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建設業向け会計ソフトおすすめ18選|工事別原価管理・工事台帳・経審対応で比較

建設業向け会計ソフトおすすめ18選 工事別原価管理・工事台帳・経審対応で比較のサムネイル画像

汎用のクラウド会計ソフトで工事別の原価集計をExcelで補っていたり、未成工事支出金や完成工事高といった建設業特有の勘定科目の仕訳が属人化していたりと、建設業の経理には固有の負担があります。加えて、経営事項審査(経審)の決算書類を毎期人手で作り直している、複数現場を同時進行するなかで工事ごとの収支が締めまで見えない、といった悩みも重なりがちです。

2023年10月に始まったインボイス制度や、電子帳簿保存法の電子取引データ保存義務化への対応も継続しており、業界特化機能と法令対応を同時に満たすソフトを選ぶには、どのような観点で比較すべきでしょうか。

本記事では、建設業向けの会計ソフト18サービスを、工事別原価管理・工事台帳・経営事項審査(経審)決算書類・建設業特有勘定科目への対応を軸に比較・解説します。料金・提供形態・既存システム連携までを整理しました。

対象は主に法人で、中小工務店(社員数名〜十数名)から中堅建設会社(年商100億円レンジまで)が中心です。自社規模と体制に合ったソフトを選ぶための材料としてご活用ください。

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本記事「建設業向け会計ソフト」の対象範囲

本記事は、建設業の会計処理に対応した会計ソフトを対象とします。具体的には、以下のいずれかの実務要件に対応するソフトを、汎用クラウド型・建設業特化クラウド型・建設業特化パッケージ/ERP型の3タイプで整理して紹介します。

  • 工事(プロジェクト)別の原価集計・収支管理
  • 未成工事支出金・完成工事高・完成工事未収入金・工事未払金など、建設業特有の勘定科目を用いた仕訳
  • 工事台帳・工事経歴書の作成
  • 経営事項審査(経審)決算書類(工事種類別完成工事高・完成工事高内訳明細書等)の作成

汎用のクラウド会計ソフトも、タグ機能やプロジェクト機能で工事別の集計が可能な範囲では選択肢に含めています。中小法人で経審の受審がない場合の候補として整理する意味があるためです。

一方、個人事業主・一人親方(年商1億円未満、青色申告での確定申告が主目的)は本記事の対象範囲外とし、建設業許可の維持や経審受審がなく、確定申告と工事別粗利の把握までを汎用クラウド会計で回すニーズは以下の記事をご参照ください。

また、年商100億円超・複数のJV(共同企業体)案件・IFRS対応・連結決算が必要な大手建設会社は、本記事ではOBIC7会計情報ソリューションのみが該当します。同種のグループ経営・連結ERPを比較したい場合は別途、統合ERPカテゴリの検討が現実的です。

工事原価管理システム(会計処理を持たず現場別の予算・発注・利益管理に特化した製品)は本記事の対象外とし、会計ソフトとの役割の違いは後半の節で扱います。

建設業に絞らず、クラウド会計ソフト全般を規模別・タイプ別に比較したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

悩み別の逆引き早見表
  • 工事別原価をExcelで補完している→ 汎用クラウド型のプロジェクト機能で運用継続、または建設業特化クラウド型(本記事「建設業特化クラウド型」節)へ切替
  • 未成工事支出金・完成工事高の仕訳が属人化→ 建設業特化クラウド型で建設業向け科目マスタと完成振替の標準機能に乗せる
  • 経審決算書類を毎期人手で作り直している経審対応マトリクスで別記様式出力・評点シミュレーションを標準搭載する製品を確認し、建設業特化クラウド型または特化パッケージ・ERP型から選定
  • 工事ごとの収支が締めまで見えない→ 建設業特化クラウド型に一本化、または「会計ソフト+工事原価管理システム」の連携運用(後段「会計ソフトと工事原価管理システムの違い・併用」節を参照)

また、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツールをご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。

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【比較表】建設業向け会計ソフト全サービス横断比較

本記事で紹介する18サービスを、タイプ・初期費用・月額費用・工事別原価管理・工事台帳・経審決算書類(別記様式出力)・経審評点シミュレーション・建設業特有科目の標準対応などの観点で横串比較しました。多くの製品ページで「要お問い合わせ」となっている料金レンジも、公開されている実額を優先して掲載しています。

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サービス名弥生会計 NextTenbook(テンブック)マネーフォワード クラウド会計Plusfreee会計マネーフォワード クラウド会計勘定奉行クラウドPCAクラウド 会計ジョブカン会計かんたんクラウド会計(MJS)SmileWorks(スマイルワークス)TKC FXクラウドシリーズ勘定奉行クラウド[建設業編]PCAクラウド 建設業会計スイート建設会計DAIC2クラウドOBIC7会計情報ソリューション建設大臣NXMJSLINK DX 財務大将
提供形態クラウドクラウド
+経理代行
クラウドクラウドクラウドクラウドクラウドクラウドクラウドクラウド(統合ERP)クラウドクラウドクラウドクラウドクラウドオンプレ/プライベートクラウドオンプレ
(大臣NXクラウドで両対応)
オンプレ/クラウド(両対応)
初期費用0円0円要お問い合わせ0円0円0円要お問い合わせ0円要お問い合わせ0円〜
(プランにより最大3,000,000円)
要お問い合わせ
(TKC会員事務所経由)
50,000円〜
(iA、税抜)
0円要お問い合わせ
(Ver.2初年度サブスクは266,750円税込の流通あり)
要お問い合わせ
(TKC会員事務所経由)
要お問い合わせ
(個別見積)
792,000円〜1,716,000円
(税込、グレード・ライセンス形態により変動)
要お問い合わせ
月額(またはライセンス)2,900円〜
(エントリー年契約・税抜)
29,500円〜(免税事業者)
43,500円〜(課税事業者)
要お問い合わせ
(ID数に応じた個別見積)
2,980円〜
(ひとり法人・年払い、税抜)
2,480円〜
(ひとり法人・年払い、税抜)
7,750円〜
(Eシステム年額93,000円〜、税抜)
15,600円〜
(会計hyper・税抜)
2,500円〜
(スタートアップ・3ユーザーまで、税抜)
2,160円〜(Basic)
3,000円〜(Plus・工事管理機能付き、税抜)
5,000円〜
(販売ERP・基本料金+オプション、税別)
要お問い合わせ
(会計事務所との顧問契約に依存)
27,500円〜
(iA、年額330,000円〜、税抜)
19,200円〜
(税抜、CAL別料金は要問い合わせ)
要お問い合わせ
(年次更新の情報あり)
要お問い合わせ
(TKC会員事務所経由の個別見積)
要お問い合わせ
(個別見積)
買切ライセンス
(年間保守DMSS別途)
要お問い合わせ
(サブスク/5年買取から選択)
工事別原価管理(部門管理で運用)(部門・プロジェクト機能で運用)(プロジェクトマスタで運用)(タグ機能で工事別集計)(部門別損益管理で運用・ビジネス以上)(部門管理で運用・建設業編は別ライン)(セグメント・プロジェクト機能で運用・建設業会計は別ライン)(プロジェクト管理機能で運用・2025年3月〜)(Plusに工事管理機能を標準搭載)(プロジェクト別収支管理を主軸)×(建設業特化はDAIC2で対応)(会計伝票入力と工事別原価計算を連動)(管理会計の多段階自動配賦で運用)(個別原価管理機能を搭載)
工事台帳××××××××情報なし××(工事原価台帳・工事収支管理表)(現場別工事台帳を自動作成)××(公式明記なし・工事大将で拡張)
経審決算書類(別記様式出力)××××××(建設業編は別ライン)×(建設業会計は別ライン)×情報なし××(建設業特化はDAIC2で対応)(iSシステム)情報なし×(公式明記なし)情報なし×(NX以上・会計編は非対応)×(公式明記なし・工事大将で拡張)
経審評点シミュレーション××××××(建設業編は別ライン)×(建設業会計は別ライン)×情報なし××(建設業特化はDAIC2で対応)情報なし(総合評点シミュレーション標準搭載)×(公式明記なし)(対策前後の点数比較を標準搭載)×(NX以上・会計編は非対応)×(公式明記なし・工事大将で拡張)
建設業特有の勘定科目××××××××情報なし××(建設業法施行規則準拠)×(建設工事業の会計基準に対応)
完成工事高/未成工事支出金 自動振替××××××××情報なし××(完成振替入力を一括処理)(完成振替・間接費配賦の自動仕訳)×(完成振替伝票を自動作成)×(公式明記なし)
対象規模小規模〜中小法人中小
(売上15億円以下)
中堅〜上場準備個人〜中小・上場ひとり法人〜中小(〜50名)小規模〜中小中小〜中堅個人・中小小規模〜中小中小〜大規模小規模〜上場(4製品構成)中小〜中堅建設中小〜中堅建設中小建設・工務店中小〜中堅建設中堅〜大手・グループ中小〜中堅建設中堅・中小
(年商50億円未満)
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約サービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る公式サイト公式サイト公式サイトサービス詳細を見る公式サイト公式サイト公式サイトサービス詳細を見る公式サイト公式サイト

