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dApps開発とは?何を・どの言語とツールで・どう作るかを全体像から解説

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ブロックチェーン開発ツール・支援比較表(2026年版)

新規事業でブロックチェーンを使った仕組み——NFTの配布や独自トークン、オンチェーンで動くサービス——を検討しはじめると、必ず「dApps(分散型アプリケーション)を開発する」という言葉に行き当たります。しかし、dApps開発が具体的に何を・どの道具で・どういう順番で作ることなのかは、普通のWebアプリ開発と勝手が違い、全体像をつかみにくいものです。

本記事では、dApps開発とは具体的に何をすることなのかを、普通のWebアプリ開発との違いから出発して整理します。使うチェーン・言語・開発ツールの選び方、実装からデプロイまでの流れ、作る前に知っておくべき注意点、最後に「自社で作るか外注するか・開発基盤を使うか」の判断材料までを順に解説します。

技術の中身と作る流れが分かってはじめて、自社で作れるのか外注すべきか、どの進め方が現実的かを判断できます。変化の速い領域のため、各説明には参照した時点を添えています。

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dApps開発とは?普通のWebアプリ開発と何が違うのか

まず、多くの方が最初に知りたい「dApps開発とは具体的に何をすることか」に答えます。普通のWebアプリ開発との違いが分かれば、作るものの全体像がつかめます。

dApps(ダップス、Decentralized Applications=分散型アプリケーション)とは、ブロックチェーン上のプログラム(スマートコントラクト)を処理の土台にしたアプリケーションのことです。Ethereum(イーサリアム)の公式ドキュメントは、dappを次のように定義しています。

スマート・コントラクトとフロントエンドのユーザーインターフェースを組み合わせた、分散型ネットワーク上に構築されたアプリケーションを分散型アプリケーション (dapp) と呼びます。

出典:分散型アプリケーション (dapp) の概要|Ethereum.org(2026年7月13日更新)(公式ドキュメント)

普通のWebアプリは、サービスを運営する会社が管理するサーバー上でバックエンド(データ処理やビジネスロジック)を動かします。一方のdappは、バックエンドにあたる処理を、特定の管理者がいない分散型のネットワーク(ブロックチェーン)上で実行します。ここが決定的な違いです。

具体的には、dApps開発は大きく2つの層を作る作業になります。1つはブロックチェーン上で動く「スマートコントラクト」(取引や処理のルールをコードにしたもの)で、もう1つは利用者が操作する「フロントエンド」(画面・UI)です。フロントエンドからブロックチェーンに接続し、スマートコントラクトを呼び出して動かす、という構成になります。

フロントエンド自体は、ReactなどふつうのWeb技術で作ります。フレームワークもNext.jsやVite+Reactなど、通常のWeb開発と同じ選択肢で問題ありません。

普通のWebアプリと違うのは、サーバーの代わりにブロックチェーン上のスマートコントラクトを呼び出す点です。接続にはethers.jsやviemを使い、Reactならウォレット接続やデータ読み取りを扱いやすくするフック集のwagmiもよく併用します。画面やデータの保存先に、IPFSのような分散保存の仕組みを使うこともあります。

スマートコントラクトは、いったんネットワークに公開(デプロイ)すると、あとから自由に書き換えられないという性質を持ちます。この「変更できない」という前提が、普通のアプリ開発にはない独特の難しさと注意点を生みます(詳しくは作る前に知っておくべき注意点で後述します)。

ここまでの二層構成を一枚の図にまとめると、次のようになります。

dApps開発の二層構成を示した図解。第1の層はフロントエンド(画面・UIをReactなどのWeb技術で作る)、第2の層はブロックチェーン上で動くスマートコントラクト(取引や処理のルールをコード化、デプロイ後は書き換えられない不変性)。フロントエンドからブロックチェーンに接続し専用ライブラリでスマートコントラクトを呼び出す構成。普通のWebアプリは処理を運営会社のサーバーで動かすのに対し、dAppは管理者のいないブロックチェーン上で動かす点が違い。

ブロックチェーンを使うことで、特定のサーバーに依存しない運用や、記録の改ざんのされにくさといった利点が得られます。本記事は「作り方」に焦点を当てるため、ブロックチェーンそのものの仕組みやメリット・デメリットから押さえておきたい方は、基礎から図解で解説した以下の記事もあわせてご覧ください。

dApps開発に使うチェーン・プラットフォームの選び方

ここからは、dAppをどのブロックチェーン(プラットフォーム)の上で動かすかという選択を見ていきます。この選択で、使えるプログラミング言語や開発ツール、手数料の仕組みが決まるため、最初に押さえる論点です。

選択肢を理解するうえで鍵になるのが「EVM(Ethereum Virtual Machine=イーサリアム仮想マシン)」という考え方です。EVMは、スマートコントラクトのコードをEthereumのすべてのノードで一貫して実行する実行環境を指します。

