取引先から「掛け払いでお願いしたい」と言われたものの、その意味やリスクをすぐに説明できるでしょうか。日々の請求・入金の処理に追われるなかで、あらためて問われると自信が持てない、という方は少なくありません。
掛け払いとは、ひとことで言えば企業(法人・個人事業主)同士の取引で、商品やサービスを先に提供し、代金は後日まとめて請求書で支払ってもらう決済方法です。企業間の信用にもとづく取引で、「請求書払い」とも呼ばれます。個人向けの通販などで使われる「後払い」とは、取引相手や支払いの仕組みが異なります。
掛け払い(請求書払い)は、企業間取引で古くから使われてきた決済の慣行です。企業間の取引規模は大きく、経済産業省の調査によると2024年の企業間電子商取引(BtoB-EC)の市場規模は514.4兆円にのぼります。
近年はオンライン取引の広がりや、スタートアップ・個人事業主といった新しい取引先の増加もあり、初めての相手にも掛け払いで対応する場面が増えています。そのぶん、後述する与信や請求・回収の負担をどう抑えるかが売り手の課題になっています。
本記事では、掛け払いの定義と後払いとの違いから、取引の仕組み、売り手・買い手それぞれのメリット・デメリット、導入方法(自社運用と代行サービス)、代行サービスの選び方までを順に解説します。言葉の輪郭を押さえたうえで、自社の請求・回収業務を見直す手がかりとしてご活用ください。
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目次
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掛け払いとは?
掛け払いとは、企業(法人・個人事業主)同士の取引で、商品やサービスを先に引き渡し、その代金を後日まとめて請求書で支払ってもらう決済方法です。一定期間の取引を「月末締め・翌月末払い」のように集計し、まとめて請求・入金するのが一般的で、「請求書払い」「掛け売り」とも呼ばれます。
掛け払いが成り立つのは、「取引先は期日に支払ってくれる」という信用(与信)が前提にあるからです。売り手は代金を受け取る前に商品やサービスを提供するため、取引を始める前に相手の支払い能力を見極める必要があります。この信用にもとづく取引という点が、その場で決済が完結する現金払いやクレジットカード払いと大きく異なります。
たとえば、卸売業者が小売店へ商品を継続的に納める、あるいは制作会社がクライアントへ毎月サービスを提供するといった取引では、そのつど代金を精算するのは双方にとって手間がかかります。掛け払いは、こうした継続的・反復的な企業間取引の代金精算を効率化する仕組みとして広く使われています。
掛け払いは、企業間取引で用いられる決済手段のひとつです。振込やクレジットカードなど他の手段も含めて、企業間決済にはどのような種類があり、どこに課題があるのかを全体像から押さえたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
掛け払いと後払い(BtoC)の違い
「掛け払い」と混同されやすいのが、通販などで使われる「後払い」です。どちらも「商品を先に受け取り、代金は後で支払う」点は共通しますが、主に使われる場面や支払いの仕組みが異なります。掛け払いは企業間(BtoB)取引、後払いは消費者向け(BtoC)取引で使われるのが基本です。
| 項目 | 主に使われる場面 | 支払いのサイクル | 利用上限の目安 | 与信(審査)の対象とタイミング |
|---|---|---|---|---|
| 掛け払い(BtoB) | 企業(法人・個人事業主)同士の取引 | 一定期間の取引をまとめて請求(月末締め・翌月末払いなど) | 取引先ごとの与信枠で数百万〜数千万円規模まで(各社が個別に設定) | 取引先企業の信用を、取引開始前に審査して与信枠を設定 |
| 後払い(BtoC・通販など) | 事業者と個人消費者の取引 | 購入のつど請求(商品到着後、期限内に支払い) | 数万円程度(例:NP後払いは購入者1人あたり累計55,000円・税込) | 購入者を、注文のたびに審査 |
利用上限・与信の運用はサービスにより異なります(2026年9月時点)
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大きな違いは、取引の金額規模と支払いのまとめ方です。企業間取引は1回あたりの金額が大きく、取引先ごとに与信枠を設けて一定期間分をまとめて請求します。一方、消費者向けの後払いは1回の購入額が小さく、利用上限も低めに設定されるのが一般的です。
掛け払い取引の仕組み
ここからは、掛け払いが実際にどのような流れで進むのかを見ていきます。売り手側の業務は、取引開始前の与信から、締め日ごとの請求、入金確認、未入金への対応まで一連の流れでつながっています。

