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委任契約書に収入印紙は必要?原則不要の根拠と課税される例外・金額を解説

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委任契約書や業務委託契約書を作成し、末尾の「収入印紙貼付欄」を前に手が止まる。「これは印紙が必要なのか、必要ならいくら貼るのか」を、締結に回す前に確定させたい場面は少なくありません。

結論から言えば、委任契約書は原則として収入印紙が不要です。印紙税が課されるのは印紙税法で定められた文書に限られ、委任に関する契約書はそこに含まれないためです。ただし、契約の中身によっては例外的に課税されるケースがあり、「委任」という名称でも実質が請負と判断されれば印紙が必要になります。

この記事では、委任契約書の印紙が原則不要である根拠を国税庁の公式見解にもとづいて整理したうえで、例外的に課税される条件・金額・貼り忘れた場合の扱い、そして印紙税そのものをなくす方法までを解説します。自社の契約書に印紙を貼るべきかを、根拠とともに判断できる状態を目指します。

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委任契約書に収入印紙は原則不要(不課税文書)

まず結論です。委任契約書、および法律行為でない事務を委託する準委任契約書は、原則として収入印紙が不要です。コンサルティング委託、顧問契約、システム保守など、事務処理そのものを委託する契約は、印紙税の課税対象にあたりません。

委任は、民法第643条で「当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾すること」と定められた契約です。法律行為でない事務の委託は準委任として同法第656条が準用します。いずれも「仕事の完成」ではなく「事務の処理」を目的とする点が、後述する請負との分かれ目になります。

なぜ委任契約書は不課税なのか(根拠)

委任契約書の印紙が不要な根拠として、国税庁の印紙税額一覧表に委任契約の記載がないことがよく挙げられます。ただし、より確実な根拠は、そもそも印紙税が課される文書が法律で限定列挙されている点にあります。

国税庁は、印紙税が課税される「課税文書」の要件を次のように示しています。

印紙税が課税されるのは、印紙税法で定められた課税文書に限られています。この課税文書とは、次の3つのすべてに当てはまる文書をいいます。(1)印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること。(2)当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。(3)印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。

出典:No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断|国税庁

印紙税がかかるのは、この別表第1に掲げられた20種類の文書だけです。委任・準委任に関する契約書はこの20種類に含まれていないため、そもそも課税対象に入りません。これが「委任契約書は不課税」の中核的な根拠です。

国税庁の通達も、委任にあたる契約書を課税文書に当たらないものとして具体的に示しています。たとえば税理士委嘱契約書について、次のように整理されています。

税理士委嘱契約書は、委任に関する契約書に該当するから課税文書に当たらないのであるが、税務書類等の作成を目的とし、これに対して一定の金額を支払うことを約した契約書は、第2号文書(請負に関する契約書)に該当するのであるから留意する。

出典:印紙税法基本通達 別表第一 第2号文書(税理士委嘱契約書)|国税庁

株式会社の会計監査人に就任することを承諾する会計監査人就任承諾書も、同じ通達で「委任に関する契約書に該当するのであるから、課税文書に当たらない」と明記されています。委任として事務処理を委託するかぎり不課税、という原則が、国税庁自身の文書で裏づけられていることになります。

出典・参考資料(3件)

例外的に収入印紙が必要になるケース

ここからは、委任・業務委託契約書でも印紙が必要になる例外を確認します。課税されるのは、契約書の記載内容が次の3つのいずれかに当てはまる場合です。いずれも委任契約そのものが課税されるのではなく、契約書の中身が別の課税文書にあたるために課税される点に注意してください。自社の契約書がどれかに該当しないかを照らし合わせてみましょう。

3つの例外と、いずれにも当たらない場合の結論を1枚の判定フローに整理しました。自社の契約書を上から順にたどると、収入印紙の要否を確認できます。

委任契約書に収入印紙が必要かを判定するフロー図。委任・業務委託契約書を起点に、①仕事の完成が目的か(該当すれば第2号文書・請負として記載金額に応じた印紙が必要)、②不動産・無体財産権の譲渡等の記載があるか(該当すれば第1号文書)、③継続的取引の基本契約の類型か(該当すれば第7号文書・1通4,000円)の順にたどり、いずれにも該当しなければ委任として収入印紙は不要(不課税)となることを示す。