汎用クラウド型:特徴と代表サービス

汎用クラウド型は、freee会計・マネーフォワード クラウド会計・弥生会計 Nextなどのクラウド会計ソフトを、タグ機能・プロジェクト機能・部門管理機能などで工事別集計に転用して使うタイプです。導入費用が小さく、ブラウザさえあれば現場・支店からも入力・参照できます。

一方で、未成工事支出金・完成工事高といった建設業特有の勘定科目や経営事項審査の決算書類は標準対応外の製品が多く、Excel補完や税理士側での組み替えが前提となる場合があります。

個人事業主・一人親方は本記事の対象範囲外(別記事の個人事業主向けクラウド会計ソフト比較を参照)ですが、年商1億円〜十数億円台の中小法人で経審の受審がなく、工事原価管理も社内で簡易的に済ませたい建設会社にはこの型が向きます。

中堅企業向けの上位版(マネーフォワード クラウド会計Plusなど)を選べば、プロジェクトマスタで工事別集計を標準の会計機能として持てるため、上場準備企業や規模拡大中の建設会社の候補にもなります。

汎用クラウド型には、純粋な汎用クラウド会計ソフトを部門・タグ・プロジェクト機能で工事別集計運用する製品に加え、統合ERP系(SmileWorks)・経理代行バンドル型(Tenbook)・会計事務所連携型(TKC FX)といったクラウド系の派生型もまとめて扱います。建設業特化ではないものの、汎用の枠組みで工事別損益を追える製品として一括で位置づけます。

1. 弥生会計 Next(弥生株式会社)

弥生会計 Next

弥生会計 Next は、2025年4月に弥生株式会社が正式リリースした法人向けクラウド会計サービスです。旧「弥生会計 オンライン」の後継として、会計・請求書発行・経費精算・証憑管理を1つのサービスに統合し、これらのデータが会計に自動連携する構成が特徴です。

料金はエントリー年額34,800円〜/ベーシック50,400円〜/ベーシックプラス84,000円〜(税抜)の3プランで、部門管理はベーシックプラン以上で利用可能です。建設業特化のプラン・機能は持たず、工事別集計は部門管理を用いて「部門=工事」の割り当てで運用する形になります。

個人事業主の一人親方は対象外(同社「やよいの青色申告 オンライン」等の別製品を要検討)で、経営事項審査の別記様式による決算書の直接出力にも標準対応していないため、経審受審があれば申請書類作成側で組み替えが必要です。

弥生カスタマーセンターは年間100万件超の問い合わせに対応し、ピーク時は240名以上のオペレーター体制で運用されています。全機能を1事業者につき1回まで最大3か月無料で試せるトライアルも用意されており、操作感を確認してから導入判断できます。

2. Tenbook(テンブック)(シンアカウンティングサービス株式会社)

Tenbook(テンブック)

公認会計士・税理士が代表を務めるシンアカウンティングサービス株式会社が、自社開発のクラウド会計ソフト「10book」の提供と、記帳代行・月次処理・決算・法人税申告までの人的サポートをワンストップでバンドルする会計アウトソーシング型サービスです。10bookは会計サービス契約者に無料提供されます。

業種は問わない設計で、伝票データはExcel形式で加工しやすく、仕訳レベルの分析や部門別・予算・前期比較のレポートを利用できます。建設業特化の勘定科目マスタや経審決算書類の別記様式には対応が明示されていないため、工事別原価管理は部門・プロジェクト機能を「工事=部門」として運用する形になります。

売上規模の目安は5億円〜15億円以下の中小企業(出典により幅あり)で、経理担当者を採用しづらい新設法人・小規模建設会社が主な想定です。

料金は初期0円、月額は免税事業者29,500円/課税事業者43,500円で決算料は不要(税区分は要確認)。対応税目は法人税・所得税・消費税で、相続税・贈与税・グループ通算制度・国際税務は範囲外です。関与メンバーは原則3名のチーム制で、経理担当者の退職リスクに備えたい建設会社の選択肢としても検討できます。

経理担当者の退職を機に業務が回らなくなるリスクにどう備えるかについて、代表の上田氏は当カタログの取材で次のように語っています。

上田氏
シンアカウンティングサービス株式会社 代表取締役
上田氏
独自インタビューより

それと、経理担当者の退職などで業務が不安定になるケースもよくあります。属人的なフローになっていると引き継ぎが大変ですし、退職に伴って経理が回らなくなるリスクが出てきます。そこを専門家に任せることで、経理業務の安定性を提供したいと考えています。

3. マネーフォワード クラウド会計Plus(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド会計Plus

中小企業向けの「マネーフォワード クラウド会計」の上位版として、株式会社マネーフォワードが2020年2月に提供開始した中堅〜上場企業向けの会計システムです。無印版の自動仕訳・データ連携の利便性を維持しながら、仕訳承認フロー・権限管理・操作ログといった内部統制機能を追加しています。

想定仕訳ボリュームは年間10万件〜で、対象はIPO準備企業・中堅〜上場企業。プロジェクトマスタ・取引先マスタ・コード管理機能を持ち、工事コード単位での集計や現場別の入力・承認フローの構築が可能です。建設業特有の勘定科目や経審決算書類の別記様式は標準機能として謳われていないため、これらの様式変換は税理士側または別途経審申請ソフトで補う運用になります。

監査法人とシステムを共有して証憑・仕訳を遠隔で確認できるほか、公開APIやiPaaS連携で既存の販売・工事原価管理システムとつなぐことも可能。料金は利用ID数に応じた個別見積で、監査法人・税理士法人などの外部共有アカウントも1IDとしてカウントされます。導入実績は1,000社以上(公式トップページ、2026-06-20時点)。

4. freee会計(フリー株式会社)

freee会計

「会計業務を、誰でも、流れるように。」を掲げるフリー株式会社のクラウド会計ソフトで、簿記知識が浅くても記帳できる質問形式のUIとAI自動仕訳を軸に、個人事業主から新設法人・中小企業・IPO準備企業までを1つのプラットフォームでカバーします。

銀行・クレジットカード・電子マネー・POSレジなど1,000超の外部サービスと連携し、明細を自動取得。タグ機能で工事別・現場別の集計を行えるため、一人親方や小規模工務店が「タグ=工事番号」として運用する形が現実的な使い方になります。部門は最大5階層まで設定可能(アドバンス以上)で、複数現場を階層で切って集計できます。

ただし未成工事支出金・完成工事高などの建設業特有科目や経審決算書類の別記様式は標準対応ではなく、独自の勘定科目登録と決算書組み替えが前提です。

法人向けは「ひとり法人」から「エンタープライズ」まで5プラン構成で、電子帳簿保存法はJIIMA認証(電帳法スキャナ保存ソフト・電子取引ソフト)を取得済み。予実管理・部門無制限はアドバンス以上、内部統制対応・IPアドレス制限はエンタープライズで利用可能です。30日間の無料トライアルで操作感を確かめてから選定できます。

5. マネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド会計

マネーフォワード クラウドシリーズの中核をなすひとり法人・中小企業向けの標準版クラウド会計ソフトで、自動化・効率化に特化しています(内部統制機能は上位版のPlusが担当)。2,300以上の金融関連サービスと連携し、取得明細からAIが勘定科目を提案する自動仕訳を軸に、複式簿記に沿った帳簿・決算書作成までを1つの製品でカバーします。

対象はひとり法人〜従業員50名程度の中小企業までを想定し、経理経験者による複式簿記運用を前提とした自由度の高い設計です。工事別集計はビジネスプランで対応する部門別損益管理を使い、「部門=工事」として案件ごとに損益を追う運用が基本になります。建設業特化の勘定科目マスタや経審決算書類の別記様式は持たないため、経審の受審や建設業法決算届の提出がある企業では税理士側での組み替えが前提となります。

料金はひとり法人(年払い月額2,480円〜、仕訳数500件/会計年度まで)、スモールビジネス(同4,480円〜、3名まで)、ビジネス(同6,480円〜、4名以上は1名月300円の従量課金)の3プラン(いずれも税抜)。公認メンバー制度に加入した士業アカウントは従量課金の対象外です。AI-OCR「AI-OCRから入力」は月間の無料件数を超えると1件20円(税抜)の従量課金となります。

6. 勘定奉行クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

勘定奉行クラウド

「奉行シリーズ」(給与・固定資産・申告・販売など)の中核をなすクラウド会計で、株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)が提供します。同社の他奉行製品との密なデータ連携を前提に設計されています。

標準の勘定奉行iクラウドは小規模企業向けE〜中小企業向けA・B・Sまで5段階のエディション構成(Eシステム年額93,000円〜、A/B/Sは年額234,000円〜336,000円、いずれも税抜)で、伝票明細件数の上限が3万件〜30万件と段階的に異なります。

