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情報セキュリティ技術とは?種類と役割を守る対象別に一覧で解説

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「情報セキュリティ技術」と調べると、ファイアウォール、暗号化、EDR、ゼロトラストといった言葉が次々に出てきます。名前は聞いたことがあっても、それぞれが何から何を守る技術なのか、自社には何が必要なのかは、意外と整理しにくいものです。

情報を守る技術的な対策は、守る対象(ネットワーク・端末・ID・データ・メール・運用)ごとに役割が分かれています。この全体像をつかめば、自社のどこに守りの抜けがあるか、何から手を付ければよいかの当たりがつきます。

本記事では、情報セキュリティの技術的対策を守る対象別に一覧で整理し、各技術が「何から守る技術なのか」を示します。あわせて、どの脅威にどの技術が効くか、技術だけでは守れない範囲、ゼロトラストなどの最新動向、そして各技術を実装するサービスまでを解説します。自社に必要な守り方を見極める出発点としてご活用ください。

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情報セキュリティ技術とは

情報セキュリティ技術とは、企業や組織が持つ情報を、不正アクセス・ウイルス・情報漏えい・改ざんなどの脅威から守るための技術的な対策(製品やソフトウェア)の総称です。コンピュータやインターネットを利用するうえで、通信・端末・データ・利用者といった守る対象ごとに、それぞれ役割の異なる技術を組み合わせて使います。

情報セキュリティが守ろうとしているものは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の定義では「情報の機密性、完全性、可用性を維持すること」と整理されています。機密性は許可された人だけが情報を見られる状態、完全性は情報が改ざんされていない状態、可用性は必要なときに情報を使える状態を指します。情報セキュリティ技術は、この3つを技術の面から支える手段だと考えると分かりやすいでしょう。

(情報セキュリティ)情報の機密性、完全性、可用性を維持することをいいます。

出典:中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版 用語集|IPA(情報処理推進機構)

情報セキュリティ技術の種類一覧(守る対象別)

情報セキュリティの技術的対策は、守る対象ごとに大きく「ネットワーク・通信の出入口」「端末」「ID・アクセス権限」「データ」「メール・Web」「監視・運用」の6つに分けると全体像をつかみやすくなります。まずは代表的な技術を、何から守るのか・どんな仕組みかとあわせて一覧で確認しましょう。

情報セキュリティ技術を守る対象別に6グループで整理した図。ネットワーク・通信の出入口(ファイアウォール、IDS・IPS、UTM、WAF、VPN)、端末(ウイルス対策、EDR・XDR)、ID・アクセス(多要素認証、アクセス制御、特権ID管理)、データ(暗号化、DLP、バックアップ)、メール・Web(メールフィルタリング、URLフィルタリング)、監視・運用(ログ管理・SIEM、脆弱性検査、IT資産管理)。
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情報セキュリティ技術の種類(守る対象別)ファイアウォールIDS・IPS(侵入検知・防御)UTM(統合脅威管理)WAFVPNウイルス対策(EPP)EDR・XDR多要素認証アクセス制御特権ID管理暗号化DLPバックアップメールフィルタリングURLフィルタリングログ管理・SIEM脆弱性検査IT資産管理
守る対象ネットワークの出入口ネットワークネットワークWebアプリケーション通信端末端末(XDRはさらに広範囲)ID・アクセスID・アクセスID・アクセスデータ・通信データデータメールWeb監視・運用監視・運用監視・運用
何から守るか外部からの不正アクセス不正アクセス・侵入ウイルス・不正アクセス・サイバー攻撃脆弱性を悪用した攻撃通信の盗聴(覗き見)ウイルス感染侵入後のマルウェア・ランサムウェアなりすまし・不正ログイン権限のないアクセス内部不正・特権の悪用盗聴・改ざん・漏えい情報の持ち出し・漏えいデータ消失・ランサムによる暗号化迷惑メール・不正メール危険なサイトへのアクセス攻撃の見逃し・事後分析ができない状態脆弱性を悪用した攻撃把握外の端末・管理漏れ
代表的な仕組み通信を許可するか拒否するかを判断し、社内ネットワークへの侵入を防ぐ不正な通信を検知して通知(IDS)・自動で遮断(IPS)ファイアウォールやIDS・IPS、各種フィルタを1台に統合Webアプリの脆弱性を突く攻撃を検知・遮断公衆ネットワーク上に暗号化された仮想的な専用線を構築ウイルスを検知・駆除して感染を防ぐ端末の不審な挙動を検知して管理者に通知。XDRは検知範囲を端末以外にも広げる知識・所持・生体など2要素以上で本人確認利用者ごとにデータへアクセスできる権限を制御最上位権限の申請・付与・操作ログを管理データや通信を変換し、第三者に内容を知られないようにするデータの送信・持ち出しを監視して制御データを複製し、被害時の事業継続に備えるメールの送受信を監視し、条件に応じて処理アドレスや内容が条件に合うと停止・警告誰が何にアクセスしたかを記録。SIEMは複数の機器のログを横断的に集約・分析サーバーやアプリをスキャンして脆弱性を検出ハード・ソフトの保有状況や構成を一元管理

