ニュースで企業の情報流出や不正送金の事故を見るたびに、「うちのシステムやサイトは大丈夫だろうか」と不安になる担当者の方は多いのではないでしょうか。不正アクセスへの対策を考えるうえで最初につまずくのは、そもそも何が原因でどこから侵入されるのかがはっきり見えないことです。原因が分からなければ、どこを優先して守ればよいかも決められません。
結論から言えば、不正アクセスの原因は「人的要因」「技術的要因」「組織・外部要因」の3つに整理でき、なかでも最も多いのはID・パスワードなど認証情報の悪用です。この記事では、原因を一覧で整理したうえで、それぞれの手口と対策を1枚の対応表にまとめ、自社の弱点をどう見つけて、どんな仕組みで塞げばよいかまでを解説します。
読み終えたときに、「自社が優先して手を打つべき原因はここだ」という当たりを付けられる状態を目指します。
目次
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【結論】不正アクセスの原因で最も多いのは「認証情報の悪用」
まず結論をお伝えします。不正アクセスの原因は大きく「人的要因」「技術的要因」「組織・外部要因」の3タイプに整理できますが、件数として最も多いのは、他人のID・パスワードを盗んでなりすます認証情報の悪用です。高度なハッキング技術よりも、身近な認証情報の管理の甘さが突かれているのが実態です。
この点は公的統計にも表れています。警察庁などがまとめた統計では、検挙された不正アクセスを手口別に見ると、他人のID・パスワードを盗用してなりすます「識別符号窃用型」が全体の9割以上を占めています。
令和7年における不正アクセス行為の検挙件数について、手口別に内訳を見ると、「識別符号窃用型」が399件と全体の90%以上を占めている。
出典:不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況(令和8年3月12日公表)|国家公安委員会・総務大臣・経済産業大臣
ここでいう「識別符号窃用型」とは、他人のID・パスワード(識別符号)を使って本人になりすまし、ログインする手口を指します。この識別符号窃用型399件をさらに細かく見ると、「パスワードの設定・管理の甘さにつけ込んで入手」が84件で最も多く、次いで「フィッシングサイトから入手」が77件と続きます。このように、弱いパスワードや使い回し、偽サイトでの入力といった、認証情報をめぐる原因が上位を占めています。
ただし、これらの割合は「検挙件数」を手口別に分けたものである点に注意が必要です。被害として認知された件数(認知件数)自体は侵入手口別に分解されていないため、「認知件数の9割」ではなく「検挙された手口の9割以上」と理解するのが正確です。
実務上は、被害の傾向をつかむ手がかりとして、まず認証情報の悪用を最優先の警戒対象と受け止めておくと、対策の優先順位を見誤りにくくなります。
件数そのものも増えています。令和7年(2025年)の不正アクセス行為の認知件数は7,190件で、前年より約34.2%増加しました。背景を深掘りするより先に、まずは原因の全体像を押さえておくことが、自社の弱点を見極める近道になります。

出典・参考資料(1件)
- 出典:不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況(令和8年3月12日公表)|国家公安委員会・総務大臣・経済産業大臣(https://www.soumu.go.jp/main_content/001059979.pdf)
不正アクセスの原因一覧【人的・技術的・組織/外部要因で整理】
ここからは、不正アクセスの原因を種類ごとに一覧で整理します。個別の手口は数多くありますが、その根っこにある原因は「人的要因」「技術的要因」「組織・外部要因」の3タイプに分けて捉えると、自社に当てはまるものを見つけやすくなります。
| 原因のタイプ | 人的要因 | 技術的要因 | 組織・外部要因 |
|---|---|---|---|
| 主な原因(弱点) | ID・パスワード管理の甘さ(弱いパスワード・使い回し)/設定・情報管理の甘さ(権限の付けすぎ・公開範囲の誤り・退職者アカウントの放置) | 脆弱性の放置(OS・ソフト・VPN機器・Webアプリの未修正)/クラウド・SaaSの設定不備/マルウェア感染 | 内部不正/委託先・取引先経由の侵入 |
| 何が問題か | 認証情報が盗まれたり推測されたりして、正規利用者になりすまされる。最も件数が多い原因 | システムの「穴」や誤設定を突かれて侵入される。修正が遅れるほどリスクが高まる | 内部の正規権限が悪用されたり(内部不正)、境界の外の委託先・取引先を経由して侵入されたりする |
これらの原因は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「情報セキュリティ10大脅威 2026」の組織向け脅威とも重なります。
