子会社の不祥事や海外M&A後の統制不全、上場子会社の利益相反といった問題が相次ぎ、親会社が単体で自社を律するだけでは足りない時代になりました。グループ全体で経営を適正に保つ仕組み、すなわちグループガバナンスへの関心が高まっています。
もっとも、「コーポレートガバナンスと何が違うのか」「何を拠り所に体制を作ればよいのか」が曖昧なまま議論が進んでしまう場面は少なくありません。グループガバナンスは会社法や経済産業省のガイドラインに裏づけられた考え方であり、拠り所を押さえれば体制づくりの見通しは立てやすくなります。
この記事では、グループガバナンスの定義とコーポレートガバナンスとの違いから、経済産業省の実務指針が示す領域、会社法・金融商品取引法における位置づけ、構築の進め方、そして子会社管理や委託先管理を支えるツールの活用までを整理します。
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目次
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グループガバナンスとは
グループガバナンスとは、親会社と子会社から成る企業集団の全体で、業務の適正と企業価値の向上を確保するための統治の仕組みを指します。特定の一社ではなく、グループ全体を一つの経営単位としてとらえ、リスク管理・コンプライアンス・意思決定の枠組みを設計する点に特徴があります。
会社法は、大会社である取締役会設置会社に対して、企業集団の業務の適正を確保するための体制(いわゆる内部統制システム)の整備を求めています。グループガバナンスは、この会社法上の要請を土台に、経済産業省のガイドラインが実務的な指針を補足する形で発展してきました。
取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
出典:会社法 第362条第4項第6号|e-Gov法令検索
「当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保する」という文言が、グループガバナンスの会社法上の直接の根拠です。適用対象は上場企業やその準備企業に限られず、複数の子会社・関連会社を持つ企業全般に広がりますが、実務上とりわけ重視されるのは、多数の子会社や海外拠点を抱えるホールディングス・グループ企業です。
コーポレートガバナンスとの違い
ここからは、混同されやすいコーポレートガバナンスとの違いを整理します。両者は目的を共有しつつ、対象範囲と拠り所が異なります。
コーポレートガバナンスは、主として単体の企業経営を念頭に置いた統治の枠組みです。これに対しグループガバナンスは、子会社を含むグループ全体に対象を広げ、親会社が子会社をどう管理・監督し、グループとして企業価値を高めるかを扱います。経済産業省の実務指針は、この関係を次のように位置づけています。
主として単体としての企業経営を念頭に作成されたコーポレートガバナンス・コード(以下「コード」という。)の趣旨を敷衍し、子会社を保有しグループ経営を行う企業においてグループ全体の企業価値向上を図るためのガバナンスの在り方をコードと整合性を保ちつつ示すことで、コードを補完するものである。
出典:グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針|経済産業省(2019年6月28日)
| 観点 | 対象範囲 | 主な関心 | 主な拠り所 |
|---|---|---|---|
| コーポレートガバナンス | 主として単体(自社)の経営 | 株主に対する経営の規律づけ、取締役会の実効性 | コーポレートガバナンス・コード(東証)、会社法 |
| グループガバナンス | 親会社+子会社から成る企業集団の全体 | 子会社の管理・監督、グループ全体のリスク管理と企業価値向上 | 会社法の企業集団内部統制、経済産業省の実務指針(コードを補完) |
両者は対立するものではなく、コーポレートガバナンスの考え方をグループ全体へ広げたものがグループガバナンスだと理解すると、関係を掴みやすくなります。
なぜ今グループガバナンスが重要なのか
グループガバナンスへの関心が高まる背景には、グループ経営に特有の構造的な難しさ、それが引き起こすリスクの顕在化、そして外部からの要請の高まりの3つがあります。
グループ経営が抱える構造的な課題