※技術名・役割の分類はIPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版」に基づきます。XDR・DLP・SIEMは公的な定義がなく、IPA掲載の基礎技術(EDR・暗号化・ログ管理)の発展・総称として整理しています。

出典・参考資料(1件)

ネットワーク・通信の出入口を守る技術

社内ネットワークとインターネットの境界で、不正な通信を止めるのがこのグループです。第一の関門がファイアウォールで、ここで止めきれない通信を後続の技術が段階的に見張る、という重ね方で使います。

ファイアウォールをすり抜ける不正な通信を見張るのがIDS(侵入検知システム)とIPS(侵入防御システム)で、IDSは検知して管理者に通知し、IPSは自動で遮断します。これらにメールフィルタリングやURLフィルタリングなど複数の機能を1台に統合したものがUTM(統合脅威管理)で、個別に製品を揃えにくい中小企業でも導入しやすい選択肢です。

外部に公開するWebアプリケーションを守るWAF(Webアプリケーションファイアウォール)、テレワークで社外から社内に安全につなぐためのVPN(暗号化された仮想専用線)も、通信を守る代表的な技術です。

端末を守る技術

パソコンやサーバー、スマートフォンといった端末そのものを守る技術です。入口で感染を防ぐのがウイルス対策(アンチウイルス)で、端末を守るソフトの総称としてEPP(Endpoint Protection Platform)とも呼ばれます。

一方、侵入を完全には防ぎきれないという前提に立ち、端末に入り込んだ後の不審な挙動を検知して管理者に知らせるのがEDR(Endpoint Detection and Response)です。ランサムウェアのように、すり抜けてから動き出す攻撃に備えます。

このEDRの検知対象を、端末だけでなくネットワークやメール、クラウドにまで広げた考え方がXDRで、複数の領域の情報を突き合わせて脅威を捉えようとするものです。

ID・アクセスを守る技術

「誰がどの情報にアクセスしてよいか」を管理する技術です。利用者がデータにアクセスできる権限を制御するアクセス制御が土台で、正規の利用者になりすました不正ログインを防ぐのが多要素認証です。多要素認証は、知っているもの(パスワード)・持っているもの(スマホやセキュリティキー)・本人自身に関するもの(指紋など)の3要素のうち2つ以上を組み合わせて本人確認します。

システムを管理するための最上位の権限は、悪用されると被害が大きいため、申請・付与・操作ログを個別に管理する特権ID管理で守ります。内部不正や、管理者権限を奪った攻撃への備えになります。

データを守る技術

情報そのものを守るのがこのグループです。中心となる暗号化は、特定の法則でデータを変換し、第三者に内容を知られないようにする技術で、盗聴・改ざん・漏えいを防ぎます。保存されたデータの暗号化と、インターネット経由の通信を保護する通信暗号化(SSL/TLS)があります。

