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ブロックチェーン連携とは?企業間・既存システム・IoTをつなぐ活用例と進め方を解説

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ブロックチェーンの「改ざんされにくい」「取引の記録を関係者で共有できる」といった特徴は、広く知られるようになりました。一方で、自社の業務やシステムのどこに使えるのか、具体的な像を描けないという声も多く聞かれます。

ブロックチェーンの価値が発揮されやすいのは、企業どうしや既存システムとの「連携」の場面です。企業間でデータや証跡を共有する、基幹システム(ERP)やIoT機器とつなぐ、別のブロックチェーンとつなぐ——こうした連携を通じて、これまで手作業や相互の信頼に頼っていた情報のやり取りを、技術で裏づけられるようになります。

本記事では、ブロックチェーン連携で具体的に何ができるのか、なぜAPI連携や中央データベースではなくブロックチェーンを使うのか、そして連携をどう進めればよいのかを、実際の取り組みとあわせて整理します。連携の実装を任せられる開発基盤・開発支援も紹介しますので、自社の課題にブロックチェーン連携が合うかを見極める材料としてご活用ください。

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ブロックチェーン連携とは

ブロックチェーン連携とは、ブロックチェーンを使って、これまで別々に管理されていたデータやシステムをつなぎ合わせることを指します。連携は、次の3つの意味に分けて整理できます。

  • 企業間の連携:複数の企業が、取引記録や生産・流通の履歴などを、共通の台帳で共有する
  • 既存システムとの連携:自社の基幹システム(ERP)やIoT機器、既存のアプリケーションを、ブロックチェーンとつなぐ
  • ブロックチェーン同士(チェーン間)の連携:異なるブロックチェーンの間で、資産やデータをやり取りする
ブロックチェーン連携の3類型を示した図解。企業間の連携(企業どうしが取引記録や生産・流通履歴を共通の台帳で共有)、既存システムとの連携(ERP・IoT・既存アプリをブロックチェーンとAPI連携でつなぐ)、チェーン間の連携(異なるブロックチェーンの間で資産やデータをやり取りする相互運用性)の3つを並べて示している。

これらを支えているのが「分散型台帳」という仕組みです。情報処理推進機構(IPA)は、記録台帳を保持する個々のノード(コンピューター)がネットワーク上に分散していると説明しています。中央管理者がいない代わりに、参加者全員で共有・検証・更新を行うことで台帳の信頼性を保つ仕組みです。

この特性によって「企業間のP2P取引や承認プロセスを効率化することができるようになる」と整理されています。それぞれの連携で何ができるのかを、次章で具体的に見ていきます。

出典・参考資料(1件)

ブロックチェーン連携でできること(活用例)

ここからは、ブロックチェーン連携で「何と何をつなぎ、何が実現するのか」を、活用例ごとに整理します。先ほどの3つの意味のうち、既存システムとの連携はERPとIoT・既存アプリに分けて見ていきます。

すでに実在の取り組みがある領域はその例を、本番の実例がまだ少ない領域はどんな使い方が想定されるかを示します。実在の取り組みは、本番で稼働しているものと実証・検証の段階にあるものを区別して記します。

企業間でのデータ・証跡共有/サプライチェーンのトレーサビリティ

複数の企業が、取引記録や出荷・検品のデータ、製品の生産・流通履歴を、改ざんされにくい共通の台帳で共有する連携です。各社がそれぞれ別の台帳を持って突き合わせる従来のやり方に比べ、データの不一致を確認する手間を減らせます。

本番で稼働している例として、米小売大手のThe Home Depotは、取引先(ベンダー)とのやり取りを改善するためにIBMのブロックチェーン技術を導入しています。

出荷・請求データの食い違いをめぐる解決に用いられ、リアルタイムのデータを変更できない記録として残し、取引先は役割に応じて必要な範囲だけを参照できる仕組みです。IBMの事例紹介では、担当者が「取引ごとに決済が行われているようだ」と述べています(2021年4月公開。削減率などの数値は示されていません)。