同ランキングでは、1位が「ランサム攻撃による被害」、2位が「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」、4位が「システムの脆弱性を悪用した攻撃」、7位が「内部不正による情報漏えい等」と並んでいます。脆弱性の放置や委託先経由、内部不正といった原因が、実在する主要な脅威として位置づけられていることが分かります。
とくに近年は、クラウドサービスやSaaSの権限・公開設定のミスから情報が抜かれるケースや、テレワークで使うVPN機器の弱点を突かれるケースが増えています。従来の「社内ネットワークの内と外」という発想だけでは守りきれない原因が広がっている点は、押さえておきたいところです。
出典・参考資料(1件)
- 出典:情報セキュリティ10大脅威 2026|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2026.html)
原因別の手口と対策の対応表
ここからは、原因ごとに「具体的にどんな手口で突かれるのか」と「どの方向の対策で塞げるのか」を1枚の表にまとめます。手口の名前だけでは危機感がつかみにくいので、それぞれ「実際に何をされることか」を添えました。自社に当てはまる原因の行を見て、そのまま右側の対策へ視線を移してみてください。
| 原因(弱点) | ID・パスワード管理の甘さ | 設定・情報管理の甘さ | 脆弱性の放置 | クラウド・SaaSの設定不備 | マルウェア感染 | 内部不正・委託先経由 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 主な手口(実際に何をされるか) | パスワードリスト攻撃(どこかで漏れたID・パスワードの組み合わせを別サイトで試す)/総当たり攻撃(ブルートフォース。パスワードを機械的に片端から試す)/フィッシング(本物そっくりの偽サイトでID・パスワードを入力させて盗む) | 付与しすぎたアクセス権限や、誤って公開範囲を広げた設定を突かれる/退職者の残ったアカウントを悪用される | 未修正のOS・ソフト・VPN機器・Webアプリの穴(SQLインジェクションなど、Webの入力欄を突く攻撃)を突いて侵入される | クラウドストレージやSaaSの公開設定・権限設定のミスから、外部に情報を抜かれる | 不審なメールの添付や不正サイト経由でマルウェアに感染し、端末を遠隔操作されたり認証情報を盗まれたりする | 正規の権限を持つ内部者や委託先のアカウントが悪用される/侵入後に社内ネットワークを横に移動(ラテラルムーブメント)して被害を広げられる |
| 対策の方向性 | 多要素認証(MFA)の導入/パスワードの使い回し廃止と適切な管理/不正ログインの検知(アカウント乗っ取り対策) | アクセス権限の棚卸しと最小権限化/アカウントの発行から停止までの管理(棚卸し・即時停止) | 脆弱性診断・ペネトレーションテストで穴を洗い出す/修正プログラム(パッチ)の速やかな適用/エンドポイントの検知(EDR) | クラウドの設定診断(設定ミスの継続的な点検)/共有・公開範囲と権限設定の見直し | エンドポイントの不審な挙動を検知するEDR/メールのフィルタリング/従業員へのセキュリティ教育 | ネットワーク上の不審な通信を検知するNDR/ログの監視/委託先のセキュリティ管理 |
この表からも分かるとおり、原因が違えば効く対策の種類も変わります。認証情報の悪用には認証の強化と不正ログイン検知、脆弱性や端末の侵入にはEDRや脆弱性診断、社内に入り込んだ後の不審な動きにはNDRといった具合に、原因と対策は対応関係にあります。自社の弱点がどの行に当たるかを見極めることが、対策を選ぶ出発点になります。
件数が最も多い認証情報の悪用は、ログインの入口で本人確認を強化する多要素認証(MFA)で減らせます。認証方式ごとの違いや料金、自社に合うタイプの選び方は、以下の記事で詳しく比較しています。
不正アクセスで企業が受ける被害と実際の事例
ここからは、不正アクセスを受けると実際にどうなるのかを、被害の種類と公表された事例で見ていきます。自社に置き換えて考えると、対策の優先度を判断しやすくなります。
被害の種類
不正アクセスの被害は、大きく次のような形で現れます。いずれも単独で終わらず、連鎖して広がることが少なくありません。
- 情報漏えい:顧客の個人情報やクレジットカード情報、社内の機密情報が外部に流出する
- 金銭被害:不正送金や不正購入、口座の不正取引によって直接的な損害が生じる
- データの改ざん・暗号化:Webサイトを書き換えられたり、ランサムウェアでデータを暗号化され身代金を要求されたりする
- アカウントの乗っ取り・踏み台化:メールやシステムを乗っ取られ、フィッシングメールの発信元など次の攻撃の踏み台にされる
- 業務停止・信用失墜・賠償:サービス停止や復旧対応に追われ、顧客の信用を失い、損害賠償や監督官庁への報告義務が発生する
金銭被害の実態は統計にも表れています。令和7年の不正アクセスの認知件数を「不正アクセス後に行われた行為」で見ると、インターネットバンキングでの不正送金等が4,747件と最も多く、次いで証券会社のインターネット取引サービスでの不正取引等が1,484件でした。
