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ブロックチェーンに使える補助金まとめ|国・自治体の対象事業・補助率・上限と採択事例

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ブロックチェーンやWeb3、ステーブルコイン、NFT、デジタル証券を使った新規事業や実証(PoC)を始めたいとき、開発や実証にかかる費用の重さが一歩を踏み出すうえでの壁になりがちです。その費用を国や自治体の補助金で一部でも賄えないか、と探す企業が増えています。

ところが「ブロックチェーン 補助金」で検索すると、大阪府の金融実証補助金、東京都のステーブルコイン補助金、デジタル証券の補助金、国の事業補助金の採択事例……と制度がばらばらに並び、結局どれが自社の事業に使えるのかが見えにくいのが実情です。すでに募集を終えた年度の情報が混じっていることも少なくありません。

本記事では、ブロックチェーン事業に使える補助金を国・自治体・テーマ別に一覧で整理し、それぞれの対象事業・補助率・補助上限・対象地域・募集時期をまとめます。あわせて、自社が対象になる条件、採択事例、申請の流れと落とし穴、そして採択後に実証・開発を任せるパートナーの選び方まで解説します。

補助金は年度ごとに公募され、制度の改廃や募集終了があります。本記事の内容は2026年10月時点で確認したものですが、最新の公募時期・要件は必ず各制度の公式ページでご確認ください。

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ブロックチェーン事業に使える補助金一覧(国・自治体・テーマ別)

ここからは、ブロックチェーンの事業・実証に使える補助金を一覧で整理します。全体像を先に示すと、使える制度は大きく〈国の汎用の事業補助金〉と〈自治体・テーマ特化の実証補助金〉の2系統に分かれます。

下表は、2026年10月時点で新規申請できる制度と、参考として直近で募集していた制度を、申請可否を注記して並べたものです。制度名・実施主体・対象事業・補助率・補助上限・対象地域・募集時期を各制度の公式情報にもとづいて整理しています。自治体の制度には直近年度の募集を終えているものもあります。

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新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(新事業進出枠)デジタル証券(セキュリティトークン)市場拡大促進事業補助金ステーブルコイン社会実装促進事業補助金先駆的金融市場等形成支援事業補助金
実施主体国(中小企業庁)東京都(産業労働局 国際金融都市推進課)東京都(産業労働局)大阪府
対象事業新事業への進出。対象経費にシステム構築費を含み、審査で先端的なデジタル技術の活用が評価されるセキュリティトークンの発行等。プラットフォーム利用料・専門家相談経費・システム開発経費が対象円建てステーブルコインを用いたユースケースの創出ブロックチェーンやAI等の技術を用いた新金融サービスの実装・市場形成に向けた府内での実証
補助率1/2(特例2/3)1/2以内(スタートアップは2/3以内)2/31/2以内
補助上限750万〜7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円)750万円(重点分野は1,000万円)4,000万円1,000万円
対象地域全国の中小企業等東京都内に登記簿上の本店又は支店東京都(詳細な事業者要件は交付要綱で要確認)大阪府内での実証/府民又は府内事業者向けの取組み
募集時期第1回公募 2026年6月29日〜10月30日18:00(申請可能)2026年4月10日〜2027年1月29日(予算到達で締切。申請可能)2026年4月17日〜6月30日で募集終了(次回の公募時期は要確認)令和8年度は2026年7月1日〜7月31日で募集終了(次回の公募時期は要確認)

※各制度の公式ページ・公募要領にもとづく2026年10月時点の情報です。補助率・上限・募集時期は年度ごとに変わるため、申請前に各公式ページで最新の公募情報をご確認ください。

出典・参考資料(4件)

そもそもブロックチェーンに使える補助金とは

一覧を見て「ブロックチェーン専用の補助金」が見当たらないと感じた方もいるかもしれません。まず押さえておきたいのは、ブロックチェーンという技術そのものを直接補助する国の専用補助金は、2026年10月時点では見当たらないという点です。

では何が使えるのか。実際には、「ブロックチェーンを使った事業」が汎用の事業補助金の対象になります。加えて、自治体やテーマを特化した実証補助金(大阪府・東京都など)が用意されている、という構造です。この2系統を分けて理解すると、自社の事業にどれが当てはまるかを判断しやすくなります。

ブロックチェーンに使える補助金の2系統の整理図。ブロックチェーンを直接補助する国の専用補助金は2026年10月時点で見当たらず、系統Aの国の汎用の事業補助金(全国の中小企業等が対象、代表例は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金)と、系統Bの自治体・テーマ特化の実証補助金(地域要件あり、大阪府の金融実証、東京都のステーブルコイン・デジタル証券)の2系統を使う。

国の汎用の事業補助金の代表例が、新規事業への進出を支援する「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」です。対象経費にはシステム構築費が含まれ、ブロックチェーンを使ったシステムやサービスの開発費が射程に入ります。さらに、同補助金の審査項目には先端的なデジタル技術の活用が明記されています。

先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献し得る事業か。

出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)|中小企業庁

そのため、ブロックチェーンは「補助金の名前」ではなく「補助金が支援する事業の手段」として位置づけられます。事業計画で解決する課題と、その手段としてブロックチェーンを使う必然性を示せるかが、採択のカギになります。

