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リモートワイプとは?仕組み・ローカルワイプとの違いとiPhone/Android/PCでの実行方法を解説

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社用のスマートフォンやノートPCを紛失した、あるいは退職者の端末を回収し忘れた——そんなときに「遠隔でデータを消せる」と聞いて調べ始めた方に向けて、まず結論からお伝えします。リモートワイプ(遠隔消去)とは、手元にない端末のデータを、ネットワーク経由の遠隔操作で消去し、多くの場合は工場出荷状態に初期化する機能です。

この記事では、リモートワイプの仕組みから、混同しやすいローカルワイプ・リモートロックとの違い、実行時の注意点と限界、そしてiPhone・Android・Windowsそれぞれの実行手順までを順番に整理します。あわせて、「消す」だけに頼らず端末にデータを残さないという選択肢と、それを実現する社内セキュリティソリューションも紹介します。

読み終えるころには、自社の端末をどう守ればよいか、次の一手を判断できるようになります。まずは、リモートワイプが何を指す言葉なのかを確認していきましょう。

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リモートワイプ(遠隔消去)とは

リモートワイプとは、手元にない端末に対してネットワーク経由で消去命令を送り、端末内のデータを削除する機能です。多くの場合は端末を工場出荷状態に初期化し、拾得者や第三者がデータを利用できない状態にします。「遠隔消去」とも呼ばれ、社用端末の紛失・盗難や退職者の端末対応など、端末が管理者の手を離れた場面で情報漏えいを防ぐために使われます。

総務省の「テレワークセキュリティガイドライン」でも、テレワーク端末の紛失・盗難対策として遠隔でのデータ消去が重要だと示されています。同ガイドラインは「リモートワイプ」という語ではなく「遠隔消去」「遠隔でのデータ消去」という呼称を用いており、両者は同じ対策を指す言葉です。

テレワーク端末を紛失した際に、悪意のある第三者に拾われデータが漏えいすることを防ぐため、遠隔から端末の位置情報を把握し、テレワーク端末上のデータ等を削除したり、端末を初期化したりできるようにしておくことが重要です。

出典:テレワークセキュリティガイドライン(第5版)|総務省

リモートワイプの仕組み

ここからは、遠隔にある端末のデータがどのように消えるのか、その流れを見ていきます。仕組みを押さえておくと、後半で説明する「消せない条件」も理解しやすくなります。

リモートワイプは、管理者が管理サーバーやOS標準のサービスから消去命令を発行し、その命令をインターネット経由で対象の端末が受け取って消去を実行する、という流れで動きます。たとえばMicrosoftの端末管理サービスIntune(インチューン)の「ワイプ」は、命令を受けた端末を工場出荷時の設定にリセットし、個人データや組織のデータ・アプリ・構成を削除します。

Intune のワイプ アクションを使用してデバイスを工場出荷時の設定にリセットし、既定の設定に戻します。 この操作により、すべての個人データ、および組織のデータ、アプリ、構成が削除されます。 デバイスの廃止、再利用、トラブルシューティングのためのリセット、紛失や盗難が発生した場合に安全に消去する必要がある場合に一般的に使用されます。

出典:Microsoft Intune でデバイスをワイプする|Microsoft Learn

ここで重要なのは、消去は命令が端末に届いて初めて実行されるという点です。端末の電源が入っていない、あるいは通信圏外でネットワークにつながっていない場合、命令はすぐには届きません。たとえばAppleの「探す」によるリモート消去では、端末がオフラインのときは次にオンラインになった時点で消去が始まると案内されています。つまりリモートワイプは、端末が通信できる状態にあることを前提とした対策です。

リモートワイプで消去命令が端末に届く4ステップの流れ。管理者が命令を発行し、インターネット経由で送信、端末がオンラインのとき受信して消去を実行する。電源オフや通信圏外では命令が届かず、次にオンラインになった時点で消去が始まる。

