取引先や税理士との会話、あるいはニュースで「電子帳簿保存法」という言葉を見聞きして、自社も何か対応しなければならないのではないかと気になっている経理・総務の担当者や個人事業主は少なくありません。名前は聞くものの、何を定めた法律で、いつまでに何をすればよいのかまでは整理しきれていない、という状態になりがちです。
結論から言うと、電子帳簿保存法には3つの保存区分があり、そのうち「電子取引データ保存」だけが2024年(令和6年)1月から対応が必要な義務で、残りの2つは任意です。まずこの線引きを押さえるだけでも、自社が今やるべきことの見当がつきます。

本記事では、電子帳簿保存法の定義と3区分の違い、「義務・任意・いつから」の一覧、対象になる書類、保存要件(真実性の確保・可視性の確保)を解説します。あわせて、混同されやすい「宥恕措置」と「猶予措置」の違いや罰則、「まず何から手をつければよいか」も整理します。
目次
電子帳簿保存法とは?国税関係の帳簿・書類を電子データで保存する法律
電子帳簿保存法は、正式には「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といい、国税庁が所管しています。1998年(平成10年)に制定された法律で、名前は難しく見えますが、中身は次の一文に集約されます。
各税法で原則紙での保存が義務づけられている帳簿書類について一定の要件を満たした上で電磁的記録(電子データ)による保存を可能とすること及び電子的に授受した取引情報の保存義務等を定めた法律です。
出典:電子帳簿保存法が改正されました(電子帳簿保存法の概要)|国税庁
つまり電子帳簿保存法は、「紙で保存するのが原則だった帳簿や書類を、要件を満たせば電子データで保存してよい」ことと、「電子でやりとりした取引情報は電子データのまま保存しなければならない」ことの2つを定めた法律です。前者は選べる(任意)、後者は必ず対応する(義務)という性格の違いが、この後で見る3区分の理解につながります。
電子帳簿保存法の対象者(法人・個人事業主とも対象)
電子帳簿保存法のうち義務にあたる電子取引データ保存は、法人だけでなく個人事業主も対象です。所得税(源泉徴収にかかる所得税を除きます)や法人税の申告で帳簿・書類の保存義務がある事業者は、規模を問わず対応が必要になります。「うちは小規模だから関係ない」とはならず、メールやインターネットで請求書・領収書などをやりとりしていれば、個人事業主でも対象に含まれます。
電子帳簿保存法の3区分と「義務・任意・いつから」早わかり一覧
ここからは、電子帳簿保存法の中身を3つの区分に分けて確認します。最初に押さえたいのは、「どれが義務で、いつからか」です。次の一覧で、区分ごとに任意か義務か・対応時期・対象の例をまとめました。
| 保存区分 | ① 電子帳簿等保存 | ② スキャナ保存 | ③ 電子取引データ保存 |
|---|---|---|---|
| 任意か義務か | 任意(希望者のみ) | 任意(希望者のみ) | 義務(法人・個人事業者とも対応が必要) |
| 対応時期 | 任意のため期限なし | 任意のため期限なし | 2024年(令和6年)1月〜義務(紙出力での保存を認めた宥恕措置は2023年末で終了。相当の理由がある場合の猶予措置は後述) |
| 対象の例 | 自分でパソコン等を使い最初から一貫して作成した仕訳帳・総勘定元帳などの帳簿や、損益計算書・貸借対照表などの決算関係書類 | 取引先から紙で受け取った請求書・領収書・契約書などを、スマホやスキャナで読み取った電子データ | メール添付やWeb上でやりとりした注文書・契約書・領収書・請求書などに相当する電子データ |
※区分名・区分の説明は国税庁「電子帳簿保存法の内容が改正されました(令和5年4月)」の表記にもとづきます(2026年9月時点)。
国税庁は3区分のうち①電子帳簿等保存と②スキャナ保存を「希望者のみ」、③電子取引データ保存を「法人・個人事業者は対応が必要です」と表記しています。この表記のとおり、①と②は電子保存を選べる任意の制度で、紙のまま保存し続けても差し支えありません。一方、③の電子取引データ保存だけが、対応が必要な義務です。以下では、それぞれの区分を順に見ていきます。