OBCは工事・現場単位の原価管理、契約金額・原価把握、現場/業者別の仕訳分割に対応した業種特化版「勘定奉行iクラウド[建設業編]」を別ラインで提供しており、経審決算書類・工事台帳を標準機能として求める場合はそちらを候補にする形になります(本記事別セクションで扱います)。

電子帳簿保存法はJIIMA認証4種(電帳法スキャナ保存・電子帳簿・電子取引・電子書類)を取得済み。基盤はMicrosoft Azure上で提供され、月間稼働率99.9%を公式に掲載しています。中堅企業以上・グループ企業・上場企業向けには上位のSaaS型ERP「奉行V ERPクラウド」が別途あり、成長段階に応じて製品系列を選べます。

7. PCAクラウド 会計(ピー・シー・エー株式会社)

PCAクラウド 会計

ピー・シー・エー株式会社の老舗パッケージ「PCA会計」シリーズをクラウド(ASP/SaaS)形態で提供する財務会計システムで、1994年にWindows対応の「PCA会計」を発売、2008年から「PCAクラウド」の提供を開始した業歴を持ちます。中小企業向けの標準グレードに加え、中堅企業向けの上位グレード「PCAクラウド 会計 hyper」を用意しています。

部門管理・セグメント管理・プロジェクト管理機能を備え、hyperエディションでは複数会社を企業グループとして登録し合算領域を作成できます。汎用版のPCAクラウド 会計は建設業特化ではないため、「セグメント=工事」「プロジェクト=案件」として工事別集計を組む運用が基本になります。

経審決算書類・工事台帳を標準搭載する建設業向けとしては同社が別ライン「PCAクラウド 建設業会計」を提供しており(本記事の別セクションで扱います)、標準版で足りない場合の乗り換え先として位置づけられます。

料金は会計hyperのみで月額15,600円〜(税抜、公式料金ページ)、推奨構成(hyper+債権・債務管理オプション+固定資産hyper)で月額34,800円。提供基盤はデータセンター版とAWS版、サブスク版から選択でき、電子帳簿保存法JIIMA認証(電子帳簿ソフト法的要件認証)を取得済みです。2ヶ月の無料体験があります。

8. ジョブカン会計(株式会社DONUTS)

ジョブカン会計

勤怠管理・給与計算・労務HR・経費精算などを揃える「ジョブカンシリーズ」のバックオフィス製品群のうち、会計・決算・申告領域を担うクラウド型会計ソフトで、運営元は株式会社DONUTSです。パッケージ型会計ソフトの操作性を踏襲したキーボード中心の入力と自動集計を軸に、初期費用0円・月額2,500円〜という中小企業・個人事業主向けの価格帯で提供されます。

2025年3月に追加されたプロジェクト管理機能により、仕訳ごとにプロジェクトを紐づけて集計・比較でき、工程比較や月次・部門別・前期比較の分析が可能です。「プロジェクト=工事」として運用すれば、汎用版でも工事別の粗利と入力履歴を追える構成になります。

建設業特化の勘定科目マスタ・経審決算書類には対応がないため、経審受審があれば別途申請書類の作成側で組み替えが必要です。決算機能では固定資産管理・株主資本等変動計算書、エンタープライズプランではキャッシュ・フロー計算書に対応します。

プランは3ユーザーまでのスタートアップ(月額2,500円)、5ユーザーで権限・承認・履歴管理を持つビジネス(月額5,000円)、ユーザー無制限で操作ログ・IPアドレス制限を追加するエンタープライズ(月額50,000円)の3段階。ジョブカン勤怠管理・給与計算・経費精算・ワークフローなど同シリーズ製品と連携できるため、現場の勤怠と経理を同一シリーズ内で運用したい企業の候補になります。

9. かんたんクラウド会計(MJS)(株式会社ミロク情報サービス)

かんたんクラウド会計(MJS)

株式会社ミロク情報サービス(MJS)が中小企業・小規模事業者向けに提供するクラウド会計・給与ソフトで、上位に会計事務所・中堅企業向けのACELINK NX-Proシリーズを持つMJSラインナップの入口的位置づけです。スタートアップから小規模事業者まで直接契約で利用でき、会計事務所が顧問先に導入して遠隔サポートする運用形態にも対応します。

料金プランはBasic(月額2,160円、基本帳票・決算書出力)とPlus(月額3,000円、財務分析・消費税関係・資金繰・工事管理機能を追加)の2段階で、標準3アカウントに追加1名あたり月額240円(いずれも税抜)。Plusには工事管理機能が組み込まれており、汎用クラウド会計としては珍しく工事単位の管理機能を標準側で持つ設計になっています。

ただし機能の詳細範囲・経審決算書類の別記様式対応可否は公式に個別記載がないため、資料または問い合わせでの確認が必要です。

銀行口座・クレジットカードの明細自動取込、レシート画像からの日付・金額・電話番号読み取りによる仕訳データ変換に対応し、インボイス制度・電子帳簿保存法にも対応します。電子取引ファイルの保管は姉妹製品「かんたんクラウド ファイルBOX」(会計・給与契約時は100MB無料付帯、単独利用は月額700円)が担います。

標準サポート(メール24時間受付・チャット平日9-17時)は無料で、電話・オンライン遠隔サポートは月額360円のオプションです。

10. SmileWorks(スマイルワークス)(株式会社スマイルワークス)

SmileWorks(スマイルワークス)

会計ソフト単体ではなく、販売・購買・在庫・給与・経費精算・勤怠・ワークフローを一体で提供する中小企業向けの統合型クラウドERPで、株式会社スマイルワークスが提供しています。特徴的なのがプロジェクト別収支管理を主軸に据えた設計で、売上・仕入・経費・社内工数をプロジェクト単位で集計して収益を把握できます。

販売・購買・在庫のトランザクションから自動で会計仕訳を生成する統合設計のため、会計単体ソフト+原価管理ソフトの組み合わせで発生する二重入力を減らせる作りです。プロジェクトを「工事=案件」に読み替えて運用すれば、受注・仕入・工数まで含めた工事単位の損益をリアルタイムに追える構成で、案件単位の収支管理を重視するプロジェクト型の建設・専門工事業と親和性があります。

建設業特有の勘定科目マスタ・経審決算書類への標準対応は公式に明示されていないため、これらが必要な場合は特化型と比較検討することになります。

料金は販売ERPプラン(月額5,000円+オプション)から標準(10,000円)、カスタム(120,000円)、Enterprise(200,000〜300,000円)まで幅広く、機能単位で選択できる「カフェテリア方式」の積み上げ構造です。会計ワークスは電子帳簿ソフト法的要件のJIIMA認証を取得済みです。

AI-OCRはMicrosoft提供のエンジンを用いた有償オプション(月額1,000円+実行10円/枚のチケット制)で、見積書・納品書・請求書などのデータ化に対応します。

11. TKC FXクラウドシリーズ(株式会社TKC)

TKC FXクラウドシリーズ

会計ソフトを市販せず、TKC全国会に所属する会計事務所(税理士・公認会計士)を介して導入する仕組みが最大の特徴で、月次巡回監査・経営助言とセットで利用されることを前提に設計されている中堅・中小企業向けのクラウド会計システム群です。開発・提供は株式会社TKCで、ソフト単体販売を行う汎用クラウド会計との構造的な違いがあります。

汎用ラインはFXまいスタークラウド(小規模)、FX2クラウド(中小、部門別業績管理・複数人同時接続)、FX4クラウド(中堅・上場準備、内部統制対応)、FX5クラウド(上場、連結決算・外貨管理)の4製品構成です。同社は建設業向けの業種特化版「DAIC2」を別ラインで提供しており、経審決算書類・工事台帳など建設業特有の実務を扱う場合は本記事の別セクションで扱うDAIC2クラウドが候補になります。

「TKCモニタリング情報サービス」は月次試算表・年度決算書などを金融機関に無償で開示できる仕組みで、決算書の郵送・コピーの手間を減らし融資審査の迅速化に寄与するとされます。「記帳適時性証明書」はTKCが第三者として記帳の適時性を証明する書類で、金融機関・税務当局向けの信頼性提示に用いられます。料金は会計事務所との顧問契約条件に依存し、公式サイトには金額の記載がありません。

建設業特化クラウド型:特徴と代表サービス

建設業特化クラウド型は、クラウド提供でありながら建設業特有の勘定科目・工事別原価管理・工事台帳・経営事項審査決算書類の作成までを標準機能として持つタイプです。勘定奉行クラウド[建設業編]・PCAクラウド 建設業会計・スイート建設会計・DAIC2クラウドなどが該当し、社員10〜100名前後の中小〜中堅の工務店・建設会社を主な対象としています。

複数現場や複数拠点から同一の会計データにアクセスでき、法改正(インボイス制度・電子帳簿保存法・収益認識基準など)への追従もベンダー側のアップデートで反映されます。オンプレの建設業特化パッケージからの移行先としても位置づけられ、経審シミュレーション機能や工事別損益のリアルタイム把握を求める建設会社に適した選択肢です。

12. 勘定奉行クラウド[建設業編](株式会社オービックビジネスコンサルタント)

勘定奉行クラウド[建設業編]

