毎月の経費精算に追われていませんか。申請書の記入ミスや領収書の添付漏れで差し戻しが続き、締めのたびに残業になる。立て替えた経費の払い戻しは遅れがちで、小口現金は合わず、紙の領収書のファイリングも手間がかかる。こうした負担は、働き方改革や電子帳簿保存法・インボイス制度への対応が求められるなかで、多くの企業が見直しを迫られています。
経費精算を効率化する手段は、経費精算システムの導入だけではありません。法人カードの活用、ペーパーレス化、交通系ICカードの連携、社内ルールの見直しなど複数の打ち手があり、自社の悩みに合わせて組み合わせられます。
本記事では、まず「どの課題にどの手段が効くか」を早見表で示し、各手段の具体的な中身、経費精算システムの選び方、電子帳簿保存法・インボイス制度への対応、料金相場までを解説します。読み終えるころには、自社が着手すべき効率化の打ち手と、システムを比較検討する際の判断材料が見えてくるはずです。
目次
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経費精算のよくある課題と、効く効率化手段
効率化を考えるうえで大切なのは、自社の悩みに合った手段を選ぶことです。まずは経理現場で起こりがちな課題を整理し、それぞれにどの手段が効くのかを早見表で示します。
経理現場で起こりがちな経費精算の課題
紙やExcelを中心とした経費精算では、次のような負担が積み重なりやすくなります。
- 手入力や転記のミス、領収書の添付漏れで申請が差し戻され、承認の往復に時間がかかる
- 従業員の立て替えが多く、払い戻しまでに時間がかかって不満が生まれやすい
- 小口現金の管理に手間がかかり、現金が合わないと確認作業が発生する
- 紙の領収書のファイリング・保管に場所と工数を取られる
- 交通費の経路確認や定期区間の控除計算を手作業で行っている
- 申請・承認が個人のやり取りに依存し、承認フローが属人的で滞りやすい
課題別|効く効率化手段の早見表
それぞれの課題に対して、特に効果が見込める手段は次のとおりです。1つの課題に複数の手段が効くこともあり、組み合わせて導入すると効果が高まります。
| 課題×効率化手段 | 申請ミス・領収書の添付漏れによる差し戻し | 立て替え払いの払い戻しに時間がかかる | 小口現金の管理・照合の負担 | 紙の領収書のファイリング・保管 | 交通費・定期区間の計算に手間がかかる | 承認フローが属人的で滞りやすい |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 効く効率化手段 | 経費精算システムの入力補助・規定の自動チェック | 法人カードの活用・カード明細の自動取込 | 法人カード・キャッシュレス化 | ペーパーレス化・AI-OCRによるデータ化 | 交通系ICカード連携・経路検索 | ワークフロー機能・社内ルールの見直し |
| 効く理由 | 申請時に不備や規定違反を自動で検知し、差し戻しの往復そのものを減らせます | 経費をカード払いにすると立て替え自体がなくなり、明細がそのまま精算データになります | 現金の出納をなくすことで、金額照合や補充の作業が不要になります | 領収書をスマートフォンで撮影してデータ化し、電子保存に切り替えられます | 利用履歴の読み取りや経路検索で運賃を自動計算し、定期区間分も自動で控除できます | 承認経路をシステム化し、ルールを明文化・周知することで停滞や差し戻しを防ぎます |
経費精算を効率化する5つの手段と具体的な中身
ここからは、早見表で挙げた手段を1つずつ掘り下げます。特に経費精算システムは、導入すると何が自動化されるのかを具体的に見ていきます。全体像は次のとおりです。

1. 経費精算システムの導入
経費精算システムは、申請から承認、仕訳、保存までを一元管理するツールです。導入すると、これまで手作業だった工程の多くが自動化されます。主な自動化のポイントは次のとおりです。
- AI-OCRによる領収書のデータ化:領収書やレシートをスマートフォンで撮影すると、金額・日付・取引先などを読み取って入力を補助します
- 自動仕訳・会計ソフト連携:申請内容から勘定科目を判定して仕訳データを作成し、会計ソフトへ連携します
- 社内規定の自動チェック:上限額や必要な添付書類など、規定に反する申請にアラートを表示します
- 法人カード・交通系ICカードの明細取込:カードやICカードの利用明細を取り込み、精算データとして活用します
- 承認ワークフロー:申請内容や金額に応じて承認経路を自動で振り分け、承認をスマートフォンからも行えます
入力の手間とミスを同時に減らせるため、差し戻しの往復や月末月初の業務集中を和らげられます。会計ソフトとの連携まで自動化すると、経理の転記作業もなくなります。
2. 法人カードの活用
経費の支払いを法人カードにまとめると、従業員による立て替え払いそのものをなくせます。払い戻しの遅れによる不満が解消し、小口現金の管理も不要になります。小口現金を廃止する際の仕訳や具体的な進め方は、「小口現金とは?仕訳・勘定科目・管理方法から廃止のポイントまで解説」で詳しく解説しています。
