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ERPの予実管理機能でどこまでできる?専用システムが要る会社・要らない会社の選び方

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予算管理システム比較表(2026年版)

すでにERP(統合基幹業務システム)や会計システムを使っている企業では、予実管理をExcelやERPの予算モジュールで回しているケースが少なくありません。部門や事業が増えて差異分析や着地見込みの更新が重くなってくると、「ERPにも予算機能があるのに、なぜ別に予実管理システムが要るのか」という疑問に突き当たります。

結論を先にお伝えすると、ERP付属の予算・予実機能で足りるのは、管理軸が部門・勘定科目中心でシンプルなケースです。一方で、部門×事業×プロジェクトのように管理軸が多次元に広がり、月次で着地見込みを更新したり、部門横断で予算を集めて承認するワークフローが要る場合は、専用の予実管理システムを検討する価値が出てきます。

この記事では、ERP付属の予実機能でできること・できないことを整理し、自社がERP付属で足りるのか専用システムが要るのかを判定するチェックリストを用意しました。そのうえで、専用システムの選び方・連携方式・費用の見方まで、ERPを持つ立場からの選び方に絞って解説します。

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ERP付属の予算・予実機能で足りるケースと、専用システムが要るケース

ここからは、ERP付属の予実機能で足りるのはどんな会社で、専用の予実管理システムが要るのはどんな会社かを、先に結論として整理します。

ERP付属の予実機能やExcelで足りる会社と、専用の予実管理システムを検討すべき会社の分かれ目を2つの枠で対比した図。足りる側は管理軸が部門・勘定科目中心でシンプル、単一拠点中心、予算編成は年1回で着地見込みの更新が低頻度。専用を検討する側は部門×事業×プロジェクトの多次元で見たい、多拠点・子会社をグループで横並び比較したい、KPIと予実を接続したい会社で、多次元の管理軸・月次の着地見込み更新・部門横断の承認がきっかけ。

国産の会計ERP(勘定奉行・OBIC7・GRANDITなど)は、部門別・プロジェクト別の予算入力と予実対比、予算統制を標準〜準標準の機能として備えています。「ERPに入っている会計の実績に対して予算を入れ、部門・科目別に予実を突き合わせる」ところまでは、多くの会計ERPが対応できます。

一方で、部門横断で予算を集めて申請・承認するワークフロー、複数パターンの予算や毎月更新する着地見込み(フォーキャスト)、部門×事業×プロジェクトといった多次元での差異分析、KPI(非財務指標)と予実の接続といった込み入った機能は、ERP本体では深くカバーされていないことが多いのが実情です。

海外大手のOracleやSAPでは、こうした本格的な計画機能はERP本体ではなくEPM(経営管理)という別レイヤーの製品で提供されています。

このように分かれ目は、ERP本体が標準で持つ予実対比で足りるのか、ERP本体では浅くなりがちな予算編成ワークフロー・着地見込みの更新・多次元分析まで要るのか、という点にあります。

冒頭で触れた線引きに自社が当てはまるかは、次の章のチェックリストで具体的に確かめられます。

【判定チェックリスト】自社はERP付属で足りるか、専用が要るか

次のチェックリストで、自社がERP付属の予実機能で足りるのか、専用システムを検討すべきかを判定できます。どれか1つで決まるものではなく、当てはまる項目が多いほどその傾向が強い、という目安として使ってください。

ERP付属・Excelで足りる傾向が強いチェック項目

  • 予実の管理軸が部門・勘定科目中心で、事業×プロジェクト×製品のような多次元の掛け合わせが少ない
  • 拠点・子会社が少なく、グループ横断で数字を横並び比較する必要が薄い
  • 予算編成は年に1回程度で、部門横断の入力・承認ワークフローを回す必要がない
  • 着地見込みの更新頻度が低い(四半期に一度など)
  • 予実の集計に関わる人数が限られ、Excelの集計ロジックを複数人が説明・保守できる

専用の予実管理システムを検討すべき傾向が強いチェック項目

  • 部門×事業×プロジェクト×製品など、多次元の掛け合わせで予実を見たい
  • 拠点・子会社が多く、フォーマットの異なる数字をグループで横並びに比較したい
  • 月次で着地見込み(フォーキャスト)を更新し、経営会議の資料にしている
  • 各部門から予算を集めて突合・申請・承認する一連のワークフローを回したい
  • KPI(非財務指標)と予実(財務)を接続して、結果と要因を一緒に見たい
  • 月次の予実集計に無視できない工数がかかり、版数の錯綜・集計関数の破損・属人化が起きている

