OTP認証とは、ログインのたびに使い捨ての一度きりのパスワードで本人確認する認証方式です。
ID・パスワードだけのログインでは、不正アクセスを防ぎきれない場面が増えています。警察庁などがまとめた調査によると、2024年(令和6年)の不正アクセス行為の認知件数は5,358件でした。そのうち検挙された手口の90%以上が、他人のIDやパスワードを盗んで使う「識別符号窃用型」でした。用途別ではインターネットバンキングでの不正送金等が最も多く報告されています。
こうした被害を受けて、ログイン時の本人確認を強くする手段として広く使われているのがOTP認証です。会議で「OTPを入れよう」と言われても、SMSで届く6桁のコードのことなのか、専用のトークンのことなのか、言葉の中身が曖昧なまま検討が進みがちです。
本記事では、OTP認証とは何かという定義から、毎回コードが変わる仕組み(TOTPとHOTP)、受け取り方式の種類と選び方、二段階認証・多要素認証(MFA)との違い、「意味ない・危険」と言われる理由と対策までを整理します。
あわせて、導入時の選択肢や身近な活用例、日々の運用で感じる利点と注意点も取り上げ、自社のログイン強化を検討する際の入口として、多要素認証に対応したサービスも紹介します。
目次
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OTP認証とは?
OTP認証とは、一度きりしか使えず、毎回変わり、一定時間で失効する「使い捨てパスワード」を使った本人確認の方法です。OTPは「One-Time Password(ワンタイムパスワード)」の略で、日本語では使い捨てパスワードやワンタイムパスワードと呼ばれます。
特徴は次の3点に整理できます。
- 一度きり: 一度使ったコードは再利用できません。
- 毎回変わる: ログインのたびに新しいコードが生成されます。
- 有効期限で失効: 一定時間が経つ、または次のコードが出ると使えなくなります。
固定のパスワードは、一度盗まれると本人が変更するまで何度でも使われてしまいます。OTPは毎回別のコードになるため、仮に1回分を盗み見られても、そのコードは次のログインでは通用しません。ID・パスワードによる認証に、この使い捨てコードを組み合わせることで、盗まれたパスワードだけでは侵入できない状態をつくります。この使い捨てのコードがどのように作られるのかを、次章で見ていきます。
OTP認証の仕組み — TOTP(時刻同期)とHOTP(カウンタ同期)の違い
ここからは、なぜ手元の端末とサーバーの双方で同じコードを出せるのかを解説します。鍵になるのは、端末とサーバーが同じ秘密の情報(シードと呼ばれる共通の鍵)をあらかじめ持っている点です。両者が同じ鍵と、同じ「変化のもと」を使って計算するため、離れた場所でも同じコードが導き出せます。
この「変化のもと」の取り方によって、OTPの生成方式は大きく2つに分かれます。時刻を使うTOTP(Time-based One-Time Password)と、認証の回数を数えるカウンタを使うHOTP(HMAC-based One-Time Password)です。
TOTPは時刻を変化のもとに置いたHOTPの拡張として定義されており、コードが変わるきっかけが「時間の経過」か「認証の回数」かが両者の分かれ目になります。
| 生成方式 | TOTP(時刻同期) | HOTP(カウンタ同期) |
|---|---|---|
| コードが変わるきっかけ | 一定時間の経過(標準では30秒ごと) | 認証のたびにカウンタが1つ進む |
| 変化のもと(moving factor) | 時刻 | カウンタ(回数) |
| 必要な鍵 | 端末とサーバーで共有する秘密鍵(シード) | 端末とサーバーで共有する秘密鍵(シード) |
| 有効期限 | 一定時間で自動的に失効する | 時間では失効せず、次のコード生成で無効化される |
| 代表的な標準仕様 | RFC 6238 | RFC 4226 |
| 主な利用例 | 認証アプリに表示される6桁コード | 一部のハードウェアトークン |
TOTPは時刻に連動するため、標準では30秒ごとにコードが切り替わり、その時間を過ぎると自動的に失効します。認証アプリの画面でコードが定期的に更新されるのは、この仕組みによるものです。
HOTPは認証の回数を数えるカウンタに連動し、端末とサーバーでカウンタの値をそろえながら次のコードを求めます。いずれも、端末とサーバーが同じ秘密鍵を持ち、公開されている計算手順にその鍵と変化のもとを入れてコードを導く、という骨格は共通しています。
