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反社会的勢力排除に関する誓約書とは?ひな形・記載すべき条項と取得の進め方を解説

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新しい取引先との契約や、役員・従業員の受け入れにあたって、相手から「反社会的勢力ではない」と表明してもらう誓約書を用意するよう求められる場面は少なくありません。ゼロから作る時間はなく、すぐ使えるひな形を探している方も多いはずです。

この記事では、そのまま社名を差し替えて使える誓約書の文面を、公的機関が公開している様式の原文とあわせて示します。あわせて、誓約書に最低限入れるべき条項、契約書に盛り込む反社条項(暴排条項)との違い、誰から・いつ取ればよいか、取得後の運用までを整理します。

さらに、誓約書は相手の自己申告にとどまるため、実際に反社会的勢力と関わりがないかを確かめる反社チェックの進め方と、確認に使えるサービスも紹介します。自社の取引審査やコンプライアンス体制を整える際の参考にしてください。

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反社会的勢力排除に関する誓約書とは?

反社会的勢力排除に関する誓約書とは、取引先や役員・従業員などの相手方に、自分たちが反社会的勢力ではなく、反社会的勢力とも関わりを持たないことを表明・確約してもらう書面です。契約書の中に条項として盛り込む反社条項(暴排条項)とは別に、独立した書面として相手から差し入れてもらう形で使われます。

ここでいう反社会的勢力は、暴力団だけを指すわけではありません。総会屋や特殊知能暴力集団なども含み、どのような相手かという属性と、何をするかという行為の両面からとらえられます(具体的な条項は後述します)。誓約書は、こうした相手と契約関係を持たないことを、相手自身の表明として文書で確認するための手段です。

それでは、実際に使える誓約書の文面から見ていきましょう。

反社会的勢力排除に関する誓約書のひな形(全文)

まず、実際に使える誓約書の文面を示します。公的機関が公開している様式の原文と、一般的な取引先向けに整えた文面例の2つを用意しました。自社の状況に合わせて加筆・修正のうえ、最終的には自社の契約内容や顧問弁護士の確認を経て使用してください。

厚生労働省が公開する公的様式の文面

出所がはっきりした文面を使いたい場合は、厚生労働省が契約関係の書類に添付する公的様式「暴力団等に該当しない旨の誓約書(別紙様式3)」が参考になります。以下はその原文です。誓約文に続けて、該当してはならない者(属性要件)と、してはならない行為(行為要件)がそれぞれ列挙されています。

暴力団等に該当しない旨の誓約書

私(当法人)は、下記1及び2のいずれにも該当しません。また、将来においても該当することはありません。
この誓約が虚偽であり、又はこの誓約に反したことにより、当方が不利益を被ることとなっても、異議は一切申し立てません。
また、当方の個人情報を警察に提供することについて同意します。

記

1 契約の相手方として不適当な者

  • (1)法人等(個人、法人又は団体をいう。)の役員等(個人である場合はその者、法人である場合は役員又は支店若しくは営業所(常時契約を締結する事務所をいう。)の代表者、団体である場合は代表者、理事等、その他経営に実質的に関与している者をいう。)が、暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第2号に規定する暴力団をいう。以下同じ。)又は暴力団員(同法第2条第6号に規定する暴力団員をいう。以下同じ。)であるとき
  • (2)役員等が、自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもって、暴力団又は暴力団員を利用するなどしているとき
  • (3)役員等が、暴力団又は暴力団員に対して、資金等を供給し、又は便宜を供与するなど直接的あるいは積極的に暴力団の維持、運営に協力し、若しくは関与しているとき
  • (4)役員等が、暴力団又は暴力団員であることを知りながらこれを不当に利用するなどしているとき
  • (5)役員等が、暴力団又は暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有しているとき

2 契約の相手方として不適当な行為をする者

  • (1)暴力的な要求行為を行う者
  • (2)法的な責任を超えた不当な要求行為を行う者
  • (3)取引に関して脅迫的な言動をし、又は暴力を用いる行為を行う者
  • (4)偽計又は威力を用いて契約担当官等の業務を妨害する行為を行う者
  • (5)その他前各号に準ずる行為を行う者