リモートワイプと似た用語の違い

リモートワイプの周辺には、ローカルワイプ・リモートロック・セレクティブワイプ・初期化といった似た用語が並び、混同しやすいところです。それぞれ「何をするのか」「データは消えるのか」が異なるため、下の表で違いを整理します。

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用語リモートワイプ(遠隔消去)ローカルワイプリモートロックフルワイプセレクティブワイプ初期化(手元操作)
何をするか遠隔命令で端末のデータを消去し、多くは初期化するパスコードの連続失敗などを端末自身が検知して自動で消去する遠隔で画面をロックするだけで、データは消さない端末全体を初期化し、個人データも含めて消す会社のデータ・アプリ・設定だけを削除し、個人データは残す手元にある端末を操作して工場出荷状態に戻す
データは消えるか消える消える消えないすべて消える会社分のみ消える消える
主な場面紛失・盗難・退職者の端末対応総当たりでのロック解除を防ぐ一時的な置き忘れ・すぐ戻る見込みの紛失会社所有の端末・廃棄前の消去私物端末を使うBYOD・退職時の登録解除端末の廃棄・譲渡・返却

この表には性質の異なる観点が並んでいます。「リモート/ローカル」は消去命令の出どころ(遠隔からか、端末自身か)、「フル/セレクティブ」は消去する範囲(全体か会社データのみか)、初期化は手元での操作という違いです。リモートワイプは、フルワイプ(全消去)としても、セレクティブワイプ(会社データのみ削除)としても実行できます。

混同しやすいのはリモートワイプとリモートロックです。リモートロックはあくまで画面をロックして操作させないだけで、端末内のデータは残ります。すぐに手元へ戻る見込みがあるならロック、戻る見込みがなく漏えいを確実に防ぎたいならワイプ、という使い分けになります。

フルワイプとセレクティブワイプの違いも実務では重要です。前述のIntuneの場合、端末を丸ごと初期化する「ワイプ」に対し、「リタイア(廃止)」は会社のデータ・アプリ・プロファイルだけを削除し、個人のコンテンツはそのまま残します。私物端末を業務に使うBYODでは、この会社データだけを消せるセレクティブワイプが選択肢になります。

Intune の廃止アクションでは、完全ワイプまたは工場出荷時の状態にリセットせずに、デバイスから会社のデータが削除されます。 この操作は、個人が所有するデバイスや、デバイスを組織の制御から外す場合に最適です。

出典:デバイス アクション: 廃止|Microsoft Learn

リモートワイプが使われる場面とメリット

ここからは、リモートワイプがどんな場面で役立ち、どんなメリットがあるのかを整理します。使いどころを押さえると、自社に必要かどうかを判断しやすくなります。

主な場面は、社用スマートフォン・ノートPCの紛失や盗難、退職者から回収した端末の初期化、リースアップした端末の返却前の消去などです。いずれも「端末が管理者の目の届かない場所に出てしまい、中のデータが第三者に読まれるおそれがある」状況で、遠隔から消去できることが価値になります。

端末の紛失・盗難は、実際に情報漏えいの原因の一定割合を占めます。東京商工リサーチの集計によると、2024年に上場企業とその子会社が公表した個人情報の漏えい・紛失事故は189件で、そのうち「紛失・誤廃棄」が20件(構成比10.5%)、「不正持ち出し・盗難」が14件(同7.4%)でした。

これは公表された事故の集計であり全事故ではありませんが、端末・媒体を起点とする漏えいが無視できない規模で起きていることを示しています。

メリットは大きく2つあります。1つは、紛失・盗難に伴う情報漏えいのリスクを低減できることです。もう1つは、管理者が任意のタイミングで実行できることです。端末が見つからないと分かった時点で、その場から消去命令を出せます。

この「情報漏えいを防ぐ」ことには、法令上の意味もあります。個人情報保護法では、2022年4月から、個人データの漏えい等で個人の権利利益を害するおそれがあるときは、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務づけられました。端末や媒体の盗難も、報告が必要となり得る事態の一例として挙げられています。