① 電子帳簿等保存(任意)
電子帳簿等保存は、自分で最初から一貫してパソコン等で作成している帳簿や国税関係書類を、プリントアウトせずに電子データのまま保存できる制度です。会計ソフトで作成した仕訳帳・総勘定元帳や、損益計算書・貸借対照表などが対象になります。あくまで希望する事業者向けの任意の制度で、紙に出力して保存する従来の方法も引き続き認められています。
② スキャナ保存(任意)
スキャナ保存は、取引先から紙で受け取った、または紙で作成した請求書・領収書・契約書などの取引関係書類を、その紙自体を保存する代わりに、スマホやスキャナで読み取った電子データで保存できる制度です。こちらも任意で、紙の書類をそのまま保管しても問題ありません。なお、損益計算書・貸借対照表などの決算関係書類は、このスキャナ保存の対象からは除かれます。
③ 電子取引データ保存(義務・2024年1月〜)
電子取引データ保存は、3区分の中で唯一の義務です。メール添付やWeb上のダウンロードなど、電子的に授受した取引情報を、電子データのまま保存しなければなりません。法律上の根拠は電子帳簿保存法第7条にあります。
所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。
出典:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 第7条|e-Gov法令検索
ここでいう「電子取引」とは、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに通常記載される取引情報を、電子的な方法でやりとりする取引を指します。たとえばメールにPDFの請求書が添付されて届いた、通販サイトの購入履歴から領収書をダウンロードした、といったケースが該当します。こうしたデータは、紙に印刷して保存するだけでは対応として不十分で、電子データのまま要件を満たして保存する必要があります。
なお「2024年1月から義務」という言い方が広く使われていますが、義務そのものは令和3年度の税制改正で定められ、2022年(令和4年)1月1日に施行されています。施行後しばらくは後述の宥恕(ゆうじょ)措置により紙に出力しての保存が事実上認められていましたが、その措置が2023年(令和5年)12月末で終わりました。
そのため、実務上は2024年(令和6年)1月以降が本格的に対応を求められる起点になります。ただし、相当の理由がある場合の猶予措置は残っており、これについてはこの後の節で詳しく解説します。
出典・参考資料(2件)
電子帳簿保存法の対象となる書類(帳簿・決算関係・取引関係)
自社が普段扱っている書類が、電子帳簿保存法のどこに当てはまるのかを確認しておきましょう。国税関係の書類は、大きく「帳簿」「決算関係書類」「取引関係書類」の3つに分けられます。
| 書類の分類 | 国税関係帳簿 | 決算関係書類 | 取引関係書類 |
|---|---|---|---|
| 具体例 | 仕訳帳、総勘定元帳、経費帳、売上帳、仕入帳 など | 損益計算書、貸借対照表 など | 請求書、領収書、契約書、見積書、納品書 など |
| 電子保存で使う区分 | 電子帳簿等保存(任意) | 電子帳簿等保存(任意)。スキャナ保存の対象外 | 紙で受け取ったものはスキャナ保存(任意)/電子で授受したものは電子取引データ保存(義務) |
多くの事業者が日常的に扱う請求書や領収書は、取引関係書類にあたります。同じ請求書でも、取引先から紙で受け取ったものをスキャンして保存するなら任意のスキャナ保存、メールなどで電子的に受け取ったものを保存するなら義務の電子取引データ保存、と扱いが分かれる点に注意が必要です。自社に届く請求書・領収書が「紙」か「電子」かで、対応が任意か義務かが変わると考えると整理しやすくなります。
出典・参考資料(1件)
電子データの保存要件をわかりやすく(真実性の確保・可視性の確保)
