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資金ショートとは?赤字・債務超過・倒産との違いと、今すぐ打てる対策・防ぎ方まで解説

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取引先からの入金が遅れたり、想定外の支払いが重なったりして、月末の支払いに手元の資金が足りるか不安になる場面は、どんな会社にも起こり得ます。そうしたときに調べられることの多い言葉が「資金ショート」です。名前は聞いたことがあっても、赤字や倒産とどう違うのか、自社がどれくらい危ない状態なのかは、正確にはつかみにくいものです。

資金ショートは、放置すると支払い不能から取引先や金融機関の信用を失い、最終的に倒産につながりかねない状態です。一方で、意味と原因を正しく理解しておけば、いま何をすべきか、二度と起こさないために何を備えるべきかを落ち着いて判断できます。

本記事では、資金ショートの意味と赤字・債務超過・倒産との違いをはっきりさせ、自社が危険な状態かを見極めたうえで、今すぐ打てる対策から二度と起こさない備えまでを、専門用語をかみ砕いて解説します。緊急の資金調達に使える手段やサービスも整理しました。

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資金ショートとは?手元の現金が尽きて支払いができなくなる状態

資金ショートとは、手元の現金や預金が足りなくなり、期日が来た支払いをできなくなる状態のことです。ここでいう支払いには、仕入代金や外注費、従業員への給与、借入金の返済、家賃や光熱費といった経費などが含まれます。会社の帳簿の上で利益が出ているかどうかとは別に、その時点で払うべきお金を用意できなくなることを指します。

会社は、売上や利益がいくら大きくても、支払いのタイミングで現金が足りなければ事業を続けられません。給与や仕入代金の支払いが滞れば、従業員や取引先との関係にすぐ影響が出ます。資金ショートは、こうした「支払いに使える現金が尽きる」という、経営のなかでも緊急度の高い状態です。

資金ショートと赤字・債務超過・倒産の違い(黒字倒産の理屈)

資金ショートは、赤字・債務超過・倒産といった言葉と混同されがちですが、見ている場所も緊急度も異なります。まずは4つの違いを整理します。

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用語資金ショート赤字債務超過倒産
どういう状態か手元の現金・預金が尽き、期日の支払いができなくなる状態一定期間の損益で、費用が収益を上回った状態負債の総額が資産の総額を上回った状態資金ショートなどを解消できず、事業の継続が不可能になった結果
主に見るところ現金・預金(キャッシュ)損益計算書(PL)貸借対照表(BS)
緊急度高い(支払い不能に直結する)中(手元に現金があればすぐ倒産はしない)中(資金が回っていれば事業は続けられる)—(資金ショートが主な引き金の一つ)

※上記は各用語の一般的な整理です。

ポイントは、赤字や債務超過はすぐに倒産へ直結するわけではない一方、資金ショートは支払い不能に直結する点です。赤字でも手元に現金があれば支払いは続けられますし、逆に帳簿の上では黒字でも、現金が足りなければ支払いができなくなります。この「利益は出ているのに現金が続かず行き詰まる」状態が、一般に黒字倒産と呼ばれるものです。

黒字倒産が起きるのは、売上を計上する時点と、実際に現金が入ってくる時点にずれがあるためです。たとえば商品を100万円で販売しても、入金が3か月後であれば、帳簿には売上100万円が計上されても手元に現金は入っていません。

その間に材料の仕入代金や給与の支払いが先に来れば、利益とは関係なく現金が不足します。この利益とキャッシュのずれこそが、黒字でも資金ショートが起こる理由です。どんな要因でずれが生じるのかは、次の章で具体的に見ていきます。

出典・参考資料(1件)

資金ショートが起きる原因

ここからは、資金ショートが起きる原因を見ていきます。原因は大きく、売上や支出の変化による「主な原因」と、黒字でも起こり得る「内部の要因」に分けて捉えると、自社に当てはまるものを確認しやすくなります。

