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不正侵入・不正アクセスの事例まとめ|企業・家庭の実例と手口・対策をわかりやすく解説

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不正検知ソリューション比較表(2026年版)

「自社や自宅で不正侵入・不正アクセスなんて本当に起こるのか」と気になって検索した方に向けて、まずは現に起きている事件そのものをまとめました。ニュースの見出しでは「ランサムウェアで工場停止」「数百万件が流出」といった断片は目にしても、どんな手口で入られ、その結果どうなったのかまでは意外と伝わってきません。

この記事では、近年(企業・組織は2024〜2025年を中心に)実際に起きた不正侵入・不正アクセス事件と、家庭のルーターやネットワークカメラが乗っ取られた事例を一覧で示します。代表的な事件については「どこから入られたのか」を時系列で掘り下げます。そのうえで、手口の全体像・手口別の対策・万一被害に遭ったときの初動と相談先まで、一つの記事で確認できるようにしています。

事件の実態を知ると、「うちも同じ手口でやられうる」という実感につながります。そのうえで、自社・自宅で何を点検し、どう備えればよいかまで確認できます。

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不正侵入・不正アクセスとは(最短の前提)

事例を読む前に、言葉の意味を最短で押さえておきます。不正侵入・不正アクセスとは、大まかにいえば「本来アクセスする権限のない人が、他人のID・パスワードや、システムの弱点(脆弱性)を使って、ネットワーク越しにシステムへ入り込む行為」です。

こうした行為は不正アクセス行為の禁止等に関する法律(以下、不正アクセス禁止法)で「不正アクセス行為」と定義され、禁止されています。罰則や条文の詳細は記事末尾のよくある質問でも取り上げます。ここでは早速、実際に起きた事例から見ていきましょう。

出典・参考資料(1件)

【一覧】実際に起きた不正侵入・不正アクセスの事例

まずは、実際に起きた不正侵入・不正アクセスの事件を一覧で見ていきます。各社・各機関が公表した事例を、組織名・時期・手口・被害の形でまとめました。

企業・組織の情報漏えい・ランサムウェア事例

ここからは、企業・組織で起きた代表的な事件を紹介します。手口はランサムウェア(データを暗号化して身代金を要求する不正プログラム)、脆弱性の悪用、不正ログインなど多岐にわたります。

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組織・サービスKADOKAWAグループ損害保険ジャパンアサヒグループホールディングスアスクルタリーズ オンラインストアIIJ(IIJセキュアMXサービス)楽天モバイル(利用者アカウント)
時期(公表)2024年6月(8月に漏えい公表)2025年4月侵入・6月公表2025年9月2025年10月2024年10月公表(5月に発覚・停止)2025年4月2025年2月摘発
主な手口ランサムウェア攻撃(フィッシングが侵入の起点とみられる)外部からWebシステムへ不正アクセスランサムウェア攻撃(攻撃者グループが犯行声明)ランサムウェア攻撃(初期侵入から約4か月潜伏して起動)ECサイトのシステムへ不正アクセス・改ざんメール製品「Active! mail」のゼロデイ脆弱性(CVE-2025-42599)悪用他人のID・パスワードによる不正ログイン(パスワードリスト型)を自動化
被害・影響約25万4,000人分の個人情報が流出。ニコニコ動画など多数のサービスが長期停止顧客・代理店の情報 最大約1,748万件が漏えいの可能性受注・出荷やコールセンター業務が約2か月にわたり麻痺し、商品供給に支障通販の受注・出荷が全面停止。約74万件の情報が漏えいし、無印良品・ロフトなど他社の通販にも波及会員 約9万2,000人の情報と、決済客 約5万3,000人のカード情報が漏えいの可能性メールの認証情報などが漏えい。当初586契約で被害が判明し、その後拡大逮捕容疑分だけで約105回線(供述では1,000件以上)のeSIMを不正契約・転売。中高生らが不正アクセス禁止法違反等で逮捕

各社・各機関の公表資料および大手報道にもとづく(2026年9月時点)

出典・参考資料(7件)

家庭・IoT機器(ルーター/ネットワークカメラ)の乗っ取り事例

不正侵入は企業だけの問題ではありません。家庭のルーターやネットワークカメラといったIoT機器(インターネットにつながる機器)も、初期パスワードのまま使っていたり脆弱性が放置されていたりすると乗っ取りの標的になります。政府主導のIoTセキュリティプロジェクト「NOTICE」や総務省が、実際の乗っ取り事例を公表しています。