電子データで保存する場合は、ただ保存すればよいわけではなく、大きく2つの要件を満たす必要があります。1つは、保存したデータが改ざんされていないことを担保する「真実性の確保」、もう1つは、必要なときにすぐ確認・検索できる状態にしておく「可視性の確保」です。
ここでは、義務である電子取引データ保存の要件を中心に、この2つを噛み砕いて解説します。任意の2区分にも別途それぞれの要件があり、スキャナ保存では解像度・タイムスタンプの付与期間・入力期間などが、電子帳簿等保存では「優良な電子帳簿」と「その他の電子帳簿」とで求められる要件が異なります。これらを行う場合は、国税庁が区分ごとに示す要件をあわせて確認してください。

真実性の確保(タイムスタンプ・訂正削除履歴・事務処理規程のいずれか)
真実性の確保とは、保存したデータが後から改ざんされていないことを担保する要件です。電子取引データについては、国税庁が次のいずれかの条件を満たせばよいと示しています。
電子的に受け取ったり送付した請求書や領収書等については、データのまま保存しなければならないこととされており(法7)、その真実性を確保する観点から、以下のいずれかの条件を満たす必要があります(規則4①)。
出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和6年6月)問27|国税庁
- ⑴ タイムスタンプが付与されたデータを受領(規則4①一)
- ⑵ 速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付す(規則4①二)
- ⑶ データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用して、授受及び保存を行う(規則4①三)
- ⑷ 訂正削除の防止に関する事務処理規程を策定、運用、備付け(規則4①四)
整理すると、真実性の確保は「タイムスタンプを使う(受領時に付与済みか、授受後に速やかに付与する)」「訂正・削除の履歴が残る、または訂正・削除ができないシステムを使う」「訂正削除の防止に関する事務処理規程を定めて運用する」のいずれかで満たせます。専用のシステムを導入しなくても、自社で事務処理規程を整備して運用すれば要件を満たせる点が、対応を考えるうえでのポイントです。
可視性の確保(見読可能な状態と検索要件)
可視性の確保は、保存したデータを、税務調査などの際に整然とした形で速やかに確認・出力できる状態にしておく要件です。国税庁は、保存場所にパソコン・プログラム・ディスプレイ・プリンタと操作マニュアルを備え付け、記録事項を画面や書面に整然とした形式・明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと、と示しています。
あわせて、保存したデータを後から探し出せるように、次の検索機能を備えることも求められます。
- 取引年月日その他の日付・取引金額・取引先を検索の条件として設定できること
- 日付または金額について、範囲を指定して検索できること
- 2つ以上の項目を組み合わせて検索できること
ただし、税務職員の求めに応じて電子データをダウンロードできるようにしている場合は、範囲指定検索と組み合わせ検索は不要になります。さらに、基準期間(2課税年度前)の売上高が5,000万円以下の事業者などが、ダウンロードの求めに応じられるようにしている場合には、検索機能そのものが不要とされます。
この5,000万円という基準は、令和5年度の税制改正で従来の1,000万円以下から引き上げられたもので、2024年1月以降に適用されています。小規模な事業者ほど、検索要件の負担が軽くなる仕組みになっています。
出典・参考資料(2件)
電子取引データ保存の「宥恕措置・猶予措置」と対応しないときの罰則
電子取引データ保存をめぐっては、「宥恕措置」と「猶予措置」という2つの言葉が登場します。名前が似ているため混同されがちですが、内容も適用される時期も異なります。この違いを正しく理解しておくと、自社が今どの状態にあるのかを判断しやすくなります。