生成されるコードの桁数も標準仕様で定められており、コードは最低でも6桁とし、電話などの限られた端末でも入力しやすいよう数字だけにすることが望ましいとされています。実際のサービスでは6桁が一般的で、方式によっては4〜8桁が使われます。
出典・参考資料(2件)
OTP認証の受け取り方式(種類)と選び方
ここでは、生成されたOTPをユーザーがどう受け取るかという「受け取り方式」の種類と、自社でどれを選ぶかの判断軸を順に見ていきます。同じOTPでも、受け取り方によって導入のしやすさと安全性が変わります。
受け取り方式4種の比較
代表的な受け取り方式は、ハードウェアトークン、認証アプリ(ソフトトークン)、SMS・メール、電話音声の4つです。それぞれの長所と、運用や安全性の面で注意したい点を並べます。
| 受け取り方式 | ハードウェアトークン(コードを表示する専用の小型端末や、USB型・カード型のセキュリティキー) | 認証アプリ(ソフトトークン。スマートフォンのアプリでコードを生成) | SMS・メール(コードをショートメッセージやメールで送信) | 電話音声(自動音声でコードを読み上げる) |
|---|---|---|---|---|
| 主なメリット | 認証専用の独立した機器で、パソコンやスマホが乗っ取られても影響を受けにくい。方式によってはフィッシングに強い | 専用機器が不要で追加コストが小さい。通信が届かない場所でもコードを生成できる | 専用機器も特別なアプリも不要で、多くの利用者がすぐ使える | スマホがなくても固定電話などで受け取れる |
| 主なデメリット・注意点 | 機器の調達コストがかかる。配布・回収や、紛失・故障時の再発行といった運用の手間が生じる | 端末の紛失・故障や機種変更のたびに移行の手間がかかる。私物スマホを業務に使う場合は運用ルールの整理が必要 | 電話番号を乗っ取るSIMスワップや、偽サイトへの入力を促すフィッシングに弱い。通信状況によっては届かない。NISTは電話網経由の利用を制限付き扱いとしている | SMSと同じく電話網経由のため同様の弱点がある。着信のタイミングに左右される |
とくにSMSと電話音声については、米国国立標準技術研究所(NIST)が公開している認証のガイドライン「SP 800-63B-4」(2025年7月公開の現行版)が、電話網(PSTN)経由での受け取りを「restricted(制限付き)」と位置づけています。
全面禁止でも単純な非推奨でもなく、SIMの交換や番号の乗っ取りといったリスクの兆候を考慮し、制限のない代替手段をあわせて用意することを条件に使用を認める、という整理です。
Use of the PSTN for out-of-band verification is restricted as described in this section and SHALL satisfy the requirements of Sec. 3.2.9. Verifiers SHOULD consider risk indicators (e.g., device swap, SIM change, number porting, other abnormal behavior) before using the PSTN to deliver an out-of-band authentication secret.
出典:NIST SP 800-63B-4 Digital Identity Guidelines(§3.1.3.3)|NIST
(意訳)電話網(PSTN)を経由する本人確認は本節の制限付きの扱いで、SIMの交換や番号の乗っ取りといったリスクの兆候を確認したうえで使うことが推奨される、という内容です。
どの方式をどんな組織が選ぶ?法人での選び方
方式選びは、利用者の環境と守りたい情報の重要度から逆算すると整理しやすくなります。代表的な組み合わせを整理すると次のとおりです。
| 利用環境・重視点 | スマートフォンを全社員に配りやすく、導入コストを抑えたい | 製造現場・医療・コールセンターなど、私物や業務用スマホを持ち込めない・使いにくい | フィッシングによる不正ログインを重く見る、金融・行政など高い本人確認水準が必要 | 特別な準備なく手軽に始めたいが、重要度はさほど高くない |
|---|---|---|---|---|
| 向く受け取り方式 | 認証アプリ(ソフトトークン) | ハードウェアトークン | フィッシングに強い方式を持つハードウェアトークン | SMS・メール(補完的に) |
| 理由 | 専用機器の調達が不要で、通信が届かない場所でもコードを生成でき、多くのクラウドサービスがアプリでのOTPに対応している | 認証専用の独立した機器で完結し、スマートフォンがなくても運用できる | 手入力に頼らず、偽サイトでの不正ログインへの耐性が高い | 準備不要で導入しやすい一方、電話網経由の弱点があるため主たる手段にはしない |