とくに証券口座の不正取引は前年(令和6年)の2件から1,484件へと急増しており、認証情報を盗まれた先に具体的な金銭被害が待っていることが分かります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況(令和8年3月12日公表)|国家公安委員会・総務大臣・経済産業大臣(https://www.soumu.go.jp/main_content/001059979.pdf)
実際の被害事例
実際に公表された事例を見ると、原因と被害のつながりがより具体的に見えてきます。ここでは、最も多い原因である認証情報の悪用の例と、脆弱性やVPNを突かれた例をあわせて、原因が公表資料で明記されている4件を取り上げます。
パスワードの使い回しを突かれたリスト型攻撃(ヨネックス株式会社)。スポーツ用品大手の同社は、2026年8月12日、公式オンラインショップで「リスト型アカウントハッキング(リスト型攻撃)」による不正ログインが発生したと公表しました。第三者が外部で不正に取得したID・パスワードを使ってログインを試みる手口で、2026年8月5日に検知しています。
不正ログインが確認されたのは3件で、氏名・住所・電話番号・購入履歴・配送先情報などが閲覧された可能性があります。件数こそ小さいものの、最も多い原因である認証情報の悪用が、パスワードの使い回しを介して現実の被害につながることを示す例です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:弊社オンラインショップへの不正ログインの発生とパスワード変更のお願いについて(2026年8月12日)|ヨネックス株式会社(https://www.yonex.co.jp/news/2026/4022.html)
VPN経由の侵入からランサムウェアへ(株式会社イセトー)。印刷・情報処理を手がける同社は、2024年5月26日にVPN経由の不正アクセスを受け、情報処理センターや営業拠点の端末・サーバーがランサムウェアで暗号化されたと公表しました。
侵入した攻撃者によって、取引先から受託した業務の帳票データなどが窃取され、委託元の個人情報流出にもつながりました。リモート接続のためのVPN機器が侵入経路になった、技術的要因の代表例です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:不正アクセスによる個人情報漏えいに関するお詫びとご報告(2024年10月4日)|株式会社イセトー(https://www.iseto.co.jp/news/news_202410.html)
VPNの脆弱性と保守アカウントの悪用(デジタル庁)。デジタル庁は2026年9月11日、政府機関向けのガバメントソリューションサービスへの不正アクセスにより、個人情報が漏えいした可能性があると発表しました。
第三者がネットワーク接続機器(VPN)の脆弱性を悪用してシステムに侵入し、保守運用担当者のアカウントが悪用されたとされ、漏えいの可能性がある個人情報は約24.6万件にのぼります。脆弱性の放置と、保守・委託アカウントの悪用が重なった事例です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:ガバメントソリューションサービスへの不正アクセスによる職員等の個人情報の漏えいの可能性について(2026年9月11日)|デジタル庁(https://www.digital.go.jp/news/2026-0911-01)
Webサイトの脆弱性を悪用(株式会社すかいらーくホールディングス)。同社は2025年7月30日、運営するテイクアウトサイトが「システムの一部の脆弱性を悪用した不正アクセス」を受けたと公表しました。
新規にクレジットカードを登録した顧客2,270名分のカード情報が漏えいした可能性があります。個人情報保護委員会への報告や所轄警察署への相談も行われており、Webアプリケーションの脆弱性が原因となった典型例です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:当社が運営する「テイクアウトサイト」への不正アクセスによる個人情報漏えいの可能性に関するお詫びと調査結果に関するお知らせ(2025年7月30日)|株式会社すかいらーくホールディングス(https://corp.skylark.co.jp/Portals/0/images/news/press_release/2025/20250730_release.pdf)
ここで挙げた4件のほかにも、実名企業の被害を手口・原因・被害規模まで一覧で確認したい方は、以下の記事で詳しくまとめています。
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そもそも不正アクセスとは?不正ログイン・サイバー攻撃との違い
ここで、これまで使ってきた「不正アクセス」という言葉の意味を整理しておきます。原因や対策を考えるうえで、言葉の範囲がぶれないようにするためです。