第1号文書(不動産の譲渡・地上権の設定等を含む場合)

第1号文書は、不動産・鉱業権・無体財産権・船舶・航空機・営業などの譲渡に関する契約書、地上権や土地の賃借権の設定・譲渡に関する契約書、消費貸借に関する契約書、運送に関する契約書の4種類です。委任・業務委託契約書がこれに当たるのは、契約書にこれらの事項が実際に記載されている場合に限られます。

注意したいのは無体財産権(特許権・商標権・著作権など)の扱いです。ソフトウェアの開発を委託しても、成果物を納品するだけでは「譲渡」に当たりません。著作権など無体財産権を譲渡する条項が契約書にあって初めて第1号文書に該当し、成果物の納品イコール第1号とはならない点に注意が必要です。

第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)

特定の相手と継続的に取引を行うための基本契約書は、第7号文書として課税される場合があります。国税庁は次のように定義しています。

印紙税額一覧表の第7号文書の「継続的取引の基本となる契約書」とは、特定の相手方との間において継続的に生じる取引の基本となる契約書のうち次の文書をいい、税額は1通につき4,000円です。ただし、その契約書に記載された契約期間が3か月以内であり、かつ、更新の定めのないものは除かれます。

出典:No.7104 継続的取引の基本となる契約書|国税庁

第7号文書にあたるのは、国税庁が定める次の類型に限られます。

  • 営業者間で売買・売買の委託・運送・請負などの複数取引を継続的に行うための基本契約書(売買取引基本契約書・下請基本契約書など)
  • 代理店契約書のように、特定の業務・事務を継続して委託する契約書
  • 銀行取引約定書など、金融・証券・保険の基本契約書

したがって、顧問契約のような純粋な委任・準委任の継続的な契約は、これらの類型に当たらないかぎり第7号文書には該当せず、印紙は不要です。「継続的だから4,000円が必要」とは限らない点に注意してください。

除外されるのは「契約期間が3か月以内」かつ「更新の定めがない」の両方を満たす契約書です。どちらか一方だけでは除外されません。たとえば契約期間が2か月でも自動更新の定めがあれば、第7号文書として課税される可能性があります。

実質が請負に当たると第2号文書として課税される

3つ目の例外は、契約書のタイトルが「委任」や「業務委託」でも、中身が請負と判断されるケースです。この場合は第2号文書(請負に関する契約書)として印紙が必要になります。読者の多くが最も気にかけるのがこの点でしょう。名称と実質のどちらで決まるのか、どう見分けるのかは、後述の「委任か請負かは名称でなく実質で判定する」で、判定の物差しとともに整理します。

出典・参考資料(2件)

収入印紙が必要な場合の金額

例外に該当した場合の収入印紙の金額を確認します。第7号文書は1通につき一律4,000円です。第1号文書と第2号文書(請負)は、契約書に記載された金額に応じて税額が段階的に変わります(いずれも2026年時点の印紙税額です)。以下では、実務で該当が多い第2号文書(請負)から示します。

実質が請負と判断された場合の第2号文書の税額は、次のとおりです。

契約書に記載された金額税額(第2号文書)
1万円未満非課税
1万円以上100万円以下200円
100万円超200万円以下400円
200万円超300万円以下1,000円
300万円超500万円以下2,000円
500万円超1,000万円以下10,000円
1,000万円超5,000万円以下20,000円
5,000万円超1億円以下60,000円
1億円超5億円以下100,000円
5億円超10億円以下200,000円
10億円超50億円以下400,000円
50億円超600,000円
金額の記載のないもの200円
第2号文書(請負に関する契約書)の税額(本則)。2026年時点、国税庁No.7102にもとづく。

第1号文書に該当する場合は、次の段階表が適用されます。金額の区切りが第2号文書と少し異なる点に注意してください。

契約書に記載された金額税額(第1号文書)
1万円未満非課税
1万円以上10万円以下200円
10万円超50万円以下400円
50万円超100万円以下1,000円
100万円超500万円以下2,000円
500万円超1,000万円以下10,000円
1,000万円超5,000万円以下20,000円
5,000万円超1億円以下60,000円
1億円超5億円以下100,000円
5億円超10億円以下200,000円
10億円超50億円以下400,000円
50億円超600,000円
第1号文書の税額(本則)。2026年時点、国税庁No.7101にもとづく。なお不動産の譲渡に関する契約書には、別途、記載金額に応じた軽減措置が設けられています。

