給与計算アウトソーシングは、毎月の給与計算や給与明細作成、振込データ作成といった実務を外部の専門業者に委託するサービスです。「うちの規模だといくらか」を社内で先に返す必要が出たときに、この記事は月額の目安・1人あたり単価・オプションの追加費用・年間トータルの試算までを、金額感の共有材料になる粒度で並べています。
従業員10名以下から500名超まで6段階で並べたので、自社の人数に当てはめてすぐ計算できます。
目次
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給与計算アウトソーシングの費用相場|規模別×1人あたり単価の一覧表
まず、自社の従業員数を当てはめて暫定額を出せるように、6段階の相場帯を一覧にまとめます。中小と大企業の間で相場が大きく開くため、10名以下から501名以上までを1つの表に並べています。
| 従業員規模 / 相場 | 10名以下 | 11〜30名 | 31〜50名 | 51〜100名 | 101〜500名 | 501名以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 月額の目安 | 約3〜5万円 | 約5〜8万円 | 約7〜12万円 | 約10〜20万円 | 約20〜80万円 | 約60〜300万円 |
| 1人あたり単価 | 1,000〜1,500円 | 800〜1,200円 | 500〜1,000円 | 400〜800円 | 300〜700円 | 200〜500円 |
| 基本料金の目安 | 約1〜2万円 | 約1〜2.5万円 | 約1.5〜3万円 | 約2〜5万円 | 約5〜20万円 | 約10〜50万円 |
※ 集約元:persol-bd(StepBase)/さかえ経営/給与計算.co.jp(料金表)/ペイロール/リードブレーン/ラクラス の公表相場を集約(いずれも 2026年8月時点)。単一の代表値ではなくレンジで示しています。
従業員10〜100名の中小帯では1人単価が下がる代わりに基本料金の比率が高くなり、100名超の中堅帯からは1人単価が主なコスト要因になります。501名を超える大企業帯では、大規模なカスタマイズや監査対応の要件で幅が大きく開くため、上限は要件次第で数百万円台まで振れます。
給与計算アウトソーシング月額料金の計算式と自社人数での試算
規模別の目安を出したら、次は自社の従業員数を式に当てはめて金額を絞り込む方法を紹介します。給与計算アウトソーシングの月額はほとんどのサービスで「基本料金+1人あたり単価×人数」の形をとり、これを押さえておくとサービスごとの見積書を横並びで比べられます。
「基本料金+1人単価×人数」の計算式(40名だといくらか)
実際の公表料金を式に入れると、40名規模ではおおむね次の幅に収まります。前節の相場帯は複数解説の中央的なレンジ、以下は個別サービスの公表料金に当てはめた実額例で、サービスによっては相場帯の下限を下回ります。
- 安めのケース:基本料金 5,000円 + 500円 × 40名 = 25,000円/月(給与計算.co.jp「スタンダードプラン」の公表式に40名を当てはめ、公式料金表で確認。2026年8月時点)
- 標準的なケース:基本料金 10,000円 + 1,000円 × 40名 = 50,000円/月(リードブレーンの解説が挙げる相場帯の中央値。2026年8月時点)
- 厚めのケース:基本料金 25,000円 + 1,500円 × 40名 = 85,000円/月(同レンジ上限。手当が複雑・拠点複数などの条件で上振れ)
同じ40名でも、サービスによって月額が2.5万円から8.5万円まで3倍以上ぶれます。見積書だけを見て「相場より高い/安い」の判断はしにくいので、まずは基本料金と1人単価を分解して自社の人数を当てはめ、複数社の見積で同じ式で比べることが有効です。
料金体系の3タイプ(従量課金/定額プラン/稼働時間制)と自社に効くもの
