ECサイトを運営していると、身に覚えのない不正利用を理由にカード会社から売上を取り消され、商品は発送済みなのに代金を回収できない——そんなチャージバックの損失に直面することがあります。まとまった額を被った後で「なぜ加盟店の自社が負担するのか」と感じた方は少なくないはずです。
そこで気になるのが、本人認証の3Dセキュアを入れれば、この不正利用によるチャージバックの負担は自社に来なくなるのか、という点でしょう。義務化で導入した(あるいは導入直前の)事業者ほど、まず知りたいのは仕組みの解説より「で、うちの負担はどうなるのか」という一点です。
結論から示すと、3Dセキュアの認証を通過した不正利用のチャージバックは、各国際ブランドの規則と加盟店規約にもとづき、原則としてカード会社(イシュア=カード発行会社)の負担へ移ります。これを「ライアビリティシフト(責任の移転)」と呼びます。
ただし、認証が成立していない取引や、不正利用以外の理由によるチャージバックなど、加盟店の負担が残るケースもあります。本記事では、その境界がどこにあるのかを一目で判断できる形で整理します。
目次
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3Dセキュア認証済みの不正利用チャージバックは加盟店負担になるのか
まず、多くの方が最初に確かめたい一点から答えます。3Dセキュア(本人認証サービス)の認証を通過した取引で不正利用が起き、チャージバックになった場合、その損失は誰が負担するのかという問いへの答えです。
ライアビリティシフト(責任の移転)とは
ライアビリティシフトは、不正利用によるチャージバックの負担を、加盟店からカード会社(イシュア)へ移す仕組みです。3Dセキュアで本人認証を行った取引は、「発行会社が本人であることを確認した取引」と扱われます。そのため、後からなりすましだったと判明しても、認証を経ていれば損失はカード会社側に移り、加盟店は原則として被りません。
裏を返せば、3Dセキュアを導入していない、あるいは認証を経ずに決済した取引で不正利用が起きた場合は、責任は移転しません。この場合、売上を取り消されるうえに商品も戻らないという二重の損失を、加盟店が負うことになります。次の章では、この「移転する/しない」の境界を具体的に整理します。
免責される取引・されない取引の境界
ここからは、自社のケースが免責されるのかを判断できるよう、責任が移転する取引としない取引を分けて整理します。免責が効かない例外は、「なぜ効かないのか」で大きく2つのグループに分かれます。自社の状況がどちらに当てはまるかを確かめてください。
免責される取引(3Dセキュア認証済みの不正利用)
免責の対象になるのは、3Dセキュアの認証が成立したうえで発生した「不正利用(なりすまし決済)」のチャージバックです。第三者がカード番号を盗用して決済したケースなどがこれにあたり、認証を通していれば、原則として損失はカード会社の負担になります。国際ブランドの規則では、こうした本人認証済みの不正利用は、加盟店ではなく発行会社が負う扱いとされています。
免責されない取引(加盟店の負担が残るケース)
一方で、次の2つのグループにあたる取引では、3Dセキュアを導入していても加盟店の負担が残ります。理由が異なるため、分けて理解しておくと自社のケースを見極めやすくなります。
1. 認証が成立していない例外(そもそも責任が移転しない)
1つ目は、3Dセキュアの本人認証がそもそも成立していない取引です。認証を導入していても、実際の決済で認証を経ていなければ、ライアビリティシフトは発生しません。
認証が求められなかった取引や、認証が途中で完了しなかった取引は、いわゆるアテンプト(試行のみで完全な認証に至らなかったもの)です。これらは「完全に認証された取引」とは区別され、免責の対象から外れることがあります。
3Dセキュア2.0は、取引ごとにリスクを判定し、低リスクと判断した取引ではパスワード入力などの追加認証を省く「リスクベース認証」を採ります。利便性のための仕組みですが、追加認証を経なかった取引が「完全認証」として扱われるかどうかは、ブランドや取引条件によって変わります。自社の運用でどの取引が完全認証に該当するかは、決済代行会社に確認しておくと安心です。
2. 認証は成立しても免責されない例外(不正利用ではないチャージバック)
