事業承継や会社の売却・買収を考え始めると、M&Aの仲介手数料やファイナンシャルアドバイザー(FA)への報酬が数百万円規模になると知り、費用負担に不安を感じる経営者は少なくありません。この費用の一部を国が補助するのが「事業承継・M&A補助金」です。
M&Aの仲介・FA費用を対象にできるのは、このうち専門家活用枠です。買い手・売り手いずれの立場でも申請でき、補助上限は原則600万円で、デューデリジェンス(DD)費用を申請する場合は200万円が加算されて上限800万円、一定の要件を満たす買い手なら最大2,000万円まで補助されます。
本記事では、事業承継・M&A補助金の4つの枠それぞれの対象者・補助上限額・補助率・対象経費を一覧表で整理し、自社がどの枠を使えるのか、何に使える補助金なのか、最新の公募(令和7年度補正予算・第16次)はいつ申請できるのかまでを解説します。あわせて、補助対象になる費用の条件や、申請で見落としやすい注意点も取り上げます。
本記事は2026年9月時点の公募要領にもとづく情報です。補助金の内容・公募回次・締切は改正や回次の進行で変わるため、申請前には必ず最新の公募要領で確認してください。
目次
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M&Aで使える補助金とは?事業承継・M&A補助金の全体像
事業承継・M&A補助金は、中小企業庁が実施する「中小企業生産性革命推進事業」の一つで、事業承継やM&Aによる経営資源の引継ぎを後押しする国の補助金です。設備投資や専門家活用にかかる費用の一部を補助し、後継者不在や事業再編の課題を抱える中小企業を支援します。
事業承継・M&Aによる経営資源の引継ぎを行おうとする中小企業者等を後押しするため、「事業承継・M&A補助金」による支援を実施します。
出典:中小企業生産性革命推進事業「事業承継・M&A補助金」(十六次公募)の公募要領を公表します|中小企業庁
この補助金は、令和6年度補正予算での見直しにともない、従来の「事業承継・引継ぎ補助金」から「事業承継・M&A補助金」へと名称が変わりました。制度名で検索すると旧名称のページも残っているため、最新の情報かどうかを確かめる際は名称と年度に注意が必要です。
補助金は目的別に4つの枠に分かれています。設備投資などで承継を進める「事業承継促進枠」、M&Aの専門家費用を補助する「専門家活用枠」、M&A成立後の統合(PMI)を支える「PMI推進枠」、承継やM&Aに伴う廃業を支援する「廃業・再チャレンジ枠」です。M&Aの仲介手数料やFA報酬を補助したい場合は、このうち専門家活用枠が該当します。
出典・参考資料(2件)
- 出典:中小企業生産性革命推進事業「事業承継・M&A補助金」(十六次公募)の公募要領を公表します|中小企業庁(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/kobo/2026/260904001.html)
- 参考資料:事業承継・M&A補助金とは|みらサポplus(中小企業庁)(https://mirasapo-plus.go.jp/hint/29717/)
【一覧表】事業承継・M&A補助金4枠の対象者・補助上限額・補助率・対象経費
ここからは、4つの枠それぞれの対象者・補助上限額・補助率・主な対象経費を一覧で示します。4つの枠のうち専門家活用枠とPMI推進枠はさらに複数の類型に分かれるため、表では類型ごとに行を分けています。加算や特例で上限額が変わる枠もあるため、条件もあわせて記載しました。金額・補助率は令和7年度補正予算・第16次(2026年9月4日公募要領公開)時点のものです。
| 枠(類型) | 事業承継促進枠 | 専門家活用枠(買い手支援類型) | 専門家活用枠(売り手支援類型) | 専門家活用枠(小規模売り手支援類型) | PMI推進枠(PMI専門家活用類型) | PMI推進枠(事業統合投資類型) | 廃業・再チャレンジ枠 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 主な対象者 | 5年以内に親族内承継または従業員承継を予定している中小企業者等 | M&Aで他者から経営資源を譲り受ける中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む) | M&Aで他者へ経営資源を譲り渡す中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む) | 小規模事業者等に限る売り手 | M&Aに伴い経営資源を譲り受け、PMI(統合)に取り組む中小企業等 | M&Aに伴い経営資源を譲り受け、PMI(統合)に取り組む中小企業等 | 事業承継・M&Aに伴い既存事業を廃業し、新たな取り組みに挑戦する中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む) |