ここでいうブロックチェーン事業は、暗号資産への投資を指すものではありません。補助の対象になるのは、ステーブルコイン決済やトークン化、NFTを使ったマーケティング、トレーサビリティなど、ブロックチェーン技術を用いた事業やシステム開発の取り組みです。「ブロックチェーン=暗号資産投資」というイメージで候補から外す必要はありません。

国はこのほか、委託事業という形でもブロックチェーンの社会実装を後押ししてきました。その事例(経済産業省委託の実証事業)は後述しますが、これは応募者が補助率に応じた補助を受ける「補助金」とは仕組みが異なります。

自社が対象になるか(対象者・地域要件)

ここからは、自社や自社の事業がそれぞれの制度の対象になるかを判断するための要件を整理します。大きな分かれ目は、国の制度か自治体の制度かという点です。

国の汎用の事業補助金は、全国の中小企業等が対象で、地域による制限はありません。一方、自治体の補助金には、その地域での事業や地域内の事業者であることを求める地域要件があります。ここを見落とすと、制度を見つけても申請できないことになります。

もう一つの分かれ目が企業規模です。国の汎用の事業補助金(新事業進出・ものづくり商業サービス補助金)は、公募要領で中小企業者・小規模事業者と、資本金10億円未満などの要件を満たす中堅企業の一部を補助対象としています。大企業や、大企業が株式の多くを持つみなし大企業は対象になりません。

そのため、ブロックチェーン事業の主体が大企業や規模の大きい中堅企業の場合、国の汎用補助金は使いにくくなります。その場合でも、企業規模の要件が緩い自治体の制度(たとえば大阪府の制度は日本国内の法人・個人が対象です)や、公募型の委託実証事業など、規模だけで一律に外れない選択肢がないかを確認する価値があります。

大阪府の先駆的金融市場等形成支援事業補助金は、補助対象事業の要件そのものに地域の条件が組み込まれています。

ブロックチェーンやAI等の革新的な技術を用いた新たな金融サービスの実装や市場の形成に向けて必要となる、大阪府内での実証実験で、府民又は府内事業者向けの取組みであること

出典:先駆的金融市場等形成支援事業補助金|大阪府

東京都のデジタル証券市場拡大促進事業補助金も、募集要領で「東京都内に登記簿上の本店又は支店があること」を補助対象事業者の要件としています。東京都のステーブルコイン社会実装促進事業補助金についても、制度の性質上、都内での事業であることが前提になると考えられますが、詳細な事業者要件は交付要綱・募集要領で確認が必要です。

出典・参考資料(1件)

自社の本店所在地が制度の地域要件と合わない場合でも、諦める前に確認したい点があります。国の汎用の事業補助金は全国が対象です。また、自治体の制度は、実証の場所や対象顧客が地域内であることを求めるものもあるため、支店の設置や地域内でのPoCといった組み立て方で対象になる余地がないかを、各要領で確かめる価値があります。

本記事で挙げた自治体の制度は代表例です。ここに載っていない地域でも、地元の自治体に同種の実証補助金が用意されていることがあります。まずは全国対象の国の制度を軸にしつつ、自社の所在地や事業予定地の自治体の最新の募集情報もあわせてあたってみてください。

補助金別の対象事業・補助率・上限・対象経費

一覧で当たりをつけた制度を、ここで一つずつ詳しく見ていきます。補助率・上限・対象経費は年度ごとに変わるため、申請の際は必ず最新の公募要領を確認してください。

国の汎用:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金

国の汎用の事業補助金は、制度名が移り変わってきた経緯があります。かつての事業再構築補助金は新規受付を終えており、その後継にあたる中小企業新事業進出補助金も公募を終了しました。2026年10月時点で新規申請できるのは、これらの流れを受けた「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」です。

このうちブロックチェーンの新規事業と相性がよいのが新事業進出枠です。公募要領では「既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援」する枠と位置づけられ、①自社にとって新規性のある製品・サービスであること、かつ②自社にとって新たな市場を対象とすること、の両方が補助の条件とされています。

ここでの新規性は、日本初・世界初である必要はなく、あくまで申請する企業にとっての新しさを指します。一方、既存の製品・サービスの単なる増産や、製造方法を変えただけの取り組みは対象外と明記されています。

そのため、ブロックチェーンを使って新しい事業・市場に踏み出す企画は射程に入りやすい一方、既存サービスへの機能追加だけにとどまる場合は要件を満たしにくくなります。既存事業の高度化が対象になるかは、申請する枠の定義を公募要領で必ず確認してください。

第1回公募の期間は、公募要領に「令和8年6月29日(月)~ 令和8年10月30日(金)18:00まで(厳守)」と定められています。新事業進出枠の補助率は1/2が基本です。

補助上限額は従業員規模に応じて段階的に上がり、従業員1〜20人で2,500万円、21〜50人で4,000万円、51〜100人で5,500万円、101人以上で7,000万円です(補助下限額は750万円)。