宥恕措置(2023年末で終了)と猶予措置(相当の理由)の違い
宥恕措置は、令和4年度の税制改正で設けられた経過的な措置で、要件どおりの保存が難しい事業者について、当面は電子取引データを紙に出力して保存することを認めるものでした。この宥恕措置は、適用期限である2023年(令和5年)12月31日をもって廃止されています。
これに代わって、令和5年度の税制改正で新たに整備されたのが猶予措置です。国税庁は令和5年度改正の内容を伝えるパンフレットで、電子取引データ保存に関する主な改正事項として、宥恕措置の廃止(次の⑵)と新たな猶予措置の整備(同⑶)を次のように示しています。
出典:電子帳簿保存法の内容が改正されました(令和5年4月)|国税庁
- ⑵ 令和4年度税制改正で措置された「宥恕措置」は、適用期限(令和5年12 月31 日)をもって廃止されます。
- ⑶ 新たな猶予措置が整備されました。次のイ・ロの要件をいずれも満たしている場合には、改ざん防止や検索機能など保存時に満たすべき要件に沿った対応は不要となり、電子取引データを単に保存しておくことができることとされました。
- イ 保存時に満たすべき要件に従って電子取引データを保存することができなかったことについて、所轄税務署長が相当の理由があると認める場合(事前申請等は不要です。)
- ロ 税務調査等の際に、電子取引データの「ダウンロードの求め」及びその電子取引データをプリントアウトした書面の提示・提出の求めにそれぞれ応じることができるようにしている場合
ここでいう「相当の理由」について、国税庁は、システムやワークフローの整備が間に合わないなど、要件に従って保存できる環境が整っていない事情がある場合を含むと説明しています。一方で、システムなどが整っていて要件どおり保存できるにもかかわらず、特段の理由なく対応していない場合には、この猶予措置は受けられないとされています。
また、宥恕措置と違い、猶予措置では電子データそのものの保存が前提で、プリントアウトした書面と電子データのダウンロードの求めの両方に応じられるようにしておく必要がある点にも注意が必要です。
出典・参考資料(1件)
電子帳簿保存法に対応しないとどうなる?(罰則)
電子取引データ保存に対応していない場合、直ちに一律の罰則が科されるわけではありません。ただし、対応を怠ったことが不利益につながり得る場面として、主に次の2点が挙げられます。
1つ目は、青色申告の承認の取消しです。青色申告の承認を受けている事業者が対象で、白色申告の場合は直接は関係しません。国税庁は、災害などのやむを得ない事情や税務署長が相当の理由があると認める事由がなく、電子取引データが要件どおり保存されていない場合について、次のように示しています。
その電磁的記録が保存時に満たすべき要件に従って保存されていない場合は、青色申告の承認の取消対象となり得ます。なお、青色申告の承認の取消しについては、違反の程度等を総合勘案の上、真に青色申告書を提出するにふさわしくないと認められるかどうか等を検討した上、その適用を判断しています。
出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和6年6月)問66|国税庁
このように、保存の不備があった事実だけで直ちに青色申告が取り消されるわけではなく、違反の程度などを総合的に勘案して判断されます。とはいえ、取消しの対象になり得るという点は理解しておく必要があります。
2つ目は、重加算税の加重です。重加算税は、事実の隠蔽や仮装をともなう悪質な過少申告などに科される、割増しの追徴課税です。電子取引データを削除・改ざんして売上除外や経費の水増しを行った場合など、隠蔽や仮装があったときには、通常の重加算税に加えて、その税額の10%相当が加算されます。これは電子帳簿保存法第8条第5項に「百分の十の割合を乗じて計算した金額を加算」と定められているものです。
単に保存要件を満たせなかったというだけで自動的に加重されるわけではなく、あくまで改ざんなどの不正があった場合が対象です。
出典・参考資料(2件)
電子帳簿保存法対応、まず何から始めればいい?
