掛け取引で売上は立っているのに入金は先で、今月の支払いに現金が足りない。そんなとき、手元にある請求書だけでファクタリング(売掛債権を期日前に現金化する資金調達手段)を申し込めれば、と考える方は少なくありません。決算書や登記簿をあらためて用意する余裕がない場面ではなおさらです。
結論からお伝えすると、ファクタリングを請求書だけで利用することは原則できません。ただし、請求書に通帳と本人確認書類を加えた2〜3点で申し込める、書類の少ない会社は実際に存在します。
本記事では、なぜ請求書のみでは利用できないのか、最低限そろえるべき書類は何か、そして請求書+2〜3点でオンライン完結・最短即日で申し込める会社はどこかを整理します。法人・個人事業主それぞれの使い分けや、安全に使うための注意点まで、資金調達の次の一歩を決める材料としてご活用ください。
目次
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結論:ファクタリングは請求書のみでは原則利用できない(ただし最低2〜3点で申し込める会社はある)
ファクタリングを請求書1枚だけで申し込むことは、原則としてできません。ほとんどのファクタリング会社が、請求書に加えて入金を確認できる通帳(入出金明細)と、申込者の本人確認書類の提出を求めます。「請求書のみで即日」とうたうサービスでも、実際に契約へ進む段階ではこの2点前後の追加提出が必要になるのが一般的です。
一方で、決算書や確定申告書といった重い書類を求めず、請求書+通帳+本人確認書類の2〜3点で申し込める会社は実際にあります。オンラインで完結し、最短即日で入金される会社も珍しくありません。つまり「請求書だけ」は難しくても、「手元の少ない書類ですぐ申し込める会社」を選ぶという方向であれば、資金調達は十分に現実的です。
なぜ請求書だけでは利用できないのか
ファクタリング会社が請求書以外の書類も求めるのは、買い取る売掛債権が本当に実在し、期日に支払われる見込みがあるかを確かめる必要があるからです。主な理由は次の4点にまとめられます。

- 請求書は利用者が単独で作成できる:請求書だけでは、金額や取引が水増し・架空でないことを確認できません。改ざんや実在しない売掛金の持ち込みを防ぐため、裏づけとなる別の書類が要ります。
- 売掛先の信用力・支払能力を確認できない:ファクタリングの審査で重視されるのは、申込者ではなく支払う側(売掛先)の信用です。過去の入金実績が分かる通帳などがないと、その債権が回収できるかを判断できません。
- 同じ債権が二重に売られていないかを確かめる必要がある:同一の売掛債権を複数社へ売却する二重譲渡を防ぐため、取引の実態を示す資料が求められます。
- ファクタリングには償還請求権がない:万一売掛先が支払えなくても、ファクタリング会社は利用者へ返済を求められません(ノンリコース)。回収リスクを会社側が負うぶん、債権の確実性を書類で見極める必要があります。
この「償還請求権がない(ノンリコース)」という点は、ファクタリングが融資ではなく債権の売買であることの表れでもあります。金融庁も、ファクタリングを「法的には債権の売買(債権譲渡)契約」と説明したうえで、回収リスクを利用者に戻すような実態のものは貸金業に該当するおそれがあると注意を促しています。書類による確認は、この真正な売買を成立させるための手続きだと理解しておきましょう。
出典・参考資料(1件)
実際に、売掛債権を買い取る際に請求書だけでなく実在性の裏づけを求める理由について、ファクタリングを提供する企業は次のように説明しています。

私たちは売掛債権を買い取りさせていただく際に請求書や契約書をいただくのですが、それらが「本当に売掛債権として成り立っているか」、「実在しているか」を、お客様に証明していただく、つまりエビデンスを出していただく必要があります。そのとき、お仕事の実態や稼働を目に見える形で確認できる業種は、ファクタリングに向いていると思います。
ファクタリングに最低限必要な書類は請求書+通帳+本人確認の2〜3点
ここからは、実際に申し込むとき最低限そろえておきたい書類を整理します。多くのファクタリング会社で共通して求められるのは、次の3点です。
- 請求書(売却する売掛債権を示す書類)
- 通帳のコピー・入出金明細(売掛先からの入金実績を確認する書類。直近2〜3か月分を求められることが多い)
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
