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社会保険料の計算方法とは?標準報酬月額・保険料率から実額まで計算例で解説

社会保険料の計算方法のサムネイル画像

毎月の給与計算で必ず発生するのが、社会保険料の計算と天引きです。健康保険・厚生年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険はそれぞれ計算の基準も料率も負担割合も異なり、「どの金額に、何%を掛けて、会社と本人でどう分けるのか」でつまずきがちです。

社会保険料は、計算の起点となる標準報酬月額の考え方さえ押さえれば、保険ごとの計算式は決まった手順で求められます。逆に、料率の改定や労使折半の端数処理を見落とすと、天引き額を誤り、後から遡って訂正することになります。

この記事では、社会保険料の計算方法を保険の種類ごとに、令和8年度(2026年度)の最新料率と、標準報酬月額30万円(月給30万円程度)の従業員を例にした計算過程を使って解説します。標準報酬月額の決め方、賞与の計算、労使折半の端数処理や翌月控除といった間違えやすい実務まで整理し、自社の給与計算にそのまま当てはめられる形でまとめました。

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社会保険料の計算方法【早わかり総覧表】

社会保険料は「計算の基礎となる金額 × 保険料率」で求め、その多くを会社と従業員が半分ずつ負担します。まず、5種類の保険それぞれの料率・負担割合・計算の基礎を一覧で示します。料率は令和8年度(2026年度)の値で、健康保険料率は都道府県によって異なるため、ここでは全国健康保険協会(協会けんぽ)の東京都の料率を用います。

保険の種類計算の基礎料率(令和8年度・東京都)負担割合
健康保険標準報酬月額・標準賞与額9.85%労使折半(会社1/2・本人1/2)
介護保険(40〜64歳)標準報酬月額・標準賞与額1.62%(全国一律)労使折半
厚生年金保険標準報酬月額・標準賞与額18.3%(全国一律・固定)労使折半
雇用保険毎月の賃金総額13.5/1,000=1.35%(一般の事業)本人5/1,000・会社8.5/1,000
労災保険毎月の賃金総額業種別(2.5〜88/1,000=0.25〜8.8%)全額会社負担
令和8年度・東京都の料率。健康保険料率は都道府県で異なります。

健康保険・厚生年金・介護保険は標準報酬月額(後述)を基礎に計算し、会社と本人が半分ずつ負担します。一方、雇用保険と労災保険は毎月の賃金総額に料率を掛けて計算し、負担割合が異なります。雇用保険は会社と本人で負担割合が違い、労災保険は全額を会社が負担します。

また、令和8年4月分(5月納付分)からは、健康保険料とあわせて「子ども・子育て支援金」(全国一律0.23%)が加算されています。本記事の計算例・早見表にはこの支援金を含めていないため、令和8年4月分以降の実際の天引き額を求めるときは、健康保険料に支援金の分を上乗せしてください。最新の額は協会けんぽの保険料額表で確認できます。

出典・参考資料(1件)

介護保険第2号被保険者に該当しない場合 9.85%
介護保険第2号被保険者に該当する場合 11.47%

出典:令和8年度保険料額表(東京支部)|全国健康保険協会

社会保険料とは(公的保険5種類の内訳)

社会保険料とは、従業員が加入する公的な保険制度の保険料の総称です。広い意味では、病気やけがに備える健康保険、老後などに備える厚生年金保険、介護に備える介護保険、失業に備える雇用保険、業務上のけがや病気に備える労災保険の5つを指します。このうち健康保険・厚生年金保険・介護保険は「社会保険(狭義)」、雇用保険・労災保険は「労働保険」と呼び分けることもあります。

負担の仕方は保険によって異なります。健康保険・厚生年金保険・介護保険は会社と従業員が原則として半分ずつ負担し、給与や賞与から従業員負担分を天引きします。雇用保険は会社と従業員が異なる割合で負担し、労災保険は全額を会社が負担するため従業員の給与からは天引きされません。次章から、この5つの計算方法を順に見ていきます。

計算の起点「標準報酬月額」の決め方

健康保険・厚生年金保険・介護保険の保険料は、毎月の給与額そのものではなく「標準報酬月額」に料率を掛けて計算します。標準報酬月額とは、基本給や役職手当・通勤手当などの報酬を一定の幅で区切り、キリのよい等級に当てはめた金額です。