サービス提供者の料金体系はおおむね3タイプに分かれます。従量課金と定額プランは中小に、稼働時間制は大企業に多く採用されています。
- 従量課金制(1人単価×人数):基本料金+従業員1人あたりの月額単価。中小の主流。人員の増減に応じて自動で費用が動くので、拡大期・縮小期の会社に向く
- 定額プラン制:「50名まで月額◯円」のように従業員数レンジで固定。人数変動が少なく、月額を年間予算に固定したい会社に向く
- 稼働時間制(人月換算):受託側の実働時間で課金。500名超の大企業案件やカスタマイズが多い案件で採用される(ペイロールの解説)
基本料金に含まれる業務と、オプション(別料金)になる業務の切り分け
「基本料金+1人単価×人数」で出した月額に、実際は何が含まれていて何が含まれていないか。この切り分けが曖昧なままだと、意思決定の場で示した月額が実勢と合わなくなります。基本料金に含まれる業務と、オプション(別料金)扱いになる業務は、業界内でおおむね次の範囲で共通しています。
| 基本料金/オプションの切り分け | 毎月の給与計算(総支給額・控除額・差引支給額) | 給与明細の作成(Web配布のデータ生成まで) | 振込データ(FBデータ)の作成 | 社会保険料・所得税・住民税の控除計算 | 各種法定帳票(賃金台帳・源泉徴収簿)の作成 | 月次の勤怠データ取り込み(形式指定内) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 別料金になることが多い対応業務 | 年末調整 | 賞与計算 | 住民税の年次更新(6月切替) | 社会保険手続き(資格取得/喪失/算定基礎届 など) | 給与明細の紙印刷・郵送 | 入退社対応・法改正対応のスポット費用 |
年末調整・賞与・住民税更新の3つは、年に1〜2回しか発生しない工程のため、多くのサービスで毎月の基本料金と切り離してスポット課金しています。社会保険手続きは、社会保険労務士法 第2条・第27条で申請書等の作成・提出代理が社労士の独占業務と規定されており(e-Gov法令検索)、社労士資格を持たない代行会社は原則として提携社労士経由で対応するため、追加費用が発生します。
オプション別の追加費用|年末調整・賞与・社保手続き・明細郵送などの単品相場
オプションは単品ごとに金額を分けて把握します。「10〜20万円プラス」でまとめると、年末調整だけ頼みたい場合や、社保手続きだけ切り分けたい場合の金額感が作れません。個別サービスの実額はサービスごとに要問合せのことが多いため、以下では単品ごとに一般的な相場帯を示します。
年末調整代行の追加費用
基本料金1〜2ヶ月分+従業員1人あたり2,000〜3,500円が中心相場。40名なら年1回で 10〜20万円/年 が目安(persol-bd(StepBase)/さかえ経営の集約値。2026年8月時点)。給与計算とセットの顧客は割引価格、単発(スポット)依頼は割高になる傾向があります。
賞与計算の追加費用
基本料金の0.5〜1ヶ月分+人数連動が一般的で、40名なら1回あたり 3〜6万円。年2回発生する会社では年間 6〜12万円。毎月の給与計算料金の半額前後で計算しておくと年間試算が実勢に近くなります(さかえ経営の相場帯を参照)。
社会保険手続きの追加費用
算定基礎届・月額変更届・被保険者資格取得届/喪失届などの手続き代行。従業員1人あたり 月200〜600円 の月額課金か、届出1件あたり 3,000〜10,000円 のスポット課金が多く採用されています(persol-bd(StepBase)の相場帯を参照)。
社労士法 第27条により、正式な申請書等の作成・提出代理は社労士または社労士法人が実施するため、社労士資格を持たない代行会社は提携社労士への外注費として上乗せされます。
給与明細印刷・郵送の追加費用
