企業の新規事業やDXでブロックチェーンの活用を検討し始めると、必ず出てくるのが「ブロックチェーン」と「クラウド」という2つの言葉です。どちらもよく聞く技術ですが、両者はそもそも別物なのか、対立するのか、それとも組み合わせて使うものなのか、関係が整理できないまま検索する方は少なくありません。
結論から言えば、両者は対立する技術ではなく、クラウドの上でブロックチェーンを動かすという形で組み合わせて使えます。その提供形態が「BaaS(Blockchain as a Service)」と呼ばれるものです。この関係が分かると、自社でブロックチェーンを扱うときの選択肢が一気に見えてきます。
本記事では、ブロックチェーンとクラウドの関係と違いを整理したうえで、クラウドでブロックチェーンを動かすBaaSの仕組み、実在する主要サービスの特徴と料金、自社での選び方までを、公式情報をもとに解説します。資料請求や導入相談の判断材料としてお役立てください。
目次
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ブロックチェーンとクラウドの関係とは?
まず結論をお伝えします。ブロックチェーンとクラウドは、どちらかを選ぶ二者択一の関係ではありません。クラウドという基盤の上で、ブロックチェーンという技術を動かすという形で組み合わせて使えます。両者は競合する存在ではなく、役割の異なる技術です。
クラウドは「インターネット経由でサーバーやソフトウェアを借りて使う仕組み」であり、システムを動かす場所や基盤にあたります。一方のブロックチェーンは「データを複数の参加者で分散して記録・共有する台帳技術」で、その基盤の上で動かすソフトウェア・仕組みにあたります。この2つは層が違うため、対立ではなく重ね合わせて使えるわけです。
そもそもブロックチェーン/クラウドとは
関係を正しく捉えるために、それぞれの意味を最小限だけ確認します。ブロックチェーンについて、Amazon Web Services(AWS)は次のように説明しています。
ブロックチェーンテクノロジーは、ビジネスネットワーク内で透過的な情報共有を行えるようにする高度なデータベースメカニズムです。ブロックチェーンデータベースは、チェーンで相互にリンクされているブロックにデータを保存します。
出典:ブロックチェーンテクノロジーとは?|AWS
ブロックチェーンは、データを1か所で集中管理するのではなく、ネットワーク参加者がつながったブロックとして記録・共有するデータベースの仕組みです。クラウドは、そのような仕組みを動かすためのサーバーや実行環境を、自社で持たずにインターネット経由で利用する提供形態を指します。
ブロックチェーンそのものの仕組み(ブロックのつながり方や改ざんが難しい理由など)を基礎から押さえたい方は、図解つきで解説した以下の記事もあわせてご覧ください。
ブロックチェーンとは?金融のプロが基礎から図解で徹底解説【2025年最新情報】
「ブロックチェーンって最近よく聞くけど、結局何なの?ビットコインと何が違うの?難しそう…」 そんな疑問や不安を感じていませんか。ニュースやインターネットで頻繁に目にするブロックチェーンという言葉。しかし、その実態を正確に理解している人はまだ…
ブロックチェーン/クラウド/BaaSの位置関係
3つの言葉の位置関係を整理すると、次のように重なります。この地図を押さえておくと、以降の話が理解しやすくなります。

| 用語 | クラウド | ブロックチェーン | BaaS(Blockchain as a Service) |
|---|---|---|---|
| 役割・位置づけ | サーバーや実行環境をインターネット経由で借りて使う「基盤・場所」 | データを分散して記録・共有する「台帳技術(動かすソフト・仕組み)」 | そのブロックチェーンを、クラウド上でマネージド(管理込み)に動かす「サービス形態」=両者の掛け合わせ |
このように、クラウドという基盤の上でブロックチェーンを動かし、その構築・運用をまとめて任せられるようにしたものがBaaSです。BaaSの詳しい仕組みは後ほど解説します。
ブロックチェーンとクラウドの違い
ここからは、ブロックチェーンと従来型のクラウドの違いを、管理主体・データの持ち方・改ざん耐性・コストといった軸で整理します。ここで比べる「クラウド」は、前章で触れた基盤としてのクラウドそのものではなく、データを1か所で一元管理する従来型のシステム設計を指します。両者の性格の違いが分かると、どちらの仕組みが自社の用途に向くかを判断しやすくなります。
最大の違いは「誰が管理するか」です。AWSは、ブロックチェーンの分散化について次のように説明しています。
ブロックチェーンの分散化とは、制御と意思決定を一元化されたエンティティ (個人、組織、またはグループ) から分散型ネットワークに移すことを指します。