株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)の「勘定奉行クラウド[建設業編]」は、汎用クラウド会計「勘定奉行iクラウド」に工事別原価管理を上乗せした業種特化エディションです。仕訳伝票から工事ごとの原価計算・配賦・収支見える化までを標準機能でカバーし、電子帳簿保存法・インボイス制度対応の会計基盤の上に建設業向け機能を統合しています。

料金はiAシステム(月額27,500円・年額330,000円、税抜)を起点にiB・iSの3段階構成で、経営事項審査(経審)向け書類の作成・工事原価配賦・部門別損益把握といった管理会計機能は上位のiSシステム(月額40,500円税抜〜)に含まれます。初期費用50,000円台から導入でき、経審対応まで必要な場合はiSを選ぶ段階設計で、30日間の無料体験が用意されています。

オンプレミス版の「勘定奉行11[建設業編]」は2025年2月28日に新規販売が終了しており、後継はクラウド版に一本化されているため、既存パッケージ利用企業のクラウド移行先としての位置づけも持ちます。

13. PCAクラウド 建設業会計(ピー・シー・エー株式会社)

PCAクラウド 建設業会計

ピー・シー・エー株式会社(東証プライム上場、証券コード9629)が提供する「PCAクラウド 建設業会計」は、同社「PCA建設業会計シリーズ」のクラウド版です。同じ建設業会計機能をオンプレミス・月額サブスク・クラウドの3形態で選べる中で、SaaSとして提供されているエディションにあたります。

「工事」「工種」マスターを軸に工事別原価管理・工事原価台帳(材料費・労務費・外注費・経費の四要素集計)・工事収支管理表を持ち、経営事項審査(経審)は財務・工事データから総合評点変化を試算できるシミュレーション機能を標準搭載します。工事進行基準・工事完成基準・原価回収基準の複数の収益認識基準を選択でき、請負工事等の経過措置にも対応します。

料金は初期費用0円・月額19,200円(税抜、内訳: ソフト利用ライセンス7,200円+サーバー利用ライセンス12,000円)から、固定資産管理を組み合わせる場合は23,400円(税抜)〜。ライセンスは同時接続ユーザー数(CAL)で決まる方式のため、端末台数を増やしても追加費用は発生しません

月間稼働率99.95%のSLA(下回った月は10%減額、24時間以上の停止時は全額返金)を設定し、2ヶ月の無料体験も用意されています。

14. スイート建設会計(株式会社フォーラムエイト)

スイート建設会計

「スイート建設会計」は、株式会社フォーラムエイトが株式会社円簿インターネットサービスとの協業で開発し、2018年2月28日にリリースされた建設業向けクラウド会計ソフトです。無料会計クラウド「円簿会計」を建設・設計業務向けに再開発した経緯があり、円簿会計からのデータ移行機能も備えています。

工事コード単位の仕訳入力による工事別原価集計、工事台帳の作成、工事完成基準/工事進行基準の選択、間接工事費の配賦と完成振替の自動仕訳などを備えます。姉妹の「スイート給与計算-出面管理-」と連携させると、現場の出退勤・労務日報(スマートフォン入力対応)から労務費を工事別の直接費として自動計上できる点が特徴です。

同社製の設計・積算ソフト「UC-1 Engineer’s Suite積算」とのデータ連携もあります。

料金は公式サイトでの掲載が限定的で、要お問い合わせが基本となります(楽天市場では「Ver.2 初年度サブスクリプション」が266,750円税込で流通)。伝票起票〜仕訳入力を代行する有償オプション「スイート会計入力支援サービス」を併設しており、経理担当を確保しにくい現場でも運用に乗せやすい構成です。

15. DAIC2クラウド(株式会社TKC)

DAIC2クラウド

「DAIC2クラウド」は、株式会社TKC(東証プライム上場、証券コード9746)が開発・提供する建設業特化のクラウド型会計・原価管理システムで、正式名称は「建設業用会計情報データベース」です。会計伝票の入力と同時に工事ごとの原価計算を実行することで、財務会計と建設原価計算を連動させ、工事別業績をタイムリーに把握する設計になっています。

現場別工事台帳の自動作成、完成工事高・未成工事支出金の振替処理、工事利益管理表・工期一覧表、20種類のチェック項目による問題工事の自動検出、365日変動損益計算書、建設業法施行規則準拠の勘定科目体系などを標準機能に持ちます。経営事項審査(経審)については、貸借対照表の改善・資格取得・社会性の3方向の対策案ごとに、対策前後の総合評点を比較できる評点シミュレーションを備えています。

導入・運用支援はTKCではなく、顧客が契約する「TKC会員事務所」(税理士・公認会計士)が担う点が、一般的な会計SaaSベンダーと異なります。料金は初期費用・月額とも公式非公開で、TKC会員事務所経由の個別見積もりとなります。電子帳簿保存法対応では、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の電子帳簿ソフト法的要件認証(2019年3月29日認証)で第1号14システムの一つに含まれます。

建設業特化パッケージ・ERP型:特徴と代表サービス

建設業特化パッケージ・ERP型は、オンプレやプライベートクラウド上で会計・原価・給与・販売管理までを統合運用できるタイプです。建設大臣NX・MJSLINK DX 財務大将・OBIC7などが該当し、社員50名以上・複数の公共工事や専門工事・JV(共同企業体)案件を抱える建設会社が主な対象です。長期保守契約による自社サーバー運用や、業種特化のカスタマイズを重視する企業に向いています。

ERPとして基幹業務全体を統合する場合は初期費用が数百万円〜数千万円規模になるケースが多く、会計・原価・給与・販売管理をそれぞれ別ソフトで運用してきた企業が「一体化してデータ連携の手間を減らしたい」段階で候補に上がります。オンプレ買切りに加えて、Azure専有型のクラウド提供(大臣NXクラウド)や統合ERPのSaaS利用など、提供形態を選べる製品も増えてきています。

16. OBIC7会計情報ソリューション(株式会社オービック)

OBIC7会計情報ソリューション

単体決算から連結決算までを一貫してカバーし、IFRS(国際財務報告基準)・電子帳簿保存法・内部統制(J-SOX)への対応機能を備えた統合基盤として設計されているのが、株式会社オービックのOBIC7会計情報ソリューションです。

同社のコンポーネント型ERP「OBIC7」のうち財務会計・管理会計・連結会計を担うモジュール群で、販売・購買・人事給与など他の業務系システムと組み合わせて基幹業務全体を構築していく前提の製品です。

管理会計では任意の集計階層設定・多段階自動配賦・予算配賦、連結会計では内部取引消去・のれん償却まで標準機能に含まれ、複数会社管理・グループ経営を想定した機能構成となっています。全伝票のワークフロー承認と操作ログによる内部統制、電子帳簿保存法対応、経営分析システムと汎用検索システムによる組織別・セグメント別の業績分析までを、共通基盤上で扱えます。

提供形態はオンプレミスとプライベートクラウド(OBIC7クラウドソリューション)から選択でき、自社サーバー運用と外部インフラ運用のどちらにも対応します。料金プラン・初期費用は公開されておらず個別見積りとなるため、想定規模と導入するモジュールの範囲を整理したうえで問い合わせる流れになります。

17. 建設大臣NX(応研株式会社)

建設大臣NXのウェブサイト

応研株式会社の基幹業務パッケージ「大臣シリーズ」の建設業特化ラインとして提供されているのが、建設大臣NXです。財務会計ソフト「大蔵大臣NX」の振替伝票入力体系をベースに、工事台帳・間接費配賦・完成振替・経営事項審査(経審)シミュレーションといった建設業特有の処理を追加実装した業種特化パッケージにあたります。

グレードは「会計編」「NX」「NX Super」の3段階で、会計編は経審シミュレーションと出面管理を持たない小規模向け、上位のNX Superでは出来高査定・手形管理・インターネットバンキング連携までカバーします。

間接費の自動配賦は契約金額・材料費・労務費・外注費など9種類の配賦基準から選択でき、完成工事高計上時には未成工事支出金を工事原価科目へ振り替える完成振替伝票を自動作成する仕組みを備えます。

提供形態はオンプレミスの買い切りライセンス(税込792,000円〜1,716,000円、応研認定販売店掲載の標準価格)が基本で、Microsoft Azure上の専有クラウド環境で稼働させる追加サービス「大臣NXクラウド」も選択できます。別途、年間保守サービス「DMSS」への加入で税法改正対応プログラムの無償提供や電話サポートを受けられる仕組みです。

月額課金型のクラウド会計と比べて初期投資は大きくなりますが、長期利用を前提とした総所有コスト(TCO)で比較する場合や、自社サーバー運用・業種特化のカスタマイズを重視する建設会社が主な想定顧客となります。

MJSLINK DX 財務大将

会計科目・マスターを業種問わず柔軟に設計できる仕組みと、部門・セグメント・プロジェクト別の多軸集計を標準搭載する会計モジュールが、株式会社ミロク情報サービス(MJS)のMJSLINK DX 財務大将です。同社が「中堅・中小企業向けERP」として展開するMJSLINK DXシリーズの中核会計モジュールで、公式に年商50億円未満の企業を対象顧客として案内しています。