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事例家庭用・小規模拠点のルーター乗っ取り病院のVPN機器を経由したランサムウェア被害(半田病院ほか)家庭用ルーターを踏み台にした企業への攻撃河川監視ネットワークカメラへの不正アクセス
時期2021年8〜9月ごろ2021年10月・2022年10月2022年秋ごろ2023年1月
主な手口脆弱性や設定の弱さを突いて多数の機器を乗っ取り、ボット化VPN機器の脆弱性を突いて侵入しランサムウェアを実行乗っ取った家庭用ルーターを中継し発信元を偽って攻撃管理画面への不正アクセス
被害・影響乗っ取られた機器が世界各地で過去最大級のDDoS攻撃(大量通信でサービスを止める攻撃)の踏み台に悪用された電子カルテが使えなくなるなど診療業務が長期間停止した企業の情報窃取が試みられ、攻撃元の追跡が困難にされた国が管理する河川監視カメラ337台が被害を受け閲覧・運用に影響。保育所などのカメラで映像が流出した事例もある

これらの事例は、個人が自宅の機器を守るためだけでなく、事業者にとっても「拠点や店舗に置いた機器が攻撃の入口になりうる」という点で見過ごせません。自宅や拠点の機器では、初期パスワードの変更・ファームウェアの更新・不要な外部公開の停止といった基本的な設定の見直しが第一歩になります。

出典・参考資料(2件)

自宅や自社の拠点に置いたルーター・ネットワークカメラなどのIoT機器について、どのような弱点があり、まず何を確認すべきかを詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

代表的な事件はどこから侵入されたのか(侵入経路の深掘り)

ここからは、一覧で挙げた事件のうち、手口の型が異なる代表的な3件を取り上げ、「どこから入られ、どう広げられ、何が起きたか」を時系列で掘り下げます。実際の侵入がどんな順序で進むのかを知ると、対策のどこが効くのかが見えてきます。

数か月間ひそかに潜伏してから起動する — アスクルのランサムウェア被害

アスクルのケースでは、攻撃者が2025年6月ごろに最初の侵入を果たしたとされています。その後、約4か月にわたってネットワーク内にひそかに潜伏し、10月19日にランサムウェアを一斉に起動させました。物流の中枢である自動倉庫を管理する物流システムまで暗号化され、通販の受注・出荷が全面停止に追い込まれました。

侵入からランサムウェア起動まで時間が空く点が重要です。攻撃者はこの潜伏期間に、社内を横方向に移動(ラテラルムーブメント)して権限を広げ、重要システムを押さえてから一気に暗号化します。侵入そのものを100%防ぎきれなくても、この潜伏中の不審な内部通信を検知できれば、被害を最小限に抑えられる可能性があります。

アスクルのランサムウェア被害の時系列を示した図解。2025年6月ごろの初期侵入、約4か月の潜伏と横移動による権限拡大、10月19日のランサムウェア一斉起動、物流システム暗号化による受注・出荷の全面停止という順に進み、潜伏中の不審な内部通信を検知できれば被害を最小限に抑えられることを示す

製品の未知の弱点を突かれる — IIJのゼロデイ脆弱性悪用

IIJのケースでは、メール製品「Active! mail」に存在した脆弱性(CVE-2025-42599)が、修正プログラムの提供前に悪用されました。開発元も気づいていない弱点を突く攻撃を「ゼロデイ攻撃」と呼びます。後の調査では、2024年8月ごろから8か月以上にわたり侵害が続いていたことが判明しています。

ゼロデイの場合、利用者側でパッチを当てて防ぐことはできません。だからこそ、外部との境界に置いた機器やソフトの通信を監視し、「入られた後の不審な挙動」に気づく仕組みが被害の抑止につながります。

正規のID・パスワードで堂々と入られる — 楽天モバイルの不正ログイン

楽天モバイルの利用者アカウントを狙ったケースでは、闇市場などで入手した他人のID・パスワードを使い、正規の認証を通過して不正ログインが行われました。プログラムで自動化して大量のログインを試す手口で、逮捕容疑となった分だけでも約105回線(供述では1,000件以上)のeSIMが不正に契約・転売されています。

脆弱性を突くのではなく「正しいID・パスワード」で入られるため、システムのログ上は正規の利用と区別しにくいのが厄介な点です。パスワードの使い回しをやめ多要素認証を設けること、そしてログインの振る舞いから本人か不正かを見分ける仕組みが対抗策になります。

