クラウドやテレワークの広がりで、社外や委託先からのアクセスが増え、VPNや境界型の防御だけでは社内の情報を守りきれなくなっていませんか。ゼロトラストの考え方でID・アクセス、端末、ネットワーク、データ、監視・運用までを組み直したいものの、自社に知見がなく、何から・どの順序で手を付ければよいか描けない企業が増えています。
ゼロトラストはID・端末・ネットワーク・データと対象が広く、製品をそろえるだけでは目的を満たせません。現状評価(アセスメント)から全体構想・設計・導入・運用までを、どの会社・サービスに、どこまで任せればよいのでしょうか。
本記事では、ゼロトラスト導入を担うコンサルティング会社・サービス10社を立ち位置別に比較します。各社の支援範囲・進め方の違いに加え、ベンダーフリーか特定製品前提か、無料診断の有無、料金体系など、自社に合う依頼先を選ぶための観点を整理しました。
あわせて、計画を立てたあとに実装・運用を担うソリューション(ID管理・脆弱性診断など)も後半で紹介します。自社に合う依頼先を絞り込む材料としてご活用ください。
また、自社の段階や優先領域に合う依頼先・ソリューションを探せるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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ゼロトラストのコンサルティングとは|境界型との違いと外部に任せる理由
ここからは、依頼先を比較する前提として、ゼロトラストの基本的な考え方と、なぜ外部のコンサルティングに頼む企業が多いのかを押さえます。ゼロトラストとは、デジタル庁が次のように定義する概念です。
ゼロトラスト:境界の内部が侵害されることも想定したうえで、情報システムおよびサービスの要求ごとに適切かつ必要最小の権限でのアクセス制御を行う際に、不確実性を最小限に抑えるように設計された概念。
出典:ゼロトラストアーキテクチャ適用方針(表1-1 用語の定義)|デジタル庁
もとになっているのは、米国国立標準技術研究所(NIST)が2020年に公開した「NIST SP 800-207 Zero Trust Architecture」です。社内ネットワークの内側でも無条件には信頼せず、アクセスのたびに利用者・端末・状況を確認して必要最小限の権限だけを与える——これがゼロトラストの中心にある発想です。
従来の境界型セキュリティは、社内と社外の境目を守ることで内部を安全とみなす考え方でした。デジタル庁はこれを「境界で内側と外側を遮断して外部からの攻撃や内部からの情報流出の防止を試みる考え方」と説明しています。クラウド活用や働き方の多様化で社外からのアクセスが当たり前になると、境界の内側を守るだけでは社外の利用者やクラウド上のデータを守りきれません。
ただし、境界型が完全に不要になるわけではありません。デジタル庁も、ゼロトラストは境界型セキュリティを否定するものではないとしています。既存の境界防御を活かしながら、アクセス制御の軸をIDや端末の検証へ移していくのが現実的な進め方です。
外部のコンサルティングに頼む企業が多いのは、この組み直しがID・端末・ネットワーク・データ・監視と広い範囲に及び、自社だけで全体像を描きにくいためです。製品を選ぶ前に、守るべき資産・業務フロー・リスクを棚卸しし、どの順序で何を導入するかの道筋を立てる段階で、専門家の支援を求めるケースが目立ちます。
ゼロトラストの3原則と「製品の寄せ集めでは完成しない」理由
ゼロトラストを実務で設計するときの土台として、Microsoftは次の3つの原則を挙げています。多くの解説記事やコンサルティング会社も、この枠組みを共通言語として使っています。
- 明示的に検証する:利用可能なすべての情報(利用者・端末・場所・状態など)を使って、アクセスのたびに認証・認可を行う
- 最小権限のアクセス:利用者やシステムには、必要な範囲の権限を、必要な期間だけ与える
- 侵害を前提とする:攻撃者がすでに内部にいるかもしれないという前提で、防御の仕組みを設計する
これらの原則は、特定の製品を入れれば満たせるものではありません。ゼロトラストは製品名ではなく考え方であり、業務のどこに何の権限を与えるかを設計して初めて機能します。デジタル庁も、ゼロトラストアーキテクチャは特定の実装やソリューションを指すものではないと述べています。
この考え方は政府情報システムの導入や運用といった特定のフェーズだけに限定されるものではなく、中長期的な政府情報システムに係るライフサイクル全体にわたって適用されるものである。したがってゼロトラストアーキテクチャは特定の実装やソリューションを指すものではない。
出典:ゼロトラストアーキテクチャ適用方針(1.5節)|デジタル庁
IDaaS(クラウドでID管理・認証を提供)やEDR(端末の侵入後対応)といった製品を個別に導入しても、権限設計やポリシーの整合がとれていなければ、穴が残ったまま運用が続きます。全体をどう組み立てるかを設計する部分に、外部コンサルティングの価値があります。
ゼロトラストを構成する要素と対応領域(ID/ネットワーク/端末/データ/監視)
ゼロトラストの対応範囲を読者が把握しやすいよう、本記事では次の5つの領域に整理します。依頼先を比較するときも、この領域のどこが得意かが判断材料になります。
- ID・アクセス管理:誰が何にアクセスできるかを管理する領域。シングルサインオン(SSO)、多要素認証(MFA)、特権ID管理などが含まれます
- 端末(デバイス):アクセスしてくる端末の状態を検証し、安全な端末だけを許可する領域
- ネットワーク:通信を暗号化し、アクセス経路を細かく制御する領域。SASE(ネットワークとセキュリティをクラウドで統合)などのクラウド型の仕組みが使われます
- データ:重要なデータを分類し、持ち出しや不正利用を防ぐ領域
- 監視・運用:アクセスログや挙動を継続的に収集・分析し、異常を検知して対応する領域
国際的な代表的フレームとして、米国CISAの「Zero Trust Maturity Model」(バージョン2.0)があります。CISAは、アイデンティティ・デバイス・ネットワーク・アプリケーションおよびワークロード・データの5つの柱と、これらを横断する「可視化と分析」などの機能でゼロトラストを捉えています。本記事の「監視・運用」は、この横断機能である可視化と分析に近い位置づけです。
アクセスの可否を判断・実行する中核の仕組み(ポリシーエンジン・ポリシー管理・ポリシー実行ポイント)はNIST SP 800-207で定義されていますが、依頼先選びの段階では、どの領域を任せたいかを押さえておけば十分です。
出典・参考資料(1件)
この5領域のうち、多くの企業が起点に置くのがID・アクセス管理です。その中心となる多要素認証(MFA)について、仕組みや二段階認証との違いから基本を押さえたい場合は、次の記事を参考にしてください。
ゼロトラストのコンサルティング会社・サービスの選び方|5つの軸
基礎はここまでです。ここからは、ゼロトラスト導入を任せる依頼先を自社に合うかどうかで見極めるための5つの軸を解説します。各社がどの段階まで担うか、どの製品を前提とするか、どの領域が得意かは会社ごとに異なります。
この5つのうち、実際に依頼先の違いを大きく分けるのは①支援範囲(上流の構想だけか、導入・運用まで一貫か)と②ベンダーフリーか特定製品前提かです。⑤料金は多くが要問い合わせ、③対応領域も多くが全体対応で差が出にくいため、まず①②で候補を絞るのが効率的です。各社の実績・事例は数値での開示が限られるので、後述の個別紹介と公式サイトで確認してください。