不正アクセスとは、アクセスする権限を持たない第三者が、他人のID・パスワードを使ったりシステムの穴を突いたりして、本来入れないコンピューターやサービスに侵入する行為を指します。法律上も、不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)の第3条で「何人も、不正アクセス行為をしてはならない」と明確に禁止されています。
似た言葉との違いも押さえておきましょう。「不正ログイン」は、他人のID・パスワードでログインする行為を指し、不正アクセスの代表的な一形態です。
一方の「サイバー攻撃」は、不正アクセスに加えて、DDoS攻撃(大量の通信を送りつけてサービスを止める攻撃)やマルウェアのばらまきなども含む、より広い概念です。不正アクセスは、こうしたサイバー攻撃のなかでも「侵入」に焦点を当てた行為だと捉えると分かりやすくなります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成11年法律第128号)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000128)
自社の弱点(原因)の見つけ方|ログ点検・脆弱性診断・アセスメント
原因の全体像が見えたら、次は「自社のどこに穴があるのか」を具体的に確かめる番です。ここでは、当事者として自社の弱点を洗い出す3つの方法を紹介します。
アクセスログを点検する
最初の一歩は、すでに手元にあるログの点検です。サーバーや認証システムのアクセスログで、深夜や休日など通常と違う時間帯のログイン、海外など見慣れないIPアドレスからのアクセス、短時間に何度も失敗している認証などが確認ポイントになります。
こうした兆候は、パスワードの総当たりやなりすましが起きているサインになりえます。日常的にログを見る運用がないまま放置されているケースは多く、まず点検の習慣をつくること自体が弱点の発見につながります。
脆弱性診断で技術的な穴を洗い出す
技術的な弱点は、脆弱性診断やペネトレーションテスト(疑似的に攻撃を試みて侵入できるかを検証する調査)で洗い出します。公開しているWebサイトやアプリケーション、VPN機器などに既知の脆弱性や設定ミスが残っていないかを外部の視点で点検するもので、攻撃者に突かれる前に穴の場所を把握できます。
クラウドやSaaSを使っている場合は、公開範囲や権限の設定ミスを点検する設定診断もあわせて検討すると、抜け漏れを防ぎやすくなります。
実際に脆弱性診断やペネトレーションテストを依頼するときの診断方法・費用相場・依頼先の選び方は、以下の記事で詳しく解説しています。
セキュリティアセスメントで全体を棚卸しする
個別の点検に加えて、組織全体の状態を棚卸しするのがセキュリティアセスメントです。アカウントの管理状況、退職者アカウントの停止漏れ、委託先のセキュリティ、社員教育の実施状況などを一通り確認し、人的要因・技術的要因・組織要因のどこに弱点が偏っているかを可視化します。
自社だけで判断が難しい場合は、外部の専門サービスに現状評価を依頼する方法もあります。弱点の在りかが分かれば、次に紹介する対策ソリューションのどれが自社に必要かを判断しやすくなります。
原因別に効く対策ソリューションの選び方
ここからは、洗い出した原因を塞ぐための対策を紹介します。対策は「予防(そもそも入られないようにする)」と「検知(入られた痕跡や不審な動きを見つける)」の両輪で考えると整理しやすくなります。
予防の第一手は、最も多い原因である認証情報の悪用に対する多要素認証(MFA)です。加えて、脆弱性の放置にはパッチ適用と脆弱性診断、設定・情報管理の甘さには権限の棚卸しが効きます。これらは比較的低コストで着手でき、MFAや脆弱性診断の製品比較は、関連記事で確認できます。
そのうえで、予防をすり抜けた侵入や不審な動きを見つける「検知」の層として、この記事では次の3種類のソリューションを個別に紹介します。自社の弱点がどの原因に偏っているかに応じて、効く仕組みから検討してみてください。
- アカウントの不正利用を検知する(認証情報の悪用に効く):なりすましログインや乗っ取りの兆候を、行動の異常から見つける
- 端末(エンドポイント)を守る(マルウェア・脆弱性経由の侵入に効く):パソコンやサーバーの不審な挙動を検知し、感染や侵入を封じ込める(EDR)
- ネットワークを監視する(内部・侵入後の動きに効く):社内ネットワークを流れる通信から、侵入後の不審な動きを検知する(NDR)
以下では、検知層の3つのソリューションを比較表で整理し、それぞれの特徴を見ていきます。自社の弱点に対応する層から検討してみてください。
| サービス名 | Sardine | CrowdStrike Falcon | Network Blackbox |
|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社DGビジネステクノロジー (Sardine AI 正規代理店) | クラウドストライク合同会社 | 株式会社クワッドマイナージャパン |