専用を検討すべき側のチェック項目に多く当てはまるほど、ERP付属や Excel の延長では限界が近づいているサインです。特に「多次元の管理軸」「月次の着地見込み更新」「部門横断の承認ワークフロー」の3つは、どれか1つでも強く当てはまるなら専用システムを検討する価値が大きい、代表的なきっかけです。

ここで示した工数や頻度はあくまで一般的な目安で、業種や管理の作り込みによって変わります。自社の状況に当てはめて傾向をつかむ材料として使ってください。

着地見込みを一定サイクルで見直し続ける「ローリングフォーキャスト」は、月次で見込みを更新して経営に活かしたい企業が検討する運用手法です。仕組みやメリット・運用のコツを詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

ERP付属の予実機能でできること・できないこと

ERP付属の予実機能で実際にどこまでできるのかを、主要ERPの機能に即して見ていきます。まず全体像を対比表で示し、その後に「できること」と「できないこと(専用が埋める差分)」に分けて詳しく見ます。

対比表:ERP付属機能と専用予実管理システムの守備範囲

ERP付属の予算・予実機能と、専用の予実管理システムの守備範囲を対比すると、おおよそ次のように整理できます。

観点ERP付属の予算・予実機能専用の予実管理システム
予算入力・予実対比部門・科目別の予算入力と予実対比に標準的に対応対応。多次元の管理軸やKPIと接続した予実にも対応
予算編成ワークフロー国産会計ERPは深さが公式に明示されず、海外大手はEPMレイヤーで提供部門横断の入力・申請・承認・差分ハイライトに対応する製品が多い
着地見込み・シナリオERP本体では限定的(Oracle・SAPはEPM側で提供)複数パターンの予算・毎月の着地見込み更新・バージョン管理が得意
配賦・管理会計OBIC7は多段階自動配賦・予算配賦・予算統制を公式に明示製品により対応状況が分かれる
多次元ドリルダウン公式記載が薄い部門×事業×プロジェクトなどの多次元分析が得意
非財務KPIとの接続限定的KPIと財務を接続して見られる製品がある
データの持ち方会計の実績と同じ基盤上会計から実績を取り込み、別基盤で予実を作り込む
向いている企業管理軸がシンプル・単一拠点中心多次元・多拠点、月次でフォーキャストを回す企業

この対比はあくまで一般的な傾向で、同じ「ERP」でも製品によってできる範囲は異なります。以下、代表的なERPで具体的に確かめます。

ERP付属の予実機能でできること(守備範囲)

国産の会計ERPは、部門・プロジェクト軸での予算入力と予実対比を標準〜準標準の機能として持っています。予算と実績を突き合わせる基本機能は、多くの会計ERPでカバーされています。

  • 奉行V ERPクラウド 会計(OBC):制度会計・管理会計の機能群のなかに「予実管理」が標準機能として掲載されています
  • GRANDIT:経理モジュールで「部門別、プロジェクト別の予算、見込および実績を管理」でき、経費配賦・社内金利配賦などの管理会計にも対応します
  • OBIC7:管理会計システムで「多段階自動配賦、予算配賦」などを備え、「予算統制マネジメント」「予算対比」に対応します

このように、ERPに蓄積された会計の実績に対して予算を入れ、部門・科目別に予実を突き合わせて予算統制を行うところまでは、国産の会計ERPが標準で対応できる範囲です。

出典・参考資料(3件)

ERP付属でできないこと=専用予実管理システムが埋める差分

一方で、込み入った予算編成ワークフロー・着地見込み/シナリオ・多次元分析・KPI接続といった領域は、ERP本体ではカバーが浅いことが各社の製品構造から読み取れます。これが専用の予実管理システムを導入する価値になります。

Oracleの公式ドキュメントによれば、Oracle Fusion Cloud ERP の予算管理機能(Budgetary Control)は「予算を取り込むための柔軟なインターフェースと、予算入力用の基本的なスプレッドシート」を提供するものと位置づけられています。