多くの経費精算システムは法人カードの利用明細を自動で取り込めるため、カード払いにした経費はそのまま精算データになります。手入力の削減と立て替えの解消を同時に進められる手段です。
3. ペーパーレス化の推進
紙の領収書や申請書をやめ、データでのやり取りに切り替える手段です。領収書をスマートフォンで撮影してAI-OCRでデータ化すれば、ファイリングや保管の場所・工数を削減できます。
ペーパーレス化は、後述する電子帳簿保存法への対応とも直結します。電子で受け取った領収書はデータのまま保存する必要があるため、効率化と法対応を同時に進められます。
4. 交通系ICカード連携
交通費は件数が多く、経路や運賃の確認に手間がかかりがちです。交通系ICカードの利用履歴を読み取ったり、乗降駅から経路検索したりすることで、運賃を自動で計算できます。
定期区間をあらかじめ登録しておけば、定期でカバーされる区間の運賃を自動で控除でき、交通費の二重支給を防げます。日々の交通費申請の負担が大きい企業ほど効果が見込めます。
交通費の申請件数が特に多く、交通費に絞って自動化を進めたい場合は、Suica・PASMOなどICカードの対応状況や定期区間の自動控除を軸に選べる専用システムもあります。以下の記事で比較しています。
5. 経費精算ルール・フローの見直しと周知
ツールの導入と並行して、社内ルールと業務フローを見直すことも効果的です。申請の締め日、必要な添付書類、承認の経路といったルールが曖昧なままだと、システムを入れても差し戻しや問い合わせが減りません。
まず現状の業務フローを洗い出し、ルールを明文化して従業員に周知します。ルールを整えたうえでシステムに反映すると、自動チェックやワークフローの効果を引き出しやすくなります。
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経費精算システムの選び方・導入時の注意点
経費精算システムを導入する場合、次の観点を確認しておくと、導入後のミスマッチを避けやすくなります。
入力精度と、自社の規定に合った設定ができるか
AI-OCRの読み取り精度はサービスによって差があり、読み取り後の修正が多いと効率化の効果が薄れます。無料トライアルやデモで、自社が実際に扱う領収書での読み取り具合を確かめておくと安心です。
あわせて、上限額や承認経路、費目といった自社の規定をシステム上で再現できるかも確認しておくと安心です。独自ルールが多い場合は、設定の柔軟性が選定の分かれ目になります。
既存の会計システムと連携できるか
経費精算の効果を最大化するには、仕訳データを会計ソフトへ連携できるかが重要です。使っている会計ソフトにAPIやCSVで連携できるかを確認しないと、結局は転記作業が残ってしまいます。
会計ソフトを提供するベンダーの経費精算システムは、同じシリーズ内での連携がスムーズなことが多く、他社の会計ソフトを使っている場合は連携方式を個別に確かめる必要があります。
サポート体制の充実度
導入時の初期設定や、運用開始後の従業員からの問い合わせ対応は、経理部門の負担になりがちです。導入支援の有無や、問い合わせ窓口の種類(電話・メール・チャット)・対応時間を確認しておくと、社内での運用定着を進めやすくなります。
導入でつまずきやすいポイント
システムを導入しても、従業員が新しい申請方法に慣れず入力してくれない、現場と経営層で効率化への温度差がある、といった理由で定着しないことがあります。導入の目的の共有と、操作の分かりやすさや説明会の実施まで含めて検討すると、こうしたつまずきを避けやすくなります。
経費精算の効率化と電子帳簿保存法・インボイス制度
経費精算の効率化は電子化を伴うため、電子帳簿保存法とインボイス制度への対応と切り離せません。ここでは、経費精算に関わる要点を整理します。
電子帳簿保存法:電子取引データは電子保存が必要
電子帳簿保存法第7条により、注文書・領収書・請求書などに相当する電子データをやり取りした場合は、その電子取引データを保存する義務があります。メールで受け取った請求書や、インターネットで購入した際の領収書などが対象です。
この電子取引データの電子保存は、2024年(令和6年)1月1日以後にやり取りするデータについて本格的に義務化されました。紙に出力して保存すればよいとした従来の宥恕措置は、令和5年12月末で廃止されています。
保存にあたっての原則的なルールは3つです。国税庁は次のように示しています。
出典:電子帳簿保存法対応!令和6年1月以降の電子取引データの保存方法について|国税庁
- ① 改ざん防止のための措置をとること
- ② 保存データを確認するためのディスプレイやプリンタ等を備え付けること
- ③ 「日付・金額・取引先」の3つの要素で検索できること