これら3つのケースからも、侵入の入口は「脆弱性」「認証情報の悪用」「潜伏後の内部移動」と多様で、単一の対策だけでは守りきれないことがわかります。まず全体の発生件数を押さえたうえで、手口の全体像を整理していきます。

出典・参考資料(3件)
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不正侵入・不正アクセスの主な発生状況(件数の推移)

個別の事件を見たうえで、全体の件数も押さえておきます。警察庁などが公表した統計によると、令和6年(2024年)における不正アクセス行為の認知件数は5,358件で、前年より約15.1%減少しました。

令和6年における不正アクセス行為の認知件数は5,358件であり、前年(令和5年)と比べ、954件(約15.1%)減少した。

不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況(令和7年3月13日公表)|警察庁ほか(https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/pdf/R070313_access.pdf

過去5年の推移を見ると、令和2年 2,806件、令和3年 1,516件、令和4年 2,200件、令和5年 6,312件、令和6年 5,358件と、年によって大きく振れています。件数は減少に転じていますが、これは警察が認知した件数であり、実際の被害総数を示すものではない点に注意が必要です。

不正アクセス後に何が行われたかを見ると、「インターネットバンキングでの不正送金等」が4,342件と最も多く、金銭を直接狙う攻撃が大きな割合を占めています。件数の増減だけを見るより、「どんな手口で、何を狙われているか」を知ることが対策の出発点になります。

出典・参考資料(1件)

不正侵入・不正アクセスの手口の分類

ここまでの事例で登場した「入り方」を、全体像として整理します。警察庁の統計では、不正アクセスは大きく「識別符号窃用型(他人のID・パスワードでのなりすまし)」と「セキュリティ・ホール攻撃型(脆弱性を突く侵入)」の2つに区分されます(不正アクセス禁止法自体は複数の行為類型で定義しています)。事例と結びつけやすいよう、本記事ではこれをさらに次の5つに整理しました。

  • 脆弱性の悪用:ソフトや機器の弱点を突いて侵入する手口。修正前の未知の弱点を突く「ゼロデイ攻撃」を含む(例:IIJのActive! mail)
  • 認証情報の窃取・使い回しの悪用:漏えいしたID・パスワードや使い回しを悪用して正規ログインを突破する(例:楽天モバイルの不正ログイン)。警察庁統計でも、なりすまし型の入手経路として「パスワードの設定・管理の甘さ」が最多
  • フィッシング:正規を装ったメールやサイトでID・パスワードをだまし取る手口(KADOKAWAの事件でも侵入の起点とみられている)
  • マルウェア・ランサムウェア:不正プログラムに感染させて侵入・拡大し、データを暗号化して身代金を要求する(例:アサヒグループ、アスクル)
  • 内部関係者・関係者による不正:ID・パスワードを知り得る立場の元従業員や知人による犯行。警察庁統計でも入手経路の上位を占める

この5分類は、事例と結びつけて理解しやすいよう本記事で整理したものです。IPA(情報処理推進機構)が毎年公表する「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、組織向けの脅威として1位にランサム攻撃、2位にサプライチェーンや委託先を狙った攻撃、4位にシステムの脆弱性を悪用した攻撃が挙がっており、上の手口はいずれも今まさに警戒されている脅威と重なります。

出典・参考資料(2件)

手口別の対策と、検知ソリューションでどう気づけるか

手口ごとに「まずやるべき基本対策」と、「入られた後に早く気づくための検知の仕組み」を整理します。侵入を100%防ぐのは難しいため、防ぐ対策と、気づく仕組みの両輪で考えるのが現実的です。

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手口脆弱性の悪用・ゼロデイ認証情報の窃取・使い回しフィッシングマルウェア・ランサムウェア内部関係者による不正
まずやるべき対策OS・ソフト・機器を最新に保つ/公開範囲を絞るパスワードの使い回しをやめる/多要素認証(MFA)を設定不審なメール・URLを開かない/従業員教育バックアップの取得/端末の防御ソフト導入アクセス権限の最小化/退職時のID失効
早期に気づける検知の仕組みネットワーク型検知(NDR)で境界機器の不審通信や侵入後の挙動を監視アカウント不正検知(行動分析)でログインの振る舞いから本人/不正を判別エンドポイント型検知(EDR)で端末側の不審な動きを検知EDR/NDRで感染後の拡大・暗号化の兆候を検知し封じ込めNDR・振る舞い検知で通常と異なる内部アクセスを検知