報告が必要になるのは、要配慮個人情報を含む場合や、本人の数が1,000人を超える場合など一定の要件に当たるとき(いずれも「そのおそれ」を含む)で、報告の期限も定められています。端末を確実に消せることは、こうした報告義務が生じる事態そのものを避ける備えになります。

出典・参考資料(3件)

リモートワイプの注意点・限界

リモートワイプは有効な対策ですが、「実行すれば必ず安心」というわけではありません。実務で押さえておきたい注意点と限界を挙げます。導入前にここを理解しておくと、過信による事故を避けられます。

まず、電源が入っていない端末や通信圏外の端末には、消去命令がすぐには届きません。命令は端末が次にオンラインになったときに実行されるため、拾得者が端末を通信させないまま操作すれば、消去前にデータを読まれる可能性が残ります。

次に、消去が完了したかどうかを管理者が確認しづらい点です。たとえばAndroidの遠隔消去では、消去を実行すると端末の位置を追跡できなくなるため、命令を出した後の状態を把握しにくくなります。

3つ目は、原則としてデータがすべて消えることです。バックアップを取っていなければ、業務上必要なデータも失われます。とくに私物端末を業務に使うBYODでフルワイプを実行すると、従業員の写真や連絡先といった個人データまで削除してしまうおそれがあります。BYODでは、前述のセレクティブワイプ(会社データのみ削除)を使い分ける設計が欠かせません

最後に、退職者端末の処理漏れにも注意が必要です。退職時に端末の登録解除やデータ消去の手順が定まっていないと、管理対象から外れた端末が放置され、後から漏えいの原因になりかねません。そして実務上とくに重要な限界として、リモートワイプは「端末が手を離れてから消す」対策であり、消去が実行される前にすでにデータが抜き取られている可能性はゼロにはできない、という点があります。

リモートワイプのやり方(OS標準/MDMの2ルート)

ここからは「では、実際にどうやるのか」を説明します。リモートワイプの実現方法は、大きく2つのルートに分かれます。少数の端末をOS標準機能で個別に消すルートと、多数の端末をMDM/EMM(モバイルデバイス管理などの管理ツール)で一元管理するルートです。まずは自社の運用規模でどちらを選ぶかを決め、次に自分の端末の手順に進んでください。

リモートワイプの実現ルートを端末台数で選び分ける図。少数の端末はルート1のOS標準機能で1台ずつ個別に消去し、iPhoneは探す、AndroidはFind Hubで対応できるがWindowsは標準では不可でMDMが必要。多数の端末はルート2のMDM/EMMで管理コンソールから複数端末を一元管理し、消去やロックをまとめて実行する。

ルート1:OS標準機能で個別に実行する

端末が数台程度で、事前に各OSの紛失対策機能を有効にしてあるなら、iPhoneとAndroidは専用ツールを導入しなくてもOS標準機能で消去できます。ただしWindowsは事情が異なり、遠隔での完全な消去には後述のMDMが必要です(理由は手順のなかで説明します)。iPhone・Android・Windowsそれぞれを見ていきましょう。

iPhone・iPadの手順

事前に「探す」がオンになっていれば、Appleの「探す」機能でリモート消去できます。MDMを導入していなくても実行可能です。

  1. 別のデバイスの「探す」アプリを開くか、パソコンなどのブラウザで iCloud.com/find にアクセスする
  2. 消去したいデバイスを選ぶ
  3. 「このデバイスを消去」を選んで実行する(端末がオフラインの場合は、次にオンラインになったときに消去が始まる)

消去すると元に戻せません。また、消去後にデバイスを「探す」のリストから削除すると、アクティベーションロックが解除される点にも留意してください。

Androidの手順

AndroidはGoogleの「Find Hub(旧「デバイスを探す」)」からデータを消去します。実行するには、対象の端末が「電源が入っている」「モバイルデータまたはWi-Fiに接続している」「Googleアカウントにログインしている」「Find Hubがオンになっている」といった条件を満たしている必要があります。

