インタビュイー:
株式会社Pacific Meta CEO 岩崎 氏
オンチェーンシステムコンサルティングとは、どのようなサービスですか?
ブロックチェーンに取り組みたい、あるいは取り組まなければならないのではないかとお考えの企業様に向けて、結論として何をやるべきか、何に取り組むべきかを一緒に考えていくサービスです。ご相談の7〜8割は金融機関の方からです。プロダクトではなくコンサルティングですので、かなり柔軟な形になります。
進め方としては、まずインプットから入ることが多いです。オンチェーン金融とは何か、どういうことができるのかという基礎から、事例のご紹介、スマートコントラクトで何ができるのかまでをお話しします。たとえばトークンを担保にできること、DVPで即時決済ができることなど、基礎的なところから入ります。そこをご存じない方も多いためです。
次に事業テーマの選定です。セキュリティトークン、ステーブルコイン、DeFi、レンディングなど、テーマはさまざまにありますので、事業ごとの仕組みや収益構造、事例を解説します。そのうえで、市場規模、収益性、現時点での規制対応の可否、競合の少なさ、既存事業とのシナジーなどを踏まえて優先順位を決めていきます。その後は一般的なコンサルティングと同じように、事業設計や、プロダクト開発のスキーム、アーキテクチャの設計へと進みます。
このコンサルティングを始められた背景について教えてください。
ビジネスとしての背景と、私個人の背景の2つがあります。ビジネスとしては、新しい技術に賭けたかったという思いがありました。新しい技術に賭けるほうが、ビジネスとしては大きくなると考えていたためです。ブロックチェーンは登場自体はかなり前からありましたが、これまでは暗号資産のトレードが中心で、ビジネスとして十分に活用されてはいなかったと思います。ところが、アメリカなどで金融にブロックチェーンが使われるケースが出てきて、ユーザーがすでにその恩恵を受け始めていました。これを日本に広めることは、ビジネスとしてチャンスがあると純粋に感じました。
個人的な興味としては、私は金融が非常に好きで、ずっとスタートアップをやってきた人間です。スタートアップはお金がなかったからこそ、人からお金を調達して挑戦してきました。金融は、お金が余っているところから、必要としている人へ融通する仕組みだと思っています。当時お金がなかった私は、ファイナンスによって挑戦できた経験があり、そこから金融に強い興味を持つようになりました。その延長で、金融業界を大きく変えるであろうブロックチェーンにも関心を持ったという流れです。
他社と比べた強みはどこにありますか?
純粋に、ブロックチェーン人材が多いことです。この領域は、いわゆるジェネラルなコンサルタントの方が活躍しにくいと感じています。ブロックチェーンネイティブの人たちがどう考えているのか、海外でブロックチェーンがどのように活用されているのかなど、非常に詳しくなければなりません。当社にはビジネス側の人材とテック側の人材の両方がいて、どちらもブロックチェーンが本当に好きなのです。
ブロックチェーン事業をやっている方のほとんどは、実際には知見が十分ではないのではないかとも思っています。たとえば私自身、資産はほとんどステーブルコインをベースに持っていて、ビットコインが下がったら買い、そうでないときはステーブルコインでレンディングするような生活をしています。それくらいのレベルでブロックチェーンネイティブな人間が多いことが、当社の強みです。
これまでのご支援実績や体制は、どのように活きていますか?
実績が多いことでノウハウが蓄積されており、クライアント様にも安心していただけていると思います。特に海外との連携は重要です。海外展開をするときや、海外の技術を使うときが多いためです。たとえばイーサリアムを使うにしても、特定の日本企業のサービスではありません。当社のクライアントには海外の企業もありますので、海外のトッププレイヤーの技術を日本の企業にインテグレートできる点は強みです。
もう一つは、セキュリティ基盤がしっかりしていることです。当社はブロックチェーン関連以外の開発も手がけています。将来的にはブロックチェーンをベースにした開発に強い組織にしていきたいのですが、いわゆるWeb2のシステム開発にも強くなっていかなければならないと考えています。そうした体制があることで、安心して任せていただけているという面もあります。
ご相談が多い理由には、どのようなものがありますか?
最初のきっかけとして多いのは、ブロックチェーンに取り組まなければならないという課題意識です。たとえばアメリカでは、ブロックチェーンに取り組んでいない銀行から預金が流出するリスクがあるといった、どちらかというとネガティブな理由からブロックチェーンに関心を持つケースが多くあります。いわゆるディフェンスの理由です。割合としては8割ほどがそうで、残りの2割は、ブロックチェーンが大好きで、どんどん前に進みたいという企業様です。
当社が選ばれている理由は、成果物のイメージをしっかり持っていただけることだと思います。オンチェーン金融のインプット、先行事例、規制の整理、市場規模、事業テーマごとの評価、スキームやプロダクトのデモ、想定収支計画、システム構築案、免許取得のロードマップ、実装フェーズの最終報告資料といった内容を、視覚的に示しながらご説明しています。これをやったことのある人はほとんどいませんので、イメージがつくことが大きいと感じています。
PoCで止まる企業と、実装まで進む企業にはどのような違いがありますか?