令和 年 月 日/住所又は所在地/社名及び代表者名 ㊞/生年月日(個人の場合のみ) 年 月 日生
※法人の場合は役員の氏名及び生年月日が明らかとなる資料(別紙様式又は任意様式にて作成したもの)を添付すること。

出典:暴力団等に該当しない旨の誓約書(別紙様式3)|厚生労働省

この様式は官公庁との契約や手続きで暴力団排除のために用いられる公的様式の一つで、行為要件には「契約担当官等の業務を妨害する行為」という官公庁向けの表現が含まれます。民間企業どうしの取引でそのまま使う場合は、この部分を自社の取引実態に合わせて調整する必要があります。

また、末尾の「当方の個人情報を警察に提供することについて同意します」という一文は、確認した情報を警察に照会・提供する運用を前提にしたものです。民間取引でも、取得した情報の取り扱い方針に合わせて、この同意を残すか外すかを検討してください。

取引先向けの誓約書の文面例

民間企業どうしの取引で相手から差し入れてもらう場合は、上記の公的様式を土台に、取引実態へ合わせた文面を用意します。以下は、属性要件・行為要件の否定に加えて、違反時の取り扱いまで盛り込んだ一般的な例です。自社の契約内容や顧問弁護士の確認を経たうえで利用してください。

反社会的勢力の排除に関する誓約書

 当社(当方)は、貴社との取引に関し、当社(当方)およびその役員(取締役、監査役、執行役、支配人その他の経営に実質的に関与する者を含みます。以下同じ。)が、現在から将来にわたって、下記1の各号のいずれにも該当せず、かつ、下記2の各号に掲げる行為を自らまたは第三者を利用して行わないことを表明し、確約します。

1.属性に関する事項

  • (1)暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロまたは特殊知能暴力集団等(以下「暴力団員等」といいます)に該当すること
  • (2)暴力団員等が経営を支配し、または経営に実質的に関与していると認められること
  • (3)自己、自社もしくは第三者の不正の利益を図る目的、または第三者に損害を加える目的をもって暴力団員等を利用していると認められること
  • (4)暴力団員等に対して資金等を提供し、または便宜を供与するなど、その維持・運営に協力し、もしくは関与していること
  • (5)暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有していること

2.行為に関する事項(自らまたは第三者を利用して、次の行為を行わないこと)

  • (1)暴力的な要求行為
  • (2)法的な責任を超えた不当な要求行為
  • (3)取引に関して、脅迫的な言動をし、または暴力を用いる行為
  • (4)風説を流布し、偽計または威力を用いて貴社の信用を毀損し、または貴社の業務を妨害する行為
  • (5)その他前各号に準ずる行為

3.契約の解除等
 当社(当方)が前各項のいずれかに該当することが判明した場合、または前各項に関して虚偽の申告をしたことが判明した場合には、貴社は何らの催告を要することなく、本取引に関する契約を直ちに解除できるものとします。この場合、当社(当方)は、解除により生じた損害の賠償を貴社に請求せず、貴社に生じた損害を賠償するものとします。

4.下請負人・関連事業者(取引の実態に応じて追加)
 当社(当方)は、本取引に関して第三者に下請負その他の協力をさせる場合には、当該第三者についても第1項および第2項の事項を確認し、反社会的勢力をその履行に関与させません。

5.違約金(取引の実態に応じて追加)
 第3項により貴社が契約を解除した場合、当社(当方)は、損害賠償とは別に、違約金として金●●円(または取引金額の●%相当額)を支払うものとします。

令和  年  月  日

所在地:               
商号・名称:             
代表者名:              ㊞

上記はあくまで一般的な例です。第4項(下請負人・関連事業者の確認)と第5項(違約金)は取引の実態に応じて追加する任意の条項で、下請けや関連事業者が多い取引、金額の大きい取引では盛り込むことがあります。不要な取引では外し、自社の取引実態に合わせて過不足を調整してください。