EVMと互換性を持つチェーン(EVM互換チェーン)であれば、Ethereumと同じ言語・同じツール群がおおむねそのまま使えます。開発資産を使い回せるため、まず「EVM系かどうか」を軸に考えると整理しやすくなります。

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プラットフォームEthereumEVM互換チェーン(Polygon・BNB Smart Chain・Arbitrum など)Solana
特徴スマートコントラクトのエコシステムが最も広く、情報・ツール・ライブラリが豊富。EVMの本家EVMと互換性があり、Ethereum向けの言語・ツールがそのまま使える。手数料や処理速度の特性はチェーンごとに異なる高性能をうたうネットワーク。EVMとは別系統で、プログラムは主にRustで開発する
主に使う言語Solidity/VyperSolidity/VyperRust(Anchorフレームワーク等)
向いているケース情報量と実績を重視し、標準的な構成で手堅く作りたいEthereumの開発資産を活かしつつ、手数料や速度の要件に合わせてチェーンを選びたい高いスループットを求める、Rustの開発体制がある

※各チェーンの特性は2026年10月時点の各公式ドキュメント等にもとづきます。個別チェーンの手数料・性能は変動するため、採用前に各公式情報でご確認ください。

はじめてdApps開発に取り組む場合は、情報とツールがそろうEthereum/EVM系から入ると学習コストを抑えやすくなります。EVM系なら、後からPolygonやArbitrumといった別の互換チェーンへ移っても、開発資産の多くをそのまま活かせます。

チェーン選びの前提になるEVMそのものの仕組みや、互換チェーンがなぜ同じ開発資産を使えるのかを掘り下げたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。

Solanaは、EVMとは異なる仕組みのチェーンで、プログラムは主にRust言語で開発します。公式は高性能ネットワークであることを掲げています。

手数料については、署名1件あたりの基本手数料(base fee)が5,000 lamports(ラムポート=SOLの最小単位。1 SOL=10億 lamportsなので0.000005 SOL)と公式ドキュメントに明記されています。1件あたりはごく少額ですが、円換算の額はSOLの価格で変動します。EVMとは開発の作法が変わるため、採用する場合は対応できる開発体制があるかを前提に検討します。

出典・参考資料(3件)

dApps開発で使うプログラミング言語

続いて、スマートコントラクトを書くためのプログラミング言語を整理します。どの言語を使うかは、前の章で選んだチェーンによっておおむね決まります。

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言語Solidity(ソリディティ)Vyper(ヴァイパー)Move(ムーブ)
対応チェーンEthereum・EVM互換チェーンEthereum・EVM互換チェーンAptos・Sui など(非EVM)
特徴・主な用途EVMを対象に設計された、スマートコントラクト実装のための言語。オブジェクト指向で、情報・ライブラリが最も豊富。EVM系開発の事実上の標準EVMを対象にしたPython風の構文の言語。シンプルさ・読みやすさを重視する設計で、スマートコントラクト向け安全性やフォーマル検証(数学的な正しさの検証)を重視して設計された言語。EVM系とは別系統のチェーンで採用される

※各言語の仕様・対応は2026年10月時点の各公式ドキュメントにもとづきます。

EVM系で開発するなら、第一の選択肢はSolidityです。公式ドキュメントでは、スマートコントラクトを実装するためのオブジェクト指向の高水準言語で、EVMを対象に設計されていると説明されています。情報量・ライブラリ・求人の多さから、特別な理由がなければSolidityを選ぶのが標準的です。

Vyperは、同じくEVMを対象としながら、Pythonに似た構文でシンプルさを重視した言語です。Moveは、AptosやSuiといったEVMとは別系統のチェーンで使われ、安全性の検証を重視する設計が特徴です。採用するチェーンが決まれば、使う言語も自ずと絞られます。

各言語での具体的な書き方や実装の進め方、プログラミング未経験でも扱えるノーコードツールまで知りたい方は、スマートコントラクト開発を言語の面から掘り下げた以下の記事が参考になります。

出典・参考資料(3件)

dApps開発で使うツール・環境と役割

ここからは、dApps開発で実際に使う主なツール・サービスを、「どんな役割か」「どの工程で使うか」の軸で一覧にします。名前だけ見ると数が多く感じますが、役割ごとに整理すると、必要なものは意外と限られます。

この分野はツールの移り変わりが速く、かつて定番だったものがすでに開発終了(サンセット)しているケースがあります。古い解説記事をそのまま参考にすると、保守が止まったツールを選んでしまうおそれがあるため、現役の選択肢と、すでにサンセット済みのものを区別して押さえておくことが大切です(下表は2026年10月時点)。