第7号文書に該当する場合の税額は、契約金額にかかわらず1通につき一律4,000円です。第1号・第2号のように記載金額で段階的に変わることはありません。

収入印紙は誰が負担するのか

課税対象になった場合、印紙代を誰が負担するかも締結前に決めておくべき点です。印紙税の納税義務は課税文書の「作成者」に生じ、契約書のように当事者双方が共同で作成する文書では、双方が連帯して納税義務を負います(印紙税法3条2項)。

ただし、当事者のどちらが実際に印紙代を負担するかを定めた法律の規定はありません。契約書を2通作成して1通ずつ保管する場合に各自が自分の分を負担する、折半する、作成側がまとめて負担する、といった扱いは当事者間の取り決めによります。負担の分担を契約書や覚書で明確にしておくと、後の認識違いやトラブルを防げます。

建設工事の請負契約書には、記載金額に応じた税額の軽減措置が設けられていますが、これは委任契約書の印紙要否とは別の論点です。

工事の請負契約書や注文請書・変更契約書については、金額区分ごとの印紙税額や軽減措置、記載金額の考え方を次の記事で具体的にまとめています。建設工事に関する契約書の印紙額を確認したい場合はこちらもご覧ください。

出典・参考資料(3件)

委任か請負かは名称でなく実質で判定する

印紙の要否は、契約書のタイトルではなく契約の実質で決まります。「業務委託契約書」という名前でも、中身が請負であれば第2号文書として課税されます。判断の物差しとなるのが「仕事の完成」を目的としているかどうかです。

国税庁は、請負と委任の分かれ目を次のように説明しています。

請負とは仕事の完成と報酬の支払とが対価関係にあることが必要ですから、仕事の完成の有無にかかわらず報酬が支払われるものは請負契約にはならないものが多く、また、報酬が全く支払われないようなものは請負には該当しません(おおむね委任に該当します。)。

出典:請負の意義(質疑応答事例)|国税庁

整理すると、成果物の完成・引渡しがあって初めて報酬が発生するなら請負、完成の有無にかかわらず業務の遂行に対して報酬が支払われるなら委任、と見分けられます。

判定表:仕事の完成が目的か、事務処理の委託か

国税庁の通達で示された具体例を、課税の有無で整理すると次のようになります。自社の契約がどちらの性質に近いかを当てはめてみてください。

契約の性質印紙税国税庁が示す具体例
事務処理の委託(委任・準委任)不要(不課税)税理士委嘱契約書、会計監査人就任承諾書 など
仕事の完成が目的(請負=第2号文書)必要清掃請負契約書、エレベーター保守契約書、税務書類の作成を約す契約書 など
国税庁の印紙税法基本通達(別表第一 第2号文書 通達13・14・17)で示された具体例をもとに整理しています。

同じ税理士との契約でも、税務相談や申告代理など事務の委託にとどまれば委任として不課税、税務書類の「作成」を約せば請負として課税、と分かれます。契約書の名称ではなく、何を約束しているかで判断される点が要点です。

実務で多い業務委託にあてはめると、成果物の完成・納品を約束して報酬が発生する契約(システムやソフトウェアの開発、Web制作など)は請負寄りで、第2号文書として課税される可能性があります。一方、月額固定で運用・保守を続ける契約や、助言・相談を継続するコンサルティング・顧問契約は、事務処理の委託にとどまるかぎり委任寄りで不課税です。

ただし、1つの契約書に完成を目的とする請負の事項が混ざって記載されていると、印紙税法上は全体が請負契約として扱われる場合があります。自社の契約書がどちらに近いかは、タイトルではなく記載された業務内容と報酬の条件で確認してください。

成果完成型の準委任は請負ではない(誤解の是正)

「成果を出すことを約束する準委任は請負と同じで課税されるのでは」と考える方もいますが、これは正確ではありません。国税庁は、成果に対して報酬を支払う型の委任事務について、請負に該当しないと明記しています。