①の改ざん防止は、タイムスタンプの付与、訂正・削除の履歴が残るシステムの利用、または事務処理規程の策定・運用のいずれかで満たせます。また、基準期間(2年前)の売上高が5,000万円以下の事業者は、税務調査でデータのダウンロードの求めに応じられるようにしていれば、③の検索要件を満たす必要はありません。経費精算システムを使えば、これらの要件に沿った保存を行いやすくなります。
また、原則的なルールへの対応が間に合わない場合の猶予措置も設けられています。
⑴ 原則的な保存ルールに従って電子取引データを保存することができなかったことについて、所轄税務署長が相当の理由があると認める場合
出典:電子帳簿保存法対応!令和6年1月以降の電子取引データの保存方法について|国税庁
⑵ 税務調査の際に、電子取引データのダウンロードの求め、電子取引データをプリントアウトした書面の提示・提出の求めにそれぞれ応じることができるようにしている場合
この猶予措置では、事前の届出は不要で、「人手不足」「システム整備の資金不足」なども相当の理由として認められます。ただし、これは電子取引データそのものの保存を不要にするものではなく、データは保存しておく必要がある点に注意が必要です。
紙で受け取った領収書や請求書は、スキャナ保存の要件を満たせばデータ化して保存できます。解像度や入力期間などの要件がありますが、要件に対応した経費精算システムを使えば満たしやすくなります。
紙・電子それぞれの領収書を、保存期間や検索要件を満たしてどう保存すればよいか、具体的なやり方を確認したい場合は、以下の記事で整理しています。
出典・参考資料(3件)
インボイス制度:経費精算で押さえる少額特例
インボイス制度(適格請求書等保存方式)は2023年(令和5年)10月1日に始まりました。仕入税額控除を受けるには、原則として適格請求書(インボイス)の保存が必要です。経費精算では、立替経費や少額の購入でインボイスをその都度保存する負担が課題になります。
この負担を軽減するのが「少額特例」です。国税庁は次のように説明しています。
少額(税込1万円未満)の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくとも一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除ができます。これは取引先がインボイス発行事業者であるかどうかは関係なく、免税事業者であっても同様です。
出典:少額特例(一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置)の概要|国税庁
少額特例の対象は、基準期間における課税売上高が1億円以下、または特定期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者です。多くの中小企業が該当します。1万円未満かどうかは、商品ごとではなく1回の取引の合計額(税込)で判定します。ただし、これは2023年(令和5年)10月1日から2029年(令和11年)9月30日までの経過措置であり、恒久的な制度ではない点に留意してください。
公共交通機関の運賃や自動販売機での購入など、3万円未満で適格請求書の交付義務が免除される取引は別のルールです。少額特例(買い手がインボイスを保存しなくてよい措置)と混同しないよう注意しましょう。経費精算システムの多くはインボイスの登録番号の読み取りや適格請求書の判定に対応しており、こうした制度への対応を支援します。
経費精算システムの料金相場
経費精算システムの料金は、多くの場合「初期費用+月額基本料+利用人数に応じた従量課金」という構造になっています。金額を公開せず、料金表の請求や問い合わせを求めるサービスも少なくありません。
- 初期費用:0円のサービスが多い一方、10万円程度かかるサービスもあります
- 月額基本料:数千円から3万円程度まで幅があり、利用人数や含まれる機能で変わります
- 従量課金:1ユーザーあたり月額数百円が目安で、利用人数に応じて加算されます
従量課金には、従業員数ではなく、実際に申請・承認を行ったユーザーの人数だけを対象とするサービスもあります。利用人数や必要な機能(AI-OCR・交通系ICカード連携などをオプションとする場合もあります)によって総額は変わるため、自社の人数・運用に当てはめた見積もりを取って比較するのが確実です。
たとえば従業員50名規模の場合、1ユーザーあたり月数百円の従量課金型なら、月数万円程度が一つの目安になります。人数無制限の定額型は人数が増えても月額が変わらないため、利用人数が多いほど割安になりやすい特徴があります。実際に経費精算を行う人数が従業員数より少ない場合は、利用実績に応じた課金のほうが総額を抑えられることもあります。
各サービスの具体的な初期費用・月額は、次のセクションの比較表で確認できます。規模別の月額や初期費用の目安を、より多くのサービスの実額で確認したい場合は、「経費精算システムの費用相場|規模別月額・初期費用・料金体系を25サービスで比較」もあわせてご覧ください。
経費精算の効率化に役立つサービスと比較