①支援範囲(現状評価・アセスメント/全体構想・設計/導入・実装/運用)どこまで任せるか
最も重要な軸が、どの段階まで任せられるかです。各フェーズの具体的な中身は後述の「導入の進め方」で解説しますが、依頼先選びの要点は、上流の構想づくりだけを担う会社か、製品の導入や日々の運用代行まで一貫して引き受ける会社かという支援範囲の広さを見極めることにあります。
判断の起点は、自社にどこまでの知見とリソースがあるかです。社内にセキュリティ設計の経験者がいて製品選定も自力でできるなら、現状評価と全体構想までを外部に任せ、実装は自社で進める形が合います。専任担当がいない場合は、設計から導入・運用までを一貫して任せられる会社のほうが、計画倒れを防ぎやすくなります。
「アセスメントだけ頼みたい」「全体構想から任せたい」「導入・運用まで一貫で任せたい」のどれに当てはまるかを先に決めると、候補を大きく絞り込めます。
②ベンダーフリーか特定製品前提か
2つ目の軸は、依頼先が特定の製品に縛られずに提案するか、自社や提携先の製品の導入・運用までを含めて提案するかです。ベンダーフリー(中立)の会社は、どの製品が自社環境に合うかを客観的に比較しやすい一方、導入や運用は別の会社に依頼する必要が出ることがあります。
自社製品や提携製品の運用まで一貫して引き受ける会社は、計画から運用代行までを一社にまとめられる反面、製品の選択肢は提案側の取り扱い範囲に寄ります。
すでに使いたい製品やクラウド基盤が決まっているなら、その製品の導入実績が豊富な会社が適します。白紙から中立に比較したい、特定ベンダーに偏らない計画を立てたい場合は、ベンダーフリーを明言している会社を軸に検討するとよいでしょう。
③対応領域(ID中心/ネットワーク/端末/データ/全体)どこが得意か
3つ目の軸は、前述の5領域のうちどこを得意とするかです。ゼロトラストはIDの管理(SSO・多要素認証・特権ID)を起点に進める見方が強く、ID領域から着手するケースが多く見られます。一方で、レガシーなネットワークやメインフレームを抱える企業では、ネットワークや既存資産の統合に強い会社が合います。
自社の弱点がどこにあるかで、得意領域を見極めます。パスワード管理やアカウントの棚卸しが課題ならID中心の会社、クラウドと拠点の通信制御が課題ならネットワークに強い会社、というように、優先して解決したい領域と依頼先の強みを突き合わせます。全領域をまとめて任せたい場合は、領域横断で設計から運用まで対応できる会社を選びます。
ただし、多くの会社は全領域に対応できると掲げており、この軸単独では差がつきにくいのが実情です。ID領域に特化した会社など、明確な得意領域を公表している場合に注目すると、違いが見えてきます。
④無料の診断・成熟度アセスメントの有無
4つ目の軸は、無料または短期間の診断・成熟度アセスメントを用意しているかです。ゼロトラストの成熟度は、CISAのモデルでも従来型・初期・高度・最適の段階で捉えられ、現状がどの段階かを把握することが計画の出発点になります。無料のゼロトラスト診断や成熟度アセスメントを入口に置く会社なら、本格的な契約の前に自社の課題と優先順位を可視化でき、低いリスクで相性を確かめられます。
初めて外部に相談する場合や、投資判断の根拠となる現状把握がまだない場合は、まず無料診断を提供する会社から当たるのが現実的です。診断結果のレポートがそのまま投資判断の資料として使えるかも、確認しておきたい点です。
そもそもセキュリティのアセスメント(現状評価)にはどんな種類があり、どう進んで費用はどのくらいかを先に押さえておきたい場合は、次の記事で全体像を確認できます。
⑤料金体系(課金方式)
5つ目の軸は料金体系です。ゼロトラストのコンサルティングは支援範囲が会社ごとに異なるため、料金も個別見積もりが中心です。アセスメントのみを定額で提供する会社、構想・設計を工数ベースで見積もる会社、導入する製品のライセンス料と運用費を含めて提案する会社など、課金の仕方はさまざまです。
ほとんどの会社が「要問い合わせ」のため、料金だけで依頼先を横並びに絞るのは現実的ではありません。比較では金額の大小よりも、その金額にどの工程まで含まれるかを合わせて確認します。相場の目安は後述の「ゼロトラスト導入・コンサルティングの費用相場」で整理します。
自社の段階や優先領域から合う依頼先・ソリューションを素早く見極めたい場合は、次の「30秒で終わる選定診断ツール」もご活用ください。
【比較表】支援範囲・ベンダーフリー・対応領域・料金で比べる
ここからは、ゼロトラスト導入を担うコンサルティング会社・サービス10社を、支援範囲・ベンダーフリーか特定製品前提か・対応領域・料金体系と無料診断の有無・特徴の軸で一覧にまとめます。セキュリティ専業、大手コンサルティング、SIer、通信キャリア、技術商社など立ち位置はさまざまで、並びは立ち位置別(順不同。ランキングではありません)です。
なお、計画を立てたあとに実際に導入するID管理・多要素認証や脆弱性診断などの具体的なソリューションは、支援の役割が異なるため、個別紹介の後半でコンサルティング会社とは分けて取り上げます。自社の段階に合う依頼先を絞り込む手がかりとしてご覧ください。
