〜運用まで一貫 |
| 料金の目安 | 要お問い合わせ | 100,000円〜(税別、NFT発行・販売代行) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ(初回ヒアリング無料) | 月額77万円〜(アドバイザリー、成果報酬・レベニューシェア型あり) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | PoC設計80万円/4週間、スマートコントラクト発注前監査40万円/2週間(税抜、公開料金) |
| 主な実績・特色 | マネックスグループ100%子会社。グループ内取引所コインチェックとの連携で発行から運営までを一気通貫できる体制 | 内閣官房・自由民主党・国会議員SBTの発行実績(HAZAMA BASE基盤)。ガスレスオプションで発注側は暗号資産・ウォレット知識不要 | HYSTERIC GLAMOUR NFT会員数前年比5倍/NTTドコモグループ入社式NFT/KDDI・NEC・QTnetのインナーマーケティングNFT。ISMS認証取得 | 累計43社・103件超のWeb3実績。ソフトバンク・大和総研HD・GMOグローバルサイン・NECなどの大手対応。金融規制対応が強み | トークンプロジェクトで最高時価総額約$200M規模を約1週間で実現。プライム上場企業と新規事業構築。延べ500名規模の社内研修対応 | 2022年北海道余市町で日本初のふるさと納税NFTを立ち上げ、11自治体超に展開。KDDI・CryptoNinja Partnersとの協業 | NOT A HOTELのMEMBERSHIP NFT(宿泊権NFT化)にメンバー関与。リゾート・レストランでのNFT新規事業アイディエーション | NFT・SBT活用の自治体向けスタンプラリー事業/京都のNFT会員制バー共同企画。「Web3導入前提で提案しない」姿勢と業界で珍しい固定価格パッケージ公開 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る |
1. MCB Web3支援サービス(マネックスクリプトバンク株式会社)

マネックスグループの暗号資産・ブロックチェーン専門子会社である株式会社マネックスクリプトバンクが提供する、Web3事業への参入を検討する法人・プロジェクト向けの伴走型コンサルティング・実装支援サービスです。主要3メニューの一つに「INO(Initial NFT Offering)支援」を明示的に掲げ、NFTの企画・発行・販売支援を独立メニューとして扱っている点が特徴です。
NFT発行に加えて、Web3コミュニティ支援(NFT配布・DAO組成)にも対応しており、マネックスグループ傘下のコインチェックとの連携で発行から運営までを一気通貫で進められる体制を持ちます。誰と組めばNFT事業を立ち上げられるかを検討する読者にとって、金融グループの基盤を持つ相談先として並びやすい選択肢です。
2. MARUNAGE(株式会社IndieSquare)

2015年設立の株式会社IndieSquareが提供するNFT発行・販売代行を中核に据えたWeb3総合コンサルティングサービスで、公式サービスページも「NFT発行・販売代行サービス」を看板に据えています。企画支援から NFT の発行・流通・認証・管理・カスタマー対応までを代行する立て付けで、専門人材が社内にいない企業でも 1 社で NFT 事業を進められる構成になっています。
ガスレスオプション(暗号資産・ウォレットの知識不要/請求書払い)を用意することで、発注側の Web3 リテラシー要件を下げています。内閣官房・自民党・国会議員 SBT(ソウルバウンドトークン)の発行など、政府・大手企業のNFT/SBT発行実績を持ち、「自社IPをどう発行実務に落とすか」を検討するフェーズで具体的に伴走できる会社です。
3. Web3 CONSULTING & DEVELOPMENT(株式会社アツラエ)

株式会社アツラエ(旧クリプトリエ事業承継)が提供する、Web3事業の企画から本格実装までを同じチームで一貫して伴走するコンサル&受託開発サービスです。ISMS 認証範囲に「NFT マーケティングプラットフォーム運営」を含んでおり、NFT 領域の受託開発を主要業務として位置づけています。
HYSTERIC GLAMOUR の NFT 会員数前年比 5 倍事例、NTT ドコモグループ入社式 NFT、KDDI・NEC・QTnet のインナーマーケティング NFT など、本記事の型別解説で扱った IP 活用型・会員権型と直接呼応する NFT 事業実績を公開しています。