従業員・役員・採用候補者(個人)向けの文面例

社員・役員・採用候補者など個人から取る場合は、取引先向けの文面を本人用に整えます。以下はそのまま氏名を差し替えて使える例です。採用選考時・入社前・役員就任前などに取得するのが一般的です。

誓約書

 私は、貴社に対し、現在から将来にわたって、下記1の各号のいずれにも該当せず、かつ、下記2の各号に掲げる行為を自らまたは第三者を利用して行わないことを表明し、確約します。

1.属性に関する事項

  • (1)暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロまたは特殊知能暴力集団等(以下「暴力団員等」といいます)に該当すること
  • (2)暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有していること

2.行為に関する事項(自らまたは第三者を利用して、次の行為を行わないこと)

  • (1)暴力的な要求行為
  • (2)法的な責任を超えた不当な要求行為
  • (3)脅迫的な言動をし、または暴力を用いる行為
  • (4)風説を流布し、偽計または威力を用いて貴社の信用を毀損し、または貴社の業務を妨害する行為
  • (5)その他前各号に準ずる行為

3.表明に反した場合の取り扱い
 上記に反することが判明した場合、または上記に関して虚偽の申告をしたことが判明した場合には、貴社が採用内定の取消し、解雇、解任その他の必要な措置を就業規則その他の定めに従って行っても異議を申し立てません。

令和  年  月  日

住所:               
氏名:               ㊞
生年月日:             

解雇や内定取消しが実際に認められるかは、反社会的勢力との関わりの有無や程度など事案ごとの判断になります。誓約書の文面や運用は、自社の就業規則や顧問弁護士の確認を経たうえで利用してください。

誓約書に最低限入れるべき条項

自社ですでに使っている誓約書の原案がある場合は、以下の要素が漏れていないかを確認してください。厚生労働省の公的様式も、属性要件と行為要件を軸に構成されています。

  • 属性要件の否定:暴力団・暴力団員をはじめとする反社会的勢力に自社(自分)や役員が該当しないこと、反社会的勢力に経営を支配されていないことの表明・確約
  • 行為要件の否定:暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求、脅迫的な言動や業務妨害といった行為を行わないことの確約
  • 違反時の無催告解除:表明内容に反していたことが判明した場合に、相手方が催告なしで直ちに契約を解除できること
  • 損害賠償・求償:解除によって相手方に生じた損害を賠償し、解除された側からは損害賠償を請求しないこと
  • 署名・記名押印欄:誓約した日付、所在地、商号・名称、代表者名と押印欄。法人の場合は役員情報の添付を求めることもある

属性要件と行為要件は、反社会的勢力をとらえる際の2つの着眼点として政府指針でも示されており、どちらか一方だけでは確認として不十分です。属性(どういう相手か)と行為(何をするか)の両面を否定してもらう構成にします。

暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である「反社会的勢力」をとらえるに際しては、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが重要である。

出典:企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針(平成19年6月19日 犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)|厚生労働省掲載

属性要件で挙がる暴力団・暴力団員は、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴対法)2条2号・6号に定義があります。暴力団は、その構成員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体とされ、暴力団員は「暴力団の構成員」と定められています。

出典・参考資料(1件)

誓約書と反社条項(暴排条項)の違い

反社会的勢力の排除では、「誓約書」と「反社条項(暴排条項)」という2つの書面がよく登場します。どちらも反社会的勢力を取引から排除するためのものですが、位置づけが異なります。混同しやすいため、違いを整理しておきます。

項目反社会的勢力排除に関する誓約書反社条項(暴排条項)
書面の形契約書とは別に、相手方から差し入れてもらう独立した書面契約書の中に盛り込む条項(契約の一部)
署名する当事者相手方が一方的に表明・確約する(差入れ形式)契約の両当事者が相互に表明・保証する
主な役割相手が反社会的勢力でないことを確認し、記録として残す契約期間中に反社会的勢力と判明した場合の解除・損害賠償などの取り決め
使いどころ取引開始前の確認、採用・就任の前など継続的な取引や、金額の大きい契約の契約書