出典:ブロックチェーンテクノロジーとは?|AWS
従来型のクラウドサービスは提供者が中央でデータを一元管理しますが、ブロックチェーンは参加者による分散管理へと制御を移します。さらにデータの持ち方も異なり、AWSは従来型データベースとの違いを次のように述べています。
ほとんどのデータベースシステムではデータを編集または削除できますが、ブロックチェーンではデータを挿入することしかできません。
出典:ブロックチェーンテクノロジーとは?|AWS
以上の点を軸ごとに整理すると、次のようになります。
| 観点 | 管理主体 | データの持ち方 | 改ざんへの強さ | コストの出方 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| 従来型のクラウド(中央集権的なシステム) | サービス提供者が一元的に管理 | 中央のデータベースで保持し、編集・削除できる | 管理者権限でデータを編集・削除できる | 利用量に応じたクラウド利用料が中心 | 自社内で完結する高速なデータ処理 |
| ブロックチェーン | 参加者による分散管理(制御を分散型ネットワークへ移す) | 参加者が同じ台帳を共有し、記録は追記のみ | 後から変更・削除できない(不変性)ため改ざんを検知しやすい | ノード運用やネットワーク手数料が中心(BaaS利用で平準化しやすい) | 複数の企業・主体をまたぐデータ共有や改ざん防止・証跡の担保 |
どちらが優れているという話ではなく、性格が違うため向く用途が異なります。自社だけで完結する処理は従来型のクラウドが得意で、複数の企業をまたいでデータの正しさを担保したい場面ではブロックチェーンが力を発揮します。
出典・参考資料(1件)
クラウドストレージとの違い
ブロックチェーンは、クラウドストレージ(オンライン上のデータ保管サービス)と混同されることがありますが、両者は目的が異なります。
クラウドストレージは、ファイルを預けて保管・共有することが目的で、通常はサービス提供者が中央で管理します。これに対しブロックチェーンは、データを複数の参加者で分散して記録し、後から書き換えられない形で「正しさ」を担保することが目的です。単なる保管ではなく、記録の改ざん防止や取引の証跡づくりに向いている点が、クラウドストレージとの本質的な違いです。
BaaSとは?自前でノードを構築する場合との違い
ここからは、クラウド上でブロックチェーンを動かす手段である「BaaS(Blockchain as a Service)」について解説します。AWSは、BaaSを次のように定義しています。
Blockchain as a Service (BaaS) は、サードパーティーがクラウドで提供するマネージドブロックチェーンサービスです。
出典:ブロックチェーンテクノロジーとは?|AWS
かみ砕くと、ブロックチェーンを動かすために必要なサーバー(ノード)やネットワークの構築・運用を、提供事業者がクラウド上でまとめて引き受けてくれるサービスです。利用する企業は、ブロックチェーンそのものを一から作らなくても、アプリケーションの開発や活用に集中できます。
自前でノードを構築する場合と比べたメリット
ブロックチェーンを自社で動かすには、本来はノードと呼ばれるサーバーを複数用意し、ソフトウェアの導入・設定・監視・アップデートを継続的に行う必要があります。専門知識を持つエンジニアの確保も欠かせません。BaaSはこの負担を、初期構築・運用・コストの3点で軽くします。
- 初期構築:ノードの調達や環境構築を提供事業者が用意するため、短期間で立ち上げられます。3ステップや最短1日での構築を掲げるサービスもあります
- 運用:ノードの監視・保守・アップデートを任せられ、社内に専任の運用体制を持たなくても稼働を維持しやすくなります
- コスト:自前でサーバーを保有・増強する費用を抑え、月額などの予測しやすい形に平準化できます
一方で、BaaSは提供事業者の環境に依存するため、対応するブロックチェーンの種類や料金体系、日本語でのサポート有無はサービスごとに異なります。次の章では、実際に選べる主要なサービスを見ていきます。
クラウドでブロックチェーンを動かせる主要サービス
ここからは、クラウドでブロックチェーンを動かせる主要なサービスの全体像を紹介します。大きく分けると、海外大手クラウドが提供するマネージド型、国産のブロックチェーン構築クラウド・開発基盤、そして構築・運用を任せられる開発支援の3タイプがあります。
さらにおおまかには、自社で使う「構築クラウド・BaaS」型と、要件から作ってもらう「開発支援(受託)」型に分けて捉えると整理しやすくなります。
海外大手では、Oracleの「Oracle Blockchain Platform」が代表的です。Oracleは同サービスを次のように説明しています。