暗号化の方式には、暗号化と復号に同じ鍵を使う共通鍵方式と、公開鍵と秘密鍵のペアを使う公開鍵方式があります。SSL/TLSのような通信の保護では、この両方式を組み合わせて使います。あわせて、データが改ざんされていないかを確かめる用途ではハッシュ(元のデータから固定長の値を生成し、同じ入力からは必ず同じ値になる仕組み)も用いられます。

データの持ち出しや送信を監視して情報漏えいを防ぐ仕組みはDLP(Data Loss Prevention)と呼ばれます。また、ランサムウェアでデータを暗号化されたり誤って消したりしたときに事業を止めないためには、データを複製しておくバックアップが欠かせません。被害に遭っても事業を止めないための、基本的な備えの一つです。

ただし、バックアップを取っていれば必ず復旧できるとは限りません。攻撃者がバックアップそのものを狙う実態について、国産のセキュリティ技術を手がける株式会社SYNCHROは次のように指摘します。

北口氏
株式会社SYNCHRO 取締役CMO
北口氏
独自インタビューより

現状、ランサムウェア攻撃を受けた企業のうち、約8割近くでバックアップデータも潰されていると、警察からも発表されています。バックアップ経路は通常のネットワーク上にあるため、ランサムウェアを仕掛けてきた攻撃者にもたどり着けてしまうものがほとんどだからです。

バックアップは「取っているか」だけでなく、「攻撃者の手が届かない形で守れているか」が問われます。通常のネットワークから分離した保管や、後から書き換えられないバックアップにするといった工夫が有効です。

ログ管理で不審な操作を早く掴むことも含め、次に見る多層防御の考え方が、ここでも効いてきます。

メール・Webを守る技術

攻撃の多くはメールやWeb閲覧から入ってきます。メールフィルタリングは、メールの送受信を監視し、指定した条件に応じて迷惑メールや不正なメールを振り分けます。URLフィルタリングは、Webサイトのアドレスや内容が条件に合致・違反する場合にアクセスを停止したり警告を出したりします。

これらに加えて、添付ファイルやリンク先を隔離した環境で開いて安全を確かめるサンドボックスや、ファイルから危険な要素を取り除く無害化といった仕組みを備えた製品もあります。標的型攻撃やビジネスメール詐欺など、メールを起点とする攻撃への守りを厚くする技術です。

監視・運用の技術

導入した対策が効き続けているかを見張り、万一のときに原因を追えるようにするのが監視・運用の技術です。サーバーへのログインやデータへのアクセスを記録するログ管理は、サイバー攻撃があったときに情報漏えいの有無を分析する手がかりになります。複数の機器のログを横断的に集めて相関分析する仕組みはSIEM(Security Information and Event Management)と呼ばれます。

サーバーやアプリケーションをスキャンして弱点を見つける脆弱性検査、社内のハードウェア・ソフトウェアの保有状況や構成を一元管理するIT資産管理も、攻撃の入口になりやすい「把握できていない端末・直っていない脆弱性」を減らす技術です。

どの脅威にどの技術が効くか

技術の種類が分かったら、次は「自社が備えたい脅威に、どの技術が効くのか」を確かめましょう。IPAが毎年公表する「情報セキュリティ10大脅威 2026」[組織]で上位に挙がった脅威と、対応する技術的対策を対応づけると次のようになります。自社の守りに抜けがないかを点検する手がかりになります。

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主な脅威と対応する技術ランサム攻撃による被害サプライチェーンや委託先を狙った攻撃システムの脆弱性を悪用した攻撃機密情報を狙った標的型攻撃内部不正による情報漏えい等リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃ビジネスメール詐欺
主に効く技術ウイルス対策・EDR/XDR・バックアップ・脆弱性検査アクセス制御・多要素認証・ログ管理脆弱性検査・IT資産管理・WAF・UTMメールフィルタリング・EDR・ファイアウォール/IDS・IPS特権ID管理・アクセス制御・ログ管理・暗号化VPN・多要素認証・EDRメールフィルタリング・多要素認証