厚生年金保険では標準報酬月額を1等級(8万8,000円)から32等級(65万円)までの32等級に区分しています(健康保険は上限がさらに高く、50等級・139万円まで区分されています)。例えば報酬(基本給や諸手当の合計)が月29万円以上31万円未満なら、標準報酬月額は30万円の等級に当てはまります。

厚生年金保険料率は18.3%で固定されています
事業主と被保険者とが半分ずつ負担します

出典:厚生年金保険の保険料|日本年金機構

標準報酬月額は一度決めたら固定ではなく、次の3つのタイミングで決定・改定されます。給与計算では、対象の従業員が今どの等級かを取り違えないことが重要です。

  • 資格取得時決定:入社時など被保険者の資格を取得したときに、見込みの報酬額から標準報酬月額を決めます。
  • 定時決定:毎年7月1日時点で使用される従業員について、4〜6月の報酬をもとに標準報酬月額を見直し、その年の9月から翌年8月まで適用します。
  • 随時改定:昇給・降給などで固定的賃金が変わり、継続した3か月間の報酬に大きな差が生じたときに改定します(変動があった月から数えて4か月目に反映されます)。

特に定時決定による9月の改定と、昇給後の随時改定は反映漏れが起きやすいポイントです。標準報酬月額が変われば保険料も変わるため、改定のタイミングを見落とすと天引き額が古いままになり、後から差額を調整することになります。

出典・参考資料(2件)

健康保険・厚生年金・介護保険料の計算方法(計算式と計算例)

健康保険・厚生年金保険・介護保険の保険料は、いずれも「標準報酬月額 × 保険料率」で全額を求め、それを会社と本人で半分ずつ負担します。従業員から天引きするのはこの半分(本人負担分)です。ここでは、標準報酬月額が30万円(東京都・令和8年度)の従業員を例に、それぞれの計算過程を最後まで数字で示します。

健康保険料の計算方法(計算例)

健康保険料は「標準報酬月額 × 健康保険料率」で全額を計算し、労使で折半します。東京都(協会けんぽ)の令和8年度の健康保険料率は9.85%です。標準報酬月額30万円の場合は次のようになります。

  • 全額:300,000円 × 9.85% = 29,550円
  • 本人負担(給与から天引きする額):29,550円 ÷ 2 = 14,775円

健康保険料率は都道府県ごとに決まっており、東京都以外では率が変わります。自社の所在地の料率は、協会けんぽの都道府県別の保険料額表で確認してください。その場合も計算方法は同じで、上の計算例の9.85%を自社の都道府県の健康保険料率に置き換えれば求められます。

厚生年金保険料の計算方法(計算例)

厚生年金保険料は「標準報酬月額 × 18.3%」で全額を計算し、労使で折半します。保険料率18.3%は全国一律で固定されています。標準報酬月額30万円の場合は次のとおりです。

  • 全額:300,000円 × 18.3% = 54,900円
  • 本人負担(給与から天引きする額):54,900円 ÷ 2 = 27,450円

介護保険料の計算方法(40〜64歳・計算例)

介護保険料は、40歳から64歳までの従業員(介護保険第2号被保険者)だけが負担します。「標準報酬月額 × 介護保険料率」で全額を計算し、労使で折半します。令和8年度の介護保険料率は全国一律で1.62%です。実務では健康保険料と合算して徴収するため、東京都では健康保険料率9.85%に介護保険料率1.62%を加えた11.47%で計算します。

介護保険料だけを取り出すときは、この合算額から先に求めた健康保険料の本人負担分を差し引きます。標準報酬月額30万円の場合は次のとおりです。

  • 健康保険料+介護保険料の全額:300,000円 × 11.47% = 34,410円
  • 本人負担(給与から天引きする額):34,410円 ÷ 2 = 17,205円
  • うち介護保険料分の本人負担:17,205円 − 14,775円(先に求めた健康保険料の本人負担分)= 2,430円

この11.47%は子ども・子育て支援金(0.23%)が加わる前(令和8年3月分まで)の率です。令和8年4月分以降は健康保険料に支援金の分が上乗せされるため、実際の天引きにはその分が加わります。

40歳未満と65歳以上の従業員には介護保険料は発生しません(65歳以上は市区町村が年金などから直接徴収します)。40歳の誕生日の前日が属する月から徴収が始まる点にも注意が必要です。