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ツールRemixHardhatFoundryOpenZeppelin Contractsethers.jsviemweb3.jsMetaMaskInfura/AlchemyIPFSTruffle/Ganache
役割ブラウザで完結する開発環境(IDE)。セットアップ不要でSolidityのコントラクトを書く・テスト・デプロイできるEthereum/EVM互換チェーン向けの開発環境。コントラクトのコンパイル・テスト・デプロイ・デバッグを行うビルド・テスト・デプロイを行うツールキット(Forge・Cast・Anvil・Chisel)。高速なテストに強い検証されたスマートコントラクトのライブラリ。ERC20・ERC721などの標準実装を提供するフロントエンドやスクリプトからEthereum(スマートコントラクト)を操作するJavaScript/TypeScriptライブラリEthereumを操作するTypeScriptインターフェース。低レベルなプリミティブを提供するかつての定番ライブラリ。保守元のChainSafeが2025年3月にアーカイブ化を発表しサンセット済み。新規開発ではethers.jsまたはviemを使う利用者のウォレット兼、dAppへの接続口(ブラウザ拡張・モバイル)。動作確認にも使う自前でノードを立てずにブロックチェーンへアクセスするAPI(ノードプロバイダ)画像やメタデータなどを分散して保存する仕組み(コンテンツアドレス型のプロトコル)かつての定番フレームワーク。Consensysが2023年にサンセットを発表しアーカイブ済み。新規開発ではHardhat・Foundry・Remixを使う
主に使う工程実装〜デプロイ(入門・小規模)実装〜テスト〜デプロイ実装〜テスト〜デプロイ実装フロント接続フロント接続非推奨(ethers.js/viemへ)フロント接続・動作確認デプロイ・フロント接続フロント接続・ホスティング非推奨(Hardhat等へ)

※各ツールの役割・提供状況は2026年10月時点の各公式情報にもとづきます。

標準的なEVM系の構成なら、コントラクトの開発環境にHardhatかFoundry、ブラウザで手早く試すならRemix、安全な実装の土台にOpenZeppelin Contracts、フロントとの接続にethers.jsまたはviem、ユーザーのウォレットにMetaMask、ノードへのアクセスにInfuraやAlchemy、という組み合わせが基本形です。

特に注意したいのが、古い記事で定番として紹介されがちなTruffleとweb3.jsです。Truffle(と開発用ローカルチェーンのGanache)は、提供元のConsensysが2023年にサンセットを発表し、2023年12月20日以降は公開アーカイブとなっています。移行先としてはHardhat・Foundry・Remixが案内されています。

web3.jsも同様に、保守元のChainSafeが2025年3月4日にライブラリをアーカイブすると発表し、ViemとEthers.jsへの移行を促しています。これから学ぶなら、現役のツールを選ぶことが後戻りを防ぐ第一歩です。

出典・参考資料(5件)

dApps開発の流れ(実装からデプロイ・フロント接続まで)

ここでは、dAppを作る一連の流れを工程順に示します。全体像を手順として押さえておくと、どのツールがどこで登場するかがつながって見えてきます。

dApps開発の流れを6ステップで示した図解。STEP1 設計(オンチェーンとフロントの切り分け、チェーンと言語の選択)、STEP2 スマートコントラクトを実装(Solidity等、OpenZeppelin Contractsを土台に)、STEP3 テスト(Hardhat・Foundry・Remix)、STEP4 テストネットへデプロイ(Sepoliaで動作確認、Infura/Alchemy経由)、STEP5 フロントエンドから接続(ethers.js/viemで呼び出し、MetaMaskで接続)、STEP6 メインネットへデプロイして公開。

まず設計として、どんな処理をオンチェーン(スマートコントラクト)で行い、どこをフロントエンドで担うかを決め、チェーンと言語もここで選びます。次に、Solidityなどでスマートコントラクトを実装します。OpenZeppelin Contractsのような検証済みライブラリを土台にすると、安全性を確保しやすくなります。

続いて、Hardhat・Foundry・Remixでコントラクトの動作をテストします。デプロイ後は直しにくいため、この工程は丁寧に行います。テストを終えたら、本番に出す前に無料で試せるテストネットへデプロイして動作を確認します(InfuraやAlchemyのエンドポイント経由が一般的です)。

そのうえで、ethers.jsやviemを使ってフロントエンドからスマートコントラクトを呼び出せるようにし、利用者のウォレット接続にはMetaMaskを使います。最後に、問題がなければ本番のチェーン(メインネット)へデプロイして公開します。

最小の具体例でイメージをつかみましょう。たとえばEthereum系であれば、Remixをブラウザで開いてSolidityのシンプルなスマートコントラクトを書き、同じRemix上でテストし、問題がなければテストネットへデプロイします。そのうえで、ethers.jsを使ったフロントエンドからコントラクトを呼び出し、MetaMaskで接続して動作を確かめる、という流れです。

コードのイメージも示しておきます。スマートコントラクト側は、たとえば数値を1つ保持して増やすだけなら、Solidityで次のように書けます(publicを付けた変数は読み取り用の関数が自動で用意されます)。