競合する企業どうしが協調する例もあります。IPAが紹介する医薬品研究プロジェクト「MELLODDY」では、アステラス製薬・アムジェン・メルクなどの製薬大手が、化合物ライブラリーのデータを各社で秘匿したまま、機械学習に共同で利用しています。

技術基盤にはHyperledger Fabricをベースとしたブロックチェーン機能が使われています。競合関係にある企業どうしが、手の内を明かさずにデータを持ち寄り、共同で価値を生み出している取り組みです。

国内でも、農産品の輸出トレーサビリティで実証が進んでいます。テクノスジャパンは、国産のブロックチェーン基盤を提供する企業と共同で、「博多あまおう」の輸出を対象に、商流と物流の履歴をブロックチェーンでつなぐトレーサビリティの共同検証を行いました(2021年発表・実証段階)。

出典・参考資料(3件)

既存の基幹システム(ERP)との連携

自社の会計・販売・在庫などを管理する基幹システム(ERP)と、ブロックチェーンをつなぐ連携です。取引や承認のデータをブロックチェーンに記録することで、取引先との照合や監査に使える証跡を残せます。

たとえば、ERPで発生した発注・入荷・検収のデータをブロックチェーンに記録し、取引先のERPが同じ記録を参照すれば、両社がそれぞれの台帳を突き合わせる作業を減らせます。スマートコントラクト(条件が満たされると自動で処理を実行するプログラム)を使えば、検収の記録が確定したら支払処理を起こす、といった処理の連鎖も組めます。

公開された本番運用の事例はまだ限られますが、企業間の取引や承認プロセスの効率化は、IPAも分散型台帳の効果として整理しています。

スマートコントラクトそのものの仕組みや、どのような処理を自動化できるのかの具体例は、以下の記事で詳しく解説しています。連携で自動化できる範囲を具体的にイメージしたい方はあわせてご覧ください。

基幹システムをブロックチェーンに直接つなぎ込むのは負担が大きいため、実務では、データ連携ツールを間に挟んで接続する方法や、ブロックチェーン側が用意するAPIを通じて接続する方法がとられます。どの接続方式を選ぶかは、次章で整理します。

IoT・既存アプリとの連携

IoT機器が計測した温度・位置・稼働状況などのデータを、ブロックチェーンに記録する連携です。計測値を改ざんされにくい記録として残すことで、輸送中の温度管理や設備の保守履歴を、関係者が信頼して参照できるようになります。

IBMは、ブロックチェーンとIoTを組み合わせる活用領域として、貨物輸送の状態の追跡、部品のトレーサビリティとコンプライアンス対応、設備の運用保守データの記録を挙げています。

国内でも、実証段階ながら取り組みが始まっています。東京都立産業技術研究センター(都産技研)は、モノコトデザイン・ビヨンドブロックチェーンと共同で、配送ボックスの温度・湿度・開閉データをブロックチェーンに記録する物流プラットフォームを開発し、2023年5月から一部機能の運用を始めました。

この物流プラットフォームの基礎となる、冷凍・冷蔵食品向けの保冷ボックスと保冷剤を管理する新システムは、全日本食品が新設した物流センター(甲信越・東北)に導入されています(2023年7月発表)。IoTの計測値を改ざんされにくい記録として残し、企業間で信頼して共有したい場面での活用例です。

出典・参考資料(2件)

既存のアプリケーションからブロックチェーンへつなぐ場合は、専任のブロックチェーン技術者を抱えなくても済むよう、REST API(アプリ同士がやり取りするための標準的な仕組み)やWebhook(出来事が起きたときに通知を送る仕組み)を介して接続するのが一般的です。