そのうえで、本格的な予算編成は EPM Planning という別モジュールで作成し、ERP本体へ書き戻す構造になっていると説明されています。ERP本体が担うのは基礎的な予算の取り込み・統制で、込み入った予算編成はEPMという専用レイヤーが担う設計です。

SAPでも、年次予算・予測(フォーキャスト)・what-ifシナリオ・バージョン比較・承認ワークフローといった本格的な計画機能は、S/4HANA会計そのものではなく、その上に載せる SAP Analytics Cloud for Planning という計画専用の製品で提供されています。海外大手ERPは、本格的な計画・予実管理をERP本体とは別のEPM製品に切り出しているわけです。

国内でも同じ構図が見られます。マネーフォワード クラウド会計Plus は、予実管理を自前の機能として持つのではなく、帳票・レポートの機能として「予実管理システム連携」「公開APIでのシステム連携」を掲げています。会計システム本体は実績を蓄える器とし、予実の作り込みは外部の専用システムに任せる、という設計をベンダー自身が採っているといえます。

国産の会計ERPで実務上つまずきやすいのは、複数パターンの予算を版として持ちにくい、着地見込みを毎月更新して版管理するのが手作業になりやすい、部門×事業×製品のような多次元のドリルダウンが弱い、といった点です(製品によって差があり、公式情報では断定できないため傾向として挙げています)。

奉行V ERPのように「予実管理」を機能名として掲げる会計ERPでも、予算編成ワークフローや着地見込み・多次元ドリルダウンがどこまで深いかは公式ページからは読み取れません。自社のERPで予実管理がどこまでできるかは、機能名の有無だけでなく、ERPの担当者や情報システム部門に実際の守備範囲を確かめることが重要です。

出典・参考資料(3件)

専用予実管理システムのタイプと比較軸

ここからは、専用の予実管理システムを検討する場合に、どのタイプがあり、どの軸で比べればよいかを整理します。

専用の予実管理システムは、大きく次のタイプに分けて考えると自社に合うものを絞り込みやすくなります。

  • 経営管理特化型(EPM/CPM):多階層・連結を含む経営管理に強く、部門横断の予算編成や着地見込みの更新、多次元の分析を得意とします。ERP本体の予実対比では足りず、本格的な計画・連結まで必要になった企業に向きます
  • Excel操作性重視型:既存のExcelフォーマットを大きく崩さずに移行でき、現場の入力負荷を抑えやすいタイプです。Excelとの併用から脱却したいが大掛かりな移行は避けたい企業に向きます
  • 会計・販売管理の付属機能型:会計ソフトやERPに付属する予実機能で、管理軸がシンプルな範囲をカバーします(前章で見たERP付属の機能がここに当たり、付属機能で足りる企業向きです)
  • BIツール型:予実の可視化・分析に強い一方、予算の入力や承認ワークフローは弱いことがあります。ERPに予算入力はあり、可視化・分析だけを補強したい企業に向きます

そのうえで、タイプを横断して確認したい比較軸は次のとおりです。いずれもERPを持つ立場からは「ERP付属で足りない部分を埋められるか」という視点で見ると判断しやすくなります。

  • 管理軸の数:部門・科目だけか、事業×プロジェクト×製品のように多次元まで扱えるか
  • 実績データの連携方式:ERP・会計システムからAPI/CSV/DB直結のどれで実績を取り込めるか(次章で詳説します)
  • 予算編成ワークフローの要否:部門から予算を集めて申請・承認する流れを回せるか
  • 差異分析の粒度:数量差・単価差・時期ずれといった要因分解や、着地見込みの更新頻度に耐えられるか

ERPを持っている場合、まず前章で確かめたERP付属の守備範囲を起点に、「足りない軸はどれか」を特定してから、その軸を埋められるタイプ・製品を選ぶのが近道です。

ERPと専用予実管理システムの連携方式(API/CSV/DB直結)とマスタ整合

ここからは、専用システムを入れる場合に避けて通れない、ERPとの連携方式とマスタ整合について解説します。ERPに蓄積された実績をどう予実管理システムに流し込むかで、月次の運用負荷が大きく変わります。

ERPと専用予実管理システムのデータの流れを示す図。左のERP・会計システムが会計の実績を蓄える器となり、API・CSV・DB直結のいずれかの連携方式で実績を取り込みマスタ整合を合わせ、右の予実管理システムが別基盤で予実を作り込む流れを矢印でつないでいる。