Oracle Cloud Infrastructure Blockchain Platformは、スマート・コントラクトを実行し、改ざん防止機能を備えた分散型台帳を維持するためのマネージド・ブロックチェーン・サービスです。オープン・ソースのHyperledger Fabric上に構築され、不変で信頼できるデータをサプライヤや金融機関などのサードパーティと共有するセキュアで検証可能なアプリケーションを簡単に開発できます。
出典:Blockchain Platform Cloud Service|Oracle 日本
AWSの「Amazon Managed Blockchain」も、パブリック・プライベート両方のブロックチェーンに対応するフルマネージドサービスで、Ethereum、Polygon、Bitcoin、Hyperledger Fabricをサポートしています。
一方、Microsoftが提供していた「Azure Blockchain Service」は2021年9月10日に提供を終了しています。今から大手クラウドで選ぶ場合は、Oracle・AWSが現行の主な選択肢になります。
国内には、日本語でのサポートや国内案件への対応を強みとするサービスが充実しています。ここまでの選択肢をタイプ別に整理すると、次の3つに分けられます。
| タイプ | 海外大手のマネージド型 | 国産の構築クラウド・BaaS | 開発支援(受託開発) |
|---|---|---|---|
| 代表的なサービス | Oracle Blockchain Platform/Amazon Managed Blockchain | G.U. Blockchain Cloud/MultiBaas/THXNET./Ginco | Consensus Base など |
| 特徴 | 対応チェーン・実績が豊富なグローバル基盤(日本法人あり) | 日本語で構築・運用でき、用途に応じた基盤を選べる | 要件定義から実装・運用まで任せられる |
| 料金の傾向 | 従量課金・個別見積り | 無料枠〜月額(要問い合わせも多い) | 案件ごとの見積もり |
各サービスの公式情報をもとに作成(2026年9月時点)。料金・機能は変動するため最新情報は各社公式をご確認ください。
このうち、以降では日本語で相談しながら導入できる国内のサービスを中心に、料金や機能を1社ずつ詳しく比較します。海外大手のマネージド型は従量課金で個別見積りとなるため、ここでは全体像の把握にとどめ、詳細は各社公式をご確認ください。
出典・参考資料(3件)
自社での選び方・始め方
ここからは、自社でクラウド上のブロックチェーンを導入する際の選び方と、始め方のポイントを整理します。用途・注意点・国内対応の3つの観点から見ていきます。
用途別の向き不向きをどう見極めるか
まず、自社が何にブロックチェーンを使いたいのかを具体化すると、必要なサービスの型が見えてきます。用途によって、既製の構築クラウド(BaaS)が向くのか、要件に合わせた受託開発が向くのかが変わります。
- サプライチェーンの記録・トレーサビリティ:複数企業でデータを共有し改ざんを防ぎたい用途。標準的な構築クラウド(BaaS)で始めやすい
- トークンやNFT・会員証の発行:発行・管理の機能を備えたBaaSや、発行支援に強い開発基盤が向く
- データの改ざん防止・証跡の担保:記録の不変性を重視する用途。マネージド型で運用負担を抑えやすい
- 既存システムとの複雑な連携や独自要件:要件定義から必要なため、受託開発・技術支援が向く
用途をどこまで具体化できているかは、導入後の進み方にも影響します。Web3・ブロックチェーンの導入を支援する事業者からは、次のような声もあります。
効果が出やすいのは、活用の目的が明確化されている企業様です。「Web3を使うこと」ではなく、「この経営課題に対してWeb3のどの特性を活かすのか」を整理できているお客様は、PoCを実施した後の展開までスムーズに進みます。
導入前に押さえておきたい注意点
クラウドでブロックチェーンを動かす場合でも、確認しておくべき点があります。導入後のミスマッチを避けるために、次の観点を事前にチェックしておくと安心です。
- 対応するブロックチェーンの種類:Ethereum互換(EVM)なのか、Hyperledger Fabricなどのエンタープライズ向けなのか。自社の用途や連携先に合うかを確認する
- 料金体系と総コスト:月額のほか、ノード数やネットワーク手数料で費用が変わることがある。開発環境と本番環境で料金が分かれるサービスも多い
- 運用・サポート体制:障害時の対応や、日本語でのサポートが受けられるか。社内に専門人材がいない場合は特に重要になる