ここでは、経費精算の効率化に役立つ代表的なサービスを紹介します。まずは主なサービスの初期費用・月額費用や、AI-OCR・会計ソフト連携・法人カード連携・電子帳簿保存法対応などの機能を一覧で比較します。
| サービス名 | Bill One経費 | 弥生経費 Next | マネーフォワード クラウド経費 | 楽楽精算 | freee経費精算 | バクラク経費精算 | TOKIUM経費精算 | ジョブカン経費精算 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 初期費用 | 要問い合わせ | 0円 | 0円 | 100,000円(税抜) | 0円 | 0円 | 要問い合わせ | 0円 |
| 月額費用 | 要問い合わせ | 4,200円〜(税抜) ※弥生会計Nextセット版 | 2,480円〜(税抜・年払い) +アクティブユーザー課金 | 30,000円〜(税抜) | 7,500円〜(税抜・年払い) +650円/月・ID | 30,000円〜(料金表DL制) | 10,000円〜 (アカウント数無制限) | 440円/ユーザー〜(税込) 最低5,500円/月(税込) |
| AI-OCR(領収書自動読取) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ●オペレーター代行入力 | △オプション |
| 会計ソフト連携(自動仕訳) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
| 法人カード・IC連携 | ●専用法人カードを発行 | ● | ● | ●交通系ICはオプション | ● | ● | ● | ● |
| 電子帳簿保存法対応 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ●タイムスタンプはオプション |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
※料金・機能は2026年9月時点の各社公式情報に基づきます。●は公式情報で対応を確認できた項目、△は標準対応が確認できずオプション等が前提となる項目です。料金の税抜・税込の別は各社公式の表記に従い、「要問い合わせ」は公式で金額を公開していない項目です。最新の詳細は各社公式サイト・資料でご確認ください。
ここで挙げたサービスも含め、主要な経費精算システムを料金・機能・使いやすさ・導入方法の観点からまとめて比較したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。自社に合うシステムを絞り込む際の判断材料になります。
1. Bill One経費(Sansan株式会社)

Bill One経費は、名刺管理サービスなどを提供するSansan株式会社のクラウド経費精算サービスです。「立替経費をなくし、月次決算を加速する」をコンセプトに掲げ、専用のBill Oneビジネスカードを全社員に配布して経費をカード払いにすることで、立て替え払いそのものをなくす設計が特徴です。
領収書はSansanのデータ化技術で読み取り、カードの利用明細と自動で突合します。適格請求書の自動判定や電子帳簿保存法への対応、申請内容の自動チェックも備え、月末月初に集中しがちな経理業務を平準化できます。利用にはBill One本体の契約が必要で、料金は経費精算の件数に応じた個別見積もりのため、詳細は問い合わせで確認します。
2. 弥生経費 Next(弥生株式会社)

会計ソフトを提供する弥生株式会社が展開するのが、弥生経費 Nextです。経費の申請・承認・精算をスマートフォン1台で完結でき、領収書のスマホ撮影とAIによる科目予測、交通系ICカードの読み取り、電子帳簿保存法への対応チェックなどを備えます。
弥生会計 Nextと組み合わせれば会計との仕訳連携がスムーズで、小規模事業者はセット版を年額50,400円(税抜)から利用できます。経費精算機能を単体で使うエキスパートプランも用意され、他社会計ソフトとのCSV連携にも対応します。会計と経費をまとめて整えたい企業に向いています。
3. マネーフォワード クラウド経費(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド経費は、領収書のOCR入力から交通系ICカード読み取り、コーポレートカード連携、多段承認のワークフロー、会計ソフトへの仕訳連携までを一気通貫で扱えるクラウド型の経費精算システムです。電子帳簿保存法(スキャナ保存・電子取引)とインボイス制度に対応します。
用途に応じて承認経路を自由に設定でき、申請ミスにはアラートを表示して差し戻しを防ぎます。マネーフォワード クラウド会計とのAPI連携に加え、勘定奉行・弥生会計・PCA会計など他社の会計ソフトとも連携できます。単体プランは初期費用0円、月額2,480円(年払い・ひとり法人プラン)から用意され、1か月の無料トライアルも利用できます。