// SPDX-License-Identifier: MIT
pragma solidity ^0.8.20;

contract Counter {
    uint256 public count;              // 現在の値(自動で読み取り可能)

    function increment() public {      // 値を1つ増やす処理
        count += 1;
    }
}

これをテストネットへデプロイしたあと、フロントエンド側からは、たとえばethers.jsで次のように呼び出します。MetaMaskにつないで、先ほどのcountを読み取るだけなら数行で済みます。

import { ethers } from "ethers";

// MetaMask(ブラウザのウォレット)に接続
const provider = new ethers.BrowserProvider(window.ethereum);
// デプロイ済みコントラクトのアドレスとABIを指定
const contract = new ethers.Contract(address, abi, provider);
// コントラクトの count を読み取る
const current = await contract.count();

このように、やっていること自体は「コントラクトを書く→テストネットに置く→フロントからつないで呼ぶ」という単純な流れです。値を書き換える処理(上のincrement)を呼ぶ場合は、読み取りと違って手数料(ガス代)がかかり、MetaMaskでの署名が必要になる、という点だけが普通のWebと異なります。

テストネットを選ぶ際は、現役のネットワークを使うことが大切です。Ethereumの公式ドキュメントは、アプリ開発向けの推奨される既定のテストネットをSepolia(セポリア)としています。

古い記事で登場するRinkeby・Ropsten・Goerliはいずれも廃止済みで、Holeskyも2025年9月に非推奨となりました。アプリ開発ではSepoliaを使うのが安全です(ネットワーク情報は公式ドキュメント2026年9月23日更新時点)。

出典・参考資料(2件)
  • 出典:Networks(Sepolia is the recommended default testnet for application development.)|Ethereum.org(2026年9月23日更新)(公式ドキュメント)
  • 参考資料:分散型アプリケーション (dapp) の概要(チュートリアル導線)|Ethereum.org(公式ドキュメント)

dApps開発の難しさ・注意点(作る前に知るべき制約)

dApps開発には、普通のWebアプリ開発にはない独特の制約があります。作りはじめる前に知っておくと、設計の判断や外注の要否を考えるときの材料になります。ここでは代表的な4つの制約を整理します。

ガス代(手数料)の負担とユーザー体験への影響

ブロックチェーン上で処理を実行するたびに、「ガス代」と呼ばれる手数料がかかります。Ethereumの公式ドキュメントは、ガスをネットワーク上で特定の処理を実行するのに必要な計算量を測る単位と定義しています。

The fee is paid regardless of whether a transaction succeeds or fails.(手数料は、トランザクションが成功したか失敗したかにかかわらず支払われる)

出典:Gas and fees|Ethereum.org(2026年6月24日更新)(公式ドキュメント)

処理が失敗しても手数料がかかる点や、ネットワークの混雑時に手数料が上がる点は、利用者の体験とサービスの運用コストに直結します。誰がガス代を負担するのか(利用者か、サービス側か)を設計の段階で決めておく必要があります。

ガス代がどう決まり、なぜ価格が変動するのかという仕組みから理解したい方は、以下の記事で詳しく解説しています。

デプロイ後のコントラクトは直しにくい(不変性)

スマートコントラクトの大きな特徴であり制約でもあるのが、デプロイ後に書き換えられないという「不変性」です。公式ドキュメントは次のように述べています。

スマート・コントラクトは一度ネットワークにデプロイされると、変更することはできません。

出典:分散型アプリケーション (dapp) の概要|Ethereum.org(公式ドキュメント)

普通のWebアプリのように「公開後にバグを見つけて即座に修正する」ことが、基本的にはできません。だからこそ、デプロイ前のテストとレビューが重要になります。公開後の修正に備える設計手法もありますが、いずれにせよ「直しにくい前提で作る」という心構えが求められます。

スケーラビリティ(処理性能・混雑時の遅延)

利用者が増えると、ブロックチェーンの処理能力が追いつかず、処理の遅延や手数料の高騰が起きることがあります。Ethereumの公式ドキュメントも、利用者の増加にともなってブロックチェーンが一定の容量の限界に達していると認めています。

この課題への対処として、公式はレイヤー2(Layer 2)と呼ばれる拡張ソリューションを位置づけています。想定するトランザクション量が多いサービスを作る場合は、どのチェーン・どの拡張手法を使うかを設計の初期から検討しておくと安全です。

この拡張ソリューションであるレイヤー2が、どのようにEthereumのスケーラビリティ問題を解決するのかは、以下の記事で詳しく解説しています。

セキュリティと監査(脆弱性が資産の損失に直結する)

スマートコントラクトは資産(トークンや暗号資産)を直接扱うことが多く、脆弱性がそのまま資産の損失につながります。しかも不変性のため、問題が見つかっても後から修正しにくいという二重の難しさがあります。公式ドキュメントは、スマートコントラクトから盗まれた資産は不変性ゆえに追跡が極めて難しく、ほとんど回収できないと述べています。