賃上げに関する特例を適用すると、これらの補助上限額がさらに引き上げられ、最大で9,000万円になります。また、地域別最低賃金の引上げに関する特例を適用する場合は、補助率が2/3に引き上げられます。

対象経費には機械装置・システム構築費のほか、外注費・専門家経費・クラウドサービス利用費などが含まれます。

第1回の締切は2026年10月30日ですが、公募要領には次回以降の公募回に関する記載もあり、複数回の公募が予定されています。第1回に間に合わない場合も、次回公募の時期や有無を中小企業庁・事務局の公式ページで確認してください。

出典・参考資料(2件)

過去に広く使われた事業再構築補助金は、公式サイトで新規受付の終了が明記されています。

本補助金の公募は終了しております。

出典:事業再構築補助金(公式)|事業再構築補助金事務局

そのため、事業再構築補助金はこれから新規に申請する制度ではなく、過去の採択事例を参考にする対象として扱うのが正確です。現在の受け皿は、前述の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金になります。

大阪府 先駆的金融市場等形成支援事業補助金

大阪府の先駆的金融市場等形成支援事業補助金は、ブロックチェーンやAI等の革新的な技術を用いた新しい金融サービスの実装・市場形成に向けた、大阪府内での実証実験を支援する制度です。補助金額は補助事業1件あたり上限1,000万円、補助率は補助対象経費の2分の1以内とされています。補助事業の実施期間は交付決定日から2027年(令和9年)3月31日までです。

令和8年度は2026年7月1日から7月31日までの募集で、すでに締め切られています。年度ごとに公募される制度のため、活用を検討する場合は次回の公募時期を大阪府の公式ページで確認してください。

出典・参考資料(1件)

東京都 ステーブルコイン社会実装促進事業補助金

東京都のステーブルコイン社会実装促進事業補助金は、円建てステーブルコインを用いたユースケースを創出する事業者を支援します。公式ページには「補助率は対象経費の3分の2で、1件あたりの補助上限額は4,000万円です。」と記載されており、ここまで紹介した制度の中では補助率・上限ともに大きいのが特徴です。対象経費には、外部基盤の利用経費、専門家への相談・監査等の経費、システム開発経費が挙げられています。

募集期間は2026年4月17日から6月30日までで、すでに終了しています。申請はjGrants(Jグランツ)での電子申請または郵送・持込で受け付けられていました。こちらも次回の公募時期は東京都産業労働局の公式ページで確認が必要です。

出典・参考資料(1件)

東京都 デジタル証券(セキュリティトークン)市場拡大促進事業補助金

東京都のデジタル証券(セキュリティトークン)市場拡大促進事業補助金は、セキュリティトークンの発行などに取り組む事業者を支援する制度です。募集要領には補助金額として「補助対象経費の2分の1以内、上限750万円」と定められています。補助対象事業者がスタートアップの場合は3分の2以内となり、都が重点分野に該当すると認める案件は上限1,000万円まで引き上げられます。

補助対象経費は、プラットフォーム利用料、専門家等への相談経費、システム開発経費の3区分です。申請期間は2026年4月10日から2027年1月29日までで、予算額に達すると締め切られます。ここまで挙げた自治体の制度の中では2026年10月時点で申請でき、所管は東京都産業労働局の国際金融都市推進課です。

出典・参考資料(1件)

【参考】国(経済産業省委託)のWeb3.0・ブロックチェーン実証事業(補助金ではなく委託事業)

国はブロックチェーンの社会実装を、補助金とは別の形でも後押ししてきました。その一例が、一般社団法人社会実装推進センター(JISSUI)が事務局を務めた、経済産業省委託のWeb3.0・ブロックチェーンを活用したデジタル公共財等構築実証事業です。資産のデジタル化市場の構築や、スポーツ分野の権利管理、Web3型の地方創生などをテーマに、ブロックチェーンを活用した実証を支援する取り組みでした。

ただし、これは2024年度(令和6年度)の事業で、現在は公募が終了しています。事務局ページにも「本事業の公募は終了しており、以降は公募当時の情報アーカイブとなります」と記載されています。仕組みも、応募者が補助率に応じて経費の補助を受ける「補助金」ではなく、国が委託する実証事業です。

そのため、これは今すぐ申請して使える制度ではありませんが、国がブロックチェーンの社会実装を政策的に支援してきた事例として押さえておくと、自社の事業の位置づけを説明する材料になります。

出典・参考資料(1件)

ここまで、現在申請できる制度から過去の政策支援の事例までを一つずつ見てきました。自社に合いそうな制度の目星がついたら、採択後に実証・開発を任せるパートナーの資料もあわせて準備しておくと、交付決定後の動き出しがスムーズになります。

ブロックチェーン事業の補助金採択事例(テーマ別)

自社の構想が補助金で通りそうかを見極めるには、実際にどんなブロックチェーン事業が採択されてきたかを知るのが近道です。ここでは、公表されている採択情報をもとに、テーマ別の傾向を整理します。

国の汎用の事業補助金では、事業再構築補助金の時代から、ブロックチェーンを使った多様な事業が採択されてきました。事務局が公表する採択結果では、NFT、暗号資産のマイニング、不動産などを裏付けとするセキュリティトークン、Web3を活用した学習サービスや地方創生など、幅広いテーマの事業が採択されてきました。