Web配布のみなら基本料金に含まれることが多いですが、紙印刷+封入+郵送を代行する場合、1通あたり100〜300円 が目安。40名で毎月郵送なら年間 約5〜15万円 の上乗せ(さかえ経営の相場帯を参照)。Web明細に切り替えるだけで削れる項目のため、コスト圧縮の第一候補になります。
住民税更新の追加費用
特別徴収税額決定通知書(多くの自治体で5月に届き、6月給与から新税額を適用)に沿って全従業員分の住民税額を更新する工程。単価は 従業員1人あたり300〜1,000円、または 年1回一律の作業費数万円 のいずれか(persol-bd(StepBase)の相場帯を参照)。
特別徴収は事業主が特別徴収義務者として全従業員について実施が求められる制度で(東京都主税局「個人住民税」)、代行会社に任せている会社では毎年6月にこの費用が発生します。
入退社対応の追加費用
従業員マスタの登録・削除、初回給与のプロラタ計算、退職金や有給精算などのスポット処理。1件あたり2,000〜5,000円 が目安(さかえ経営の相場帯を参照)。人員変動が多い会社は年間で数万〜数十万円積み上がるため、見積書の該当条項を必ず確認します。
初期費用(導入費)の目安|月額1ヶ月分〜200万円まで規模で開く
月額とは別に、契約時に一度だけ発生するのが初期費用(導入費)です。初年度合計を出すために欠かせない項目で、相場は規模で大きく開きます。
- 中小規模(〜50名):月額の1ヶ月分〜3〜10万円が中心。給与計算.co.jp は「月額の1ヶ月分」を導入費として提示(公式料金表)
- 中堅規模(51〜300名):10〜50万円が目安。従業員マスタ移行・勤怠システム連携の要件で幅が出る
- 大企業(300名以上):50〜200万円超。ラクラスは300名規模の事例で初期200万円〜/年間200万円〜と紹介(ラクラスの解説)
一方で、キャンペーンや契約条件によっては「導入費なし」を打ち出すサービスもあります。見積書で初期費用の欄が空欄になっていても実額を書面で確認し、契約後の請求で追加されないかを口頭でも押さえておきます。
40名・80名での年間トータル試算例(安め/平均/厚めの3シナリオ)
ここまでで出した月額・オプション・初期費用を組み合わせ、金額感の共有材料になる年間トータル試算にします。40名・80名の2規模で、安めシナリオ/平均シナリオ/厚めシナリオを並べました。単一の代表値ではなく幅で見せます。
40名規模の年間トータル試算
| 40名規模 / 年間トータル試算 | 月額 × 12ヶ月 | 年末調整(年1回) | 賞与計算(年2回) | 初期費用(初年度のみ) | 初年度合計 | 2年目以降(初期費用除く) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 安めシナリオ | 2.5万 × 12 = 30万 | 10万 | 3万 × 2 = 6万 | 2.5万 | 約48.5万円 | 約46万円 |
| 平均シナリオ | 5万 × 12 = 60万 | 15万 | 4.5万 × 2 = 9万 | 10万 | 約94万円 | 約84万円 |
| 厚めシナリオ | 8.5万 × 12 = 102万 | 20万 | 6万 × 2 = 12万 | 10万(拠点複数・システム連携カスタマイズありでは20万まで振れる) | 約144万円 | 約134万円 |
80名規模の年間トータル試算
| 80名規模 / 年間トータル試算 | 月額 × 12ヶ月 | 年末調整(年1回) | 賞与計算(年2回) | 初期費用(初年度のみ) | 初年度合計 | 2年目以降(初期費用除く) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 安めシナリオ | 10万 × 12 = 120万 | 18万 | 5万 × 2 = 10万 | 10万 | 約158万円 | 約148万円 |
| 平均シナリオ | 12万 × 12 = 144万 | 25万 | 7万 × 2 = 14万 | 20万 | 約203万円 | 約183万円 |
