初めて青色申告をする個人事業主や、経理に配属されたばかりの担当者にとって、仕訳帳は「項目の名前は分かっても、実際にどのマスへ何を書けばいいのか分からない」帳簿の代表格です。日付・摘要・元丁・借方・貸方という欄に、自分の取引をどう落とし込めばよいのか、手が止まってしまう場面は少なくありません。
仕訳帳の書き方は、実際に数字と勘定科目が埋まった記入例を見て、自分の取引に当てはめれば身につきます。摘要欄や元丁欄の使い方、複数の勘定科目にまたがる複合仕訳、間違えたときの訂正のしかたにも、押さえておくべき決まりがあります。
本記事では、取引パターン別に「そのまま真似できる」仕訳帳の記入例を先に示し、各記入項目の書き方・仕訳の基本ルール・総勘定元帳への転記・確定申告や保存期間との関係までを、記帳を始める方が迷わず手を動かせる形で解説します。手書き・エクセル・会計ソフトの選び方や、仕訳帳の作成を自動化する方法もあわせて紹介します。
目次
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【取引パターン別】仕訳帳の記入例
仕訳帳は、企業や個人事業主が行ったすべての取引を、発生した日付の順に記録する帳簿です。1つの取引を「借方(左側)」と「貸方(右側)」の2つの側面に分けて記録するのが複式簿記のルールで、借方と貸方の金額は必ず一致します。まずは、実際に数字と勘定科目が埋まった記入例を見てみましょう。
下表は、「5月10日に商品を現金35,000円で販売した」取引を、仕訳帳の様式(日付・摘要・元丁・借方・貸方)で記入した例です。摘要欄には借方の勘定科目を左寄せ・貸方の勘定科目を右寄せで書き、その下に取引の内容を短く添えます。
| 日付 | 摘要 | 元丁 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|---|---|
| 5/10 | (現金) | 1 | 35,000 | |
| (売上高) | 50 | 35,000 | ||
| 店頭にて商品を現金で販売 |
この取引では、現金という資産が35,000円増えたので借方に「現金」、売上という収益が35,000円発生したので貸方に「売上高」を記入します。元丁欄の「1」「50」は、この仕訳を後で総勘定元帳へ転記する際の、各勘定科目のページ番号です。
もう一例、代金を後日受け取る「掛け販売」を同じ様式で見てみましょう。下表は、5月15日にA商店へ商品を掛けで50,000円販売した取引の記入例です。現金の代わりに債権である「売掛金」が増えるため、借方には売掛金を記入します。
| 日付 | 摘要 | 元丁 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|---|---|
| 5/15 | (売掛金) | 3 | 50,000 | |
| (売上高) | 50 | 50,000 | ||
| A商店へ商品を掛けで販売 |
実務では、勘定科目と金額の対応が一目で分かる「仕訳の形」で覚えると当てはめやすくなります。代表的な取引パターンごとの記入例を、借方・貸方の形でまとめました。自社の取引に近いものを探して、そのまま真似してみてください。
| 取引の内容 | 借方(勘定科目・金額) | 貸方(勘定科目・金額) |
|---|---|---|
| 商品を現金35,000円で販売した | 現金 35,000 | 売上高 35,000 |
| 商品を50,000円で掛け販売した(代金は後日回収) | 売掛金 50,000 | 売上高 50,000 |
| 事務用品(消耗品)を現金5,000円で購入した | 消耗品費 5,000 | 現金 5,000 |
| 取引先訪問の電車代1,000円を現金で支払った | 旅費交通費 1,000 | 現金 1,000 |
| 買掛金50,000円を、振込手数料330円とともに普通預金から支払った | 買掛金 50,000 支払手数料 330 | 普通預金 50,330 |
| 売掛金50,000円を普通預金で回収した | 普通預金 50,000 | 売掛金 50,000 |
| 事業用の普通預金から生活費として30,000円を引き出した(個人事業主) | 事業主貸 30,000 | 普通預金 30,000 |