対策として、第三者による監査(独立したコードレビュー)という手段があります。ただし公式は、監査はすべてのバグを捕捉できるわけではなく、あくまで追加のレビューを提供するものだと述べています。監査は有効な手段ですが万能ではない、という前提で、テストと設計そのものの品質を高めることが欠かせません。

出典・参考資料(2件)
  • 出典:Gas and fees|Ethereum.org(2026年6月24日更新)(公式)/Scaling(2026年4月13日更新)(公式)
  • 出典:Smart contract security(2026年2月26日更新)|Ethereum.org(公式ドキュメント)

dApps開発は自社で作るか外注か?開発基盤を使うという選択肢

ここまでで、dApps開発に使う技術と作る流れ、注意点がひととおり見えてきました。最後に、自社の企画をどう実現するか——内製するか、外注するか、既製の開発基盤を使うか——を判断するための材料を整理します。

自社で作るか外注かの判断材料(規模と社内体制から見極める)

内製できるかどうかは、作るものの規模と、社内の体制で決まります。ここまで見てきたとおり、dApps開発にはスマートコントラクトの言語(Solidity等)、開発ツール、そしてデプロイ後は直しにくい前提でのテスト・セキュリティ設計といった、Web開発とは別の知見が必要です。これらを担えるエンジニアが社内にいるかが、最初の分かれ目になります。

社内に知見がない場合でも、外部の選択肢があります。大きく分けると、用途を問わず使える「受託開発・実装支援」と「開発基盤(BaaS=Blockchain as a Service。スマートコントラクトやNFT発行などの機能を部品として提供)」、そして用途に特化した「NFT発行・マーケットプレイス構築の基盤」「ブロックチェーンゲーム開発の支援」です。

受託開発には、企画段階から伴走するコンサル型の支援を含む会社もあります。本記事でも、この順に代表的な国内サービスを紹介します。

期間と費用の目安で言えば、小さく検証するなら開発基盤や用途特化の基盤を使って比較的短い期間・低コストで始めやすく、要件が固まった本格的な受託開発ほど期間・費用とも大きくなる傾向があります。具体的な金額や期間は規模と要件で変わるため、気になる方式の会社から見積もりを取って比べるのが確実です。

外注を本格的に検討するなら、受託開発からNFT・DAO、コンサルまで対応する開発会社を選び方とあわせて一覧で比較できる以下の記事も役立ちます。依頼先を広く比較したい方はこちらもご覧ください。

どの選択肢を選ぶか以前に、そもそも構想が発注できる段階まで固まっていない、というつまずきも実務では少なくありません。Web3領域のコンサルティング・開発を手がけるNetsujo株式会社の飯田氏は、寄せられる相談の傾向を次のように述べています。

飯田氏
Netsujo株式会社 代表取締役
飯田氏
独自インタビューより

最も多いのは、「実現したいことはあるが、ブロックチェーンを使うべきか判断できない」「構想が曖昧で、PoCや開発を発注できる要件になっていない」という相談です。NFT、SBT、DID、RWAなどのキーワードは出ていても、顧客価値、収益モデル、運用主体、法規制まで整理できていないケースが少なくありません。

ここからは、国内で使える主なサービスを類型別に紹介します。まずは下の比較表で全体像をつかみ、気になるサービスは個別の紹介で確認してください。

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サービス名Consensus BaseWeb3 CONSULTING & DEVELOPMENTTHXNET.MultiBaasMOUNTAINNFT GardenNFT INFINITYSpize +
支援タイプ受託開発受託開発開発基盤(BaaS)開発基盤(BaaS)開発基盤(BaaS)NFT発行・マーケットNFT発行・マーケットBCゲーム開発
提供形態の要点PoCから本番まで一気通貫で受託。基盤選定・スマートコントラクト・ウォレット開発に対応。初回ヒアリング・要件整理・技術調査は無料「なぜWeb3か」の企画相談からPoC・MVP開発・受託開発・運用までワンストップで伴走企業専用のLayer1チェーンを最短1日で構築。ウォレット・NFT・トークン・SBT・KYC・スマートコントラクトを標準提供するAPIファースト設計Web UIとREST APIでスマートコントラクトをデプロイ・操作・監視。外部ノードプロバイダ不要で、Hardhat・Foundryと統合可能管理画面(Dashboard)からのコントラクト開発・NFT発行・管理に加え、SDKでフロントを開発。ゲーム・エンタメ領域での活用を想定ノーコードのWeb画面またはAPIでNFT・SBTを発行。クレジットカード(法定通貨)決済で、料金にガス代を含む独自NFTマーケットプレイスを要件定義・UI/UX設計・開発・保守運用まで伴走支援する開発支援型パッケージ。日本円決済に対応ゲームとブロックチェーンの連携をAPI・SDKで実装し、FT/NFTの導入・管理を支援。新規開発にも既存ゲームへの後付けにも対応
対応領域マルチチェーンの受託開発(EVM・非EVM・エンタープライズ系を横断)Web3企画/PoC・MVP開発/受託開発/バックオフィス(規制対応)企業専用チェーンの構築(ゼロガス・月額固定のコスト構造)主要なL1・L2のEVMチェーンNFT発行・管理/ゲーム・エンタメ領域(対応チェーンは要問い合わせ)マルチチェーンのNFT/SBT発行(Polygon・Ethereum・Solana等)独自マーケットプレイス構築(ERC721/1155、Ethereum・Polygon等)ブロックチェーンゲーム開発(連携部分を外部化、ゲーム本体は事業者側)
料金要問い合わせ(案件ごとの見積もり)要問い合わせ(案件ごとの見積もり)要問い合わせ(月額固定制)0円(無料プランあり)〜
大規模・個別要件は要問い合わせ
要問い合わせ(案件ごとの見積もり)0円(無料プランあり)〜
有料プランは月額1万円/15万円
要問い合わせ(案件ごとの見積もり)要問い合わせ(案件ごとの見積もり)
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る