「Web3 を使わない方が良い場合はそう申し上げる」姿勢を訴求しており、Web3 ありきで進めない立場を取る点も、失敗回避を重視する読者に合いやすい要素です。
4. Web3事業立ち上げ・導入支援コンサルティング(コンセンサス・ベイス株式会社)

2015年設立、「日本初のブロックチェーン技術の専門企業」を掲げるコンセンサス・ベイス株式会社が、企業のWeb3事業立ち上げ・既存サービスのWeb3導入を戦略立案から技術実装まで支援するコンサルティングです。主要メニューに「トークンエコノミクス構築(FT・NFT)」「既存サービスのトークン化」「スマートコントラクト設計」を明示しています。
ソフトバンク・大和総研HD・GMOグローバルサイン・NECをはじめとする累計43社・103件超のWeb3プロジェクト実績を公開しており、事業側・技術側の両面(ビジネスコンサル+スマートコントラクト実装)を自社内で完結できる体制を持ちます。NFT事業立ち上げの実装フェーズを見据える読者の相談先候補として位置づけやすい会社です。
5. WEB3/ブロックチェーン総合コンサルティング(株式会社ICHIZEN HOLDINGS)

株式会社ICHIZEN HOLDINGSが提供する、Web3・ブロックチェーン領域を新規事業開発・システム開発・マーケティング支援・トークン関連プロジェクトまで一気通貫でサポートする総合コンサルティングです。実績としてトークンプロジェクトで最高時価総額$200M規模を実現、プライム上場企業との新規事業構築、社内研修500名規模の対応実績を公開しています。
NFT/トークン発行スキームの実務経験値が高く、社内合意形成が必要な大手企業の担当者層に向いた提供体制を持ちます。共同代表がWeb3メディアを上場企業へM&A売却した経緯を持ち、上場企業スキーム内の暗号資産ディーリング・会計税務・監査法人対応まで現場経験を積んでいる点も、社内で説明しやすい要素です。
6. web3×地方創生コンサルティング(株式会社あるやうむ)

株式会社あるやうむが提供する、地方創生と Web3 を組み合わせた事業開発のコンサルティングです。2022 年の北海道余市町における日本初のふるさと納税 NFT を皮切りに、観光 NFT・地域おこし協力隊 DAO・自治体向け RWA プラットフォーム TOKKEN など、地域資源と NFT を掛け合わせた事業を継続的に手掛けています。
11 自治体超の導入実績を公開しており、KDDI・CryptoNinja Partners とのコラボ企画も進めています。本記事の型別解説で扱った実物資産連携型・会員権チケット型に該当する事業設計で、地域資源や自治体予算を持つ担当者が「自社の資産にどう NFT を当てはめるか」を検討する際の相談先候補になります。
ふるさと納税 NFT・観光 NFT・地域 DAO のように、Web3 を地方創生と組み合わせて活用したい場合は、注目される背景・国内事例・導入ステップ・専門サービスの活用法まで整理した以下の記事で、全体像を先に押さえておくと社内での説明が組み立てやすくなります。
Web3×地方創生とは?DAO活用事例で見る地域活性化戦略とWeb3支援サービス
地方の人口減少や財政難に悩む自治体で、「Web3」や「DAO」といった言葉を耳にする機会が増えています。「ブロックチェーンで地域課題を解決できるのか?」と疑問に思う方も少なくありません。 しかし実際には、NFTを活用して全国から資金やファン…
7. Decentierコンサルティング(株式会社Decentier)

2023年設立の株式会社Decentierは、「Beyond Consulting We Build.」を掲げ、コンサルティングと自社プロダクト開発を両輪で回すファームです。得意領域に「ユーティリティNFT」を明示し、リゾートホテル・レストランでのNFT新規事業アイディエーション、NOT A HOTELのMEMBERSHIP NFT(宿泊権NFT化)にメンバーが関与した実績を公開しています。
自社プロダクトとしてデジタル会員権発行サービス「SLAPS」を運営しており、実装力(Build)と企画(Consulting)の両輪を持つ点が特徴です。会員権・チケット型やIP活用型のNFT事業を検討する読者にとって、当事者性を持つパートナーとして機能します。
8. Web3コンサルティング・ブロックチェーン開発(Netsujo株式会社)

Netsujo株式会社(京都創業、2023年6月)が提供する、Web3・AI領域の実装型BizDev支援です。支援範囲としてNFT・SBT(ソウルバウンドトークン)・DID(分散型アイデンティティ)・RWA・トークン設計を明記しており、NFT・SBTを活用した自治体向けスタンプラリー事業の企画・事業推進、京都のNFT会員制バーの共同企画などの実案件があります。
