予算と実績を突き合わせる予実管理を、まずは手元のExcelで始めたいと考える企業は少なくありません。専用ツールを導入する前に、無料で使える表計算ソフトで予実管理表を作りたい、というニーズは中小企業や部門単位の管理でとくに強く見られます。
一方で、いざ作ろうとすると、どの項目を並べればよいか、差異や達成率をどの関数で出すか、どう作れば見やすくなるかでつまずきがちです。この記事では、Excelでの予実管理表の作り方を、必要な項目・具体的な手順・そのまま使える計算式まで順を追って解説します。
あわせて、見やすくするコツや無料テンプレートの活用、Excel運用で気をつけたい点、そして事業の拡大に伴ってExcelでは対応が難しくなったときの選択肢まで整理しました。予実管理表をこれから自分で作る方の実務の手引きとしてご活用ください。
目次
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予実管理表とは
予実管理表は、あらかじめ立てた予算と、実際の実績を同じ表の上で並べて比較し、その差異や達成率を可視化するための表です。月次・四半期・年次といった期間ごとに予算と実績のズレを把握し、原因を分析して次の打ち手につなげることを目的とします。
似た言葉に予算管理がありますが、予算管理が予算の策定から統制までの一連の活動を指すのに対し、予実管理はそのうち「予算と実績を突き合わせて差異を管理する」部分に焦点を当てた呼び方です。実務ではほぼ同じ意味で使われる場面も多く、この記事では予算と実績を対比する表づくりを中心に解説します。
Excelでの予実管理表の作り方【手順】
ここからは、Excelで予実管理表を作る手順を解説します。本記事はExcelを前提に説明しますが、Googleスプレッドシートでも同名の関数で概ね同様に作成できます。全体の流れは、次の5つのステップで進めます。
- 作成方法(ExcelかGoogleスプレッドシートか)を決めます
- 管理する項目(縦軸)を決めます
- 予算・実績・差異などの比較項目(横軸)を列に並べます
- 実績データを入力します
- 差異や達成率を自動計算する関数を設定します
このうちつまずきやすいのが、ステップ2の「どの項目を並べるか」とステップ5の「どの関数で計算するか」です。以下では、必要な項目の決め方(縦軸・横軸)と、そのまま使える計算式を順に見ていきます。このあとの計算式は、A列に勘定科目、B列に予算、C列に実績、D列に差異、E列に達成率を置く並びを例に説明します。
予実管理表に必要な項目(縦軸・横軸)
予実管理表は、縦軸に「管理する勘定科目」、横軸に「予算・実績・差異などの比較項目」を置く構成が基本です。縦軸の項目は、損益計算書(P/L)の構造に沿って並べると、利益がどの段階で計画から外れたのかを追えるようになります。
| 縦軸の主な項目(損益計算書の構造) | 内容と位置づけ |
|---|---|
| 売上高 | 商品・サービスの販売による収益。部門別・商品別に分けて管理すると差異の原因を追いやすくなります。 |
| 売上原価 | 売上に直接対応する仕入・製造などの費用。 |
| 売上総利益(粗利益) | 売上高から売上原価を差し引いた利益で、事業の基本的な収益力を示します。 |
| 販売費及び一般管理費 | 給与手当・広告宣伝費・地代家賃など、販売活動と会社の運営にかかる費用。 |
| 営業利益 | 売上総利益から販管費を差し引いた、本業の営業活動から生じた利益。 |
各段階の利益は、次のように順を追って計算されます。どの科目まで予実管理表に含めるかは目的によりますが、中小企業や部門単位では売上高から営業利益までを対象にすると管理しやすくなります。
出典:「損益計算書」って、何ですか?(中小企業の会計 31問31答 問5)|中小企業庁
- (1) 売上高-売上原価=売上総利益
- (2) 売上総利益-販売費及び一般管理費=営業利益
- (3) 営業利益+営業外収益-営業外費用=経常利益
- (4) 経常利益+特別利益-特別損失=税引前当期純利益
- (5) 税引前当期純利益-法人税等=当期純利益
横軸には、比較のための項目を並べます。基本となるのは、当月(または当期)の予算・実績・差異の3つです。ここに達成率や前年同月比、累計を加えると、進捗と傾向を一枚で把握しやすくなります。それぞれの計算方法は次のとおりです。