まず取引を始める前に、売り手は取引先の支払い能力を確かめる与信審査を行い、取引先ごとに「いくらまで掛け払いを認めるか」という与信枠を決めます。取引が始まると、日々の受注・出荷を記録し、あらかじめ決めた締め日(月末など)でその期間の取引を集計します。
締め日を過ぎると、集計した金額を記載した請求書を発行・送付します。取引先は請求書に記された支払期日(翌月末など)までに、指定口座へ代金を振り込みます。売り手は入金を確認したら、どの取引先からの入金かを請求内容と突き合わせる入金消込(にゅうきんけしこみ)を行い、売掛金(未回収の代金)を消し込みます。
掛け払いの売上は入金前に「売掛金」として計上し、入金時にこの消込で消すため、ここまでの一連の流れはそのまま日々の会計処理につながります。
期日を過ぎても入金がない取引先には、支払いを促す督促を行います。掛け払いは代金を後から受け取る取引のため、この与信から督促までの各工程を適切に回すことが、代金を確実に回収するうえで欠かせません。取引先が増えるほど、これらの業務量は積み上がっていきます。
なかでも取引の入口となる与信審査は、取引先の何をどう調べて可否を判断するのかがイメージしづらい工程です。与信審査の目的や流れ、審査に通らない主な原因を詳しく知りたい方は、以下の記事で解説しています。
掛け払いのメリット・デメリット(売り手・買い手)
掛け払いは、代金を後払いにする取引であるがゆえに、売り手(代金を受け取る側)と買い手(代金を支払う側)で得られる利点と負担が異なります。それぞれの立場から整理します。
売り手(代金を受け取る側)のメリット・デメリット
売り手にとっての最大のメリットは、取引先を増やしやすくなることです。取引先は代金を後払いにできるため、その場での支払いを求められる場合より発注のハードルが下がります。加えて、取引のつど精算せず一定期間分をまとめて請求できるため、請求・入金業務を締め日単位に集約でき、経理の手間を減らせます。
一方でデメリットは、代金を回収できない未回収リスクを抱える点です。商品やサービスを先に提供するため、取引先の倒産や支払い遅延が起きると、そのまま損失につながります。売上として計上済みでも現金が入らず、高額な取引ほど1件の未回収が経営に与える打撃は大きくなります。
もう一つの負担が与信管理です。取引先の支払い能力を見極めるには信用調査や財務情報の確認が必要で、専門知識と手間、コストがかかります。取引開始時だけでなく、取引先の経営状況の変化に応じて与信枠を見直し続ける必要もあります。
買い手(代金を支払う側)のメリット・デメリット
買い手のメリットは、手元資金に余裕を持って取引できることです。商品やサービスを受け取ってから支払いまでに猶予があるため、仕入れた商品を販売して現金化してから支払う、といった資金繰りが可能になります。取引のつど支払う必要がなく、締め日ごとにまとめて支払えるため、支払い業務も効率化できます。
デメリットとしては、支払い管理の負担が挙げられます。複数の取引先それぞれの締め日・支払期日・金額を把握し、期日までに漏れなく支払う必要があります。支払いを忘れると、取引先との信用問題に発展しかねません。掛け払いは信用取引であるため、支払い遅延を繰り返すと与信枠の縮小や取引停止につながる可能性もあります。
掛け払いが向く取引・業種
掛け払いは、特に次のような取引で効果を発揮します。いずれも「取引のつど決済する手間」と「相手の信用を見極める必要性」が大きい取引です。
1つ目は、同じ取引先と継続的・反復的に取引する場合です。小売・卸売・製造・建設・医療・広告・ITサービスなど、月内に何度も受発注が発生する業種では、取引のたびに決済していては双方の事務負担が膨らみます。掛け払いで締め日ごとにまとめれば、請求・支払いの回数を大きく減らせます。
2つ目は、1件あたりの金額が大きい取引です。原材料・設備・専門サービスなど高額な取引では、その場での即時決済が現実的でない場面が多く、後払いの掛け払いが適しています。ただし金額が大きいほど未回収時の損失も大きくなるため、与信管理の重要性はいっそう高まります。
3つ目は、新規の取引先を広げていきたい場合です。掛け払いに対応していれば、取引先にとって発注しやすくなり、商談が前に進みやすくなります。取引の拡大と与信リスクの管理をどう両立するかが、この場面での課題になります。
掛け払いの始め方(自社運用と代行サービス)
掛け払いを取り入れる方法は、大きく「自社で運用する」か「代行サービスを利用する」かの2通りです。それぞれ担う業務と向いている企業が異なります。
自社で運用する場合の負担と向き
自社運用では、与信審査・請求書の発行と送付・代金回収・入金消込・督促、そして未回収時の損失負担まで、掛け払いに伴うすべての業務とリスクを自社で担います。取引先の数が少なく、相手の信用状況を把握しやすい場合や、社内に与信・債権管理のノウハウがある場合には、外部コストをかけずに運用できます。
一方、取引先が増えるほど与信判断や請求・回収の作業量は膨らみ、未回収リスクもすべて自社で抱えることになります。専任の担当者や与信管理の体制がないまま取引先を広げると、業務が回らなくなったり、貸し倒れが経営を圧迫したりする恐れがあります。