特徴は、業界では珍しく固定価格パッケージを公開している点で、PoC設計80万円/4週間・スマートコントラクト発注前監査40万円/2週間といった具体金額を提示。「Web3を導入する前提で提案しない」姿勢と公開固定料金の組み合わせは、社内合意形成・PoCの入口を必要とする担当者に固有の価値があります。
NFTとブロックチェーンの基礎知識(本記事の補足)
ここまでの解説で使ってきた技術用語(唯一性・代替不可能性・ブロックチェーン・スマートコントラクト・ERC-721)を、本文を読み進めた後の補足として整理します。基礎から順に読みたい方は、この節を先に読んでから前の節に戻る形でも構いません。
NFTとは(唯一性・代替不可能性)
NFTは「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」の略で、ブロックチェーン上で発行される「1つひとつが区別可能な」デジタルトークンです。ビットコインなどの暗号資産は、同じ通貨単位が互いに交換可能(代替可能)ですが、NFTは1つひとつに固有のIDが割り振られ、他のNFTと同じ価値・意味では扱われません。
この「唯一性」がデジタルコンテンツの所有権・希少性の証明を可能にし、コレクション・アート・ゲームアイテムなど多様な用途に応用されています。
ブロックチェーンとスマートコントラクトの仕組み
ブロックチェーンは、取引履歴を暗号技術と分散ネットワークで改ざん困難な形で記録する仕組みです。NFTの発行・移転・所有履歴は、Ethereum・Polygon・Ronin などのブロックチェーン上に記録され、参照者は誰でも取引履歴を確認できます。
スマートコントラクトは、ブロックチェーン上で自動実行されるプログラムです。NFTの発行・移転・ロイヤリティ配分の条件をコードとして書き込み、条件が満たされた時点で自動的に処理が実行されます。NFTのプログラマビリティは、このスマートコントラクトの機構によって成立します。
ERC-721 の技術仕様
ERC-721は Ethereum 上での NFT の標準規格で、正式仕様は Ethereum Improvement Proposals(EIP)の第721号として2018年に承認されました。
所有者の追跡(ownerOf)と安全な移転(safeTransferFrom)を提供する API を定義し、この規格に準拠したスマートコントラクトを実装することで、OpenSea を含む主要マーケットプレイスと自動的に連携できます。
EIP-721 は次の点も明示しています。
NFTs are distinguishable and you must track the ownership of each one separately.
出典:EIP-721: Non-Fungible Token Standard|Ethereum Improvement Proposals
二次流通ロイヤリティの規格化は ERC-721 本体には含まれず、後発の EIP-2981(NFT Royalty Standard)が担っています。両者の役割分担は、前述の「二次流通ロイヤリティの仕組みと実額」節で解説した通りです。
まとめ
NFTビジネスは、コンテンツ販売型・マーケットプレイス開設型・ゲーム型・IP活用型・実物連携型・会員権チケット型の6つの型に整理でき、それぞれ収益源と成功要因が異なります。二次流通ロイヤリティはNFT固有の収益特性ですが、実際の支払いはマーケットプレイス側の政策次第で変動するため、事業設計時には一次販売との組み合わせで考える必要があります。
2026年時点では、CNP・Yuga Labsのような強力なIPコミュニティ主導のモデル、みんなのチケットのような用途特化型、Sorareのような既存スポーツファン層と接続したモデルが継続的に収益を生んでいます。一方、Nike/RTFKTの事業終了、STEPNの99.9%減など、話題性頼みや新規流入依存のモデルは事業存続が困難であることも明らかになりました。
参入時は自社の資産(IP・顧客・実物・技術)から逆算し、既存事業との統合設計を意識することが、事業存続の鍵になります。
実装に際しては、金融商品取引法・資金決済法・著作権法・所得税法の該当性を個別具体的に検討し、スマートコントラクトの実装・監査体制を整えることが不可欠です。企画・トークン設計・スマコン実装まで伴走できる Web3 ビジネス支援パートナーを早期に選定することで、社内検討から本番運用までの導入プロセスを効率的に進められます。
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よくある質問(FAQ)