出典・参考資料(2件)

月収別の社会保険料早見表(東京都・令和8年度)

標準報酬月額ごとに、健康保険料と厚生年金保険料の本人負担額(東京都・令和8年度・40歳未満)をまとめると次のようになります。自分の給与に近い標準報酬月額の行を見れば、天引き額の目安がつかめます。

標準報酬月額健康保険料(本人)厚生年金保険料(本人)健保+厚年の本人負担
200,000円9,850円18,300円28,150円
260,000円12,805円23,790円36,595円
300,000円14,775円27,450円42,225円
360,000円17,730円32,940円50,670円
440,000円21,670円40,260円61,930円
500,000円24,625円45,750円70,375円
東京都・令和8年度の料率(健康保険9.85%・厚生年金18.3%)で試算した本人負担額(40歳未満)。介護保険料・雇用保険料・子ども・子育て支援金は含みません。40〜64歳は介護保険料率1.62%が加わります。実際の折半額には円未満の端数処理が入る場合があります。

雇用保険料・労災保険料の計算方法

雇用保険料と労災保険料は、健康保険や厚生年金と計算の基礎が異なります。標準報酬月額ではなく、その月に実際に支払った賃金総額(基本給・各種手当・賞与などの合計)に料率を掛けて計算します。負担割合も、健康保険などの労使折半とは異なる点に注意が必要です。

雇用保険料の計算方法

雇用保険料は「賃金総額 × 雇用保険料率」で計算します。料率は事業の種類ごとに定められ、会社と従業員で負担割合が異なります。令和8年度(2026年度)の料率は事業の種類ごとに次のとおりです。

  • 一般の事業:13.5/1,000(=1.35%。労働者負担5・事業主負担8.5)
  • 農林水産・清酒製造の事業:15.5/1,000(労働者6・事業主9.5)
  • 建設の事業:16.5/1,000(労働者6・事業主10.5)

労働者負担は失業等給付・育児休業給付にあてる部分(一般の事業で5/1,000)に限られ、雇用保険二事業にあてる部分は事業主のみが負担します。このため、雇用保険は労使の負担割合が異なります。

例えば一般の事業で、その月の賃金総額が30万円の従業員の場合、従業員負担分は「300,000円 × 5/1,000 = 1,500円」です。雇用保険料は標準報酬月額ではなく、実際に支払った賃金額に応じて毎月変わる点が、健康保険料・厚生年金保険料との大きな違いです。

ここまでの例をまとめると、標準報酬月額・賃金がいずれも30万円・東京都・40歳未満の従業員では、毎月の本人負担は健康保険料14,775円、厚生年金保険料27,450円、雇用保険料1,500円の合計43,725円です。介護保険料がかかる40〜64歳では、これに介護保険料分の2,430円が加わり46,155円になります(いずれも子ども・子育て支援金は含みません)。

労災保険料の計算方法

労災保険料は「賃金総額 × 労災保険率」で計算し、全額を会社が負担します。従業員の給与から天引きすることはありません。労災保険率は事業の危険度に応じて業種ごとに定められており、令和8年度は最も低い業種で2.5/1,000、最も高い業種で88/1,000と幅があります(令和8年度の労災保険率は令和7年度と同じ率が適用されます)。

例えば「金融業、保険業又は不動産業」は2.5/1,000、「その他の各種事業」は3/1,000です。

雇用保険料・労災保険料は、毎月の給与計算で従業員負担分(雇用保険のみ)を天引きする一方、会社が納める保険料は原則として年に一度、前年度分の精算と当年度分の概算をまとめて申告・納付します(年度更新)。

出典・参考資料(2件)

賞与(ボーナス)の社会保険料の計算方法

賞与にも社会保険料がかかります。計算の基礎になるのは「標準賞与額」で、実際に支払った賞与額から1,000円未満を切り捨てた金額です。これに毎月の給与と同じ保険料率(健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険)を掛け、健康保険・厚生年金は労使で折半します。例えば標準賞与額が50万円の従業員の厚生年金保険料は「500,000円 × 18.3% = 91,500円」、本人負担はその半分の45,750円です。