ここで注意したいのは、これらの採択は事業再構築補助金という、すでに新規受付を終えた制度での実績である点です。採択された事業の方向性は、現在の受け皿である新事業進出・ものづくり商業サービス補助金で企画を考えるうえでの参考になりますが、同じ制度に今から応募できるわけではありません。個別の採択事業名を確認したい場合は、事務局が公表する採択結果の一覧で原文を確認してください。

出典・参考資料(1件)

自治体・テーマ特化の制度では、採択事業の中身まで公表されているものがあります。大阪府の先駆的金融市場等形成支援事業補助金では、令和8年度の募集に12件の応募があり、4件が交付決定を受けました。府が公表する交付決定事業一覧から、採択された各事業の内容を具体的に確認できます。

たとえば株式会社HashPortは、ステーブルコイン(JPYC・USDC等)を使った決済・清算システムの実証に採択されています。ステーブルコインで受け付けた決済を日本円で清算する仕組みや、エスクロー型決済に対応する決済APIを実装し、府内の小売店・レストラン・ECサイトで検証する内容で、交付決定額は1,000万円です。

また、SBI XDC Network APAC(共同事業者はTOPPAN、協力事業者はGinco)は、輸出ファクタリングのオンチェーン化と、法人デジタル証明書を使った企業確認(KYB)の基盤を組み合わせる事業で採択されました。中古自動車部品の輸出業者を題材に、取引の確認から代金回収までをブロックチェーン上で効率化する内容で、交付決定額は1,000万円です。

このほか、マイナンバーカードを使うウォレットで円建て・米ドル建てのステーブルコイン決済を決済端末上で実現する事業(マイナウォレット・三井住友カード)なども交付決定を受けています。決済や資金調達といった金融実務にブロックチェーンを具体的に組み込む事業が採択されている様子がうかがえます。

出典・参考資料(1件)

ステーブルコインやデジタル証券に特化した東京都の制度も、対象事業がそのまま採択の方向性を示しています。自社の事業がステーブルコイン決済なのか、トークン化による資金調達なのかによって、狙うべき制度が変わってきます。

採択されやすい企画の傾向として共通するのは、ブロックチェーンを使うこと自体を目的にせず、解決したい課題と、その手段としてブロックチェーンを選ぶ理由が明確に示されている点です。前述のとおり、国の制度では審査項目に先端的なデジタル技術の活用が掲げられています。技術の新しさだけでなく、事業として地域やサプライチェーンの課題解決にどうつながるかを描けているかが問われます。

補助金申請の流れと必要書類(jGrants・GビズID)

使えそうな制度の当たりがついたら、次は申請の流れを押さえます。国の補助金や多くの自治体の制度は、電子申請システムのjGrantsを通じて申請する運用が基本です。

jGrantsを利用するには、法人・個人事業主向けの共通認証システムであるGビズIDのアカウント(gBizIDプライム)が必要です。アカウントの取得には書類の郵送審査などで時間がかかる場合があるため、公募期間ぎりぎりではなく、早めに取得しておくのが安全です。申請にあたっては、事業計画書のほか、決算書などの添付書類が求められます。

申請後の流れは、おおむね次のように進みます。公募への申請を行い、採択の通知を受けたうえで交付申請をして、交付決定を受けます。そこから補助事業を実施し、実績報告を経て、補助金が支払われます。この順序には、損を避けるうえで欠かせない前提が2つ含まれています。交付決定の前と、補助金の受け取りのタイミングです。次の章で詳しく整理します。

補助金申請の流れと注意点のフロー図。事前準備としてGビズID(gBizIDプライム)を取得し電子申請システムjGrantsから申請する。流れはSTEP1公募へ申請、STEP2採択・交付決定、STEP3補助事業を実施、STEP4実績報告、STEP5精算払い(後払い)。注意点①事前着手の禁止=交付決定日より前に契約・発注した経費は補助対象外。注意点②補助金は後払い=事業費はいったん全額を自己資金で立て替え、実績報告の後に精算して支払われる。

事業計画の作り込みに不安がある場合は、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)などの申請支援を受ける選択肢もあります。制度によって相談先や支援の受け方が異なるため、各制度の事務局や自治体の問い合わせ窓口を確認してください。

申請前に確認したい落とし穴

補助金は、制度の構造を知らないまま進めると、採択されても補助を受けられなかったり、そもそも対象外になったりすることがあります。ここでは、申請前に必ず押さえておきたい5つの落とし穴を整理します。

交付決定の前に発注・契約してはいけない(事前着手の禁止)

最も陥りやすいのが、交付決定を受ける前に、補助事業で使う製品を発注したり契約したりしてしまうケースです。公募要領では、交付決定日より前に契約・発注した経費は補助の対象にならないと定められています。

(事前着手の禁止)補助対象経費は、補助事業者自身が、補助事業実施期間内に補助事業のために支払いを行ったことを確認できるものに限ります。交付決定日より前に補助事業に係る製品の購入や役務の提供に係る契約(発注を含む)等した経費は、補助対象になりません。