| 厚めシナリオ | 18万 × 12 = 216万 | 35万 | 10万 × 2 = 20万 | 50万 | 約321万円 | 約271万円 |
3シナリオはそれぞれ次を想定しています。表の月額には社会保険手続き・住民税更新・給与明細配布の費用を含めた前提で、安めシナリオはWeb配布のみ・シンプル運用、平均シナリオはWeb配布+標準的な社保手続き・住民税更新込み、厚めシナリオは紙明細郵送+拠点複数+振込代行までフルの想定です。
意思決定の場では平均シナリオを主軸に、上下ぶれの幅として安め・厚めを併記すると、想定外の請求で試算のやり直しを避けられます。
月額が上下する要因|従業員数以外に費用を変える6つのポイント
同じ人数の会社でも、以下の6要因で月額が数割変わります。自社が割高になる/安く抑えられるの当たりをつけるのに使えます。
- 手当項目の複雑さ:役職手当・通勤手当・住宅手当・資格手当など手当の種類が多いほど計算工数が増え、割増料金の対象になる
- 拠点数:本社と支店で就業規則が異なる場合や、複数の給与体系を並行運用する場合、事業所ごとに集計単位が増えて割増になる
- 給与形態の混在:月給・時給・日給・出来高払いなど計算ロジックの異なる従業員が混在すると単価が上がる
- 勤怠システム連携の有無:クラウド勤怠(KING OF TIME・ジョブカン勤怠 等)と自動連携できると割安、Excelや紙タイムカードから手入力の場合は割増
- 振込代行の要否:FBデータを渡すだけならほぼ標準料金、代行会社が総合振込まで実行するとオプション化される
- 給与明細の配布方式:Web配布のみが最安、紙印刷は明細1通あたり100〜300円、郵送はさらに切手代・封筒代が上乗せ
加えて、法改正対応の費用構造にも注意します。健康保険料率は都道府県ごとに毎年度改定され(協会けんぽ「都道府県毎の保険料率」)、代行会社側でその都度マスタ更新が必要になります。
一方で厚生年金保険料率は平成29年9月を最後に18.3%で固定されているため(日本年金機構「厚生年金保険料額表」)、社会保険料の全体が毎年変わるわけではありません。定額減税のような制度改定時は、代行会社の「法改正対応」オプションで追加費用が発生することがあります。
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給与計算の外注、内製と比べてどう選ぶか(代行/クラウド給与ソフト/社労士事務所の3択)
給与計算を外に出す選択肢は、代行専門会社(BPO型)だけではありません。実務上は代行/クラウド給与ソフトで社内運用/社労士事務所の3択で比較されます。それぞれの相場と向く企業を整理します。
代行専門会社(BPO型)に依頼する場合の相場と向く企業
相場は本記事の一覧表のとおり、40名で月2.5〜8.5万円、年間48〜144万円。給与計算・明細作成・振込データまで一気通貫で任せられる代わりに、社保手続きや税務書類(源泉徴収票の税務署提出など)は別料金または提携先経由。担当者の工数を月10時間以上削りたい/担当者の急な不在で回らなくなるリスクを下げたい会社 に向きます。
クラウド給与ソフトを社内で回す場合の相場と向く企業
freee人事労務・マネーフォワードクラウド給与・ジョブカン給与計算などが代表格。月額数千円〜数万円で使えるため、40名規模でも年間コストは 10〜30万円 前後に抑えられます。ただし実務は社内担当者が回すため、担当者の時間コストが別途乗ります(時給2,500円 × 月10時間 × 12ヶ月=年30万円が目安)。社内に給与計算の実務経験者がいる/人員変動が少ない会社 に向きます。
社内でクラウド給与ソフトを回す方向に傾いた場合は、以下の記事で主要な給与計算ソフトの機能・料金・選び方を比較しています。内製で使うツールを絞り込む際の判断材料としてご活用ください。
社労士事務所に依頼する場合の相場と向く企業