ここで出てきたNDR(Network Detection and Response=ネットワークの通信を監視して脅威を検知・対応する仕組み)、EDR(Endpoint Detection and Response=端末上の不審な挙動を検知・対応する仕組み)、アカウント不正検知(ログインや取引の振る舞いから不正を見分ける仕組み)は、検知する「場所」がそれぞれ異なります。

不正検知ソリューションが監視する3つの層を示した図解。ネットワーク型のNDRは通信を監視し外部からの侵入や内部の横移動を検知、エンドポイント型のEDRは端末上のマルウェアやランサムウェアの兆候を検知、アカウント型の不正検知はログインや取引の振る舞いから正規のID・パスワードによる不正ログインを見分ける

事例で見たような侵入は、どの層で気づけるかを意識して備えると効果的です。具体的なサービスは後の章で紹介します。

表にまとめた基本対策を、従業員側・管理者側それぞれの「やること」として体系的にチェックしたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

万一、不正侵入・不正アクセスの被害に遭ったら

備えていても被害に遭う可能性はゼロにはなりません。ここでは「まず被害に気づく」「気づいたら動く」の順で、確認方法と初動・相談先を整理します。

被害に気づく確認方法

「やられたかもしれない」と思ったら、まず次のような点を確認するのが基本です。身に覚えのないログイン履歴やアクセス履歴がないか、見慣れないファイルやプログラムが置かれていないか、メールの送受信履歴に不審な送信がないか、といったログの点検が有効です。

ただし、人手の点検だけでは見抜けないこともあります。後述する検知の仕組みは、こうした「気づきにくい不正」を早期に見つける役割を担います。

初動フローと相談先

被害の疑いがあるときの動き方の目安は次のとおりです。連絡先は変わることがあるため、各窓口の公式ページをあわせて確認してください。

  1. 利用中のサービス提供元へ連絡:アカウントの停止・パスワード変更など、被害拡大を止める初動を依頼する
  2. 警察へ相談・被害届:都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口へ。人命に関わる緊急時は110番
  3. カード会社・金融機関へ連絡:カード情報や口座情報が関わる場合は利用停止・再発行を依頼する
  4. 技術的な相談はIPAへ:情報セキュリティ安心相談窓口(電話 03-5978-7509)でウイルス・不正アクセスの技術的助言を受けられる
  5. サイト改ざん・攻撃元対応はJPCERT/CCへ:Webサイトの改ざんやフィッシング、攻撃元IPへの対応が必要な場合の調整・報告先

警察は「捜査」、IPAは「技術的な相談」、JPCERT/CCは「インシデントの調整・技術支援」と役割が異なります。何を相談したいかに応じて窓口を選ぶと、対応がスムーズです。

出典・参考資料(3件)

不正侵入・不正アクセスを早期に検知・防御するソリューション

事例が示すのは、「入られた後にいかに早く気づき、封じ込めるか」で被害の大きさが左右されるということです。ここでは、検知する層ごとに代表的な不正検知ソリューションを紹介します。まずは各サービスの検知レイヤーと対応する不正を一覧で整理します。

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サービス名Network BlackboxDarktraceVectra AICrowdStrike FalconSentinelOneSardine
検知レイヤーネットワーク型(NDR)ネットワーク型(NDR)中心
エンドポイント等へ拡張
ネットワーク型(NDR)エンドポイント型(EDR/XDR)エンドポイント型(EDR/XDR)アカウント型(行動分析・ATO対策)
主に対応する不正外部からの侵入・内部の不審通信・横移動(ラテラルムーブメント)の検知と事後調査未知・新種の脅威、内部不正、ランサムウェア(自己学習AIによる異常検知)侵入後の横移動・認証情報の悪用・ランサムウェア(AI行動分析)端末上のマルウェア・ランサムウェア・ファイルレス/ゼロデイ攻撃(実行前ML+振る舞い検知)端末上のマルウェア・ランサムウェア(被害後のファイル自動復旧に対応)アカウント乗っ取り(ATO)・不正ログイン・決済/取引の不正
提供形態アプライアンス(ミラーリング導入)アプライアンス/クラウド(ハイブリッド)オンプレ/マルチクラウド横断SaaS(軽量エージェント)SaaS(単一エージェント+クラウド管理)SaaS(Web・アプリへ組み込み)
国内サポート日本法人+国内総代理店(フーバーブレイン)日本法人あり/販売代理店経由代理店マクニカ(MDR・監視)日本法人あり/代理店経由日本法人あり/代理店経由正規代理店 DGビジネステクノロジー
詳細情報公式資料を見る詳細を見る詳細を見る詳細を見る詳細を見る公式資料を見る