出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)|中小企業庁

「採択されたら早く進めたい」と先に開発ベンダーへ発注してしまうと、その費用は補助の対象から外れてしまいます。ブロックチェーンの開発・実証は準備に時間がかかるため、交付決定を待つスケジュールを前提に、関係者と計画を共有しておくことが大切です。

補助金は後払い(先に自己資金が必要)

補助金は、交付決定を受けた後に事業を実施し、実績報告を経てから精算して支払われる、後払いの仕組みです。そのため、事業にかかる費用はいったん自己資金で立て替える必要があります。補助率が2分の1であれば、事業費のうち残りの半分に加えて、補助対象分も含めた全額を先に支払うことになります。

開発費が重いからこそ補助金を探しているのに、先に全額を用意しなければならないという点は見落とされがちです。資金繰りの計画にこの立て替えを織り込んでおかないと、採択されても事業を進められない事態になりかねません。

同じ経費に複数の補助金は使えない(併用の制約)

もう一つ見落とされやすいのが、補助金の併用のルールです。原則として、同じ経費を複数の補助金で重複して受けることはできません。国と自治体の制度を両取りして開発費の大半をまかなう、といった使い方は基本的にできないと考えておくのが安全です。

一方で、経費を明確に切り分ければ、国の制度と自治体の制度を組み合わせられる場合もあります。複数の補助金を検討するなら、どの経費をどの制度で賄うかを先に整理し、併用の可否と条件を各制度の事務局に確認してください。

制度名と補助額だけで走り出して地域要件で外れる

自治体の補助金に地域要件があることは、前の章で見たとおりです。ここで陥りやすいのは、制度名と補助額の魅力だけで申請準備を走らせ、事業計画や見積もりを固めた後になって、自社が地域要件に当てはまらないと気づくパターンです。

こうなると、かけた準備が無駄になってしまいます。気になる制度を見つけたら、補助額の大きさに飛びつく前に、まず対象者・対象事業の地域要件を自社が満たせるかを確認する——この順番を習慣にしておくと、後戻りを防げます。

年度ごとの改廃・募集終了に注意

補助金は年度ごとに公募され、制度の改廃や募集終了が頻繁に起こります。本記事で見たとおり、国の汎用の事業補助金は事業再構築補助金から名称と制度が移り変わってきましたし、自治体の制度も直近年度の募集をすでに終えているものがあります。

検索で見つけた解説記事やまとめが、終了した年度の情報のまま残っていることも珍しくありません。申請を検討するときは、必ず各制度の公式ページで、現在も募集しているか、今年度の補助率・上限・要件がどうなっているかを確認する習慣をつけてください。

採択後の実証・開発を任せるパートナーの選び方

補助金の採択はゴールではなく、ブロックチェーンの実証や本番開発を始めるスタートです。社内に専門人材がいない場合、採択後に実装を任せる相手をどう選ぶかが、事業の成否を左右します。ここでは、補助金の対象可否ではなく、採択後に実装を担えるパートナーという観点で、提供形態の違いと主要なサービスを整理します。

ブロックチェーンの開発を支える相手は、提供形態で大きく3つに分けられます。1つ目は受託開発で、要件定義から設計・実装・運用までを任せる形です。自社に開発リソースがなく、PoCから本番までまるごと委託したい場合に向きます。

2つ目は開発基盤やBaaS(Blockchain as a Service)、Web3aaSと呼ばれるサービスで、専用チェーンやAPI・SDKといった土台を使い、自社やパートナーの開発を効率化します。3つ目は企画段階から伴走する総合的なコンサルティングで、「なぜブロックチェーンを使うのか」という上流の整理から実装・運用までを一貫して支援します。

どれが合うかは、社内の開発体制と、事業がPoC段階か本番展開かによって変わります。

以下では、それぞれの形態にあたる各サービスを紹介します。本記事では、要件定義から任せる受託開発を1社、上流の企画整理から伴走するコンサル+受託を1社、開発基盤(Web3aaS・BaaS)を2社、代表例として取り上げます。まず、提供形態・対応範囲・費用の目安などを比較表で整理します。

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サービス名ブロックチェーン開発・実装支援
(コンセンサス・ベイス)
Web3 CONSULTING & DEVELOPMENT
(アツラエ)
THXNET.
(THXLAB)
MultiBaas
(Curvegrid)
提供会社コンセンサス・ベイス株式会社株式会社アツラエTHXLAB株式会社Curvegrid株式会社
提供形態受託開発
(コンサル〜監査〜運用)
コンサル+受託開発
(企画〜運用を一貫伴走)
開発基盤
(Web3aaS)
開発基盤
(EVM向けBaaS)
対応範囲企画・技術選定からPoC・本番開発、
スマートコントラクト監査・運用まで一気通貫
企画の壁打ち・PoC・MVP開発から
本番サービス化・運用まで一貫
専用チェーン構築とAPI連携による
本番実装(基盤提供が中心)
スマートコントラクトのデプロイ・
運用を担う開発基盤(実装者向け)
対応チェーン・基盤EVM系〜Solana・Cosmos・Polkadot・
Hyperledger Fabricまで横断
案件に応じて選定
(スマートコントラクト実装等に対応)
Substrateベースの独自Layer 1
(企業ごとの専用チェーン)
主要なL1・L2のEVMチェーン
費用の目安要問い合わせ
(案件ごとの見積もり。初回相談は無料)
要問い合わせ
(案件ごとの個別見積もり)
要問い合わせ
(月額固定の利用料。ガス代なし)
無料プランあり
(規模拡大時は個別見積もり)
向くケース構想段階から本番まで丸ごと委託したい。
複数チェーンから最適な基盤を選びたい企業
「なぜWeb3か」の上流整理から伴走し、
社内稟議の説明材料も欲しい企業
自社専用のチェーン環境を短期間で持ち、
既存システムにAPI連携で足したい企業
まず小さく自前で実証を始めたい。
EVM開発を効率化したい開発チーム
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る

