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取締役会議事録に押印は必要?対象者・印鑑の種類・電子署名まで解説

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取締役会議事録に押印は必要なのか、必要なら誰がどの印鑑で押すのか——実務でこの判断が曖昧なまま、出席役員全員のハンコを毎回集めている企業は少なくありません。一方で、ペーパーレスやリモート決議を進めたいのに、押印がネックで電子化に踏み切れないという声もよく聞かれます。

押印の要否は、議事録を書面で作るか電磁的記録で作るかで変わります。さらに、通常の議事録では認印で足りる一方、登記の添付書面になる議事録では実印と印鑑証明書が必要になる場面があり、ここを取り違えると登記でつまずきます。

本記事では、取締役会議事録の押印について、要否・押印する人・印鑑の種類・登記の添付書面になる場合の実印と印鑑証明書・電子署名での電子化までを、会社法や商業登記規則の条文にもとづいて場面別に整理します。自社の議事録をどう扱えばよいか、判断できる状態を目指します。

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取締役会議事録に押印は必要か

結論として、取締役会議事録を書面で作成する場合は、出席した取締役および監査役の署名または記名押印が必要です。会社法は、議事録が書面で作られているときの署名・押印義務を次のように定めています。

取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。

出典:会社法第369条第3項|e-Gov法令検索

ここで押さえておきたいのは、条文が「署名し、又は記名押印」としている点です。手書きの署名をすれば押印は必須ではなく、記名(氏名の印字やゴム印など)に押印を組み合わせる形でも構いません。つまり「署名」か「記名+押印」のどちらか一方を満たせば足ります。

一方、議事録を電磁的記録(電子データ)で作成する場合は、署名や記名押印に代わる措置として電子署名が必要になります。電子化する場合の詳細は後述します。

例外として、取締役会の決議自体を省略できる場合があります。定款にその定めがあり、議決に加わることができる取締役の全員が書面で同意したとき(監査役設置会社では監査役が異議を述べたときを除く)は、取締役会を開催せずに決議があったものとみなせます(会社法370条の書面決議)。この場合は「出席した取締役」が存在しないため、369条3項の署名・記名押印は必要ありません。

この場合の議事録には、次の事項を記載します(会社法施行規則101条4項)。

  • みなし決議の対象となった事項の内容
  • その提案をした取締役の氏名
  • 決議があったものとみなされた日
  • 議事録の作成を担当した取締役の氏名
出典・参考資料(2件)

取締役会議事録とは(会社法上の作成義務)

取締役会議事録は、取締役会での経営上の意思決定の内容を記録した書類です。会社法369条3項は、取締役会の議事について議事録を作成することを求めており、作成は任意ではなく義務にあたります。記載事項は法務省令(会社法施行規則)で定められています。

会社法施行規則101条3項が定める主な記載事項は、次のとおりです。

  • 取締役会が開催された日時および場所(出席方法を含む)
  • 議事の経過の要領およびその結果
  • 決議に特別の利害関係を有する取締役があるときは、その氏名
  • 会社法が定める意見または発言があるときは、その概要
  • 出席した執行役・会計参与・会計監査人・株主があるときは、その氏名または名称
  • 議長がいるときは、議長の氏名

これらに加え、書面で作成する議事録の末尾には、出席した取締役・監査役が署名または記名押印する欄を設けます。実務では「出席取締役 氏名 (署名または記名+押印)」「出席監査役 氏名 (署名または記名+押印)」のように、役職・氏名と押印の欄を出席人数分並べる形が一般的です。

出典・参考資料(1件)

作成した議事録は、後述のとおり一定期間の保管義務があり、株主や債権者などからの閲覧・謄写請求の対象にもなります。押印は、この記録が出席役員によって確認されたことを担保する手続きという位置づけです。

誰が押印するのか(出席した取締役・監査役)

ここからは、実際に署名・押印するのが誰なのかを確認します。会社法369条3項が対象としているのは「出席した取締役及び監査役」です。取締役だけでなく、その取締役会に出席した監査役も署名・押印の対象に含まれます。

条文が「出席した」役員に限定していることから、欠席した取締役・監査役は署名・押印の対象にはなりません。議長だけが押印すればよいわけではなく、出席した役員全員が対象です。議事録には出席者・欠席者を記載し、署名・押印は出席役員が行う形が基本です。