| 個人のお金(現金)で事業用の消耗品3,000円を購入した(個人事業主) | 消耗品費 3,000 | 事業主借 3,000 |
5つ目の「買掛金の振込」のように、1つの取引で借方または貸方に複数の勘定科目が並ぶ仕訳を複合仕訳と呼びます。この場合も、借方の合計(50,000+330=50,330円)と貸方(50,330円)は一致します。複合仕訳の書き方は後ほど詳しく説明します。
個人事業主の場合、事業用の口座から生活費を引き出したときは「事業主貸」、個人のお金で事業の経費を払ったときは「事業主借」を使います。この表は借方・貸方だけを取り出した形ですが、実際に仕訳帳へ書くときは、先ほどの様式のように摘要欄へ勘定科目と取引内容を記入していきます。
仕訳帳の各記入項目の書き方
ここからは、仕訳帳の5つの記入欄(日付・摘要・元丁・借方・貸方)に何を書くかを、先ほどの記入例と対応させながら確認します。日付欄には取引が発生した年月日を、借方欄・貸方欄にはそれぞれの金額を記入します。借方と貸方には、後述する勘定科目のルールに従って取引を振り分けます。初心者がつまずきやすい摘要欄と元丁欄は、項目を分けて説明します。
仕訳帳に記載する事項は、法令でも定められています。所得税法施行規則第59条は、青色申告者は仕訳帳に「取引の発生順に、取引の年月日、内容、勘定科目及び金額」を記載しなければならないと規定しています。実務の欄でいえば、日付欄が「年月日」、摘要欄が「内容」、借方欄・貸方欄が「勘定科目及び金額」にあたります。元丁欄は総勘定元帳への転記先を示す実務上の欄で、法令が定める必須の記載事項ではありません。
出典・参考資料(1件)
摘要欄の書き方(相手先・数量を残すコツ)
摘要欄には、その取引の勘定科目と内容を記入します。仕訳帳の様式では、借方の勘定科目を左寄せ、貸方の勘定科目を1〜2文字下げて右寄せで書き、それぞれを丸カッコで囲むのが慣例です。勘定科目の下の行に、取引の相手先や商品名・数量などを短く添えると、後から見返したときに何の取引だったかが分かります。
たとえば「A商店へ商品10個を掛けで販売」のように、相手先と数量を残しておくと、売掛金の回収漏れや二重計上を防ぎやすくなります。摘要は自分と第三者(税理士・税務署)が取引を再現できる情報を意識して書くのがコツです。
元丁欄の意味と書き方(転記先ページの記入)
元丁(もとちょう)欄は、仕訳帳に記録した各勘定科目を総勘定元帳へ転記したときの、転記先ページ番号を記入する欄です。「元帳の丁数(ページ)」を略して元丁と呼びます。先ほどの記入例では、現金勘定が総勘定元帳の1ページ、売上高勘定が50ページにあることを示しています。
元丁欄は、仕訳帳と総勘定元帳を相互に照合するための番号なので、転記が済むまでは空欄で構いません。転記を終えた仕訳から順に番号を記入していくと、どこまで転記したかの目印にもなります。会計ソフトを使う場合は、転記と元丁の記入は自動で行われるため、手で書く必要はありません。
仕訳の基本ルール(借方・貸方と勘定科目の5分類)
記入例のとおりに書けるようになったら、「なぜ借方と貸方にその勘定科目が入るのか」の考え方を押さえておくと、初めて出会う取引にも応用できます。ここでは、借方・貸方の増減ルールと、勘定科目の5つの分類を整理します。
すべての勘定科目は、資産・負債・純資産・収益・費用の5つに分類されます。この分類ごとに、増えたときに借方・貸方のどちらへ書くかが決まっています。資産と費用は増えたときに借方、負債・純資産・収益は増えたときに貸方に記入する、と覚えると整理しやすくなります。
| 分類 | 資産 | 負債 | 純資産 | 収益 | 費用 |
|---|---|---|---|---|---|
| 内容 | 現金や権利など、会社が持つ財産 | 将来支払う義務 | 資産から負債を引いた正味の財産 | 事業で得たもうけ | もうけを得るためにかかった支出 |
| 増えたとき | 借方 | 貸方 | 貸方 | 貸方 | 借方 |
| 代表的な勘定科目 | 現金、普通預金、売掛金、商品 | 買掛金、借入金、未払金 | 資本金、元入金、繰越利益剰余金 | 売上高、受取利息、雑収入 | 仕入、消耗品費、旅費交通費、支払手数料 |