ここで取り上げるのは、提供形態ごとに選んだ代表的な4サービスです。開発会社を実績や得意領域ごとにもっと幅広く比べたい場合は、ブロックチェーン開発会社を一覧で解説した以下の記事もあわせてご覧ください。

1. ブロックチェーン開発・実装支援(コンセンサス・ベイス株式会社)

コンセンサス・ベイスのウェブサイト

2015年の創業以来、ブロックチェーン・Web3領域に専業で取り組んできたのがコンセンサス・ベイス株式会社です。公式サイトでは「日本初のブロックチェーン技術の専門企業」と掲げており、技術コンサルティングから受託システム開発、スマートコントラクト監査、運用支援までを一気通貫で提供します。構想が固まりきっていないPoCの段階から本番システム開発まで任せたい企業に向くパートナーです。

対応するチェーンは、Ethereum・Polygon・AvalancheなどのEVM系(イーサリアム互換のチェーン規格)から、Solana・Cosmos SDK・Polkadotといった非EVM系、企業間ネットワーク向けのHyperledger Fabricまで幅広く対応します。特定の実装に縛られず、課題に合った基盤を選べる点を特徴としています。

スマートコントラクトのセキュリティ監査やチェーン間連携の設計、ステーブルコインの事業戦略立案・導入支援にも対応します。

公式サイトでは累計43社・103件超の実績を掲げ、取引先として伊藤忠テクノソリューションズやセブン銀行、SBIホールディングスなどの企業名を公開しています。料金は受託開発のため案件ごとの見積もりで、初回のヒアリング・要件整理・技術調査は無料と案内されています。

2. Web3 CONSULTING & DEVELOPMENT(株式会社アツラエ)

アツラエのWeb3コンサルティング・開発サービスのウェブサイト

企画の壁打ちから実装・運用までを同じチームで引き受ける一貫体制を掲げるのが、株式会社アツラエのWeb3 CONSULTING & DEVELOPMENTです。「Web3を使うこと」ではなく「なぜWeb3を使う必要があるのか」という経営課題の起点から整理するアプローチを打ち出しています。Web3のコンサルティングと受託開発の両方を1社でカバーできる点を特徴としています。

社内の稟議で技術採用の理由を説明しきれず企画が止まりやすいWeb3領域で、上流の整理から伴走してほしい企業に向きます。

提供メニューは、ワークショップでサービスコンセプトを策定するWeb3サービスデザイン、アイデアを検証するWeb3 PoC開発支援、制度・規制の論点を整理するWeb3バックオフィスコンサルティングの3つです。PoCからMVP(必要最小限の機能を備えた製品)までが数か月、本格的なサービス化まで含めると半年から1年程度のスパンで進むケースが多いとしています。

導入事例としては、アパレルブランドのHYSTERIC GLAMOURでのNFT活用により、提供元によるとSNSフォロワーが5%増、NFT会員数が前年比5倍になったと紹介されています(数値は提供元の自己申告)。

料金は案件ごとの個別見積もりで、プロジェクトのゴール設定、技術要件の幅、外部システムとの連携範囲などによって変わります。情報セキュリティマネジメントの認証(ISMS)については旧社名のクリプトリエ名義での取得が確認でき、合併後の承継状況は公式への確認が必要です。補助金の申請支援を名指しした提供は公表されていないため、本記事では採択後のPoC〜実装〜運用の伴走先として紹介します。

こうした上流の伴走が具体的にどの場面で求められるかについて、同社はインタビューで次のように述べています。

大波氏
株式会社アツラエ セールスチーム マネージャー
大波氏
独自インタビューより

お客様から「支えてもらえている」と感じていただけるのは、企画フェーズと社内稟議突破の段階です。Web3は、担当者様ご自身は理解されていても、上司や経営層にご説明する場で言葉に詰まってしまうことが多い領域です。そこで当社では、「なぜWeb3なのか」「この技術を使うと経営課題にどう効くのか」を第三者に説明するための資料やコンテンツをご提供し、必要であれば概算見積もりまでセットでお出しします。

3. THXNET.(THXLAB株式会社)

THXNET.のウェブサイト

THXLAB株式会社が提供するエンタープライズ向けの開発基盤THXNET.は、自社で専用のブロックチェーン環境を持ちたい企業に向くサービスです。公式には「Web3機能をオールインワンで構築できるブロックチェーン開発基盤」「企業向けWeb3 as a Service(Web3aaS)プラットフォーム」と位置づけられています。