受託開発・実装支援で外注する

要件が固まっていて、設計から実装までまとめて任せたい場合は、ブロックチェーン開発を専門とする会社への委託が有力です。ここでは2社を紹介します。

Consensus Base(コンセンサス・ベイス株式会社)

Consensus Baseのウェブサイト

コンセンサス・ベイスは、2015年の創業時からブロックチェーンに特化してきた技術企業で、「日本初のブロックチェーン技術の専門企業」を掲げています。基盤の選定からスマートコントラクト開発、ウォレット開発、チェーン間連携まで、実証実験(PoC)から本番システムまでを一気通貫で受託します。

スマートコントラクトのテンプレートやNFT・トークン発行モジュールといった自社開発のアセットを土台にカスタマイズ開発する体制で、ゼロから作るより開発を効率化できる点を訴求しています。

Ethereum向けのAPIエンドポイントを提供する自社サービス「CBNode」も持ち、開発から運用まで相談先になります。初回のヒアリング・要件整理・技術調査は無料と案内されています(料金は案件ごとの見積もり、2026年10月時点)。

Web3 CONSULTING & DEVELOPMENT(株式会社アツラエ)

ATSURAE(Web3コンサルティング・開発)のウェブサイト

「なぜWeb3を使う必要があるのか」という課題起点のアプローチを掲げるのが、株式会社アツラエのWeb3 CONSULTING & DEVELOPMENTです。企画段階の相談からコンサルティング、PoC・受託開発、リリース後の運用までをワンストップで支援します。

2026年4月に、Web3・NFT・生成AIの知見を持つクリプトリエと、モバイル/Webアプリ開発やUI/UXデザインを手がけるアツラエが統合した体制で、ブロックチェーンの知見とアプリ開発の実装力を一体で提供します。「作ること」だけでなく「そもそもWeb3で解くべき課題か」から相談したい段階に向いています(料金は要問い合わせ)。

同社は、Web3の企画が社内で前に進みにくくなる場面について、次のように述べています。

大波氏
株式会社アツラエ セールスチーム マネージャー
大波氏
独自インタビューより

実際にお客様とお話ししていて多いのは、社内稟議で「なぜWeb3なのか」を説明しきれず、企画が前に進まないという状況です。そこで当社では、目的の解像度を上げるワークショップ型のアプローチを取り入れ、「この技術を使わない方が良い場合はそう申し上げる」スタンスまで含めてご提案の範囲にしています。

開発基盤(BaaS)で開発を加速する

スマートコントラクトやウォレット、NFT発行といった機能を一から作らず、部品として提供される開発基盤を使えば、専門エンジニアが限られていても開発を進めやすくなります。ここでは3つのサービスを紹介します。

THXNET.(THXLAB株式会社)

THXNET.のウェブサイト

THXNET.は、企業ごとに独立した専用のブロックチェーン(Layer 1)を最短1日で構築できる、プラグ&プレイ型のWeb3基盤です。IDウォレット・NFT・トークン・SBT(譲渡できないNFT)・KYC・スマートコントラクトといった機能を、単一のプラットフォームで標準提供します。

既存システムを維持したままAPI連携でWeb3機能を組み込めるAPIファースト設計で、ブロックチェーンの専任エンジニアがいなくても導入できる点を打ち出しています。独自のチェーンによりガス代の変動を受けず、コストを月額固定で見通せる構造も特徴です。TOPPANデジタルの事例などで、専用チェーンを短期間で立ち上げた実績があります(料金は要問い合わせ)。

MultiBaas(Curvegrid株式会社)

MultiBaasのウェブサイト

東京に拠点を置くCurvegridが提供するMultiBaasは、EVM互換チェーン向けの開発プラットフォームです。Web UIとREST APIの両方を備え、外部のノードプロバイダを別途契約しなくても、主要なL1・L2のEVMチェーン上でスマートコントラクト(NFTを含む)をデプロイ・操作・監視できます。