※脅威の名称はIPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」[組織]の上位から取り上げています。対応技術は各技術の守備範囲に基づく整理で、1つの脅威に複数の技術を組み合わせて備えるのが基本です。

出典・参考資料(1件)

一つの脅威に一つの技術で守りきれるわけではなく、入口(ネットワーク)・端末・データ・運用の各段階で技術を重ねる「多層防御」が基本的な考え方です。たとえばランサムウェアには、感染を防ぐウイルス対策、入り込んだ後に気づくEDR、被害に遭っても事業を止めないためのバックアップを組み合わせます。

ランサムウェアに技術を重ねて守る多層防御の図。ランサムウェア攻撃に対し、第1層「防ぐ」としてウイルス対策で感染そのものを防ぎ、第2層「気づく」としてEDRですり抜けて侵入した後の不審な挙動を検知し、第3層「止めない」としてバックアップで被害に遭っても事業を止めないための備えをする、という3つの技術を組み合わせる流れを示す。

このランサムウェアへの多層防御を、予防・バックアップ・感染時の対応まで具体的な手順で知りたい場合は、以下の記事で解説しています。

技術的対策だけでは守れない — 人的・物理的・組織的対策との関係

ここまで見てきた技術的対策は、情報セキュリティ全体の一部にすぎません。どれほど優れた技術を導入しても、従業員がパスワードを使い回したり、USBメモリを紛失したり、ルールが運用されていなかったりすれば、情報は守れないからです。

JNSA(日本ネットワークセキュリティ協会)は、情報セキュリティ対策を「技術・人・組織・物理」の4領域に分けて、すべてで取り組む必要があると整理しています。

情報のセキュリティ対策は、情報を取り扱う過程に関わる全てにおいて取り組む必要があります。すなわち、技術、人、組織、物理の4領域の各々において、確実に実施されなければなりません。

出典:情報セキュリティ対策の4領域|JNSA(日本ネットワークセキュリティ協会、経済産業省委託事業教材)

東京都やIPAは、同じ考え方を組織・人的/物理的/技術的の3つの分類で示しています。ITを活用するうえで組織・人的対策や物理的対策だけでは限界があり、環境に応じた技術的対策が必要だと説明しています。

技術的対策はこの全体像の中の一角であり、ルール作り(組織的対策)・従業員教育(人的対策)・入退室管理や機器の管理(物理的対策)と組み合わせて初めて機能します。

技術・人・物理の3領域を自社で具体的に何から進めればよいかは、以下の記事で全体像と着手の順番を整理しています。自己診断で抜けを洗い出したい方はあわせてご覧ください。

出典・参考資料(2件)

クラウドやテレワークの普及で、「社内は安全・社外は危険」という前提での境界型の守り方は見直しが進んでいます。ここでは、いま取り入れが広がりつつある守り方の方向性を押さえておきましょう。

その中心がゼロトラストです。IPAの「ゼロトラスト導入指南書」(2021年)は、社内外すべてを信用できない領域として、全ての通信を検知し認証を行うという考え方だと説明しています。従来の境界型防御のように社内ネットワークを信頼するのではなく、アクセスのたびに利用者と端末を検証する点が特徴で、多要素認証やアクセス制御、EDRといった技術を組み合わせて実現します。

これは、社内外すべてを信用できない領域として、全ての通信を検知し認証を行うという考え方であり、ゼロトラストを完全に導入すれば境界型防御をなくすことができるという考えもある。

出典:ゼロトラスト導入指南書(2021年)|IPA(情報処理推進機構)産業サイバーセキュリティセンター

先に触れた端末のEDRから検知範囲を広げるXDRも、この流れの一つです。さらに、ネットワークとセキュリティの機能をクラウド上で統合して提供するSASE(Secure Access Service Edge)という枠組みも広がりつつあります。