| 補助上限額 | 800万円(一定の賃上げを実施する場合は1,000万円) | 600〜800万円(800万円を上限に、DD費用を申請する場合に200万円を加算)。100億企業要件を満たす場合は最大2,000万円 | 600〜800万円(800万円を上限に、DD費用を申請する場合に200万円を加算) | 450万円 | 150万円 | 800〜1,000万円(一定の賃上げを実施する場合に引き上げ) | 300万円(他の枠と併用申請する場合は150万円または300万円) |
| 補助率 | 1/2(小規模事業者は2/3) | 1/3・1/2・2/3(100億企業要件時は1,000万円以下の部分1/2・超過部分1/3) | 1/2(赤字、または物価高等の影響で営業利益率が低下している場合は2/3) | 2/3 | 1/2 | 1/2(小規模事業者は2/3) | 2/3(併用申請時は各事業の補助率に従う) |
| 主な対象経費 | 設備投資費用、店舗・事務所の改築工事費用 等 | FA・M&A仲介費用(M&A支援機関登録業者に限る)、DD、セカンドオピニオン、表明保証保険料 等 | 同上 | 同上 | 設備費、外注費、委託費 等 | 設備費、外注費、委託費 等 | 廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、土壌汚染調査費 等 |
令和7年度補正予算・第16次公募要領にもとづく(2026年9月時点)
M&Aの費用支援として使うことが多い専門家活用枠は、補助率と上限額に複数の条件が設定されています。公募要領の記載を原文で示します。
(補助率)買い手支援類型:1/3・1/2・2/3 売り手支援類型:1/2・2/3 小規模売り手支援類型:2/3
出典:事業承継・M&A補助金(十六次公募)の公募要領を公表します(専門家活用枠)|中小企業庁
(補助上限)買い手支援類型:600~800万円、2,000万円 売り手支援類型:600~800万円 小規模売り手支援類型:450万円
800万円を上限に、DD費用を申請する場合に200万円を加算/100億企業要件を満たす場合は2,000万円
出典・参考資料(1件)
- 出典:中小企業生産性革命推進事業「事業承継・M&A補助金」(十六次公募)の公募要領を公表します|中小企業庁(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/kobo/2026/260904001.html)
専門家活用枠の補助上限は、原則600万円です。デューデリジェンス(DD)費用を申請する場合は200万円が加算され、上限が800万円まで上がります。さらに、10年以内に売上高100億円を目指す「100億企業要件」を満たす買い手の場合は、補助上限が2,000万円に引き上げられます(この場合の補助率は、1,000万円以下の部分が1/2、1,000万円を超える部分が1/3)。

買い手支援類型の補助率(1/3・1/2・2/3)は、対象経費の区分や事業者の状況に応じて公募要領で定められます。売り手支援類型は原則1/2で、赤字または物価高の影響などで営業利益率が低下している場合は2/3に上がります。自社に適用される補助率は、申請前に公募要領で確認してください。
補助額のイメージをつかむため、簡単な例で考えます。売り手支援類型(補助率1/2)で、対象となるFA・仲介費用が800万円だった場合、その半分の400万円が補助され、自己負担は400万円まで軽くなる計算です(補助上限の範囲内の場合)。
自社はどの枠を使える?立場別の使い分け
4つの枠は、自社が置かれた立場によって使う枠が変わります。自分がどの枠に当てはまるかを整理すると、次のようになります。
- 会社や事業を売りたい(売り手):専門家活用枠の売り手支援類型。小規模事業者に該当する場合は、補助率2/3の小規模売り手支援類型も選べます。
- 他社を買収したい(買い手):専門家活用枠の買い手支援類型。仲介・FA費用に加え、DD費用を申請する場合は上限に200万円が加算されます。
- 親族や従業員へ承継する準備をしたい:事業承継促進枠。5年以内の親族内承継・従業員承継を予定している場合が対象で、設備投資などが補助されます。
- M&A成立後の統合(PMI)に取り組みたい:PMI推進枠。専門家活用(150万円)と、設備投資を伴う事業統合投資(800〜1,000万円)の2類型があります。
- 承継・M&Aに伴い一部事業を廃業する:廃業・再チャレンジ枠。他の枠と併用して申請することもできます。
事業承継促進枠の対象者は、公募要領で「5年以内に親族内承継又は従業員承継を予定している者」と定められています。売却・買収そのものの費用ではなく、承継に向けた設備投資などが補助対象になる点が、専門家活用枠との違いです。
補助の対象になる経費(仲介手数料・FA報酬・DD費用など)
「自分が払う予定の費用が補助対象に入るのか」は、申請前に必ず押さえておきたい点です。枠ごとに対象経費が定められています。
M&Aを進める際に発生するFA・仲介費用やDD費用を補助できるのは、専門家活用枠です。公募要領では、専門家活用枠の対象経費が次のように定められています。