先ほどの「現金で商品を販売した」取引なら、資産である現金が増えたので借方、収益である売上高が増えたので貸方に記入した、と説明できます。取引を見たときに「何が増えて・何が減ったか」を2つの勘定科目でとらえるのが、仕訳の基本的な考え方です。
勘定科目を選ぶときのコツ
同じ内容の取引には、毎回同じ勘定科目を使うのが基本です。年度の途中や年ごとに科目を変えると、前年との比較や集計がしにくくなります。迷ったときは「何のための支出か」で考え、事業の実態に合った科目を選びます。
「雑費」は、どの科目にも当てはまらない少額の支出に限って使い、使いすぎないようにします。雑費が膨らむと、何にいくら使ったかが決算書から読み取りにくくなります。複数人で記帳する場合は、どの取引にどの科目を使うかを社内で決めておくと、表記のばらつきを防げます。
仕訳帳を書く際のポイント(借方=貸方一致・複合仕訳・訂正仕訳)
ここからは、記帳を始めてからつまずきやすい3つのポイント――借方と貸方の一致、複合仕訳、訂正仕訳――を、書き方とあわせて解説します。
借方と貸方の金額を必ず一致させる
複式簿記では、1つの取引の借方合計と貸方合計は必ず等しくなります。これを貸借平均の原理といいます。記入後に借方と貸方の合計が合わないときは、勘定科目の取り違えや金額の書き間違いが起きているサインなので、その場で見直します。日々の仕訳で借方=貸方を保つことが、月末・年度末の集計を正しく仕上げる前提になります。
複合仕訳の書き方(複数の勘定科目は行を分ける)
1つの取引で借方または貸方に複数の勘定科目が生じる場合は、勘定科目ごとに行を分けて記入します。これを複合仕訳と呼びます。たとえば「借入金100,000円を、利息2,000円とともに普通預金から返済した」取引は、次のように借方を2行に分けて書きます。
| 借方(勘定科目・金額) | 貸方(勘定科目・金額) |
|---|---|
| 借入金 100,000 | 普通預金 102,000 |
| 支払利息 2,000 |
行を分けても、借方の合計金額と貸方の合計金額が一致していれば正しい仕訳です。無理に1行にまとめず、発生した勘定科目をそのまま並べるほうが、後から見返したときに取引の中身が分かります。
訂正仕訳の書き方(間違えたときの直し方)
仕訳帳の書き間違いは、消しゴムや修正液で消さないのが原則です。まだ総勘定元帳へ転記していない段階なら、手書きの場合は誤った箇所を二重線で消して訂正印を押し、正しい内容を書き直します。会計ソフトなら、対象の仕訳をその場で修正します。
すでに転記まで済ませた仕訳を直すときは、誤った仕訳を打ち消す仕訳(貸借を逆にした仕訳)を新たに記入し、続いて正しい仕訳を記入します。この打ち消しの仕訳を訂正仕訳といいます。たとえば、電車代1,000円(旅費交通費)を誤って「借方:消耗品費/貸方:現金」と記入していた場合は、次のように直します。
| 手順 | 借方(勘定科目・金額) | 貸方(勘定科目・金額) |
|---|---|---|
| ①打ち消し(誤りを逆仕訳で消す) | 現金 1,000 | 消耗品費 1,000 |
| ②正しい仕訳を記入 | 旅費交通費 1,000 | 現金 1,000 |
①の打ち消しで誤った「消耗品費」を取り消し、②で正しい「旅費交通費」に記入し直します。訂正の記録が帳簿に残ることで、後から税理士や税務署が確認しても経緯をたどれる状態を保てます。
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仕訳帳と総勘定元帳の違い・転記の流れ
仕訳帳と並んで作成する主要簿に、総勘定元帳があります。2つの帳簿はどちらも同じ取引を記録しますが、記録の切り口が異なります。ここでは両者の違いと、仕訳帳から総勘定元帳へ記録を移す「転記」の流れを整理します。
仕訳帳と総勘定元帳の違い(日付順か、勘定科目別か)
仕訳帳は、すべての取引を発生した日付の順に記録する帳簿です。一方、総勘定元帳は、現金・売掛金・売上高といった勘定科目ごとにページを設け、その科目の増減と残高を集計する帳簿です。仕訳帳は「いつ・どんな取引があったか」を時系列で、総勘定元帳は「特定の勘定科目が今いくらか」を確認できます。