なお、監査役の権限が会計に関する事項に限定されている(会計限定監査役の)会社では、その監査役は取締役会に出席しないのが一般的で、出席していなければ署名・押印の対象にもなりません。自社の役員構成で判断に迷う場合は、「出席した役員が署名・押印する」という原則にもとづきつつ、必要に応じて司法書士など専門家に確認すると確実です。

途中で退出した取締役・監査役は、退出後に決議された事項については「出席した」役員にあたらないと解され、その部分の署名・押印の対象にはならないのが実務上の扱いです。議事録に退出の時刻やどの議題まで在席したかを記録しておくと、誰がどの決議に加わったかが明確になります。

なお、議事録の作成自体は議長や事務局が担うのが実務です。ただし、法が求める署名・押印はあくまで出席した取締役・監査役が行うもので、作成担当だからといって別途の押印義務が生じるわけではありません。

関連して、決議に参加した取締役で、書面の議事録に異議をとどめなかった者は、その決議に賛成したものと推定されます(会社法369条5項)。決議に反対した取締役は、議事録にその旨を残しておくと、後に責任を問われた際の反証の手がかりになります。

出典・参考資料(1件)

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認印か実印か|場面別の印鑑種別(早見表つき)

取締役会議事録でもっとも誤解が生じやすいのが、押す印鑑の種類です。会社法369条3項は「署名し、又は記名押印」とだけ定めており、印鑑の種類(実印か認印か)までは指定していません。

そのため、通常の議事録は、出席役員それぞれの署名または個人の認印で足ります。実印と印鑑証明書が必要になるのは、その議事録が登記の添付書面になる一部の場面に限られます。

次の早見表で、場面ごとの印鑑種別と印鑑証明書の要否を整理します。

場面必要な押印印鑑証明書根拠
通常の取締役会議事録(登記に使わない)署名、または認印での記名押印で足りる不要会社法369条3項(印鑑の種類の定めなし)
登記の添付書面になる議事録(取締役会で代表取締役を選定した場合など)出席した取締役・監査役の個人実印必要商業登記規則61条6項3号
上記のうち、変更前の代表取締役が登記所届出印(会社実印)で押印している場合登記所届出印(会社実印)で足り、他の出席役員は認印でよい不要(省略可)商業登記規則61条6項ただし書

実務では、登記に使わない議事録は署名または認印で回し、登記の添付書面になる議事録だけ実印・印鑑証明の要否を確認する、と切り分けると迷いません。特に代表取締役を選定した議事録は、変更前の代表取締役が会社実印(登記所届出印)で押せば出席役員の印鑑証明を省けるため、誰がどの印鑑で押すかを開催前に決めておくと手戻りを防げます。

登記の添付書面になる場合は実印+印鑑証明が要る

早見表の「登記の添付書面」の行を、もう少し具体的に見ていきます。代表的なのが、取締役会の決議で代表取締役を選定した場合です。この選定を記録した取締役会議事録は、代表取締役の就任による変更登記の添付書面になり、商業登記規則が次のように印鑑証明書の添付を求めています。

代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
三 取締役会の決議によつて代表取締役又は代表執行役を選定した場合 出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑

出典:商業登記規則第61条第6項(柱書・ただし書)および同項第3号|e-Gov法令検索

この規定により、取締役会で代表取締役を選定した議事録では、出席した取締役・監査役が押した印鑑について市町村長作成の証明書(個人の印鑑証明書)の添付が必要になります。つまり、この場面では出席役員は個人の実印で押印することになります。

ただし、同じ条文の「ただし書」に省略のルールがあります。議事録に押された印鑑が、変更前の代表取締役が登記所に届け出ている印鑑(会社実印)と同一であるときは、印鑑証明書の添付が不要になります。

たとえば、これまでの代表取締役が取締役として取締役会に出席し、会社実印(登記所届出印)で議事録に押印するケースがこれにあたります。この場合、他の出席役員は認印でよく、印鑑証明書も要りません。

