出張旅費規程を作る、あるいは見直すときに、「そもそも、どこからを出張として扱えばよいのか」で手が止まった経験はないでしょうか。日帰りの遠方訪問は出張なのか、近場の取引先まわりは社用外出なのか、その線引きは意外とあいまいなまま運用されがちです。
結論から言えば、「出張」には労働基準法や所得税法のような一般の法律に一律の定義がなく、多くの場合は各社が出張旅費規程で自ら定義を決めています。だからこそ、境界線の考え方と、規程に落とし込む際の勘所を押さえておくことが大切になります。
この記事では、出張の一般的な意味と法律上の位置づけ、社用外出・外勤・出向との違い、日帰りと宿泊の分かれ目や日当の考え方、移動時間が労働時間に含まれるかどうか、そして出張旅費規程に「出張の定義」をどう書くかまでを整理します。自社のルールづくりの判断材料としてご活用ください。
目次
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出張とは?法律に一律の定義はなく各社が旅費規程で定める
出張とは、一般に「従業員が通常の勤務地を離れ、遠隔地で臨時に業務を行うこと」を指します。取引先訪問や現地調査、支店応援などが典型で、日帰りのものから宿泊を伴うものまで幅があります。
ここで押さえておきたい、重要な前提があります。労働基準法や所得税法といった民間企業に広く適用される法律には、「出張」を定義した規定が置かれていません。法律上の「出張」の定義は、国家公務員などを対象とする個別の法律にあるだけです。
たとえば国家公務員等の旅費に関する法律は、第2条第4号で出張を次のように定義しています。
出張 職員が公務のため一時その在勤官署(常時勤務する在勤官署のない場合又は各庁の長若しくはその委任を受けた者(以下「旅行命令権者」という。)が認める場合には、その住所、居所その他旅行命令権者が認める場所)を離れて旅行し、又は職員以外の者が公務のため一時その住所又は居所を離れて旅行することをいう。
出典:国家公務員等の旅費に関する法律(昭和二十五年法律第百十四号)第2条第4号|e-Gov法令検索
これはあくまで国家公務員などを対象とする定義で、民間企業にそのまま適用されるものではありません。ただし「一時その在勤官署(通常の勤務地)を離れて旅行する」という核は、民間で使われる一般的な理解とも重なります。
民間企業では、出張の定義は法律で一律に決まっているわけではなく、各社が出張旅費規程で自ら定めるのが実務の基本です。「どこからが出張か」を探すのではなく、「自社ではどこからを出張とするか」を決めて規程に書く、という視点に立つと、この後の判断がしやすくなります。
どこからが出張か?社用外出・外勤・出向との違い
ここからは、実務でつまずきやすい「どこからが出張か」を、似た言葉との違いから整理します。出張とまぎらわしいのが、社用外出・外勤・出向です。まずは全体像を表で整理します。
| 用語 | 社用外出 | 外勤 | 出張 | 出向 |
|---|---|---|---|---|
| 意味・範囲 | 勤務時間中に取引先訪問や銀行・役所などの用務で短時間だけ社外に出て、当日中に職場へ戻ること | 営業や配送など、そもそも社外での業務が日常的な勤務形態 | 通常の勤務地を離れ、遠隔地で臨時に業務を行うこと | 人事異動として、他社やグループ会社などに一定期間勤務すること |
| 通常の勤務地を離れるか | 一時的に離れるが日常業務の範囲内 | 業務の性質として社外が勤務の場 | 通常の勤務地を離れる | 勤務地そのものが変わる(一時的な業務ではなく所属・指揮命令が移る) |
| 宿泊・距離の目安 | 近距離・宿泊なし | 近〜中距離・宿泊なしが基本 | 各社の旅費規程で定める(日帰り/宿泊、遠距離) | 該当しない(異動であり出張ではない) |