【補助対象経費:ファイナンシャルアドバイザー(FA)や仲介に係る費用※、デュー・ディリジェンス(DD)、セカンド・オピニオン、表明保証保険料 等】
出典:事業承継・M&A補助金(十六次公募)の公募要領を公表します(専門家活用枠 補助対象経費)|中小企業庁
※ M&A支援機関登録制度に登録されたファイナンシャルアドバイザー(FA)またはM&A仲介業者によるFAまたはM&A仲介費用に限る
ここで見落としやすいのが、FA・仲介費用は「M&A支援機関登録制度に登録された業者」への費用に限られるという条件です。登録されていない業者に依頼した費用は補助対象外になるため、業者選びの段階で確認が必要です。この点は後半の「申請から入金までの流れ」で詳しく取り上げます。
先の一覧表に示した主な対象経費は公募要領の例示です。枠ごとの対象経費は、中小機構の案内では次のように整理されています。表と表現が一部異なりますが、いずれも「等」を含む代表例のため、対象になるか判断が難しい費目は公募要領本体で確認してください。
- 事業承継促進枠:設備費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費 等
- PMI推進枠:設備費、外注費、委託費 等
- 廃業・再チャレンジ枠:廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用 等
出典・参考資料(2件)
- 出典:中小企業生産性革命推進事業「事業承継・M&A補助金」(十六次公募)の公募要領を公表します|中小企業庁(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/kobo/2026/260904001.html)
- 参考資料:事業承継・M&A補助金のご案内|中小機構(https://seisansei.smrj.go.jp/subsidy_info/succession_subsidy.html)
補助を受けられる事業者の要件(中小企業の定義)
事業承継・M&A補助金の対象は、原則として中小企業者や小規模事業者です。中小企業者の範囲は中小企業基本法で業種ごとに定められており、資本金または従業員数のいずれかの基準を満たせば該当します。
| 業種 | 製造業・建設業・運輸業その他 | 卸売業 | サービス業 | 小売業 |
|---|---|---|---|---|
| 資本金の額または出資の総額 | 3億円以下 | 1億円以下 | 5,000万円以下 | 5,000万円以下 |
| 常時使用する従業員数 | 300人以下 | 100人以下 | 100人以下 | 50人以下 |
中小企業基本法第2条にもとづく(資本金または従業員数のいずれかを満たせば該当)
このほか、補助率が優遇される「小規模企業者」は、中小企業基本法で「常時使用する従業員の数が20人(商業またはサービス業は5人)以下の事業者」と定められています。専門家活用枠の小規模売り手支援類型(補助率2/3)や、各枠の小規模事業者向けの補助率2/3は、この区分が判定に関わります。
ただし、補助金の実際の対象になるかどうかは、公募要領本体が独自に定めています。個人事業主が含まれる枠がある一方で、大企業とみなされる資本関係にある場合などは対象外となることがあります。中小企業基本法の定義は目安として押さえつつ、最終的な対象可否は公募要領本体の対象者要件で確認してください。
出典・参考資料(1件)
- 出典:中小企業基本法 第二条(昭和三十八年法律第百五十四号)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000154)
最新の公募スケジュール(令和7年度補正予算・第16次)
事業承継・M&A補助金は、年度内に複数回の公募(〇次公募)が実施されます。現在の最新は、令和7年度補正予算(2025年度の補正予算)にもとづく第16次公募で、その申請受付は2026年(令和8年)に行われます。公募回次は時期とともに進むため、申請時点で最新の回次を公式ポータルで確認してください。
- 公募要領の公開:2026年9月4日(第16次)
- 申請受付期間:令和8年(2026年)10月2日(金)〜11月6日(金)17:00(予定)
- 申請方法:電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」のみ
直前の第15次公募は2026年9月11日に採択結果が公表され、現在は第16次が申請受付の予定です。第14次・第15次・第16次はいずれも令和7年度補正予算にもとづく公募です(採択件数の目安は後述します)。
出典・参考資料(2件)
- 出典:中小企業生産性革命推進事業「事業承継・M&A補助金」(十六次公募)の公募要領を公表します|中小企業庁(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/kobo/2026/260904001.html)
- 出典:事業承継・M&A補助金(公式ポータル)|中小企業庁(https://shoukei-mahojokin.go.jp/)