反対に、変更前の代表取締役がすでに死亡・辞任していて取締役会に出席できない場合は、このただし書は使えません。会社実印での押印がそろわないため、出席した取締役・監査役の全員が個人の実印で押印し、それぞれの印鑑証明書を添付することになります。前任者の交代事由によって印鑑の運用が変わる点に注意してください。

代表取締役の選定議事録で印鑑証明書の添付が問題になるのは、この商業登記規則61条6項3号の場面です。登記手続きの要件は事案ごとに細かく分かれるため、個別の登記では司法書士に確認することをおすすめします。

出典・参考資料(1件)

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電子署名で押印を代替して電子化する

ここからは、押印を電子署名に置き換えて議事録を電子化する方法を確認します。前述のとおり、取締役会議事録は書面なら署名または記名押印ですが、電磁的記録で作成する場合は、署名・記名押印に代わる措置をとる必要があります。会社法は次のように定めています。

前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。

出典:会社法第369条第4項|e-Gov法令検索

この「署名又は記名押印に代わる措置」が電子署名です。電子署名の要件は会社法施行規則が具体的に定めており、次の2点をいずれも満たすものとされています。

前項に規定する「電子署名」とは、電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。
一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。
二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。

出典:会社法施行規則第225条第2項|e-Gov法令検索

要件を整理すると、(1)その電子データが署名した本人の作成によるものだと示せること(本人性)、(2)作成後に改変されていないかを確認できること(非改変性)の2点です。この2要件を満たす電子署名であれば、書面への押印に代えて議事録を電子化できます。

出典・参考資料(2件)

立会人型と当事者型の違いと使い分け

電子署名には、大きく分けて立会人型(事業者署名型)と当事者型の2つの方式があります。取締役会議事録の電子化を考えるうえで、この違いは押さえておきたいポイントです。

立会人型(事業者署名型)は、利用者の指示にもとづいて電子契約サービスの事業者が署名鍵で暗号化などを行う方式です。署名する当事者が自ら電子証明書を用意する必要がなく、メール認証などで手軽に使えます。この立会人型についても、総務省・法務省・経済産業省が連名で公表したQ&Aで、一定の条件を満たせば電子署名法上の電子署名にあたりうるとの見解が示されています。

利用者が作成した電子文書について、サービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化を行うこと等によって当該文書の成立の真正性及びその後の非改変性を担保しようとするサービスであっても、技術的・機能的に見て、サービス提供事業者の意思が介在する余地がなく、利用者の意思のみに基づいて機械的に暗号化されたものであることが担保されていると認められる場合であれば、「当該措置を行った者」はサービス提供事業者ではなく、その利用者であると評価し得るものと考えられる。

出典:「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A」問2(令和2年7月17日、総務省・法務省・経済産業省)

このQ&Aは電子署名法2条1項の「電子署名」についての見解ですが、その要件(本人性・非改変性)は会社法施行規則225条2項が定める要件とほぼ同じ文言です。そのため、立会人型は取締役会議事録の電子署名としても要件を満たしうると整理できます。

当事者型は、署名する当事者本人が、認証局(電子証明書を発行する第三者機関)の発行した電子証明書やマイナンバーカードの電子証明書を使って署名する方式です。本人確認の水準が高く、後述する登記の場面のように厳格な本人性が求められるときに使われます。両者をどう使い分けるかは、次の「登記に使える電子署名か」と「登記に使う議事録を電子化するときの実務判断」で整理します。

出典・参考資料(1件)

登記に使える電子署名か(署名者表示・法務省の指定)

電子化するなら、その議事録が登記にも使える形かどうかが実務上の分かれ目になります。会社法上の議事録としての電子署名(立会人型でも足りうる)と、商業登記のオンライン申請で添付書面として使う場合の要件は、レイヤーが分かれているためです。

取締役会議事録を電子署名で電子化する際の二層構造を示した図。レイヤー1の会社法上の議事録としての電子署名は本人性・非改変性の2要件を満たせばよく立会人型でも足りうる、レイヤー2の商業登記オンライン申請の添付書面は印鑑証明書が必要な添付書面について当事者型の指定電子証明書が求められる場合がある、と示している。