代行サービスを使う場合の役割分担と向き
掛け払い(後払い)代行サービスは、売り手に代わって代行会社が取引先の与信審査・請求書発行・代金回収・入金消込・督促を担い、審査を通過した取引の代金を保証する仕組みです。売り手は取引先に従来どおりの掛け払いを提供しながら、未回収リスクを代行会社へ移し、請求・回収業務の負担を減らせます。手数料がかかり、代行会社の与信審査を通る必要がある点が主な条件です。
未回収リスクを避けたい、請求・回収の業務量を減らしたい、新規取引先の与信判断を外部に任せたい、といった企業に向いています。特に取引先を積極的に増やしたい局面では、自社で与信体制を拡充するより代行サービスを活用したほうが、スピードと安全性を両立しやすくなります。
自社運用と代行サービスの違い(業務分担の比較)
掛け払いに伴う主な業務を、自社運用と代行サービスでどう分担するか整理すると、次のようになります。
| 業務・リスク | 与信審査 | 請求書の発行・送付 | 代金回収・入金消込 | 未入金時の督促 | 未回収リスク | コスト |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 自社で運用する場合 | 自社で信用調査・与信枠の設定を行う | 自社で作成・送付する | 自社で入金確認と消込を行う | 自社で督促を行う | 自社がすべて負担する | 人件費・与信調査費など(社内コスト) |
| 代行サービスを使う場合 | 代行会社が審査・与信枠設定を代行 | 代行会社が発行・送付を代行 | 代行会社が回収・消込を代行 | 代行会社が督促を代行 | 審査を通過した取引は代行会社が保証(自社の負担を軽減) | サービス手数料(保証料・事務手数料など) |
代行サービスの業務範囲・保証条件はサービスにより異なります(2026年9月時点)
掛け払い代行サービスの選び方
代行サービスを利用すると決めたら、次は自社に合うサービスをどう選ぶかです。以下の観点を自社の取引状況に当てはめて見比べると、判断しやすくなります。
費用の構造は自社の取引に合っているか
掛け払い代行の費用は、初期費用・月額利用料に加えて、取引金額に応じた保証料(料率)や請求1件あたりの事務手数料が組み合わさるのが一般的です。料率は取り扱う商材・取引金額・支払条件によって変わるため、多くのサービスが個別見積もりを採用しています。たとえばPaidでは、保証料を請求金額の0.5〜3.5%、事務手数料を125円/件、初期費用・月額利用料を0円〜と公式に案内しています。
取引の件数が多い企業は1件あたりの手数料が、取引額が大きい企業は料率が、それぞれ費用に効いてきます。自社の取引パターンに照らして総額を試算することが大切です。
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与信審査のスピードと通過率は十分か
与信審査の速さは、新規取引をどれだけスムーズに始められるかに直結します。審査に時間がかかると商談の機会を逃しかねず、逆に最短即時で結果が出れば、その場で取引条件を提示できます。あわせて確認したいのが与信の通過率で、通過率が低いと掛け払いで取引したい相手が審査に通らず、機会損失につながります。
審査スピードは最短即時で結果が出るサービスもあり、通過率も高水準を公表する例があります(たとえばNP掛け払いは与信通過率の実績を99%・2026年3月31日時点と示しています)。
ただし審査の速さと通過率は、どちらをどこまで重視するかでサービスごとに設計が異なるため、自社の取引先の規模・業種に照らして見比べる必要があります。あわせて、審査に通らなかった取引先について再審査や条件変更に応じてもらえるかも確認しておくと、機会損失を抑えやすくなります。
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代行してもらえる業務の範囲は自社の課題に合うか
サービスによって、代行する業務の範囲は異なります。与信審査だけを担うものから、請求書の発行・送付・代金回収・入金消込・督促までを一括で引き受けるものまで幅があります。自社が最も負担に感じている業務(未回収リスクなのか、請求・消込の事務作業なのか)をカバーするサービスを選び、会計システムとの連携可否もあわせて確認しましょう。
売り手に代金が入るまでの入金サイクルもサービスで差があるため、資金繰りを重視する場合は入金のタイミングも確認しておくと安心です。
利用上限額は自社の取引規模に足りるか
取引先1社あたりに設定できる利用上限額は、サービスごとに異なります。高額な取引を扱う場合、上限が低いと1つの取引先で枠を使い切ってしまい、掛け払いを提供しきれません。自社の取引先ごとの取引額を踏まえ、必要な与信枠を確保できるサービスかを確認しましょう。