制度の全体像がつかめたら、次は自社が何から手をつけるかです。任意である電子帳簿等保存・スキャナ保存は後回しにできるため、まずは義務である電子取引データ保存への対応を起点に考えると、優先順位を整理しやすくなります。

最初のステップは、自社にどのような電子取引があるかの洗い出しです。メールに添付されて届く請求書、通販サイトからダウンロードする領収書、クラウドサービス上でやりとりする契約書など、電子でやりとりしている書類を書き出すと、保存すべき対象が見えてきます。
次に決めるのは、真実性を確保する方法です。前述の3つの方法(タイムスタンプ/訂正・削除の履歴が残るシステム/事務処理規程)のいずれかで対応でき、取引量が少なければ、専用のシステムを使わず事務処理規程を整備・運用する方法から始められます。事務処理規程のひな形は国税庁が公開しているため、これをもとに自社の運用ルールを定めることができます。
最後に、保存したデータを取引年月日・取引金額・取引先で検索できる状態を用意しておきます。取引量が少なければ、ファイル名を「日付_金額_取引先」の形式で統一したり、表計算ソフトで索引簿を作ったりする方法でも検索要件を満たせます。また前述のとおり、基準期間の売上高が5,000万円以下の事業者などは、税務職員のダウンロードの求めに応じられれば検索機能そのものが不要です。
一方、取引量が増えてくると手作業での管理は負担が大きくなり、検索要件を満たすのも難しくなります。そうした場合は、タイムスタンプの付与や検索要件への対応をまとめて行える対応システムを使うと、保存要件を満たしながら日々の作業を効率化できます。
なお、書類を電子データに切り替えることのメリット・デメリットや、導入前に押さえておきたいポイントを先に整理しておきたい方は、次の記事もあわせてご覧ください。
電子帳簿保存法への対応を効率化するサービス
電子取引データ保存やスキャナ保存の要件を満たしながら、書類のデータ化・保存・検索をまとめて行えるクラウドサービスが増えています。ここでは、電子帳簿保存法対応の書類保存に特化したサービスを紹介します。
いずれも、法的要件を満たすソフトウェアであることを第三者機関が確認する「JIIMA認証」を取得したサービスです。無料プランや低額から試せるサービスもあるため、まずは主要なサービスの比較表で全体像を確認してください。
| サービス名 | TOKIUM電子帳簿保存 | マネーフォワード クラウドBox | バクラク電子帳簿保存 | 楽楽電子保存 | invox電子帳簿保存 | DenHo | OPTiM 電子帳簿保存 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 電帳法の対応区分 | 電子取引データ保存 スキャナ保存 | 電子取引データ保存 スキャナ保存 | 電子取引データ保存 スキャナ保存 国税関係帳簿書類(公式サイト記載) | 電子取引データ保存 スキャナ保存 | 電子取引データ保存 スキャナ保存 | 電子取引データ保存 スキャナ保存 | 電子取引データ保存 スキャナ保存 |
| JIIMA認証 | ●電子取引・スキャナ保存の2区分 | ●電子取引・電子書類(取引関係書類保存)の認証 | ●電子取引・スキャナ保存(バクラク請求書との連携名義で取得) | ●電子取引・スキャナ保存(単体での取得時期は公式に明記なし) | ●電子取引・スキャナ保存の2区分 | ●電子取引・スキャナ保存の2区分 | ●電子取引・スキャナ保存の2区分 |
| 料金(初期費用・月額) | 初期費用:要問い合わせ 月額:基本利用料1万円〜+書類件数の従量課金 | Box単体の料金設定なし マネーフォワード クラウドの有料プランが必要(個人向け900円/月〜・法人向け2,480円/月〜、税抜) | 初期費用:0円 月額:無料プラン0円/有料プラン12,000円/月〜(税抜) | 初期費用:50,000円(税抜) 月額:17,000円/月〜(税抜) | 初期費用:0円 月額:1,980円/月(税込2,178円)〜 | 初期費用:要問い合わせ 月額:9,000円/月〜 | 初期費用:0円 月額:9,980円/月〜(税抜) |