実績データの連携方式は、主に次の3つに分かれます。

連携方式初期構築月次の手間向いている条件
API連携設定・開発が必要自動取り込みで小さい連携元(ERP・会計)がAPIに対応し、継続的に自動化したい場合
CSV連携軽い出力・取り込みの手作業が残るスモールスタートしたい、連携元がAPI非対応の場合
DB直結重い(専門知識が必要)自動だが保守が必要大量データをリアルタイムに扱いたい場合

連携方式と同じくらい重要なのが、勘定科目マスタと部門コード体系の整合です。ERP側と予実管理システム側でコード体系が食い違っていると、取り込み時にエラーが起きたり、取り込めても数字が正しく紐づかなかったりします。マスタをERP側に寄せるのか予実管理システム側に合わせるのかをあらかじめ決めておかないと、予算をERPと予実管理システムの両方に入力する二重入力や、マスタの二重管理が発生しやすくなります。

予実管理システムが連携できる会計ソフト・ERPは製品ごとに異なります。クラウド会計(freee会計・マネーフォワード クラウド会計など)や勘定奉行クラウドにAPIで対応する製品が多くあります。

一方、SAP・Oracle・OBIC7・GRANDITのような重めのERPは、APIが用意されていなくてもCSVやETL(データの抽出・変換・取込)経由で実績を取り込めることが多く、連携方式さえ確認すれば候補になります。

自社のERP・会計システムがどの方式でつながるかは、資料請求や問い合わせの段階で必ず確認しておきたいポイントです。

予実管理システムの費用の見方(ERP側/専用側)

予実管理にかかる費用は、ERP側に含まれる分と、専用システムを追加する分で性格が異なります。

ERP付属の予実機能は、多くの場合ERPのライセンス費用に含まれます。ただし、OracleやSAPのように本格的な計画機能をEPMという別モジュールで提供する場合は、その追加ライセンス費用が別途かかります。あわせて、ERPと予実管理システムをつなぐ連携開発費や、連携の保守費は見積もりから抜けやすい費目なので注意が必要です。

専用システム側の費用は、実額を公開している製品と、要問い合わせの製品が混在します。数少ない公開例として、予実管理にも使われる販売管理クラウドの楽楽販売(ラクス)が「初期費用200,000円+月額70,000円〜(税抜)」と案内しています(2026年5月時点の情報)。

予実管理の専用製品では、Scale Cloudが公式サイトで「月額15万円から」と案内しています(一部ページや第三者サイトには月額10万円からの記載も残るため、正確な金額は要問い合わせです)。初期費用は独自インタビューで50万円との言及があります。

一方、DIGGLEやX-KPIは初期費用・月額とも非公開で、見積もりベースです。各製品の詳しい費用感は、資料請求や問い合わせで確かめられます。

専用の予実管理ツールの一般的な費用感については、ラクスの解説で「月額3〜20万円程度が一般的」と示されています。ただしこれは独立した市場調査にもとづく相場ではなくベンダーによる目安なので、幅のある参考値として捉え、実際の金額は各製品の資料請求・問い合わせで確かめるのが確実です。

出典・参考資料(1件)
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専用予実管理システムの選び方の進め方(RFP・PoC)と導入後の運用設計

ここからは、専用システムの導入を進める具体的な手順と、導入後に予実管理を形骸化させないための運用設計を解説します。ERPを持っている場合は、既存のERPとの役割分担を前提に進めるのがポイントです。

RFPと情報システム部門への確認

製品を選ぶ前に、自社の要件を整理しておくことが大切です。RFP(提案依頼書)に、予算体系・配賦基準・管理軸(部門/プロジェクト/製品など)・ERPとの連携方式・マスタ整合の方針を明記しておくと、各社から比較可能な提案を引き出せます。

あわせて、ERPの担当者や情報システム部門に「自社のERPの予算モジュールで何がどこまでできるか」を確認しておくと、専用システムに任せる範囲が明確になり、重複投資を避けられます。

要件を整理する際や、導入を社内で提案する前には、自社に近い規模・業種の企業が導入前にどんな課題を抱え、導入後に何がどれだけ変わったかを知っておくと、RFPに盛り込む要件やPoCで確かめる点が具体化します。以下の記事で業種・規模別の導入事例を紹介しています。