利用上限はサービスによって幅があり、たとえばPaidは1取引先あたり最大5,000万円、クロネコ掛け払いは買い手ごとに60万〜2,000万円の範囲で個別設定すると公表しています。大口取引が中心なら、数千万円規模まで対応できるかどうかが選定の分かれ目になります。
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未回収保証の範囲と条件はどこまでか
多くの代行サービスは「売掛金100%保証」をうたいますが、その保証はたいてい代行会社の審査を通過した取引に限られます。与信に通らなかった取引先との取引は保証の対象外となり、その分の未回収リスクは自社に残ります。
「どの取引が保証されるのか」「保証されないのはどんな場合か」を契約前に必ず確認しましょう。未回収リスクの軽減を主目的にするなら、保証の適用条件と除外事由の明確さが、費用以上に重要な判断材料になります。
以上の観点で自社に合うサービスを絞り込むために、まずは各社の資料をまとめて取り寄せて費用や保証条件を見比べてみましょう。
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掛け払い(請求代行)サービスで業務を効率化する
ここからは、掛け払いの与信・請求・回収・保証を代行する主なサービスを紹介します。いずれも、売り手に代わって取引先の与信審査から請求・回収・督促までを担い、審査を通過した取引の代金を保証するタイプです。自社の取引規模や重視する条件に近いものから確認してみてください。
| サービス名 | NP掛け払い | 請求まるなげロボ | Paid(ペイド) | マネーフォワード掛け払い | クロネコ掛け払い | 掛払い.com |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社ネットプロテクションズ | 株式会社ROBOT PAYMENT | 株式会社ラクーンフィナンシャル | マネーフォワードケッサイ株式会社 | ヤマトクレジットファイナンス株式会社 (ヤマトグループ) | 株式会社キャッチボール |
| 初期費用 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 (入金保証つきプラン) | 0円 | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 0円〜 | 0円〜 | 0〜10,000円 (税別) | 0円〜 |
| 手数料(料率) | 個別見積もり (料率は公式非開示) | 1.0%〜 | 保証料0.5〜3.5% +事務手数料125円/件 | 委託金額の0.5〜3.5% (請求代行プランは+300〜500円/件) | 〜3.5% (個別相談) | 1.2%〜 |
| 未回収保証 | ●審査通過取引を100%保証 | ●審査通過取引を100%保証 | ●審査通過取引を100%保証 | ●審査通過取引を100%保証 | ●審査通過取引を100%保証 | ●審査通過取引を100%保証 |
| 利用上限額(1取引先) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 最大5,000万円 | 1,000万円超 | 60万〜2,000万円 | 要問い合わせ |
| 与信審査スピード | 最短即時 | 3営業日以内 | 要問い合わせ | 最短即日〜 | 要問い合わせ | 最短当日 |
| 会計・システム連携 | CSV・API・手入力 | API・Salesforce連携 | 要問い合わせ | MFクラウド会計連携 (API連携も対応) | API・CSV連携 (ECカート連携) | CSV連携 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
料金・手数料・利用上限などの条件はサービスにより異なり、多くは個別見積もりです。未回収保証はいずれも各社の審査を通過した取引が対象です(2026年9月時点)
ここで取り上げるのは代表的なサービスです。手数料や未回収保証の範囲、利用上限、入金サイクルまで含めて掛け払いサービスを幅広く見比べたい場合は、選び方とあわせて解説した比較記事もあわせてご覧ください。
1. NP掛け払い(株式会社ネットプロテクションズ)

NP掛け払いは、株式会社ネットプロテクションズが2011年から提供するBtoB専業の後払い決済・請求代行サービスです。同社が消費者向け後払い決済で培った与信ノウハウを、企業間取引へ展開しています。取引先の与信審査から請求書の発行・送付、代金回収、入金管理、督促、未回収時の保証(規約所定の除外事由を除く)までを一括で代行します。
売り手は取引先ごとの与信判断や回収業務から解放され、審査を通過した取引の代金は支払い状況にかかわらず受け取れます。公式サイトでは与信スピードを最短即時、通過率の実績を99%(2026年3月31日時点)と示しています。取引データの登録はCSV・API・手入力に対応し、料率は取り扱い商材や取引条件に応じた個別見積もりです。