| 費用・手当の扱い | 交通費などの実費精算が中心。日当(出張手当)は通常支給しない | 交通費の実費が中心。日当は原則なし(外勤手当を別途定める企業もある) | 交通費・宿泊費の実費に加え、日当(出張手当)を支給するのが一般的 | 出張ではないため日当の対象外。給与・処遇は出向契約による |
※上記は各用語の一般的な違いを整理したものです。実際の取り扱いは各社の就業規則・旅費規程によって異なります。
社用外出や外勤との一番の違いは、「通常の勤務地を離れて遠隔地で臨時に業務を行うかどうか」という点にあります。出向は一時的な業務ではなく所属や指揮命令そのものが移る人事異動で、出張とは性質が異なります。
出張と認める距離・時間の目安(法定ではなく各社が決める)
「自社の今日の得意先訪問は出張扱いになるのか」を判断するために、多くの企業は距離や時間の目安を旅費規程に定めています。一部の解説記事で挙げられる目安の例としては、片道の移動距離がおおむね100km以上、または片道の移動時間がおおむね90分以上、といった線引きがあります。
ただし、これらの数値は法律で決まっているものではなく、あくまで実務上の一例です。近距離でも宿泊が必要なら出張とするなど、自社の出張の実態に照らして基準を決めるとよいでしょう。
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日帰り出張と宿泊出張の分かれ目と日当の相場
ここでは、出張のなかでも日帰りと宿泊の分かれ目と、日当(出張手当)の金額の考え方を整理します。日帰り出張か宿泊出張かにも法律上の基準はなく、各社が旅費規程で定めます。実務では、最終の交通機関で当日中に帰着できない場合や、翌日の業務に支障が出る遠距離の場合を宿泊出張とする、といった線引きを設ける例が見られます。
日当の金額も同じく法定されていません。参考として、解説記事などで示される国内出張の日当・宿泊費の目安には、次のような幅があります。
| 区分 | 一般従業員 | 役員 |
|---|---|---|
| 日当(1日あたり) | 2,000〜5,000円前後 | 5,000〜15,000円前後 |
| 宿泊費(1泊) | 8,000〜12,000円前後 | 12,000〜20,000円前後 |
※上記は民間の解説記事などで示される1日あたりの目安の一例であり、法律で定められた金額ではありません。実際の金額や日帰り・宿泊での区分は各社が旅費規程で定めます。
注意したいのは、この相場どおりに払えば税務上問題がない、というわけではない点です。後述するように、日当が非課税として認められるかどうかは金額の相場ではなく、旅費規程で全社員を通じた適正なバランスや、同業種・同規模の企業と比べた相当性を満たしているかで判断されます。相場は目安として参考にしつつ、金額の根拠を規程で説明できる状態にしておくことが重要です。
役職別や国内・海外別の日当の平均額、自社の金額をどう決めればよいかまで具体的に確認したい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。
出張手当(日当)と実費精算の違い
出張でかかる費用は、大きく「実費精算するもの」と「日当として定額で支給するもの」に分けられます。交通費や宿泊費は、かかった金額を実費で精算するのが一般的です。一方の日当(出張手当)は、食事代や諸雑費など細かく精算しにくい出費をまかなうために、1日あたりの定額で支給するものです。
実費精算は領収書に基づく精算になりますが、日当は定額のため領収書が不要で、精算の手間を減らせるという実務上の利点があります。両者を規程でどう組み合わせるかは、精算業務の負担や社内の公平性を踏まえて設計します。
出張中の移動時間は労働時間に含まれる?