各サービスの検知レイヤー・提供形態・国内サポートは2026年9月時点の各社公式情報にもとづく

侵入後の異常を検知する不正アクセス検知システムは、ネットワーク型・端末型・不正ログイン検知型などタイプごとに守備範囲が分かれます。ここで挙げた以外のサービスも含め、タイプ別の選び方から比較検討したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

ここからは、ネットワーク・エンドポイント・アカウントの各層を代表するサービスを個別に見ていきます。

1. Network Blackbox(株式会社クワッドマイナージャパン)

Network Blackbox 公式サイト

ネットワークを流れる全パケットを100%保存し、通信の異常から侵入や不審な内部通信を検知・追跡するNDR製品です。ミラーリング方式で導入するため既存ネットワークへの影響を抑えられ、検知後にはパケットをさかのぼって「いつ・どこから・どう広がったか」を詳細に調べるフォレンジック(事後調査)まで一貫して行えます。

アスクルのケースのような潜伏後の横移動を捉えたい場面で、ネットワーク層の可視化が力を発揮します。

2. Darktrace(Darktrace Limited)

Darktrace 公式サイト

組織ごとの「正常な挙動」を自己学習型AIが学び、そこからの逸脱で既知・未知の脅威を検知するのがDarktraceの特徴です。ネットワークを起点に、メール・クラウド・エンドポイントまで横断して相関分析し、検知した脅威をAIが自動で調査・封じ込める機能まで備えます。シグネチャ(既知の攻撃パターン)に頼らないため、新種のランサムウェアや内部での不審な移動も捉えやすい設計です。

3. Vectra AI(Vectra AI, Inc.)

Vectra AI 公式サイト

ネットワークの通信をAIで分析し、社内に侵入した攻撃者の振る舞い(横移動・認証情報の悪用など)を検知して優先順位をつけるNDR製品です。オンプレミスに加え、マルチクラウドやActive Directoryなどのアイデンティティ基盤まで対象範囲に含み、膨大なアラートを「いま対処すべき脅威」へ絞り込むことを狙います。国内ではマクニカによる代理店販売・サポートが提供されています。

4. CrowdStrike Falcon(CrowdStrike Holdings, Inc.)

CrowdStrike Falcon 公式サイト

クラウドネイティブな軽量エージェント1つで、端末を中心に検知・対応するEDR/XDR(XDRはEDRを拡張し、端末以外のログも束ねて検知する仕組み)プラットフォームです。

実行前の機械学習判定と、実行後の振る舞い検知を組み合わせ、既知シグネチャのない亜種マルウェアやファイルレス攻撃も検知対象とします。フィッシングをきっかけに端末が感染するようなケースで、端末側の不審な挙動をとらえて封じ込める場面に向いています。

5. SentinelOne(SentinelOne, Inc.)

SentinelOne 公式サイト

エージェント側のAIが脅威を自律的に検知し、不正なプロセスをリアルタイムで隔離・停止するEDR/XDRプラットフォームです。特にランサムウェア被害時に、OSの再構築なしでファイルを自動復旧(ロールバック)できる点が中核機能として挙げられます。攻撃の流れを自動で再構成する技術も備え、感染後の調査と復旧の負担を抑えられます。

6. Sardine(株式会社DGビジネステクノロジー)

Sardine 公式サイト

端末情報(デバイスインテリジェンス)と、サイト・アプリ内での操作の癖(行動バイオメトリクス)をAIで分析し、ログインや取引の場面で本人か不正かを見分けるプラットフォームです。楽天モバイルのケースのように、正規のID・パスワードで入られるアカウント乗っ取り(ATO)に対して、ログインの振る舞いから不正を検知するアプローチを取ります。

決済・取引時の不正検知もカバーし、国内ではDGビジネステクノロジーが導入・サポートを担います。

まとめ

2024〜2025年の事例が示すのは、不正侵入・不正アクセスが業種や企業規模を問わず、家庭のIoT機器にまで及んでいるという現実です。手口は脆弱性の悪用・認証情報の窃取・フィッシング・ランサムウェア・内部不正と多様で、侵入から被害顕在化まで数か月潜伏するケースもあります。