| 会社・サービス名 | NRIセキュア ゼロトラスト・コンサルティング | PwC ゼロトラスト・アーキテクチャ実現支援 | NTTデータ ゼロトラストセキュリティ | KDDI マネージド ゼロトラスト コンサルティング | Kyndryl ゼロトラストサービス | 三菱総研DCS サイバーセキュリティコンサルティング | 日本システムウエア(NSW) ITセキュリティコンサルティング | マクニカ ゼロトラスト導入支援・コンサルティング | 日立ソリューションズ ゼロトラストセキュリティ | BTNコンサルティング ゼロトラスト導入支援 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 支援範囲 | 現状評価〜運用 (4フェーズを一貫) | 構想・アセスメント中心 (上流特化/導入・運用は非対象) | 構想・計画〜運用 (一気通貫) | 現状評価〜運用 (一気通貫) | 成熟度評価〜運用 (領域別に一貫) | 現状評価〜計画・工程管理 (構築・運用は接続) | アセスメント〜構築支援+教育 (運用メニューは公開情報では薄い) | ID起点の製品選定・環境構築コンサル (運用は公開情報では不明) | 計画〜運用 (ワンストップ) | 設計・実装〜運用 (現状評価・大規模構想は非対象寄り) |
| ベンダーフリー/特定製品前提 | 自社・提携製品前提 (中立の明言なし) | 中立(製品非依存) (概念設計が中心) | 提携製品前提 (戦略的パートナー製品で構築) | 自社ソリューション中心 (中立の明言なし) | 提携製品前提 (大手ベンダーと戦略的に提携) | ベンダーフリー(中立) (特定製品に縛られないと明言) | Microsoft製品中心 (中立の明言なし) | 特定製品前提 (取り扱い製品が軸) | マルチプロダクト (幅広い製品から提案/自社「秘文」も) | Microsoft製品前提 (Microsoft 365 を中核) |
| 対応領域 | 全体 (ID・端末・ネットワーク・監視) | 全体 (アーキテクチャ構想・概要設計) | 全体 (グローバル・グループ横断) | 全体 (特にネットワーク・通信基盤) | 全体+メインフレーム (レガシー対応が独自) | 全体 (計画・RFP・工程管理が中心) | 全体 (ネットワーク・端末・ID・データ等の7要件) | ID中心 (IAM・IGA・PAM) | 全体 (ユーザー・端末・ネットワーク・アプリ) | ID・端末・監視が中心 (Microsoft軸) |
| 料金・無料診断 | 個別見積もり(要問い合わせ) 無料診断:なし | 個別見積もり(要問い合わせ) 無料診断:なし(クイックアセスメントは有償の入口と位置づけ) | 個別見積もり(要問い合わせ) 無料診断:なし | 個別見積もり(要問い合わせ) 無料診断:あり(ゼロトラスト成熟度アセスメント/無償) | 個別見積もり(要問い合わせ) 無料診断:なし | 個別見積もり(要問い合わせ) 無料診断:あり(ゼロトラスト診断/無料・レーダーチャート) | 個別見積もり(要問い合わせ) 無料診断:なし | 個別見積もり(要問い合わせ) 無料診断:なし | 個別見積もり(要問い合わせ) 無料診断:なし(調査資料のDLあり) | 製品差額 約1,400円/人/月〜(試算)+運用「情シス365」月12万円〜 無料診断:なし(60分無料相談あり) |
| 特徴・強み | セキュリティ専業(NRIグループ)。現状評価から運用までを一貫支援 | 上流の構想に特化。人間起点のBxTワークショップで将来像を設計 | 自社のグローバル導入ノウハウ(55カ国・地域、約14万人)を体系化 | 無償の成熟度アセスメントを入口に、通信基盤まで含めて一気通貫で支援 | 領域別の成熟度評価。メインフレームなどレガシー資産を抱える大規模組織にも対応 | ベンダーフリーの中立な計画・RFP策定。無料のゼロトラスト診断が入口 | 「どこから始めるか分からない」企業に伴走。オンプレ移行期も支援対象 | ID(IAM/IGA/PAM)起点の製品選定・環境構築に強い技術商社 | 計画から運用までワンストップ。顧客の実情に合わせ幅広い製品から提案 | 中小企業向けにMicrosoft 365基盤の最小構成から運用代行まで対応 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
各社・各サービスの個別紹介
比較表で取り上げた各社・各サービスを、ここから個別に紹介します。公式情報をもとに、支援範囲・進め方・対応領域・特徴を整理しました。
ゼロトラスト導入を任せられるコンサルティング会社・サービス
まずは、現状評価から全体構想・設計・導入・運用までを担うコンサルティング会社・サービスです。各社の支援範囲や得意領域の違いに注目してご覧ください。
1. NRIセキュア ゼロトラスト・コンサルティングサービス(NRIセキュアテクノロジーズ株式会社)