| 主な検知レイヤー | アカウント不正型 (行動分析・デバイス分析) | エンドポイント型 (EDR/XDR) | ネットワーク型 (NDR/フルパケットキャプチャ) |
| 対応する主な原因(弱点) | 認証情報の悪用 (なりすまし・アカウント乗っ取り) | マルウェア感染・脆弱性を突いた端末への侵入 | 内部不正・委託先経由・侵入後の横移動(ネットワーク上の不審通信) |
| 検知の仕組み | 行動バイオメトリクス(操作の癖)とデバイスインテリジェンス(端末の情報)をAIで分析し、ログインや取引時の不審な挙動を検知 | 次世代アンチウイルス(NGAV)と振る舞い検知(EDR)で、端末上の不審な挙動を検知 | ネットワークの全パケットを保存し、シグネチャ検知と振る舞い異常検知で通信を分析 |
| 主な対象・向く企業 | 会員サイト・ECなど、アカウント乗っ取り対策を強化したい事業者 | マルウェアや端末経由の侵入への備えを固めたい企業 | 内部や侵入後のネットワークの動きを可視化したい企業 |
| 提供形態 | クラウド(SaaS) | クラウド型(軽量エージェント) | アプライアンス(ミラーリング導入) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | 公式資料を見る |
※各社の公式・公表情報にもとづく2026年9月時点の整理です。検知レイヤーや対応する原因は各サービスの主な守備範囲を示したもので、実際の対応範囲・料金は各社にご確認ください。費用はいずれも要問い合わせです。
1. Sardine(株式会社DGビジネステクノロジー)

Sardineは、行動分析とAIを組み合わせてアカウントの不正利用を検知するサービスです。米Sardine AIが開発し、日本では株式会社DGビジネステクノロジーが提供しています。最も件数の多い原因である認証情報の悪用に対して、ログインや取引の場面での不審な挙動をとらえる役割を担います。
会員登録からログイン、決済までの一連の操作を横断して分析し、正規利用者とは異なる操作パターンやなりすましの兆候を検知します。ID・パスワードが漏れて他人にログインされる「アカウント乗っ取り」への対策を強化したい、会員サイトやECを運営する事業者に向いています。
2. CrowdStrike Falcon(クラウドストライク合同会社)

CrowdStrike Falconは、パソコンやサーバーなどの端末(エンドポイント)を保護するクラウド型のプラットフォームです。マルウェア感染や脆弱性を突いた侵入といった、端末に痕跡が残る原因に強みを持ちます。次世代のウイルス対策に加え、端末上の不審な挙動を検知して対応するEDR(Endpoint Detection and Response)の機能を備えています。
攻撃を単なるファイルの照合ではなく、一連の振る舞いとしてとらえることで、既知のウイルスに限らない不審な動きを検知します。マルウェアや端末経由の侵入への備えを固めたい企業にとって、対策の中核となる選択肢です。
3. Network Blackbox(株式会社クワッドマイナージャパン)

Network Blackboxは、ネットワークを流れる通信を丸ごと記録・分析して不審な動きを検知するNDR(Network Detection and Response)ソリューションです。
株式会社クワッドマイナージャパンが提供し、フルパケットキャプチャと呼ばれる方式で通信を保存する点に特徴があります。侵入した攻撃者が社内ネットワークを横に移動する動きや、データを外部へ持ち出す通信など、ネットワーク上に痕跡が残る原因の検知・調査に向いています。
シグネチャによる既知の脅威の検知と、振る舞いの異常検知の両方を備えており、内部不正や委託先経由の侵入といった「境界の内側」で起きる動きの可視化に役立ちます。一方で、端末単体の操作やクラウドサービスへの不正ログインなど、ネットワークに現れない事象は対象外となるため、EDRなど他の対策と組み合わせて使う前提の仕組みです。
また、以下の記事では不正アクセスを検知するシステムを4つのタイプに分けて、機能や料金、選び方を詳しく比較しています。ここで紹介した対策ソリューションを幅広く見比べて検討したい方は、こちらもあわせてご覧ください。
まとめ
不正アクセスの原因は「人的要因」「技術的要因」「組織・外部要因」の3タイプに整理でき、なかでもID・パスワードなど認証情報の悪用が最も多い原因です。まずは自社の弱点がどのタイプに偏っているかを、ログの点検や脆弱性診断、セキュリティアセスメントで確かめることが、対策選びの出発点になります。
そのうえで、認証情報の悪用にはアカウント不正の検知、マルウェアや端末経由の侵入にはEDR、社内ネットワークの不審な動きにはNDRといった具合に、原因に対応する仕組みから導入を検討していくと、優先順位を付けやすくなります。
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よくある質問(FAQ)