給与大将・販売大将・資産管理と組み合わせて基幹業務全体を統合運用する構成です。

個別原価管理機能・帳票(建設業・広告業・ソフトウェア開発業などプロジェクト単位の原価管理が必要な業種向け)、実行予算管理による進捗度合いに応じた実績比較データの自動作成、電子帳簿保存法・スキャナ保存制度への対応、外部データ連携によるAI仕訳といった機能を備え、建設工事業の会計基準対応も公式に明記されています。

ただし工事台帳・経営事項審査(経審)対応の可否は同製品の公式ページ・関連ページで明記されておらず、これらの機能が必要な場合は上位ライン「Galileopt DX」の建設業特化モジュール「工事大将」(別ライン・別契約)との組み合わせが必要になる可能性があります。

提供形態はオンプレミスとMicrosoft Azure基盤の「MJS DX Cloud」の両対応で、クラウド版は月額課金のサブスクリプションプランまたは5年使用許諾の買取プランから選択できます。料金は公式非公開・要問い合わせで、導入支援費・インフラ費も個別見積りです。

矢野経済研究所『2025 ERP市場の実態と展望』では、MJSLINKシリーズ(財務大将単体ではなくシリーズ全体としての実績)が「年商50億円未満の企業向け財務・会計管理ソリューション」のライセンス売上高シェア調査で2009年から16年連続の売上高シェアNo.1を獲得しています(2025年10月時点)。

建設業会計の特徴|建設業特有の勘定科目と会計処理が複雑になる理由

ここまで各サービスを紹介してきましたが、そもそも建設業の会計処理はなぜ一般の会計と別のソフトを検討する題材になるのか、背景を整理します。会計ソフトを選ぶ観点として、建設業特有の勘定科目と、会計処理が複雑になりやすい4つの理由に分けて解説します。

建設業特有の勘定科目(未成工事支出金・完成工事高・完成工事未収入金・工事未払金)

建設業では、一般企業の「売上高・売掛金・仕掛品・買掛金」に対応する勘定科目として、「完成工事高・完成工事未収入金・未成工事支出金・工事未払金」を用います。国土交通省告示「別記様式第十五号及び第十六号の国土交通大臣の定める勘定科目の分類」で、次のように定義されています。

一般会計の勘定科目(売上高・売掛金・仕掛品・買掛金)と建設業会計の勘定科目(完成工事高・完成工事未収入金・未成工事支出金・工事未払金)の対応関係を4対比で示した図解
  • 完成工事高:工事が完成し、その引渡しが完了したものについての最終総請負高(請負高の全部又は一部が確定しないものについては、見積計上による請負高)及び長期の未成工事を工事進行基準により収益に計上する場合における期中出来高相当額。
  • 完成工事未収入金:完成工事高に計上した工事に係る請負代金の未収額。
  • 未成工事支出金:引渡しを完了していない工事に要した工事費並びに材料購入、外注のための前渡金、手付金等。ただし、長期の未成工事に要した工事費で工事進行基準によつて完成工事原価に含めたものを除く。
  • 工事未払金:工事費の未払額(工事原価に算入されるべき材料貯蔵品購入代金等を含む。)。
出典:別記様式第十五号及び第十六号の国土交通大臣の定める勘定科目の分類(建設省告示第千六百六十号)|国土交通省

汎用の会計ソフトでもこれらの勘定科目を独自に登録すること自体は可能ですが、標準の科目マスタが「売上高・売掛金・仕掛品・買掛金」を前提としているため、決算書の様式変換や工事別集計の設定を手動で組む必要があります。建設業特化型のソフトは、この4科目を含む建設業向けの科目マスタと、工事コード単位での仕訳集計を最初から前提として設計されている点が実務上の違いです。

未成工事支出金は消費税の実務でも独自の論点を持ちます。国税庁の見解を引用します。

「未成工事支出金勘定に含まれる課税仕入れの額は、原則的には資産の引渡しを受けた日や下請外注先が役務の提供を完了した日の属する課税期間において仕入税額控除の対象とすることになります」(国税庁タックスアンサー No.6487)とされており、原則は各取引の発生日属する課税期間で仕入税額控除を行います。

ただし、「未成工事支出金として経理した課税仕入れの金額を、請負工事による目的物の引渡しをした日の属する課税期間の課税仕入れとしているときは、継続適用を条件としてその処理が認められています」とも示されているため、実務上は仕訳の記録段階で消費税処理の方針を決めておく必要があります。

出典・参考資料(1件)

会計処理が複雑になる4つの理由

建設業の会計処理は、一般の会計と比べて次の4点で難しくなりやすい構造を持ちます。

1. 工期が長期にわたる売上計上基準:工事契約は数か月から数年にわたる長期のものが多く、旧・企業会計基準第15号の「工事進行基準/工事完成基準」の2択は、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(2021年4月1日以後開始する事業年度から強制適用)で廃止されました。

現行は「一定の期間にわたり充足される履行義務」(かつての進行基準相当)か「一時点で充足される履行義務」(かつての完成基準相当)で区分し、前者は進捗度に基づき期間按分、後者は引渡し時点で認識します。

ただし建設業法施行規則の別記様式や国土交通省告示には旧用語「工事進行基準」が残っており、中小・非上場では「中小企業の会計に関する指針」に基づき従前運用の継続も認められるため、日常帳簿は現行の収益認識基準、経審申請などの法令書類は告示様式、という使い分けが実務ポイントになります。

90. 第81項の適用により、次の企業会計基準、企業会計基準適用指針及び実務対応報告は廃止する。
(1) 企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」(以下「工事契約会計基準」という。)

出典:企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」項90(1)|企業会計基準委員会

2. 複数現場の同時進行:建設会社は同時に複数の現場を抱えるのが一般的で、各現場ごとに材料費・外注費・労務費・経費を分けて集計する必要があります。汎用会計ソフトを工事別に使うと、工事コードを毎回入力する運用ルールを徹底できず、月末に「どの現場の費用か分からない仕訳」が残ってしまうことがあります。

建設業特化型のソフトは、仕訳入力の時点で工事コードを必須項目にできる設計や、外注費・材料費の勘定科目に工事コードを紐づけて自動集計する仕組みを持つ製品が中心です。

3. 原価配賦(間接工事費の配分):建設現場の共通経費(現場事務所の家賃、共通で使う仮設材の減価償却費など)は、複数の工事に按分して配賦する必要があります。この配賦計算をExcelで手動計算していると、期末の締めに時間がかかるうえ、配賦基準を変えたい時にすべての計算をやり直すことになります。

建設業特化型のソフトには、直接工事費比・請負金額比・作業員工数比などの配賦基準を選んで自動計算する機能を備える製品があり、複数の配賦基準を並行して試算できる製品もあります。

4. 現場労務管理と会計の接続:建設現場の作業員の労務費は、日々の出面(勤怠)データを工事コード別に集計して、工事原価に振り替える処理が必要です。給与計算ソフトと会計ソフトが別々になっていると、この労務費の工事別振替がボトルネックになりがちです。

姉妹の給与ソフト(例:スイート建設会計とスイート給与計算-出面管理-)を持つ製品や、統合ERP(例:建設大臣NX・OBIC7)では、この接続を製品内で完結できます。

建設業向け会計ソフトを導入するメリット

建設業向けの会計ソフトを導入すると、日々の仕訳から決算・経審申請までの一連の実務が変わります。導入前後で得られる具体的な効果を、5つの観点で解説します。

工事現場ごとに仕訳・原価管理ができる

仕訳入力の時点で工事コードを紐づける運用に切り替えれば、月次締めを待たずに現場ごとの原価と粗利を把握できます。ExcelやAccessで工事別集計表を運用していた企業では、集計作業に費やしていた工数と、集計ミスによる粗利算定の誤りが減ります。日々の仕訳が現場ごとに整理されているので、経営会議で現場責任者と粗利の状況を共有する会話も、後追いの数字ではなく直近の数字を材料にして進められます。

建設業特有の勘定科目を正確に処理できる

未成工事支出金・完成工事高・完成工事未収入金・工事未払金の4科目を含む建設業向けの科目マスタが最初から用意されているため、決算書の様式変換や消費税処理を手作業で組む必要が減ります。未成工事支出金の消費税処理(原則は各取引の課税期間、継続適用を条件に引渡し時点でも可)についても、仕訳入力段階で処理方針を反映できる製品が中心です。

前任者が独自に組んだ会計ソフトの設定を引き継いで運用している企業では、標準の建設業向け仕組みに乗せ換えることで、属人化した仕訳ルールの引き継ぎコストを下げられます。

属人化を防ぎ業務効率化につながる

汎用会計ソフト+Excel補完の運用では、「担当者が独自に組んだ集計シート」「税制改正の反映が担当者頼み」といった属人化が発生しがちです。建設業向けの会計ソフトを導入すると、業界向けに設計された標準機能に運用を乗せられるため、担当者が退職・異動しても後任が引き継ぎやすくなります。ベンダーが法改正への対応をアップデートで提供するため、税制改正や会計基準の改定への対応も社内リソースの負担を減らせます。