2つの帳簿が必要なのは、目的が異なるためです。日々の取引を漏れなく記録するのが仕訳帳、勘定科目ごとに集計して決算書(貸借対照表・損益計算書)の作成につなげるのが総勘定元帳です。仕訳帳の元丁欄(総勘定元帳のページ番号)と総勘定元帳の仕丁欄(転記元である仕訳帳のページ番号)が、両者をひもづける番号として機能します。
記帳(転記)の流れ(証憑から仕訳帳・総勘定元帳へ)
日々の記帳は、証憑の確認から総勘定元帳への転記まで、次の流れで進みます。
- 証憑(領収書・請求書・通帳など)で取引を確認する
- 取引を借方・貸方に分けて仕訳を考える
- 仕訳帳へ日付順に記入する
- 各勘定科目を総勘定元帳へ転記し、元丁欄にページ番号を記入する

先ほどの「5/10 現金で商品を35,000円販売した」仕訳を転記すると、総勘定元帳の現金勘定と売上高勘定のページに、それぞれ次のように書き写されます。相手の勘定科目を摘要欄に記入し、仕丁欄には転記元である仕訳帳のページ番号を書きます。
| 勘定(元帳のページ) | 日付 | 摘要(相手勘定) | 仕丁 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|---|---|---|
| 現金 | 5/10 | 売上高 | 1 | 35,000 | |
| 売上高 | 5/10 | 現金 | 1 | 35,000 |
この一連の作業を毎日の取引ごとに繰り返すことで、月次・年次の集計と決算書の作成につながります。手作業では転記の手間や書き間違いが生じやすいため、後述する会計ソフトを使うと、仕訳の入力だけで総勘定元帳への転記まで自動で行われます。
仕訳帳と確定申告・保存期間
仕訳帳をきちんと作成することは、確定申告での節税や、法律で定められた帳簿の保存義務にも直結します。ここでは、青色申告の特別控除と仕訳帳の保存期間を、国税庁・法令の一次情報にもとづいて確認します。
青色申告特別控除(最大65万円)と仕訳帳
個人事業主が青色申告で特別控除を受けるには、複式簿記による記帳、すなわち仕訳帳と総勘定元帳の作成が土台になります。ただし、複式簿記による記帳などの要件を満たして受けられるのは最高55万円で、65万円の控除にはさらに要件が加わります。国税庁は65万円控除の要件を次のように定めています。
(1) 上記「55万円の青色申告特別控除」の要件に該当していること。
出典:No.2072 青色申告特別控除|国税庁
(2) 次のいずれかに該当していること。
イ その年分の事業に係る仕訳帳および総勘定元帳について、電子帳簿保存(下記<参考>参照)を行っていること(注1)。
ロ その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表、損益計算書等を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して送信すること(注2)。
複式簿記による記帳(55万円控除の要件)に加えて、仕訳帳・総勘定元帳の電子帳簿保存か、e-Taxでの申告書送信のいずれかを満たすと、控除額が65万円に上がります。後述する会計ソフトを使えば、複式簿記での記帳・電子帳簿保存・e-Taxでの申告のいずれにも対応しやすく、65万円控除の要件を満たす近道になります。
青色申告に対応した会計ソフトを具体的に選びたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。65万円控除の要件を満たすための機能や料金、法人の青色申告への対応まで、青色申告ソフトを横並びで比較しています。
仕訳帳の保存期間(個人事業主・法人)
作成した仕訳帳は、一定期間の保存が法律で義務づけられています。保存期間は、個人事業主か法人か、青色申告か白色申告かによって異なります(2026年9月時点。青色申告の欠損金が生じた事業年度など、7年が10年になる例外もあります)。
| 区分 | 個人事業主(青色申告) | 個人事業主(白色申告) | 法人 |
|---|---|---|---|
| 仕訳帳の保存期間 | 7年 | 法定帳簿は7年(任意帳簿は5年) | 法人税法で7年/会社法上の会計帳簿は10年 |
| 根拠 | 国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」 | 国税庁 No.2080 | 法人税法・会社法第432条 |