両者は役割が重なる部分もありますが、どちらか一方で足りるというものではありません。取引開始時に誓約書で相手の表明を取り、契約書には反社条項を盛り込んでおくことで、確認(入口)と、問題が判明したときの契約解除(出口)の両方を押さえられます。実務では両方を組み合わせて運用するのが一般的です。

なぜ反社会的勢力排除の誓約書を取るのか

誓約書を取る取り組みは、上司や相手に説明できる根拠を持っています。中心になるのは、政府の指針と、各都道府県の暴力団排除条例です。

政府指針が「一切の関係遮断」を求めている

2007年(平成19年)に犯罪対策閣僚会議幹事会申合せとして示された「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」は、企業がとるべき基本原則として、取引を含めた一切の関係遮断などを挙げています。

反社会的勢力とは、取引関係を含めて、一切の関係をもたない。また、反社会的勢力による不当要求は拒絶する。

出典:企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針(平成19年6月19日 犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)|厚生労働省掲載

この指針自体に法的な強制力はありませんが、企業が反社会的勢力との関係を断つために取り組むべき方向を示したものとして広く参照されています。誓約書で相手に反社会的勢力でないことを確約してもらうのは、この「関係遮断」を実務で進めるための手段の一つです。

暴力団排除条例が確認と反社条項の規定を求めている

暴力団排除条例は、2011年(平成23年)までに全ての都道府県で制定されています。例えば東京都暴力団排除条例の第18条は、事業者に対して契約時の確認と、契約書への特約(反社条項)の規定を、いずれも努力義務として定めています。

第18条 事業者は、その行う事業に係る契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認める場合には、当該事業に係る契約の相手方、代理又は媒介をする者その他の関係者が暴力団関係者でないことを確認するよう努めるものとする。

2 事業者は、その行う事業に係る契約を書面により締結する場合には、次に掲げる内容の特約を契約書その他の書面に定めるよう努めるものとする。

出典:東京都暴力団排除条例(平成23年東京都条例第54号)第18条|警視庁

注意したいのは、第1項の確認は「暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認める場合」という前提が付いており、すべての契約で一律に確認を義務づけるものではない点です。また第2項は契約書に反社条項を定める努力義務であって、別紙の誓約書を直接義務づけるものではありません。

条例の表現を実際より強く受け取らないよう注意しつつ、誓約書はこうした確認を実務で果たすための有効な手段と位置づけられます。都道府県ごとに条文は異なるため、自社の所在地の条例も確認してください。

誓約書の取得と運用の実務

ここからは、誰から・いつ誓約書を取り、取得後はどう扱うかという実務を整理します。対象ごとに取得のタイミングが異なるため、まず全体像を押さえておきます。

誓約書を取る対象と取得のタイミング

誓約書を取る相手は取引先だけではありません。自社に関わる立場ごとに、関係が始まる前に取得しておくのが基本です。

対象取得のタイミングの目安
取引先取引を開始する前。すでに取引がある相手で未取得なら、早めに依頼する
社員・非正規従業員採用選考時から入社前まで
役員就任前。再任のタイミングで改めて取得することもある
主な株主・関係者株式の取得・異動の際など。上場審査などの場面でも、主な株主や取引先を含めて反社会的勢力との関係がないことを示す確認書の提出を求められることがある

取引先については、取引が始まってからでは相手が応じにくくなることもあるため、取引開始前に取得するのが基本です。すでに取引がある相手に未取得のものがあれば、取引ルールの見直しとあわせて順次取得を進めるとよいでしょう。

株主や役員については、株式上場の場面でとくに確認が重視されます。東京証券取引所の上場審査では、新規上場を申請する会社やその役員・主要株主などに反社会的勢力との関係がないことが確認され、申請時には「反社会的勢力との関係がないことを示す確認書」の提出も必要です。

上場会社が第三者割当で募集株式を発行する際も、取引所の適時開示のルールにより、割当先が反社会的勢力でないことなどを確認し、その内容を開示します。こうした場面では、関係者から誓約書・確認書の形で表明を取る実務が一般的です。