それぞれ求められる理由は異なります。請求書は売却する売掛債権そのものを特定するため、通帳・入出金明細は売掛先からの入金が実際にあるか(=債権が回収できる見込み)を確かめるために必要です。「通帳は本当に要るのか」と気になる方は多いのですが、入金実績は審査の中心的な材料なので、通帳なしで申し込める会社はごく限られます。
本人確認書類は、申込者が実在する事業者か、なりすましや架空取引でないかを審査で確認するために求められます。
本人確認書類の提出は、犯罪収益移転防止法(マネーロンダリング対策の本人確認義務)に基づく法的義務ではありません。同法で本人確認義務を負う事業者は法律上限定列挙されており、売掛債権の買い取りのみを行うファクタリング会社はそこに含まれないためです。
銀行や貸金業者などが提供元を兼ねる場合や、3社間で債権譲渡登記に司法書士が関与する場合には同法の確認義務が及びますが、それ以外は「審査のための本人確認」と捉えるのが正確です。
出典・参考資料(1件)
会社によって追加で求められる書類
上記の3点が中核ですが、会社や申込内容によっては、次のような書類を追加で求められることがあります。必須ではなく「求められる可能性がある」層として押さえておきましょう。
- 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)・印鑑証明書(法人の場合)
- 決算書・確定申告書(申込額が大きい場合や初回取引で求められやすい)
- 取引基本契約書・発注書・納品書(売掛先との取引実態を示す書類)
- 納税証明書・開業届(税金の滞納確認や、個人事業主の事業実態の確認)
「書類が少ない会社」を選ぶうえで分かれ目になりやすいのが、決算書・確定申告書を既定の提出書類にしているかどうかです。これらを求めない会社であれば、請求書+通帳+本人確認書類の2〜3点で申し込めるケースが多くなります。

請求書のみに近い形で利用できる例外ケース
原則は請求書+通帳+本人確認書類の2〜3点ですが、信用がすでに蓄積されている場合には、提出書類が簡素化され、請求書のみに近い形で申し込めることもあります。自社が当てはまるかどうか、次の条件で確認してみてください。
| 当てはまる状況 | 簡素化されやすい理由 |
|---|---|
| 同じファクタリング会社を継続的に利用している | 過去の取引で本人確認や事業実態の確認が済んでおり、2回目以降は提出書類が減ることがある |
| 同じ売掛先の売掛債権を繰り返し買い取ってもらっている | その売掛先の支払い実績が蓄積され、入金の確実性を会社側が把握しているため、確認書類が省かれやすい |
| 少額・短期の債権で、オンライン完結型のサービスを使う | 審査を自動化・簡素化しているサービスでは、初回から請求書+本人確認書類の少数点数で申し込める場合がある |
いずれも「請求書だけで完結する」わけではなく、あくまで提出書類が減りやすい状況です。初回や新しい売掛先の債権では、原則どおり通帳・本人確認書類の提出を前提に準備しておくと、審査がスムーズに進みます。
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書類が少なくオンライン完結・最短即日のファクタリング会社
ここからは、決算書・確定申告書を既定の要件にせず、請求書+通帳+本人確認書類などの少ない書類で申し込める会社を紹介します。まずは必要書類の点数・対象(法人/個人事業主)・入金スピード・手数料・オンライン完結の可否を一覧で比較してみましょう。
| サービス名 | ビートレーディング | Mentor Capital | QuQuMo(ククモ) | ペイトナー | 日本中小企業金融サポート機構 | フリーナンス即日払い | ベストファクター |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 必要書類 | 2点 通帳(直近2か月)+売掛金書類(請求書等) | 2点 通帳(直近3か月)+売掛金書類(請求書等) | 2点 請求書+通帳 | 3点 請求書+入出金明細+本人確認書類(初回のみ) | 2点 入出金履歴(直近3か月)+売掛金書類 | 3点 入出金履歴+請求書送受信履歴+契約書等 | 3点 本人確認書類+入出金通帳+請求書 |
| 対象 | 法人中心 | 法人・個人事業主 | 法人・個人事業主 | 個人事業主・フリーランス | 法人・個人事業主 | 個人事業主・フリーランス | 法人・個人事業主 |
| 入金スピード | 最短即日 (審査最短2時間) | 最短即日 (審査最短60秒) | 最短2時間 | 最短即日 (審査最短10分) | 最短40分 (FACTOR⁺U) | 最短即日 | 最短即日 (〜3営業日) |