残業代や賃金の計算に関わるため、出張の移動時間を労働時間として扱うかどうかは、実務で判断に迷いやすい論点です。結論を先に示すと、出張の移動時間は原則として労働時間に含まれず、一定の場合には例外的に含まれる、と整理されています。
そもそも労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を指すと、最高裁判所の判例で示されています(三菱重工業長崎造船所事件・最高裁平成12年3月9日判決)。この考え方に照らすと、移動の扱いは次のように整理できます。

- 原則(労働時間に含まれない):出張先への往復に要する移動時間は、通勤に費やす時間と同じ性質と考えられるため、移動中に自由に過ごせる限り労働時間には算入されません。
- 例外(労働時間に含まれる):移動そのものが物品の運搬や監視を目的としている場合や、移動中に業務の指示があり使用者の指揮監督下にあるといえる場合は、労働時間に含まれると考えられます。
行政解釈(昭和23年3月17日基発第461号、昭和33年2月13日基発第90号)および裁判例・通説によれば、出張中の休日に移動する場合であっても、物品の監視などの特別の指示がない限りは休日労働として扱わなくても差し支えないとされています。
ただし、これらの通達は出張中の休日の移動を対象としたもので、移動時間一般を定義したものではありません。自社の実態に応じて判断に迷う場合は、社会保険労務士など専門家への確認をおすすめします。
また、出張のように事業場外で業務を行い、労働時間の算定が難しい場合には、あらかじめ定めた時間を働いたものとみなす「事業場外みなし労働時間制」が用いられることもあります。移動と業務が混在する出張の労働時間管理では、こうした制度の活用もあわせて検討されます。
移動時間が労働時間に含まれるかどうかは、休日移動の扱いや残業代の要否も含めてケースごとに判断が分かれる論点です。原則と例外の線引きを判例・行政通達に沿ってより詳しく確認したい場合は、以下の記事で整理しています。
出張旅費規程に「出張の定義」をどう書くか(非課税条件)
ここまでの内容を踏まえ、実際に出張旅費規程へ「出張の定義」を落とし込むときのポイントを整理します。出張の定義は法律で決まっていないからこそ、規程に明記しておくことで、社内の判断のばらつきや精算のトラブルを防げます。
規程に定義を書くときは、次のような要素を自社の実態に合わせて具体化するとよいでしょう。
- 出張の対象範囲(通常の勤務地を離れて業務を行う場合、など)と、社用外出・外勤との線引き
- 日帰り出張と宿泊出張を分ける距離・時間の基準
- 交通費・宿泊費の実費精算のルールと、日当(出張手当)の金額(役職別など)
- 申請・承認の手続きと、精算の方法・期限
たとえば「出張の定義」の条文は、次のように書くことができます。前述の距離・時間の目安を、自社の実態に合わせて当てはめる形です。
(記載例)出張とは、従業員が業務のため、通常の勤務地を離れて片道◯km以上(または片道の移動時間◯時間以上)の地に赴き、業務に従事することをいう。このうち当日中に帰着するものを日帰り出張、宿泊を伴うものを宿泊出張とする。
より詳しい条文構成は、公開されている出張旅費規程のひな形(サンプル)も参考になります。ひな形をそのまま使うのではなく、距離・時間の目安や日当の金額を自社の実態に合わせて調整することが大切です。
日当が非課税になる条件
出張旅費規程を整える大きなメリットが、日当を非課税として扱える点です。所得税法は、出張の旅費として支給される金品のうち「通常必要と認められるもの」を非課税と定めています。
給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし……した場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの
出典:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第9条第1項第4号|e-Gov法令検索
この「通常必要であると認められる」範囲がどこまでかは、所得税基本通達9-3が判定の考え方を示しています。ポイントは、金額が相場どおりかどうかではなく、支給の基準が社内で筋の通ったものになっているかどうかです。
(1)その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。(2)その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。
出典:所得税基本通達9-3(旅費)|国税庁
全役員・全社員を通じて適正なバランスの取れた基準で支給し、同業種・同規模の企業と比べて相当な金額であることが、非課税と認められるための条件になります。特定の役職だけを不自然に優遇するような支給は、この条件を満たさないおそれがあります。