2つ目は、認証が成立していても、そもそも「不正利用」に該当しないチャージバックです。ライアビリティシフトが移すのは、あくまで第三者によるなりすまし利用の責任です。商品が届かない(商品未着)、届いた商品が説明と違う、請求金額が違う、といった販売者側に起因するトラブルは不正利用ではないため、3Dセキュアの免責は及びません。
もう一つ注意したいのが、フレンドリーフラッド(善意の詐欺)と呼ばれる類型です。これは、本人や家族が実際に利用したにもかかわらず「身に覚えがない」と申告するケースなどを指します。カード会員自身が関わっているため本人認証はすり抜けやすく、不正利用とも販売者起因とも判断が難しいことから、加盟店が反証を求められる争いになりやすい領域です。
以上を、自社のケースがどちらに落ちるかをたどれるよう、一枚の表にまとめます。負担者は、各国際ブランドの規則と加盟店規約にもとづく一般的な取扱いです。
| チャージバックの類型 | 原則の負担者 | 理由 |
|---|---|---|
| 3Dセキュア認証済みの不正利用(なりすまし決済) | カード会社(イシュア) | 本人認証が成立しており、ライアビリティシフトが適用される |
| 認証を経ていない取引での不正利用(未導入・非認証) | 加盟店 | そもそも認証が成立せず、責任が移転しない |
| アテンプト止まりなど完全認証に至らない取引 | 加盟店になり得る | 「完全に認証された取引」と区別され、免責対象から外れることがある |
| 商品未着・金額違い・品違いなど販売者起因 | 加盟店 | 不正利用ではないため、3Dセキュアの免責は及ばない |
| フレンドリーフラッド(本人・家族による否認など) | 加盟店になりやすい | 会員自身が関与し不正利用と認められにくく、反証が求められる |
この表からわかるのは、3Dセキュアが守ってくれるのは「認証済みの不正利用」という一区分に限られるという点です。認証が成立していない取引や、不正利用ではないチャージバックは対象外で、加盟店の対応が引き続き必要になります。
負担者が決まる流れを、判定の順序で表すと次のようになります。認証が成立しているか、そのうえで不正利用にあたるか——この2段で自社のケースを見分けられます。

ライアビリティシフトの制度的根拠(免責は何によって担保されるのか)
ここでは、免責を「そう言っているのは誰か」という観点から確認します。自社のケースを表で判断できても、その扱いが何にもとづくのかがあいまいだと、いざチャージバックが起きたときに拠りどころがありません。
ライアビリティシフトの根拠は、法律ではなく、各国際ブランド(Visa・Mastercard・JCBなど)が定める規則と、加盟店がカード会社と結ぶ加盟店規約にあります。後述する義務化の法令やクレジットカード・セキュリティガイドラインは、本人認証の「導入」までを求めるもので、免責の帰結そのものはブランド規則の領域です。
ここが義務化の根拠と異なる点です。ブランド規則や加盟店規約は、法令のように公開された条文ではなく、カード会社と加盟店の契約にひもづく文書です。そのため「Visa規則の第何条」といった形で誰でも参照できるわけではなく、自社に適用される具体的な扱いは、契約している決済代行会社・カード会社を通じて確認するのが確実な経路になります。
実務では、チャージバックがどの理由コードで処理されるかによって負担者が分かれます。理由コードは、カード会社がチャージバックの種別を表すために使う番号です。本人認証が成立した取引は、その認証結果(ECIと呼ばれる認証結果の識別値。VisaではECI 05、MastercardではECI 02などで示されます)を伴う取引として扱われ、その不正利用は発行会社側に責任が移ります。
一方、認証が成立しない取引や販売者起因のチャージバックは、別の理由コードで処理され、免責は及びません。自社の取引がどの扱いになるかを正確に知るには、実際の決済でどの取引が「完全に認証された取引」として記録されているか(認証結果・取引ステータス)を、決済代行会社に確認するのが確実です。
オーソリ・セキュリティコード・3Dセキュアの違い(免責の観点で)
「セキュリティ対策はしているのに、なぜ免責されなかったのか」という誤解は、よく似た3つの仕組みを混同することから生まれます。オーソリ・セキュリティコード・3Dセキュアは目的が異なり、ライアビリティシフトによる免責の条件を満たすのは本人認証である3Dセキュアだけです。免責になるかどうかの観点で違いを整理します。