無料枠(デプロイ2つ、APIコール月30,000件など)から始められ、共有のテストネットで試作できるため、小さく検証したい段階に向きます。HardhatやFoundryといった既存の開発ツールと統合でき、TypeScript・GoのSDKも提供されます。鍵は利用者自身のクラウドのキー管理を使い、サービス側は資産を預からない設計です(2026年10月時点の公式情報)。

MOUNTAIN(株式会社Kyuzan)

MOUNTAIN(Kyuzan)のウェブサイト

株式会社Kyuzanが提供するMOUNTAINは、事業者向けのWeb3開発プラットフォームです。管理画面(Dashboard)からのコントラクト開発やNFTの発行・管理に加え、画面の作り込みにはSDKを使う構成で、ゲームやエンタメ領域での活用を想定しています。

自社でNFTゲームなどを運営してきた知見をもとに、Web3機能の実装を支援します。対応チェーンや料金は公開情報が限られるため、自社の要件に合うかは個別の問い合わせで確認するのが確実です(2026年10月時点で現行サービスとして提供を確認)。

NFT発行・マーケットプレイス構築に特化した基盤を使う

作りたいものがNFTの発行や独自マーケットプレイスに寄っている場合は、その用途に特化した基盤を使うと近道になります。ここでは2つのサービスを紹介します。

NFT Garden(Connectiv株式会社)

NFT Gardenのウェブサイト

Connectivが運営するNFT Gardenは、ノーコードのWeb画面またはAPIからNFT・SBTを発行できる、企業向けのマルチチェーンNFT生成プラットフォームです。暗号資産を保有していなくても、クレジットカードによる法定通貨決済で発行が完結し、料金にガス代が含まれる設計のため、ガス代変動のリスクを利用企業が負いません。

Polygon・Ethereum・Solanaなど複数のチェーンに対応し(対応数は公式ドキュメント更新時点)、譲渡できないNFTであるSBT(会員証や証明書に向く)にも対応します。JR九州の会員基盤NFTサービスや自治体連携のイベントなど、継続的な導入実績があります(2026年10月時点)。

NFT INFINITY(株式会社OCT-PATH)

NFT INFINITYのウェブサイト

株式会社OCT-PATHのNFT INFINITYは、企業が独自のNFTマーケットプレイスを立ち上げるための構築・導入サービスです。ノーコードのセルフサービス型ではなく、新規事業の企画段階から要件定義・UI/UX設計・開発・リリース後の保守運用までを伴走支援する「開発支援型」のパッケージである点が特徴です。

NFTの規格(ERC721/ERC1155)やUI/UX、手数料・ロイヤリティの設計をビジネスに合わせてカスタマイズでき、日本円決済にも対応します。自社だけで運用するより、企画から相談しながら独自のマーケットプレイスを作りたい企業に向いています(体制・料金の詳細は要問い合わせ)。

ブロックチェーンゲームの開発を支援してもらう

dAppのなかでもブロックチェーンゲーム(BCG)を作りたい場合は、ゲームとブロックチェーンの連携に特化した支援サービスがあります。

Spize +(株式会社テコテック)

Spize+のウェブサイト

株式会社テコテックのSpize +は、ブロックチェーンゲームの開発を支援するサービスです。ゲームとブロックチェーンの連携をAPIとSDKで行い、FT(ファンジブルトークン)・NFTの導入・管理やNFT管理ツールを提供します。新規開発にも、既存ゲームへの後付けにも使える構成です。

トークン発行・ウォレット・コード監査などはシリーズの別製品が担い、モジュールを組み合わせて導入します。ビジネスプランの立案から導入までコンサルタントとエンジニアが支援する体制です(料金は要問い合わせ。提供状況は最新情報の確認をおすすめします)。

まとめ

dApps開発とは、ブロックチェーン上で動くスマートコントラクトと、利用者が操作するフロントエンドの二層を作り、両者をつなぐ作業です。普通のWebアプリ開発と違い、バックエンドにあたる処理を分散型のネットワーク上で動かす点が本質的な違いになります。

作るには、チェーン(Ethereum・EVM系・Solanaなど)を選び、言語(EVM系ならSolidityが標準)を決め、Hardhat・Foundry・Remix・OpenZeppelin・ethers.js/viem・MetaMaskといった現役のツールを組み合わせます。

古い記事で定番とされるTruffleやweb3.jsはサンセット済みで、テストネットも現役のSepoliaを使う点に注意が必要です。

ガス代・不変性・スケーラビリティ・セキュリティという制約を踏まえると、自社に知見がなければ、受託開発・開発基盤(BaaS)・伴走支援という外部の選択肢を使うのが現実的です。まずは自社の企画の規模と体制を照らし合わせ、内製か外注か・どの基盤を使うかを見極めることから始めましょう。各サービスの資料を取り寄せて、具体的な費用感や対応範囲を比較するのが次の一歩です。

よくある質問(FAQ)