法務省は、商業・法人登記のオンライン申請について、添付書面情報への電子署名の付与を求めています。

添付書面情報には、作成者の電子署名を付与する必要があります。

出典:「商業・法人登記のオンライン申請について」|法務省

そのうえで、代表取締役選定議事録のように印鑑証明書の添付が必要な添付書面については、電子署名に用いる電子証明書が、商業登記電子証明書・公的個人認証サービスの電子証明書(マイナンバーカード)・法務省が指定した特定認証業務の電子証明書などに限られます。手軽な立会人型がそのまま使えるとは限らず、当事者型の指定電子証明書が求められる場面がある点に注意が必要です。

また法務省は、オンライン登記申請に利用できる電子証明書・電子契約サービスを掲載日つきで一覧公表しています。電子契約システムを選ぶ際は、この一覧に含まれるか(登記に使える形か)を確認しておくと、電子化した議事録を登記でも使えます。

出典・参考資料(1件)

登記に使う議事録を電子化するときの実務判断

ここまでを踏まえると、取締役会議事録の電子化は「どの議事録か」で判断を分けるのが実務的です。

  • 登記に使わない通常の議事録:立会人型の電子署名で電子化でき、押印・回付・郵送の手間を省けます。
  • 代表取締役の選定など登記の添付書面になる議事録:印鑑証明書が必要な添付書面にあたるため、当事者型の指定電子証明書(マイナンバーカードや商業登記電子証明書など)で署名するか、その部分だけ紙で実印運用にするなど、登記に耐える形を選ぶ必要があります。

すべてを一律に電子化しようとすると、登記に使う議事録で要件を満たせず差し戻される場合があります。まずは通常の議事録から電子化を進め、登記が絡む議事録は指定電子証明書の当事者型を使うか紙と併用するか、といった判断を、司法書士など専門家と確認しながら進めると安全です。

作成後の保管義務と罰則

押印または電子署名を終えた議事録は、作成して終わりではなく、一定期間の保管義務があります。会社法は保管の期間と場所を次のように定めています。

取締役会設置会社は、取締役会の日(前条の規定により取締役会の決議があったものとみなされた日を含む。)から十年間、第三百六十九条第三項の議事録又は前条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面若しくは電磁的記録(以下この条において「議事録等」という。)をその本店に備え置かなければならない。

出典:会社法第371条第1項|e-Gov法令検索

取締役会議事録は、取締役会の日から10年間、本店に備え置く必要があります。電磁的記録で作成・保管する場合も同じで、電子化した議事録も10年間は確実に保存・閲覧できる状態にしておかなければなりません。

この備置義務に違反した場合、会社法976条により100万円以下の過料の対象になります(備置義務違反は同条8号)。過料は刑事罰ではありませんが、取締役などが個人として負う制裁である点に注意が必要です。電子化を進める際も、10年間の保存に耐えるサービス・運用を選ぶことが欠かせません。

出典・参考資料(1件)

押印・回付・保管の手間を電子契約システムで解消する

ここからは、押印・回付・郵送・保管の手間を減らす具体的な手段として、電子契約システムを紹介します。取締役会議事録を電磁的記録で作成し、要件を満たす電子署名を付ければ、出席役員のハンコを1枚ずつ集めて回す運用から、オンラインでの署名・保管に切り替えられます。

選ぶ際のポイントは、次の3点です。

  • 立会人型・当事者型のどちらの署名方式に対応するか
  • 登記に使う議事録に備えて、マイナンバーカードなどの当事者型・指定電子証明書に対応するか
  • 10年間の保存に耐えるタイムスタンプや監査ログを備えるか