取引先に加えて、採用選考で応募者本人を確認する場合は、反社チェックをどこまで行ってよいかを、個人情報の取り扱いや内定取消の可否とあわせて押さえておく必要があります。採用場面での進め方は、以下の記事で解説しています。

誓約書の署名・捺印・保管・更新

誓約書は、相手が確かに表明・確約したことを後から確認できる形で残すことが大切です。取得後の扱いについて、実務上押さえておきたい点を挙げます。

  • 署名・記名押印:誰が表明したのかを明確にするため、署名または記名に加えて押印をもらうのが一般的です。本人が自筆で署名し、実印で押印して印鑑登録証明書を添えてもらうと、後から「本人が作成した文書だ」と示しやすくなります(本人の押印がある私文書は、民事訴訟法上、本人の意思で作成されたものと推定されます)。認印や記名でも無効ではありませんが、重要な取引・高額の契約では自筆署名や実印を求めることを検討します
  • 書式・形式:紙のほか、電子ファイルや電子署名でも運用できます。自社の契約手続きに合わせて選びます
  • 取得のタイミング:契約を結ぶ前に取得します。契約後に求めると、相手が応じない場合に対応が難しくなります
  • 保管:紛失を防ぐため、保管場所や保管方法を社内ルールとして決めておきます。原本と控えの管理方法まで決めておくと、紛失時にも対応しやすくなります。誓約書そのものに法律上の保管期間の定めはありません。契約書と同じ重要書類として扱い、取引や在籍が続く間はもちろん、終了後も契約書の保管ルール(一般には数年〜10年程度を目安にする企業が多い)に合わせて残しておくと、後日の確認や紛争時に役立ちます
  • 更新:一度取得して終わりではなく、取引や在籍が続く間は定期的に取り直す運用にすると、状況の変化を反映できます
出典・参考資料(1件)

また、相手が誓約書への署名を拒む場合は、それ自体が取引を慎重に判断する材料になります。署名を得られないときは、理由を確認したうえで、取引の可否を社内で検討することになります。

誓約書だけでは足りない─反社チェックとの併用

誓約書は、相手が「自分は反社会的勢力ではない」と表明する書面です。言い換えれば相手の自己申告であり、相手が事実を偽って署名した場合までは防げません。そのため、誓約書を取るのと合わせて、相手が実際に反社会的勢力と関わりがないかを自社でも確かめる取り組みが必要になります。

誓約書と反社チェックの役割分担を示す図。誓約書は相手の自己申告で「自分は反社会的勢力ではない」と相手自身が表明・確約する入口の確認。反社チェックは自社による事実の確認で、相手が実際に反社会的勢力と関わりがないかを新聞記事や反社情報データベースで照合する裏取り。誓約書は自己申告にとどまり事実を偽った署名や素性を隠した関与までは防げないため、両方をあわせて運用し取引の可否を見極める。

しかも、反社会的勢力は素性を隠して取引に関与しようとするため、相手の会社名や代表者名を調べるだけでは実態をつかみきれないことがあります。この点について、弁護士の阿部由羅氏は次のように指摘しています。

阿部由羅氏
ゆら総合法律事務所 代表弁護士(埼玉弁護士会)
阿部由羅氏
専門家コラムより

インターネット検索や新聞記事のデータベースなどを利用して、相手方の会社名や代表者名を検索しても、背後にいる反社会的勢力の存在は判明しません。相手方の実質的支配者まで遡って徹底的に反社チェックを行い、少しでも疑わしい要素があれば取引中止を検討するといった厳密な取り組みが求められます。

政府指針も、取引の相手方が反社会的勢力かどうかについて平素から注意を払い、外部の専門機関と連携することを企業に求めています。

相手方が反社会的勢力であるかどうかについて、常に、通常必要と思われる注意を払うとともに、(中略)反社会的勢力による不当要求に備えて、平素から、警察、暴力追放運動推進センター、弁護士等の外部の専門機関(中略)と緊密な連携関係を構築する。