黒字工事に向けた収支分析ができる

工事別に原価と収益を集計できると、どの現場・どの工種・どの顧客で利益が出て、どこで薄利になっているかが見えてきます。実行予算と実績の差異分析、赤字工事の早期発見、粗利率の低い工事の受注方針の見直しなど、経営判断の材料が揃います。営業段階での見積精度の向上や、下請への発注価格の交渉基準など、次の工事の受注方針にもフィードバックできます。

インボイス制度・電子帳簿保存法に無理なく対応できる

2023年10月1日から適格請求書等保存方式(インボイス制度)が始まり、適格請求書発行事業者から交付された適格請求書の保存が仕入税額控除の要件となりました。建設業向けの会計ソフトは、適格請求書発行事業者番号の登録・確認、免税事業者との取引の経過措置(80%控除・50%控除)への対応、区分記載請求書との仕分けなどをソフト側で処理できるようになっています。

電子帳簿保存法も、電子取引の取引情報については電磁的記録での保存が義務化されており、原則として紙での保存は認められません(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 第7条)。下請業者からのメール添付見積書・請求書、EDI経由の発注書などをそのままシステム内で検索可能な状態で保存できる建設業向けソフトを使うことで、電帳法対応の実務工数を減らせます。

出典・参考資料(2件)

会計ソフトと工事原価管理システムの違い・併用

ここまでで「建設業向けの会計ソフト」の中の3タイプ・18製品を見てきましたが、実際に選定を進めると「会計ソフトで工事原価管理まで賄えるのか」「工事原価管理システムを別で入れるべきか」という疑問に突き当たります。次の「選び方(5つの比較ポイント)」に進む前に、両者は目的と対象範囲が異なる仕組みなので、まず役割の違いを整理し、そのうえで併用パターンを見ていきます。

会計ソフト(会社全体の決算・税務)と工事原価管理システム(現場ごとの予算・利益管理)の役割の違いと、両者の併用の3パターン(会計ソフト完結型・連携運用型・ERP統合型)を示した図解

それぞれの役割の違い

会計ソフトの目的は、会社全体の財務会計データを整えて決算書・税務申告書を作成することにあります。仕訳入力、総勘定元帳・貸借対照表・損益計算書の作成、法人税申告のもととなる会計データの整備が中心的な機能です。建設業向けの会計ソフトは、これに加えて未成工事支出金・完成工事高などの建設業特有科目、工事別原価管理、経審決算書類の作成を担います。

一方、工事原価管理システムの目的は、個々の工事(現場)ごとに予算・発注・実行原価・利益を管理することにあります。実行予算の登録、下請への発注・出来高査定、労務費・材料費・外注費・経費の実績集計、粗利のリアルタイム把握が主な機能で、決算書・税務申告書の作成機能は基本的に持ちません。どっと原価NEO・レッツ原価管理・工事原価Proなどが該当します。

役割を整理すると、会計ソフトは「会社全体の決算・税務」に責任を持ち、工事原価管理システムは「現場ごとの予算・利益管理」に責任を持ちます。両者の中間にある「工事別原価管理」は、会計ソフト側で担うことも、工事原価管理システム側で担うこともあり、どちらに寄せるかで運用設計が変わります。

併用パターン(会計側で原価管理をどこまで持つか)

会計ソフトと工事原価管理システムの関係は、実務では大きく3つのパターンに分かれます。

  • 会計ソフト完結型:工事別原価管理・工事台帳を建設業特化型の会計ソフト内で完結させる。工事数が数十〜数百件規模の中小工務店に多い。導入ソフトを1本に絞れる代わりに、実行予算や出来高査定などの現場マネジメント機能は簡易にとどまる
  • 連携運用型:現場向けに工事原価管理システムを別途導入し、月次や工事完了時に実績データを会計ソフト側にCSV連携やAPI連携する。現場の意思決定に必要な粗利可視化を工事原価管理システムで担い、決算・税務は会計ソフトで担う分業型。中堅の建設会社で採用が多い
  • ERP統合型:会計・原価・給与・販売管理を統合ERPで一体運用し、同一データベース上で仕訳と原価集計を連動させる。社員50名以上・複数拠点・JV案件を抱える中堅〜大規模の建設会社が主な対象

どのパターンが適するかは、工事数・現場数・経営判断で必要な粗利可視化の速度・IT運用体制によって変わります。会計ソフトを先に選ぶ前提でも、将来的に工事原価管理システムとの連携が必要になる想定があれば、CSV連携・API連携の実績が公開されている製品を選んでおくと後の運用移行が滑らかになります。

建設業向け会計ソフトの選び方(5つの比較ポイント)

ここまで紹介してきた3タイプ・18サービスから、自社に合うソフトを選ぶための比較ポイントを5つに整理します。順に照らし合わせて候補を絞ってください。

1. 建設業特有の勘定科目に対応しているか

未成工事支出金・完成工事高・完成工事未収入金・工事未払金の4科目を含む建設業向けの科目マスタが標準搭載されているかが選定の起点になります。建設業許可を持ち、経審の受審や建設業法に基づく決算届の提出がある企業では、これらの科目を用いた別記様式の決算書を作成することになるため、標準対応の有無で年次実務の負担が変わります。

汎用クラウド型を使う場合は、独自科目として追加する運用でも回りますが、決算書の様式変換や消費税処理は個別に組む必要があります。汎用型と特化型のいずれを選ぶかは、経審の受審有無・建設業法決算届の提出頻度・顧問税理士の対応方針で判断していきます。

2. 工事別原価管理・工事台帳を標準搭載しているか

工事別原価管理と工事台帳(工事番号・工期・請負金額・出来高・原価内訳・粗利をまとめた台帳)が標準機能として使えるかが確認ポイントです。工事番号を仕訳の必須項目にできる設計、材料費・外注費・労務費・経費を工事別に自動集計する仕組み、間接工事費の配賦計算の自動化などが実務の見どころになります。

工事数が数十件規模の小さな工務店であれば、汎用クラウドのタグ・プロジェクト機能でも運用できます。工事数が100件を超えたり、複数拠点で仕訳を並行入力したりする段階になると、建設業特化型の標準機能に乗せた方が集計と検算の工数を減らせます。JV案件や大規模な公共工事を扱う場合は、共同企業体の出資比率での按分計算に対応する製品を選ぶ必要があります。

3. クラウド型かパッケージ型か

クラウド型(SaaS)は、月額課金・初期費用が抑えられ、法改正への追従アップデートも自動適用されます。ブラウザさえあれば現場・支店・在宅から同一の会計データにアクセスできるため、複数拠点や現場からの入力・確認が必要な企業に向きます。データはベンダー側のクラウド環境で管理されます。

パッケージ型(オンプレ)は、初期費用と保守費用が発生する一方で、自社サーバーでの運用・独自のカスタマイズ・既存基幹システムとの密結合が可能です。特殊な業務フローや、社内ネットワークでのみ運用したいセキュリティポリシーに合わせたい場合の選択肢になります。建設大臣NX・MJSLINK DXシリーズなどはクラウド版とパッケージ版の両方を提供する製品もあるので、将来の運用移行を見据えて選択できます。

4. 既存の販管・原価・給与システムと連携できるか

会計ソフトを単体で使うか、既存の工事原価管理システム・給与計算ソフト・販売管理システム・発注管理システムと連携させるかで、選定基準が変わります。連携方式(CSV連携・API連携・ネイティブ連携)と、連携実績のある製品名を各社の公式ドキュメントで確認するのが基本手順です。

同一ベンダー内の姉妹製品(例:MJSのGalileopt DXシリーズ、TKCのFXクラウド+DAIC2クラウド、OBCの奉行クラウドシリーズ)を選ぶと、連携の設定と保守が同一窓口で完結します。

電子帳簿保存法対応で電子取引データをどう保管するか、EDIやZEDIとの接続をどうするかも、既存システムの状況によって設計が変わります。ソフト選定の前に「入力・保管・出力」の各段階でどのシステムにデータを持たせるかを、業務フロー全体で整理しておくと候補が絞りやすくなります。

5. 現場担当者でも入力できる操作性か

本社の経理担当だけでなく、現場責任者や現場事務員が入力・参照する運用を想定する場合、操作性は選定の重要な観点です。クラウド型はブラウザ画面が中心なので、現場のタブレット・スマートフォンからも入力・確認しやすい設計になっている製品が中心です。パッケージ型では、現場からのアクセスにVPNやリモートデスクトップの整備が必要になるケースもあります。

いずれの製品もトライアル(無料試用)が用意されていることが多いので、経理担当・現場担当の両方が実際の画面を触ってから決めるのが安全です。研修コンテンツの有無、導入初期のサポート体制(オンライン・訪問・電話・チャット)も、業務に落とし込むまでの時間に影響します。