資金ショートの主な原因

資金ショートの入り口になりやすいのは、収入が減る、支出が増える、入金が遅れる、といった資金繰りの崩れです。代表的なものは次のとおりです。

  • 売上の急な減少:主要取引先の喪失や景気の変化で売上が落ち込むと、入ってくる現金が減り、支払いに回す資金が不足します
  • コスト・支出の増加:仕入価格の高騰や人件費・固定費の増加で、想定以上に現金が出ていきます
  • 売掛金の回収遅延・貸し倒れ:取引先の入金遅れや倒産で、予定していた現金が入らず、その分が資金繰りの穴になります
  • 予期せぬ多額の出費:設備の故障や災害、訴訟対応などで、計画にない大きな支払いが発生します
  • 資金繰りの管理不足:入出金の予定を把握していないと、現金が足りなくなる兆しに気づけず、対応が後手に回ります

これらは突然起こることも少なくありません。ファクタリング会社のピーエムジー株式会社が2021年1月に経営者1,055人を対象に行った調査(2021年2月発表)があります。それによると、資金ショートを起こした経験がある人は52.9%にのぼり、その要因を「突発的なもの」と答えた人が79.2%を占めました。日頃から資金の状況を把握しておくことが、こうした突発的な事態への備えになります。

出典・参考資料(1件)

黒字でも起こる原因(黒字倒産の内部要因)

先ほど触れたとおり、資金ショートは黒字でも起こります。利益が出ているのに現金が足りなくなるのは、次のような内部の要因で、現金の出入りのタイミングがずれるためです。

  • 入金と出金のタイムラグ:売上の入金より、仕入や経費の支払いが先に来ると、その差額分の現金が手元から出ていきます
  • 売掛金の回収サイトの長期化:取引先から代金を受け取るまでの期間が長いほど、立て替える運転資金が膨らみます
  • 過大な設備投資:将来の成長を見込んだ投資でも、回収に時間がかかる支出を手元資金でまかなうと現金が細ります
  • 在庫の抱えすぎ:仕入れた在庫が売れるまで、その分の現金が在庫の形で寝てしまい、支払いに使えません

売上を伸ばしている成長期の会社ほど、仕入や設備投資が先行して現金の出が大きくなり、黒字でも資金ショートに陥りやすい面があります。利益の額と手元の現金は別物だと意識しておくことが大切です。

資金ショートが近づいているサイン(自己チェック)

自社が危険な水域に入っていないかは、次のような兆候で確かめられます。複数当てはまるなら、資金ショートの黄信号と考えて早めに手を打つのが安全です。法人か個人事業主かを問わず共通する目安です。

  • 手元の現金や預金が、固定費の1〜2か月分程度しか残っていない
  • 数か月連続で預金残高が減り続けている
  • 税金・社会保険料や仕入代金の支払いを、遅らせ始めている
  • 短期の借入で毎月の支払いを回している(借りて返す状態が常態化している)
  • 資金繰りの見通しが、数週間先までしか立っていない

当てはまる項目が多いほど、対応は急ぎます。次の章から、放置した場合に何が起きるか、そしてすぐ打てる対策を順に見ていきます。

資金ショートを放置するとどうなるか

資金ショートを解消できないまま放置すると、支払いの遅れから信用の低下、そして事業の停止へと連鎖していきます。どのように悪化していくのかを見ておきましょう。

資金ショートを放置すると、支払いの遅れ、取引先・従業員・金融機関の信用喪失、立て直しの手立てがふさがる、という段階を経て倒産に至る連鎖を示した図解

まず、仕入代金や外注費の支払いが遅れると、取引先からの信用を失い、以後の取引を現金前払いに切り替えられたり、取引そのものを断られたりします。給与の遅配が起きれば従業員の離職につながり、事業の運営が難しくなります。金融機関からも返済能力を疑われ、新たな融資を受けにくくなります。こうして資金を立て直す手立てが次々にふさがれ、事業の継続そのものが困難になっていきます。