企業ごとに独立した専用のLayer 1チェーン(自社だけで使う独立したブロックチェーン基盤)を用意し、既存システムを維持したままAPI連携でWeb3機能を組み込める、APIファーストの設計が中核です。

専用チェーンは、ブロックチェーン専任のエンジニアを置かなくても最短1日で構築できるとされています。実際にTOPPANデジタルの「AVATECT」向けチェーンを1日で、サステナブルパビリオン2025の「Mirrored Body Chain」を24時間で立ち上げた実績があります。独自のLayer 1を使うためガス代が発生せず、月額固定で予測しやすいコスト構造になる点も訴求されています。

IDウォレット、NFT・トークン発行、SBT(ソウルバウンドトークン)、マイナンバーカード連携による本人確認、トレーサビリティ管理などの機能を標準で備えます。

料金は月額固定の利用料で、具体的な金額は非公開のため問い合わせが必要です。販売代理店のマクニカや資本業務提携先のトレードワークスと連携した導入支援・サポート体制を備えています。

4. MultiBaas(Curvegrid株式会社)

MultiBaas(マルチベース)のウェブサイト

東京に拠点を置くCurvegrid株式会社のMultiBaas(マルチベース)は、EVM互換のブロックチェーン向けに提供される開発プラットフォーム(BaaS)です。Web UIとREST APIの両方を備えたSaaSとして提供され、デプロイメントごとに分離されたシングルテナントのインスタンスとして動きます。

外部のブロックチェーンノードを別途契約する必要がなく、ブロックチェーンの専門知識がなくても、スマートコントラクトのデプロイ・操作・監視をノーコードのWeb UIやAPIから行える設計です。

主要なL1・L2(土台となる基盤チェーンとその拡張層)のEVMチェーンに対応し、TypeScriptとGoのSDK(開発キット)、HardhatやFoundryといった既存の開発ツールとの統合も用意されています。オンチェーンのイベントをリアルタイムに記録・検索できるクエリ機能や、特定のイベント発生時に外部システムへ通知するWebhooksも備えます。

鍵の管理はAzure Key Vaultと連携する方式が標準で、MultiBaas自身は資産を保管しないとされています。

料金は、デプロイ2つまで・APIコール月30,000件までといった制限の範囲で無料で使えるプランがあり、共有のテストネットで試作もできます。補助金の採択後に、まずは小さく自前で実証を始めたい段階にも合わせやすい設計です。利用規模が大きくなる場合はプロジェクト要件に応じた個別の料金体系が案内されます。

まとめ

ブロックチェーンそのものを直接補助する国の専用補助金は見当たりませんが、ブロックチェーンを使った事業は国の汎用の事業補助金の対象になり、加えて大阪府・東京都など自治体やテーマ特化の実証補助金も用意されています。2026年10月時点で新規申請できる国の制度は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金で、自治体ではデジタル証券市場拡大促進事業補助金が申請期間内にあります。

申請にあたっては、交付決定前に発注・契約しない、補助金は後払いで先に自己資金が要る、同じ経費に複数の補助金は使えない、自治体の制度には地域要件がある、年度ごとに改廃・募集終了があるという5つの落とし穴を押さえておくことが大切です。補助金は年度で変わるため、最新の公募時期・要件は必ず各公式ページで確認してください。

採択の先には、実証・開発を実際に進める段階が待っています。受託開発・開発基盤・コンサルティングという提供形態の違いを踏まえ、自社の体制と事業段階に合ったパートナーの資料を取り寄せて、比較検討を始めてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. ブロックチェーンに使える補助金とは何ですか?

A. ブロックチェーンに使える補助金とは、ブロックチェーンという技術そのものを対象にした専用制度ではなく、「ブロックチェーンを使った事業」を支援する国の汎用の事業補助金と、自治体・テーマ特化の実証補助金の総称です。ブロックチェーンそのものを直接補助する国の専用補助金は、2026年10月時点では見当たりません。

国の汎用補助金としては新事業進出・ものづくり商業サービス補助金が代表例で、審査項目に先端的なデジタル技術の活用が掲げられています。自治体では、大阪府の先駆的金融市場等形成支援事業補助金や、東京都のステーブルコイン・デジタル証券に特化した補助金が用意されています。

Q. ブロックチェーン事業に使える補助金は、暗号資産・NFT・ステーブルコイン・デジタル証券で変わりますか?

A. ブロックチェーン事業に使える補助金は、扱うテーマによって狙うべき制度が変わります。 ステーブルコイン決済なら東京都のステーブルコイン社会実装促進事業補助金、セキュリティトークン(デジタル証券)の発行なら東京都のデジタル証券市場拡大促進事業補助金というように、テーマ特化の制度があります。

一方、NFTを使ったサービスやトレーサビリティなど、テーマを限定しないブロックチェーン事業は、国の汎用の事業補助金(新事業進出・ものづくり商業サービス補助金)や、大阪府の金融実証の補助金が受け皿になります。自社の事業がどのテーマに当たるかを見極めると、申請先を絞り込みやすくなります。