同社は、経費精算システムを導入した企業の変化について、次のような導入事例を挙げています。

紙ベースの煩雑な経費精算フローが店舗と本社双方の業務時間を圧迫していて、毎月60店舗中50店舗で申請の差し戻しが発生している企業がいらっしゃいました。しかし、クラウドの導入後は、月初の作業時間が最大60時間から約6時間へ削減されたとのお声をいただいています。電子帳簿保存法への対応とセットで導入していただくことで、紙でのレシート・領収書管理自体が店舗で不要になり、現場と経理担当者の双方で迅速な効果を感じていただいています。
4. 楽楽精算(株式会社ラクス)

累計導入社数20,000社以上(2025年9月時点)と、経費精算システムの中でも導入実績の多い一つが、株式会社ラクスの楽楽精算です。交通費・旅費・出張費などの申請から承認、処理、保存までを一元管理し、紙やExcelでの精算業務を効率化します。
AI-OCRや画像認識を用いた領収書の自動読み取り・不備チェックに対応し、ジョルダンの「乗換案内」を内蔵して経路検索と運賃の自動計算を行います。定期区間を登録しておけば、定期区間分の交通費は自動で控除されます。初期費用は100,000円(税抜)、月額30,000円(税抜)からで、利用人数やオプションに応じて変動します。
5. freee経費精算(フリー株式会社)

スマートフォンやLINE、専用アプリからの経費申請に対応するのが、フリー株式会社のfreee経費精算です。AI-OCRによる領収書のデータ化、承認ワークフロー、会計連携までをカバーします。
独立プランの「経費精算Plus」は、使っている会計ソフトを変えずに経費精算だけを単独で導入できる点が特徴です。料金は「基本料金+ID料金」のシンプルな構成で、経費精算Plusの基本料金は年払いで月あたり7,500円(税抜)から、従量課金は当月に申請・承認を行ったユーザー1IDあたり650円(税抜)です。30日間の無料トライアルも利用できます。
6. バクラク経費精算(株式会社LayerX)

株式会社LayerXが提供するバクラク経費精算は、AI技術による入力負荷の軽減を強みとする経費精算システムです。領収書を撮影するとAI-OCRが金額・日付・科目を読み取り、過去の仕訳をAIが学習して入力を補助します。複数枚をまとめて撮影した際の自動分割にも対応します。
申請内容を自動でチェックするAI申請レビューや二重申請の検知、交通系ICカードの読み取り・定期区間の自動控除、法人カード明細の自動取得、電子帳簿保存法・インボイス制度への対応も備えます。初期費用は無料で、月額30,000円からと案内されており、詳細な料金は料金表で確認する形です。
7. TOKIUM経費精算(株式会社TOKIUM)

TOKIUM経費精算の最大の特徴は、領収書のデータ入力と原本回収を利用企業に代わって代行する点にあります。従業員はスマートフォンで領収書を撮影して申請・承認を済ませ、原本は備え付けのポストに投函するだけで提出が完了します。
撮影された画像はAI-OCRで読み取ったうえでオペレーターが確認・入力し、株式会社TOKIUMは99%以上のデータ化精度を掲げています。投函された原本はTOKIUM側で回収・保管するため、社内での紙の管理をなくせます。基本利用料は月額10,000円からで、アカウント数は無制限のため利用人数が増えても追加料金は発生しません。入力作業や紙の管理を外部に委ねたい企業に向いています。
8. ジョブカン経費精算(株式会社DONUTS)

ジョブカン経費精算は、株式会社DONUTSが提供する、ワークフロー(社内稟議・申請管理)と一体で使えるクラウド型の経費精算システムです。バックオフィス支援クラウド「ジョブカン」シリーズの一製品で、申請・承認から仕訳データ・振込データの自動作成までを行います。
交通費精算では乗換案内連携とICカード読み取りに対応し、電子帳簿保存法・インボイス制度への対応もうたっています。初期費用は無料で、月額は1ユーザーあたり440円(税込)からと、少人数から始めやすい価格帯が魅力です(最低利用料金は月額5,500円)。タイムスタンプやAI-OCRはオプションとして提供されます。コストを抑えて申請・承認から整えたい企業に向いています。
まとめ
経費精算の効率化は、経費精算システムの導入を軸に、法人カードの活用、ペーパーレス化、交通系ICカードの連携、社内ルールの見直しを組み合わせて進められます。まずは自社の悩みがどこにあるかを見極め、早見表を参考に効く手段から着手するのが近道です。
システムを導入する際は、入力精度や自社規定への対応、既存の会計システムとの連携、サポート体制を確認し、電子帳簿保存法・インボイス制度への対応もあわせてチェックしましょう。複数のサービスの資料を取り寄せ、料金と機能を自社の運用に当てはめて比較することが、失敗しない選定につながります。
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よくある質問(FAQ)