Q. dApps(分散型アプリケーション)とは何ですか?

A. dApps(分散型アプリケーション)とは、ブロックチェーン上で動くスマートコントラクトを処理の土台にしたアプリケーションのことです。

普通のWebアプリが運営会社の管理するサーバーでバックエンドを動かすのに対し、dAppはその処理を、特定の管理者がいない分散型のネットワーク(ブロックチェーン)上で実行する点が本質的な違いです。開発としては、ブロックチェーン上のスマートコントラクトと、利用者が操作するフロントエンドという二層を作り、両者をつなぐ作業になります。

Q. dApps開発にかかる期間や費用の目安はどれくらいですか?

A. dApps開発の期間・費用は、作るものの規模と作り方(内製・受託開発・開発基盤の利用)によって大きく変わり、一律の相場を示すのは困難です。本記事で紹介した国内サービスの多くも、料金は案件ごとの見積もり・要問い合わせとしています。

判断材料としては、小さく検証するなら無料枠のある開発基盤(BaaS)、要件が固まった本格開発なら受託開発、企画段階から迷うなら伴走支援、というように方式ごとにコスト構造が異なる点を押さえ、複数社の資料や見積もりを取り寄せて比較するのが現実的です。

Q. プログラミングの専門知識がなくてもdAppは作れますか?

A. 専門のエンジニアが社内にいなくても、ノーコードの画面やAPIで機能を提供する開発基盤(BaaS)を使えば、dAppに必要な機能を作ることは可能です。本記事で紹介したように、NFTの発行をWeb画面やAPIから行える基盤や、レビュー済みのスマートコントラクトをGUIの画面操作でデプロイ・管理できるインフラがあります。

ただし、独自性の高い処理や画面の作り込みには、SolidityなどのコードやSDKの知識が必要になる場面も多いため、自社の要件に合うかは方式ごとに見極める必要があります。

Q. dAppのスマートコントラクトは、公開した後から修正できますか?

A. スマートコントラクトは、いったんネットワークにデプロイすると、基本的に後から書き換えられません(不変性)。Ethereumの公式ドキュメントも「一度ネットワークにデプロイされると、変更することはできない」と述べています。

普通のWebアプリのように公開後にバグを見つけて即座に直すことが原則できないため、デプロイ前のテストとコードレビューが決定的に重要になります。公開後の修正に備える設計手法もありますが、いずれにせよ「直しにくい前提で作る」心構えが求められます。

Q. テストネットとメインネットは何が違うのですか?

A. テストネットは本番前に無料で動作確認するためのネットワーク、メインネットは実際に資産が動く本番のネットワークです。dApps開発では、コントラクトをいきなり本番に出すのではなく、先にテストネットへデプロイして動作を確かめ、問題がなければメインネットへ公開する流れが一般的です。

テストネットは現役のものを選ぶことが重要で、Ethereumの公式ドキュメントはアプリ開発の既定のテストネットとしてSepoliaを推奨しています(Rinkeby・Ropsten・Goerliなどは廃止済みです)。

Q. 個人情報などのデータをブロックチェーンに直接載せても問題ありませんか?

A. ブロックチェーンに一度書き込んだデータは原則として削除・変更できないため、後から消したい個人情報をそのままオンチェーンに載せるのは慎重に検討すべきです。スマートコントラクトやブロックチェーンの記録は不変性を持ち、改ざんされにくい反面、誤って載せてしまった情報の訂正・削除も難しくなります。

一般的には、個人情報そのものはオンチェーンに置かず、通常のデータベースなどオフチェーンで管理し、ブロックチェーンには必要最小限の情報だけを記録する設計が取られます。何をオンチェーンに載せるかは、扱うデータの性質に応じて設計段階で決めておくことが重要です。

Q. dApps開発でチェーンや言語は何を基準に選べばよいですか?

A. はじめてdApps開発に取り組むなら、情報とツールがそろうEthereum/EVM系のチェーンと、EVM系の事実上の標準であるSolidityから入ると、学習コストを抑えやすくなります。

EVM互換チェーン(Polygon・BNB Smart Chain・Arbitrumなど)であればEthereum向けの言語・ツールがおおむねそのまま使い回せるため、まず「EVM系かどうか」を軸に考えると整理しやすくなります。そのうえで、高いスループットが必要でRustの開発体制があるならSolana、というように、求める性能・手数料と自社の開発体制に合わせて選びます。

Q. dApps開発を学ぶとき、古い情報で気をつけることはありますか?

A. この分野はツールの移り変わりが速く、かつて定番だったTruffle・Ganacheやweb3.jsはすでにサンセット(提供終了・アーカイブ化)している点に注意が必要です。古い解説記事をそのまま参考にすると、保守が止まったツールや廃止済みのテストネット(Rinkebyなど)を選んでしまうおそれがあります。

新規開発では、開発環境にHardhat・Foundry・Remix、フロント接続にethers.jsまたはviem、テストネットにSepolia、というように現役の選択肢を選ぶことが、後戻りを防ぐ第一歩になります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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