Q. NFTビジネスモデルとは何ですか?
NFTビジネスモデルとは、NFT(非代替性トークン)を発行・流通させて収益を生む事業の型のことです。代表的には、コンテンツ販売型・マーケットプレイス開設型・ゲーム型・IP活用型・実物資産連携型・会員権チケット型の6つに整理できます。
各型は「何を売り、どこからお金が入るか」の組み合わせが異なり、収益源は一次販売・二次流通ロイヤリティ・取引手数料・トークン販売などを組み合わせて構成されます。詳細は冒頭の一覧表と型別解説を参照してください。
Q. NFTの二次流通ロイヤリティは、実際にどのくらいの収益になりますか?
NFTの二次流通ロイヤリティの実額は、IPやコミュニティの強さ・保有者数・二次流通市場の活況度によって大きく変動します。
国内事例では CryptoNinja Partners(CNP)が年間約2,800万円規模(年間取引額約2.8億円×料率10%の試算値、イケハヤ氏 note)、海外事例では Yuga Labs が2022年通期でBAYC・MAYC・Otherdeed 合計1億780万ドル(うちBAYC単体3,230万ドル)を計上しています。
ただし、OpenSea が2023年8月にクリエイターフィーを任意化し、Blur が0.5%ミニマムのみを支払う体系を採るなど、主要マーケットプレイスの政策転換で実額は年ごとに変動します。事業計画上はロイヤリティ単独に依存せず、一次販売や派生事業と組み合わせて設計するのが実務的です。
Q. NFTを発行すれば、二次流通ロイヤリティは自動で入ってきますか?
NFTは、発行しただけで二次流通ロイヤリティが自動で入る仕組みではありません。スマートコントラクトで規格上のロイヤリティ料率を宣言できますが、実際の支払いは主要マーケットプレイスがその規格に準拠し、支払い実装を有効化していることが前提になります。
ERC-721 本体にはロイヤリティ規定が無く、EIP-2981(NFT Royalty Standard)が別途規格化していますが、規格への準拠自体は各マーケットプレイスの任意判断です。2023年以降は OpenSea・Blur が任意化・ミニマム化の政策を採ったため、発行者側は「宣言=収益確定」ではなく「宣言+マーケットプレイス政策次第」を前提に事業設計する必要があります。
Q. 自社IPをNFT化するとき、著作権はどう扱えばよいですか?
自社IPをNFT化する場合、NFTに紐づくコンテンツの著作権は、NFTの売買では原則として保有者に移転しません。著作権の譲渡には明示的な合意(契約)が必要で、NFTを譲渡する行為そのものだけでは著作権は著作権者に残ります(著作権法第61条、BUSINESS LAWYERS 弁護士解説)。
NFT保有者に認める利用範囲(複製・翻案・商用利用の可否、期間、地域)は、発行時に規約や販売条件に明記しておく必要があります。設計を曖昧にしたまま販売を始めると、購入者・二次購入者との間で権利範囲の認識齟齬が生じ、二次流通市場でのトラブルにつながります。IPホルダーの立場では、ライセンス範囲を狭く固定するか一定の利用権を認めるかを、事業開始前に法務と設計するのが実務です。
Q. NFTの販売や転売には、いつ・どんな税金がかかりますか?
NFTの譲渡による所得は所得税の課税対象となり、一次発行(クリエイター側)は雑所得または事業所得、二次流通(購入者の転売)は原則として譲渡所得(営利継続の場合は事業所得・雑所得)に区分されます(国税庁「NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)」問1・問4)。
法人が発行体となる場合の課税、贈与・相続、消費税・源泉徴収の扱いも同 FAQ 全15問に含まれています。事業設計時に自社の取引主体(法人/個人)と態様(一次発行/転売/継続的販売)を整理し、税理士・会計士と早期にすり合わせておくことが不可欠です。
Q. NFT事業を始めるとき、金融商品取引法や資金決済法の対象になりますか?
NFT事業が金融商品取引法・資金決済法の規制対象になるかは、そのNFTの設計・仕組みごとに個別具体的に判断する必要があります(JCBA「NFTビジネスに関するガイドライン第3版」§3-1)。「NFT=規制対象」と一律に扱われるわけではありません。
NFTの保有により収益分配・配当を受けられる設計(RWA型で事業収益を分配する等)は、金商法上の有価証券(電子記録移転権利)に該当する可能性があります。
逆に、利用規約で決済手段としての利用を禁止したうえで、発行上限を100万個以下または最小取引単価1,000円以上に設定すれば、多くの汎用NFT(コンテンツ販売型・IP活用型・会員権チケット型)は資金決済法上の暗号資産に該当しない設計で運営できるのが実務の通例です(同ガイドライン §3-3)。