企業の体質という見方もできますが、この領域では、ブロックチェーンに取り組む意義が本質的にあるかどうかで決まると考えています。金融機関は意義があまりにも大きいので、PoCの段階で止まらないことが多いです。一方で、事業として試してみて社内の知見を深めましょうという形の場合は、どれだけ良い提案をしてもPoCで止まりやすいです。取り組まなければ未来がないかもしれないという会社様は、実装まで進むことが多いですね。
導入後の事例や成果について、お話しいただける範囲で教えてください。
ご支援先の多くが金融機関ですので、事例として外に出せるものがほとんどありません。私としてはもっと広く発信したいのですが、金融機関のお名前は外に出せないのが実情です。
そのなかで申し上げると、事業として収益が見えてくるパターンと、ブロックチェーンの戦略を考えるパターンがあります。事業として収益が見えてくるケースでは、規制が整ってから3か月ほどで数億円規模の売上が立った例もありました。
どのような企業がオンチェーン活用に向いていますか?
新しいことのインプットを恐れない企業が向いています。ただ、そうでない企業だからこそ私たちが必要だという面もあります。ブロックチェーンはすべての金融にかかわるものですので、まず大前提として金融機関は向いています。そのうえで、金融はすべての会社にかかわるテーマですから、資本効率の面でも、貸借対照表が厚くキャッシュが多い大手企業であるほど、最終的にはブロックチェーンの恩恵を受けられるはずです。
ご相談から実装・運用まで、サポート体制の特徴を教えてください。
コンサルティングだけでなく、システム開発まで一気通貫で対応できる点が当社の特徴です。大手のコンサルティング会社の場合、コンサルティングは自社で行い、システム開発は外部に発注する形になりがちで、費用がかなり高くなり、連携も取れていないことが多いです。当社は両方に対応でき、システム開発のリーダーがコンサルティングを行うこともあります。
システム開発の知見がなければ、そもそもコンサルティングも成り立たないと考えています。このUIで遷移するとこのライセンスに抵触する、あるいは問題ない、スマートコントラクトで何ができるから、どの法律に抵触するかといった判断は、プロダクトの理解と実装力がなければ、正確にはできません。そのため、実装・運用フェーズまで含めて、最後まで伴走することができます。
料金体系について教えてください。
プロジェクトベースの場合と、人月ベースの場合があります。人月の場合は、常駐での対応も可能です。具体的な金額は公開しておりませんので、詳しくはお問い合わせください。
今後の展望について教えてください。
これからも金融領域に注力していきますが、ひと口に金融といっても、銀行のような貸借の機能もあれば、証券のように証券化して流通させる機能もあります。正直なところ、そのすべてのプロフェッショナルになりたいと思っています。いつかは、オンチェーン上で金融行為が実施される時代が来ると考えています。私たちが金融機関になるわけではありませんが、その世界で企業を支援できる、オンチェーン金融の中核を担える会社になっていきたいです。
金融機関以外の企業からのご相談もありますか?
はい、全然あります。システム開発を通じてブロックチェーンの技術を社内にインプットしたい企業様もいらっしゃいますし、海外との取引が多く、ドルを多く保有している大手企業様がUSDCの活用を検討されるケースもあります。金融機関が中心ではありますが、金融サービスを使うという意味では、かなり幅広い企業様が支援の対象です。
たとえば不動産会社様とも、セキュリティトークンを使った資金調達についてお話ししています。資金調達はほぼすべての会社が検討するテーマだと思います。ライトなご相談でも問題ありませんので、気軽にご相談いただければと思います。
最後に、読者の方にお伝えしたいことはありますか?
当社は正社員が約70名おり、その半数以上がエンジニアです。ブロックチェーン領域で、事業を展開しながらこの規模のエンジニアを抱えている会社は、他にはないと思っています。人数の規模も開発の規模も、圧倒的であると自負しています。
まとめ・編集部コメント
Pacific Metaのオンチェーンシステムコンサルティングは、ブロックチェーンに何から取り組むべきかという段階から、事業テーマの選定、事業設計、システム開発、運用までを一貫して支援するサービスです。ご相談の多くは金融機関からで、取り組まなければならないという課題意識をきっかけに、具体的な成果物のイメージを示しながら検討を進めていく点が特徴です。
強みとして挙げられたのは、ブロックチェーンに精通したビジネス人材とテック人材の層の厚さと、コンサルティングと開発を分けずに進められる体制です。正社員約70名のうち半数以上がエンジニアという規模も、実装まで見据えたい企業にとって心強い点です。
金融機関はもちろん、USDCの活用や資金調達など、金融サービスの活用を考える幅広い企業が対象となります。ライトなご相談も歓迎とのことですので、ブロックチェーンの活用を検討し始めた段階の企業にとって、有力な選択肢となるサービスです。