経営事項審査(経審)決算書類・工事台帳への対応

公共工事の元請けとして直接請負を行うには、経営事項審査(以下、経審)を受審する必要があります。経審は建設業法第27条の23で法的に定められた審査で、経営規模・技術的能力・経営状況などを数値で評価する仕組みです。

第二十七条の二十三 公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない。

出典:建設業法(昭和二十四年法律第百号)第二十七条の二十三|e-Gov 法令検索

経審の対象となる建設業者は、建設工事の発注者と請負契約を締結する日の1年7か月前の日の直後の事業年度終了日以降に、経審を受けていなければならないと建設業法施行規則第18条の2で定められています。同施行規則第18条の3では、審査される客観的事項として「経営規模」「技術的能力」に加えて「建設業の経理に関する状況」が挙げられており、経理体制や会計処理の状況が評点に直結する構造となっています。

経審決算書類・工事台帳の自動作成対応可否(タイプ別の傾向)

建設業許可申請・経審申請では、財務諸表を建設業法施行規則の別記様式(貸借対照表:第十五号、損益計算書:第十六号、株主資本等変動計算書:第十七号、注記表:第十七号の二、附属明細表:第十七号の三)に沿って作成する必要があります。工事経歴書は同施行規則の別記様式第二号として定型化されており、一般の会計ソフトが標準出力する決算書とは様式が異なります。

この様式変換をどこまで会計ソフト側で担うかが、汎用クラウド型と建設業特化型を分ける最大の実務差です。3タイプの一般的な対応傾向は次のとおりで、実際の製品別の対応可否は下のマトリクスで確認できます。

  • 汎用クラウド型:別記様式の直接出力・評点シミュレーションともに標準対応しないケースが中心。決算書は一般様式で出力し、Excel転記や税理士側での組み替え、あるいは経審申請書類の作成に特化した別ソフトで補うのが基本パターン
  • 建設業特化クラウド型:勘定奉行クラウド[建設業編]iSは経審決算書類(別記様式)の作成、PCAクラウド 建設業会計とDAIC2クラウドは評点シミュレーションを標準搭載するなど、機能の分担が製品ごとに異なる
  • 建設業特化パッケージ・ERP型:建設大臣NX(NX以上)は別記様式出力・評点シミュレーションの両方を標準搭載。MJSLINK DX 財務大将のように経審対応は別ラインの姉妹製品(Galileopt DX 工事大将)に切り出しているケースもある

次の製品別マトリクスは、本記事で紹介した18サービスのうち、経審対応を明示している主要製品を抜き出したものです。「別記様式出力」は貸借対照表(別記様式第十五号)・損益計算書(同第十六号)・工事経歴書(同第二号)・完成工事高内訳明細書等を会計ソフト側で直接出力できるか、「評点シミュレーション」は自己資本額・完成工事高などの変更で総合評点(P点)がどう動くかを試算できるかを指します。

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サービス名勘定奉行クラウド[建設業編]PCAクラウド 建設業会計スイート建設会計DAIC2クラウド建設大臣NXMJSLINK DX 財務大将
タイプ建設業特化
クラウド
建設業特化
クラウド
建設業特化
クラウド
建設業特化
クラウド
建設業特化
パッケージ
特化パッケージ
ERP
別記様式出力(iSシステム)情報なし×(公式明記なし)情報なし(NX以上)×(工事大将で拡張)
評点シミュレーション(iSシステム)(総合評点の変化を試算)×(公式明記なし)(対策前後の点数比較)(NX以上)×(工事大将で拡張)
工事経歴書(iS)情報なし情報なし(NX以上)×(工事大将で拡張)
完成工事高内訳明細書(iS)情報なし情報なし情報なし(NX以上)×(工事大将で拡張)
工事台帳(工事原価台帳・工事収支管理表)(現場別工事台帳を自動作成)×(工事大将で拡張)
備考iAはiSシステム未搭載。経審書類作成・評点シミュレーションを求める場合はiSを選択評点シミュレーションと工事経歴書出力を標準搭載。完成工事高内訳明細書・別記様式の直接出力可否は公式ドキュメントで要確認経審対応が要件の場合は事前に確認貸借対照表の改善/資格取得/社会性の3方向の対策案ごとに評点比較会計編は経審非対応。NX/NX Superで対応経審対応が必要な場合は姉妹製品Galileopt DX 工事大将と組合せ
詳細情報サービス詳細を見る公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

本記事の全サービス(汎用クラウド型11製品・OBIC7)のうち、上のマトリクスに載っていない製品はいずれも経審別記様式出力・評点シミュレーションを公式に明示していません。経審受審が要件の場合はこのマトリクスに載る6製品から絞るのが実務上の起点になります。

経審評点を実務で上げるための運用ポイント

経審の総合評定値(P点)は、建設業法施行規則で次の5つの要素から算出することが定められています。

P 総合評定値
X1 経営規模等評価の結果に係る数値のうち、完成工事高に係るもの
X2 経営規模等評価の結果に係る数値のうち、自己資本額及び利益額に係るもの
Y 経営状況分析の結果に係る数値
Z 経営規模等評価の結果に係る数値のうち、技術職員数及び元請完成工事高に係るもの
W 経営規模等評価の結果に係る数値のうち、X1、X2、Y及びZ以外に係るもの

出典:建設業法施行規則(昭和二十四年建設省令第十四号)|e-Gov 法令検索
経営事項審査の総合評定値P点が、X1(完成工事高)・X2(自己資本額および利益額)・Y(経営状況分析)・Z(技術職員数および元請完成工事高)・W(X1・X2・Y・Z以外)の5要素から算出されることを示した図解

ここで会計ソフトの選定・運用に直結するのは、X1(完成工事高)とZ(元請完成工事高)を工事種類別に正確に集計できるかどうかです。工事種類別完成工事高は経審申請時の別記様式で提出が求められる項目で、日常の仕訳段階で工事種類を紐づけて記録できていないと、期末に手作業で振り分けることになります。

仕訳入力の時点で工事コードと工事種類を選ばせる運用ができる建設業特化型のソフトでは、この振り分けの工数と誤りを大きく減らせます。

Y(経営状況分析)は、貸借対照表・損益計算書などの財務指標から算出されます。未成工事支出金・完成工事高・工事未払金といった建設業特有の勘定科目を正しく計上できているかが、経営状況分析の基礎データの正確さに直結する点も押さえておきたい要素です。

経審申請の実務手順は、所管する地方整備局の手引きに沿って進めます。実務書式や提出書類の一覧は下記の参考資料などをご確認ください。

出典・参考資料(2件)
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よくある質問(FAQ)

Q. 建設業向け会計ソフトとは何ですか?

A. 建設業向け会計ソフトは、未成工事支出金・完成工事高などの建設業特有の勘定科目と、工事別の原価管理・工事台帳・経営事項審査(経審)の決算書類作成に対応した会計ソフトの総称です。

提供形態と特化度で汎用クラウド型・建設業特化クラウド型・建設業特化パッケージ/ERP型の3タイプに大別されます。汎用クラウド型は個人事業主・一人親方や小規模法人向け、建設業特化クラウド型は社員10〜100名前後の中小〜中堅工務店・建設会社向け、建設業特化パッケージ・ERP型は社員50名以上・複数拠点やJV(共同企業体)案件を抱える中堅〜大規模の建設会社向けが主な対象です。

Q. 建設業向け会計ソフトは、freeeやマネーフォワードなど汎用のクラウド会計ソフトで代用できませんか?

A. 記帳・確定申告・法人税申告といった基本的な会計業務であれば汎用クラウドでも対応できますが、未成工事支出金・完成工事高などの建設業特有科目や経審の別記様式による決算書類は標準対応外の製品が中心です。

タグ機能・部門機能・プロジェクト機能を「工事=タグ/部門/プロジェクト」として運用すれば工事別の集計自体は可能ですが、経営事項審査の受審や建設業法決算届の提出がある企業では、税理士側での様式組み替えや経審申請ソフトでの補完が別途必要になります。

判断の分かれ目は「経審受審の有無」「建設業許可の有無」「同時進行する工事数の規模」の3点で、いずれも汎用型で回っているうちは汎用クラウドで運用し、負荷が上がった時点で建設業特化型への乗り換えを検討する流れが現実的です。

Q. 建設業向け会計ソフトと工事原価管理システムはどう違いますか?

A. 会計ソフトは会社全体の決算書・税務申告書の作成を目的とするのに対し、工事原価管理システム(どっと原価NEO・レッツ原価管理・工事原価Pro等)は個々の工事ごとの予算・発注・実行原価・利益管理を目的とする点が最大の違いです。

実務では「会計ソフト完結型/連携運用型/ERP統合型」の3パターンで組み合わせて運用されます。詳しい役割整理と併用パターンは「会計ソフトと工事原価管理システムの違い・併用」節をご覧ください。

Q. 建設業向け会計ソフトの費用はどのくらいですか?

A. 汎用クラウド型は月額2,000〜7,000円台、建設業特化クラウド型は月額20,000〜40,000円台、建設業特化パッケージ・ERP型はオンプレ買切りで数十万円〜数百万円台が目安です。

汎用クラウド型は初期費用0円で始められるプランが中心で、月額2,000円台の低コストプラン(ひとり法人・スタートアップ向け)から、中堅向けの月額7,000円台前後まで幅があります。