ここでは、これらの観点で代表的なサービスを比較します。

取締役会議事録の電子化に使える電子契約システムの比較

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サービス名クラウドサイン電子印鑑GMOサイン
署名方式立会人型(事業者署名型)が標準
当事者型にも対応
立会人型(契約印タイプ)・当事者型(実印タイプ)
ハイブリッド署名も可
当事者型/マイナンバーカード対応マイナンバーカード署名(2023年提供開始)実印タイプ(認証局発行の電子証明書)/マイナンバー実印はオプション
商業登記オンライン申請での利用当事者型のマイナンバーカード署名に対応
(マイナンバーカード=公的個人認証は登記で認められる電子証明書。登記利用の可否は法務省一覧で要確認)
当事者型(実印タイプ・認証局発行の電子証明書)に対応
(登記利用の可否は法務省の指定一覧で要確認)
タイムスタンプ・長期保存認定タイムスタンプを標準付与/長期署名で10年に延長認定タイムスタンプを標準付与/延長タイムスタンプで10年に延長
監査ログCorporateプラン以上操作ログ管理
月額(税込)0円〜
Light 12,100円
Corporate 30,800円
0円〜
ライト 9,680円(年間契約)
スタンダード 26,400円(年間契約)
無料プランフリープラン(月2件・1名)お試しフリープラン(月5件・1名・契約印タイプのみ)
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る

※2026年9月時点の各社公式情報にもとづきます。商業登記オンライン申請での利用可否は、法務省が公表する利用可能な電子証明書・電子契約サービスの一覧で最新の指定状況をご確認ください。料金・仕様は変更される場合があるため、最新の条件は各社の資料でご確認ください。

1. クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)

クラウドサインのウェブサイト

クラウドサインは、弁護士ドットコム株式会社が運営する電子契約サービスです。標準の署名方式は事業者署名型(立会人型)で、契約当事者の指示にもとづいて同社の電子署名と認定タイムスタンプを付与します。認証局での本人確認が不要なため、取締役会議事録のような社内文書の電子化にも導入しやすいのが特徴です。

登記の場面を見据えた選択肢として、2023年からはマイナンバーカードの電子証明書で当事者本人が署名する当事者署名型「マイナンバーカード署名」も提供しています。導入社数は250万社以上、累計送信件数は4,000万件を超え(公式サイト、2024年度実績)、監査ログやIPアドレス制限といった管理機能も備えます。

まずは無料のフリープランで送信の流れを試し、利用量に応じて有料プランへ移行する形で始められます。

出典・参考資料(1件)

2. 電子印鑑GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)

電子印鑑GMOサインのウェブサイト

電子印鑑GMOサインは、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が提供するクラウド型の電子契約・電子署名サービスです。立会人型(契約印タイプ)と当事者型(実印タイプ)の両方に対応し、両者を組み合わせるハイブリッド署名も選べます。実印タイプは、同社グループの認証局が発行する電子証明書で本人性を担保する当事者型で、印鑑登録証明書に近い位置づけです。

立会人型・当事者型を場面で使い分けられるため、通常の議事録は契約印タイプ、代表取締役選定など登記に使う議事録は実印タイプ、といった運用に向きます。導入実績は350万社以上、累計送信件数は5,000万件を超えると公表しています(公式サイト)。取締役会議事録を「通常」と「登記用」の両方でデジタル化したい企業に向いたサービスです。

出典・参考資料(1件)

ここで取り上げたのは代表的な2サービスですが、電子契約システムは署名方式・料金・対応機能が各社で異なります。以下の記事では、主要な電子契約システムを料金やタイプ別の選び方まで詳しく比較しています。議事録に限らず契約業務全体の電子化を含めて幅広く検討したい方は、あわせてご覧ください。

まとめ

取締役会議事録の押印について、要点を整理します。全体像は、議事録を「書面か電磁的記録か」と「登記に使うか」の2軸で見ると整理できます。

取締役会議事録の押印・電子署名を、書面か電磁的記録かと、登記に使うか使わないかの2軸で整理したマトリクス図。書面かつ通常は署名または認印での記名押印で印鑑証明書は不要、書面かつ登記の添付書面は出席役員の個人実印と印鑑証明書が必要で変更前の代表取締役が会社実印で押印すれば省略可、電磁的記録かつ通常は立会人型の電子署名でよい、電磁的記録かつ登記は当事者型の指定電子証明書で署名または紙で実印運用、と示している。
  • 通常の議事録:書面なら出席した取締役・監査役の署名または記名押印が必要で、印鑑は認印で足ります(会社法369条3項)。
  • 登記に使う議事録:代表取締役の選定など登記の添付書面になる場合は、出席役員の個人実印と印鑑証明書が必要です。ただし、変更前の代表取締役が登記所届出印で押印していれば省略できます(商業登記規則61条6項)。
  • 電子化:電磁的記録で作成する場合は、本人性と非改変性を満たす電子署名で押印を代替できます(会社法369条4項・会社法施行規則225条2項)。通常の議事録は立会人型で、登記に使う議事録は指定電子証明書の当事者型で、と使い分けるのが実務的です。

押印・回付・保管の負担を減らしたい場合は、電子署名に対応した電子契約システムの導入が有効です。自社の議事録が登記に関わるかどうかを踏まえ、必要な署名方式に対応したサービスの資料を取り寄せて比較してください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 取締役会議事録とは何ですか?