これにより、オンチェーン(ブロックチェーン上)で起きた出来事を既存のアプリへ通知したり、逆にアプリからブロックチェーンへ記録したりする双方向の連携ができます。

ブロックチェーン同士(チェーン間)の連携=相互運用性

異なるブロックチェーンの間で、資産やデータをやり取りする連携です。「相互運用性(インターオペラビリティ)」とも呼ばれます。企業ごとに別々のブロックチェーンを使っていても、チェーンをまたいで取引を成立させられるようにするもので、ブロックチェーン間通信プロトコル(IBC)やクロスチェーンブリッジといった技術が使われます。

たとえば、あるチェーン上で発行されたデジタル通貨を別のチェーンへ移し、国境をまたぐ送金を成立させるといった用途があります。この領域は国産の開発会社が技術を公開しており、金融機関のステーブルコイン基盤と組んだ取り組みも進んでいます。該当するサービスは記事の後半で紹介します。

なぜブロックチェーンなのか(API連携・中央データベースとの違い)

ここまでの連携は、API連携や、1か所に置いた中央データベースをみんなで参照する形でも実現できそうに見えます。では、なぜブロックチェーンを使うのでしょうか。違いは「誰が記録の正しさを保証するか」にあります。

中央データベース・API連携とブロックチェーンの違いを、誰が記録の正しさを保証するかの観点で対比した図解。中央データベース/API連携は特定の事業者が信頼の起点となり自社内で閉じた用途に向く。ブロックチェーンは中央管理者を置かず参加者全員で共有・検証し、改ざんされにくい記録で取引を成立させ、対等な企業間連携に効くことを示している。

中央データベースやAPI連携では、データを管理する特定の事業者が信頼の起点になります。参加する企業は、その管理者がデータを正しく保つことを前提にします。これに対してブロックチェーンは、中央管理者を置かずに記録の信頼性を保つ点が特徴です。IPAは、従来のシステムと違う点を次のように説明しています。

ブロックチェーンが従来のシステムと違ってユニークであるポイントは、中央管理者無しに信頼性の高い記録によって取引を成立させるところにある。特定の管理者が見張らずともブロックチェーン上の記録に対しては改ざんや二重取引ができないようになっており、安心して価値あるものの取引をブロックチェーン上に委ねることができている。

出典:ブロックチェーンの特性から理解する社会実装の展望|情報処理推進機構(IPA)

さらに、スマートコントラクトを使えば、取引の発生などをきっかけにプログラムを自動実行できます。IPAは「送金されたらアイテムを送る」といった取引や、設定した複数の条件が満たされたときに処理を実行するプログラムを例に挙げています。管理者による手続きを介さず、合意したルールどおりに処理が進む点が、単なるデータ共有との違いです。

こうした特性が効くのは、複数の企業が対等にデータを持ち寄り、互いを完全には信頼しきれない関係で連携する場面です。IPAも、ブロックチェーンの社会実装は、まず企業間取引や限られたコンソーシアム(複数企業の連合)の中で効率化・コスト削減をもたらすところから進んでいる、と整理しています。

逆に、自社の中で閉じたデータ管理や、信頼できる1社が管理すれば足りる用途であれば、中央データベースのほうが構築も運用もシンプルで、ブロックチェーンは過剰になりがちです。

この「使うべき場面かどうか」の見極めは、開発を支援する提供側からも同じ見方が示されています。ブロックチェーン・Web3開発を手がけるNetsujo株式会社は、MCB FinTechカタログの独自インタビューで、技術の導入そのものを目的にはしないとして、次のように述べています。

飯田氏
Netsujo株式会社 代表取締役
飯田氏
独自インタビューより

Web3コンサルティングを提供していますが、すべての課題にブロックチェーンが必要だとは考えていません。Web2やAIで十分な場合は「Web3を使わない」という選択肢も提示し、事業課題、顧客価値、費用対効果、運用体制から最適な方法を設計します。

技術が使えることと、事業として続くことは別である点にも注意が必要です。たとえば、IBMとマースクが国際貿易向けに運用した「TradeLens」や、欧州の銀行が貿易金融向けに運用した「we.trade」は、いずれも実際に稼働しましたが、業界全体の協調や採算が揃わず、それぞれ2023年、2022年に終了しています。