賞与の計算で見落としやすいのが上限です。健康保険(介護保険・子ども・子育て支援金を含む)は年度(4月1日〜翌年3月31日)の累計で573万円、厚生年金保険は1か月あたり150万円が標準賞与額の上限で、これを超えた部分には保険料がかかりません。

賞与に係る保険料額は、賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額(標準賞与額)に、保険料率を乗じた額となります。また、標準賞与額の上限は、健康保険、介護保険及び子ども・子育て支援金は年間573万円(毎年4月1日から翌年3月31日までの累計額。)となり、厚生年金保険と子ども・子育て拠出金は月間150万円となります。

出典:令和8年度保険料額表|全国健康保険協会

社会保険料の計算で間違えやすい実務ポイント

計算式どおりに求めても、端数の扱いや控除するタイミングを誤ると天引き額がずれます。ここでは、給与計算の実務で特に間違えやすい・見落としやすい3つのポイントを整理します。

労使折半の端数処理と控除のタイミング

保険料を折半すると、本人負担分に円未満の端数が出ることがあります。この端数の処理方法は、給与から天引きする場合と、本人が現金で会社に支払う場合とで異なります。

①事業主が、給与から被保険者負担分を控除する場合、被保険者負担分の端数が50銭以下の場合は切り捨て、50銭を超える場合は切り上げて1円となります。
②被保険者が、被保険者負担分を事業主へ現金で支払う場合、被保険者負担分の端数が50銭未満の場合は切り捨て、50銭以上の場合は切り上げて1円となります。

出典:令和8年度保険料額表|全国健康保険協会

例えば標準報酬月額が41万円の従業員の健康保険料(東京都・9.85%)は、全額40,385円、折半すると本人負担は20,192円50銭です。給与から天引きする場合は「50銭以下は切り捨て」で20,192円、本人が現金で支払う場合は「50銭以上は切り上げ」で20,193円となります。

同じ端数でも扱いが変わるため、どちらの場面かを確認して処理します(労使間で特約がある場合は、その特約に基づいて処理できます)。

控除するタイミングにも決まりがあります。厚生年金保険法・健康保険法では、会社は当月の給与から「前月分」の保険料を控除できると定めています。つまり、当月分の保険料はその月ではなく翌月の給与から天引きするのが原則です(翌月控除)。入社した翌月の給与から保険料が引かれ始めるのはこのためです。

退職時には注意が必要です。同法では、従業員が退職などで資格を失った月には「前月分とその月分」の2か月分を控除できると定めており、退職月の給与から2か月分の保険料が引かれる場合があります。

出典・参考資料(2件)

標準報酬月額・料率の改定を見落とすと起きること

社会保険料の計算では、標準報酬月額と保険料率のどちらも定期的に変わります。標準報酬月額は毎年9月の定時決定で見直され、昇給・降給があれば随時改定で変わります。健康保険料率は都道府県ごとに毎年度見直され、雇用保険料率も年度ごとに改定されることがあります。

これらの改定を見落として古い等級や古い料率のまま計算すると、天引き額を誤ります。誤りに後から気づくと、過不足分を遡って精算し、給与明細を訂正する手間が発生します。毎年の定時決定後(9月)と、各料率が改定される年度替わり(4月前後)は、設定の更新漏れがないかを特に確認しておくと安全です。

産休・育休中は社会保険料が免除される

産前産後休業・育児休業などの期間中は、会社が年金事務所に申し出ることで、健康保険料と厚生年金保険料が本人負担・会社負担ともに免除されます。免除されても被保険者の資格は継続し、将来の年金額を計算するときは保険料を納めた期間として扱われます。休業に入った従業員の保険料を通常どおり天引きし続けないよう、申出の手続きとあわせて給与計算の設定を見直す必要があります。

被保険者が産前産後休業期間中に事業主が年金事務所に申し出ることにより被保険者・事業主の両方の負担が免除されます。(中略)この免除期間は、将来、被保険者の年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われます。

出典:厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)|日本年金機構
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手計算の限界と給与計算ソフトによる自動化

ここまで見てきたとおり、社会保険料の計算そのものは決まった手順で求められます。しかし実務では、従業員一人ひとりの標準報酬月額を管理し、5種類の保険を計算し、端数を処理し、毎年の定時決定と料率改定に追随する作業を、毎月・全社員分くり返す必要があります。人数が増えるほど手作業の負担は重くなり、標準報酬月額の改定漏れや料率の更新漏れが起きると、遡っての訂正につながります。