なかでも対応チェーンは選定を左右するため、Ethereum互換(EVM)チェーンやHyperledger Fabricなど主要なブロックチェーンごとの特徴と向いている用途を押さえておくと、自社の用途に合うサービスを絞り込みやすくなります。各チェーンの違いは以下の記事で整理しています。
【ブロックチェーンプラットフォーム一覧】主要なブロックチェーンの特徴と用途
ブロックチェーン技術は近年急速に進化し、多くの産業で活用されています。暗号資産(仮想通貨)だけでなく、金融、物流、医療、不動産、エンターテインメント、ゲーム、NFTなどさまざまな分野でその可能性が広がっています。しかし、ブロックチェーンプラ…
国産のBaaS・開発支援が国内案件で選ばれる理由
海外大手のマネージドサービスは機能が豊富ですが、日本語での手厚いサポートや国内の商習慣・規制への相談のしやすさという点では、国産サービスに強みがあります。実際、国内の構築クラウドや開発支援は、初期構築から運用・開発までを日本語で一貫して対応する体制を打ち出しています。
社内にブロックチェーンの専門人材がいない場合、「作りたいものはあるが、どう構築・運用すればよいか分からない」という段階でつまずきがちです。そうしたときは、構築・運用を任せられる国産の開発支援サービスに相談することで、自社の用途に合った形で進めやすくなります。
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クラウドでのブロックチェーン活用を支援するサービス
ここからは、国内で利用できる主要なサービスを1社ずつ詳しく紹介します。BaaS型の開発基盤から、金融機関向けの基盤、要件から任せる受託開発まで、自社の状況に合わせて選べます。まずはスポット比較表で全体を確認しましょう。
| サービス名 | MultiBaas(マルチベース) | THXNET. | Consensus Base | Ginco | G.U. Blockchain Cloud |
|---|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | Curvegrid株式会社 | THXLAB株式会社 | コンセンサス・ベイス株式会社 | 株式会社Ginco | G.U.テクノロジーズ株式会社 |
| 提供形態 | 開発プラットフォーム(BaaS) | 開発基盤(BaaS型) | 受託開発・技術コンサルティング | 業務用ウォレット/カストディ+開発基盤 | クラウド(BaaS) |
| 対応チェーン | EVM互換チェーン (Ethereum・Base・Arbitrum・Optimism・Polygon など) | 企業専用のLayer 1(独自チェーン) | EVM・非EVM・Hyperledger を横断 (用途に応じて選定) | 複数チェーン対応(詳細は公式) | Ethereum互換(EVM)チェーン |
| 特徴・強み | ノーコードのWeb UIとREST API/SDKを両立 外部ノードプロバイダーとの別契約が不要 | 専用チェーンを最短1日で構築 ガス代ゼロの月額固定コスト | 2015年創業の専門企業 構想〜実装を一気通貫で支援 | 金融機関向けの堅牢な鍵管理(HSM+専用署名端末) ISO/IEC 27001・SOC2 Type II を取得 | 3ステップで構築 Japan Open Chain の基盤構築に採用 |
| 初期費用 | 0円(Freeプラン)〜 要問い合わせ(上位プラン) | 要問い合わせ | 要問い合わせ(案件ごとの見積もり) | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 0円(Free)〜 上位・カスタムは要問い合わせ | 月額固定(要問い合わせ) | 要問い合わせ(案件ごとの見積もり) | 要問い合わせ | 開発用 約558ドル〜/本番 約1,000ドル〜 |
| 日本語対応 | ● | ● | ● | ● | ● |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式サイト | 公式サイト |
ここで紹介するサービスのほかに、要件定義から開発・運用までまとめて任せられる開発会社を探している場合は、依頼先の選び方や対応できる業務の範囲を比較した以下の記事も参考になります。
1. MultiBaas(Curvegrid株式会社)

MultiBaasは、東京拠点のCurvegrid株式会社が提供する、EVM(Ethereum互換)チェーン向けの開発プラットフォームです。Web UIとREST APIの両方を備え、外部のノードプロバイダーを別途契約しなくても、スマートコントラクトのデプロイや操作をクラウド上で行えます。