こうしたスマートフォンを配布しにくい現場でどのようなニーズがあるのか、多要素認証サービスを提供する事業者は次のように述べています。

最も多いのは、全社員へのスマートフォン支給が困難なケースです。派遣社員や協力会社のスタッフがシステムにアクセスする際の認証手段として活用されています。また、店舗やコールセンターなどのシフト制の現場において、IDとパスワードの管理負担を軽減しつつ、確実な本人認証を実現する手段としても選ばれています。
専用機器を使うハードウェアトークンについては、仕組みや種類、スマホアプリ(ソフトウェアトークン)との違い、選び方を以下の記事で詳しく解説しています。
SMS・メールは、利用者に特別な準備を求めずに導入できる手軽さが利点です。一方で前述のとおり電話網経由の弱点があるため、重要度の高いシステムでは主たる手段にせず、より強い方式を用意したうえでの補完に位置づける判断が求められます。自社にとってどこまでのリスクを許容できるかを起点に、方式を組み合わせて設計するのが現実的です。
導入の進め方は、目的によって大きく2つの経路に分かれます。次の一歩を、開発担当・情報システム担当それぞれの立場から整理します。
- 自社サービスに自前で実装する: RFC 6238(TOTP)・RFC 4226(HOTP)に準拠したライブラリを使い、秘密鍵(シード)を安全に配布・保管する仕組みと、端末とサーバーの時刻ずれを許容する設計を用意する。
- 社内ログインを強化する: OTPや多要素認証に対応した、ID管理をクラウドで提供する仕組み(IDaaS)やMFAサービスを導入し、受け取り方式を選んで社員に配布・運用する。
OTP認証と二段階認証・多要素認証(MFA)の違い・関係
OTP・二段階認証・多要素認証(MFA)はよく混同されますが、指しているものが異なります。整理の出発点は、本人確認に使う情報を3つに分ける「認証の3要素」という考え方です。
- 知識情報(本人だけが知っていること): パスワード、暗証番号(PIN)、秘密の質問など
- 所持情報(本人だけが持っているもの): スマートフォン、ハードウェアトークン、そしてOTP
- 生体情報(本人の身体的な特徴): 指紋、顔、静脈など
OTPは、このうち「所持情報」に当たる認証手段の1つです。NISTのガイドラインでも、単一要素のOTPは「something you have(本人が持っているもの)」に分類されると明記されています。
多要素認証(MFA:Multi-Factor Authentication)は、この3要素のうち異なる2種類以上を組み合わせる認証です。パスワード(知識情報)にOTP(所持情報)を加えると、知識と所持の2要素を使う多要素認証になります。
一方の二段階認証は、認証を2つの段階に分けるという手順の話で、要素の種類は問いません。パスワードのあとに秘密の質問を確認する場合は、知識情報だけを2段階で確認しているため、二段階ではあっても多要素ではありません。
つながりを整理すると、OTPは所持情報を担う「部品」であり、それをパスワードなどと組み合わせて実現するのが多要素認証、認証を2段階に分ける進め方が二段階認証、という関係になります。OTPの導入は、多くの場合この多要素認証を実現するための現実的な手段として選ばれます。

多要素認証そのものの仕組みや、認証の3要素・二段階認証との違いをさらに詳しく知りたい方は、以下の記事で整理しています。
OTP認証のメリットとデメリット(注意点)
ここでは、日々の運用で感じるOTPの利点と、備えておきたい不便を整理します。攻撃で破られるかどうかという安全性の論点は、後半の安全性の章で別に扱います。
メリット
不正アクセスを防ぐ効果に加えて、運用面の利点が大きいのが特長です。認証アプリを使えば、パスワードを長く複雑にし続けたり頻繁に変更したりする管理負担を軽くできます。
受け取り方式を社員向け・現場向け・顧客向けと場面ごとに選び分けられる柔軟さも、使い勝手と安全性のバランスをとりやすく、導入・運用のしやすさにつながります。
デメリット(運用上の注意点)
運用面では、端末の紛失・故障や機種変更に備えて、予備の認証手段やバックアップコード、再発行の手順をあらかじめ決めておく設計が欠かせません。この備えの有無が、いざというときの業務停止を左右します。
ログインのたびにコードを入力する一手間も生じますが、受け取り方式の選択と、届かないときの代替手段をセットで設計しておくことで、実務上の支障は抑えられます。
OTP認証はどこで使われている?活用シーンと身近な例