- 差異=実績-予算(実績が予算をどれだけ上回った・下回ったかを示す)
- 達成率=実績÷予算(100%を上回ると予算達成)
- 前年同月比=当期実績÷前年同月実績
差異のプラス・マイナスの読み方は、科目によって変わる点に注意します。売上高などの収益は、プラスなら予算を上回って好調、マイナスなら未達です。一方、売上原価や販管費などの費用は、プラス(実績が予算を上回る)だと使いすぎ、マイナスだと予算内に収まったことを意味します。差異を見るときは、その行が収益か費用かをあわせて確認しましょう。

なお、横軸に入れる「予算」の数値そのものは、前年までの実績を基準に、翌期の目標や成長率を織り込んで決めるのが一般的です。全社の目標を各部門へ割り付けるトップダウンと、各部門が積み上げた数値を集約するボトムアップを組み合わせると、現場の納得感と全社目標の両立がしやすくなります。予算の置き方が固まったら、その値を予算列に入力します。
計算式・関数(コピーして使える具体式)
差異や達成率は四則演算で計算できます。差異は「=C2-B2」(実績セルから予算セルを引く)、達成率は「=C2/B2」(実績を予算で割り、セルの表示形式をパーセントにする)のように、隣り合うセルを参照する数式を入れるだけです。ここからは、集計や参照を効率化する関数を紹介します。
合計や累計にはSUM関数を使います。書式は「=SUM(数値1, [数値2], …)」で、指定した範囲の値を加算します。四半期や年度の累計を出すときは「=SUM(D2:D4)」のように期間の範囲を指定します。
部門別・勘定科目別に実績を集計したい場合は、SUMIFS関数が便利です。書式は「=SUMIFS(合計対象範囲, 条件範囲1, 条件1, [条件範囲2, 条件2], …)」で、複数の条件に一致する値だけを合計します。
たとえば、仕訳データの一覧表(F列に部門、G列に勘定科目、H列に金額)から「営業部かつ広告宣伝費」の実績を合算するなら、「=SUMIFS(H:H, F:F, “営業部”, G:G, “広告宣伝費”)」と入力します。
差異がプラスかマイナスかで表示を分けたいときは、IF関数を使います。書式は「=IF(論理式, [値が真の場合], [値が偽の場合])」で、条件が成立するかどうかで別々の値を返します。「=IF(D2<0,”未達”,””)」のように書けば、差異がマイナスの行にだけ「未達」と表示できます。
別に用意した予算マスターの表から、対応する予算額を予実管理表に転記する場面では、XLOOKUP関数が使えます。書式は「=XLOOKUP(検索値, 検索範囲, 戻り配列, [見つからない場合], [一致モード], [検索モード])」で、指定したキーに対応する値を表から取り出します。
たとえば、予算マスター(H列に勘定科目コード、I列に予算額)から、A2の勘定科目コードに対応する予算額を引くなら「=XLOOKUP(A2, マスター!H:H, マスター!I:I)」と入力します。勘定科目コードをキーに予算額を引けば、手入力による転記ミスを減らせます。
XLOOKUPはMicrosoft 365・Excel 2021・Excel 2024で利用でき、Excel 2016・Excel 2019では使用できません。旧バージョンでは、VLOOKUP関数(書式「=VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, 検索方法)」)で代替できます。
先ほどのXLOOKUPの例なら、「=VLOOKUP(A2, マスター!H:I, 2, FALSE)」と入力すると、同じ予算額を引けます。
これらの関数を組み合わせると、実績を入力するだけで差異・達成率・集計が自動で更新される表になります。数式の挙動は各関数の公式リファレンスで確認できます。
出典・参考資料(4件)
見やすい予実管理表にするコツ
予実管理表は、作れても見づらいと差異の把握に時間がかかります。ここからは、レビューしやすい表にするための工夫を紹介します。
まず、年次のサマリと月次の明細を階層で分けると、全体像と詳細を1枚で行き来しやすくなります。上段に年間の予算・実績・達成率を置き、下段に月次の推移を並べる構成が扱いやすい形です。シートを年次・月次で分ける方法もあります。