野村総合研究所グループでセキュリティを専業とするNRIセキュアテクノロジーズ株式会社のコンサルティングサービスです。現状評価(アセスメント)、全体設計、ソリューションの導入、運用という4つの段階を一社で支援します。
公式ページは「ゼロトラスト適用前・適用段階・適用後」の区分でメニューを整理しています。コンサルティング単体にとどまらず、EDRやZTNA(ゼロトラスト型のリモート接続)などの自社マネージドサービスの運用まで接続できる総合ベンダー型で、ベンダーフリーを明言する記述はありません。
多くの企業・官公庁への支援実績に言及していますが、件数などの定量的な開示は限定的です。費用は個別見積もり(要問い合わせ)で、公式ページ上に無料診断や無償アセスメントの明示はないため、支援範囲とあわせて直接確認するとよいでしょう。
2. PwC ゼロトラスト・アーキテクチャ実現支援サービス(クイックアセスメント)(PwCコンサルティング合同会社)
PwC JapanグループのPwCコンサルティング合同会社が提供する、上流の構想・設計に特化したサービスです。「ゼロトラスト・アーキテクチャは概念であり特定の製品を指すものではない」として、製品選定の前に将来像(ブループリント)を描くアプローチをとります。
支援は、人間起点でビジネスと働き方を検討する独自のワークショップ(BxT)、障壁や追加機能を洗い出すアセスメント、新しいITインフラの概要設計を資料化する将来像の作成という3ステップで進みます。導入・実装や運用ではなく、構想・アセスメントを任せたい段階に向いた内容です。
成果物は、将来像の可視化・主要タスクの一覧・概算コストの報告です。タスクやコストの詳細分析はオプションで、費用は要問い合わせとなっています。グローバルなPwCネットワークの知見を背景としますが、本サービス単位での導入実績の定量開示は限定的です。
3. NTTデータ ゼロトラストセキュリティサービス(株式会社NTTデータ)