この負担を軽くするのが給与計算ソフトです。標準報酬月額と料率を登録しておけば社会保険料を自動計算し、料率が改定されてもクラウド型のサービスなら自動で最新の値に更新されます。ここでは、社会保険料の計算を自動化できる代表的な給与計算ソフトを紹介します。

以下はご紹介する給与計算ソフトの比較表です。

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サービス名弥生給与 Nextfreee人事労務マネーフォワード クラウド給与給与奉行クラウド
提供会社弥生株式会社フリー株式会社株式会社マネーフォワード株式会社オービックビジネスコンサルタント
提供形態クラウド型クラウド型クラウド型クラウド型
社会保険料の自動計算
初期費用0円0円0円0円〜70,000円
(税抜・プランにより異なる)
月額費用1,700円〜7,000円
(税抜・年契約の月換算)
2,000円〜
(税抜・5名分の年払い、6名目以降400円/名〜)
2,480円〜
(税抜・年払い換算、超過分1名300円/月)
5,500円〜93,000円
(税抜・従業員規模別5プラン)
無料トライアルあり(最大2か月)あり(約1か月)あり(約1か月)あり(約1か月)
詳細情報公式資料を見る公式サイト公式サイト公式サイト

※料金は2026年9月時点の各社公式情報にもとづきます。最新の料金は各社の公式サイトでご確認ください。

ここで取り上げた4サービス以外にも給与計算ソフトは数多くあります。機能や料金、対応範囲を横断的に比較して自社に合う1本を選びたい方は、以下の記事で選び方とあわせて詳しく解説しています。

社会保険料の計算を自動化できる給与計算ソフト

1. 弥生給与 Next(弥生株式会社)

弥生給与 Nextのウェブサイト

給与・賞与計算に加えて勤怠・労務管理まで一つのサービスで扱えるのが、弥生株式会社のクラウド型ソフト「弥生給与 Next」です。給与・賞与計算では支給額・控除額とともに社会保険料を自動計算し、公式サイトでは法令改正にも自動で対応するとしています。勤怠管理(弥生勤怠 Next)や労務管理(弥生労務 Next)との連携、Web給与明細の配信、年末調整まで一つのサービスでカバーできます。

公式サイトでは「300名未満の中小企業」向けと位置づけられており、給与計算を自社で行いたい中小企業に適しています。2026年6月には「弥生会計 Next」との仕訳連携も始まり、給与・賞与支払に伴う仕訳データを会計ソフトへワンクリックで反映できるようになりました。

2. freee人事労務(フリー株式会社)

freee人事労務のウェブサイト

勤怠管理・給与計算・年末調整に加え、社会保険・雇用保険の手続きや入社手続きまで、毎月・毎年発生する労務事務を一つに集約するのがフリー株式会社の「freee人事労務」です。クラウド型のソフトで、給与計算では保険料や税額を自動計算し、会計ソフト「freee会計」との給与仕訳連携にも対応します。

勤怠打刻機能を内蔵したプランもあり、別途勤怠管理システムを契約せずに勤怠から給与計算までを一つのソフトで完結させる構成も選べます。従業員数に応じた従量課金制で、人数の変動に合わせてコストが変わる料金設計です。

3. マネーフォワード クラウド給与(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド給与のウェブサイト

月給制・日給制・時給制のいずれにも対応する法人向けの給与計算ソフトが、株式会社マネーフォワードの「マネーフォワード クラウド給与」です。所得税や社会保険料を自動計算します。Web給与明細の配信、年末調整、マイナンバー管理までをカバーし、公式サイトでは税制改正・保険料率改正への自動対応を訴求しています。

会計・勤怠・社会保険・年末調整といった同社のクラウドサービス群とデータ連携でき、給与計算の結果を各サービスへ反映できる点が特徴です。外部の勤怠ソフトとの連携方法も幅広く用意されています。

4. 給与奉行クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

給与奉行クラウドのウェブサイト

「奉行シリーズ」で知られる株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)のクラウド型給与計算システムが、給与奉行クラウドです。残業手当・通勤手当や遅刻早退欠勤の減額計算などを自動化し、給与明細・源泉徴収票の電子配付に対応します。賞与支払届・算定基礎届・月額変更届といった社会保険関連の届出書類の電子申請にも対応しています。