OTPは、重要な情報を扱うログインの多くで使われています。身近なところでは、次のような場面で目にします。
- インターネットバンキング: 送金やログイン時の本人確認
- リモートワーク: 社外から社内ネットワーク(VPN)へ接続する際の認証
- 社内システム・クラウドサービス: 業務で使うSaaSや基幹システムへのログイン
- 暗号資産取引: 取引所への口座ログインや出金時の確認
コードを生成する身近なツールとしては、Google Authenticator や Microsoft Authenticator といった認証アプリが広く使われています。ログイン時にアプリを開くと表示される6桁の数字が、まさにOTPです。
OTP認証は「意味ない・危険」って本当?安全性と対策
OTPを検討すると「意味ない」「危険」という声を目にすることがあります。結論から言えば、OTPは固定パスワードだけの状態より着実に安全性を高めますが、万能ではありません。何を防げて何を防げないのかを、攻撃の手口と対策の順に見ていきます。

OTPで防げない攻撃(フィッシング中間者・SIMスワップ・端末紛失)
OTPが苦手とするのは、コードを手入力する方式に共通する弱点です。代表的な手口は次のとおりです。
- フィッシング中間者: 本物そっくりの偽サイトにIDとOTPを入力させ、攻撃者がその場で本物のサイトに転送してログインする手口。利用者が正しいコードを入力しても、その一瞬に盗み取られる
- SIMスワップ: 携帯電話番号を攻撃者のSIMに移し替え、SMSで届くOTPを横取りする手口
- 端末の紛失・盗難: OTPを受け取る端末そのものを第三者に渡すと、コードを受け取られてしまう
とくにフィッシングについては、NISTのガイドラインが、手入力するOTPやアウトオブバンド(SMSなど別経路で送る)方式は「フィッシング耐性がない」と明言しています。コードを画面に入力するという性質上、その入力先が本物か偽物かをコード自体が区別できないためです。SMSのコードでも認証アプリの6桁コードでも、この点は共通します。
OTP authentication is not phishing-resistant.(§3.1.4)
出典:NIST SP 800-63B-4 Digital Identity Guidelines|NIST
Out-of-band authentication is not phishing-resistant.(§3.1.3.1)
(意訳)OTPによる認証も、別経路(アウトオブバンド)でコードを送る認証も、いずれもフィッシングには耐性がない、という趣旨です。
とくにSMSで届くOTPを狙うSIMスワップについては、個人でできる自衛策と、SMS認証に頼る自社サービスの守り方を以下の記事でまとめています。
限界を補う対策(フィッシング耐性方式・トランザクション署名・FIDO2/パスキー)
限界がある一方で、対策もはっきりしています。方向性は、手入力に頼らない「フィッシング耐性のある認証」を用意することです。
代表的なのがFIDO2やパスキーと呼ばれる方式です。これは公開鍵暗号を使い、認証をアクセス先のサイトに技術的に結びつけるため、偽サイトでは認証が成立しません。利用者がだまされて偽サイトを開いても、コードを打ち込む場面自体がなく、フィッシングが成立しにくくなります。
金融取引などでは、送金先や金額といった取引内容にコードを結びつける「トランザクション署名」で、内容の書き換えを防ぐ手法も使われます。
このFIDO2やパスキーで使う物理的なセキュリティキーとは何か、その仕組みや選び方は以下の記事で詳しく解説しています。
NISTのガイドラインも、一定の保証水準(AAL2)では、フィッシング耐性のある認証の選択肢を少なくとも1つ提供すべきだと定めています。手入力のOTPを入口として使いつつ、重要な操作にはフィッシング耐性のある方式を用意する、という組み合わせが、限界を補う現実的な設計になります。
フィッシングに強い対策として挙げたパスワードレス認証について、認証サービスを提供する事業者は次のように述べています。

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OTP認証・多要素認証を実現するサービス
OTPの仕組みと選び方を踏まえ、自社のログイン強化を検討する際の材料として、受け取り方式の異なる2つの実装例を取り上げます。1つはコードをアプリで受け取るクラウド型のID管理基盤(IDaaS/ソフトトークン)、もう1つは専用機器で受け取るハードウェアトークン型のサービスです。
OTPを含む多要素認証や、コードの手入力に頼らないパスワードレス認証まで対応したサービスを選ぶと、前章で見た限界への備えまで一度に整えやすくなります。