社労士事務所は、給与計算・社会保険手続き・労務相談をまとめて任せられます。相場は代行会社と近く 40名で月5〜10万円、加えて労務顧問料が月2〜5万円。社保手続きを含めて外に出したい/労務トラブルの相談窓口も欲しい会社 に向きます。社労士法 第2条の独占業務(申請書等の作成・提出代理・帳簿書類の作成)を正式に代行できるのは社労士のみのため、法令遵守の観点で選ばれることが多い選択肢です。
損益分岐の目安:何人以上・何年目から代行が得になるか
クラウド給与ソフトを社内で回した場合の年間トータル(ソフト費用+担当者時間コスト)と、代行会社の平均シナリオを重ねると、おおむね次が損益分岐の目安になります。
- 30名以下:クラウド社内運用が有利。担当者の月間工数は5〜10時間程度で収まりやすい
- 30〜50名:拮抗ゾーン。担当者兼任度が高い(他業務との合計で残業が発生)なら代行のほうが総額で下回ることがある
- 50名以上:代行のほうが総額で下回るケースが多い。担当者の月間工数が20時間を超えると、時間コストだけで代行料金と拮抗する
「何年目から」の観点では、初年度は代行の初期費用(10〜30万円)が乗るため損益分岐の人数がやや上に振れ、2年目以降は初期費用が消えるぶん分岐点が下がります。単年比較を示すときは「初年度」と「2年目以降」の両方を提示すると、契約年数を通した総額感が伝わりやすくなります。
ただしこれはコスト面だけの比較で、担当者の急な退職・産休で回らなくなるリスク(属人化リスク)はクラウド社内運用のほうが大きくなります。意思決定の場では「金額」と「継続運用リスク」の両面で比較材料を出しておくと、意思決定が早く進みます。
見積書の読み方|失敗パターンから逆算するチェックリスト
相場を掴んで見積書を取ったら、次は「安いと思ったら想定外の請求が来た」を防ぐ工程です。実務でよくある失敗パターンを、見積書のチェック項目に翻訳したものが以下です。
- 基本料金と1人単価が分解表記されているか:「40名 月5万円」のように総額だけ書かれていると、人員増減時にどう請求が変わるか読めない。基本料と単価が分かれていない見積書は、必ず内訳を書面で求める
- 「最低受託人数」の条項があるか:実際の人員が下限を割ってもその金額が請求される条項がある。10名規模で「最低30名分」の見積を掴むと単価計算が崩れる
- 年末調整・賞与・住民税の単価が明記されているか:「別途費用」でごまかされていると、社内で示した月額と実請求が乖離する。単品ごとの金額を必ず書面で押さえる
- 入退社対応の単価が示されているか:1件2,000〜5,000円が目安。人員変動の多い会社では年間で数十万円積み上がる
- 法改正対応の費用ポリシーが明記されているか:健康保険料率改定・定額減税のような制度改定時に、追加費用ゼロで対応するのか、都度スポット課金するのかを確認
- グループ会社・複数拠点の追加費用の条項があるか:1社追加=月額◯◯円、拠点追加=◯◯円 の形で明示されているか
- 解約時のデータ返却費用が示されているか:数年後の乗り換えで「解約データ返却手数料 数十万円」が発生する事例あり(ペイロールが「隠れコスト」として指摘)
- スポット依頼・緊急対応の単価が示されているか:急な遡及計算・修正処理は通常料金の1.5〜2倍で請求される場合が多い
複数社から見積を取るときは、上記の項目を揃えたリクエストシートを事前に用意して、同じ条件で回答してもらうと横並びで比較できます。「月額いくら」の1行で比べると、条件の違いで安く見えるサービスに引っかかりやすくなります。
相場を掴んだうえで、実際にどのサービスに依頼するか比較検討する段階では、以下の記事が導入検討の全体像に役立ちます。主要な給与計算アウトソーシングサービスの一覧・選び方の詳細解説をまとめています。
給与計算アウトソーシングおすすめ34選を比較|業務範囲・料金体系・規模別の選び方