申請から入金までの流れとM&A支援機関登録制度の注意点
ここからは、申請の具体的な流れと、申請前に押さえておきたい注意点を解説します。補助金は電子申請で手続きし、費用は原則として後払いで交付されます。
申請ステップ(GビズID・jGrants・後払いの流れ)
申請は電子申請システム「jGrants」で行い、その前提として「GビズIDプライム」アカウントが必要です。おおまかな流れは、GビズIDプライムの取得 → 公募要領の確認と書類準備 → jGrantsでの申請 → 採択審査 → 交付決定 → 補助事業の実施 → 実績報告 → 補助金の交付、という順序です。

GビズIDプライムの取得には時間がかかる点に注意が必要です。公募要領でも、余裕をもった手続きが求められています。
出典・参考資料(2件)
- 参考資料:GビズID(デジタル庁)(https://gbiz-id.go.jp/top/)
- 参考資料:補助金申請システム jGrants(https://www.jgrants-portal.go.jp/)
Jグランツの申請にあたっては、事前にGビズIDプライムアカウントの取得が必要となります。アカウントの取得には2~3週間程度が必要となるため、公募締め切りに余裕をもって手続を実施してください。
出典:事業承継・M&A補助金(十六次公募)の公募要領を公表します|中小企業庁
M&A支援機関登録制度の落とし穴(登録業者以外への手数料は補助対象外)
専門家活用枠でFA・仲介費用を補助してもらううえで、最も注意したいのがこの点です。補助対象になるのは、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録されたFAまたはM&A仲介業者への費用に限られます。登録されていない業者に依頼した費用は、たとえM&Aが成立しても補助対象になりません。
M&Aの相談先を選ぶ段階で、その業者がM&A支援機関登録制度に登録されているかを必ず確認しておくと、補助金を使えないという事態を避けられます。登録の有無は、中小企業庁のM&A支援機関登録制度で公表されている登録FA・M&A仲介業者の一覧で確認できます。相談先の公式サイトでも登録を明示していることが多いため、あわせてチェックしておくと安心です。
採択件数の目安と後払いの資金繰り
採択件数は回次によって変わります。第15次公募では合計338件が採択され、枠別では専門家活用枠が194件と最も多くなっています。採択率は公募回次ごとに変動するため、件数の傾向を目安として捉えておきましょう。
資金繰りの面で押さえておきたいのが、補助金が原則「後払い」である点です。交付決定を受けても、実際の支払いは補助事業の実施後です。実績報告書を提出し、事業内容の検査と経費の確認を経て補助金額が確定してから交付されます。費用はいったん自社で立て替える必要があるため、その間の資金計画も見込んでおく必要があります。
補助金の交付については、実績報告書等を提出し、実施した事業内容の検査と経費内容等の確認により、交付すべき補助金の額を事務局にて確定した後支払うため、交付決定された場合でも支払われないことがある
出典:事業承継・M&A補助金のご案内(脚注)|中小機構
出典・参考資料(3件)
- 出典:中小企業生産性革命推進事業「事業承継・M&A補助金」(十六次公募)の公募要領を公表します|中小企業庁(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/kobo/2026/260904001.html)
- 出典:事業承継・M&A補助金(公式ポータル・採択結果)|中小企業庁(https://shoukei-mahojokin.go.jp/)
- 参考資料:事業承継・M&A補助金のご案内|中小機構(https://seisansei.smrj.go.jp/subsidy_info/succession_subsidy.html)
国の補助金と自治体の助成金の違い・併用の考え方
事業承継やM&Aを支援する制度は、国の事業承継・M&A補助金だけではありません。自治体が独自に設ける助成金もあり、両者は実施主体も内容も異なります。名前が似ているため混同しやすいので、区別して押さえておきましょう。
例えば東京都には、公益財団法人 東京都中小企業振興公社が実施する「事業承継支援助成金」があります。助成限度額は200万円(申請下限20万円)、助成率は対象経費の2/3以内で、自社株式評価、DD、人材紹介サービス、FA・M&A仲介業者との契約、事業統合計画策定などの外部専門家への委託費が対象です。国の補助金とは実施主体(国は中小企業庁・中小機構、都は東京都中小企業振興公社)が異なる、別の制度です。
ここでは東京都を例に挙げましたが、事業承継やM&Aを支援する助成金・補助金は、道府県や市区町村が独自に設けている場合があります。制度の有無や金額・対象経費は自治体によって異なるため、自社の所在地でどのような制度が使えるかは、地元の自治体や商工会議所・商工会、各都道府県の事業承継・引継ぎ支援センターに確認するとよいでしょう。