A. 取締役会議事録とは、取締役会での経営上の意思決定の内容(開催日時・場所、議事の経過の要領とその結果、出席役員など)を記録した、会社法で作成が義務づけられた書類です。会社法369条3項が取締役会の議事についての議事録作成を求めており、作成後は本店に10年間の備置義務があり、株主や債権者などからの閲覧・謄写請求の対象にもなります。

Q. 取締役会議事録に押印は必須ですか?

A. 取締役会議事録は、書面で作成する場合、出席した取締役および監査役の署名または記名押印のいずれかが必須です(会社法369条3項)。署名(手書き)をすれば押印は不要で、記名に押印を組み合わせる形でもよく、どちらか一方を満たせば足ります。なお、電磁的記録(電子データ)で作成する場合は、署名・記名押印に代わる措置として電子署名が必要です。

出典・参考資料(1件)

Q. 取締役会議事録の押印は出席役員全員が必要ですか?

A. 取締役会議事録の署名・押印は、その取締役会に出席した取締役・監査役の全員が対象で、欠席した役員は対象になりません。会社法369条3項が対象を「出席した取締役及び監査役」に限定しているためです。議事録には出席者・欠席者を記載したうえで、署名・押印は出席役員が行う形が基本です。

Q. 取締役会議事録には監査役も押印しますか?

A. 取締役会に出席した監査役も、取締役と同じく署名または記名押印の対象です(会社法369条3項)。なお、権限が会計に関する事項に限定されている会計限定監査役は取締役会に出席しないのが一般的で、出席していなければ署名・押印の対象にもなりません。個別の役員構成で迷うときは、「出席した役員が署名・押印する」という原則にもとづきつつ、司法書士など専門家に確認すると確実です。

Q. 取締役会議事録の押印は認印でよいですか、実印が必要ですか?

A. 通常の取締役会議事録は、署名または認印での記名押印で足り、実印は不要です。会社法369条3項は印鑑の種類(実印か認印か)を定めていないためです。実印と印鑑証明書が必要になるのは、その議事録が登記の添付書面になる一部の場面(取締役会で代表取締役を選定した場合など)に限られます。

Q. 代表取締役を選定した取締役会議事録で注意すべきことは何ですか?

A. 代表取締役を選定した取締役会議事録は代表取締役の変更登記の添付書面になるため、出席した取締役・監査役が個人の実印で押印し、その印鑑証明書を添付する必要があります(商業登記規則61条6項3号)。

ただし、議事録に押された印鑑が変更前の代表取締役の登記所届出印(会社実印)と同一であれば、印鑑証明書の添付は省略できます(同項ただし書)。個別の登記手続きは要件が細かいため、司法書士への確認をおすすめします。

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Q. 取締役会議事録の押印を電子署名で代替するにはどんな条件が必要ですか?

A. 電磁的記録で作成した取締役会議事録は、(1)その電子データが署名者本人の作成によるものと示せること(本人性)、(2)作成後に改変されていないか確認できること(非改変性)の2要件を満たす電子署名で押印を代替できます(会社法369条4項・会社法施行規則225条2項)。

この要件は手軽な立会人型でも満たしうる一方、代表取締役選定など登記に使う議事録は、マイナンバーカードなど法務省が指定する電子証明書を用いた当事者型が必要になる場合があります。

出典・参考資料(2件)

Q. 取締役会議事録の保存期間は何年ですか?

A. 取締役会議事録は、取締役会の日から10年間、本店に備え置く義務があります(会社法371条1項)。電磁的記録で作成・保管する場合も同じで、電子化した議事録も10年間は確実に保存・閲覧できる状態にしておく必要があります。この備置義務に違反すると、会社法976条により100万円以下の過料の対象になります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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