| 仕組み | 役割 | 免責(ライアビリティシフト)との関係 |
|---|---|---|
| オーソリゼーション(与信) | カードの有効性・利用枠を確認し、決済を承認する | 与信が通っても本人確認ではないため、それ自体は免責の条件にならない |
| セキュリティコード(CVV/CVC) | カード裏面などの数桁の番号を照合し、券面情報の保有を確認する | 番号の照合であって本人認証ではないため、免責の条件にはならない |
| 3Dセキュア(本人認証) | 発行会社側でカード会員本人であることを認証する | 認証が成立すれば、不正利用のチャージバックにライアビリティシフトが適用される |
オーソリやセキュリティコードは、それぞれ与信と券面情報の確認という役割を担い、決済の安全性に寄与します。ただし、いずれも「カードを使っているのが本人か」を確かめる仕組みではありません。ライアビリティシフトによる免責が求めるのは本人認証の成立であり、その条件を満たすのは3Dセキュアです。自社が「対策済み」と考えている内容が、本人認証まで含んでいるかを一度確認しておくとよいでしょう。
チャージバックが起きる流れと、免責が効いても残るコスト
免責の有無だけでなく、チャージバックが実際にどう進むのか、そして免責されても残るコストは何かを押さえておくと、対策の優先順位を判断しやすくなります。ここでは発生から異議申し立てまでの流れと、見落としがちな残コストを整理します。
チャージバックの発生フロー
チャージバックは、おおむね次の流れで進みます。まず、カードの名義人が「身に覚えのない請求がある」とカード会社へ連絡します。次に、カード会社が調査のうえチャージバックと判断すると、加盟店の売上が取り消されます。加盟店はカード会社へ返金する形になり、すでに商品を発送していれば、その商品も回収できないまま損失が残ります。
この一連の流れの中で、本人認証が成立していれば負担がカード会社へ移り、成立していなければ加盟店に残る、というのが前章までの整理です。フロー自体は免責の有無にかかわらず同じように進むため、「取り消されてから慌てる」のではなく、事前にどの取引が守られるのかを把握しておくことが重要になります。
異議申し立て・反証資料
チャージバックに納得できない場合、加盟店は異議申し立て(再抗弁)を行えます。配送伝票や取引時のやり取りの記録など、取引が正当であったことを示す反証資料を提出し、認められればチャージバックが取り消されます。とくにフレンドリーフラッドのように本人が関与する類型では、この反証資料の有無が結果を左右します。日頃から配送記録・本人確認のやり取りを残しておくことが、実務上の備えになります。
免責が効いても残る加盟店コスト
ライアビリティシフトで金銭的な損失負担が移っても、加盟店側のコストがゼロになるわけではありません。売上取消にともなう事務対応や、不正の調査・カスタマー対応の手間は残ります。また、3Dセキュアの追加認証を挟むことで一部の購入者が離脱する「カゴ落ち」が起きれば、それは機会損失というコストになります。
「3Dセキュアを入れれば安心」で止めず、免責で守れる範囲と、守れないコスト・リスクを切り分けて考えることが、実務では欠かせません。免責の外側にあるコストへの備えは、後半の不正検知・チャージバック保証の活用で改めて触れます。
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EMV 3-Dセキュア(3Dセキュア2.0)の2025年3月末義務化と未対応リスク
ここまで免責の仕組みを見てきましたが、3Dセキュアは「入れると負担がどう変わるか」だけでなく、「入れなければならないもの」でもあります。EMV 3-Dセキュア(現行の標準版。旧方式の3Dセキュア1.0とは別の仕組み)は、EC加盟店に導入が求められています。その根拠と、未対応の場合のリスクを整理します。
義務化の制度スタック(ガイドラインと割賦販売法の関係)
「2025年3月末までに、原則すべてのEC加盟店にEMV 3-Dセキュアの導入を求める」という方針を示しているのは、クレジット取引セキュリティ対策協議会(事務局は日本クレジット協会)がまとめる「クレジットカード・セキュリティガイドライン」です。同ガイドラインは、次のように定めています。