SASEは調査会社ガートナーが2019年に提唱したとされる概念で、拠点やテレワークなど場所を問わず同じ水準の守りを届けることを狙います。ゼロトラストを具体的に実装する方向性の一つです。

これらは公的機関が定義を定めた用語ではなく、提唱元や広まった背景を踏まえて捉えるとよいでしょう。

出典・参考資料(1件)

各技術を実装するソリューション

ここまで整理した技術は、実際には各領域に対応した製品・サービスとして導入します。自社でどの技術が手薄かが見えてきたら、それを実装するソリューションを検討する段階です。ここでは認証・ネットワーク・メール・データといった守る対象の代表的なサービスを例として紹介します。

端末対策や監視・運用も含めた全領域のサービスを、費用や選び方まで比べたい場合は、章末の比較記事(社内セキュリティソリューションの比較)もあわせてご覧ください。

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各技術を実装する主なサービスCloudGate UNOYubiKey as a ServiceNetwork BlackboxEye"247" Spam ShieldShadow Desktop
守る対象(技術カテゴリ)ID・アクセス
(認証基盤・IDaaS)
ID・アクセス
(多要素認証・物理キー)
ネットワーク
(NDR)
メール
(メールセキュリティ)
データ
(データレスクライアント)
主な機能SSO・多要素認証・アクセス制限・ID管理を統合。FIDO2準拠のパスワードレス認証に対応物理セキュリティキーによるフィッシング耐性の高い多要素認証。導入・運用支援をサブスクで提供全通信を記録するフルパケットキャプチャを基盤に、検知・分析・フォレンジックを実施学習型AIで迷惑メール・不正メールを判定しブロックするクラウド型ゲートウェイPCデータをクラウドへ自動退避し端末にデータを残さず、紛失・盗難時の漏えいを防ぐ
提供形態クラウド(IDaaS)物理キー+サブスク
(200ライセンス〜、3年/5年契約)
ミラーリング方式で導入
(提供形態は非公表)
クラウド(ゲートウェイ型)ソフトウェア(PCインストール型)
+クラウドストレージ
料金月額440円(税込)〜/ユーザー要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
無料トライアル30日間要問い合わせデモ申請可1か月最大30日間
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約

ここからは、上で取り上げた各サービスの特徴を順に紹介します。

CloudGate UNO(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

CloudGate UNOのウェブサイト

株式会社インターナショナルシステムリサーチ(ISR)のCloudGate UNOは、シングルサインオン(SSO)と多要素認証を軸に、ゼロトラストの考え方でクラウドサービスへのアクセスを制御するID・アクセスの認証基盤です。

2019年から提供するFIDO2準拠のパスワードレス認証に対応し、パスワードに頼らないフィッシングに強いログインを実現できる点が特徴です。公式サイトによると契約数は1,400社以上、直近1年間の稼働率は99.99%です(2026年10月時点)。料金はStandard Plusプランが1ユーザー月額440円(税込)からで、30日間の無料トライアルが用意されています。

パスワードに頼らない認証への移行は、利用者の利便性だけでなく、IT部門の運用負担にも関わります。開発元である株式会社インターナショナルシステムリサーチは、導入現場での変化を次のように説明しています。

平澤氏
株式会社インターナショナルシステムリサーチ 営業本部マーケティング部
平澤氏
独自インタビューより

導入と同時にパスワードレス認証に切り替えた企業では、IT部門の業務の約20%を占めていたパスワード関連のヘルプデスク業務が「0%」になったという事例があります。また、他社サービスからの乗り換え事例もございます。通常、設定の移行には時間がかかるものですが、当社のサポートによりわずか1週間で完了させたケースもあります。

