インタビュイー:
株式会社Srush データ分析支援カンパニー DPO普及部部長 広瀬 氏
Srush AIとはどのようなサービスですか?
ExcelやCSVなどのデータをアップロードするだけで、チャット形式で質問を投げかけると回答が得られるAIデータ分析ツールです。Srush AI単体の機能に加えて、BIツールによる可視化機能もセットになった「データ統一クラウドサービス」の一部として提供しています。BIツールの部分にはAmazon QuickSightを組み込んでおり、想定されるグラフ表現方法のほぼすべてに対応できる点が特徴です。社内に散らばるアクセス解析やSFA、顧客管理、基幹システム、会計といったデータを一箇所に統合し、AIによる分析とBIによる可視化の両方を実現できるようにしています。
ハルシネーション対策や出力機能について教えてください
Srush AIの強みのひとつは、読み込んだデータの中だけに閉じて分析を行う点です。外部のインターネット上の情報を参照しに行かないため、いわゆるハルシネーションが起こりにくい設計になっています。分析結果はチャット上で確認できるだけでなく、Word形式やマークダウン形式でダウンロードすることも可能です。さらに、毎週平日の決まった時間にPDFをメールで自動配信する機能もあり、ツールにログインしなくても必要な人全員にデータを届けられます。BIツールはログインして見に行く必要がありますが、定期配信によって見てもらいたい人全員に情報を届けられる点も強みだと考えています。
一般的なBIツールと比較した際の強みはどこにありますか?
BIツールはグラフとして綺麗に可視化できても、その数値の上下や増減が良いことなのか悪いことなのかを判断できるかどうかは、見る人の熟練度に左右されてしまいます。新入社員が見るのとベテラン社員が見るのとでは、読み取れる情報量が大きく変わってしまうのが実情です。Srush AIであれば、AIが文章として分析結果を表現するため、新入社員でもベテランに近いレベルで状況を把握できます。また、ベテラン社員が自身の仮説を検証する壁打ち相手としても活用いただいています。売上を上げるにはこの施策が有効だと思うがデータ上はどうか、といった問いかけに対し、AIがデータに基づいて回答する形で、仮説検証をスピーディーに行えます。
当社代表の樋口は、これを「データの四民平等」という言葉で表現しています。データを扱えるのが一部の専門家だけという状態をやめ、誰もがデータを扱える状態にするという考え方です。勘と経験だけに頼る経営から、データで動く経営へ移っていくためには、特定の担当者だけでなく現場の一人ひとりが数字を読める環境が欠かせないと考えています。
ClaudeやChatGPTとの違いはどこにありますか?
Srush AIは対話部分にAnthropic社のClaudeを採用していますが、Claude単体を使う場合とは明確に異なる点がいくつかあります。1つ目は、数万から数億件規模のレコードに対応できるデータウェアハウスを内蔵していることです。汎用の生成AIは大量データの計算を正確に行うことが苦手ですが、Srush AIはデータ量が多い分析でも高い精度で対応できます。2つ目は、指定したファイルだけにデータを閉じ込めて分析する設計により、余計な情報が混ざることを防いでいる点です。汎用の生成AIでも丁寧なプロンプトを書けば近いことは実現できますが、全社員が毎回同じ精度でプロンプトを書けるとは限りません。Srush AIでは、簡単な質問を投げかけるだけで裏側で適切なプロンプトに変換した上で処理するため、誰が使っても精度の高い分析を実現できます。
データ活用まるなげくんとの使い分けについて教えてください
データ活用まるなげくんが人手を含めた代行サービスであるのに対し、Srush AIはお客様自身が使うプロダクトという違いがあります。分析ツールをまだお持ちでない企業様には、まずSrush AIをご案内しています。すでに可視化ツールをお持ちでも活用する人材や工数が足りない企業様には、データ活用まるなげくんによる代行のみをご提供することも可能です。両方を組み合わせてご利用いただくケースもあれば、どちらか一方だけをご利用いただくケースもあり、企業様の状況に応じて柔軟に使い分けていただいています。
どのような部署・企業から相談が多いですか?