株式会社NTTデータが、自社で構築・運用してきたゼロトラスト環境のノウハウを体系化したサービスです。同社自身のゼロトラスト環境は55カ国・地域、約14万人の規模で利用されており、その経験をもとにサービス化しています。
支援範囲は、コンサルティング(構想・計画)から設計・構築(システムインテグレーション)、グローバル拠点の24時間365日の監視・運用まで一気通貫です。構築には戦略的パートナーの製品を用います。
複数拠点を持つ多国籍企業や、グループ横断で一貫した水準を求める組織が主な対象です。費用は公開されておらず、要問い合わせとなっています。
4. KDDI マネージド ゼロトラスト コンサルティングサービス(KDDI株式会社)

KDDI株式会社の「マネージド ゼロトラスト」ソリューション配下にあるコンサルティングサービスです。課題分析・調査からの構想策定、設計・実装、導入後の運用支援まで、通信キャリアの基盤を含めて一気通貫で引き受けます。
入口には無償のゼロトラスト成熟度アセスメントを用意し、現状の対応状況を評価して対策の優先度と期待効果をランク付けします。あわせてセキュリティアセスメントや脆弱性診断・ペネトレーションテストもメニューに含みます。
「どこから手を付けてよいかわからない」「社内の承認が得られない」といった課題に沿った導線を設けています。導入事例は公開されていますが、顧客名や規模は匿名での紹介にとどまります。費用は要問い合わせです。
5. Kyndryl ゼロトラストサービス(Kyndryl Inc.)

グローバルにITインフラサービスを手がけるKyndryl Inc.のゼロトラストサービスです。業界標準のゼロトラスト原則と公的フレームワークに沿って、ビジネスニーズに紐づけた段階的なアプローチを提供します。
クラウド・ID/アクセス管理(IAM)・エンドポイント・ネットワークといった領域ごとに、成熟度評価から設計・実装、運用までをそろえています。メインフレーム環境向けのゼロトラストも明示的に対象とし、レガシー資産を抱える大規模組織にも対応します。
Cisco や Palo Alto Networks、Microsoft などの大手ベンダーと戦略的に提携し、既存投資との統合にも言及しています。グローバルに大規模なITインフラ運用を手がける一方、本サービス単位での実績の定量開示は限定的です。費用は要問い合わせで、無料診断の明示はありません。
6. 三菱総研DCS サイバーセキュリティコンサルティング(三菱総研DCS株式会社)

特定の技術・ベンダーへのロックインを避ける「ベンダーフリー」を掲げるのが、三菱総研グループのITサービス企業・三菱総研DCS株式会社のコンサルティングです。中立な立場で、計画やRFP(提案依頼書)の策定を支援します。
サービスは、リスク分析(簡易・詳細)、将来のITインフラ方針を描く将来構想検討、プロジェクトの進捗・品質を管理する工程管理支援の3本柱で構成されます。入口には、設問に答えると注力領域をレーダーチャートで即時に示す無料のゼロトラスト診断を用意しています。
アセスメントから計画、工程管理を経て、構築・運用支援まで接続できます。金融など高セキュリティ分野での将来構想・検討の実績に言及しますが、件数や顧客名の定量的な開示は限定的です。費用は要問い合わせです。
7. 日本システムウエア(NSW)ITセキュリティコンサルティング(日本システムウエア株式会社)