| 手数料 | 2社間4%〜 3社間2%〜 | 非公開 (無料見積で提示) | 1%〜 | 一律10% | 1.5%〜 | 3.0%〜10.0% | 2%〜 |
| オンライン完結 | ●(300万円未満) | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
各社の必要書類・手数料・入金スピードは各社公式サイトの記載にもとづきます(2026年9月時点)。最新の条件は各社の公式情報をご確認ください。
表の「必要書類」は、売掛債権に関する書類(請求書・契約書など)と入金を確認する書類(通帳・入出金明細)の点数を示しています。本人確認書類は多くの会社で契約段階に必要になりますが、公式の必要書類に数えない会社もあるため、表では点数に含めていません。
書類の少なさだけで見ると、請求書と通帳の2点で申し込める会社が最小級です。法人でまとまった金額を早く調達したいなら法人の売掛債権に強い会社、個人事業主・フリーランスが少額をすばやく資金化したいなら少額・オンライン完結で個人に対応する会社が候補になります。以下の比較表と各社の紹介で、必要書類や手数料を見比べてみてください。
ここで挙げたのは「書類の少なさ」を軸に絞った会社です。書類点数にこだわらず、手数料・入金スピード・買取可能額まで含めてファクタリング会社を幅広く比較・検討したい場合は、以下の記事で主要各社の選び方を詳しく解説しています。
法人と個人事業主・フリーランスで使える会社の違い
書類の少なさに加えて、自社の立場で使えるかどうかも重要な確認ポイントです。ファクタリングは法人向けに提供している会社が多い一方、個人事業主・フリーランスでも申し込める会社は増えています。
個人事業主・フリーランスの場合、少額・オンライン完結で個人に対応する会社が候補になります。ただし、これらの会社も入金実績を確認する入出金明細(履歴)は必要になるため、事業用口座の取引履歴は用意しておきましょう。通帳や入出金の履歴をどうしても出せない場合は、請求書と本人確認書類、取引の裏づけとなる書類(発注メールなど)を中心に審査する会社を探すことになります。
法人で比較的まとまった金額を早く調達したい場合は、法人の売掛債権に強い会社が向いています。まとまった金額でも決算書を必須にしない会社を選べば、書類の負担を抑えたまま申し込めます。
個人事業主・フリーランスの方は、対応する会社の手数料や入金スピード、信頼できる業者の見分け方まで踏み込んだ以下の記事もあわせて確認しておくと、自分の立場で使える会社を絞り込みやすくなります。
個人事業主・フリーランス向けファクタリングおすすめ13選を比較|手数料・入金スピード・信頼できる業者の選び方を解説
個人事業主やフリーランスとして請求書を発行したあと、入金期日まで運転資金が回らずに困る場面は、独立直後の事業者ほど起きやすい資金繰り課題です。取引先の支払サイトが60〜90日と長く、外注費や税金の納付期限が先に迫るケースは珍しくありません。…
オンライン完結で申し込む流れ
書類が少ない会社の多くは、申し込みから入金までをオンラインで完結できます。おおまかな流れは次のとおりです。
- 公式サイトのフォームから会員登録・見積もり依頼を行う
- 請求書・通帳(入出金明細)・本人確認書類などをアップロードする
- 審査結果・手数料の提示を受け、内容に納得できれば契約する
- 指定口座へ買取金額が入金される(最短即日〜数時間の会社もある)
手元の書類が2〜3点そろっていれば、その日のうちに見積もりから入金まで進められる会社もあります。まずは複数社に見積もりを依頼し、手数料と入金スピードを比べたうえで選びましょう。ここからは、書類が少なく申し込める代表的な会社を個別に紹介します。
1. ビートレーディング(株式会社ビートレーディング)

ビートレーディングは、9万社以上の取引実績を持つ独立系のファクタリング会社です。申し込みに必要な書類は「入出金の確認できる通帳(直近2か月分)」と「売掛金に関する書類(請求書・契約書など)」の2点が基本で、決算書は求められません。売掛先に通知しない2社間、承諾を得る3社間の両方に対応し、オンラインで見積もりから契約まで進められるため、手元の書類が少なくてもすばやく資金化しやすいのが特徴です。
2. Mentor Capital(メンターキャピタル株式会社)