出典:企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針(平成19年6月19日 犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)|厚生労働省掲載
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反社チェックの主な方法

相手が反社会的勢力でないかを確かめる方法には、主に次のものがあります。手間や精度が異なるため、取引の重要度に応じて組み合わせるのが一般的です。

  • 公知情報の調査:新聞記事やインターネット上の報道から、相手の企業名・代表者名でネガティブな情報がないかを調べる
  • 反社チェックツールの利用:企業名・人名を入力すると、新聞記事・反社情報データベース・行政処分情報などをまとめて照合できる専用サービスを使う
  • 専門の調査会社への依頼:より踏み込んだ調査が必要な場合に、企業調査を専門とする会社に委託する
  • 警察・暴力追放運動推進センター・弁護士への相談:疑いがある場合や不当要求を受けた場合に、外部の専門機関に相談する

このうち警察や暴力追放運動推進センターへの相談は、どの窓口に何を照会できるのかが分かりにくい部分です。企業が使える公的窓口と、実務上どこまで調べられるかは、以下の記事で解説しています。

一方、日常的な取引先の確認では、企業名や人名を入力するだけで複数の情報源をまとめて照合でき、確認の記録も残せる反社チェックツールが使えます。ここからは、取引先や採用候補者の反社チェックに使える代表的なサービスを紹介します。

1. RiskAnalyze(リスクアナライズ)(KYCコンサルティング株式会社)

RiskAnalyze(リスクアナライズ)の公式サイト

KYCコンサルティング株式会社が提供する、Webサービス型の反社チェック・コンプライアンスチェックツールです。個人名や企業名を入力すると、反社会的勢力とのつながり・逮捕歴・行政処分・訴訟歴などを調べ、判定済みの調査レポートを1件あたり最短0.4秒で表示します。

国内の新聞・雑誌など約1,000媒体を1時間おきに自動収集し、2026年5月には官報情報データベースも追加されました。CSVによる一括検索(1,000件を約1分で処理)や、調査証跡のクラウド7年間保存に対応し、API連携も無料で利用できます。情報セキュリティの国際規格ISO/IEC 27001:2022も取得しています。

2. RISK EYES(ソーシャルワイヤー株式会社)

RISK EYESの公式サイト

法人名や人名と「逮捕などのネガティブワード」を組み合わせて検索し、取引先・従業員のスクリーニングを行う反社チェック専用ツールです。Webニュース記事や新聞記事といった公知情報をもとに、反社会的勢力との関係の疑い、犯罪関与、不祥事の有無を確認できます。

独自に収集した反社関連報道のデータベースや除外ワードの自動抽出により、チェックに不要な記事を減らす設計が特徴です。前回ヒットしなかった新規記事のみを探す差分検索や、登録対象を日次で監視してリスク報道をメール・チャットで通知するモニタリング機能も備えています。

同社は独自インタビューで、導入企業における反社チェック業務の工数の変化について、次のように述べています。

杉山賢人氏
ソーシャルワイヤー株式会社 事業部長
杉山賢人氏
独自インタビューより

導入事例では、広報支援会社で検索業務を約93%削減、オンラインマッチングサービスを運営する企業で反社チェック業務を約95%削減、採用管理システムを提供する企業で従来比約85%の工数削減を実現しています。採用管理システムを提供する企業では、日次20~30件の確認に100~150分かかっていた業務が大幅に短縮されました。

3. パワーサーチ(アラームボックス株式会社)

パワーサーチの公式サイト

会社名を入力するだけで、新規取引先の与信判断・反社チェック・企業調査をまとめて行えるクラウドサービスです。インターネット上の公知情報・公的機関情報・提携調査会社のデータを毎日収集し、AIと独自アルゴリズムで解析します。反社チェックは専門調査会社の情報・新聞記事・Web情報を組み合わせて実施できます。

調査レポートには専任の調査担当者による見解やアドバイスが付く点が特徴で、新規取引時の与信判断から継続的なモニタリングまで一体で扱えます。反社チェックは1件500円から、調査範囲を複数のプランで使い分けられます。2025年7月に弥生グループに加わっています。