毎月の給与計算や賞与計算、年末調整、社会保険の手続きに、特定の担当者が追われていないでしょうか。社会保険料率や税制は毎年のように改正され、その都度の確認作業まで含めると、経理や人事、総務の少人数体制では業務が属人化しやすくなります。担当者が…
代表的な給与計算アウトソーシングサービスの費用と特徴
ここまでの相場を踏まえて、実際に料金を公表しているサービスを短く紹介します。それぞれの公表料金と対応範囲を確認し、候補社のスペック比較シートの材料として使ってください。以下の3社はいずれも経理業務全般(給与計算を含む)を任せられる BPO 型で、給与計算+周辺経理を一括で外注したい会社の候補として位置づけられます。
| 紹介サービス3社 スペック比較 | Wheat Accounting | Tenbook | マネーフォワード おまかせ経理 |
|---|---|---|---|
| 月額料金 | スモール40,000円〜/スタンダード60,000円〜/アドバンス150,000円〜(実額は工数と納期で個別見積もり) | 会計サービス月額 免税事業者29,500円/課税事業者43,500円、給与計算のみは要問合せ(実績レンジ5万〜35万円) | 従業員5名の企業で月額10万円(税抜)※事例ベース、実額は業務量に応じた個別見積もり |
| 対応業務範囲 | 記帳・請求書作成・支払・給与計算・月次決算まで経理業務全般 | 会計・記帳・決算書/法人税申告書作成、給与/賞与計算・給与明細作成・年末調整(10bookに内包) | 記帳・請求書発行・支払・給与/賞与計算・振込・月次試算表 |
| 社会保険手続き対応 | 連携社労士経由で別途対応 | 要問合せ | 対象外(税務業務も対象外、必要時は税理士紹介) |
| 初期費用 | 個別見積もり(約1ヶ月のテスト運用期間あり) | 0円(決算料も不要) | 個別見積もり(無料相談から運用開始まで最短2ヶ月) |
| 対象規模の目安 | 従業員1〜100人/年商数千万〜100億 | 売上高15億円以下 | マネーフォワード クラウドを軸に運用したい中小企業 |
Wheat Accounting(株式会社Wheat)

「経理DXとプロの運用を両立する」を掲げる株式会社Wheatの経理アウトソーシングです。記帳・請求書作成・支払・給与計算・月次決算まで経理部門業務全般をカバーし、税務申告は連携税理士、社会保険手続きは連携社労士が担当する体制を組んでいます。
公表料金は月額スモール40,000円〜/スタンダード60,000円〜/アドバンス150,000円〜(スモールは初年度キャンペーン価格30,000円〜と公式明記)で、年商・従業員数レンジで3段階に分かれ、実額は「工数」と「納期」で個別見積もりになります。
- 3プランは年商レンジ(数千万〜1億/1〜10億/10〜100億)と従業員数レンジ(1〜10人/10〜30人/30〜100人)に紐付く
- 対応業務に給与計算を明記、社会保険手続きは連携社労士経由で別途対応
- 約1ヶ月のテスト運用期間で業務ヒアリング・オペレーション設計を実施し、その後の本運用へ移行
- 45分間のオンライン無料相談あり、電話受付は10:00〜18:00(土日祝を除く)
- 月次決算の納期は資料提出完了から10〜15営業日
Tenbook(シンアカウンティングサービス株式会社)

公認会計士・税理士が運営するシンアカウンティングサービス株式会社が提供するサービス名「Tenbook」で、自社プロデュースのクラウド会計ソフト「10book」(プロダクト名)と組み合わせたオンライン完結型の会計サービスです。給与計算は10bookの機能として給与・賞与計算・給与明細作成に対応し、代行契約者には10bookが無料で提供されます。
同社が公表する料金は会計サービスの月額(免税事業者29,500円・課税事業者43,500円)で、給与計算のみを切り出したアウトソーシング料金は非公表(要問合せ)です。実際の月額レンジは企業規模・依頼内容で5万〜35万円になります。
- 会計サービスの月額は免税事業者29,500円/課税事業者43,500円、初期費用0円・決算料不要