ここでは、受け取り方式の違いがわかる2例を紹介します。多要素認証に対応したサービスは数多くあり、認証方式・料金・タイプ別の選び方まで含めて全体を幅広く比較したい場合は、多要素認証カテゴリの比較記事もご覧ください。
多要素認証(MFA)システムおすすめ17選を徹底比較|認証方式・料金・タイプ別の選び方
ID とパスワードだけのログインは、もはや「鍵をかけていない」のと同じ状態に近づいています。攻撃者は流出したパスワードのリストを使い回し、本物そっくりの偽サイトで認証情報を抜き取り、正規利用者になりすまして社内システムやクラウドサービスへ侵…
1. CloudGate UNO(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

株式会社インターナショナルシステムリサーチが自社開発で提供する、シングルサインオン(一度の認証で複数のクラウドサービスにログインできる仕組み)と多要素認証を統合したクラウド型のID管理基盤です。1つのIDで Google Workspace や Microsoft 365 などへまとめてアクセスできる利便性と、認証の強化を両立させることを狙いとしています。
認証方式は、OTPのほか、FIDO2に準拠したパスキー(パスワードレス認証)、Windows Hello や Touch ID などの生体認証に対応します。同社は2019年5月にFIDO2準拠のパスワードレス認証を提供開始しており、フィッシングに強い方式を全プラン・全ユーザーで追加費用なく使える点を打ち出しています。
端末・場所・時間帯の3つの軸でアクセスを細かく制限できる機能も備え、業務時間外のログインを止めるといった運用も可能です。料金は月額400円/ユーザー(税抜、Standard Plusプラン、2026年8月時点)からで、30日間の無料トライアルが用意されています。
2. YubiKey as a Service(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

Yubico社の物理セキュリティキー「YubiKey」を、月額・年額のサブスクリプション形式で導入できるサービスです。提供元は CloudGate UNO と同じ株式会社インターナショナルシステムリサーチで、キー本体だけでなく、導入支援から運用サポートまでを一体で受けられる点を中心的な価値に据えています。
YubiKeyはハードウェアトークン型の認証手段で、秘密鍵をキー内部に保持し外部へ送信しないため、フィッシングや中間者攻撃への耐性が高いのが特徴です。PINがなければ悪用が難しく、紛失時のリスクを抑えられます。
スマートフォンを配布・持ち込みしにくい医療・製造・コールセンターなどの現場でも使えます。キッティング(初期設定)の代行、故障・紛失に備えたバックアップキーの同梱、担当者による導入運用支援といった付帯サービスが含まれます。契約期間は3年または5年で、200ライセンスから提供しています。料金はティアや配布条件・サポート内容に応じた個別見積もりで、詳細は要問い合わせです。
以下は、ここで紹介した2サービスの比較表です。
| サービス名 | CloudGate UNO | YubiKey as a Service |
|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社インターナショナルシステムリサーチ | 株式会社インターナショナルシステムリサーチ |
| 提供形態 | クラウド型ID管理基盤(SSO・多要素認証を統合) | 物理セキュリティキー+サブスク運用代行 |
| 対応する認証方式 | OTP・認証アプリ・FIDO2/パスキー・生体認証(Windows Hello/Touch ID) | 物理キー(FIDO2/WebAuthn・FIDO U2F・PIV・OpenPGP・OTP) |
| OTP対応 | ●認証アプリ・OTPを提供 | ●OATH OTP(TOTP)に対応 |
| パスワードレス/FIDO2対応 | ●全プラン・全ユーザー無制限 | ●物理キーでFIDO2/WebAuthn |
| フィッシング耐性 | ●パスキー/FIDO2利用時 | ◎秘密鍵をキー内部に保持 |
| スマホなしでの利用 | △物理キー・PC生体認証なら可 | ●物理キーのみで完結 |
| 初期費用 | 要お問い合わせ(プラン・オプションにより別途) | 要お問い合わせ |
| 月額費用 | 400〜600円/ユーザー(税抜) | 要お問い合わせ(サブスク・ユーザー単位) |
| 無料トライアル | 30日間 | 公式記載なし |