「どこから始めればよいか分からない」企業に伴走することを掲げるのが、日本システムウエア株式会社のITセキュリティコンサルティングです。DX支援ソリューション「情シスDX ASSIST+」の一環として提供されます。
ネットワーク・デバイス・アイデンティティ・データなどゼロトラストの7要件を整理し、適したソリューションの選定と実装を助言します。フルなネットワーク刷新が難しい企業向けに、移行期のオンプレミス環境も支援対象に含めます。
Microsoft 365 をはじめとするクラウド導入の実績に触れ、Microsoft 製品の使い方を扱う教育サービスも提供します。実績は「多数」との定性表現にとどまり、件数の開示は限定的です。費用は要問い合わせです。
8. マクニカ ゼロトラスト導入支援・コンサルティング(株式会社マクニカ)

半導体やネットワーク、セキュリティ製品を扱う技術商社、株式会社マクニカのゼロトラスト導入支援です。ゼロトラストの入口をID(アイデンティティ)と位置づけ、テクニカルコンサルタントが顧客先で環境構築のコンサルティングと製品導入を行います。
取り扱いは、ID・アクセス管理(IAM)、IDガバナンス(IGA)、特権ID管理(PAM)の各領域の製品です。扱う製品を軸に提案する製品前提型で、特定製品に縛られない中立のコンサルティングとは性質が異なります。
ID領域の製品選定・環境構築に強みがある一方、導入実績の定量的な開示や、料金体系・運用の具体的なメニューは公開情報では確認できず、要問い合わせです。
9. 日立ソリューションズ ゼロトラストセキュリティソリューション(株式会社日立ソリューションズ)

日立グループのSIerである株式会社日立ソリューションズが、トータルセキュリティの課題別メニューの一つとして位置づけるソリューションです。セキュリティコンサルティングとして、システムの計画から運用に至るまでをワンストップで提供できるとしています。
ユーザー・デバイス・ネットワーク・アプリケーションの情報をもとに、利便性を損なわずにアクセス制御を強化します。幅広い製品を扱い、顧客の運用体制やリソースの実情に合わせて製品・サービスを提案するマルチプロダクト型で、設計・構築から運用サポートまで対応します。
自社のエンドポイント製品「秘文」なども組み合わせられます。秘文は累計8,500社・910万ライセンス(2021年時点)の導入実績を公表していますが、これは秘文単体の実績で、ゼロトラストソリューション全体の実績ではありません。費用は製品構成によって変わり要問い合わせで、無料診断の明示はないものの、ゼロトラスト導入に関する調査資料はダウンロードできます。
10. BTNコンサルティング ゼロトラスト導入支援(Security365 / 情シス365)(株式会社BTNコンサルティング)

株式会社BTNコンサルティングは、Microsoft 365 や Google Workspace の導入支援を手がけるITコンサルティング企業です。中小企業向けに、Microsoft 365 を基盤とした現実的な最小構成からゼロトラストを始める進め方を提示しています。
ID保護(多要素認証とSSO)から条件付きアクセス、デバイスのコンプライアンス確認、継続的な監視へと段階的に進めます。設計・実装は「Security365」、Defender・Intune の運用は月額制の「情シス365」(月12万円〜)が担います。
自社メディアでは、既存プランからの製品差額を1人あたり月額約1,400円、50名規模で月額約7万円とする試算を示しています(個別見積もりではありません)。中小企業向けの支援に特化していますが、導入社数などの実績は公開情報では限定的です。導入前の60分無料相談も用意しています。
計画のあとに導入する具体的なソリューション
続いて、ゼロトラストの計画を立てたあとに、ID・アクセス管理や脆弱性診断といった実装・運用の層で実際に導入するソリューションです。コンサルティング会社とは役割が異なり、立てた計画を具体的な仕組みとして入れていく段階で検討する選択肢です。ここでは、立てた計画を具体的な仕組みに落とす実装・伴走層の代表例として、ID管理と脆弱性診断の2つのサービスを取り上げます。
CloudGate UNO(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