「請負」とは、民法第632条《請負》に規定する請負をいい、完成すべき仕事の結果の有形、無形を問わない。なお、同法第648条の2《成果等に対する報酬》に規定する委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約する契約は「請負」には該当しないことに留意する。

出典:印紙税法基本通達 別表第一 第2号文書(通達1・請負の意義)|国税庁

民法第648条の2にもとづく成果報酬型の準委任は、原則として請負に当たらず不課税です。ただし油断は禁物です。1つの契約書に請負にあたる事項とその他の事項が混然一体で記載されている場合、印紙税法上は請負契約として扱われることがあります。請負の要素が混ざっていないかは、契約書全体の記載で確認しておくと安全です。

出典・参考資料(3件)

収入印紙を貼り忘れた・貼り過ぎた場合の扱い

ここでは、課税文書なのに印紙を貼らなかった場合と、不要なのに貼ってしまった場合の扱いを整理します。まず、必要な印紙を貼らなかったときは過怠税が課されます。印紙税法第20条は、貼り忘れの過怠税を次のように定めています。

課税文書の作成者が…納付すべき印紙税を当該課税文書の作成の時までに納付しなかつた場合には、…当該課税文書の作成者から、当該納付しなかつた印紙税の額とその二倍に相当する金額との合計額に相当する過怠税を徴収する。

出典:印紙税法 第20条第1項|e-Gov法令検索

本来の印紙税額に加えてその2倍が徴収されるため、合計では本来の税額の3倍を負担することになります。たとえば4,000円の印紙を貼り忘れると、合計12,000円の過怠税がかかる計算です。

ただし、税務調査で指摘される前に自主的に不納付を申し出た場合は、過怠税が軽減されます。同条第2項により、本来の税額に10%を加えた金額(合計で1.1倍)にとどまります。また、印紙は貼るだけでなく消印が必要です。消印を忘れると、同条第3項により消していない印紙の額面と同額の過怠税が課されます。

逆に、不要な委任契約書に誤って印紙を貼ってしまった場合は、過誤納として還付を受けられます。国税庁の「印紙税過誤納確認申請・充当請求」の手続で、納めすぎた印紙税の還付や他の国税への充当を申請できます。

出典・参考資料(1件)

電子契約なら委任契約書の収入印紙は不要になる

ここまで委任契約書の印紙を見てきましたが、そもそも印紙税や貼り忘れのリスク自体をなくす方法があります。それが電子契約です。契約を電子データで締結すれば、印紙税はかかりません

その理由は明快で、印紙税の課税対象が「文書」に限られているためです。国税庁は電子データについて次のように回答しています。

印紙税の課税対象となるのは、課税物件表の物件名欄に掲げられている文書であり、電磁的記録は文書に含まれません。したがって、おたずねの電磁的記録に印紙税は課税されません。

出典:取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い(質疑応答事例)|国税庁

印紙税がかかるのは課税文書を「作成」したときであり、その作成とは紙の用紙に課税事項を記載し、相手方に交付することを指します。電子データを送信するだけでは課税文書を作成したことにならず、課税の原因が生じません。仮に第2号文書や第7号文書に該当する内容でも、電子で締結すれば印紙税は不要になります。

注意点として、電子で送ったあとに紙の原本を別途作成して相手に交付すると、その紙の文書には印紙税が課されます。印紙税を回避するには、契約を電子で完結させることが前提です。

出典・参考資料(2件)

紙の契約をやめれば、印紙代だけでなく、貼り忘れによる過怠税や、委任か請負かの判定に悩む手間そのものがなくなります。代表的な電子契約システムを、電子締結・タイムスタンプなどの観点で比較したものが次の表です。電子署名には、サービス事業者が本人確認して署名する「立会人型」と、契約当事者自身が電子証明書で署名する「当事者型」があります。

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サービス名クラウドサイン電子印鑑GMOサインマネーフォワード クラウド契約freeeサイン
電子署名タイプ立会人型+当事者型
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立会人型立会人型
タイムスタンプ
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電子契約システムは、電子署名の方式やタイムスタンプ、料金体系がサービスごとに異なり、自社の契約件数や運用に合う一社を見極める必要があります。以下の記事では、電子契約システムの選び方やタイプ別の特徴を詳しく解説しています。導入を具体的に検討する際はあわせてご覧ください。