| 契約形態 | クラウド月額(ユーザー単位) | サブスク(契約3年/5年・200ライセンスから) |
| 導入・運用サポート | 日本語サポート・無料相談・有償のPremium Support(Bronze/Silver/Gold) | キッティング代行・CSM伴走支援・故障/紛失時のバックアップキー同梱・優先サポート |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
まとめ
OTP認証は、一度きりで毎回変わり、一定時間で失効する使い捨てパスワードを使った本人確認の方法です。時刻を使うTOTPと回数を使うHOTPという生成方式があり、ハードウェアトークン・認証アプリ・SMS/メール・電話音声といった受け取り方式ごとに、導入のしやすさと安全性が変わります。
OTPは所持情報の1つで、パスワードと組み合わせて多要素認証を実現する現実的な手段です。ただし手入力する方式にはフィッシングへの弱さが残るため、重要な操作にはFIDO2やパスキーなどフィッシング耐性のある方式を組み合わせる設計が有効です。自社の利用環境と守りたい情報の重要度を起点に、受け取り方式と対策をセットで検討してみてください。
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OTP認証に関するよくある質問(FAQ)
Q. OTP認証とは何ですか?OTPは何の略ですか?
A. OTP認証とは、一度きりしか使えず、毎回変わり、一定時間で失効する「使い捨てパスワード」を使った本人確認の方法です。OTPは「One-Time Password(ワンタイムパスワード)」の略で、日本語では使い捨てパスワードとも呼ばれます。ID・パスワードによる認証にこの使い捨てコードを組み合わせることで、仮にパスワードが盗まれても、それだけでは侵入できない状態をつくります。
Q. OTP認証のコードはどこに届きますか(どこで確認できますか)?
A. OTP認証のコードは、受け取り方式によって異なり、認証アプリの画面表示・SMS・メール・専用のハードウェアトークンなどで確認します。コードは認証のたびにその場で生成される一時的なもので、どこかに保存されて後から見返せるものではありません。
認証アプリ(Google Authenticator や Microsoft Authenticator など)の場合は、アプリを開くと表示される6桁の数字がOTPにあたります。
Q. OTP認証は二段階認証・多要素認証(MFA)と何が違いますか?
A. OTPは所持情報を担う認証手段の1つで、多要素認証は種類の異なる2要素以上を組み合わせる仕組み、二段階認証は認証を2つの段階に分ける手順を指す点が違いです。パスワード(知識情報)にOTP(所持情報)を加えると知識と所持の2要素を使う多要素認証になり、OTPは多要素認証を実現するための現実的な部品として使われます。
認証を2段階に分けても、パスワードと秘密の質問のように同じ知識情報だけを重ねる場合は、二段階ではあっても多要素にはなりません。
Q. TOTPとHOTPの違いは何ですか?
A. TOTPとHOTPの違いは、コードが変わるきっかけが「時間の経過」(TOTP)か「認証の回数=カウンタ」(HOTP)かという点です。TOTPは標準では30秒ごとにコードが切り替わって自動的に失効し、HOTPは認証のたびにカウンタが1つ進んで次のコードになります。いずれも端末とサーバーが同じ秘密鍵を持ち、同じ計算手順でコードを導く骨格は共通です。
Q. OTP認証は「意味ない・危険」というのは本当ですか?
A. OTP認証は固定パスワードだけの状態より着実に安全性を高めますが、フィッシングやSIMスワップには万全でないため、「まったく意味がない」は言い過ぎです。手入力するOTPやSMSなど別経路で送るコードはフィッシング耐性がなく、本物そっくりの偽サイトに入力させてその場で悪用する攻撃は防げません。重要な操作には、FIDO2・パスキーのようなフィッシング耐性のある方式を組み合わせる設計が有効です。
Q. OTP認証のコードは何桁ですか?
A. OTP認証のコードは一般的に6桁の数字で、方式によっては4〜8桁が使われます。OTPの標準仕様では、コードは最低でも6桁とし、電話などの限られた端末でも入力しやすいよう数字だけにすることが望ましいとされています。認証アプリで見かける6桁の数字は、この仕様に沿ったものです。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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