株式会社インターナショナルシステムリサーチが100%自社開発するIDaaS(クラウド型のID管理基盤)で、SSO(シングルサインオン)・多要素認証(MFA)・アクセス制限・ID管理を1つのプラットフォームに統合しています。ゼロトラストの計画で描いたID・アクセス管理の方針を、実際の認証基盤として入れていく段階で検討する選択肢です。
認証方式はFIDO2準拠のパスキー(パスワードレス)、生体認証、ワンタイムパスワードなどに対応します。なかでもパスキー認証は上位プランに限定せず、全プラン・全ユーザーが無制限に利用できます。アクセスはIPアドレス・デバイス証明書・国/地域・時間帯・ブラウザ単位で制限でき、端末・場所・時間に応じた制御が可能です。
料金は月額400円(税込440円)〜/ユーザーで、Active Directory連携を含むEnterprise Plus、ユーザーあたりデバイス証明書を含むSmart Packなどにプランが分かれ、30日間の無料トライアルも用意されています。計画を策定したあと、ID・認証の仕組みを自社に合わせて導入したい場合に向きます。
パスワードレス認証を導入した現場では、どのような変化が生じるのでしょうか。同社は独自インタビューで次の事例を挙げています。

導入と同時にパスワードレス認証に切り替えた企業では、IT部門の業務の約20%を占めていたパスワード関連のヘルプデスク業務が「0%」になったという事例があります。
KATABAMI サイバーセキュリティ対策パッケージ(株式会社SYNCHRO)

サイバー攻撃対策を「予防・復旧・補償」の3本柱でまとめた、株式会社SYNCHROのパッケージ型サービスです。排他的IPネットワーキング技術「KATABAMI」を基盤に、月次の脆弱性診断から被害後のデータ復旧、サイバー保険までを一体で提供します。
予防にあたる脆弱性診断(VDP)は、ネットワークの内部から月次(年12回)で診断し、検出した脆弱性と対策案をレポートします。診断して終わりではなく、原則毎月の相談会で対策の進め方まで伴走するため、専任のセキュリティ担当者がいない企業でも継続して取り組めます。
復旧を担うKATABAMI CRAは、隔離した通信経路でデータを自動バックアップし、24時間前までの状態から復旧できます。補償はあいおいニッセイ同和損害保険のサイバー保険を自動付帯します。料金は1台あたり月額1,250円〜で、計画のうち脆弱性診断とバックアップの実装・運用を任せたい中小企業に向いた選択肢です。
ランサムウェア被害の現場でバックアップがどのような状況に置かれているかについて、同社は独自インタビューで次のように指摘しています。

現状、ランサムウェア攻撃を受けた企業のうち、約8割近くでバックアップデータも潰されていると、警察からも発表されています。バックアップ経路は通常のネットワーク上にあるため、ランサムウェアを仕掛けてきた攻撃者にもたどり着けてしまうものがほとんどだからです。
ここで紹介したID管理・脆弱性診断は、社内セキュリティソリューションの一部です。ゼロトラストで組み直す対象(ID・端末・ネットワーク・データ・監視)ごとに、どんなタイプのサービスがあるかを横断して見比べたい場合は、守る対象別に整理した次の記事が役立ちます。
社内セキュリティソリューション比較|守る対象別のタイプ・代表サービスと選び方
社内のセキュリティを強化したいものの、端末の保護から不正アクセス対策、情報漏えいの防止まで課題が広く、何から手をつければよいか判断がつかないという声は少なくありません。テレワークやクラウド利用が定着し、社外に持ち出される端末やIDが増えたこ…
ゼロトラスト導入の進め方(アセスメント→全体構想→設計→導入・実装→運用)
依頼先を選ぶ前後で把握しておきたいのが、ゼロトラスト導入の全体像です。各社の支援範囲がどのフェーズに対応するかを読み解く土台になります。