特に手形や小切手を使っている場合は注意が必要です。全国銀行協会は、支払いができずに不渡りを繰り返した場合の取り扱いを次のように定めています。

6か月間に2回、手形・小切手の不払い(不渡り)を起こした者について、その後2年間、参加銀行との当座預金取引や貸出取引を禁止する「取引停止処分制度」を運営しています。

出典:手形交換制度|一般社団法人 全国銀行協会

取引停止処分を受けると、銀行からの借入や当座預金による決済ができなくなり、事実上、事業の継続が難しくなります。ここまで来ると立て直しは極めて困難で、これがいわゆる倒産です。資金ショートは支払いが一時的にできない状態であるのに対し、倒産はそれを解消できずに事業が続けられなくなった結果を指します。資金ショートは倒産の主な引き金の一つですが、早く手を打てば倒産を避けられる可能性は十分にあります。

個人事業主やフリーランスの場合も、支払いの遅れで取引先や金融機関からの信用を失えば、取引の縮小や新たな借入の難しさに直結し、事業の落ち込みが生活費にまで及びます。会社の規模や法人・個人の別を問わず、資金ショートは早く動くほど立て直しやすくなります。

資金ショートは、業績が悪い会社だけの問題ではありません。東京商工リサーチが2022年に倒産した企業の財務データを分析した調査では、倒産直前の決算が判明した企業のうち62.9%が最終赤字でした。裏を返せば、残りの4割近くは最終赤字ではない状態で倒産しており、利益が出ていても資金繰りが行き詰まれば倒産に至ることを示しています。

実際に、過去最高益の直後に資金繰りが行き詰まった例もあります。2008年に経営破綻した不動産会社のアーバンコーポレイションは、直前の2008年3月期に連結の経常利益616億円超と過去最高益を計上していました。

しかし不動産開発向けの借入金が膨らみ、市場や金融機関からの資金調達が難しくなって資金繰りが急速に悪化し、同年8月に民事再生法の適用を申請しました。大企業の例ですが、利益が出ていても現金が続かなければ事業は行き詰まるという理屈は、会社の規模を問わず同じです。

出典・参考資料(2件)

資金ショートしそう・した時に今すぐ打てる対策

資金ショートが迫っているときは、まず自社で今日から動ける応急処置で現金の流出を止め、それでも足りなければ外部から資金を調達する、という順で手を打ちます。慌てて高コストの資金調達に飛びつく前に、次の順番で確認するのが基本です。

資金ショートが迫ったときの対策を、現状把握、出ていくお金を止める(支払い・税金・社会保険料の猶予交渉)、遊休資産の現金化、外部からの資金調達、という4ステップの順番で示した図解

資金状況・入出金予定をすぐ確認する

最初に行うべきは、いま何にいくら足りないのかを正確につかむことです。手元の預金残高と、これから数週間から数か月のあいだに予定されている入金・出金を書き出し、どの時点でいくら不足するかを特定します。不足のタイミングと金額が分かって初めて、どの手段でいくら手当てすればよいかを判断できます。ここが曖昧なまま資金調達に動くと、必要以上に借りて金利を余計に負担したり、逆に足りずに再び行き詰まったりします。

支払い・税金・社会保険料の猶予を交渉する

現金を新たに用意するだけでなく、出ていく現金を一時的に止める・遅らせることも有効な対策です。取引先には支払いの繰り延べを相談し、金融機関には返済条件の見直し(リスケジュール)を打診します。

税金や社会保険料も、一定の要件を満たせば納付を猶予してもらえる制度があります。国税には、一時に納付すると事業の継続が困難になるおそれがある場合に、申請により原則1年以内の分割納付を認める「換価の猶予」があり、納期限から6か月以内に申請できます。災害・病気・休廃業・著しい損失といった事情があるときは「納税の猶予」の対象にもなります。国税庁は、これらの猶予について次のように示しています。