| 無料プラン・トライアル | 無料トライアルは公式に記載なし | 無料での証憑アップロードは不可(2024年6月以降は有料プランが必要) | 無料プランあり(月200件まで保存/AI読み取りはお試し5件) | 楽楽明細で受領した書類のみ保存できる無料プランあり | データ化10件までの無料トライアルあり | 5日間の無料トライアルあり | 月10件までの無料トライアルあり |
| 会計・シリーズ連携 | TOKIUMインボイス等のTOKIUMシリーズと連携(会計ソフト連携範囲は要問い合わせ) | マネーフォワード クラウド会計・請求書と連携し証憑と仕訳を同一画面で確認 | バクラクシリーズ(請求書受取・経費精算等)とAPI連携 | 楽楽明細・楽楽精算から証憑を自動取り込み | invoxシリーズと連携(API連携はプロフェッショナルプランのみ) | 会計ソフトへの自動仕訳変換などAPI連携に対応(連携先の一覧は要問い合わせ) | SharePoint連携・OPTiM Contractと連携(会計ソフトのAPI連携は公式に明記なし) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※料金・仕様は2026年9月時点の各社公式サイト情報にもとづきます。最新の内容は各社の公式サイトでご確認ください。
比較表の「JIIMA認証」は、電子帳簿保存法の要件を満たすソフトウェアであることを公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が確認する制度です。認証の種類や、サービス選びで認証の有無をどう確認すればよいかをもう少し詳しく知りたい方は、次の記事で解説しています。
TOKIUM電子帳簿保存(株式会社TOKIUM)

契約書・見積書・納品書・請求書などの国税関係書類の保存に特化したクラウド文書管理システムが、株式会社TOKIUMのTOKIUM電子帳簿保存です。紙・メール添付のPDF・FAXなど形式を問わず書類を電子化し、原本の代理保管(保管期間10年間)まで引き受けます。データ化の方式は「セルフ入力」「AI-OCR」「オペレーター入力」の3つから選べ、コスト重視か精度重視かに応じて使い分けられます。
電子取引・スキャナ保存の2区分でJIIMA認証を取得しており、タイムスタンプの付与や訂正・削除履歴への対応で保存要件を満たせます。料金は基本利用料が月額1万円からで、書類の件数に応じた従量課金と組み合わさる体系です。利用アカウント数は無制限のため、担当者が増えても追加料金は発生しません。
マネーフォワード クラウドBox(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウドBoxは、請求書・領収書・見積書などの取引関係書類を電子化・一元管理し、電子取引データ保存・スキャナ保存の要件を満たす形で保存できるサービスです。マネーフォワード クラウド会計やクラウド請求書と連携し、証憑と会計上の仕訳を同じ画面で確認できる点が特徴です。
アップロード時のタイムスタンプ自動付与に加え、保存済みの全ファイルの改ざん有無をまとめて確認する「タイムスタンプ一括検証」機能も備えています。
2024年6月からは、クラウドBoxへファイルをアップロードするにはマネーフォワード クラウドの有料プランの契約が必要になりました。クラウドBox単体の料金設定はなく、個人向け・法人向けの各プランに含まれる機能として提供されています。すでにマネーフォワード クラウドを利用している事業者であれば、証憑管理の受け皿として導入しやすいサービスです。
バクラク電子帳簿保存(株式会社LayerX)

バクラク電子帳簿保存は、書類をアップロードするとAI-OCRが取引先名・取引日・取引金額などを自動で読み取り、電子帳簿保存法の要件を満たす形でデータ化・保存するサービスです。最大100枚のPDF・画像を同時にアップロードしてまとめてデータ化でき、適格請求書発行事業者の登録番号(インボイス番号)の自動判定にも対応します。
公式サイトでは、電子取引・スキャナ保存・国税関係帳簿書類の3区分すべてに対応するとしています。
月200件までの保存であれば無料プランで利用でき、電子帳簿保存法対応の第一歩として小規模な事業者でも始めやすい設計です。有料プランは月額12,000円(税抜)からで、月1,000件までの保存に対応します。経費精算や請求書受取など、同社のバクラクシリーズの他サービスとも連携できます。
楽楽電子保存(株式会社ラクス)