国の補助金と自治体の助成金を併用できるかどうかは、それぞれの制度の要領によります。同じ経費に対して重複して受給できないよう調整規定が設けられている場合があるため、両方の活用を検討する際は、各制度の要領で併用の可否を確認してください。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:令和8年度 事業承継支援助成金|公益財団法人 東京都中小企業振興公社(https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/shoukei.html)
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補助対象となるM&Aアドバイザリー・FAの選び方と相談先
補助金の内容がわかったら、次は「実際に誰へ相談してM&Aを進めるか」です。専門家活用枠を使うなら、依頼先がM&A支援機関登録制度に登録されているかが補助の前提になります。ここでは、登録アドバイザーを選ぶ観点と、相談先の一例を紹介します。
M&A仲介とFA(ファイナンシャルアドバイザー)の違い
M&Aの相談先は、大きく「仲介」と「FA」に分かれます。仲介は売り手・買い手の間に立ち、双方から手数料を受け取って成約を目指す形です。両者の間を取り持つため、交渉をまとめやすい一方で、どちらか一方の利益に偏らない中立的な立場をとります。
FA(ファイナンシャルアドバイザー)は、売り手か買い手の一方だけと契約し、その依頼者の利益を最大化する立場で助言します。売却価格や契約条件を自社に有利に進めたい場合は、自社側だけに立つFAが向きます。どちらの費用も、専門家活用枠ではM&A支援機関登録業者への費用であれば補助対象になります。自社がどちらの立場で、何を重視するかによって選ぶのが基本です。
仲介とFAの主な違いを整理すると、次のとおりです。いずれもM&A支援機関登録業者への費用であれば専門家活用枠の補助対象になります。
| 相談先の種類 | M&A仲介 | FA(ファイナンシャルアドバイザー) |
|---|---|---|
| 立場 | 売り手・買い手の間に立つ(中立) | 売り手または買い手の一方に専任 |
| 手数料の負担 | 売り手・買い手の双方 | 依頼した側のみ |
| 向いているケース | 双方の合意形成をまとめて成約を進めたい | 自社に有利な条件(価格・雇用・契約条件)を追求したい |
| 補助金の対象 | M&A支援機関登録業者への費用なら専門家活用枠の対象 | M&A支援機関登録業者への費用なら専門家活用枠の対象 |
補助対象になる業者かを見極める
相談先を選ぶ際の最初のチェックポイントは、前述のとおりM&A支援機関登録制度への登録の有無です。登録業者への費用でなければ補助対象にならないため、ここを外さないことが前提になります。そのうえで、自社の業種や取引規模に対応しているか、料金体系(着手金・成功報酬の有無や料率)が明確かといった観点で見比べて選ぶとよいでしょう。
M&A Lead(M&A Lead株式会社)

M&A Leadは、売主(譲渡企業)だけと契約する売主専門のM&Aアドバイザリーです。売り手・買い手の双方から手数料を受け取る仲介とは異なり、買い手からは手数料を受け取らない「片手取引」を採用し、譲渡価格や雇用条件など売主に有利な条件の追求に専念する立場を明確にしています。
中小企業庁のM&A支援機関登録制度に登録された支援機関であることを公式サイトで表明しており、専門家活用枠(売り手支援)の対象となる相談先の一例です。
料金は完全成功報酬制で、着手金・中間金・月額報酬はいずれも0円です。成功報酬は譲渡対価に応じて変動するレーマン方式(1〜5%)で算出されます。相談は無料で、全国対応・オンライン相談にも対応しています。美容業や動物病院などの事業承継から、上場企業の子会社の売却まで、幅広い規模・背景の成約実績があります。
M&Aアドバイザリー・FAは、会社ごとに得意な業種や取引規模、料金体系が異なります。ここで挙げた一例だけでなく複数の相談先を見比べて選びたい場合は、専門領域別の選び方や費用相場をまとめた以下の記事もあわせてご覧ください。
まとめ
事業承継・M&A補助金は、事業承継やM&Aにかかる費用の一部を国が補助する制度です。M&Aの仲介・FA費用を補助したい場合は専門家活用枠が該当し、補助上限は原則600万円で、DD費用を申請する場合は200万円が加算されて上限800万円、一定の要件を満たす買い手なら最大2,000万円まで補助されます。
申請にあたっては、対象になる枠と経費、自社が対象事業者に該当するか、そしてFA・仲介費用はM&A支援機関登録業者への費用に限られる点を確認することが大切です。補助金の内容や公募回次は年度ごとに変わるため、申請前には最新の公募要領で数値と締切を確かめ、登録された相談先とともに準備を進めるとよいでしょう。
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よくある質問(FAQ)