2. 請求まるなげロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

請求まるなげロボは、株式会社ROBOT PAYMENTが提供する、請求業務をまるごと外部に委ねられる請求代行サービスです。与信審査・請求書発行・送付・代金回収・入金消込・督促までを代行し、同社の審査で適格債権と判断され、かつ与信を通過した債権については売掛金を100%保証します。督促には弁護士法人による対応も含まれます。
特徴は、請求・回収業務の削減と未回収リスクの軽減を1つのサービスで両立できる点です。与信を通過しなかった取引先の分も、同じプラットフォーム上で請求書発行・送付・自動消込を自社管理でき、全取引を一元的に扱えます。費用は月額利用料と手数料(1.0%〜、取扱商材・金額により個別算出)で構成され、初期費用は0円とされています。専任担当による導入支援も用意されています。
3. Paid(ペイド)(株式会社ラクーンフィナンシャル)

Paid(ペイド)は、東証プライム上場のラクーンホールディングス傘下、株式会社ラクーンフィナンシャルが運営する企業間決済サービスです。請求書払い(掛け払い)で生じる与信・請求書発行・代金回収・督促を代行し、審査を通過した取引については、支払い遅延や未回収時も代金を100%保証します。日本マーケティングリサーチ機構の調査(2021年9月期)にもとづく「導入企業数No.1」を公式に掲げています。
費用は初期費用0円・月額利用料0円〜で、保証料が請求金額の0.5〜3.5%、事務手数料が125円/件と公式に明示されており、費用の目安を把握しやすいのが特徴です。1取引先あたり最大5,000万円の限度額に対応し、比較的大口の取引にも使えます。
4. マネーフォワード掛け払い(マネーフォワードケッサイ株式会社)

マネーフォワード掛け払いは、マネーフォワードケッサイ株式会社が提供する、会計連携に強みを持つ請求代行・後払い決済サービスです。取引先の与信審査から請求書の発行・送付、代金回収、督促までを代行し、所定の条件を満たした取引には100%入金保証を付けられます。マネーフォワード クラウド会計と連携すれば、回収業務の結果を仕訳まで自動化できます。
料金は、入金保証つきプランと請求代行プランの2種類を用意し、手数料は委託金額の0.5〜3.5%(請求代行プランは加えて1件あたり300〜500円)です。与信審査は機械学習による自動審査で、個人事業主やスタートアップなど信用調査会社の対象になりにくい取引先にも対応すると訴求しています。
5. クロネコ掛け払い(ヤマトクレジットファイナンス株式会社)

物流・決済で全国的な知名度を持つヤマトグループのヤマトクレジットファイナンス株式会社が提供するのが、クロネコ掛け払いです。取引先の与信審査から請求書発行・郵送、代金回収、入金管理、督促までの請求業務一式を代行し、審査を承認した取引の売掛金を100%入金保証します。
手数料は取引額の〜3.5%(個別相談)で、集金代行手数料と保証料で構成されます。利用限度額は買い手企業ごとに60万〜2,000万円の範囲で個別設定され、取引先の登録・与信依頼・売上確定はWeb管理画面のほかCSV・APIでも連携できます。大手グループの信用を背景にした与信・回収を求める企業に適しています。
6. 掛払い.com(株式会社キャッチボール)

後払い決済を専業とする株式会社キャッチボールが提供するのが、企業間取引向けの掛払い.comです。加盟店(売り手)と取引先(買い手)の間に入り、信用調査・与信管理・請求書発行・入金管理・代金回収・督促まで、売掛金管理の一連の業務を代行します。審査を通過した取引については売掛金を100%保証し、売り手の未回収リスクを引き受けます。
費用はシステム月額利用料0円〜、決済手数料1.2%〜(取引内容により変動)です。請求書発行手数料は、封書での発行が1件249円(税込273円)、PDFでの発行が0円と案内されています。100%保証は同社の審査を通過した取引が対象となる点をおさえておきましょう。
まとめ
掛け払いとは、企業同士の取引で商品やサービスを先に提供し、代金を後日まとめて請求書で支払ってもらう決済方法です。企業間の信用(与信)を前提とする点で、消費者向けの後払いとは取引相手・支払いサイクル・利用上限が異なります。取引の流れは、与信審査から締め日ごとの請求、入金確認・消込、未入金への督促までひとつながりで進みます。
売り手には取引拡大や業務効率化のメリットがある一方、未回収リスクと与信管理の負担が伴います。導入方法は自社運用と代行サービスの2通りで、未回収リスクを避けたい・請求業務を減らしたい場合は代行サービスが有力な選択肢です。代行サービスを選ぶ際は、費用構造・与信のスピードと通過率・代行範囲・利用上限額・未回収保証の条件を、自社の取引状況に照らして見比べてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 掛け払いと後払いはどう違いますか?