だからこそ、防ぐ対策(アップデート・多要素認証・教育)と、入られた後に早く気づく仕組み(NDR・EDR・アカウント不正検知)の両輪が重要です。自社の環境ではどの層の備えが手薄かを見極め、事例のような被害を自分ごととして点検することから始めてみてください。各サービスの詳しい比較や資料は、以下からまとめて確認できます。

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よくある質問(FAQ)

Q. 不正侵入・不正アクセスとは何ですか?

A. 不正侵入・不正アクセスとは、本来アクセスする権限のない人が、他人のID・パスワードやシステムの脆弱性を悪用して、ネットワーク越しにシステムへ入り込む行為です。

不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)第2条・第3条で「不正アクセス行為」として定義・禁止されており、他人の識別符号(ID・パスワード)を使ったなりすましログインと、脆弱性を突いてアクセス制限を回避する侵入の2類型が中心です。

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Q. 不正アクセスを行うと、どのような罰則が科されますか?

A. 不正アクセス行為をした者には、三年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金が科されます(不正アクセス禁止法第11条)。加えて、他人のID・パスワードを不正に取得・保管する行為や、フィッシングでID・パスワードの入力を求める行為などにも、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金が定められています(第12条)。

実際に、楽天モバイル回線の不正契約事案では、中高生らが不正アクセス禁止法違反等の疑いで逮捕されています。

出典・参考資料(1件)

Q. 自社が不正侵入・不正アクセスの被害に遭っていないか確認する方法はありますか?

A. 身に覚えのないログイン・アクセス履歴、見慣れないファイルやプログラム、不審なメール送信の有無など、各種ログを点検するのが基本の確認方法です。ただし、正規のID・パスワードで侵入された場合はログ上で正常な利用と区別しにくく、人手の点検だけでは見抜けないことがあります。

判断に迷うときや技術的な確認が必要なときは、IPA(情報処理推進機構)の情報セキュリティ安心相談窓口(03-5978-7509)で、ウイルス・不正アクセスに関する技術的な助言を受けられます。

出典・参考資料(1件)

Q. 不正侵入・不正アクセスの被害に気づいたら、まずどこに相談すればよいですか?

A. まず利用中のサービス提供元にアカウント停止などの初動を依頼し、続いて都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口へ相談する(人命に関わる緊急時は110番)のが基本の流れです。カード情報や口座情報が関わる場合はカード会社・金融機関へ連絡します。ウイルスなど技術的な相談はIPAへ、サイト改ざんや攻撃元IPへの対応が必要な場合はJPCERT/CCへと、目的に応じて窓口を使い分けます。

警察は「捜査」、IPAは「技術的な相談」、JPCERT/CCは「インシデントの調整・技術支援」と役割が異なるため、相談したい内容に合わせて選ぶとスムーズです。

出典・参考資料(3件)

Q. 不正侵入・不正アクセスは事前に検知して防げますか?

A. 侵入を100%防ぐのは難しいものの、不正検知の仕組みを導入すれば「入られた後の不審な挙動」を早期に検知し、被害を最小限に抑えられます。監視する層ごとに、ネットワーク型のNDR、端末側のEDR、ログインや取引の振る舞いを分析するアカウント不正検知などの製品があります。

とくにランサムウェアのように数か月潜伏してから起動するケースでは、潜伏中の不審な内部通信を検知できるかどうかが被害の分かれ目になります。

Q. 中小企業がまず取り組むべき不正アクセス対策は何ですか?

A. パスワードの使い回しをやめること、多要素認証(MFA)を設定すること、OS・ソフト・機器を最新の状態に保つことの3つが、費用をかけずに始められる最優先の対策です。警察庁の統計でも、なりすまし型の不正ログインの入手経路は「パスワードの設定・管理の甘さ」が最多で、次いで元従業員や知人による犯行が多くなっています。

あわせて、退職時のID失効・アクセス権限の最小化・従業員へのセキュリティ教育を徹底すると効果が高まります。

出典・参考資料(1件)

Q. 正規のID・パスワードで不正ログインされても検知できますか?

A. アカウント不正検知(行動分析)の仕組みを使えば、正しいID・パスワードによるログインでも、本人か不正かを振る舞いから見分けて検知できます。楽天モバイルのケースのように、漏えいしたID・パスワードで正規の認証を突破されると、ログ上は正常な利用と区別しにくくなります。端末情報や操作の癖(行動バイオメトリクス)を分析するサービスは、こうした「気づきにくい不正ログイン」の早期発見に役立ちます。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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