Q. 経費精算の効率化とは何ですか?
A. 経費精算の効率化とは、申請・承認・仕訳・保存という経費精算の一連の業務から手作業とミスを減らし、処理にかかる時間とコストを削減する取り組みです。経費精算システムの導入を軸に、法人カードの活用、ペーパーレス化、交通系ICカードの連携、社内ルールの見直しといった複数の手段を、自社の課題に合わせて組み合わせて進めます。
Q. 経費精算の効率化は何から始めるべきですか?
A. 経費精算の効率化は、まず自社の業務フローと現状の課題を洗い出し、社内ルールを見直すことから始めるのが効果的です。差し戻しが多いのか、立て替え払いの負担が大きいのか、紙の管理が煩雑なのかによって、効く手段は変わります。ルールを明文化して従業員に周知したうえで、課題に効く手段(システム・法人カード・ペーパーレス化など)を選ぶと、ツールの効果を引き出しやすくなります。
Q. 経費精算で小口現金は廃止できますか?
A. 経費精算では、経費の支払いを法人カードやキャッシュレス決済にまとめることで、小口現金を廃止できます。現金の出納をなくせば、金額の照合や補充、現金が合わないときの確認作業が不要になります。法人カードの利用明細を経費精算システムに自動で取り込めば、立て替え払いの解消と精算データの自動作成もあわせて進められます。
Q. 経費精算はスマホだけで完結できますか?
A. 経費精算は、多くのクラウド型経費精算システムを使えば、領収書の撮影から申請・承認までをスマートフォンだけで完結できます。領収書をスマホで撮影するとAI-OCRが金額や日付を読み取り、そのまま申請へ回せます。承認者もスマホから承認できるため、外出先やテレワーク中でも処理が止まらず、月末月初の業務集中を和らげられます。
Q. 電子帳簿保存法に対応すると、紙の領収書は捨ててよいですか?
A. 紙で受け取った領収書は、電子帳簿保存法の「スキャナ保存」の要件を満たしてデータ化すれば、原本を廃棄できます。解像度200dpi相当以上での読み取り、入力期間内のタイムスタンプ付与、日付・金額・取引先での検索といった要件があり、要件に対応した経費精算システム(JIIMA認証など)を使うと満たしやすくなります。
一方、メールやインターネットで受け取った領収書は電子取引データにあたり、はじめから紙ではなくデータのまま保存する義務があります。
出典・参考資料(2件)
Q. インボイス制度で立替経費はどう扱えばよいですか?
A. 立て替えた経費のうち税込1万円未満の課税仕入れは、「少額特例」により、インボイス(適格請求書)の保存がなくても一定の事項を記載した帳簿の保存だけで仕入税額控除ができます。対象は基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者で、多くの中小企業が該当します。
1万円未満かどうかは、商品ごとではなく1回の取引の合計額(税込)で判定します。この少額特例は2029年(令和11年)9月30日までの経過措置です。対象や、混同しやすい「3万円未満で交付義務が免除される取引」との違いは、本文の「インボイス制度:経費精算で押さえる少額特例」で詳しく解説しています。
出典・参考資料(1件)
Q. 経費精算システムは既存の会計ソフトと連携できますか?
A. 経費精算システムは、多くの製品が会計ソフトとAPIやCSVでの仕訳連携に対応しており、既存の会計ソフトを使ったまま導入できます。特に会計ソフトを提供するベンダーの経費精算システムは、同じシリーズ内での連携がスムーズです。他社の会計ソフトを使っている場合は、対応している連携方式やCSVの形式が自社のソフトに合うかを導入前に個別に確認しておくと、精算後に転記作業が残るのを防げます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