Q. 不正アクセスの原因で最も多いのは何ですか?
A. 最も多いのは、他人のID・パスワードを盗んで正規利用者になりすます認証情報の悪用です。脆弱性を新たに見つけるより、使い回されたパスワードや漏えい済みのIDを試す方が攻撃者にとって低コストで成功しやすいためです。警察庁の統計でも、検挙された手口の9割以上が識別符号窃用型(他人の認証情報の盗用)でした。
その入手経路としては、パスワードの設定・管理の甘さにつけ込むものや、フィッシングサイトで入力させて盗むものが上位を占めます。高度なハッキング技術よりも、身近な認証情報の管理の甘さが突かれているのが実態です。
Q. 不正アクセスされたかどうかは、どうやって確認すればよいですか?
A. 不正アクセスされたかどうかは、サーバーや認証システムのアクセスログを点検することで、兆候をつかめます。深夜や休日など通常と違う時間帯のログイン、海外など見慣れないIPアドレスからのアクセス、短時間に何度も失敗している認証などは、なりすましや総当たりのサインになりえます。
日常的にログを見る運用がないまま放置されているケースは多く、まず点検の習慣をつくること自体が異変の早期発見につながります。自社だけで判断が難しい場合は、脆弱性診断や監視サービスなど外部の専門サービスに調査を依頼する方法もあります。
Q. 不正アクセスの被害に遭った(疑いがある)ときは、まず何をすればよいですか?
A. 不正アクセスの被害に遭った(疑いがある)ときは、まず被害端末をネットワークから切り離して被害の拡大を止め、パスワードを変更し、ログなどの証拠を保全することが初動の基本です。
そのうえで影響範囲を調査し、必要に応じて管轄の警察署や個人情報保護委員会への報告・相談を行います。個人情報の漏えいが起きた場合は、個人情報保護委員会への報告が法律上の義務となることがあるため、初動と並行して報告の要否を確認しておくことが重要です。
Q. 不正アクセスをすると法律で罰せられますか?
A. 不正アクセスは法律で明確に禁止されており、違反した者には「三年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金」が科されます。
不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)は、第3条で「何人も、不正アクセス行為をしてはならない」と定め、これに違反した場合の罰則を規定しています。あわせて、他人のID・パスワードを不正に取得・保管する行為や、フィッシングなどで認証情報の入力を不正に要求する行為も処罰の対象とされています。
出典・参考資料(1件)
- 出典:不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成11年法律第128号)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000128)
Q. 個人でもできる不正アクセス対策はありますか?
A. 個人でできる不正アクセス対策としては、パスワードの使い回しをやめて推測されにくいものに変え、二段階認証・多要素認証(MFA)を設定することが最も効果的です。
加えて、OSやアプリを最新の状態に保つ、不審なメールやSMSのリンクからID・パスワードを入力しない(フィッシング対策)、公共のWi-Fiで重要な操作をしないといった基本を徹底することで、最も多い原因である認証情報の悪用のリスクを下げられます。
Q. 中小企業が不正アクセス対策でまず取り組むべきことは何ですか?
A. 中小企業がまず取り組むべきは、最も多い原因である認証情報の悪用を塞ぐこと、すなわち多要素認証の導入とパスワード運用の見直しです。
そのうえで、OS・ソフト・VPN機器の修正プログラムを速やかに適用して脆弱性の放置をなくし、退職者アカウントの停止漏れやアクセス権限の付けすぎを棚卸しすると、大きな追加投資をかけずに効果の高い原因から順に手を打てます。その前提として、自社の弱点がどの原因に偏っているかを、ログ点検・脆弱性診断・セキュリティアセスメントで確かめることが出発点になります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