最短即日の資金化を掲げるMentor Capitalは、通帳のコピー(直近3か月分)と売掛金に関する書類の2点で申し込める点が強みです。決算書を既定の要件にしておらず、個人事業主の利用にも対応しています。オンラインで手続きが完結するため、来店の時間が取りにくい事業者でも、必要な書類がそろっていれば当日中の資金化を狙えます。
3. QuQuMo(ククモ)

QuQuMoは、必要書類が「請求書」と「通帳」の2点のみというシンプルさが際立つオンライン完結型のサービスです。2社間ファクタリングに特化し、売掛先への通知や債権譲渡登記を不要としているため、取引先に知られずに資金化したい事業者に向いています。個人事業主も利用でき、最短2時間での入金に対応します。
4. ペイトナー(ペイトナー株式会社)

フリーランスや個人事業主、一人法人の少額債権に強いのがペイトナーです。初回は請求書・口座の入出金明細・顔写真付きの本人確認書類で申し込め、2回目以降はさらに手続きが簡素になります。最短10分の審査と365日対応をうたっており、少額の請求書を頻繁に資金化したい個人にとって、手続きの速さが魅力です。
5. 日本中小企業金融サポート機構(FACTOR⁺U/ファクトル)

一般社団法人が運営する日本中小企業金融サポート機構は、口座の入出金履歴と売掛金に関する書類の2点で申し込める点が特徴です。オンライン完結型の「FACTOR⁺U(ファクトル)」では最短40分での入金に対応し、個人事業主も利用できます。一般社団法人が運営する非営利の主体である点も特徴です。
6. フリーナンス即日払い(FREENANCE)

フリーナンス即日払い(FREENANCE)は、freeeグループのフリー株式会社が運営する、フリーランス向けに設計された資金調達サービスです。入出金履歴や請求書の送受信履歴、契約書・発注書といった取引の裏づけとなる書類で申し込め、決算書は求められません。1万円から利用でき、オンラインで完結して最短即日で入金されるため、少額をこまめに資金化したいフリーランスに向いています。
7. ベストファクター(株式会社アレシア)

ベストファクターは、本人確認書類・入出金の確認できる通帳・請求書などの3点程度で申し込め、決算書を既定の要件にしていません。法人・個人事業主のどちらにも対応し、オンラインで手続きを進められます。対面での相談にも対応しており、書類の少なさと相談のしやすさを両立したい事業者の選択肢になります。
書類が少ないファクタリング会社を選ぶときの注意点
書類が少なく手軽に申し込めることは大きな利点ですが、それだけで選ぶと思わぬ負担やトラブルにつながることもあります。ここからは、選ぶ前に押さえておきたい注意点を整理します。
手数料が高め・利用上限が低めになることがある
書類が少なく審査が速い会社は、少ない情報でリスクを判断するぶん、手数料が高めに設定される傾向があります。とくに2社間ファクタリングは、売掛先に通知しないぶん会社側のリスクが大きく、3社間より手数料が高くなりがちです。また、はじめての利用や少額の申込では、利用できる上限額が低めに抑えられることもあります。
売掛先の承諾を得るかどうか(3社間か2社間か)で手数料の水準が変わることは、提供会社の説明にも表れています。
大きくは契約形態で変わります。取引先からの承諾が貰える契約であれば1.2%から、承諾がもらえない契約ですと目安として5%からとなっています。
手数料は会社や債権の内容によって幅があるため、1社の提示額だけで決めず、複数社の見積もりを比べることが大切です。急ぎでない場合は、追加書類を出してでも手数料の低い条件を選べないか検討する余地もあります。
信頼できる会社の見分け方・相見積りの取り方
ファクタリング会社を選ぶときは、手数料の上限と下限、入金までのスピード、対応する取引形態(2社間・3社間)を、契約前に明確に提示してくれるかを確認しましょう。会社の所在地や運営会社の情報が公式サイトに明記されているか、問い合わせへの対応が丁寧かも、信頼性を測る材料になります。
相見積りは、同じ請求書・条件で複数社に依頼し、手数料と入金スピードを同じ土俵で比べるのがコツです。2〜3社に絞って見積もりを取れば、相場感がつかめ、極端に不利な条件を避けやすくなります。
請求書・通帳の偽造は詐欺罪/審査なしを謳う違法業者に注意
書類を少なく見せたいあまり、請求書や通帳を偽造したり、実在しない売掛金を持ち込んだりすることは絶対に避けてください。ファクタリング会社を欺いて資金を得る行為は、刑法上の詐欺罪に問われます。
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
出典:刑法 第246条第1項|e-Gov 法令検索