子会社や海外拠点が増えるほど、親会社から見て現場の実態が把握しにくくなります。管理の目が届かない領域が生まれ、規程やルールが子会社ごとにばらつくと、グループ全体としてのリスク管理レベルが下がります。この「見えにくさ」がグループガバナンスの出発点にある課題です。
子会社不祥事・海外M&A後の統制不全
見えにくさが放置されると、子会社での不正やM&Aで取得した海外子会社の統制不全といった形でリスクが表面化します。経済産業省は実務指針の背景として、攻めと守りの双方でグループガバナンスの重要性が高まっていると指摘しています。
海外におけるM&Aを含めた機動的な事業ポートフォリオマネジメントなどの「攻め」のガバナンスの重要性が高まっていることに加え、昨今の子会社不祥事問題を契機に、グループ経営における「守り」としての子会社管理の実効性確保が問題となるなど、日本企業のグループガバナンスの在り方が新たな課題となっている。
出典:グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針 1.1 背景・問題意識|経済産業省
ESG・コーポレートガバナンス・コードからの要請
外部からの要請も強まっています。ESGへの関心の高まりを背景に、グループ全体でのリスク管理や情報開示が投資家から求められるようになりました。東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コードも、支配株主を持つ上場会社における少数株主保護など、グループ経営に関わる論点を扱っています(改訂の沿革は後述します)。
資本効率の面でも、経済産業省の実務指針は、ROA(総資産利益率)が欧米企業と比べて低い水準にあると指摘しており、グループ全体での事業ポートフォリオの見直しが求められています。守りと攻めの両面から、グループガバナンスの実効性が問われているのが現在の状況です。
出典・参考資料(1件)
経済産業省「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」が示す5つの領域
ここからは、グループガバナンスの実務的な拠り所である経済産業省の実務指針(グループガイドライン)を見ていきます。2019年6月28日に策定されたこのガイドラインは、コーポレート・ガバナンス・システム研究会での議論をまとめたもので、グループ経営を行う企業に向けた具体的な指針を示しています。
実務指針の本体は、グループ設計・事業ポートフォリオ・内部統制・子会社経営陣の指名報酬・上場子会社ガバナンスという5つの領域(第2章から第6章)を扱っています。以下では、この5領域に沿って要点を整理します。5つの領域は実務指針の第2章から第6章に対応する整理で、指針自体が「何本柱」といった本数を定義しているわけではありません。
①グループ設計とグループ本社の役割
グループをどのような構造で設計し、グループ本社が子会社に対してどこまで管理・監督の役割を担うかを定める領域です。本社の業務執行部門と取締役会がそれぞれ子会社に対して果たすべき役割を明確にすることが求められます。
②事業ポートフォリオマネジメント
グループが抱える複数の事業を、資本効率や成長性の観点から評価し、組み替えていく仕組みづくりがテーマです。事業評価のための基盤を整備し、限られた経営資源をどこに配分するかを継続的に判断することが重視されます。
③内部統制システムと3線ディフェンス
グループ全体で内部統制システムをどう構築・運用するかを扱う領域で、実務上の中核となります。実務指針は、その実効的な手段として「3線ディフェンス」の導入を挙げています。
事業部門(第1線)、法務・財務等の専門性を備えつつ、事業部門の支援と監視を担当する管理部門(第2線)、第1線・第2線の有効性に対する監査を担当する内部監査部門(第3線)から構成される「3線ディフェンス」の考え方は、グローバルスタンダードとしても確立された、内部統制システムの構築・運用のための実効的な手段と考えられる
出典:グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針 4.6.1|経済産業省
この領域には、子会社不祥事が発生した際の親会社の有事対応、ITを活用した内部監査の効率化、サイバーセキュリティ対策なども含まれます。事業部門・管理部門・内部監査部門の3つの層で牽制を働かせる考え方は、グループの委託先管理や内部統制ツールの活用を考えるうえでの基本的な枠組みになります。

④子会社経営陣の指名・報酬
子会社の経営陣をどのように指名し、報酬をどう設計するかに、親会社がどこまで関与すべきかが問われます。グループとしての後継者計画や人材育成、報酬政策の一貫性を確保することが求められます。