ブロックチェーンの専門知識がなくても扱えるノーコードのWeb UIと、開発ワークフローに組み込めるAPI・SDKを両立しているのが特徴です。Ethereumをはじめ、Base、Arbitrum、Optimism、PolygonなどのEVM互換チェーンに幅広く対応しています。料金は無料プランから用意され、上位プランは要問い合わせで、個別要件に応じたカスタムプランも選べます。
2. THXNET.(THXLAB株式会社)

THXLAB株式会社が提供するTHXNET.は、企業ごとに独立した専用のブロックチェーン(Layer 1)を最短1日で構築できる、オールインワンのWeb3インフラサービスです。ブロックチェーンの専任エンジニアを必要としないAPIファースト設計を掲げています。
IDウォレット、NFT・トークンの発行、SBT(ソウルバウンドトークン)、スマートコントラクト、KYC(本人確認)といった機能を単一のプラットフォームで提供します。独自のチェーンによりガス代が発生しない月額固定のコスト構造を訴求しており、既存システムを維持したままAPI連携でWeb3機能を追加したい企業に向いています。料金は月額固定で、具体的な金額は要問い合わせです。
3. ブロックチェーン開発・実装支援|Consensus Base(コンセンサス・ベイス株式会社)

コンセンサス・ベイス株式会社は、2015年創業のブロックチェーン専門企業で、「日本初のブロックチェーン技術の専門企業」を掲げています。実証実験(PoC)から本番システムの開発まで、構想・設計・実装を一気通貫で支援する受託開発・技術コンサルティングが中核です。
Ethereumなどの主要チェーンからHyperledger Fabricのようなエンタープライズ向け基盤まで、特定のチェーンに依存せず用途に応じて選定・実装できる点が強みです。スマートコントラクトのセキュリティ監査やコンソーシアムチェーンの構築にも対応します。初回のヒアリング・要件整理・技術調査は無料で、料金は案件ごとの見積もりです。自社に専門人材がおらず、要件から相談したい企業に向いています。
4. Ginco(株式会社Ginco)

株式会社Gincoは、暗号資産交換業者や金融機関向けに、業務用ウォレット・カストディ(資産管理)や、ブロックチェーン開発基盤「Ginco Web3 Cloud」、企画から開発までのプロフェッショナルサービスを提供する企業です。資産の安全な管理や金融水準の信頼性が求められる用途に向き、クラウドで動かす基盤としてはGinco Web3 Cloudがその中心になります。
Ginco Web3 Cloudは、ウォレット・ノード・インデクサー(データ検索基盤)を統合したクラウド型の開発基盤で、公式には「All-in-One web3 platform」と位置づけられています。秘密鍵をHSM(ハードウェアセキュリティモジュール)と専用署名端末で分散管理する堅牢な鍵管理や、送金業務の承認フロー(権限分散)に対応します。
情報セキュリティのISO/IEC 27001を取得し、SOC2 Type IIの保証報告書も受領しています。料金は要問い合わせです。
5. G.U. Blockchain Cloud(G.U.テクノロジーズ株式会社)

G.U.テクノロジーズ株式会社が提供するG.U. Blockchain Cloudは、Ethereum互換のブロックチェーンをクラウド上で構築・運用できる国産のサービスです。自社専用のプライベートチェーンや、複数企業による分散協調のためのコンソーシアムチェーンを、ノードの運用まで含めて立ち上げられます。
「わずか3ステップで本格的なブロックチェーンを構築できる」ことと、初期構築から管理・開発までを日本語で対応する点を強みとしています。料金は開発用の標準構成が月額約558ドルから、本番環境が月額1,000ドル程度からで、EVM互換のコンソーシアム型パブリックチェーン「Japan Open Chain」の基盤構築にも活用されています。
海外大手のマネージドサービスが日本で本格展開していないなか、日本語で相談しながら進めたい企業に向いた選択肢です。
出典・参考資料(1件)
まとめ
ブロックチェーンとクラウドは対立する技術ではなく、クラウドという基盤の上でブロックチェーンを動かす形で組み合わせて使えます。その提供形態がBaaS(Blockchain as a Service)で、ノードの構築・運用を任せることで、自社に専門人材がいなくてもブロックチェーンの活用を始めやすくなります。
サービスを選ぶ際は、対応するブロックチェーンの種類・料金体系・運用サポート、そして日本語での対応を確認するのがポイントです。海外大手のマネージド型に加え、国産の構築クラウドや開発支援サービスも充実しています。自社の用途に合いそうなサービスの資料を取り寄せ、比較・相談から始めてみてください。
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よくあるご質問(FAQ)