EC加盟店における非対面不正利用被害が増加している現状を踏まえ、2025年3月末までに、原則、全てのEC加盟店にEMV 3-Dセキュアの導入を求めることとしている。割賦販売法第35条の17の15及び同施行規則第133条の14の規定も踏まえ、加盟店が、クレジットカード番号等の通知を受けた際、当該通知がイシュアーから当該クレジットカード番号等の交付等を受けた利用者によるものであるかの適切な確認をするための措置として、EMV 3-Dセキュアの導入を求めるものである。
出典:クレジットカード・セキュリティガイドライン【5.0版】(2024年3月)|クレジット取引セキュリティ対策協議会
ここで押さえたいのは、この期限を定めているのが法律の条文そのものではなく、業界の実務指針であるガイドラインだという点です。ただし、ガイドラインは無関係に置かれているわけではありません。
その法的な土台は、割賦販売法第35条の17の15(クレジットカード番号等の不正な利用の防止)にあります。同条は、加盟店が「利用者による不正な利用を防止するために必要な措置」を経済産業省令の基準に従って講じるよう義務づけています。
その省令にあたる施行規則第133条の14は、基準の一つとして「クレジットカード番号等の通知を受けたとき、当該通知が正規の利用者によるものであるかの適切な確認」を求めています。この「本人であるかの適切な確認」の具体策が、EMV 3-Dセキュアの導入だと位置づけられているわけです。
なお、現行の最新版はガイドライン6.0版で、EMV 3-Dセキュアの導入に加えて不正ログイン対策や脆弱性対策もあわせて求められています。
出典・参考資料(3件)
- 出典:割賦販売法(第35条の17の15)|e-Gov法令検索
- 出典:割賦販売法施行規則(第133条の14)|e-Gov法令検索
- 出典:クレジットカード・セキュリティガイドライン【6.0版】|クレジット取引セキュリティ対策協議会
未対応のリスク(罰則の有無と行政措置)
では、EMV 3-Dセキュアを導入しないと罰則があるのでしょうか。結論として、未導入そのものに対する罰金などの直接の罰則規定はありません。改善命令の規定も、条文上は加盟店を直接の対象から除いています。「罰則がないなら対応しなくてよい」と考えるのは早計ですが、いきなり処罰される性質のものではない点は事実です。
一方で、経済産業大臣による報告徴収(割賦販売法第40条)や、カード情報の適切な管理などの状況にかかる立入検査(第41条第3項)の対象になり得ます。
加えて、セキュリティ基準に適合しない加盟店は、カード会社(アクワイアラー=加盟店との契約を担うカード会社)からの是正指導を受けることがあります。指導が続けば、最終的に加盟店契約の解除や新規契約の拒否につながる可能性があります。
直接の罰則はなくとも、決済を続けられなくなるリスクがあるため、未対応であれば早めの着手が現実的な選択になります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:割賦販売法(第35条の17・第40条・第41条)|e-Gov法令検索
ここでは免責との関係を中心に触れましたが、自社が義務化に対応済みかを確かめる自己診断や、未対応だった場合に何から着手すればよいかは、義務化に的を絞って整理した記事で詳しく確認できます。
3Dセキュアで防ぎきれない不正への備え(不正検知・チャージバック保証)
最後に、3Dセキュアだけでは守りきれない領域と、その備えを整理します。ここまで見たとおり、3Dセキュアが免責するのは「認証済みの不正利用」に限られ、フレンドリーフラッドや、認証をすり抜ける手口には万能ではありません。自社が今すべき対応を確かめたうえで、次の一手を検討してください。
3Dセキュアだけでは防げない不正
3Dセキュア2.0はリスクベース認証で利便性を高めていますが、その分、低リスクと判定された取引では追加認証が省かれます。手口の高度化により、フィッシングなどで詐取した認証情報や、盗んだ端末を使って認証を突破される可能性は残ります。また、前述のフレンドリーフラッドのように、本人が関与するために本人認証では止められない類型もあります。
不正利用の被害は依然として大きく、日本クレジット協会の公表値では、2025年(1〜12月)のクレジットカード不正利用被害額は約510億円にのぼり、そのうち番号盗用によるものが約93%を占めます。認証を導入しても、免責の外側に残るリスクへの備えは引き続き必要だと言えます。
出典・参考資料(1件)