また、通常必要と認められる範囲を超えて支給された部分は、非課税ではなく給与所得として扱われます(所得税基本通達9-4)。日当を高く設定しすぎると超過分に課税される点にも注意が必要です。日当を非課税で運用するためにも、金額の根拠を旅費規程で説明できる状態にしておくことが欠かせません。
出張の定義・規程・精算の手間を出張管理システムで一元化する
ここまで見てきたように、出張は定義から日当・移動時間・旅費規程まで、自社で決めて運用すべきことが数多くあります。加えて、実際の出張手配や立替精算、規程どおりに運用されているかのチェックといった日々の業務負担も無視できません。こうした手配から申請・承認、旅費規程のチェック、精算までを一つの仕組みでまとめられるのが、法人向けの出張管理システムです。
ここでは、出張の手配と管理を一元化できる代表的なサービスを紹介します。
※2026年6月時点の各社公式情報にもとづきます。最新の料金・機能は各社の公式情報をご確認ください。
上表の2サービスは代表例で、出張管理システムはほかにも数多くあり、料金体系や手配範囲、経費精算システムとの連携は各社で異なります。料金やタイプ別の選び方まで含めて幅広く比較したうえで自社に合うサービスを選びたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
ピカパカ出張DX(株式会社ピカパカ)

ピカパカ出張DXは、航空券・新幹線・ホテルの予約から出張申請・承認、請求書の一括精算、利用実績の可視化までをワンストップで提供する出張管理システムです。出張費を会社が一括請求でまとめて支払える仕組みにより、出張者の立替精算や仮払いをなくせる点を主な特徴としています。
管理者向けには、出張者の役職や出張規定に沿った旅費上限を検索時に表示する機能や、社内掲示板による規程周知の機能を備えます。Concur Expense・楽楽精算・マネーフォワード クラウド経費といった経費精算システムとの連携にも対応しており、出張手配の情報を精算処理へ引き継げます。
導入費用は0円で、システム利用料は当月の合計利用金額の0〜5%という料金体系です(2026年6月時点、公式サイト記載)。
出張手配が申請・承認や経費精算と切り離されたまま残りやすい背景について、株式会社ピカパカの勝間氏は次のように説明しています。
多くの企業では、出張申請、承認、予約、経費精算といった出張業務が複数のシステムや手作業によって分断されており、出張者と管理部門の双方に大きな負担が発生していました。近年は経費精算システムやワークフローシステムの導入が進む一方で、出張手配だけが別運用のまま残ってしまっているケースも多く、出張データの一元管理や業務効率化が十分に進んでいないという課題がありました。
出張手配プラス(株式会社エルク)

国内・海外・団体まで、出張にまつわる手配の窓口を一本化できるのが、株式会社エルク(エルクトラベル)のクラウド型サービス「出張手配プラス」です。航空券・JR券・ホテル・レンタカー・貸切バス・会議室・団体手配などをまとめて依頼でき、複数の手配先を使い分ける手間をなくせます。
出張費はエルクトラベルが立て替えて会社へ一括請求する仕組みのため、出張者の立替と経理担当者の精算業務を軽減できます。だれが・いつ・どこに出張しているかを把握する危機管理機能や、出張申請・承認のワークフロー、ホテル予約の上限金額設定も標準で備えます。
初期費用・月額利用料はいずれも無料で、手配した運賃・宿泊費などの実費のみを負担する料金体系です(2026年6月時点、公式サイト記載)。最短3営業日で利用を開始できます。
精算業務の負担が近年さらに増している背景として、株式会社エルクの川崎氏は、法制度への対応が経理の実務に与えている影響を次のように挙げています。

今でいうと、電子帳簿保存法とインボイス制度が始まったことの効果が一番大きいですね。正直なところ、これらの対応で経理側の手間はものすごく増えています。これまでは領収書を一枚出して金額を見て終わりだったものが、今はすべてデータ化しなければならず、インボイスに対応しているかどうかの確認まで必要になりました。このチェック工数をなくしたい、というご相談が今は一番多いです。
まとめ
出張には、労働基準法や所得税法といった一般の法律に一律の定義がなく、各社が出張旅費規程で自ら定めるのが実務の基本です。「どこからが出張か」は、社用外出・外勤・出向との違いを踏まえ、距離・時間の目安を自社の実態に合わせて決めることになります。
日当や宿泊費の金額も法定ではなく、非課税として扱うには、全社員を通じた適正なバランスと同業種・同規模との相当性を満たす基準を規程で定めることが条件になります。移動時間の労働時間該当や日当の課税判断など、解釈が絡む論点は根拠を確認しながら規程に落とし込むと安心です。出張の手配から申請・承認、精算までの日々の負担を軽くしたい場合は、出張管理システムの活用もあわせて検討してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 出張とは何ですか?