PoCで自社の勘定科目・部門階層を1サイクル回す

候補を数製品に絞ったら、PoC(試験導入)で自社の勘定科目・部門階層を使い、予算編成から予実対比・差異分析までを1サイクル回して検証すると確実です。資料やデモ画面では分からない、ERPからの実績取り込みの精度やマスタ整合の手間、現場の入力負荷をここで確かめられます。特にERP連携は、実データで取り込みエラーが出ないかを早い段階で試しておくと安心です。

導入後に形骸化させない運用設計

導入してからも、月次締めを止めないように既存のExcel・ERP運用と一定期間は並行運用し、現場が慣れてから切り替えるのが安全です。入力ルールと管理項目は最初から盛り込みすぎず、まず必要最小限で回し始めると、現場の入力負荷が下がって定着しやすくなります。予実管理は、入力されたデータが使われて初めて意味を持つため、経営会議でどの数字を見るかを先に決めておくと、運用が形骸化しにくくなります。

ERP連携に強い予実管理システム(サービス活用)

ここからは、「専用システムが要る」と判定した場合に候補となる、ERP・会計システムの実績を取り込んで予実を突き合わせられる予実管理システムを紹介します。まず主要な項目を比較表で俯瞰し、その後に各サービスの特徴を見ていきます。

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サービス名DIGGLE(ディグル)X-KPI(クロスケーピーアイ)Scale Cloud(スケールクラウド)
提供形態クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)
会計・ERP連携(連携方式)freee会計・マネーフォワード クラウド会計・勘定奉行クラウド・弥生・Salesforceなどと
API/CSVで連携
会計ソフト・グループウェアとAPI連携
ETLで基幹システム・Excel/CSVを取込
(対応製品は要確認)
勘定奉行クラウドと直接連携
freee・SalesforceはAPI取得
Googleスプレッドシート・CSV明細連携
予実管理の主な機能予算策定・予実突合・見込(着地見込)管理
多段階配賦、承認時の差分ハイライト
部門・拠点・プロジェクト単位の予実
差異分析・異常値の自動検知とチャット通知
見通し管理
予算策定(KPI積み上げ)・予実管理・着地見込み更新
複数パターンの予算作成・多軸分析
KPI・非財務指標△財務・非財務指標の可視化に対応(KPIを積み上げて予算を作る機能は公式に記載なし)●部門・拠点・プロジェクト単位のKPIをノーコード設計し、非財務データを取込◎PL/BS/CFと先行・結果指標のKPIを関連づけ、KPIを積み上げて予算を作成
費用(初期/月額)初期・月額とも要問い合わせ
(Standard/Enterpriseの見積制)
初期・月額とも要問い合わせ
(金額は非公開)
月額15万円〜
(一部ページ・第三者情報に10万円〜の記載)
初期費用はインタビューで50万円との言及
向いている企業会計システムの実績を取り込んで予実管理を始めたい企業
部門横断の予算編成・着地見込み更新を補いたい企業
複数システムに散らばるデータを集約し
予実と非財務KPIを一緒に見たい中堅〜大企業
KPIと予実を統合し
複雑な管理軸で経営管理を高度化したい中堅〜大企業
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約

1. DIGGLE(ディグル株式会社)

DIGGLEのウェブサイト

ディグル株式会社が提供するDIGGLEは、予算・実績・見込をクラウド上で一元管理する予実管理特化のサービスです。会計システムとのAPI連携で実績を自動的に取り込み、勘定科目より細かい粒度での予実突合に対応します。

freee会計・マネーフォワード クラウド会計・勘定奉行クラウド・弥生・Salesforceなどと連携できるため、ERPや会計システムを使っている企業が実績データを流し込んで予実管理を始めやすい設計です。

予算策定では画面からの直接入力や予算のバージョン保存、申請・承認時の差分ハイライトに対応し、見込(着地見込み)の管理や多段階の配賦も備えます。ERP付属の予実機能では物足りない、部門横断の予算編成ワークフローや着地見込みの更新を補いたい企業に向いています。料金はStandard・Enterpriseの2プラン構成で、いずれも見積制です。