法人の場合、税務上の保存期間は法人税法で7年とされる一方、会社法では会計帳簿を10年保存すると定められています。会社法の条文は次のとおりです。
2 株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。
出典:会社法 第432条|e-Gov法令検索
個人事業主の青色申告では、仕訳帳・総勘定元帳を7年間保存します。取引件数が増えると、紙やエクセルでの帳簿の保存・管理も負担になります。会計ソフトで電子的に記帳・保存すれば、保存義務への対応と、65万円控除に必要な電子帳簿保存を同時に進められます。
65万円控除の要件にもなっている電子帳簿保存について、制度の中身や対応のメリット・注意点を詳しく知りたい方は、以下の記事で解説しています。
出典・参考資料(5件)
手書き・エクセル・会計ソフトの比較(どの方法で始めるか)
仕訳帳の作成方法は、大きく手書き・エクセル・会計ソフトの3つに分かれます。取引件数や簿記の習熟度、確定申告の方法によって向き不向きがあるため、それぞれの費用感と手間を比較して選びましょう(費用は2026年9月時点の一般的な目安です)。
| 方法 | 手書き(市販の帳簿) | エクセル(テンプレート) | 会計ソフト |
|---|---|---|---|
| 費用の目安 | 帳簿1冊数百円程度 | 基本的に無料(テンプレートを利用) | 個人向け年額1万円前後〜、法人向け月額数千円〜 |
| 手間・特徴 | 転記・集計・計算をすべて手作業で行う。仕組みの理解には役立つが、取引が増えると負担が大きい | 無料の仕訳帳テンプレートを使えば集計を関数で自動化できる。転記や決算書作成は自分で組む必要がある | 仕訳の入力だけで総勘定元帳への転記・決算書作成まで自動化。銀行明細の取込や自動仕訳に対応 |
| 向いている人 | 取引件数がごく少なく、簿記の学習を兼ねたい人 | 取引が少なめで、表計算に慣れている人 | 取引が一定数あり、記帳と申告の手間を減らしたい人 |
手書き用の帳簿は文具店や通販で購入でき、簿記の仕組みを体で覚えたい場合に向きます。エクセルは、ゼロから様式を作らなくても、会計ソフトの提供会社や会計情報サイトが配布する無料の仕訳帳テンプレートを使うのが現実的です。記帳と確定申告の負担を継続的に減らしたいなら、次に紹介する会計ソフトが有力な選択肢になります。
会計ソフトで仕訳帳の作成を効率化する
前節の比較で見たとおり、取引が一定数あれば会計ソフトが有力な選択肢になります。会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取得し、AIが勘定科目を提案して仕訳を自動作成します。
仕訳を登録すれば総勘定元帳への転記まで自動で行われ、複式簿記の帳簿づくりや、青色申告65万円控除に必要な電子帳簿保存・e-Taxにも対応できます。手で書く方法を理解したうえで、記帳の負担を減らしたい場合の選択肢として検討してみてください。
ここでは、複式簿記に対応した代表的なクラウド会計ソフトを3つ比較します。対象は、個人事業主なら個人プランのある freee会計、法人なら弥生会計 Next・マネーフォワード クラウド会計です(弥生・マネーフォワードにも個人事業主向けの別製品があります)。自社の区分に合ったものを選びましょう。
| サービス名 | 弥生会計 Next | freee会計 | マネーフォワード クラウド会計 |
|---|---|---|---|
| 対象規模 | 法人専用 (個人は別製品「やよいの青色申告 オンライン」) | 個人事業主〜法人 (個人プランは月980円〜) | 法人(ひとり法人〜中小・〜50名想定) (個人は別製品「クラウド確定申告」) |
| 月額費用(税抜) | 2,900円〜 (年契約の月額換算) | 2,980円〜 (法人ひとり法人・年払い月額) | 2,480円〜 (ひとり法人・年払い月額) |
| 無料トライアル | あり (最大2か月・全機能) | あり (30日間) | あり (1ヶ月) |
| 明細の自動取込・自動仕訳 | ●2,500以上の金融機関・サービス連携+AI取引入力(月300回) | ●1,043の金融機関・サービス連携+「自動で経理」・AI-OCR | ●2,300〜2,400以上の金融関連サービス連携+AI仕訳・AI-OCR |