また、同じ売掛債権を複数社に売る二重譲渡も、相手をだまして代金を得れば詐欺罪、売却済みの債権を自分で回収して着服すれば横領罪(刑法第252条・5年以下の拘禁刑)に問われ得る重大な行為です。書類の点数を減らしたいという理由で、事実と異なる申告をしないよう注意してください。
あわせて、「審査なし」「請求書だけで100%買取」などとうたう業者には注意が必要です。実態が貸付けと変わらないのに貸金業の登録をしていない業者は、貸金業法違反(無登録営業)にあたり、法外な手数料を請求されるおそれがあります。
無登録営業は10年以下の拘禁刑または3,000万円以下の罰金の対象で、金融庁も繰り返し注意を促しています。契約前に、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」などで運営会社を確認しておくと安心です。
出典・参考資料(3件)
給与ファクタリング(給料ファクタリング)は貸金業に該当し利用しない
個人が勤務先に対して持つ給与(賃金債権)を買い取るとうたう「給与ファクタリング(給料ファクタリング)」は、本記事で紹介する事業者向けのファクタリングとは別物です。金融庁は、これを貸金業に該当する取引だと明確に位置づけています。
「給与ファクタリング」などと称して、業として、個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行うことは、貸金業に該当します。
出典:ファクタリングの利用に関する注意喚起|金融庁
最高裁判所も2023年(令和5年)2月20日の決定で、給与ファクタリングとして行われた金銭の交付を貸金業法・出資法にいう「貸付け」に当たると判断しました。無登録で行う給与ファクタリングは違法であり、法外な手数料の請求など深刻なトラブルにつながっています。給与を早く受け取りたい場合でも、こうした業者は利用しないでください。
出典・参考資料(1件)
請求書がまだ発行できない段階で資金化する方法
「受注は決まっているが、まだ請求書を発行する段階ではない」というケースもあります。この場合は、請求書を前提とする通常のファクタリングとは別の手段が候補になります。
一つは、発注書や注文書をもとに資金化する「注文書ファクタリング」です。納品前・請求前の受注段階で、将来入金される予定の代金を早期に現金化できます。もう一つは、継続的な取引から将来発生する売掛債権をまとめて対象にする「将来債権ファクタリング」です。民法でも、債権の譲渡は「現に発生していない債権の譲渡を含む」と定められており、将来債権の売買は法的に成り立ちます。
いずれも通常のファクタリングより審査で見られる範囲が広く、取引の継続性や発注元の信用がより重視される傾向があります。請求書がまだ手元にない段階でも、受注や継続取引の実態を示せれば資金化の道はあるため、こうした手段に対応する会社に相談してみるとよいでしょう。
このうち発注書・注文書をもとにした資金化については、対応する会社の手数料や審査の通りやすさを以下の記事で個別に比較しています。受注は決まっているが請求書がまだ出せない段階での選択肢を具体的に知りたい方は、あわせてご覧ください。
出典・参考資料(1件)
まとめ:請求書のみは難しくても、少ない書類で申し込める会社は選べる
ファクタリングを請求書1枚だけで利用することは原則できませんが、請求書+通帳+本人確認書類の2〜3点で、オンライン完結・最短即日で申し込める会社は実際にあります。決算書・確定申告書を既定の要件にしていない会社を選べば、手元の少ない書類でもすぐに資金調達へ動けます。
選ぶときは、必要書類の点数だけでなく、自社の立場(法人か個人事業主か)で使えるか、手数料と入金スピードのバランスはどうかを、複数社の見積もりで比べることが大切です。偽造や無登録業者には手を出さず、正確な情報で申し込むことが、結果的に最も早く・安全に資金化する近道になります。
まずは気になる会社の資料を集めて、必要書類と手数料を見比べることから始めてください。
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ファクタリングと請求書に関するよくある質問(FAQ)
Q. ファクタリングとは何ですか?
A. ファクタリングとは、企業や個人事業主が保有する売掛債権を、支払期日前に手数料を払ってファクタリング会社に売却し、早期に現金化する資金調達手段です。融資(借入)ではなく法的には債権の売買(債権譲渡)にあたるため、担保や保証人を必要とせず、原則として返済義務も負いません。売掛先への通知が不要な2社間と、売掛先の承諾を得る3社間の方式があります。