2. X-KPI(株式会社パブリックアイデンティティ)

X-KPIのウェブサイト

X-KPIは、部門・拠点・プロジェクトごとのKPIと予実データをクラウド上に集約し、リアルタイムに可視化するKPI・予実管理ツールです。会計ソフトやグループウェアとのAPI連携に加え、ETLで基幹システムやExcel・CSVを取り込む構成が紹介されており、複数のシステムに散らばったデータを1か所に集めて予実と非財務KPIを一緒に見たい企業に向いています。

予実のズレや異常値を自動で検知し、チャットツールへ通知する機能も備えます。

KPI項目やダッシュボードをノーコードで設計できる点も特徴です。料金は初期費用・月額とも非公開で、要件に応じた見積もりとなります。KPIと予実を統合して管理したい場合の候補として、資料請求で具体的な機能・連携範囲・費用を確かめるとよいでしょう。

3. Scale Cloud(株式会社Scale Cloud)

Scale Cloudのウェブサイト

財務数値(PL/BS/CF)と非財務数値(KPI)を関連づけて一元管理するのが、経営管理クラウドのScale Cloudです。KPIを積み上げて予算を作れる設計が特徴で、商談数や成約率といった現場の指標と財務成果を接続して、結果だけでなくそこに至るプロセスまで把握できます。

勘定奉行クラウドとの直接連携のほか、freeeやSalesforceからのAPI取得、Googleスプレッドシート・CSV連携に対応します。

経営用・管理部用・事業部用など複数視点のダッシュボードや、異常値の自動検知、KPI設計のコンサルティングを含む導入支援も用意されています。KPIと予実を統合し、複雑な管理軸で経営管理を高度化したい中堅〜大企業に向いています。料金は公式サイトで月額15万円からと案内されています(一部に月額10万円からの記載もあるため、最新の金額は要問い合わせです)。

財務とKPIを接続する設計に至った背景について、代表取締役の広瀬氏はインタビューで、従来の管理会計の限界を次のように述べています。

広瀬氏
株式会社Scale Cloud 代表取締役
広瀬氏
独自インタビューより

従来の管理会計では、財務データを部門別や得意先別など様々な切り口で分析するのですが、それだけでは「この結果にどうやって至ったのか」というプロセスがまったくわからないです。事業の状況を正しく理解するためには、結果だけでなくそこに至るプロセスも含めて把握しなければ、どこに問題があるのか見えてこない。これが管理会計の限界だと感じていました。そのプロセスを把握するために何を見ればいいかというと、KPIのデータになります。

ここで紹介した3製品はERP・会計システムとの連携に強いサービスですが、予算管理システムには提供形態や得意領域の異なる製品が数多くあります。以下の記事では、主要な予算管理システムをタイプ別の選び方・料金・機能とあわせて比較しています。専用システムの候補を広く見比べてから絞り込みたい方は、こちらもご覧ください。

まとめ

ERPを持つ企業が予実管理システムを選ぶときは、まず「ERP付属の予算・予実機能で足りるのか、専用システムが要るのか」を見極めることが出発点になります。国産の会計ERPは部門・科目別の予算入力と予実対比・予算統制を標準で備える一方、込み入った予算編成ワークフロー・着地見込み/シナリオ・多次元分析・KPI接続は、ERP本体では深くカバーされず、専用システムやEPMレイヤーが埋める差分になります。

自社がどちら側かは、管理軸の数・拠点数・着地見込みの更新頻度・予算編成ワークフローの要否で判定できます。専用システムを検討する場合は、ERPとの連携方式(API/CSV/DB直結)とマスタ整合を確認し、PoCで自社の勘定科目・部門階層を1サイクル回してから決めると失敗を避けられます。まずは候補を数製品に絞り、資料請求で機能・連携範囲・費用を具体的に比べてみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 予実管理システムとは何ですか?