ブロックチェーン連携を検討する際は、技術的に可能かだけでなく、連携に参加する企業がそろって使い続ける動機があるかを見極めることが欠かせません。

出典・参考資料(3件)

ブロックチェーン連携の進め方と導入時の注意点

ここからは、ブロックチェーン連携を実際に進めるときの手順と、押さえておきたい注意点を整理します。

連携の進め方(PoCから段階導入まで)

多くの場合、まずは小さく試すPoC(概念実証)から始めます。限られた範囲でブロックチェーンを使ってみて、狙った効果が出るか、既存の業務に組み込めるかを確かめる段階です。たとえば、住友商事が参画した住宅の賃貸契約を電子化する取り組みも、業務提携の発表からプレ商用のサービス開始まで段階を踏んで進んでいます。

ブロックチェーン連携の進め方を3ステップで示した図解。STEP1はPoC(概念実証)で限られた範囲で試し狙った効果と既存業務への収まりを確かめる、STEP2は接続方式を選ぶ(REST API・SDK、データ連携ツール、Webhookで既存システムとつなぐ)、STEP3は段階的に本番へ(対象業務や参加企業を広げながら本番へ移していく)という流れを示している。

次に、既存システムとブロックチェーンをどうつなぐか、接続方式を選びます。自社のアプリケーションから直接つなぐなら、ブロックチェーン側が提供するREST APIやSDK(開発キット)を使う方法が一般的です。

基幹システムと広くつなぎたい場合は、データ連携ツールを間に挟む方法もあります。いずれの場合も、オンチェーンの出来事を既存システムへ通知するWebhookをあわせて使うと、双方向の連携を組みやすくなります。

PoCで手応えが得られたら、対象業務や参加企業を広げながら段階的に本番へ移していきます。この進め方自体を自社だけで担うのは難しいため、構想から実装・運用までを支援する開発会社に相談するのが現実的です。

導入時の注意点(既存システムへの影響・コスト・性能・運用)

既存システムへの影響をできるだけ小さくすることが、導入の鍵になります。基幹システムを大きく作り替えるのではなく、API連携で既存の仕組みを維持したままブロックチェーン機能を足す設計にすると、移行の負担を抑えられます。この「既存システムを維持したまま連携する」ことを主眼に置いた開発基盤もあります。

コスト面では、料金体系が製品ごとに異なる点に注意します。公開された無料枠を持つ製品もあれば、要件に応じた個別見積もりのみの製品もあり、受託開発では案件ごとの見積もりが基本です。パブリックチェーンを使う場合は、取引のたびに手数料(ガス代)が発生し、その価格が変動することもあるため、月額固定で費用が読める設計かどうかも確認するとよいでしょう。

性能と運用も検討材料です。処理できる取引の件数(スループット)や、取引が確定するまでの時間は、基盤によって差があります。たとえば後述するbitFlyer BlockchainのMiyabiは、秒間4,000件の処理と取引の確定性(ファイナリティ)の両立を掲げています。

大量の取引をさばきたいのか、確定の速さを重視するのかなど、自社の用途に照らして基盤ごとの前提を確認するとよいでしょう。企業間の連携では、参加する各社の運用体制や、データを誰がどこまで見られるかという権限設計も、あらかじめ合意しておく必要があります。

ブロックチェーン連携を実現する開発基盤・開発支援

ここからは、ブロックチェーン連携の実装を担う開発基盤・開発支援を紹介します。自社システムとの連携に使うものと、ブロックチェーン同士の連携や独自チェーン基盤に強いものに分けて取り上げます。

ここで取り上げる各社を含め、ブロックチェーン開発会社をどう選ぶか——依頼先のタイプや費用感、選定のポイント——を広く比較検討したい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。連携にとどまらず、NFT・DAO開発やコンサルティングまで含めて依頼先を探している方は、あわせてご覧ください。