4. RoboRoboコンプライアンスチェック(オープン株式会社)

RoboRoboコンプライアンスチェックの公式サイト

取引先や採用候補者が法令を守っているか、企業倫理や社会規範に反する活動がないかを自動でチェックするクラウドサービスです。インターネット記事検索・新聞記事データベース・海外情報データベースを組み合わせ、生成AIによる記事の要約・解析と、注目度の3段階自動判別を備えています。

Excelデータのドラッグ&ドロップで取引先を一括登録し、1クリックでまとめて検索できます。上場企業に求められるコンプライアンスチェックの要件という観点でSBI証券が監修しており、反社情報データベースや官報破産者情報との連携も進めています。料金は1件250円からで、初期費用は無料です。

このサービスが生まれた背景について、提供元のオープン株式会社は独自インタビューで次のように語っています。

関根氏
オープン株式会社 RoboRobo事業部 マーケティング部 部長
関根氏
独自インタビューより

開発の背景としては、親会社であるオープングループ(旧RPAホールディングス)が2018年に上場した際、当時は効率的な反社チェックツールが市場にほとんど存在しなかったことがあります。年間で約500時間もの工数を反社チェックに費やしており、この業務を効率化するサービスがあれば多くの企業に喜ばれるだろうと考えたのが出発点です。

反社チェックツールの比較

以下は、ご紹介した反社チェックツールの比較表です。照合できる情報源やチェックの進め方、継続的な監視への対応などを整理しています。

← 横にスクロールできます →
サービス名RiskAnalyze(リスクアナライズ)RISK EYESパワーサーチRoboRoboコンプライアンスチェック
照合できる情報源国内約1,000媒体(新聞・雑誌・TV・行政処分・訴訟など)
官報情報データベース
海外240以上の国・地域のPEPs・制裁情報
新聞・WEBニュース・ブログ/掲示板
独自の反社DB(2015年〜の報道を収集)
制裁リスト(米・日・ダウ・ジョーンズ)・行政処分・商業登記
専門調査会社情報・新聞記事・WEB情報
官報・決算公告・登記・訴訟など
約500万社のデータを活用
インターネット記事・新聞記事DB
海外情報DB(約190か国・約540万件)
反社DB(SP RISK SEARCH)・官報破産者情報
チェックの進め方単件検索(最短0.4秒)
CSV一括検索(1,000件を約1分)
API連携(無料)
法人名・人名+ネガティブワードで検索
Excel取り込みの一括検索・差分検索
API連携
会社名入力でワンクリック
反社チェックの結果は最短数秒
API連携(エンタープライズプランのみ)
Excelドラッグ&ドロップで一括登録・1クリック検索
生成AIが記事を要約・注目度を3段階判定
API連携(オプション)
継続モニタリング●取引先管理機能でリスク監視を自動化●リスクアラートで日次監視・メール/チャット通知●モニタリングで取引先を継続監視・アラーム通知△調査結果の一元管理に対応(継続監視機能は公式に記載なし)
無料トライアルあり(期間・件数は要相談)あり(一括検索はトライアル中10ワードまで)あり(30日間)あり(取引先10件まで)
初期費用無料無料無料無料
料金目安月額27,500円〜(ライト/年間600検索)
プロフェッショナルは別途見積もり
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まとめ

反社会的勢力排除に関する誓約書は、取引先や役員・従業員から、反社会的勢力ではないことを表明・確約してもらう書面です。公的様式を土台に、属性要件の否定・行為要件の否定・違反時の無催告解除・損害賠償・署名欄を備えた文面を用意し、契約書の反社条項と組み合わせて運用します。

取得は、取引先なら取引開始前、従業員なら入社前、役員なら就任前が基本です。ただし誓約書は相手の自己申告にとどまるため、相手が実際に反社会的勢力と関わりがないかを確かめる反社チェックと合わせて運用することが重要です。新聞記事や反社情報データベースを照合できる反社チェックツールを使えば、日常的な取引先の確認を効率的に進められます。