従業員規模に応じた5段階の料金プランがあり、小規模企業から利用できます。「奉行APIコネクトサービス」を通じて勤怠管理などの外部サービスと連携し、給与計算業務のデータ受け渡しを自動化できる点も特徴です。

まとめ

社会保険料は、健康保険・厚生年金・介護保険は標準報酬月額に料率を掛けて労使で折半し、雇用保険・労災保険は賃金総額に料率を掛けて計算します。計算式そのものは決まっていますが、標準報酬月額の改定、料率の年度更新、労使折半の端数処理、翌月控除といった実務のルールを押さえておかないと、天引き額を誤り、後から訂正することになります。

これらを毎月・全社員分、手作業で正確に処理し続けるのは負担が大きい作業です。給与計算ソフトを使えば、標準報酬月額と料率をもとに社会保険料を自動計算し、料率改定にも自動で追随できます。自社の給与計算の負担を軽くしたい場合は、各サービスの資料を取り寄せて比較検討してみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 社会保険料とは何ですか?

A. 社会保険料とは、健康保険・厚生年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険という5種類の公的保険の保険料の総称です。このうち健康保険・厚生年金保険・介護保険は標準報酬月額に料率を掛けて会社と本人で折半し、雇用保険・労災保険は毎月の賃金総額に料率を掛けて計算します(労災保険は全額を会社が負担します)。

Q. 標準報酬月額とは何ですか?

A. 標準報酬月額とは、基本給や役職手当・通勤手当などの報酬を一定の幅で区切り、キリのよい等級に当てはめた金額で、健康保険・厚生年金保険・介護保険の保険料計算の基礎になります。厚生年金保険では8万8,000円(1等級)から65万円(32等級)までの32等級に区分され、毎月の給与額そのものではなく、この標準報酬月額に料率を掛けて保険料を計算します。

Q. 社会保険料はいつから給与天引きされますか?

A. 社会保険料は、入社した月の分を、原則として翌月に支払う給与から天引きします(翌月控除)。厚生年金保険法・健康保険法が「当月の給与から前月分の保険料を控除できる」と定めているためで、入社直後の給与ではなく、翌月の給与から引かれ始めます。

Q. 途中入社・退職した月の社会保険料はどうなりますか?

A. 社会保険料は日割りせず、月末時点で在籍していれば、その月分が1か月分かかります。退職月は資格を失うタイミングによっては前月分とその月分の2か月分がまとめて天引きされる場合があり、厚生年金保険法・健康保険法がこの控除を認めています。退職月の手取りが普段より少なくなることがあるのはこのためです。

Q. 標準報酬月額はいつ変わりますか?

A. 標準報酬月額は、毎年9月の「定時決定」で見直されるほか、昇給・降給があったときの「随時改定」で変わります。定時決定は4〜6月の報酬をもとにその年の9月から翌年8月まで適用し、随時改定は固定的賃金の変動があった月から数えて4か月目に反映されます。このほか、入社時には見込みの報酬額から決める資格取得時決定も行われます。

Q. 賞与がない月も社会保険料はかかりますか?

A. 給与にかかる社会保険料は賞与の有無にかかわらず毎月かかり、賞与にかかる社会保険料は賞与を支給した月だけ発生します。賞与の保険料は、実際に支払った賞与額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に、毎月の給与と同じ料率を掛けて計算します。

Q. 産休・育休中の社会保険料はどうなりますか?

A. 産前産後休業・育児休業などの期間中は、会社が年金事務所に申し出ることで、健康保険料と厚生年金保険料が本人負担・会社負担ともに免除されます。免除されても被保険者の資格は継続し、将来の年金額を計算するときは保険料を納めた期間として扱われるため、免除によって年金が減ることはありません。

Q. 社会保険料は手計算と給与計算ソフトのどちらが正確ですか?

A. 計算式どおりに求めれば手計算でも正確に算出できますが、従業員ごとの標準報酬月額の管理・料率改定への追随・端数処理を毎月くり返すことを考えると、給与計算ソフトのほうがミスを防ぎやすくなります。クラウド型の給与計算ソフトは料率が改定されても自動で最新の値に更新されるため、標準報酬月額の改定漏れや古い料率のまま計算してしまう事故を減らせます。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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