⑤上場子会社に関するガバナンス
親会社と上場子会社の一般株主との間に生じる利益相反への対応を扱う領域です。独立社外取締役の役割や情報開示の在り方など、上場子会社に固有のガバナンス体制が論点となります。この点は後の章で詳しく取り上げます。
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会社法・金融商品取引法(J-SOX)におけるグループガバナンスの位置づけ
ここからは、グループガバナンスを支える法制度を整理します。関連する法令は会社法と金融商品取引法があり、それぞれ目的が異なる点を押さえておくと、体制づくりの見通しが立てやすくなります。
会社法の企業集団内部統制
会社法は、大会社である取締役会設置会社に対し、企業集団の業務の適正を確保するための体制を取締役会で決定することを義務づけています。
大会社である取締役会設置会社においては、取締役会は、前項第六号に掲げる事項を決定しなければならない。
出典:会社法 第362条第5項|e-Gov法令検索
この体制の具体的な中身は、会社法施行規則が定めています。施行規則第100条第1項第5号は、親会社と子会社から成る企業集団における業務の適正を確保する体制を定めています。具体的には、子会社の職務執行に関する親会社への報告体制、子会社の損失の危険(リスク)の管理に関する規程、子会社の職務執行の効率性を確保する体制、子会社の職務執行の法令・定款適合を確保する体制の4つです。
次に掲げる体制その他の当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
出典:会社法施行規則 第100条第1項第5号|e-Gov法令検索
コーポレートガバナンス・コードとの関係
東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コードは、上場会社に対して統治のあり方を原則として示すものです。2015年の策定後、2018年・2021年・2026年と改訂されており、支配株主を持つ上場会社における少数株主保護などの原則を含みます。前述のとおり、経済産業省の実務指針は、単体を念頭に作られたこのコードをグループ全体へ敷衍し、コードを補完する位置づけにあります。
出典・参考資料(2件)
金融商品取引法(J-SOX)の内部統制報告制度との切り分け
グループ内部統制と混同されやすいのが、金融商品取引法にもとづく内部統制報告制度(J-SOX)です。両者はいずれも企業集団を対象に含みますが、目的が異なります。
金融商品取引法第24条の4の4は、有価証券報告書の提出会社のうち一定のものに対し、企業集団および当該会社の財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制を評価した内部統制報告書の提出を義務づけています。
当該会社の属する企業集団及び当該会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するために必要なものとして内閣府令で定める体制について、内閣府令で定めるところにより評価した報告書(以下「内部統制報告書」という。)を有価証券報告書…と併せて内閣総理大臣に提出しなければならない。
出典:金融商品取引法 第24条の4の4|e-Gov法令検索
整理すると、会社法の企業集団内部統制は、業務全般の適正確保を目的に取締役会へ体制整備を求めるものです。一方、金融商品取引法のJ-SOXは、財務報告の適正性の確保を目的に内部統制報告書の提出を求めます。グループガバナンスは前者を土台としつつ、上場企業では後者への対応も並行して求められる点を押さえておくとよいでしょう。

上場子会社の利益相反リスクと少数株主保護
グループガバナンスのなかでも、実務者が対応に悩みやすいのが上場子会社をめぐる問題です。親会社が支配株主となる上場子会社では、親会社の利益と一般株主の利益が構造的にぶつかる場面が生じます。
上場子会社においては、支配株主である親会社と上場子会社の一般株主の間に構造的な利益相反リスクが存在する。
出典:グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針 6.1.3|経済産業省
実務指針は、こうした利益相反が顕在化しうる局面として、親会社との直接取引、一部事業部門の譲渡や関連事業間の調整、完全子会社化などを挙げています。これらの取引条件の設定によっては一般株主の利益が害されうるため、独立社外取締役の役割の明確化や情報開示の充実を通じて、一般株主の利益に配慮した体制を構築することが求められます。