  1. 別の端末やパソコンのブラウザで Find Hub(android.com/find)にアクセスし、Googleアカウントでログインする
  2. 紛失した端末を選ぶ
  3. 「デバイスのデータを消去」を選んで実行する

この操作を行うと、デバイス上のすべてのデータが完全に削除されます。消去するとFind Hubで端末の位置を特定できなくなるため、位置の確認が必要な場合は消去より前に行ってください。

Windows PCの手順

Windows PCには、iPhoneやAndroidのような無料で使える個人向けの遠隔消去機能が標準では用意されていません。遠隔で完全に消去するには、Microsoftの端末管理サービスIntune(次のルート2で説明するMDMにあたるもの)などに端末をあらかじめ登録しておく必要があります。

登録済みであれば、管理センターから「ワイプ」を実行して工場出荷時の状態にリセットできます。Windows向けには、空き領域を上書きしてデータ回復を防ぐ設定や、端末の電源が切断されてもワイプを続行するオプションも用意されており、紛失・盗難などセキュリティ上のリスクが高い場面に向いています。

あわせて、Windowsの暗号化機能BitLocker(ビットロッカー)でドライブ全体を暗号化しておくと、保護は一段と強まります。BitLockerはボリューム全体を暗号化し、紛失・盗難・不適切な廃棄による情報漏えいの脅威に対処する機能で、暗号化された状態では鍵がなければデータを読み取れません。

ワイプと暗号化を組み合わせることで、万一消去が間に合わなくてもデータを読まれにくくできます。Intuneなどを導入していない場合は、まずBitLockerでドライブを暗号化しておくことが、遠隔消去に頼らずにできる現実的な備えになります。

出典・参考資料(4件)

ルート2:MDM/EMMで複数端末を一元管理する

端末の台数が増えると、OS標準機能で1台ずつ対応する運用は現実的でなくなります。そこで使われるのが、MDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)やEMM(Enterprise Mobility Management:エンタープライズモビリティ管理)と呼ばれる管理ツールです。

管理コンソールから、複数の端末に対して遠隔でのデータ消去・ロック・設定配布などをまとめて実行できます。紛失した端末を一覧から選んで消去でき、いつ誰が消去したかのログも残せるため、1台ずつOSの画面をたどる手間がありません。

総務省のテレワークセキュリティガイドラインでも、端末の紛失・盗難に備えてMDMソリューション等を導入し、遠隔制御でのデータ・アカウント初期化やハードディスクの暗号化といった機能を有効化することが、管理者向けの基本対策として挙げられています。

テレワーク端末の紛失・盗難に備え、MDM(Mobile Device Management)ソリューション等を導入し、有事の際の遠隔制御でのデータ・アカウント初期化、ログイン時のパスワード認証の強制、ハードディスクの暗号化等の機能を有効化する。

出典:テレワークセキュリティガイドライン(第5版)|総務省

一元管理のルートは、消去だけでなく、端末の登録・棚卸し、退職者端末の登録解除、私物端末でのセレクティブワイプまで含めて仕組みで回せる点が強みです。台数が増え、削除の確認や退職者対応まで含めて運用したい段階では、こちらが現実的な選択肢になります。

MDM/EMMは製品数が多く、月額料金の体系も対応OSも、キッティングやBYODへの対応範囲も幅があるため、自社の運用に乗る一台を見極めるには比較が欠かせません。主要な法人向けMDMを料金の実額や紛失時の対応要件で比べた記事を用意しているので、製品選びの段階に進むなら参考にしてください。

「消す」の限界を補う——端末にデータを残さないという選択肢

ここまで見てきたとおり、リモートワイプには「端末が通信できないと届かない」「実行前に読まれる可能性が残る」という限界があります。そこで発想を変え、そもそも端末にデータを残さない設計にしておく、という選択肢が有効です。ここからは「消す」と「残さない」の考え方を対比しながら、自社での実現方法を見ていきます。