差異は、プラスとマイナスで色を分けると一目で異常に気づけます。Excelの条件付き書式を使えば、セルの値に応じて自動で色を付けられます。Microsoftの公式サポートでも、条件付き書式は「データのパターンと傾向をより明確にするのに役立ちます」と説明されています。
たとえば達成率が一定水準を下回るセルや、差異がマイナスのセルだけを強調表示すると、確認すべき箇所がすぐ分かります。設定は[ホーム]タブの[スタイル]グループにある[条件付き書式]から行います。
列の並び順も見やすさを左右します。差異の列は、予算・実績のすぐ右隣に置くと、予算と実績を見比べたまま視線を大きく動かさずにズレを確認できます。達成率もその隣に続けると、金額の差と達成度を一続きで読み取れます。
推移を視覚的に見せたいときは、Excelのスパークライン機能が役立ちます。スパークラインは1つのセルの中に小さな折れ線や棒グラフを表示する機能で、行ごとに月次の伸びや落ち込みを一目で把握できます。複数月の累計推移を目立たせたい場合は、折れ線グラフを別途挿入し、予算の線と実績の線を重ねると計画とのズレがひと目で伝わります。
また、条件付き書式の「アイコンセット」を使うと、達成率の高低に応じてセルに矢印などのアイコンを自動で表示できます。色分けとあわせて使うと、注意して見るべき行がさらに見つけやすくなります。
出典・参考資料(1件)
そのほか、金額は3桁区切りで桁をそろえる、列幅とフォントを統一する、といった基本的な体裁を整えるだけでもレビュー時の負担は下がります。反対に、数式を何階層にも重ねたり、マクロを多用したりすると、後から他の人が触れなくなります。作り込みすぎず、必要な項目に絞ることも見やすさのうちです。
テンプレート・完成イメージ
ゼロから作るのが難しい場合は、テンプレートを土台にする方法があります。Microsoftは無料の予算テンプレートを公式に配布しており、カレンダーや請求書、予算計画などから選べます。
これらは予算作成用のテンプレートのため、予算額の列の右隣に、実績・差異・達成率の3列を追加すれば予実管理表として使えます。差異の列には「=実績セル-予算セル」、達成率の列には「=実績セル÷予算セル」(表示形式はパーセント)の数式を入れ、行方向にコピーすれば、実績を入力するだけで差異と達成率が埋まります。勘定科目の行は、自社の損益計算書に合わせて過不足を調整してください。
ここまでの項目・数式・見せ方を踏まえた、予実管理表の完成イメージは次のとおりです。縦軸に損益計算書の項目、横軸に予算・実績・差異・達成率を置き、差異のマイナスを強調する形が基本の型になります。以下は、ある月の記入例です。
| 予実管理表の記入例(月次・単位:千円) | 売上高 | 売上原価 | 売上総利益 | 販売費及び一般管理費 | 営業利益 |
|---|---|---|---|---|---|
| 予算 | 10,000 | 6,000 | 4,000 | 3,000 | 1,000 |
| 実績 | 9,200 | 5,700 | 3,500 | 3,100 | 400 |
| 差異 | -800 | -300 | -500 | +100 | -600 |
| 達成率 | 92% | 95% | 88% | 103% | 40% |
※差異=実績-予算、達成率=実績÷予算。売上高が未達だと売上総利益・営業利益に差異が波及することが読み取れます。
Excelで予実管理を続ける際の注意点・デメリット
Excelは低コストで柔軟に作れる一方、運用を続けるうえで気をつけたい点があります。ここでは、日々の運用で対策できる注意点を整理します。
1つ目は、手入力による入力ミスです。実績を手で転記する運用では、桁の間違いや貼り付け位置のズレが起きます。前述のXLOOKUP関数で予算マスターから自動転記する、入力規則で値の範囲を制限するといった対策で、ミスを減らせます。
2つ目は、数式やセル参照の破損です。行や列の挿入・削除で参照がずれたり、数式を上書きしてしまったりすると、気づかないうちに集計が狂います。計算式が入ったセルはシートの保護で編集できないようにしておくと安全です。
3つ目は、ファイルのバージョン管理です。複数人がそれぞれ手元のファイルを更新すると、どれが最新か分からなくなります。ファイルは1つに集約し、更新の担当者と締切(毎月何日までに実績を入力するか)を決めておくと、数字の確定が滞りません。あわせて、パスワード設定などのセキュリティ対策も検討しておくと安心です。