A. 掛け払いは企業同士(BtoB)の取引で使われる後払いの仕組みで、取引相手・支払いサイクル・利用上限の点で、消費者向けの「後払い」とは異なります。
掛け払いは取引先ごとに与信枠を設け、一定期間の取引をまとめて請求書で支払う(数百万〜数千万円規模の枠になることもあります)のに対し、通販などで使われる消費者向けの後払いは購入のつど支払い、利用上限も低めに設定されるのが一般的です(たとえばNP後払いは購入者1人あたり累計55,000円・税込を利用枠としています)。
Q. 掛け払いの手数料は、売り手と買い手のどちらが負担しますか?
A. 掛け払い代行サービスの手数料は、基本的に掛け払いを提供する売り手側が負担します。手数料は取引金額に応じた保証料(料率)や請求1件あたりの事務手数料などで構成され、料率はサービス・商材・取引条件によって異なります(たとえばPaidは保証料を請求金額の0.5〜3.5%、事務手数料を125円/件と公式に案内しています)。
買い手は従来どおりの掛け払い(請求書払い)で代金を支払うだけで、追加の負担は生じないのが一般的です。
Q. 掛け払い代行サービスの「売掛金100%保証」は、どの取引まで対象になりますか?
A. 掛け払い代行サービスの売掛金保証は、多くの場合、代行会社の与信審査を通過した取引が対象です。審査を通った取引先との代金は、支払い遅延や取引先の倒産が起きても保証されますが、審査に通らなかった取引や規約上の除外事由に当たる取引は対象外となり、その分の未回収リスクは売り手に残ります。
未回収リスクの軽減を主な目的にするなら、「どの取引が保証され、どんな場合が対象外になるのか」を契約前に必ず確認しましょう。
Q. 代行会社の与信審査に通らなかった取引先とは、掛け払いで取引できませんか?
A. 与信審査に通らなかった取引先とも、掛け払いでの取引そのものは可能ですが、その取引は代行会社の保証の対象外になります。この場合、代金が未回収になったときのリスクは売り手が負うことになります。
サービスによっては、保証対象外の取引先の分も同じ画面上で請求書の発行・入金管理を自社で行える機能を備えており、保証される取引とされない取引をまとめて一元管理できるものもあります。
Q. 掛け払いの売上は、会計上どのように扱いますか?
A. 掛け払いで商品やサービスを提供した売上は、代金の入金前の段階で「売掛金」として計上し、後日代金が入金された時点で売掛金を消し込むのが基本です。この入金と請求内容を突き合わせて売掛金を消す作業を入金消込(にゅうきんけしこみ)と呼びます。
会計システムと連携できる代行サービスを利用すれば、請求・回収の結果を仕訳まで自動化できる場合があり、経理業務の負担を減らせます。具体的な勘定科目や仕訳の処理は、自社の会計方針や顧問税理士の指示に沿って行ってください。
Q. 掛け払いは自社運用と代行サービスのどちらで始めるべきですか?
A. 掛け払いを自社運用と代行サービスのどちらで始めるべきかは、取引先の数と、未回収リスク・与信管理をどこまで自社で負えるかで判断します。取引先が少なく相手の信用状況を把握しやすい場合や、社内に与信・債権管理のノウハウがある場合は、自社運用で外部コストを抑えられます。
一方、取引先を積極的に増やしたい、未回収リスクを避けたい、請求・回収の事務負担を減らしたいという場合は、与信審査から請求・回収・督促・保証までを任せられる代行サービスが向いています。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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