Q. 暗号資産そのものへの投資や購入も、ブロックチェーンの補助金の対象になりますか?

A. 暗号資産そのものの購入や投資は、本記事で紹介した補助金の対象にはなりません。 補助の対象になるのは、ステーブルコイン決済やトークン化、NFTを活用したサービス、トレーサビリティなど、ブロックチェーン技術を用いた事業やシステム開発にかかる経費です。「ブロックチェーン=暗号資産投資」というイメージで候補から外す必要はありません。

Q. 個人事業主やスタートアップでも、ブロックチェーンの補助金に申請できますか?

A. 国の汎用の事業補助金は全国の中小企業等が対象で、スタートアップや個人事業主も、各制度の対象者要件を満たせば申請できます。 たとえば東京都のデジタル証券市場拡大促進事業補助金では、補助対象事業者がスタートアップの場合に補助率が2分の1から3分の2へ引き上げられます。

ただし、対象者の定義や求められる要件は制度ごとに異なります。申請前に、各制度の公募要領で自社が対象者に該当するかを確認してください。

Q. 対象地域の外にある企業でも、自治体のブロックチェーン補助金は使えますか?

A. 国の汎用の事業補助金は全国が対象ですが、自治体の補助金には地域要件があり、対象地域外の企業はそのままでは使えないのが原則です。 大阪府の制度は府内での実証と府民・府内事業者向けの取組みを、東京都のデジタル証券の制度は都内に登記簿上の本店または支店があることを求めています。

自社の所在地が地域要件と合わない場合は、まず全国対象の国の制度を軸に検討するのが現実的です。そのうえで、自治体の制度についても、支店の設置や地域内でのPoCといった組み立てで対象になる余地がないかを、各要領で確認する価値があります。

Q. ブロックチェーンの補助金は今も募集していますか?

A. 2026年10月時点で新規に申請できるのは、国の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回公募は10月30日まで)と、東京都のデジタル証券市場拡大促進事業補助金(2027年1月29日まで、予算到達で締切)です。 大阪府の先駆的金融市場等形成支援事業補助金と、東京都のステーブルコイン社会実装促進事業補助金は、直近年度の募集をすでに終えています。

補助金は年度ごとに公募され、制度の改廃や募集終了も頻繁に起こります。終了した年度の情報が解説記事に残っていることも多いため、申請前には必ず各制度の公式ページで最新の募集状況を確認してください。

Q. 交付決定の前に、開発会社へ発注してもよいですか?

A. 交付決定を受ける前に発注・契約した経費は、補助の対象になりません(事前着手の禁止)。 「採択されたら早く進めたい」と先に開発会社へ発注してしまうと、その費用は補助から外れてしまいます。

ブロックチェーンの開発・実証は準備に時間がかかります。交付決定を待ってから発注するスケジュールを前提に、開発パートナーと計画を共有しておくことが大切です。

Q. ブロックチェーンの補助金はいつ入金されますか?

A. 補助金は後払いで、事業の実施と実績報告が終わってから精算して支払われます。 そのため、事業にかかる費用はいったん全額を自己資金などで立て替える必要があります。

補助率が2分の1であっても、支払いの段階ではまず事業費の全額を用意することになります。開発費が重いからこそ補助金を探しているケースほど見落としやすい点なので、資金繰りの計画に立て替え分を織り込んでおくことが欠かせません。

Q. ブロックチェーンの補助金の補助率はどのくらいですか?

A. 補助率は多くの制度で補助対象経費の2分の1が基本で、一定の要件を満たすと3分の2に引き上げられます。 たとえば国の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は原則2分の1(特例で3分の2)、東京都のデジタル証券の制度はスタートアップが3分の2、東京都のステーブルコインの制度は3分の2です。

どの要件で高い補助率が適用されるかは制度ごとに異なり、より先進的な取り組みやスタートアップに高い補助率が設定される傾向があります。正確な補助率は、申請する年度の公募要領で確認してください。

Q. ブロックチェーンの補助金は複数を併用できますか?

A. 原則として、同一の経費を複数の補助金で重複して受けることはできません。 一方、経費を明確に切り分ければ、国の制度と自治体の制度を組み合わせて活用できる場合もあります。

併用の可否や条件は制度ごとに公募要領で定められています。複数の補助金の利用を考える場合は、どの経費をどの制度で賄うかを整理したうえで、各事務局に併用の条件を確認してください。

Q. 補助金の採択後、ブロックチェーンの開発はどこに依頼すればよいですか?

A. 補助金の採択後にブロックチェーンの開発を任せる相手は、提供形態で受託開発・開発基盤(BaaS)・コンサルティングの3つに大きく分かれます。 自社に開発リソースがなくまるごと委託したいなら受託開発、専用チェーンやAPIの土台を使って自社で進めたいなら開発基盤、上流の企画整理から伴走してほしいならコンサルティングが向きます。

本記事では、それぞれの形態にあたる各サービスを比較表とあわせて紹介しています。自社の開発体制と、事業がPoC段階か本番展開かに合わせて、各社の資料を比較してみてください。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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