- 給与サービス(給与・賞与計算・給与明細作成・年末調整)は10bookに機能として内包、単体料金は要問合せ
- 会計・経理・給与計算を1つのシステムに集約し、システム切り替え不要の設計
- 3名のチーム体制で品質・安定性を確保、記帳〜決算書・法人税申告書作成までワンストップ対応
- 対応規模の目安は売上高15億円以下、月額の実績レンジは5万〜35万円で取引件数・従業員数に応じて変動
マネーフォワード おまかせ経理(株式会社マネーフォワード)

株式会社マネーフォワードのブランドで提供され、経理BPOの実務はグループ会社の株式会社キャシュモが担う経理アウトソーシングです。マネーフォワード クラウドの導入支援から、記帳・請求書発行・支払・給与計算・月次試算表作成までを一括で請け負います。公式が示す料金例は「従業員5名の企業で月額10万円(税抜)」(プラン固定価格ではなく事例ベースの提示)で、実額は業務量に応じた個別見積もりになります。
- 対応業務に給与・賞与計算・振込を含み、月次試算表は最短5営業日で提供
- マネーフォワード クラウド(会計・請求書・経費・給与)の導入支援を実務代行と一体で実施
- 決算申告等の税務業務は対象外、必要時はマネーフォワード公認メンバーの税理士を紹介
- 無料相談から運用開始まで最短2ヶ月、契約は電子署名で完結
- コミュニケーションはChatwork・Slack・ビデオ会議ツール、緊急時は電話対応
まとめ
給与計算アウトソーシングの相場は、従業員規模と依頼するオプションで大きく変わります。社内共有の材料になる要点を短く整理します。
- 規模別月額の目安:10名以下 3〜5万円/11〜30名 5〜8万円/31〜50名 7〜12万円/51〜100名 10〜20万円/101〜500名 20〜80万円/501名以上 60〜300万円
- 計算式:「基本料金+1人単価×人数」。40名なら月2.5〜8.5万円に収まることが多い
- オプションの単品相場:年末調整 10〜20万円/年、賞与計算 3〜6万円/回、社保手続き 月200〜600円/名、明細郵送 1通100〜300円
- 年間トータル(40名・平均シナリオ):初年度 約94万円/2年目以降 約84万円
- 選び方:30名以下はクラウド社内運用、50名以上は代行が総額で下回りやすい。社保手続きも外に出したい場合は社労士事務所が候補
- 見積書チェック:基本料と1人単価の内訳/オプション単価/最低受託人数/法改正対応ポリシー/解約時費用 の5点を書面で確認
これらの数字を意思決定者に示せば、金額感の共有と次のステップ(複数社に見積依頼)まで一気に進められます。
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よくある質問(FAQ)
Q. 給与計算アウトソーシングは年末調整だけを単発(スポット)で依頼できますか?
給与計算アウトソーシングは、年末調整だけを単発で依頼できるサービスが多くあります。毎月の給与計算とセットで契約している顧客に比べて割高になる傾向で、従業員1人あたり2,000〜3,500円+基本料金1〜2ヶ月分が目安(40名なら年10〜20万円)。
翌年6月の住民税更新や賞与計算をまとめて任せられるスポットプランを用意するサービスもあるので、必要な工程だけを切り出して見積を取ると横並びで比較しやすくなります。
Q. 個人事業主や従業員数名の会社でも給与計算代行を使えますか?
給与計算代行は、個人事業主や従業員数名の会社でも利用できるサービスが揃っています。ただし1人あたりの単価が高く付き、基本料金の比率も上がるため、フル外注では割高になりやすい価格帯です。
月数千円から使えるクラウド給与ソフト(freee人事労務・マネーフォワードクラウド給与など)を社内で回し、年末調整や社保手続きだけを外部に切り出す組み合わせが、10名以下の規模ではコスト面で合いやすい選び方になります。