既存システムや企業間の連携を担う開発基盤・受託開発

1. Consensus Base(コンセンサス・ベイス株式会社)

Consensus Baseのウェブサイト

コンセンサス・ベイス株式会社は、ブロックチェーン・Web3領域に特化した技術コンサルティングと受託開発を手がける企業です。実証実験から本番システムの開発まで、構想・設計・実装を一貫して支援します。

連携の実装では、Hyperledger FabricやBesuを用いたコンソーシアムチェーン(複数企業が参加する許可制ネットワーク)の構築、IBC・LayerZero・Axelarを用いたチェーン間連携の設計を、提供メニューとして公式に掲げています。

EVM系(イーサリアム互換)・非EVM系を横断し、特定の基盤に縛られず課題に合わせて最適なブロックチェーンを選ぶ受託姿勢が特徴です。公式サイトでは累計43社・103件超の支援実績(2026年9月時点の公式サイトによる)を掲げ、伊藤忠テクノソリューションズや日本電気(NEC)、セブン銀行などとの取引を公開しています。

2. THXNET.(THXLAB株式会社)

THXNET.のウェブサイト

THXLAB株式会社が提供するTHXNET.は、企業ごとに独立した専用のLayer 1ブロックチェーン(独立した基盤となるチェーン)を構築できる開発基盤です。公式は「日本最大級の企業向けWeb3 as a Service(Web3aaS)プラットフォーム」と訴求しています。

中核に据えるのは、既存システムを維持したままAPI連携でWeb3機能を統合できる「APIファースト設計」です。Swagger UIベースのOpen APIを備え、ブロックチェーン専任のエンジニアがいなくても導入しやすい点を打ち出しています。

Bifrostという仕組みにより、企業専用の許可制チェーンとパブリックチェーンの間で資産をやり取りする相互運用にも対応します。採用例として、TOPPANデジタルの本人確認・証跡サービス「AVATECT」への専用Layer 1提供があります(2025年11月発表)。

3. MultiBaas(Curvegrid株式会社)

MultiBaasのウェブサイト

Curvegrid株式会社が提供するMultiBaasは、既存のアプリケーションをブロックチェーンにつなぐことを主目的としたミドルウェアです。Web UIとREST APIのどちらからでも、任意のスマートコントラクトをデプロイ・操作できます。

REST API・Webhook・イベントインデックス・SDK(TypeScript / Go)を備え、オンチェーンの出来事を既存アプリへ通知・検索する双方向の連携ができます。HardhatやFoundryのプラグインで、既存の開発フローに組み込める点も実務的です。

外部のノード提供事業者と別途契約しなくても、EVM互換を含む複数のチェーンを扱えます。料金は、上限の範囲内で無期限に使える無料枠が用意され、それを超える有料プランは要件に応じた個別見積もりです(2026年10月時点の公式料金ページによる。金額は公開されていません)。

4. アステリア(アステリア株式会社)

アステリアのブロックチェーン事業のウェブサイト

アステリア株式会社(東証プライム上場)は、ノーコードのデータ連携ツール「ASTERIA Warp」を主力とする企業向けソフトウェアベンダーです。既存システムとの「データ連携」を起点に、ブロックチェーンを統合する位置づけが特徴です。

ASTERIA Warpのノーコード連携基盤にEthereumアダプターを組み合わせ、基幹システムやクラウドとブロックチェーンをつなぐ用途に強みを持ちます。

ブロックチェーン導入支援コンサルティングも提供しており、入門・応用講座は11万円(税込)から、技術コンサルティングは165万円(税込)からと料金を公開しています(2026年10月時点の公式サイトによる)。自社の株主総会で議決権投票システムをイーサリアムで運用した事例などもあります。

5. ソラミツ(ソラミツ株式会社)

SORAMITSU(ソラミツ)のウェブサイト

ソラミツ株式会社は、ブロックチェーン「Hyperledger Iroha」の原開発元である、日本発の技術企業です。採用する基盤を自社で開発しているため、性能や仕様に関する知見を一次的に持っています。