建設業特化クラウド型は月額20,000円台〜40,000円台のレンジが中心で、経審書類作成・評点シミュレーションまで含めた上位グレードでレンジ上限に近づきます。

建設業特化パッケージ・ERP型はオンプレ買切りで数十万円〜数百万円台に加えて年間保守が発生し、ERP型では初期費用が数百万円〜数千万円規模になるケースもあります。詳細は本記事の比較表もご覧ください。

Q. 一人親方や個人事業主にも建設業向け会計ソフトは必要ですか?

A. 経営事項審査の受審や建設業許可の維持が不要な一人親方・個人事業主であれば、汎用クラウド型(個人事業主向けプラン)を月額数百円〜数千円で運用する形で十分です。

青色申告特別控除(最大65万円)を受けるには複式簿記による帳簿付けと電子申告が必要で、汎用クラウド型はこの要件を標準機能で満たすものが中心です。タグ・プロジェクト機能を「タグ=工事番号」として運用すれば工事別の粗利も追えます。

一方、建設業許可を取得している一人親方は、建設業法決算届(工事経歴書・財務諸表)の提出義務があるため、税理士側で別記様式に組み替える運用か、建設業特化型ソフトの導入を検討する形になります。白色申告でも記帳義務があるため、汎用クラウドの導入で作業負担は軽減できます。

一人親方・個人事業主向けの汎用クラウド会計の比較、青色申告65万円控除の要件やe-Tax対応の詳細は、以下の記事で整理しています。

Q. 建設業向け会計ソフトで経営事項審査(経審)の決算書類は自動で作成できますか?

A. 「別記様式の出力」と「評点シミュレーション」は別機能で、勘定奉行クラウド[建設業編]iSは書類出力、PCAクラウド 建設業会計とDAIC2クラウドは評点シミュレーション、建設大臣NX(NX以上)は両方に対応します。

汎用クラウド型は別記様式の直接出力・シミュレーションともに標準非対応で、税理士側での様式組み替えや経審申請書類の作成に特化した別ソフトで補う運用となります。製品別のマトリクスと運用ポイントは「経営事項審査(経審)決算書類・工事台帳への対応」節に整理しています。

Q. 建設業向けの無料会計ソフトはありますか?

A. 建設業特有の勘定科目・工事台帳・経審決算書類まで完全に無料でカバーする会計ソフトは存在せず、無料の汎用クラウド会計を工事別集計で運用する形が現実的な選択肢です。

無料の汎用クラウド会計は、決算書は一般様式で出力し、未成工事支出金・完成工事高などの建設業特有科目は独自科目として追加する運用が前提です。データ保存期間や利用機能に制限があるケースが多く、経審の受審や建設業法決算届の提出がある企業では有料の建設業特化型ソフトへの移行を前提とした暫定利用と捉える形が安全です。

建設業特化クラウド型の一部製品では、無料の汎用クラウド会計からのデータ移行経路を公式に用意しているケースがあり、無料版で運用を始めて要件が固まった段階で移行する進め方も取れます。

無料で使える会計ソフトの「どこまで無料か」を、法人・個人事業主別に、機能上限・仕訳件数・保存期間の観点で横並び比較した記事もあります。

Q. 建設業向け会計ソフトの導入にIT導入補助金は使えますか?

A. 建設業向け会計ソフトはIT導入補助金(2026年度からは制度名が「デジタル化・AI導入補助金」に変更)の対象となるソフトウェア類型に該当することが多く、通常枠およびインボイス枠(電子取引類型)で条件を満たせば導入費用の1/2〜3/4程度の補助を受けられる可能性があります。

本制度は年度ごとに複数回の公募が実施され、公募開始→交付申請→交付決定→契約・導入→事業実績報告→補助金交付、という流れで進みます。

公募のスケジュールは年度によって変わるため、導入を検討する段階で公式サイトの最新の公募スケジュールを確認しておくと、契約日と交付決定日の前後関係で補助対象外になるリスクを避けられます(交付決定前に契約・導入した費用は補助対象になりません)。

申請にはIT導入補助金事務局に登録された「IT導入支援事業者」を通じた手続きが必要で、対象製品と支援事業者はIT導入補助金公式サイト(本節末尾の参考資料)の「IT導入支援事業者・ITツール検索」ページから、事業者名・製品名・地域・業種で検索できます。補助率・補助上限額・対象経費は年度と申請枠によって変わるため、最新の公募要領を必ず確認してください。

会計ソフトはインボイス制度・電子帳簿保存法対応の観点で補助対象化される類型が多く、本記事で紹介した製品でもfreee会計・マネーフォワード クラウド会計・勘定奉行クラウド・ジョブカン会計などの主要ベンダーが、IT導入支援事業者としての登録や過去のIT導入補助金対象ツールとしての登録実績を公式サイト・関連ページで公開しています。

ただしどの年度・どの申請枠の対象となっているかは変動するため、実際の申請時には各製品ページ・IT導入補助金公式サイトの最新のツール検索結果で個別に確認する必要があります(本記事の一覧はあくまで参考)。

出典・参考資料(1件)

Q. 顧問税理士と一緒に建設業向け会計ソフトを選ぶポイントは?

A. 会計事務所連携アカウントの有無・税理士側のシステム対応・顧問料への影響の3点を先に確認し、税理士の運用側と揃うソフトを候補にすると、月次・決算の分業が滞りなく進みます

1. 会計事務所連携アカウント:税理士側で顧問先データを同一システム上で参照・編集できる無償・低額アカウントの有無が実務効率を大きく変えます。汎用クラウド型では士業向け無償アカウント制度を持つ製品が中心で、会計事務所連携型(月次巡回監査を前提とする製品群)は会計事務所と契約するとセットで導入する設計です。

建設業特化クラウド型・特化パッケージ/ERP型でも同様の会計事務所連携アカウントを提供している製品があります。

2. 税理士側のシステム対応:顧問税理士がすでに使い慣れているソフトに揃えると、決算・申告工数が下がり、その分の顧問料や決算料が下がるケースがあります。逆にソフトを分けると、税理士側でデータ受け入れ・変換のための追加工数が発生し、顧問料に上乗せされることもあります。「どのソフトなら税理士側の追加工数が最小か」を先に相談すると候補が絞りやすくなります。

3. 建設業経理・経審書類作成の分担:経審の別記様式決算書類・工事経歴書の作成を「税理士側で組み替える」か「会計ソフト側で自動出力する」かで、選ぶべき製品が変わります。税理士が経審申請書類作成に対応している場合は汎用クラウド型でも回せますが、社内で経審書類を完結させたい場合は建設業特化クラウド型・特化パッケージのうち別記様式出力を標準搭載する製品(本記事の経審対応マトリクス)が候補になります。

順序としては「先に税理士と選定候補を絞ってから資料請求」の流れの方が、契約後に運用が回らない事態を避けやすくなります。

Q. 建設業向け会計ソフトで工事進行基準・工事完成基準は今も使えますか?

A. 2021年4月1日以後に開始する事業年度からは企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」に統合され、旧・企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」(工事進行基準・工事完成基準の2択)は廃止されました。

現行制度では、収益は「一定の期間にわたり充足される履行義務」(かつての工事進行基準に相当)/「一時点で充足される履行義務」(かつての完成基準に相当)に区分して認識します。

ただし、建設業法施行規則の別記様式や国土交通省告示の勘定科目分類の本文には、いまも「工事進行基準」の語が残っているため、日常の会計処理は現行の収益認識基準で運用し、経審や建設業許可申請の書類は告示の様式に沿って作成するという切り分けが実務のポイントです。

中小・非上場の建設会社では「中小企業の会計に関する指針」に基づき従前の工事進行基準の運用継続が認められる場合もあります。選択は自社の顧問税理士とも確認してソフトの設定に反映していく形になります。

出典・参考資料(1件)

Q. 建設業向け会計ソフトは電子帳簿保存法・インボイス制度に対応していますか?

A. 主要な建設業向け会計ソフトは、電子帳簿保存法(電子取引データの電磁的記録保存)と2023年10月から始まった適格請求書等保存方式(インボイス制度)の双方に対応済みです。

電子取引の取引情報については電磁的記録での保存が義務化されており(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 第7条)、下請業者からのメール添付見積書・請求書、EDI経由の発注書などをシステム内で検索可能な状態で保存できる仕組みかどうかが選定時の確認ポイントになります。

JIIMA認証(電帳法スキャナ保存ソフト・電子帳簿・電子取引・電子書類の各法的要件認証)の取得状況は、各ベンダーの公式ドキュメントで確認できます。

インボイス制度対応では、適格請求書発行事業者番号の登録・確認、免税事業者との取引の経過措置(令和5年10月〜令和8年9月まで80%控除、令和8年10月〜令和11年9月まで50%控除)への対応が主要ベンダーで実装されています。

出典・参考資料(2件)

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
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