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Excelの限界と脱Excelの選択肢
ここまでの工夫で、Excelでも予実管理は十分に運用できます。とくに、部門数や勘定科目が限られ、更新する人が少数にとどまる規模であれば、無理にツールを導入する必要はありません。一方で、事業の拡大に伴い、Excelでは対応が難しくなる場面も出てきます。
限界の見極めチェック(Excelで十分な規模/移行シグナル)
次のような状態が増えてきたら、Excelでの運用が限界に近づいているサインです。自社の状況と照らし合わせてみてください。
- 数式やピボットテーブルが複雑になり、特定の担当者しか更新できない(属人化)
- 部門・拠点が増え、複数ファイルを集約・名寄せする作業が重い
- 複数人が同時に編集したい、または最新版がどれか分からなくなる
- データ量が増え、ファイルの動作が重くなってきた
- 集計に手間取り、差異の分析や着地見込みの更新まで手が回らない
こうした状態が続くようであれば、予実管理に特化したクラウドサービスへの移行が選択肢になります。これらのツールは、会計システムとのデータ連携で実績の取り込みを自動化し、複数部門のデータ集約や同時編集、差異分析までをクラウド上で完結させます。
ここからは、代表的な予実管理クラウドを紹介します。会計ソフトとの連携で手軽に始めたい成長企業・中堅企業向けのものから、複数事業や子会社のKPI・予実まで扱えるものまで幅があるため、自社の規模と管理したい範囲に合わせて選びます。
以下は、ここで紹介する予実管理クラウドの比較表です。
| 予実管理クラウドの比較 | DIGGLE(ディグル) | X-KPI(クロスケーピーアイ) | Scale Cloud(スケールクラウド) | Manageboard |
|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) |
| 料金の目安 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 月額10万円〜 (プラン詳細は要問い合わせ) | 要問い合わせ |
| 会計・データ連携 | freee会計・マネーフォワード・勘定奉行クラウド・弥生会計などと API/CSV連携 | 会計ソフト・グループウェアと API連携 | 勘定奉行クラウド・freee・Salesforce・ Googleスプレッドシート・CSV連携 | マネーフォワード クラウド会計・freee会計・ 勘定奉行クラウドとAPI連携、CSV連携 |
| 予実管理の特徴 | 予算策定・予実突合・着地見込み管理を一元化。 会計連携で実績取込を自動化 | 予実差・異常値を自動検知しチャット通知。 KPIツリーで一元管理 | KPIを積み上げて予算を作成 (PLとKPIを接続して管理) | 予算編成〜着地見込み〜 ドリルダウン分析を一元化 |
| 主な対象 | 予実管理を脱Excel化したい企業 (導入事例は中堅〜大企業が中心) | 複数部門のKPI・予実を 一元管理したい中堅〜大企業 | 上場・上場準備企業、 複数事業・子会社を持つ企業 | 成長企業・中堅企業 (少人数〜1,500名以上のグループ) |
| 無料トライアル | ●(期間・条件は要問い合わせ) | ● | △(公式に明記なし・要問い合わせ) | ●(製品デモを経て利用可) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る |
※2026年9月時点の各社公開情報をもとに作成。料金は多くが個別見積のため、最新の金額・機能は各社公式情報をご確認ください。
ここで取り上げたのは、予実管理に対応するクラウドの一例です。予実管理だけでなく連結会計やERPも含めた経営管理システム全体から、機能や選び方を比較して自社に合うツールを探したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
1. DIGGLE(ディグル株式会社)