公式には、銀行の勘定系や決済ゲートウェイなどとのシステム連携や、SORA Nexusによる相互運用性を、提供メニューとして掲げています。カンボジア国立銀行と中央銀行デジタル通貨(CBDC)の決済システム「バコン」を共同開発し、国家規模の決済インフラを構築した実績を持ちます。企業間連携から既存システムとの連携まで、幅広い連携を手がける立場です。

6. Miyabi(株式会社bitFlyer Blockchain)

bitFlyer BlockchainのMiyabiのウェブサイト

株式会社bitFlyer Blockchainは、独自開発のエンタープライズ向けブロックチェーン基盤「Miyabi(雅)」を提供する企業です。Miyabiはプライベート・パブリック・ハイブリッドの各型から選べる設計です。

独自コンセンサスアルゴリズム「BFK2」を採用しています。秒間4,000件のトランザクション処理と、取引の確定性(ファイナリティ)を両立する設計です(公式は「世界最速」と訴求しています)。

金融・不動産・保険などでの導入を想定しており、実際に住友商事と、住宅の賃貸契約を電子化して内見予約から契約までを行うプラットフォームをMiyabi上で共同開発し、2020年にプレ商用サービスを開始しています。既存の業務プロセスをブロックチェーンとスマートコントラクトでつなぐ連携の例といえます。

チェーン間連携(相互運用性)・独自チェーン基盤に強い開発会社

7. Datachain(株式会社Datachain)

Datachainのウェブサイト

株式会社Datachainは、異なるブロックチェーン間の相互運用性(インターオペラビリティ)を専門とする開発会社です。チェーン間連携の技術に特化している点で、他の開発基盤とは立ち位置が異なります。

ブロックチェーン間通信プロトコル(IBC)を用いた異種チェーン間連携に注力し、YUIやLCPといったオープンソースを公開しています。発行されたステーブルコインを複数のチェーン間で移転し、クロスボーダー送金を成立させる「発行後」のレイヤーを技術面から支える役割を担います。

三菱UFJ信託銀行のステーブルコイン基盤「Progmat Coin」との技術提携や、JCB・NTTデータ・日立との協業実績があります。

8. Chaintope(株式会社chaintope)

Chaintopeのウェブサイト

株式会社chaintopeは、独自プロトコル「Tapyrus」を中核とする、福岡拠点の国産ブロックチェーン開発企業です。自社のチェーン基盤を持つ点が特徴です。

非金融領域、とくにサプライチェーンのトレーサビリティ(生産・流通履歴の追跡)での実装に強みを持ち、EU規制に対応した秘匿化トレーサビリティシステムなどに取り組んでいます。前述のとおり、テクノスジャパンと共同で「博多あまおう」の輸出トレーサビリティの実証を行うなど、企業間で生産・流通の証跡を共有する連携の実装実績があります。

9. G.U.テクノロジーズ(G.U.テクノロジーズ株式会社)

G.U. Coin Studioのウェブサイト

G.U.テクノロジーズ株式会社は、EVM互換の国産パブリックブロックチェーン「Japan Open Chain」を自社グループで運営する企業です。全ノードを国内で運用し、日本法への準拠を志向する点を打ち出しています。

金融機関向けのステーブルコイン発行・管理システム「G.U. Coin Studio」を提供し、既存の勘定系システムや会計システムとの連携を公式に訴求しています。あおぞら銀行と、信託受益権型のステーブルコイン「aJPY(仮称)」の発行実証を完了しています(2025年2月発表。実証段階で、発行分は全額償還済み)。独自のチェーン基盤を土台に、企業間連携や既存システムとの連携を図りたい場合の選択肢です。

【比較表】ブロックチェーン連携を支援するサービスの比較

以下は、ここで紹介したブロックチェーン連携を支援する開発基盤・開発会社の比較表です。得意な連携領域や提供形態で、相談先の当たりをつける際にご活用ください。

料金は受託・個別見積もりが中心で「要問い合わせ」が多いなか、アステリアは導入支援コンサルの料金を、MultiBaasは無料枠の有無を公開しています。費用感を先に具体的につかみたい場合は、こうした社から当たるのも一つの方法です。