YubiKey as a Service(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

YubiKey as a Serviceのウェブサイト

同じくISRが提供するYubiKey as a Serviceは、物理的なセキュリティキー「YubiKey」をサブスクリプション型で導入できるサービスです。USBなどで接続する専用デバイスを本人確認に使うことで、フィッシング耐性の高い多要素認証を実現します。

キーの購入・配布・交換をまとめてサービスとして利用できるため、デバイスの調達や運用の負担を抑えられます。行政や医療など、ガイドラインで多要素認証が強く求められる領域での利用を見込んでおり、前述のCloudGate UNOと組み合わせた認証基盤の構築にも対応します。契約は3年または5年、提供は200ライセンスからで、料金は規模や条件に応じた個別見積もりです。

多要素認証が求められる場面には、委託先を経由した攻撃への備えもあります。相談が増えている背景について、同社は次のように述べています。

内田氏
株式会社インターナショナルシステムリサーチ 営業本部 セールスアライアンス部 部長
内田氏
独自インタビューより

近年はサプライチェーン対策としての需要も高まっています。経済産業省による新たなセキュリティ対策評価制度の開始を見据え、委託先の認証強化を急ぐ企業が増えています。スマートフォンの支給に比べてコストを抑えつつ、迅速に多要素認証を導入できる点が評価されています。

Network Blackbox(株式会社クワッドマイナージャパン)

Network Blackboxのウェブサイト

ネットワーク側で脅威を捉えるのが、株式会社クワッドマイナージャパンのNetwork Blackboxです。公式サイトでは「次世代ネットワーク検出および応答(NDR)ソリューション」と位置づけられ、ネットワークを流れる通信をすべて記録するフルパケットキャプチャを基盤にしています。

既知の攻撃を見つけるシグネチャベースの検知に加え、ネットワーク上の利用者の行為を分析し、通常と異なる振る舞いやポリシー違反の兆候を捉える検知方式を備えます。EDRを入れにくい機器も含め、端末側だけでは見えないネットワーク全体の動きから脅威を探せる点が特徴です。料金は要問い合わせです。

Eye“247” Spam Shield(株式会社フーバーブレイン)

Eye“247” Spam Shieldのウェブサイト

フーバーブレインのEye“247” Spam Shieldは、受信メールを対象としたクラウド型のメールセキュリティです。AIによる学習を活用して、メールの入口で迷惑メールや不正なメールを振り分けます。

2025年7月に販売を開始したサービスで、1ドメインあたり100メールアカウントまで対応し、101アカウント以上はオプションで追加できます。アプライアンス機器の購入など初期投資が不要で、1か月の無償トライアルを利用できる点も、専任担当を置きにくい企業にとって始めやすい設計です。料金は販売元への問い合わせとなります。

Shadow Desktop(アップデータ株式会社)

Shadow Desktopのウェブサイト

データを端末に残さないという方法で情報漏えいを防ぐのが、アップデータ株式会社のShadow Desktopです。VDI(仮想デスクトップ基盤)に代わるデータレスクライアントをうたい、PCの使い勝手を保ったまま漏えいリスクを下げることを狙います。

仕組みとしては、PC内のデスクトップやドキュメントなどのデータを、Amazon S3やMicrosoft Azureなどのクラウドストレージへ自動的に退避し、PC本体にはデータを物理的に残しません。そのため、端末の紛失や盗難が起きても情報が持ち出される心配を抑えられます。

1ライセンスあたり100GBのクラウドストレージが付帯します。資料請求ではなく、ミーティング予約からの相談に対応するサービスです。

ここで取り上げたのは、守る対象ごとの代表的なサービスの一例です。社内セキュリティ向けのソリューションを守る対象別のタイプで一覧し、費用相場や選び方まで含めて比較検討したい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ

情報セキュリティ技術は、ネットワーク・端末・ID・データ・メール・運用という守る対象ごとに役割が分かれ、それぞれが「何から守るか」を担っています。一つの技術で全てを守れるわけではなく、脅威に応じて複数の技術を重ねる多層防御と、人的・物理的・組織的対策との組み合わせが前提です。