DIGGLEは、予算・実績・見込をクラウド上で一元管理する、予実管理に特化したサービスです。予算策定から予実の突合、着地見込みの管理、レポーティングまでを一つのプラットフォームで完結させ、Excel運用で起こりがちな属人化や集計の手間を解消することを狙いとしています。
会計システムとのAPI連携により実績データの取り込みと予実突合を自動化し、勘定科目より細かい粒度での損益管理・分析にも対応します。予算策定の画面ではコメントの添付や変更箇所の差分表示ができ、事業部門と経営企画が非同期でやり取りしながら予算をまとめられる点も特徴です。料金はStandard・Enterpriseのプランがあり、金額は要問い合わせとなっています。
2. X-KPI(株式会社パブリックアイデンティティ)

日経グループの株式会社パブリックアイデンティティが提供するクラウド型のKPI・予実管理ツールが、X-KPIです。複数の部門・拠点・プロジェクトごとのKPIと予実データをクラウド上に集約し、予算と実績の差異をリアルタイムに可視化します。
全体目標と個別目標の関係をツリー構造で管理するKPIツリー機能を備え、予実のズレや異常値を自動で検知してチャットツールへ通知する仕組みも持ちます。無料トライアルに対応しており、料金は要問い合わせです。
3. Scale Cloud(株式会社Scale Cloud)

Scale Cloudは、損益(PL)データと各部門のKPIを接続して管理できる点に強みを持つ経営管理クラウドです。商談数や成約率、単価といったKPIを掛け合わせて売上予算を組み立てる「積み上げ方式」の予算作成に対応し、結果としての数値だけでなく、そこに至るプロセスまで含めて事業の状況を把握できます。
会計ソフトに加え、営業支援ツールなど会計以外のデータもAPIで取り込める拡張性を備え、複雑なKPI構造の設計にも対応します。経営企画部門やCFO、予実管理を担う管理部門からの導入相談が多いサービスです。
KPIを積み上げて予算を作る仕組みについて、同社代表取締役の広瀬氏はインタビューで次のように説明しています。
ただ、KPIを一緒に一元管理しようとすると、構造が何十倍にも複雑になります。同じ会社の中でも事業が違えばKPI構造は異なりますし、ロジックツリーを作ると10階層ぐらいまで必要になることもあります。掛け算や割り算といった複雑な計算も発生します。この複雑なKPI構造の設計に耐えられる拡張性が、Scale Cloudの最大の強みです。もう一つの特徴として、私たちはPLとKPIを接続した管理ができます。たとえば、商談数と成約率の掛け算で契約数を計算し、そこに単価を掛けて売上の予算を作るといった、KPIを積み上げて予算を作成することも可能です。他社ではこうした積み上げ方式での予算作成はなかなかできません。
4. Manageboard(株式会社ナレッジラボ)

マネーフォワードグループの株式会社ナレッジラボが提供するクラウド型の予算管理・経営管理プラットフォームが、Manageboardです。Excelやスプレッドシートに散在するデータを一元管理し、予算編成・予実管理・着地見込み・業績シミュレーションをクラウド上で行えます。
マネーフォワード クラウド会計・freee会計・勘定奉行クラウドなどとのAPI連携やCSV・Googleスプレッドシート連携により、実績データの取り込みを自動化します。少人数の事業から1,500名以上のグループまで対応し、成長企業・中堅企業を主なターゲットとしています。累計利用企業数は10,000社を突破しています(2025年11月時点、公式発表)。
まとめ
Excelでの予実管理表は、縦軸に損益計算書の構造に沿った項目、横軸に予算・実績・差異・達成率を置き、SUMやSUMIFS、IF、XLOOKUPといった関数と条件付き書式を組み合わせて作ります。こうすることで、実績を入力するだけで差異が把握できる表に仕上がります。まずは必要な項目に絞り、テンプレートを土台にして作り始めるのが近道です。
一方、部門や拠点が増えて集約作業が重くなったり、更新が特定の担当者に依存したりし始めたら、予実管理に特化したクラウドサービスへの移行を検討するタイミングです。自社の規模と運用体制に合わせて、Excelで続けるか、ツールに移すかを見極めてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 予実管理表は何のために作るのですか?