「残さない」設計とは、端末のローカルにデータを置かず、クラウドや隔離領域に分離しておく、あるいは分散・無意味化しておくという考え方です。端末にそもそも読めるデータがなければ、紛失・盗難が起きても漏えいのリスクを大きく下げられます。リモートワイプが「事後に消す」対策なのに対し、こちらは「そもそも読めない状態にしておく」予防的な対策です。

リモートワイプの「消す」対策と、端末にデータを残さない予防的対策の対比。消すは端末が手を離れた後に遠隔命令でデータを消去するが、電源オフ・圏外だと届かず消去前に読まれる可能性が残る。残さないは端末にデータを置かずクラウド退避・隔離・分散で無意味化し、そもそも読めるデータをなくしてリスクを断つ。

この考え方は、法令面でも意味を持ちます。個人情報保護委員会は、高度な暗号化などの秘匿化措置が講じられている場合について、次のいずれかを満たすことを要件として挙げています(そのひとつが「遠隔操作により暗号化された情報若しくは復号鍵を削除する機能を備えていること」です)。

暗号化した情報と復号鍵を分離する、遠隔で復号鍵を削除できるといった要件を満たす場合に限り、端末を紛失しても「漏えい」に当たらず、報告を要しないと判断できる余地が生まれます。ただし、個々のサービスがこの要件を満たすかは製品ごとに確認が必要です。

暗号化した情報と復号鍵を分離するとともに復号鍵自体の漏えいを防止する適切な措置を講じていること/遠隔操作により暗号化された情報若しくは復号鍵を削除する機能を備えていること/第三者が復号鍵を行使できないように設計されていること

出典:「高度な暗号化等の秘匿化」に関するよくある質問|個人情報保護委員会

※上記は特定個人情報(マイナンバー)に関するよくある質問での説明ですが、一般の個人データについても、通則ガイドラインで高度な暗号化等の秘匿化措置が講じられている場合は「漏えい」に該当しないとする同旨の考え方が示されています。

こうした「端末にデータを残さない」考え方を実現するのが、データレスクライアントやセキュアコンテナと呼ばれる社内セキュリティソリューションです。方式は大きく、クラウドへ退避する型・端末内で隔離する型・分散して無意味化する型に分かれます。これらはリモートワイプそのものとは異なり、そもそも端末に読めるデータを残さないことでリスクを断つアプローチで、製品によって遠隔での消去やロックも備えます。

以下で紹介する3製品はいずれもWindows PC向けです。スマートフォンを含めて継続的に管理したい場合は、前述のMDM/EMM(ルート2)が現実的な選択肢になります。ここでは代表的なサービスを比較し、それぞれの特徴を紹介します。

端末データ保護ソリューションの比較

← 横にスクロールできます →
サービス名Shadow DesktopCACHATTO SecureContainerZENMU Virtual Drive
提供方式クラウド退避型
(データレスクライアント)
端末内隔離型
(セキュアコンテナ)
端末内無意味化型
(秘密分散)
遠隔対応リモートワイプ=ほぼ全データ削除
利用停止=キャッシュ削除
サインアウト時に隔離領域を自動削除
(遠隔消去は要問い合わせ)
リモートロック
(クラウド側からロック→自動ログオフ)
オフライン利用
対応OSWindows
(Microsoftサポート対象バージョン)
Windows
(対応バージョンは要問い合わせ)
Windows 10(20H2以降)
/Windows 11
料金初期費用不要
月額は要問い合わせ(5ライセンス〜)
初期費用は要問い合わせ
基本利用料120,000円/年+ユーザーライセンス96,000円/10ユーザー/年(税別)
初期費用は要問い合わせ
1,800円/ユーザー/月(ZEE)/500円/ライセンス/月(ZLE)(いずれも税抜)
詳細情報オンライン相談を予約サービス詳細を見るサービス詳細を見る