Q. BaaS(Blockchain as a Service)とは何ですか?
A. BaaSとは、ブロックチェーンを動かすサーバー(ノード)やネットワークの構築・運用を、提供事業者がクラウド上でまとめて引き受けてくれるサービスです。利用する企業はブロックチェーンを一から作らなくても、アプリケーションの開発や活用に集中できます。
AWSもBaaSを「サードパーティーがクラウドで提供するマネージドブロックチェーンサービス」と定義しており、クラウドとブロックチェーンを掛け合わせた提供形態にあたります。
Q. ブロックチェーンとクラウドは組み合わせて使えますか?
A. ブロックチェーンとクラウドは対立する技術ではなく、クラウドという基盤の上でブロックチェーンを動かす形で組み合わせて使えます。クラウドは「システムを動かす場所・基盤」、ブロックチェーンは「その基盤の上で動かすデータ記録の仕組み」で、両者は層が異なるためです。この掛け合わせをサービスとして提供しているのがBaaSであり、どちらかを選ぶ二者択一の関係ではありません。
Q. ブロックチェーンとクラウドの一番の違いは何ですか?
A. 最大の違いは「誰が管理するか」で、従来型のクラウドは提供者が中央で一元管理するのに対し、ブロックチェーンは参加者による分散管理です。そのためブロックチェーンは記録を後から書き換えにくく(不変性)、改ざん防止や複数の企業をまたぐデータ共有に向きます。一方で、自社内で完結する高速なデータ処理は従来型のクラウドが得意です。どちらが優れているという話ではなく、性格が違うため向く用途が異なります。
Q. BaaSと自前でノードを構築する場合はどちらがよいですか?
A. 専門人材の確保や運用負担を避けたい場合はBaaS、既存システムとの複雑な連携など独自要件が強い場合は自前構築や受託開発が向きます。自前構築はノードの調達・設定・監視・アップデートを継続的に行う必要がありますが、BaaSはこれらを提供事業者に任せられ、初期構築・運用・コストの負担を抑えられます。まずは標準的な用途をBaaSで始め、要件が固まってから拡張する進め方が現実的です。
Q. クラウドでブロックチェーンを動かす費用の目安はどのくらいですか?
A. 費用はサービスや構成によって幅がありますが、国産の構築クラウドでは開発用が月額数百ドル、本番環境が月額1,000ドル程度からが一つの目安です。無料プランから始められる開発基盤もあり、大手クラウドのマネージド型は利用量に応じた従量課金が中心です。月額料金のほか、ノード数やネットワーク手数料で費用が変わる場合があるため、開発環境と本番環境の料金を分けて確認するとよいでしょう。
Q. BaaSはどのブロックチェーンに対応していますか?
A. 対応するブロックチェーンはサービスごとに異なり、Ethereum互換(EVM)チェーンに対応するものと、Hyperledger Fabricなどエンタープライズ向け基盤に対応するものに大きく分かれます。
例えばG.U. Blockchain CloudやMultiBaasはEthereum互換チェーン、Amazon Managed BlockchainはEthereum・Polygon・Bitcoin・Hyperledger Fabricに対応しています。
自社の用途や連携先に合うチェーンを扱えるかを、導入前に確認することが大切です。
Q. 社内に専門人材がいなくてもブロックチェーンを導入できますか?
A. 社内に専門人材がいなくても、構築・運用を任せられるBaaSや開発支援サービスを利用すれば導入できます。ノードの構築・監視・保守を提供事業者に任せられるうえ、要件定義から相談したい場合は受託開発・技術支援サービスに依頼する方法もあります。国産のサービスであれば、初期構築から運用・開発までを日本語で一貫してサポートを受けられる点も安心材料になります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。