A. 出張とは、従業員が通常の勤務地を離れ、遠隔地で臨時に業務を行うことを指します。取引先訪問や現地調査、支店応援などが典型例です。
ただし労働基準法や所得税法といった民間企業に広く適用される法律には出張の一律の定義がなく、各社が出張旅費規程で自ら出張の範囲を定めるのが実務の基本です。「自社ではどこからを出張とするか」を決めて規程に書く、という視点が判断の起点になります。
Q. 出張は何キロから出張扱いになりますか?
A. 出張と認める距離に法律上の基準はなく、片道の移動距離がおおむね100km以上、または片道の移動時間がおおむね90分以上を目安として旅費規程に定める例が多く見られます。特定の距離を超えれば自動的に出張になる、という法的なラインは存在しません。
これらの数値は法定ではなく各社が自由に設定できるもので、近距離でも宿泊が必要な場合は出張とするなど、自社の出張の実態に合わせて基準を決めるのが適切です。
Q. 出張と社用外出・外勤・出向はどう違いますか?
A. 出張と社用外出・外勤の最も大きな違いは、通常の勤務地を離れて遠隔地で臨時に業務を行うかどうかという点にあります。社用外出は勤務時間中に短時間だけ社外に出て当日中に戻る用務、外勤は営業や配送のように社外業務が日常的な勤務形態を指し、いずれも日当(出張手当)は原則支給しません。
一方の出向は、所属や指揮命令そのものが他社・グループ会社などに移る人事異動であり、一時的な業務である出張とは性質が異なります。出向は日当の対象外です。
Q. 同じ会社の別拠点への移動も出張になりますか?
A. 同一法人の拠点間の移動でも、通常の勤務地を離れて臨時に業務を行う場合は、出張として扱うのが一般的です。
ただし、複数の拠点でほぼ均等に勤務している場合は、その両方が「勤務地」とみなされ、拠点間の移動が出張に当たらないと整理されることもあります。判断に迷う場合は、自社の勤務実態に照らして旅費規程で線引きを明確にし、必要に応じて税理士や所轄の税務署に確認すると安心です。
Q. 日帰り出張の日当の相場はいくらですか?
A. 日帰り出張の日当に法定額はありませんが、民間の解説記事などで示される1日あたりの目安では、一般従業員でおおむね2,000〜5,000円前後、役員でおおむね5,000〜15,000円前後とされています。日帰りと宿泊で日当を分けるかどうかも含め、金額は各社が出張旅費規程で自由に定めるものです。
この相場どおりに支給すれば税務上問題がない、というわけではありません。日当を非課税で扱うには金額の根拠を規程で説明できる状態にしておく必要があるため、相場はあくまで参考として位置づけてください。
Q. 出張中の移動時間は労働時間に含まれ、残業代の対象になりますか?
A. 出張の移動時間は原則として労働時間に含まれず、残業代(時間外労働の割増賃金)の対象にはなりません。移動中に自由に過ごせる限り、通勤に費やす時間と同じ性質と考えられるためです。
ただし、移動そのものが物品の運搬や監視を目的とする場合や、移動中に業務の指示があり使用者の指揮監督下にあるといえる場合は、例外的に労働時間に含まれます。また、出張先で行った所定労働時間を超える業務は、通常どおり時間外労働として扱われます。
Q. 出張の日当が非課税になる条件は何ですか?
A. 出張の日当が非課税になるのは、出張旅費規程を整備したうえで、全役員・全社員を通じた適正なバランスと、同業種・同規模の企業と比べた相当性を満たす場合です。所得税法は出張の旅費のうち「通常必要と認められるもの」を非課税と定めており、所得税基本通達9-3がこの2つの判定基準を示しています。
金額が相場どおりかどうかではなく、支給の基準が社内で筋の通ったものになっているかが判断の要です。通常必要と認められる範囲を超えた部分は給与所得として課税されます。
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松嶋真倫
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