Q. 自社で使っているクラウド給与ソフト(freee・マネーフォワードなど)と連携して依頼できますか?
給与計算代行の多くは、freee人事労務・マネーフォワードクラウド給与など既存のクラウド給与ソフトと連携して受託できます。API連携またはCSVデータのやり取りで既存環境を残したまま業務だけを外部に移せるため、給与システムを入れ替える必要はありません。
契約前に、自社で使っている給与ソフト・勤怠システムの型と連携方式(API/CSV/独自フォーマット)を伝えて対応可否を確認しておくと、稼働開始後の齟齬を避けられます。
Q. 給与計算アウトソーシングの初期費用(導入費)は必ずかかりますか?
給与計算アウトソーシングの初期費用は、「月額の1ヶ月分〜10万円前後」を求めるサービスが中心ですが、キャンペーンや契約条件で導入費を無料にする例もあります。「導入費なし」の場合でも、従業員マスタ移行・勤怠システム連携・初回テスト計算などが別費用として請求されるケースがあるため、契約書面で「初期費用に含まれる作業範囲」を明記してもらうと契約後の追加請求を防げます。
Q. 契約後に月額料金が途中で上がることはありますか?
月額料金が契約後に上がる主な要因は、従業員数の増加・オプション業務の追加・イレギュラー対応の増加の3つです。従量課金制なら人員が増えた分だけ「1人単価×増員数」が自動で加算され、拠点追加や新しい手当項目の運用開始で割増になることもあります。年1〜2回の法改正対応や、遡及計算・修正処理のスポット費用も上振れ要因になるため、契約前に「どの条件で月額が改定されるか」を書面で確認しておきます。
Q. 給与計算代行に対応エリアの制限はありますか?地方拠点でも依頼できますか?
クラウド上でデータをやり取りする給与計算代行なら、東京・大阪・地方を問わず全国どこからでも依頼できます。給与データ・勤怠データ・従業員マスタはすべてオンラインで受け渡すため、代行会社と自社の所在地が離れていても月次運用に支障は出ません。対面での打ち合わせや、地域の社会保険手続きの相談まで込みで任せたい場合は、自社近隣の社労士事務所を候補に入れる選び方もあります。
Q. 給与計算アウトソーシングは契約から最短どのくらいで運用を始められますか?
給与計算アウトソーシングの導入期間は、最短1週間〜1ヶ月程度で運用を始められるサービスが多いです。従業員マスタ・勤怠データ・給与体系の情報を提供して初回テスト計算を回すのに、1〜2ヶ月の並走期間を設ける丁寧な導入プロセスを取るサービスもあります。
担当者の急な退職・産休で「来月の給与計算が回らない」といった緊急時にも短期・スポットで受託する会社が増えているので、切迫度を伝えて相談すると対応可能な候補が絞り込めます。
Q. 社労士資格のない代行会社に、社会保険の手続きまで任せられますか?
社会保険の資格取得届・喪失届・算定基礎届などの作成と提出代理は、社会保険労務士法 第2条・第27条により社労士または社労士法人の独占業務と定められているため、資格のない代行会社に直接依頼はできません(e-Gov法令検索)。
実務では代行会社が提携社労士に取り次いで対応するのが一般的で、その分の費用が上乗せされます。給与計算そのもの(毎月の総支給額・控除額の計算)は独占業務に含まれないため、社労士でない代行会社でも受託できます。
Q. 給与計算代行に払った費用は、会計上どの勘定科目で処理しますか?
給与計算代行の外注費は、「外注費」または「支払手数料」で処理するのが一般的です。継続的に業務を委託している場合は「外注費」、単発のスポット依頼や年末調整だけを依頼した場合は「支払手数料」で仕訳する会社が多く、消費税の課税区分はいずれも課税仕入になります。自社の会計基準や顧問税理士の運用ルールで科目が変わることがあるので、初回計上前に税理士に確認しておくと年度末の修正仕訳を避けられます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。



