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まとめ

委任契約書は、事務処理の委託を目的とするかぎり原則として収入印紙が不要です。印紙税が課されるのは印紙税法別表第1に掲げられた20種類の文書に限られ、委任に関する契約書はそこに含まれないためです。

例外は、契約書に不動産・無体財産権の譲渡等が記載される第1号文書、継続的取引の基本契約にあたる第7号文書、そして実質が請負と判断される第2号文書の3つです。名称が「委任」でも、仕事の完成を目的とする内容なら課税されます。自社の契約書がどの性質に近いかを、記載内容から確認しておくと判断を誤りません。

印紙税や貼り忘れのリスクを根本からなくすなら、電子契約への切り替えが有効です。電子データは課税文書に当たらないため、印紙税がそもそも発生しません。

よくある質問(FAQ)

Q. 委任契約書の収入印紙は、作成者と受取先のどちらが負担しますか?

A. 委任契約書は原則として不課税のため、そもそも収入印紙の負担が発生しません。印紙税がかかるのは印紙税法別表第1に掲げられた20種類の文書に限られ、委任契約書はそこに含まれないためです。

例外的に請負や継続的取引の基本契約に該当して課税される場合は、印紙税の納税義務が契約書の「作成者」に生じます。当事者双方が作成に関与した契約書では双方が作成者となり得ますが、実際にどちらが印紙代を負担するかを定めた法律の規定はなく、当事者間の取り決めによります。

Q. 委任契約書を2通作成する場合、収入印紙は各通に必要ですか?

A. 委任契約書は、2通作成しても正本・控えのいずれにも収入印紙は不要です。委任契約書はそもそも課税文書に当たらないため、作成する通数にかかわらず印紙は発生しません。ただし、実質が請負にあたるなど例外的に課税対象となる契約書では、契約の成立を証明する目的で作成した正本・副本はそれぞれが課税文書となり、通数分の収入印紙が必要になります。

Q. 委任契約書に貼った収入印紙の消印を忘れるとどうなりますか?

A. 課税対象の契約書で消印を忘れると、消していない収入印紙の額面と同額の過怠税が課されます(印紙税法第20条第3項)。委任契約書は原則不課税で消印も不要ですが、例外的に課税される契約書に印紙を貼った場合は、印鑑や署名で必ず消印する必要があります。消印は貼り忘れとは別に定められた義務で、印紙を貼っていても消し忘れれば過怠税の対象になる点に注意してください。

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Q. 電子契約と紙の契約書を併用した場合、委任契約書に収入印紙は必要ですか?

A. 併用しても、委任契約書は紙・電子いずれの形式でも原則として収入印紙は不要です。一方、実質が請負にあたるなど課税対象の契約を、電子で送ったあとに紙の原本も別途作成して相手方に交付した場合は、その紙の文書に収入印紙が必要になります。印紙税は紙の課税文書を作成・交付したときに課されるため、課税対象の契約で印紙税を避けるには、紙の原本を交付せず契約を電子で完結させることが前提です。

出典・参考資料(1件)

Q. 委任契約に関する覚書や変更契約書にも収入印紙は必要ですか?

A. 覚書や変更契約書も、名称ではなく記載された内容で判定され、委任事務の取り決めにとどまるものは収入印紙が不要です。印紙の要否はタイトルではなく実質で決まるため、覚書という表題でも請負や継続的取引の基本契約などの課税事項を新たに定めていれば課税対象になります。逆に、既存の委任契約の内容を一部変更するだけで課税事項を含まなければ、覚書・変更契約書とも印紙は不要です。

Q. 税理士や顧問との契約書に収入印紙は必要ですか?

A. 税務相談や申告代理など事務の委託にとどまる税理士委嘱契約書や顧問契約書は、委任に関する契約書として収入印紙が不要です。国税庁の通達も、税理士委嘱契約書を委任にあたる不課税文書と明記しています。ただし、税務書類の「作成」を目的とし、これに対して報酬を支払うことを約す契約書は第2号文書(請負に関する契約書)として課税されるため、契約書で何を約束しているかで判定される点に注意してください。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
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