- 出典:クレジットカード不正利用被害の発生状況|一般社団法人日本クレジット協会
自社が今すべき対応の確認
まずは、自社の決済まわりが免責の条件を満たしているかを確かめることから始めます。次の観点を、決済代行会社への確認も含めて点検してみてください。
- EMV 3-Dセキュア(3Dセキュア2.0)を導入済みか。旧方式の1.0のままになっていないか
- 実際の決済で、どの取引が「完全に認証された取引」として扱われ、免責の対象になるのか
- サブスク・継続課金など、認証の扱いが特殊になる取引がないか
- 免責の対象外(フレンドリーフラッド・販売者起因など)に対して、不正検知やチャージバック保証で備えられているか
チェックの最後にあげたチャージバック保証は、免責が及ばないチャージバックが実際に起きたときに、加盟店の損失を補填する仕組みです。どのようなサービスがあり、料率や加入条件がどの程度かを具体的に知りたい場合は、保証サービスを比較した記事が参考になります。
3Dセキュア対応の決済代行・不正検知サービス
免責を機能させる決済まわりと、免責の外側に備える不正検知は、役割が異なります。以下では、EMV 3-Dセキュアに標準対応する決済代行サービスと、認証だけでは防ぎきれない不正を検知するサービスを、それぞれ紹介します。まず両者の位置づけを比較表で整理します。
| サービス名 | Paysys(ペイシス) | サブスクペイ | O-PLUX | CAFIS Brain |
|---|---|---|---|---|
| 種別 | 決済代行 | 決済代行 | 不正検知 | 不正検知 |
| EMV 3-Dセキュア標準対応 | ●無料で標準対応 | ●標準対応(追加料金0円) | 対象外 認証の外側を補完 | 対象外 認証の外側を補完 |
| 3Dセキュア免責との関係 | 免責の前提となる本人認証を標準搭載 | 継続課金でも本人認証を標準搭載 | 免責の外側の不正を注文単位で検知 | 免責の外側の不正を端末情報から検知 |
| 主な特徴 | 開発不要で請求URLを発行 カード5ブランドに対応 | サブスク・継続課金に特化 自動リトライ・口座振替に対応 | 累計12万サイト超の共有ネガティブDBで審査 API・CSV・タグで導入 | NTTデータCAFISの不正検知 700種類以上の判定ルールで審査 |
| 対象事業者 | 法人・個人事業主 (EC・BtoB) | サブスク・継続課金の事業者 | EC・通販事業者 | EC事業者〜金融機関 |
| 料金 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 初期30万円〜/月額3万円〜 | 要問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※種別の異なるサービスを併載しています(EMV 3-Dセキュアで免責を機能させる決済代行と、免責の外側の不正に備える不正検知)。料金・仕様は2026年8月時点の各社公開情報等にもとづくもので、最新の料金・対応範囲は各社の公式資料でご確認ください。
Paysys(株式会社ペイメントフォー)

株式会社ペイメントフォーが提供するPaysys(ペイシス)は、システム開発を必要とせずに導入できるオンライン決済サービスです。管理画面から請求用のURLを発行し、メールやSMSで案内するだけでクレジットカード決済を完結でき、EMV 3-Dセキュアを追加費用のかからない標準機能として提供しています。免責の前提となる本人認証を、コストを増やさずに備えたい事業者が候補にしやすいサービスです。
Visa・Mastercard・JCB・American Express・Dinersの5ブランドに対応し、メールリンク型・フォーム型・API連携型の3方式から事業の段階に合わせて選べます。カード業界のセキュリティ基準であるPCI DSSにも準拠しており、専任担当者が導入から運用まで支援する体制を備えています(2026年7月時点、料金は個別見積り)。
サブスクペイ(株式会社ROBOT PAYMENT)

サブスクリプションや継続課金を運用する事業者に向くのが、オンライン決済プラットフォームのサブスクペイです。EMV 3-Dセキュア(3Dセキュア2.0)にリスクベース認証で標準対応し、追加料金0円で提供している点が特徴で、なりすまし利用の抑制につながります。継続課金の自動リトライや、カード有効期限切れ前の更新URL自動送付など、定期課金の失効を抑える機能も備えています。