| 仕訳帳・総勘定元帳の出力 | ●仕訳日記帳・総勘定元帳をPDF出力 | ●仕訳帳・総勘定元帳をCSV/PDF出力(他社ソフト取込形式も) | ●仕訳帳・総勘定元帳・補助元帳をCSV/PDF出力 |
| 電子帳簿保存法・インボイス対応 | ●JIIMA認証取得 | ●JIIMA認証取得 | ●JIIMA認証取得 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
1. 弥生会計 Next(弥生株式会社)

弥生会計 Next は、弥生株式会社が2025年に提供を開始した法人向けのクラウド会計ソフトです。「知識ゼロでも迷わずカンタン」を掲げ、銀行口座やクレジットカードの明細をAPIで自動取得して仕訳を作成し、決算書の作成までをクラウド上で完結できます。会計に加えて請求・経費・証憑管理を同一基盤で扱えるため、記帳を始めたばかりの法人にも導入しやすい構成です。
料金はエントリープランが年額34,800円(税抜、2026年9月時点)からで、電話サポートや仕訳相談が必要な場合は上位のベーシックプラスプランを選べます。弥生会計 Next は法人専用で、個人事業主向けには「やよいの青色申告 オンライン」が別に用意されています。
2. freee会計(フリー株式会社)

簿記の知識に自信がなくても複式簿記の帳簿を作れるように設計されているのが、フリー株式会社のfreee会計です。銀行口座・クレジットカード・電子マネーなどと連携して明細を自動取得し、AI-OCRが領収書・請求書を読み取って仕訳の下書きを作成します。取引を登録すると発生主義にもとづく複式仕訳が生成されるため、初めて青色申告に挑む個人事業主でも記帳を進めやすいのが特徴です。
個人事業主から中小企業、上場企業までを対象とし、仕訳帳・総勘定元帳の確認・出力や、電子帳簿保存法・インボイス制度にも対応します。個人向けプランと法人向けプランが用意されているため、事業形態に合わせて選べます。
3. マネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド会計は、株式会社マネーフォワードが提供する、ひとり法人・中小企業向けのクラウド会計ソフトです。銀行やクレジットカードの明細を自動取得し、AIが勘定科目を提案して仕訳を自動化します。振替伝票入力・簡単入力・仕訳帳入力の3つの入力方式に対応し、経理経験者が勘定科目を自分で選んで自由度高く記帳できます。
仕訳帳・総勘定元帳・試算表から決算書までを作成でき、請求書・経費・給与など他のマネーフォワード クラウド製品と同一基盤で連携します。法人向けの製品のため、個人事業主向けには「マネーフォワード クラウド確定申告」が別に提供されています。
ここで取り上げた3製品のほかにも、クラウド会計ソフトは想定する事業規模やタイプごとに選択肢が分かれます。以下の記事では、主要なクラウド会計ソフトを規模・タイプ別の選び方や料金とあわせて比較しています。自社に合う製品を広く見比べて検討したい方はご覧ください。
【2026年】クラウド会計ソフト比較15選|規模・タイプ別の選び方と料金を解説
クラウド会計ソフトの導入を検討するとき、「製品が多すぎて自社に合うものが分からない」「インボイス制度や電子帳簿保存法に対応しているか不安」「手入力やExcelでの記帳から早く脱却したい」といった悩みに突き当たる担当者は少なくありません。 選…
まとめ
仕訳帳は、取引を日付順に借方・貸方へ分けて記録する帳簿です。書き方は、実際に埋まった記入例を自分の取引に当てはめれば身につきます。摘要欄には勘定科目と取引内容を、元丁欄には総勘定元帳への転記先ページを記入し、借方と貸方の金額は必ず一致させます。複数の勘定科目が生じる複合仕訳は行を分け、間違えたときは訂正仕訳で打ち消してから正しい仕訳を記入します。
青色申告の65万円控除に必要な複式簿記の帳簿づくりや、日々の記帳・保存の手間を減らしたい場合は、会計ソフトの導入も検討してみてください。各社の機能や料金は、資料をまとめて取り寄せて比較してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 仕訳帳とは何ですか?