黒字であっても、要件を満たせば猶予が受けられます。

出典:国税の納税の猶予制度FAQ(令和6年11月)|国税庁

厚生年金保険料などの社会保険料についても、同様に「換価の猶予」「納付の猶予」が用意されており、猶予期間中は延滞金の一部または全部が免除されます。窓口は税金が税務署、社会保険料が年金事務所(日本年金機構)です。支払いを止めれば済む話ではありませんが、猶予制度を使って一時的に現金の流出を抑えれば、立て直しのための時間を確保できます。

出典・参考資料(2件)

資産を売却して現金化する

使っていない資産があれば、売却して現金に換えるのも即効性のある手段です。稼働していない設備や社用車、余剰在庫、値上がりした有価証券などが対象になります。借入と違って返済や利息の負担が増えないのが利点ですが、急いで売ると本来の価値より安くなりやすい点には注意が必要です。日頃から遊休資産を把握しておくと、いざというときに動きやすくなります。

外部から緊急の資金を調達する

自社でできる手を打っても足りない場合は、外部から資金を調達します。手段によって、現金化までの速さ・コスト・向いている場面が異なるため、状況に合わせて選ぶことが大切です。

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手段銀行・公的機関の融資ノンバンク融資・カードローンファクタリング(売掛金の売却)手形割引(受取手形の早期現金化)
資金化・効果までの速さ数週間〜(審査に時間がかかる)最短即日〜数日最短即日数日
コスト・負担金利は低めに抑えやすい金利は銀行より高めになりやすい手数料が発生する割引料が発生する
向いている場面時間に余裕があり、低コストで借りたいとき銀行融資が間に合わない・借りにくいとき売掛金があり、借入を増やしたくないとき受取手形を持っているとき

※速さ・コストは一般的な傾向で、実際の条件は各手段・各社により異なります。

時間に余裕があるなら、金利の低い銀行融資や、政府系金融機関である日本政策金融公庫の融資が有力な選択肢です。ただし、これらは審査に数週間かかることも多く、支払期日が目前に迫った緊急時には間に合わないことがあります。

その場合は、最短即日での対応もあるノンバンク(貸金業者)の融資・カードローンや、売掛金を売却して早期に現金化するファクタリングなど、スピードを重視した手段が現実的です。いずれも銀行融資より金利や手数料の負担は大きくなりやすいため、必要な金額と期間を見極めたうえで利用します。

売掛金を売って早期に現金化するファクタリングは、借入を増やさずに資金を手当てしたいときの選択肢です。最短即日で入金するサービスの入金スピード・手数料・必要書類の比較は、以下の記事で詳しく解説しています。

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緊急時の資金調達に使えるサービス

ここでは、銀行融資が間に合わない・借りにくいときに、手元の現金を確保する手段として使える事業者向けのノンバンク融資・カードローンを紹介します。いずれも無担保で申し込め、最短即日〜短時間での対応をうたうサービスです。対象(法人か個人事業主か)や融資の形(一括か繰り返し借りられるカードローン型か)で選び分けられます。

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サービス名AGビジネスサポート 事業者向けビジネスローンファンドワン 事業者向けビジネスローンプロミス 自営者カードローン
融資タイプ証書貸付型(一括)証書貸付型(一括)カードローン型
対象法人・個人事業主法人・個人事業主個人事業主専用
融資限度額50万円〜1,000万円30万円〜500万円
(担保付きで最大1億円規模)
1万円〜300万円
実質年率3.1%〜18.0%10.0%〜18.0%〜17.8%
(下限は公式サイトで要確認)
融資スピード最短即日最短即日
(最短40分審査)
最短1時間
担保不要不要不要
詳細情報サービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

※上記は各社公式情報などに基づく2026年9月時点の目安です。適用金利・限度額・審査結果などの条件は変動するため、最新の内容は各サービスの公式情報でご確認ください。