日本取引所グループも、少数株主保護とグループ経営に関する情報開示の充実について取りまとめを公表しています。
グループガバナンス構築・強化の進め方
ここからは、グループガバナンスを実際に構築・強化していく進め方を、大きな流れに沿って整理します。一度に完成させるものではなく、現状把握から運用・改善までを繰り返しながら成熟させていく取り組みです。
現状把握と課題の可視化
最初に、グループ各社の管理体制・規程・リスクの所在を棚卸しし、どこに統制の空白があるかを可視化します。子会社ごとに規程やチェックの水準がばらついている場合、その差を把握することが出発点になります。
方針と本社・子会社の関与範囲の明確化
次に、グループ本社が何を一元的に管理し、子会社にどこまで裁量を委ねるかという方針を定めます。決裁権限規程やグループ共通のルールを整備し、本社と子会社それぞれの責任範囲を明確にすることで、管理の抜け漏れを防ぎます。
組織・機能の設計
方針にもとづき、内部統制やリスク管理を担う組織・機能を設計します。前述の3線ディフェンスの考え方を踏まえ、事業部門・管理部門・内部監査部門の役割と独立性を確保することが、実効性を高めるうえで重要になります。
運用・モニタリングと継続的な改善
設計した体制は、運用しながらモニタリングし、課題が見つかれば改善していきます。子会社からの報告や委託先の状況を定期的に確認し、統制が形骸化しないよう継続的に見直すことで、グループガバナンスは実効性を保ちます。この継続的なモニタリングを人手だけで回すのは負担が大きいため、後述するツールの活用が現実的な選択肢になります。
グループガバナンスの失敗事例と実務のヒント
グループガバナンスの重要性は、実際に統制が機能しなかった事例から具体的に理解できます。ここでは、公表された失敗事例と、コンサルティング会社が示す実務のヒントを取り上げます。
失敗事例:M&A後の海外子会社で発覚した不正
システム開発大手の株式会社ディー・ティー・エス(DTS)は、2024年に海外子会社での不適切な取引が判明し、特別調査委員会を設置しました。同社は2024年8月に調査報告書の受領と開示版の公表を適時開示しています。買収前から続いていた行為が買収後に発覚した事例であり、M&A後の海外子会社に対する情報伝達や統制が行き届かないと、グループ全体の信頼と業績に影響が及ぶことを示しています。
実務のヒント:統制を標準化する取り組み
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社は、実効性のあるグループガバナンスに向けた先進事例として、グループ共通の決裁権限規程の導入、マネジメントレポートによるモニタリング、最低限守るべき統制項目を定めた内部統制の標準化などを挙げています。いずれも、子会社ごとにばらつきがちな統制を、グループ共通の枠組みへそろえていく発想が共通しています。
グループガバナンスを支えるGRCツール・内部統制ツールの活用
ここまで見てきたグループ全体の内部統制やモニタリング、委託先の管理は、Excelや個別メールなどの手作業だけで運用し続けるには負担が大きく、属人化も避けられません。そこで、内部統制やリスク管理の業務を支えるGRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)ツール・内部統制ツールの活用が現実的な選択肢になります。
3線ディフェンスでいえば、管理部門(第2線)や内部監査部門(第3線)の業務を効率化し、統制の実効性を保つ役割を担います。
以下で紹介するツールは、グループガバナンスのすべてを担うものではなく、内部統制の運用やモニタリング、委託先管理といった実務の一部を支える手段です。より多くのGRCツールを比較したい場合は、関連するまとめ記事もあわせて参考にしてください。
| サービス名 | Oracle NetSuite GRC | VendorTrustLink |
|---|---|---|
| 位置づけ | グループ全体の内部統制基盤 (ERP一体型) | 委託先・取引先リスク管理(TPRM) 委託先起因リスクの可視化・一元管理 |
| 主な機能 | 職務分掌に基づくアクセス権限設定 多要素認証・常時有効な監査証跡 承認ワークフローの自動化 海外監査ファイル形式に対応 | チェックシートの作成・一括配信 未回答者への自動リマインド 回答の自動採点・経年比較 委託先管理・契約情報管理・ダッシュボード |