運営は東京証券取引所グロース市場の上場企業で、累計導入は14,000社以上にのぼります。クレジットカードに加えて口座振替・コンビニ決済にも対応し、PCI DSSへの準拠やISMS認証(情報セキュリティマネジメントの国際規格ISO/IEC 27001の認証)の取得など、セキュリティ体制も整えています。
継続課金での本人認証の扱いは個別確認が必要ですが、サブスク運用を前提に設計されたサービスは、その相談先としても有力です(2026年8月時点、料金は個別見積り)。
O-PLUX(かっこ株式会社)

認証だけでは防ぎきれない不正への「次の一手」となるのが、かっこ株式会社のO-PLUXです。EC・通販事業者向けのクラウド型不正注文検知サービスで、なりすまし注文やカードの不正利用を、取引データからリアルタイムに審査・検知します。3Dセキュアの免責の外側に残るリスクを補う役割を担うサービスです。
累計12万サイト以上が共有するネガティブデータ(不正注文の住所・電話番号・メールアドレスなど)を照合に使い、不審な注文を見抜きます。東京商工リサーチの調査では、有償の不正検知サービスの導入サイト件数で6年連続の国内1位となっています(2025年3月末時点)。API・CSV・タグの3方式で導入でき、専任コンサルタントが検知ロジックの調整を継続的に支援します。
出典・参考資料(1件)
CAFIS Brain(株式会社NTTデータ)

NTTデータの決済プラットフォーム「CAFIS」のラインアップの一つが、不正検知サービスのCAFIS Brainです。利用者が操作する端末のデバイス情報を取引情報と組み合わせて分析する「属性・行動分析」により、なりすましによる不正取引を検知します。決済代行会社や本人認証サービスとの連携実績もあり、EC事業者から金融機関まで横断して採用されています。
エクスペリアングループのデバイス識別技術を基盤とし、端末側に識別情報を残さない方式でデバイスを識別します。700種類以上の不正判定ルールを活用し、導入企業間で共有する共同ネガティブデータベースも照合に用います。EC(不正注文)と金融機関(不正ログイン・不正送金)の両領域に対応する検知範囲の広さが特徴です(2026年6月時点、料金は要問い合わせ)。
ここで紹介した不正検知の2サービス(O-PLUX・CAFIS Brain)のほかにも、不正検知サービスは対象の事業形態や検知方式によって選択肢が分かれます。EC・会員サイト・カード会社別に主要サービスを比較して選びたい場合は、次の記事が入口になります。
まとめ
ここまで見てきたように、3Dセキュアの認証が成立した不正利用のチャージバックは、各国際ブランドの規則と加盟店規約にもとづき、原則としてカード会社の負担へ移ります。これがライアビリティシフトです。ただし免責されるのは「認証済みの不正利用」に限られ、認証が成立していない取引や、フレンドリーフラッド・販売者起因のチャージバックは加盟店の負担が残ります。
まずは自社のEMV 3-Dセキュアが免責の条件を満たしているかを、決済代行会社に確認することから始めてください。そのうえで、免責の外側に残る不正には、不正検知やチャージバック保証で備えるのが現実的です。各サービスの資料を取り寄せ、自社の決済環境に合った備えを比較してみてください。
なお、免責を機能させる土台となる決済代行そのものを見直したい場合は、実店舗・EC・サブスクといった形態別に主要な決済システムを比較した記事もあわせてご覧ください。
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よくあるご質問(FAQ)
Q. 3Dセキュアを導入すれば、不正利用によるチャージバックの損失は100%防げますか?
A. 3Dセキュアを導入しても、チャージバックの損失を100%防げるわけではありません。認証が成立した不正利用(なりすまし決済)のチャージバックは、ライアビリティシフトにより原則としてカード会社の負担へ移りますが、免責されるのはこの一区分に限られます。
認証を経ていない取引や、フレンドリーフラッド(本人・家族による否認)、商品未着・金額違いなど販売者起因のチャージバックは加盟店の負担が残るため、3Dセキュアは「損失をゼロにする仕組み」ではなく「認証済みの不正利用の負担を移す仕組み」と理解しておくのが正確です。