主なサービスの紹介

ここからは、上の比較表で取り上げたサービスを、方式ごとに詳しく見ていきます。自社の運用に合う型はどれかを考えながら読み進めてください。

1. Shadow Desktop(アップデータ株式会社)

Shadow Desktopのウェブサイト

Shadow Desktopは、PC内のデータをクラウドストレージへ自動的にアップロードし、ローカルには残さない「データレスクライアント」です。ファイルのアイコンは従来どおりPC上に表示され、ダブルクリックすると必要なファイルだけをクラウドから取り出して開くため、操作感を変えずにデータレス化できます。移動中などオフラインの環境でもキャッシュを使って作業を継続できる点が特徴です。

紛失・盗難時には、無償で提供される管理コンソール「Shadow Desktop Manager」から2段階で対応できます。1つは端末の「利用停止」で、対象PCのShadow Desktopを停止させ、PC内のキャッシュデータを遠隔で削除します。

もう1つが「リモートワイプ」で、対象端末を強制的にサインアウトさせて再サインインできない状態にしたうえで、PC内のほぼすべてのデータを削除します。データを端末に残さない設計と、いざというときの遠隔消去を組み合わせられるサービスです。

提供元はアップデータ株式会社で、対応OSはMicrosoftがサポートするバージョンのWindowsです。初期費用は不要とされ、月額料金は要問い合わせ、5ライセンスから、最大30日間の無料トライアルが用意されています。より強力な遠隔消去を行う有償の「ワイプオプション」もあり、消去範囲やオプションの要否はオンライン相談・問い合わせで確認するとよいでしょう。

2. CACHATTO SecureContainer(e-Janネットワークス株式会社)

CACHATTO SecureContainerのウェブサイト

PC上に暗号化された隔離領域(セキュアコンテナ)を作り、その中でだけ業務を行わせる「端末内隔離」型のデータレスクライアントが、e-Janネットワークス株式会社のCACHATTO SecureContainerです。

業務を終えてサインアウトすると隔離領域内のデータが削除されるため、端末本体にはデータが残らず、紛失・盗難時の漏えいを防ぎます。手元PCのリソースで動くため、オフラインでの業務にも対応します。

独自のVPN「CACHATTO Private Connect」と組み合わせることで、社内サーバーを外部に公開せずにクラウドやオンプレミスへ安全にアクセスできる点も特徴です。運用形態は、支給PCを専用機として使う「AD版」と、通常のWindows環境と切り替えて使う「Switch版」が用意されています。

料金は基本利用料が年額120,000円、ユーザーライセンスが10ユーザーあたり年額96,000円(いずれも税別、2026年9月時点)です。同社はISMS(ISO/IEC 27001)認証を取得しています。

3. ZENMU Virtual Drive(株式会社ZenmuTech)

ZENMU Virtual Driveのウェブサイト

独自の秘密分散技術「ZENMU-AONT」でデータをPC内とクラウドに分散して保管するのが、株式会社ZenmuTechのエンドポイントセキュリティソフトZENMU Virtual Driveです。

PC内に作られる仮想ドライブのデータは「無意味化」され、クラウド側の分散片とそろわなければ元のデータを復元できません。暗号鍵の盗難・解読に頼らずにデータを守れる点が、通常の暗号化との違いとして訴求されています。

盗難・紛失時には、管理者がクラウド側からリモートロックを実行できます。ロックを検知した端末は仮想ドライブが強制終了し、Windowsが自動でログオフしてログイン画面に戻ります。

クラウド側の分散片へのアクセスを止めれば、PCに残るのは無意味化された分散片だけとなり、元データを復元できなくなります。対応OSはWindows 10(20H2以降)とWindows 11です。

料金はフル機能のEnterprise Editionが1ユーザーあたり月額1,800円、機能を絞ったLimited Editionが1ライセンスあたり月額500円(いずれも税抜、5ライセンスから、2026年9月時点)です。同社は情報セキュリティマネジメントの国際規格ISO/IEC 27001(ISMS)認証を取得済みです。

まとめ

リモートワイプ(遠隔消去)は、手元にない端末のデータを遠隔命令で消去し、多くは初期化する機能で、社用端末の紛失・盗難や退職者対応で情報漏えいを防ぐ有効な手段です。一方で、電源オフ・圏外では命令が届かない、消去完了を確認しづらい、実行前に読まれる可能性が残る、といった限界もあります。

少数の端末ならOS標準機能で個別に、台数が増えるならMDM/EMMで一元管理するのが基本の使い分けです。さらに、そもそも端末にデータを残さないデータレスクライアントやセキュアコンテナを組み合わせれば、「消す」対策の限界を補い、紛失・盗難時のリスクをより確実に下げられます。自社の端末台数や運用体制に合わせて、最適な組み合わせを検討してみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. リモートワイプとは何ですか?