企業規模によって傾向が分かれます。大企業では部門ごとに予算を持って部分的に導入されるケースが多く、担当者からのご相談は情報システム部門やDX部門が中心です。経営層からのご相談では、他社で経営層を経験された方が、前職ではBIツールがあったのに今の会社にはないというギャップを感じて相談されるケースが目立ちます。見たいものが見られない、使いたいときに情報がないといった課題感が、経営層からのご相談の特徴です。
導入効果や事例について教えてください
ある企業様では、既存のBIツールが特定の担当者しか使えない状態になっており、担当者の異動時に引き継ぎが難しいという課題を抱えていました。当社が可視化の設計を支援し、社内にどのようなデータがあるかを整理した上でダッシュボードを構築した結果、属人化を解消し、全社員が無制限にダッシュボードを閲覧できる状態を実現しています。海外拠点のデータが分断され、店舗ごとの集計に時間がかかりリアルタイムで数字を把握できなかった企業様に対しては、拠点ごとのデータを統合したデータマートの構築を支援し、集計にかかる時間を短縮しています。既存のBIツールを利用していたもののダッシュボードにつながるデータが整備されておらず月次更新に留まっていた企業様では、基盤の再構築を支援し、経営陣が同じダッシュボードを日常的に確認できる状態まで改善しました。
料金プランについて教えてください
AI分析のみを利用できる「AIライト」が月額8万円で、特定のストレージとの連携やAPI連携が可能です。BIツールのダッシュボード機能も利用できるプランとして「AIスタンダード」が月額25万円、「AIアドバンス」が月額30万円、上位の「AIプロフェッショナル」も用意しています。AIスタンダード以上のプランでは、ライセンス数が50名までご利用いただけます。データの連携はファイルのアップロードのほか、スプレッドシートやGoogleドライブ、OneDriveなど約20種類のツールとのサービス連携にも対応しており、連携先のデータを更新すれば自動的に反映される仕組みです。計算時間など詳細な条件によって金額が変動する部分もあるため、具体的な利用イメージが固まっている場合は個別にご相談いただくのが確実です。
今後の展望について教えてください
Srush全体として、BIツールとAIツールを時代のニーズに合わせて改善し続けていきます。この半年ほどでAIの精度が急速に上がり、大企業では自社でAIを活用できる会社が増えてきました。一方で、情報システム部門やIT人材の採用が難しい中小企業・中堅企業は、この流れから取り残されかねないという危機感を持っています。経営会議の場で新しい切り口のデータをその場で確認できるという価値は、今後さらに求められていくと考えており、こうした企業様を支えられるよう、サービスの改善を続けていきます。
当社は「データドリブンジャパン」という構想を掲げ、2030年までにすべての企業がデータを使いこなし、日本が再び世界に誇れる国になることを目指しています。ガートナージャパンが2025年1月に発表した調査では、データ活用で全社的に十分な成果を得ている日本企業は8%にとどまるとされています。その原因は能力ではなく、人手や専門人材、時間が足りないという構造にあると考えています。主役は地方の中小企業です。小さな会社ほど意思決定が速く、データを持った瞬間に強くなれます。Srush AIを通じて、専門人材がいない企業でもデータで判断できる状態を広げていきたいと考えています。
まとめ・編集部コメント
Srush AIは、ExcelやCSVのデータを読み込ませるだけで、チャット形式の対話から分析結果を得られるAIデータ分析ツールです。BIツールと組み合わせたデータ統一クラウドサービスの一部として提供されており、読み込んだデータの中だけで完結する設計により、ハルシネーションの少なさを実現しています。
強みは、グラフの読み取りに熟練度を必要とするBIツールとは異なり、新入社員でもベテラン並みの分析結果を文章で得られる点です。専門家だけでなく誰もがデータを扱える状態をつくる「データの四民平等」という同社の考え方が、製品の設計にも表れています。数万から数億件規模のデータに対応するデータウェアハウスを内蔵し、指定したファイルの中だけで分析を完結させる設計により、汎用の生成AIとは異なる精度を実現しています。属人化していたBIツールを全社で使える状態に改善した事例や、海外拠点のデータ統合による集計時間の短縮など、具体的な成果も出ています。
情報システム部門やIT人材の確保が難しく、データ活用が進まないと感じている中小企業・中堅企業にとって、有力な選択肢となるサービスです。まずは無料トライアルから、自社のデータでどこまで分析できるかを試してみることをおすすめします。