Q. 事業承継・M&A補助金とは何ですか?
A. 事業承継・M&A補助金は、中小企業庁が実施する、事業承継やM&Aによる経営資源の引継ぎにかかる費用の一部を補助する国の補助金です。令和6年度補正予算での見直しにともない、従来の「事業承継・引継ぎ補助金」から名称が変わりました。
目的別に「事業承継促進枠」「専門家活用枠」「PMI推進枠」「廃業・再チャレンジ枠」の4つの枠に分かれており、M&Aの仲介・FA費用を補助したい場合は専門家活用枠が該当します。
Q. 事業承継・M&A補助金では、M&Aの仲介手数料やFA報酬も補助対象になりますか?
A. 事業承継・M&A補助金では、M&Aの仲介手数料やFA(ファイナンシャルアドバイザー)報酬は専門家活用枠の対象経費になります。ただし補助対象となるのは、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録されたFAまたはM&A仲介業者への費用に限られます。登録されていない業者へ支払った費用は、M&Aが成立しても補助対象外となるため、相談先を選ぶ段階で登録の有無を確認しておくことが大切です。
Q. 個人事業主でも事業承継・M&A補助金を使えますか?
A. 個人事業主でも、専門家活用枠と廃業・再チャレンジ枠は対象になります。これらの枠は、公募要領で対象者に「個人事業主を含む」と明記されています。一方、事業承継促進枠は5年以内に親族内承継または従業員承継を予定している事業者が対象です。いずれの枠でも、最終的な対象可否は申請時点の公募要領本体で確認してください。
Q. 事業承継・M&A補助金は他の枠と併用して申請できますか?
A. 廃業・再チャレンジ枠は、事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠と併用して申請できます。一部の事業を廃業しながら他の事業を承継・M&Aするような場合が該当します。併用申請する場合の廃業・再チャレンジ枠の補助上限は150万円または300万円で、補助率は併用する各事業の補助率に従います。
Q. 事業承継・M&A補助金はいつ入金されますか?
A. 事業承継・M&A補助金は、原則として補助事業の実施後に支払われる「後払い」です。交付決定を受けた後に補助事業を実施し、実績報告書を提出して事業内容の検査と経費の確認を経て補助金額が確定してから交付されます。そのため費用はいったん自社で立て替える必要があり、支払いを受けるまでの資金計画も見込んでおくことが大切です。
Q. 事業承継・M&A補助金と自治体の事業承継助成金は併用できますか?
A. 事業承継・M&A補助金と自治体の助成金を併用できるかは、それぞれの制度の要領によって異なるため、個別の確認が必要です。国の事業承継・M&A補助金(中小企業庁・中小機構)と、東京都中小企業振興公社の「事業承継支援助成金」などの自治体制度は、実施主体も内容も異なる別の制度です。
同じ経費に重複して受給できないよう調整規定が設けられている場合があるため、両方の活用を検討する際は各制度の要領で併用の可否を確認してください。
Q. 事業承継・M&A補助金の申請にはどのくらいの準備期間が必要ですか?
A. 事業承継・M&A補助金の申請は電子申請システム「jGrants」で行い、その前提として「GビズIDプライム」アカウントの取得に2〜3週間程度かかります。公募要領でも、締切に余裕をもって手続きするよう求められています。加えて公募要領の確認や事業計画・見積書などの書類準備も必要になるため、公募期間の直前ではなく早めに準備を始めることをおすすめします。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