A. 予実管理表は、予算と実績の差異を早期に把握し、次の打ち手につなげるために作ります。経営層は全社の達成度を、各部門は科目別・部門別の課題を同じ表で確認でき、どの段階で計画から外れたかを共有できます。誰が何を判断するための表かを意識して項目を選ぶと、実務で使われる表になります。
Q. 予実管理はExcelとGoogleスプレッドシートのどちらで作るのがよいですか?
A. 予実管理表は、必要な項目や計算方法はどちらでも同じで、共有のしやすさやセキュリティ要件など運用体制に合わせて選ぶのが基本です。複数人でこまめに同時更新するならGoogleスプレッドシートのほうがWeb上で共有しやすく、社内のセキュリティルールや既存のExcel資産、使いたい関数・マクロを重視するならExcelが向きます。
どちらを選んでも、最新版を一つのファイルに集約し、入力ルールを統一することが重要です。
Q. 予実管理表はどのくらいの頻度で更新すればよいですか?
A. 予実管理表は、実績が固まる月次での更新を基本とし、予算との差異は毎月振り返るのが一般的です。実績を締める担当者と、毎月何日までに入力するかの締切をあらかじめ決めておくと、数字の確定が滞りません。事業環境の変化が速い場合や、着地見込みを頻繁に見直したい場面では、週次で進捗を確認する運用も有効です。
Q. 予実管理表で予算と実績に差異が出たら、どう対応すればよいですか?
A. 予実管理表の差異は、金額の大小だけでなく「なぜ差が出たのか」の原因までさかのぼって分析し、次の打ち手につなげることが大切です。差異が大きい科目や部門を特定し、一時的な要因か継続的な要因かを見極めたうえで、必要に応じて予算や着地見込みを更新します。表を作って差異を出すだけで終わらせず、原因のコメントを残して打ち手を検討する運用にすると、予実管理が経営や現場の意思決定に生きてきます。
Q. 部門別の予実管理もExcelで作れますか?
A. 部門別の予実管理は、Excelでも作れますが、部門数が増えるほど集約やファイル管理の負担が大きくなります。実績データに部門の列を持たせ、SUMIFS関数で部門ごとに実績を集計すれば、一つの表で部門別の予実を管理できます。ただし、部門や拠点が増えて複数ファイルの名寄せや同時編集が頻発するようになると集約作業が重くなり、予実管理に特化したクラウドサービスが選択肢になります。
Q. 予実管理はExcelで続けるべきか、専用ツールへ移行すべきか、どう判断すればよいですか?
A. 予実管理は、部門数や勘定科目が限られ更新する人が少数ならExcelで十分で、属人化・多部門の集約・同時編集・分析工数が課題になってきたら専用ツールへの移行を検討するのが判断の目安です。
数式が複雑で特定の担当者しか更新できない、複数ファイルの集約が重い、最新版が分からなくなる、集計に追われて差異分析まで手が回らない、といった状態が増えてきたら移行のサインです。予実管理クラウドは会計システムとの連携で実績の取り込みを自動化し、複数部門のデータ集約や差異分析までをクラウド上で完結できます。
Q. 予実管理表の無料テンプレートはどこで入手できますか?
A. 予実管理表の無料テンプレートは、Microsoftが公式に配布しているExcel向けの予算テンプレートを土台にするのが手軽です。これらは予算作成用のため、実績・差異・達成率の列を追加すれば予実管理表として使えます。自社の勘定科目や管理したい粒度に合わせて項目を調整すると、実務で使いやすい表になります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