電子データも紙のスキャン画像も区別なく、請求書・領収書・納品書などの証憑を一元管理できるのが、株式会社ラクスのクラウド型電子保存システム「楽楽電子保存」です。AI-OCRが取引年月日・金額・取引先名・登録番号など6項目を自動で抽出し、事業者登録番号は国税庁データとの照合も行います。電子取引・スキャナ保存の2区分でJIIMA認証を取得しています。
電子請求書発行システム「楽楽明細」や経費精算システム「楽楽精算」と連携でき、これらで扱った証憑を自動で取り込めるため、証憑データの二重入力を防げます。料金は初期費用50,000円(税抜)、月額17,000円(税抜)からで、アップロード件数に応じて変動します。すでに楽楽シリーズを使っている事業者との相性がよいサービスです。
invox電子帳簿保存(株式会社invox)

invox電子帳簿保存は、国税関係書類・電子取引データの保存に特化したクラウドサービスで、スキャナ保存・電子取引データ保存の2区分でJIIMA認証を取得しています。データ化の方式は「セルフ入力」「AI-OCR(約10秒)」「オペレータ入力」から選べ、アップロードした書類の種類をシステムが自動で振り分ける機能も持ちます。
料金体系を単価まで公開している点も特徴で、初期費用は0円、月額基本料金はミニマムプランの1,980円(税込2,178円)からです。データ化はセルフ入力なら0円、AI-OCRは1件22円(税込)といった従量課金で、利用ユーザー数はどのプランでも無制限です。小規模な事業者が費用を見通しながら導入しやすいサービスです。
DenHo(株式会社インフォディオ)

DenHoは、AI-OCRを軸にした電子帳簿保存クラウドで、紙帳票のスキャンやスマホ撮影、電子データのアップロードから、取引先名・取引日付・取引金額を自動でデータ化します。電子取引・スキャナ保存の2区分でJIIMA認証を取得し、タイムスタンプ付与を追加費用なしで標準搭載しているほか、全文検索や帳票の自動振り分けにも対応します。
手書き帳票のデータ化に対応する点も、紙の書類が多い現場では利点になります。
料金は月額9,000円からで、詳細は問い合わせで確認する形です。5日間の無料トライアルが用意されており、実際のデータを使って読み取り精度や操作感を試してから導入を判断できます。
OPTiM 電子帳簿保存(株式会社オプティム)

OPTiM 電子帳簿保存は、東証プライム上場の株式会社オプティムが提供する文書管理クラウドです。請求書・領収書・注文書・見積書などをアップロードすると、AIが取引年月日・取引金額・取引先名・インボイス登録番号を自動で抽出し、検索要件を満たす形で台帳化します。電子取引・スキャナ保存の2区分でJIIMA認証を取得しているほか、電子帳簿保存法対応に必要な事務処理規程のテンプレートも提供しています。
初期費用は無料で、月額0円・月間10件までの無料トライアルから始められます。有料プランはスターターの月額9,980円(税抜)から段階的に用意され、月間のアップロード件数に応じて選べます。利用ユーザー数はどのプランも無制限です。まず小規模に試してから本格導入したい事業者に向いています。
ここでは代表的なサービスを紹介しました。より多くの電子帳簿保存法対応ソフトを、評判やタイプ別の選び方まで含めて比較したい場合は、機能・料金を一覧で整理した次の記事もあわせてご覧ください。
まとめ
電子帳簿保存法には、電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引データ保存の3区分があり、対応が必要な義務は電子取引データ保存の1つだけです。メールやインターネットで請求書・領収書などをやりとりしている事業者は、法人・個人事業主を問わず、これらの電子データを要件に沿って保存する必要があります。
保存の要件は、改ざんを防ぐ「真実性の確保」と、すぐ確認・検索できる「可視性の確保」の2つです。真実性はタイムスタンプ・訂正削除履歴の残るシステム・事務処理規程のいずれかで満たせるため、必ずしもシステム導入が前提ではありません。ただし取引量が増えると手作業での管理は負担が大きくなるため、対応システムの活用が現実的な選択肢になります。
まずは自社の電子取引を洗い出し、真実性を確保する方法を決めるところから始めましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 電子帳簿保存法とは何ですか?