まずは自社のどの守る対象が手薄かを、本記事の一覧表で点検してみてください。認証・端末・ネットワーク・メール・データといった領域ごとに、それを実装するサービスがあります。具体的な製品の機能や料金を見比べたいときは、資料をまとめて取り寄せて検討するのが近道です。

よくある質問(FAQ)

Q. 情報セキュリティ技術とは何ですか?

A. 情報セキュリティ技術とは、企業や組織の情報を不正アクセス・ウイルス・情報漏えい・改ざんといった脅威から守る技術的な対策(製品やソフトウェア)の総称です。

ネットワーク・端末・ID・データ・メール・監視運用など、守る対象ごとに役割の異なる技術を組み合わせて使います。IPA(情報処理推進機構)は情報セキュリティを「情報の機密性・完全性・可用性を維持すること」と定義しており、情報セキュリティ技術はこの3つを技術の面から支える手段だと考えると分かりやすいでしょう。

Q. 情報セキュリティ技術と情報セキュリティはどう違うのですか?

A. 情報セキュリティは機密性・完全性・可用性を保つ取り組み全体を指す広い概念で、情報セキュリティ技術はそのうち技術的な手段を担う一部分です。

JNSA(日本ネットワークセキュリティ協会)は情報セキュリティ対策を技術・人・組織・物理の4領域で整理しており、技術的対策はそのうちの一領域にすぎません。従業員の運用ミスや規程の不備といった人・組織の面の穴があれば、技術だけでは情報を守りきれないためです。

技術的対策は、従業員教育(人的対策)・ルール作り(組織的対策)・入退室管理(物理的対策)と組み合わせて初めて機能します。

Q. 中小企業は情報セキュリティ技術の対策を何から始めればよいですか?

A. まずはIPAの「情報セキュリティ5か条」のような基本(OS・ソフトの更新、ウイルス対策ソフトの導入、パスワード管理の強化など)から始め、自社に不足している技術を段階的に足していくのが基本です。

専任のセキュリティ担当を置きにくい中小企業では、ファイアウォールやIDS・IPS、各種フィルタを1台に集約したUTM(統合脅威管理)のように、複数機能をまとめた製品が導入しやすい選択肢です。本記事の一覧表から自社の手薄な領域を見つけ、守る対象ごとに対策を重ねる多層防御で進めるとよいでしょう。

中小企業が「まず何を・どの順で・いくらで」進めればよいかは、『中小企業のセキュリティ対策は何から始める?優先順位と費用感つきでやるべきことを解説』で具体的に整理しています。

Q. ゼロトラストとは何ですか?

A. ゼロトラストとは、社内外すべてを信用できない領域とみなし、アクセスのたびに利用者と端末を検証するという考え方です。

IPA「ゼロトラスト導入指南書」は、社内外すべてを信用できない領域として全ての通信を検知し認証を行う考え方だと説明しています。「社内は安全・社外は危険」とする従来の境界型防御に代わる方向性で、多要素認証・アクセス制御・EDRなどの技術を組み合わせて実現します。特定の製品名ではなく守り方の設計思想を指す点に注意し、自社の環境に応じて段階的に取り入れるのが現実的です。

Q. 情報セキュリティ技術と「サイバーセキュリティ」はどう違うのですか?

A. サイバーセキュリティは主にサイバー空間(ネットワークやシステム)への攻撃から守ることに焦点を当てた概念で、情報セキュリティは紙の書類なども含む情報全般を守る、より広い概念です。

情報セキュリティ技術は、この情報セキュリティを技術の面から支える対策群を指します。厳密な区分は文脈によって幅がありますが、「守る範囲の広さ」で捉えると整理しやすく、自社が守りたい対象(デジタルデータ中心か、紙や人の運用も含めるか)に照らして必要な対策を考えるとよいでしょう。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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