Q. ファクタリングは請求書のみで利用できますか?
A. ファクタリングを請求書のみで利用することは、原則としてできません。ほとんどの会社が、請求書に加えて入金を確認できる通帳(入出金明細)と、申込者の本人確認書類の提出を求めます。ただし、決算書や確定申告書を求めず、請求書+通帳+本人確認書類の2〜3点で申し込める書類の少ない会社は実際にあり、オンライン完結・最短即日で資金化できます。
Q. ファクタリングは通帳なしで利用できますか?
A. 通帳(入出金明細)なしで利用できるファクタリング会社は、ごく限られます。通帳は売掛先からの入金実績を確認し、売掛債権が実際に回収できる見込みかを判断する中心的な審査材料だからです。
ただし、フリーランス・個人事業主向けに、請求書と本人確認書類、取引の裏づけとなる書類(発注メールやチャットなど)を中心に審査し、入出金明細を必須としない会社もあります。通帳なしでの利用可否は各社で異なるため、申し込み前に必要書類を確認しましょう。
Q. 請求書がなくてもファクタリングは利用できますか?
A. 請求書がなくても、発注書・納品書・基本契約書など売掛債権の存在を示せる書類があれば、利用できる場合があります。さらに、まだ請求書を発行できない受注段階では注文書ファクタリング、継続取引から将来発生する債権を対象にする将来債権ファクタリングという選択肢もあります。請求書が手元になくても、取引の実態を示せれば資金化の道はあります。
Q. ファクタリングは請求書のみで即日利用できますか?
A. 請求書のみで即日利用できるケースは限られます。初回の申し込みでは、請求書に加えて通帳(入出金明細)や本人確認書類の提出を求められるのが一般的だからです。ただし、これら2〜3点の書類がそろっていれば、オンライン完結型の会社では最短数十分〜即日で入金される場合があります。即日を狙うなら、必要書類を事前にデータでそろえておくことが近道です。
Q. 電子請求書やPDFの請求書でもファクタリングは利用できますか?
A. 電子請求書やPDFの請求書でも、記載内容が確認できれば利用できる場合が多いです。審査で重要なのは書類の形式ではなく、売掛先名・請求金額・支払期日・取引内容といった必要事項が明確に記載されているかどうかです。オンライン完結型の会社では、むしろデータ形式での提出を前提にしているところが多くあります。
Q. 手書きやエクセルで作成した請求書でもファクタリングに使えますか?
A. 手書きやエクセルで作成した請求書でも、必要事項が明確であれば審査に使えるケースが多いです。決まった様式は求められず、売掛先名・請求金額・支払期日・取引内容が正確に記載されていることが判断基準になります。ただし、記載に不備があると債権の実在確認に時間がかかるため、内容を整えて提出することが大切です。
Q. 2社間ファクタリングと3社間ファクタリングで必要書類は違いますか?
A. 3社間ファクタリングは、2社間に比べて必要書類が増える傾向があります。3社間では売掛先が取引に加わるため、売掛先からの債権譲渡の承諾書・同意書が別途必要になるためです。一方、売掛先が関与しない2社間は請求書・通帳・本人確認書類が中心で、売掛先に知られずに資金化できます。
Q. 売掛先が個人事業主でもファクタリングは利用できますか?
A. 売掛先が個人事業主の場合は、審査が厳しくなり利用が難しくなる傾向があります。ファクタリングの審査では支払う側である売掛先の信用力が重視されますが、個人事業主は登記がなく、法人に比べて信用力を確認しにくいためです。ただし、継続的な取引実績を示せる場合などは利用できることもあります。
Q. 同じ請求書を複数のファクタリング会社に出すのは違法ですか?
A. 同じ売掛債権を複数の会社に売却する二重譲渡は、重大な違法行為にあたります。相手をだまして代金を得れば詐欺罪、売却済みの債権を自分で回収して着服すれば横領罪に問われ得ます。相場を知るために複数社へ「見積もりを依頼」するのは問題ありませんが、同一の債権を重ねて「売却」することは絶対に避けてください。
出典・参考資料(1件)
Q. ファクタリングで請求書を偽造したらどうなりますか?
A. 請求書を偽造してファクタリング会社から資金を得る行為は、刑法上の詐欺罪にあたり、10年以下の拘禁刑に処されます。金額の水増しや、実在しない売掛金の持ち込みも同様です。軽い気持ちの水増しでも刑事責任を問われるため、記載どおりの正確な請求書で申し込みましょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