A. 電子帳簿保存法とは、国税関係の帳簿や書類を電子データで保存する際の取扱いを定めた法律です。正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」で、国税庁が所管しています。紙での保存が原則だった帳簿・書類を、要件を満たせば電子データで保存してよいこと(任意)と、電子でやりとりした取引情報は電子データのまま保存すること(義務)を定めた法律です。
Q. 電子帳簿保存法では、すべての帳簿・書類を電子化しなければならないのですか?
A. いいえ。電子データでの保存が義務づけられているのは、メールやWebなどで電子的にやりとりした取引データ(電子取引データ保存)だけです。 自分で作成する帳簿・書類を電子保存する「電子帳簿等保存」や、紙で受け取った書類を読み取って保存する「スキャナ保存」は任意で、これまでどおり紙のまま保存し続けても差し支えありません。すべての帳簿・書類を電子化しなければならない、というものではありません。
Q. 電子帳簿保存法の対応に、専用システムの導入は必須ですか?
A. いいえ。専用のシステムを導入しなくても、事務処理規程を整備・運用すれば電子取引データ保存の要件を満たせます。 真実性の確保は、タイムスタンプの付与、訂正・削除の履歴が残る(または訂正・削除ができない)システムの利用、訂正削除の防止に関する事務処理規程の運用のいずれかで対応でき、規程のひな形は国税庁も公開しています。
ただし、取引量が増えると手作業での管理や検索要件への対応は負担が大きくなるため、これらをまとめて行える対応システムの活用が現実的な選択肢になります。
出典・参考資料(1件)
Q. 電子帳簿保存法に対応しないと、どのような罰則がありますか?
A. 対応しないことに対して直ちに一律の罰則が科されるわけではありませんが、青色申告の承認の取消しの対象となり得るほか、隠蔽・仮装があった場合には重加算税が加重されます。 青色申告の取消しは、保存の不備という事実だけで自動的に決まるものではなく、違反の程度などを総合的に勘案して判断されます。
重加算税の加重は、電子取引データを削除・改ざんして売上除外や経費の水増しをするなど隠蔽・仮装があった場合に、通常の重加算税額の10%相当が加算されるもので、単に保存要件を満たせなかっただけで加重されるわけではありません。
出典・参考資料(2件)
Q. 個人事業主も電子帳簿保存法の対象になりますか?
A. はい。義務である電子取引データ保存は、法人だけでなく個人事業主も対象です。 所得税や法人税の申告で帳簿・書類の保存義務がある事業者は、規模を問わず対応が必要になります。「小規模だから関係ない」ということはなく、メールやインターネットで請求書・領収書などをやりとりしていれば、個人事業主でもその電子データを要件に沿って保存する必要があります。
Q. 電子帳簿保存法の「宥恕措置」と「猶予措置」は何が違うのですか?
A. 宥恕措置は2023年12月末で終了した経過的な措置で、現在有効なのは令和5年度の税制改正で新設された猶予措置です。 宥恕措置は、令和4年度の税制改正で設けられ、要件どおりの保存が難しい事業者に電子取引データの紙出力での保存を当面認めるものでしたが、2023年(令和5年)12月31日で廃止されました。
代わりの猶予措置は、要件どおり保存できないことに「相当の理由」があると所轄税務署長が認め、かつ税務調査などの際にデータのダウンロードの求めと書面の提示・提出の求めに応じられる場合に、改ざん防止や検索などの保存要件への対応を不要とするものです。宥恕措置と違い、電子データそのものの保存が前提となる点に注意が必要です。
出典・参考資料(1件)
Q. 電子取引のデータは、紙に印刷して保存するだけでは対応にならないのですか?
A. 原則として、電子取引データは紙に印刷するだけでは不十分で、電子データのまま要件を満たして保存する必要があります。 2022年1月から2023年末までは宥恕措置により紙に出力して保存することが事実上認められていましたが、この措置は終了しました。
現在は、猶予措置の要件に該当する場合を除き、メールに添付されて届いた請求書やWebでダウンロードした領収書などは、電子データのまま保存しなければなりません。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