仕訳帳とは、事業で行ったすべての取引を、発生した日付の順に借方(左側)と貸方(右側)へ分けて記録する主要簿です。総勘定元帳とともに複式簿記の土台となる帳簿で、日々の取引を漏れなく時系列で残す役割を持ちます。仕訳帳に記入した取引は、勘定科目ごとに集計する総勘定元帳へ転記され、最終的に決算書の作成につながります。
Q. 仕訳帳の摘要欄には何を書けばよいですか?
仕訳帳の摘要欄には、借方・貸方の勘定科目と、取引の相手先や商品名・数量といった取引内容を書きます。勘定科目は借方を左寄せ・貸方を右寄せにして丸カッコで囲み、その下の行に相手先や数量を短く添えるのが慣例です。こうしておくと、後から見返したときや税理士・税務署が確認するときに、何の取引だったかを再現しやすくなります。
Q. 仕訳帳で借方と貸方の金額が合わないときはどうすればよいですか?
借方と貸方の金額が合わないときは、勘定科目の取り違えか金額の書き間違いが起きているサインなので、その場で仕訳を見直します。複式簿記では1つの取引の借方合計と貸方合計は必ず一致します(貸借平均の原理)。合計が合わないまま先へ進めず、原因となっている勘定科目や金額を特定して直すのが基本です。日々の仕訳で借方=貸方を保つことが、月末・年度末の集計を正しく仕上げる前提になります。
Q. 仕訳帳を書き間違えたときはどう直せばよいですか?
仕訳帳の書き間違いは、消しゴムや修正液で消さず、誤った仕訳を貸借逆にした「訂正仕訳」で打ち消してから、正しい仕訳を記入して直します。訂正の記録が帳簿に残ることで、後から税理士や税務署が確認しても経緯をたどれる状態を保てます。会計ソフトを使っている場合は、対象の仕訳を修正・削除すれば関連する総勘定元帳や集計も自動で直ります。
Q. 仕訳帳は手書き・エクセル・会計ソフトのどれで始めるべきですか?
仕訳帳の作成方法は、取引件数がごく少なければ手書きやエクセルのテンプレート、取引が一定数あり記帳と申告の手間を減らしたいなら会計ソフトが向いています。手書きは仕組みの理解に役立つ一方で転記・集計がすべて手作業になり、エクセルは無料で始められますが決算書の作成は自分で組む必要があります。
青色申告の65万円控除に必要な電子帳簿保存やe-Taxまで見据えるなら、複式簿記に対応した会計ソフトが対応しやすい選択肢です。
Q. 仕訳帳の保存期間は何年ですか?
仕訳帳の保存期間は、個人事業主は青色申告・白色申告とも原則7年、法人は法人税法上7年・会社法上は会計帳簿として10年です。青色申告で欠損金が生じた事業年度など、7年が10年に延びる例外もあります。取引件数が増えるほど紙やエクセルでの保存・管理は負担が大きくなるため、会計ソフトで電子的に記帳・保存すれば、保存義務への対応と65万円控除に必要な電子帳簿保存を同時に進められます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