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サービス名Consensus BaseTHXNET.MultiBaasアステリアソラミツMiyabi(bitFlyer Blockchain)DatachainChaintopeG.U.テクノロジーズ
提供形態受託開発・技術支援(コンサル〜実装・監査)開発基盤(Web3aaS)ミドルウェア(SaaS)データ連携基盤+導入支援コンサルコンサル+開発支援(自社基盤)独自基盤(クラウド提供)+共同事業・コンサル受託・共同開発(クロスチェーン基盤)受託開発+自社チェーン基盤自社パブリックチェーン基盤+発行・管理システム
得意な連携領域企業間(コンソーシアム)
既存システム統合
チェーン間連携(受託で幅広く対応)
既存システムとのAPI連携
専用チェーン⇔パブリックの相互運用(Bifrost)
既存アプリとブロックチェーンの接続
(REST API・Webhook・SDK)
既存システムとのデータ連携
(ERP・クラウド⇔ブロックチェーン、ノーコード)
銀行勘定系・決済ゲートウェイとの連携
相互運用(SORA Nexus)
既存業務プロセスとの連携
(スマートコントラクト/金融・不動産・保険など)
チェーン間連携(相互運用性)
ステーブルコインのクロスボーダー送金
企業間のトレーサビリティ
(生産・流通履歴の共有、非金融領域)
既存勘定系・会計システムとの連携
(金融機関のステーブルコイン発行)
対応ブロックチェーン・基盤EVM・非EVM・エンタープライズを横断
(Ethereum/Solana/Cosmos/Hyperledger Fabric ほか)
企業専用Layer 1
(Substrate/Polkadotベースの許可制チェーン)
EVM互換17チェーン
(Ethereum/Base/Arbitrum/Polygon ほか)
Ethereum
(ASTERIA Warp Ethereumアダプター)
Hyperledger Iroha(自社原開発)独自基盤Miyabi
(プライベート/パブリック/ハイブリッドを選択可)
異種チェーン間接続(IBC/LCP/TOKI)
Ethereum・BNB Chain ほか
独自プロトコルTapyrus(国産)Japan Open Chain
(Ethereum/EVM互換・国産パブリックチェーン)
料金要問い合わせ(受託・案件ごとの見積もり)月額固定制(要問い合わせ・ガス代ゼロ)無料枠あり/有料は要問い合わせ導入支援コンサル11万円〜/技術コンサル165万円〜(税込)
連携基盤は要問い合わせ
要問い合わせ(受託・案件ごとの見積もり)要問い合わせ要問い合わせ(受託・案件ごとの見積もり)要問い合わせ(受託・案件ごとの見積もり)要問い合わせ(公式料金ページなし)
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

まとめ

ブロックチェーン連携は、企業間でのデータ・証跡の共有、既存の基幹システムやIoT・アプリとの接続、ブロックチェーン同士の相互運用という3つの方向で活用できます。中央管理者を置かずに改ざんされにくい記録を共有できる点が、API連携や中央データベースとの違いであり、複数の企業が対等に連携する場面で効果を発揮します。

一方で、自社内で閉じた用途では中央データベースのほうが適していることもあり、技術が使えることと事業として続くことは別です。まずはPoCで狙った効果と既存システムへの収まりを確かめ、接続方式・コスト・運用体制を見極めながら段階的に広げていくのが現実的です。自社の課題に合う連携の形と実装の進め方は、開発基盤・開発支援の各社に相談しながら具体化していくとよいでしょう。

ブロックチェーン連携に関するよくある質問(FAQ)

Q. ブロックチェーン連携とは何ですか?

A. ブロックチェーン連携とは、ブロックチェーンを使って、これまで別々に管理されていたデータやシステムをつなぎ合わせることです。

具体的には、複数の企業が取引記録や生産・流通の履歴を共通の台帳で共有する「企業間の連携」、基幹システム(ERP)やIoT機器・既存アプリをブロックチェーンとつなぐ「既存システムとの連携」、異なるブロックチェーンの間で資産やデータをやり取りする「チェーン間の連携」の3つに整理できます。