A. 予実管理システムとは、予算と実績のデータを取り込んで突き合わせ、その差異を部門・科目・事業などの軸で分析できるようにする仕組みです。会計システムやERPから実績を取り込み、予算や着地見込みと比較して、どこで差が出ているかを可視化します。Excelでの予実管理を自動化・標準化し、着地見込みの更新や部門横断の集計を回しやすくする点が特徴です。

Q. ERP付属の予算・予実機能だけで予実管理は足りますか?

A. ERP付属の予算・予実機能で足りるかは、管理軸が部門・科目中心でシンプルなら足りることが多く、多次元の管理軸・月次の着地見込み更新・部門横断の承認ワークフローが要るなら専用の予実管理システムが必要になります。国産の会計ERPは部門・科目別の予算入力と予実対比を標準で備える一方、込み入った予算編成や多次元分析はERP本体では深くカバーされないことが多いです。

自社のERPで何がどこまでできるかは、機能名の有無だけで判断せず、情報システム部門やERP担当に実際の守備範囲を確認するのが確実です。

Q. 予実管理システムと予算管理システムは何が違いますか?

A. 予実管理システムと予算管理システムの違いは、名前の重心が異なるだけで、実際に受け持つ範囲は製品ごとに違います。予実管理や管理会計には法令上の一意な定義があるわけではなく、言葉の上では予算管理は予算の編成・統制に、予実管理は予算と実績の比較・差異分析に重心があると読めますが、実際の製品は両方の機能を併せ持つことが多いです。

名称で絞り込まず、自社が必要とする機能(管理軸・ワークフロー・連携方式)に照らして、各製品が受け持つ範囲を確かめてください。

Q. 予実管理システムの費用の目安はどのくらいですか?

A. 専用の予実管理システムの費用は、月額数万円から20万円程度までが一つの目安ですが、実額を公開していない製品も多く、見積もりで確かめるのが確実です。公開例では、販売管理にも使える楽楽販売(ラクス)が初期費用200,000円+月額70,000円〜(税抜)、予実管理のScale Cloudが月額150,000円〜と案内しています。

あわせて、OracleやSAPのようにEPMを別ライセンスで追加する場合の費用や、ERPと予実管理システムをつなぐ連携開発費・保守費は見積もりから抜けやすいので、確認しておくと安心です。

Q. 予実管理システムの導入期間はどのくらいかかりますか?

A. 予実管理システムの導入期間は、管理軸の複雑さと連携方式によって変わり、部門軸のみをCSVで取り込む構成なら2〜3か月、プロジェクト軸でAPI連携を組むと4〜6か月、連結を含む経営管理特化型では6か月〜1年程度が目安です。期間を左右するのは、勘定科目・部門コードの対応表づくり、過去の予算・実績の移行、入力する担当者への説明といった準備作業です。

示した月数はいずれも一般的な幅で、製品や要件によって前後します。ERPとの連携は、実データで取り込みエラーが出ないかをPoC(試験導入)で早めに試しておくと、スケジュールが読みやすくなります。

Q. 予実管理システムはERPや会計システムとどう連携しますか?

A. 予実管理システムとERP・会計システムの連携には、主にAPI連携・CSV連携・DB直結の3方式があり、継続的に自動化したいならAPI、手軽に始めたいならCSVが向きます。API連携は初期設定に手間がかかる分、月次の取り込みを自動化できます。CSV連携は始めやすい一方で、出力・取り込みの手作業が月次で残ります。

DIGGLEはfreee会計・マネーフォワード クラウド会計・勘定奉行クラウドなどと、Scale Cloudは勘定奉行クラウド・freee・Salesforceなどと、API/CSVで連携できます。自社のERP・会計システムがどの方式で連携できるかは、資料請求や問い合わせの段階で必ず確認しておきたいポイントです。

Q. ERPと予実管理システムで予算を二重入力せずに済みますか?

A. ERPと予実管理システムの二重入力は、勘定科目マスタと部門コード体系をどちらに合わせるかを事前に決め、実績は連携で流し込む設計にすれば避けられます。ERP側と予実管理システム側でコード体系が食い違っていると、取り込みエラーや、予算を両方に入力する二重入力・マスタの二重管理が起きやすくなります。

どちらのマスタを正とするかを先に決め、実績データは連携で取り込む運用にしておくことが、二重入力を防ぐ鍵です。

Q. 予実管理システムはクラウド型とオンプレミス型のどちらがよいですか?

A. 予実管理システムは、多くの場合クラウド型が有力で、社内規程で実績データを社外に出せない場合などに限ってオンプレミス型を検討するのが一般的です。クラウド型は初期構築が軽く、多拠点・部門横断での共同利用やアップデート対応がしやすい利点があります。オンプレミス型を選ぶ場合も、解約・移行時にデータをどの範囲で持ち出せるかをあわせて確認しておくと安心です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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