| 3線ディフェンスでの位置 | 第2線・第3線を支える統制基盤 (アクセス管理・監査証跡) | 第2線(管理部門)が担う 委託先管理を効率化 |
| 提供形態 | クラウドERP「NetSuite」の プラットフォームに付帯 (独立製品ではない) | クラウド(SaaS) |
| 想定企業 | 海外拠点を含むグループ・IPO準備企業 M&A後のシステム統合を進める中〜大企業 | 委託先・取引先のリスクを 継続的に確認したい企業 (中小〜大企業) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
1. Oracle NetSuite GRC(日本オラクル株式会社)

Oracle NetSuite GRCは、クラウドERP「Oracle NetSuite」のプラットフォームに組み込まれた、ガバナンス・リスク・コンプライアンス機能群です。GRCを単独製品として購入するのではなく、NetSuite ERPを契約すると標準で付帯する点が最大の特徴で、財務データ・ユーザーのアクセス権限・承認ワークフローが同一基盤上にそろいます。
職務分掌にもとづくアクセス権限設定や多要素認証、常時有効な監査証跡、承認プロセスの自動化などを備え、グループの財務報告に係る内部統制を一つの基盤で管理できます。海外の監査ファイル形式にも対応するため、海外子会社を連結するグループやIPO準備段階の内部統制整備にも活用しやすい設計です。
ERPと一体であることから、他社ツールのような外部連携の設定を必要としない点も、グループ全体で統制をそろえるうえで利点になります。
グループ全体の内部統制やモニタリングを人手で回す負担については、日本オラクルの担当者も独自インタビューで、統制のためのツールを業務システムと別に持つ場合との違いに触れています。
統制のためのツールを別で持っていると、業務システム側のデータをエクスポートして、突き合わせて、チェックして、という作業がどうしても発生します。ここがかなり労働集約的で、ミスも起きやすいんです。
NetSuiteの場合は、取引が発生したその瞬間のデータがそのまま統制の対象になります。ワークフローによる承認や、不正につながりかねない操作の検知も、業務の流れの中で自動的に回っていきます。あとから人手で照合する作業そのものを減らせるので、内部監査や経理の方の負担を大きく軽くできるという声をよくいただきます。
2. VendorTrustLink(株式会社アトミテック)

VendorTrustLinkは、委託先・取引先へのチェックシート審査業務をクラウド上で運用する、委託先リスク管理(TPRM)のサービスです。国際的なリスクマネジメントの指針であるISO 31000に沿った設計を掲げ、委託先起因のリスクを可視化・一元管理することをコア機能としています。
設問の作成から複数の委託先への一括配信、未回答者への自動リマインド、回答の自動採点や経年比較まで、チェックシート運用の一連の流れを自動化します。委託先は専用アカウントでプラットフォーム上から直接回答できるため、メールの往復や集計の手間を減らせます。
3線ディフェンスの第2線にあたる管理部門が担う委託先管理を効率化する手段として、グループの取引先リスクを継続的に確認したい企業に向いています。運営会社の株式会社アトミテックは、システム運用管理の分野で長年の実績を持つ開発会社です。
まとめ
グループガバナンスは、親会社と子会社から成る企業集団の全体で、業務の適正と企業価値の向上を確保するための統治の仕組みです。単体を念頭に置くコーポレートガバナンスを、グループ全体へ広げた考え方だと整理すると、両者の関係を掴みやすくなります。
その拠り所は、会社法の企業集団内部統制と、それを補完する経済産業省の実務指針にあります。実務指針が示すグループ設計・事業ポートフォリオ・内部統制・子会社経営陣の指名報酬・上場子会社ガバナンスの各領域や、3線ディフェンスの考え方を踏まえ、現状把握から運用・改善までを繰り返しながら体制を成熟させていくことが求められます。
グループ全体の内部統制やモニタリング、委託先管理を継続的に回すうえでは、GRCツール・内部統制ツールの活用も有効な選択肢です。自社のグループ経営に合った仕組みを検討する際は、各サービスの資料を取り寄せて比較することから始めるとよいでしょう。
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よくある質問(FAQ)