A. リモートワイプ(遠隔消去)とは、手元にない端末にネットワーク経由で消去命令を送り、端末内のデータを削除して多くの場合は工場出荷状態に初期化する機能です。社用スマートフォンやノートPCの紛失・盗難、退職者の端末対応など、端末が管理者の手を離れた場面で情報漏えいを防ぐために使われます。総務省のテレワークセキュリティガイドラインでは「遠隔消去」という呼称で同じ対策が示されています。

Q. リモートワイプとローカルワイプの違いは何ですか?

A. リモートワイプは管理者や所有者が遠隔から命令を送ってデータを消去するのに対し、ローカルワイプはパスコードの連続入力ミスなどを端末自身が検知して自動でデータを消去する点が違いです。遠隔からの操作か、端末側の自動発動かが分かれ目で、いずれも結果としてデータは消去されます。

Q. リモートワイプと初期化の違いは何ですか?

A. 一般的な初期化が手元にある端末を操作して工場出荷状態に戻すのに対し、リモートワイプは離れた場所からネットワーク経由で消去命令を送って初期化する点が違いです。消去して初期化するという結果は同じですが、端末が手元にあるかどうかが分かれ目になります。

Q. リモートワイプは電源オフや圏外の端末でも実行できますか?

A. リモートワイプは、電源が入っていない端末や通信圏外の端末には消去命令がすぐには届きません。命令は端末が次にオンラインになった時点で実行されるため、拾得者が端末を通信させないまま操作すると、消去前にデータを読まれる可能性が残ります。この限界を補うには、端末にデータを残さない設計やドライブ全体の暗号化を併用しておくと安心です。

Q. iPhoneはMDMを導入していなくてもリモートワイプできますか?

A. iPhoneは、事前にAppleの「探す」がオンになっていれば、MDMを導入していなくてもリモート消去できます。別のデバイスの「探す」アプリやブラウザで iCloud.com/find にアクセスし、対象デバイスを選んで「このデバイスを消去」を実行します。ただし端末台数が増えると1台ずつの個別対応は現実的でなくなるため、複数端末の運用にはMDM/EMMによる一元管理が向いています。

Q. BYOD(私物端末)にリモートワイプを実行しても問題ありませんか?

A. BYODにフルワイプ(端末全体の初期化)を実行すると、従業員の写真や連絡先といった個人データまで削除してしまうおそれがあります。私物端末では、会社のデータ・アプリ・設定だけを消すセレクティブワイプ(Microsoft Intuneの「リタイア」など)を使い分ける設計が欠かせません。

Q. 退職者の端末にもリモートワイプは必要ですか?

A. 退職者の端末は、回収やデータ消去、管理対象からの登録解除を確実に行わないと、放置された端末が後から情報漏えいの原因になりかねません。退職時の処理手順が属人的だと漏れが生じやすいため、MDM/EMMで登録解除やセレクティブワイプを仕組みとして回すことが欠かせません。

Q. リモートワイプを実行すれば情報漏えいは完全に防げますか?

A. リモートワイプは有効な対策ですが、「実行すれば必ず安心」とは言い切れません。電源オフ・圏外で命令が届かない、消去が完了したか管理者が確認しづらい、消去される前にすでにデータを抜き取られている可能性が残る、といった限界があるためです。より確実にするには、端末にそもそもデータを残さないデータレスクライアントやセキュアコンテナ、ドライブ全体の暗号化を組み合わせる方法が有効です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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