Q. API連携や中央データベースではなくブロックチェーンを使うべきなのはどんな場面ですか?

A. ブロックチェーンが効くのは、複数の企業が対等にデータを持ち寄り、互いを完全には信頼しきれない関係で連携する場面です。中央データベースやAPI連携では、データを管理する特定の事業者が信頼の起点になりますが、ブロックチェーンは中央管理者を置かずに改ざんされにくい記録で取引を成立させられる点が違いです。

逆に、自社の中で閉じたデータ管理や、信頼できる1社が管理すれば足りる用途であれば、中央データベースのほうが構築も運用もシンプルで、ブロックチェーンは過剰になりがちです。

Q. ブロックチェーン連携は既存システムを作り替えずに導入できますか?

A. ブロックチェーン連携は、基幹システムを大きく作り替えず、API連携で既存の仕組みを維持したままブロックチェーン機能を足す設計にすれば、移行の負担を抑えて導入できます。

基幹システムを直接つなぎ込むのは負担が大きいため、実務ではデータ連携ツールを間に挟む方法や、ブロックチェーン側が用意するREST API・SDKを通じて接続する方法がとられます。紹介した開発基盤の中には、この「既存システムを維持したまま連携する」ことを主眼に置いたものもあります。

Q. ブロックチェーン連携はPoCから本番までどのように進めればよいですか?

A. ブロックチェーン連携は、まず小さく試すPoC(概念実証)から始め、狙った効果と既存業務への収まりを確かめてから、対象業務や参加企業を広げて段階的に本番へ移していくのが現実的です。

PoCの次に、自社のアプリから直接つなぐREST API・SDKや、基幹システムと広くつなぐデータ連携ツールといった接続方式を選び、オンチェーンの出来事を既存システムへ通知するWebhookをあわせて使うと双方向の連携を組みやすくなります。この進め方自体を自社だけで担うのは難しいため、構想から実装・運用までを支援する開発会社に相談するのが現実的です。

Q. ブロックチェーン連携の導入コストはどう考えればよいですか?

A. ブロックチェーン連携の費用は、料金体系が製品ごとに異なり、無料枠を持つ製品・個別見積もりのみの製品・案件ごとに見積もる受託開発に分かれるため、自社の使い方に合う費用構造かを個別に確認する必要があります。とくにパブリックチェーンを使う場合は、取引のたびに手数料(ガス代)が発生し、その価格が変動することもあるため、月額固定で費用が読める設計かどうかもあわせて確認するとよいでしょう。

Q. ブロックチェーン連携の導入にはどのくらいの期間がかかりますか?

A. ブロックチェーン連携の導入期間は、対象業務や参加企業の数、接続方式によって変わるため一概には言えませんが、いきなり本番を目指すのではなく、PoCで効果と既存システムへの収まりを確かめてから段階的に広げるため、複数の段階を踏むのが一般的です。

住友商事が参画した住宅賃貸契約の電子化のように、業務提携の発表からプレ商用サービスの開始まで段階を踏んで進められた例もあります。短期で結果を求めるより、各段階で検証しながら計画を立てることをおすすめします。

Q. ブロックチェーン連携に専任のエンジニアは必要ですか?

A. ブロックチェーン連携は、ブロックチェーン専任のエンジニアを抱えていなくても、REST APIやSDKを介して既存システムとつなげる開発基盤を使えば導入しやすくなります。

実際に、Open APIを備えてブロックチェーン専任のエンジニアがいなくても導入しやすいことを打ち出す基盤や、専任の技術者を抱えずに済むようREST API・Webhookで接続する設計のミドルウェアがあります。それでも構想から実装・運用まで自社だけで担うのは難しいため、開発基盤・開発支援の各社に相談しながら具体化していくのが現実的です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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