1. AGビジネスサポート 事業者向けビジネスローン(AGビジネスサポート株式会社)

AGビジネスサポート 事業者向けビジネスローンのウェブサイト

法人・個人事業主向けの無担保ビジネスローンで、アイフルグループのAGビジネスサポート株式会社が提供しています(給与所得者は対象外)。融資限度額は50万円〜1,000万円、実質年率は3.1%〜18.0%で、担保は不要です(法人は代表者に原則連帯保証を求められます)。最短即日融資に対応しており、急ぎで事業資金を確保したい場面で選択肢になります。

返済方法は、毎月一定額を返す元利均等返済(最長5年)と、元金を最後にまとめて返す元金一括返済(最長1年)から選べます。アイフルグループとして事業者向けの融資・ファクタリング・不動産担保ローンを一体で扱っており、資金調達の相談先の一つとして検討できます。

2. ファンドワン 事業者向けビジネスローン(ファンドワン株式会社)

ファンドワン 事業者向けビジネスローンのウェブサイト

ファンドワン株式会社は、東京・豊島区の貸金業者です。主力の事業者ローンは30万円〜500万円までを無担保・無保証で利用でき、実質年率は10.0%〜18.0%です。最短40分のスピード審査と最短即日振込に対応しており、急な資金需要に向いています。

赤字決算や税金の滞納などで銀行の審査に通らなかった事業者も対象とすることを公式に掲げている点が特徴です。事業者ローンのほか、売掛債権・不動産・車・診療報酬などを担保にした商品もそろえ、担保を付ければ最大1億円規模の調達にも対応します。銀行融資が難しい状況で現金を確保したい場合に検討しやすいサービスです。

3. プロミス 自営者カードローン(SMBCコンシューマーファイナンス株式会社)

プロミス 自営者カードローンのウェブサイト

プロミス 自営者カードローンは、三井住友フィナンシャルグループのSMBCコンシューマーファイナンス株式会社が提供する、個人事業主専用のカードローン型ビジネスローンです。利用限度額は1万円〜300万円で、担保・保証人は不要です。最短1時間での融資をうたい、Web完結で申し込めます。法人は対象外で、利用には事業開始後に一度は確定申告を終えていることが必要です。

資金使途は、運転資金やつなぎ資金といった事業性資金のほか、生計費にも使える自由度の高さが特徴です。個人事業主向けの事業性の借入は、法律上の総量規制(年収の3分の1を超える貸付けの制限)の例外として扱われ、年収の3分の1を超える借入もできる場合があります。個人で事業を営み、急ぎで生活費まで含めて資金を手当てしたい場合に向いています。

ここで紹介した以外にも、事業者向けのノンバンク融資・カードローンは数多くあります。金利や融資限度額、審査スピード、法人・個人事業主の対象範囲まで幅広く比較して選びたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

資金ショートを未然に防ぐ方法(資金繰り表・キャッシュフロー予測)

資金ショートは、起きてから対処するより、起こさないように備えるほうがはるかに負担が小さくて済みます。予防の中心になるのが、将来の現金の動きを見える化する資金繰り表です。

資金繰り表とは、これから先の入金と出金の予定を月ごと(必要なら週ごと)に書き出し、各時点の手元資金の残高を予測する表です。売上の入金予定、仕入や給与・家賃・返済などの支払い予定を並べ、月末残高がマイナスに近づく時点がないかを先読みします。

数か月先まで見通しておけば、資金が不足しそうな時期を早めにつかめ、融資の申し込みのように時間のかかる手段も余裕をもって選べます。逆に、残高が数週間先までしか見えていない状態は、それ自体が資金ショートの危険が高い状態だと考えたほうがよいでしょう。