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よくある質問(FAQ)

Q. 反社会的勢力排除に関する誓約書とは何ですか?

A. 反社会的勢力排除に関する誓約書とは、取引先や役員・従業員などの相手方が、自分たちは反社会的勢力ではなく、反社会的勢力とも関わりを持たないことを表明・確約する書面です。契約書の中に盛り込む反社条項(暴排条項)とは別に、独立した書面として相手から差し入れてもらう形で使われます。取引開始前や、採用・役員就任の前などに取得し、確認の記録として保管するのが一般的です。

Q. 反社会的勢力排除に関する誓約書を取らないと法律違反になりますか?

A. 誓約書を取らないこと自体が、直ちに法律違反になるわけではありません。暴力団排除条例は、暴力団の活動を助長する疑いがあると認める場合に相手方が暴力団関係者でないことを確認することや、契約書に反社条項を定めることを事業者の努力義務として定めていますが(例:東京都暴力団排除条例第18条)、別紙の誓約書を取ること自体を義務づけてはいません。

ただし政府指針は反社会的勢力との一切の関係遮断を企業の基本原則として求めており、誓約書はその取り組みを実務で果たすための有効な手段と位置づけられます。

出典・参考資料(2件)

Q. 反社会的勢力排除に関する誓約書は電子契約や電子署名で取っても有効ですか?

A. 反社会的勢力排除に関する誓約書は、紙の書面に限らず、電子ファイルや電子署名を使った方法でも運用できます。大切なのは、誰がいつ反社会的勢力でないことを表明したのかを、後から確認できる形で残すことです。

電子で取得する場合も、作成者や作成日時が記録に残り、内容が改ざんされていないことを確認できる仕組みを選ぶと、後から表明の事実を示しやすくなります。自社の契約手続きの方式に合わせて、紙と電子のどちらで取得するかを決めてください。

電子署名については、電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)第3条が関係します。本人による一定の要件を満たす電子署名が行われた電磁的記録は、真正に成立したもの(本人の意思で作成されたもの)と推定されます。本人確認の方法が確かな電子契約サービスを使えば、紙に実印を押した場合と同様に、本人が表明したことを後から示しやすくなります。

出典・参考資料(1件)

Q. 取引先が反社会的勢力排除に関する誓約書への署名を拒んだ場合はどうすればよいですか?

A. 署名を拒まれたこと自体が、その取引を慎重に判断すべき材料になります。まずは拒否の理由を確認し、反社会的勢力でないことの確認は取引先に広く求めている一般的な手続きであることを説明します。そのうえでも応じない場合は、取引を進めてよいかを社内で検討します。相手の自己申告だけに頼らず、反社チェックによる裏取りと合わせて判断すると、より安全に可否を見極められます。

Q. 反社会的勢力排除に関する誓約書に有効期限はありますか。更新は必要ですか?

A. 法律で定められた有効期限はありませんが、一度取得して終わりにせず、取引や在籍が続く間は定期的に取り直す運用が望ましいです。相手の状況は時間とともに変わりうるため、契約の更新時や一定期間ごとに改めて取得すると、その時点の状況を反映できます。

役員については、就任時だけでなく再任のタイミングで取り直すこともあります。更新の頻度やタイミングは、取引の重要度に応じて社内ルールとして決めておくと運用が安定します。

Q. 反社会的勢力排除に関する誓約書を取れば反社チェックはしなくてよいですか?

A. 誓約書を取るだけでは不十分で、相手が実際に反社会的勢力と関わりがないかを確かめる反社チェックと合わせて行う必要があります。誓約書は相手の自己申告にとどまり、事実を偽って署名された場合までは防げないためです。

政府指針も、相手方が反社会的勢力かどうかについて常に通常必要と思われる注意を払い、警察・暴力追放運動推進センター・弁護士などの外部の専門機関と連携することを企業に求めています。新聞記事や反社情報データベースを照合できる反社チェックツールを使えば、日常的な取引先の確認を効率的に進められます。

出典・参考資料(1件)

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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