Q. 2026年時点でも収益が続いているNFTビジネスモデルの共通点は何ですか?
2026年時点で継続的に収益を生んでいるNFTビジネスモデルには、①強力なIPコミュニティを軸に二次流通が持続している、②用途を特化してプラットフォームを絞り込んでいる、③既存の顧客資産(ファン層・興行・スポーツ観戦)とNFTを統合している、の3つの共通点があります。
CNP・Yuga Labs(IPコミュニティ)、みんなのチケット・The Sandbox(用途特化)、Sorare(既存スポーツファンとの接続)がそれぞれ該当します。
逆に、Nike/RTFKT(2024年12月事業終了)、STEPN(2023年5月にGSTがピーク比99.9%減)、CryptoKitties(2017-18年の話題性以降縮小)のように、話題性頼み・稼ぐこと自体を目的にした新規流入依存モデル・既存事業との統合設計がない参入は、事業存続が困難であることが明らかになっています。
「NFTだから話題になる」から入るのではなく、既存事業と資産をどう強化するかから逆算する設計が、事業の継続を左右します。
Q. NFTビジネスモデルを自社に当てはめて検討するには、何から始めればよいですか?
NFTビジネスモデルを自社に当てはめる検討は、「NFTで何ができるか」から発想せず、「自社が既に持っている資産(IP・顧客基盤・実物・技術・地域関係)を、NFTでどう活かせるか」から逆算するのが出発点になります。本記事の「自社の資産と NFT ビジネスモデルのマッチングフレーム」節で、資産軸から相性の良い型を逆引きできる形に整理しています。
実務の順序としては、①自社資産の棚卸→②相性の良い型の当たり付け→③国内外の該当型の事例調査→④小規模PoC(Proof of Concept)設計→⑤法務・税務・監査の当たり付け→⑥外部パートナーへの相談、の流れが典型です。社内提案に落とす前段では、参考事例の実額(本記事の型別解説・参入企業事例節)と自社適用時の売上・費用見込みを合わせて示すと通しやすくなります。
Q. 個人事業やスタートアップの規模でも、NFT事業は始められますか?
NFT事業は、既存のブロックチェーン基盤(Ethereum・Polygon 等)と主要マーケットプレイス(OpenSea・Blur・DOSI 等)を利用すれば、発行と販売自体の参入ハードルは低く、小規模でも開始可能です。CryptoNinja Partners のように、個人発クリエイターコミュニティから始まって年間数千万円規模の二次流通ロイヤリティに育つ事例もあります。
ただし、規模を問わず必要になる法務・税務対応(規制該当性判定・著作権処理・所得区分判断)や、スマートコントラクトを自社実装する場合の監査費用は、小規模事業では相対的に負担が重くなります。個人・スタートアップは、用途を特化して発行数を絞り、汎用マーケットプレイスに載せる形から始めるのが、実務コストと事業リスクを抑えやすい入り方です。
Q. NFT事業の技術パートナー選定でよくある失敗パターンは何ですか?
NFT事業のパートナー選定でよくある失敗は、①企画コンサルと開発ベンダーを分けて要件伝達コストと責任の切れ目が発生する、②金融規制対応の実務経験がないパートナーを選び JCBA ガイドラインへの適合設計に手戻りが出る、③スマートコントラクトの外部監査体制を確認せず脆弱性が残る、④類似型・類似規模の実装実績がなく事業設計と実装の乖離が生じる、の4点に集約されます。
本記事の「パートナー選定で確認する4つの観点」で示した通り、企画から実装まで一気通貫で対応できる体制・金融規制対応の実務経験・監査体制または外部監査事業者との連携・類似型の実績、の4点を商談で必ず確認することで、これらの失敗の多くは事前に回避できます。
特にスマートコントラクトは、Ronin Bridge の約6億2,500万ドル流出事件(2022年3月)のように、デプロイ後の修正が難しく事業存続に直結するリスクを抱えるため、監査体制の確認は妥協できません。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
