資金繰り表で全体を見通したうえで、日々の資金繰りを改善する打ち手も合わせて講じます。

  • 請求漏れ・入金遅れをなくす:請求のタイミングを早め、未入金は放置せず督促する。回収を早めるほど手元資金は安定します
  • 回収サイトを短く・支払サイトを長くする:取引先と交渉し、代金を受け取るまでの期間を短く、支払うまでの期間を長くできれば、立て替える運転資金が減ります
  • 在庫を持ちすぎない:売れ行きに合わせて仕入れ、在庫として寝る現金を減らします
  • 固定費・変動費を見直す:使っていないサブスクリプションや過大な家賃など、削れる支出がないか定期的に点検します
  • 手元資金に余裕を持たせる:数か月分の固定費をまかなえる現金を確保しておくと、突発的な入金遅れや出費に耐えられます

取引先の入金遅れや未回収が資金繰りの重荷になっている場合は、督促の進め方や、支払ってもらえないときの法的手段まで押さえておくと落ち着いて対処できます。回収の初動から時効・回収できないときの対応までは、以下の記事で解説しています。

これらは一度やれば終わりではなく、資金繰り表を定期的に更新しながら続けることで効果を発揮します。日頃の管理が、突発的な事態に対する最も確実な備えになります。

資金ショートで困ったときの相談先

自社だけで抱え込まず、早い段階で外部に相談することも立て直しの近道です。資金繰りの相談先には、公的な機関や専門家、取引金融機関があります。

  • 日本政策金融公庫:政府が全額出資する政策金融機関で、中小企業・小規模事業者向けの融資を行っています。代表的な一般貸付は運転資金で融資限度額4,800万円、返済期間は運転資金で5年以内(特に必要な場合7年以内)などが目安です。民間金融機関を補完する役割があり、資金繰りに困ったときの相談先になります
  • 信用保証協会:信用保証協会法に基づく公的機関で、中小企業が金融機関から融資を受ける際に保証人となり、借入をしやすくする信用保証制度を運営しています。取引先の倒産などで経営の安定に支障が生じた事業者が、通常の保証とは別枠で保証を受けられる「セーフティネット保証」もあり、利用には市町村長などの認定が必要です
  • 税務署・年金事務所:税金や社会保険料の納付が難しいときの猶予制度について相談できます(前述の「猶予の交渉」を参照)
  • 税理士・中小企業診断士などの専門家:資金繰り表の作成や財務改善、融資の相談に乗ってもらえます。顧問税理士がいれば早めに状況を共有しておくとよいでしょう
  • 取引金融機関:返済が苦しいときは、返済条件の見直し(リスケジュール)を相談できます。延滞してから動くより、資金繰りが厳しくなる前に相談するほうが応じてもらいやすくなります
出典・参考資料(3件)

まとめ

資金ショートは、手元の現金が尽きて期日の支払いができなくなる状態で、赤字や債務超過よりも緊急度が高く、放置すれば倒産に直結します。利益と手元資金は別物のため、帳簿の上では黒字でも、入金と出金のタイミングがずれれば資金ショートは起こり得ます。

迫っているときは、まず不足のタイミングと金額を正確につかみ、支払いや税金・社会保険料の猶予交渉、遊休資産の売却で現金の流出を止めたうえで、足りなければ外部からの資金調達を検討します。銀行融資が間に合わないときは、最短即日に対応するノンバンク融資・カードローンやファクタリングが現実的な選択肢です。

そして何より、資金繰り表で数か月先の現金の動きを見通しておくことが、資金ショートを未然に防ぐ最も確実な備えになります。自社の状況に合わせて、今日打てる一手から始めてみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 資金ショートとは何ですか?