Q. チャージバックが発生した場合、発送した商品は戻ってきますか?
A. 不正利用によるチャージバックでは、発送した商品は戻ってこないケースがほとんどです。不正に注文された商品は転売されるなどして回収が難しいのが実情です。3Dセキュアの認証が成立して免責(ライアビリティシフト)が効けば、金銭的な損失はカード会社の負担へ移るため、商品を失っても損失は限定されます。
一方、免責が効かない取引では、売上を取り消されたうえ商品も回収できない二重の損失になります。だからこそ、事後の回収より事前の防止が重要になります。
Q. チャージバックと返金(キャンセル)は何が違いますか?
A. チャージバックはカード会社が主導して決済を取り消し利用者へ返金する仕組みで、返金(キャンセル)は加盟店自身が決済を取り消して代金を戻す対応を指します。チャージバックは、カード名義人からの申し出を受けてカード会社が調査・判断して行うため、加盟店の意思とは関係なく売上が取り消される点が、加盟店主導の通常の返金と大きく異なります。
この「自社の意思で止められない取消」であることが、チャージバックが加盟店にとってリスクになる理由です。
Q. 3Dセキュアの「アテンプト」と「完全認証」は何が違い、免責にどう影響しますか?
A. 「完全認証」は本人認証が成立した取引でライアビリティシフト(免責)の対象になり、「アテンプト」は認証が試行されたものの完全な認証に至らなかった取引で、免責の対象から外れることがあります。
3Dセキュア2.0はリスクベース認証により低リスクの取引で追加認証を省くため、どの取引が「完全に認証された取引」として免責の対象になるかは、ブランドや取引条件によって変わります。自社の運用でどの取引が完全認証に該当するかは、決済代行会社に確認しておくと確実です。
Q. サブスクリプション・継続課金でも3Dセキュアの免責は受けられますか?
A. サブスクリプション・継続課金は、初回登録時に本人認証を行い、2回目以降は認証を伴わない運用になることが多く、免責の扱いが通常の都度決済とは異なる場合があります。継続課金では、いつ・どの取引で認証が成立したとみなされるかが取引形態によって変わるため、認証済みの取引として免責の対象になるかは一概には言えません。
自社の課金方式でライアビリティシフトがどう適用されるかは、継続課金に対応した決済代行会社に個別に確認することをおすすめします。
Q. 3Dセキュアを導入すると、カゴ落ち(購入者の離脱)は増えませんか?
A. 3Dセキュアは追加認証の手間で一部の購入者が離脱する「カゴ落ち」を招くことがありますが、現行のEMV 3-Dセキュア(3Dセキュア2.0)はその影響を抑える設計になっています。3Dセキュア2.0はリスクベース認証を採用し、低リスクと判定した取引ではパスワード入力などの追加認証を省くため、旧方式(1.0)に比べて購入者の負担は軽くなっています。
それでも一定の離脱は起こり得るため、免責によるメリットと機会損失を天秤にかけて運用を設計することが、実務では欠かせません。
Q. EMV 3-Dセキュアを導入しないと、今すぐ罰則を受けますか?
A. EMV 3-Dセキュアの未導入それ自体に対する直接の罰則規定はなく、いきなり罰金や処罰を受ける性質のものではありません。割賦販売法上、改善命令の規定も条文上は加盟店を直接の対象から除いています。
ただし、経済産業大臣による報告徴収(第40条)や立入検査(第41条第3項)の対象になり得るほか、セキュリティ基準に適合しない加盟店は、カード会社からの是正指導を経て、最終的に加盟店契約の解除につながる可能性があります。罰則がないからと放置すると、決済そのものを続けられなくなるリスクがあるため、未対応であれば早めの着手が現実的です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:割賦販売法(第35条の17・第40条・第41条)|e-Gov法令検索
Q. チャージバック保証(保険)と不正検知サービスは何が違い、どちらを選べばよいですか?
A. 不正検知サービスは不審な取引を事前に検知・ブロックして被害の発生を防ぐ仕組みで、チャージバック保証(保険)は万一チャージバックが起きた際に加盟店の損失を補填する仕組みです。両者は「起きる前に防ぐ」か「起きた後に備える」かで役割が異なり、対立するものではありません。
3Dセキュアの免責が及ばないフレンドリーフラッドや販売者起因のチャージバックに備えるうえで、自社の被害の起き方や取扱商材のリスクに応じて、検知と保証を組み合わせて検討するのが現実的です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