Q. グループガバナンスとは何ですか?
A. グループガバナンスとは、親会社と子会社から成る企業集団の全体で、業務の適正と企業価値の向上を確保するための統治の仕組みです。特定の一社ではなく、グループ全体を一つの経営単位としてとらえる点が特徴です。
会社法が大会社に求める「企業集団の業務の適正を確保するための体制」(企業集団内部統制)が、その直接の根拠になっています。適用対象は上場企業に限られず、複数の子会社・関連会社を持つ企業全般に広がります。
出典・参考資料(1件)
Q. グループガバナンスとコーポレートガバナンスは何が違うのですか?
A. 主な違いは対象範囲で、コーポレートガバナンスが主に単体(自社)の経営を対象とするのに対し、グループガバナンスは親会社と子会社から成る企業集団の全体を対象とします。経済産業省の実務指針は、単体を念頭に作られたコーポレートガバナンス・コードの趣旨をグループ全体へ敷衍し、コードを補完するものと位置づけています。
両者は対立するものではなく、コーポレートガバナンスの考え方をグループ全体へ広げたものがグループガバナンスだと整理すると、関係を掴みやすくなります。
出典・参考資料(1件)
Q. 会社法362条5項とは何ですか?
A. 会社法第362条第5項は、大会社である取締役会設置会社に対して、企業集団の業務の適正を確保するための体制(内部統制システム)を取締役会で決定するよう義務づけた規定です。体制の内容そのものは362条4項6号と施行規則が定め、5項はそれを大会社に義務づけます。両者があわせてグループガバナンスを会社法の面から支えます。
決定すべき体制の具体的な中身は、会社法施行規則第100条第1項第5号が定めています。子会社の職務執行に関する親会社への報告体制、子会社の損失の危険(リスク)の管理に関する規程、子会社の職務執行の効率性を確保する体制、子会社の職務執行の法令・定款適合を確保する体制の整備が求められます。
Q. グループガバナンスと金融商品取引法(J-SOX)の内部統制報告制度は何が違うのですか?
A. 会社法の企業集団内部統制が業務全般の適正確保を目的に取締役会へ体制整備を求めるのに対し、金融商品取引法(J-SOX)の内部統制報告制度は財務報告の適正性の確保を目的に内部統制報告書の提出を求める制度です。
金融商品取引法第24条の4の4は、有価証券報告書の提出会社のうち一定のものに、企業集団および当該会社の財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保する体制を評価した内部統制報告書の提出を義務づけています。
いずれも企業集団を対象に含みますが目的が異なり、グループガバナンスは前者(会社法)を土台としつつ、上場企業では後者(金商法)への対応も並行して求められます。
出典・参考資料(1件)
Q. 経済産業省の「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」は守らないと違法になりますか?
A. いいえ、この実務指針自体に法的拘束力はなく、従わないこと自体が直ちに違法となるものではありません。実務指針は、コーポレートガバナンス・コードを補完してグループ経営の望ましい在り方を示すガイドラインという位置づけです。
ただし、大会社である取締役会設置会社には会社法が企業集団の業務の適正を確保するための体制の整備を義務づけており、実務指針が扱う内部統制の骨格部分は会社法上の要請と重なります。ガイドラインへの適合は義務ではないものの、その土台にある会社法上の体制整備は法的な要請である点を押さえておくとよいでしょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