A. 資金ショートとは、手元の現金や預金が足りなくなり、期日が来た支払いをできなくなる状態のことです。仕入代金・外注費・給与・借入金の返済・家賃などの支払いが対象で、帳簿の上で利益が出ているかどうかとは別に、その時点で払うべきお金を用意できなくなることを指します。現金(キャッシュ)が尽きる状態のため、赤字や債務超過よりも緊急度が高く、支払い不能に直結します。

Q. 資金ショートは黒字でも起こり得ますか?

A. 資金ショートは、帳簿の上で黒字であっても起こり得ます。売上を計上する時点と実際に現金が入ってくる時点にはずれがあり、売掛金の回収前に仕入や給与の支払いが集中したり、在庫や設備投資で先に現金が出ていったりすると、利益とは関係なく現金が不足するためです。

この「利益は出ているのに現金が続かず行き詰まる」状態が、一般に黒字倒産と呼ばれます。売上を伸ばしている成長期の会社ほど、仕入や投資が先行して起こりやすい面があります。

Q. 資金ショートと倒産の違いは何ですか?

A. 資金ショートは支払いが一時的にできない状態を指すのに対し、倒産はそれを解消できずに事業の継続ができなくなった結果を指します。資金ショートは倒産の主な引き金の一つですが、両者は別の段階です。支払期日の前に、支払いや税金・社会保険料の猶予交渉、資産の売却、資金調達といった手を早く打てば、資金ショートしても倒産を避けられる可能性は十分にあります。

Q. 資金ショートしそうなとき、すぐにできる対策はありますか?

A. 資金ショートが迫っているときは、まず不足するタイミングと金額を正確につかんだうえで、支払い・税金・社会保険料の猶予交渉や遊休資産の売却で現金の流出を止めるのが先決です。そのうえで足りなければ外部から資金を調達します。

銀行や日本政策金融公庫の融資は金利を低く抑えやすい一方で審査に数週間かかることもあるため、支払期日が目前なら、最短即日に対応するノンバンク融資・カードローンや、売掛金を早期に現金化するファクタリングが現実的な選択肢になります。

Q. 資金ショートしても融資は受けられますか?

A. 資金ショートや赤字の状態でも、融資を受けられる可能性はあります。銀行の審査は通りにくくなりますが、ノンバンク(貸金業者)の事業者向けローンのなかには、赤字決算や税金の滞納があった事業者も対象とすることを掲げるサービスがあります。

ただし金利は銀行より高めになりやすいため、必要な金額と期間を見極めて利用することが大切です。既存の借入の返済が苦しいときは、新たに借りる前に取引金融機関へ返済条件の見直し(リスケジュール)を相談する方法もあります。

Q. 個人事業主でも資金ショートは起こりますか?

A. 個人事業主でも、売掛金の入金遅れや売上の減少で手元資金が尽きれば資金ショートは起こります。対策の基本は法人と同じで、入出金予定の確認、支払い・税金の猶予交渉、遊休資産の売却で現金の流出を抑えることです。緊急の資金調達では、個人事業主を対象にした事業者向けカードローンもあり、事業性の借入は総量規制(年収の3分の1を超える貸付けの制限)の例外として扱われる場合があります。

Q. 税金や社会保険料は黒字でも猶予してもらえますか?

A. 税金や社会保険料は、黒字であっても要件を満たせば納付の猶予を受けられます。国税には、一時に納付すると事業の継続が困難になるおそれがある場合に原則1年以内の分割納付を認める「換価の猶予」があり、納期限から6か月以内に申請できます。厚生年金保険料などにも同様の猶予制度があり、猶予期間中は延滞金の一部または全部が免除されます。窓口は税金が税務署、社会保険料が年金事務所(日本年金機構)です。

出典・参考資料(2件)

Q. 資金ショートを防ぐために最も重要なことは何ですか?

A. 資金ショートを防ぐために最も重要なのは、資金繰り表で数か月先の現金の動きを見通しておくことです。将来の入金と出金の予定を月ごと(必要なら週ごと)に書き出し、手元資金がマイナスに近づく時点を先読みしておけば、融資の申し込みのように時間のかかる手段も余裕をもって選べます。

あわせて、請求漏れ・入金遅れをなくす、回収サイトを短くする、在庫を持ちすぎない、固定費を見直すといった日々の改善を続けることが、突発的な事態への最も確実な備えになります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
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