ゼロトラスト導入は、一度に全社を切り替える作業ではなく、段階的に進めるのが基本です。NIST SP 800-207も、まず資産・利用者・データの流れ・業務フローを調査したうえで、価値の高いデータから段階的に保護を広げる進め方を示しています。自社の現状を把握しないまま製品を導入すると、守るべき対象と施策がかみ合わなくなります。
実務では、各社の支援メニューに共通して次の5つのフェーズが現れます。各フェーズで何をするかは、以下のとおりです。
- 現状評価(アセスメント):どの資産・業務にどんなリスクがあり、ゼロトラストの成熟度が今どの段階かを把握する
- 全体構想:目指す姿と優先順位、導入のロードマップを描く
- 設計:ID・端末・ネットワーク・データ・監視の各領域を、どの製品・ポリシーで実現するかを具体化する
- 導入・実装:計画に沿って製品を入れ、小さな範囲で試しながら設定を調整する
- 運用:ログや挙動を監視し、新たなリスクや業務変化に合わせて設定を見直し続ける
ゼロトラストは一度作って終わりではなく、継続的に改善していく取り組みです。コンサルティング会社を選ぶ際は、自社が担える工程と任せたい工程を、この5つのフェーズに当てはめて整理すると判断しやすくなります。
ゼロトラスト導入・コンサルティングの費用相場
ゼロトラストの計画・導入にかかる費用の考え方を整理します。投資判断の材料づくりの参考にしてください。
ゼロトラストのコンサルティング費用は、どのフェーズまで任せるかで変わります。公開料金を示さず個別見積もりとする会社が大半ですが、工程ごとの費用感は、あくまで一般的な相場(実際の金額は支援範囲・企業規模で変わります)として、おおむね次のイメージでとらえられます。
- 現状評価(アセスメント):無料〜数十万円規模(簡易な成熟度診断は無料、詳細なリスク分析は有償になりやすい)
- 全体構想・設計:数百万円規模から(対象範囲や業務の複雑さに応じて工数ベースで見積もられる)
- 導入・実装:コンサルティング費に加え、実際に入れる製品のライセンス料・構築費が中心
- 運用:月額の運用代行・監視費(対象範囲や委託する時間数で変動)
これらは幅のある目安で、現状評価(アセスメント)を無料で提供する会社もあれば、詳細な診断を有償で行う会社もあります。正確な金額は、支援範囲とセットで各社の見積もりを取り寄せて確認してください。
導入・実装のフェーズでは、コンサルティング費用に加えて、実際に入れる製品のライセンス料や構築費がかかります。たとえばID・アクセス管理のクラウドサービス(IDaaS)は、1ユーザーあたり月額数百円程度から利用できるものが多く、端末数や診断頻度で課金する脆弱性診断サービスもあります。全体の費用は、コンサルティング費と製品費を合わせて考える必要があります。
予算が限られる中小企業では、最初から全領域に広げず、効果の大きいIDの保護(多要素認証とSSO)から始める進め方が現実的です。無料の成熟度診断を入口に現状を把握し、優先度の高い領域から段階的に投資を広げれば、初期費用を抑えながら着手できます。各社の具体的な料金は、支援範囲とセットで資料を取り寄せて比較するのが確実です。
自社の段階(これから検討/PoC中/運用改善)別に合う依頼先・ソリューションの選び方
自社が今どの段階にいるかに合わせて、次に相談すべき依頼先と、検討する具体的なソリューションを整理します。段階によって、求める支援も導入する仕組みも変わります。
これから検討する段階では、自社の現状とリスクを客観的に把握することが先決です。無料の成熟度診断やアセスメントを提供する依頼先に相談して現状の段階と着手すべき領域を可視化すると、その診断レポートがそのまま現状把握と合意形成の土台になります。この段階では、全体構想から任せられる依頼先か、ベンダーフリーで中立に計画を立てられる依頼先が候補になります。
PoC(試験導入)中の段階では、設計した計画を具体的な製品で検証します。多くの企業はIDの保護から着手するため、SSO・多要素認証を備えたID管理の仕組みを小さな範囲で試し、使い勝手とセキュリティの両立を確かめます。この段階では、導入・実装まで一貫して伴走できる依頼先と、実際に入れるID管理・アクセス制御のソリューションを並行して検討すると、計画から実装への橋渡しがスムーズになります。
導入後の運用改善の段階では、入れた仕組みが想定どおり機能しているかを継続的に点検することが重要です。既存のセキュリティ対策が有効に働いているかを客観的に診断し、新たな脆弱性を定期的に洗い出す仕組みが役立ちます。専任のセキュリティ人材がいない企業では、月次の診断と対策の伴走までを含むサービスを組み合わせると、運用の負荷を抑えながら改善を続けられます。
支援範囲や料金は会社・サービスごとに異なるため、自社の段階に近い依頼先と、計画のあとに入れるソリューションの資料を見比べると、違いが判断しやすくなります。
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ゼロトラスト導入でよくある失敗と、外部コンサルティング活用で避ける方法
ゼロトラスト導入でつまずきやすい失敗と、外部のコンサルティングを活用して避ける方法を整理します。計画段階で押さえておくと、投資のむだや手戻りを減らせます。
最もつまずきやすいのが、部門調整や経営の合意形成が追いつかないことです。ゼロトラストは情報システム部門だけで完結せず、業務部門の運用や利用者の手順、さらに投資判断にも影響します。現場の反発や経営判断の遅れで計画が止まるケースは少なくありません。
複数部門の巻き込みや経営層への説明まで伴走できる依頼先を選べば、技術面だけでなく社内の合意づくりでも支援を受けられます。アセスメントの診断レポートを共通言語に、優先順位と投資対効果を示せると、合意を得やすくなります。
このほか、全体像を設計しないまま製品だけを増やす「寄せ集め」(前述のとおり権限設計やポリシーの整合がとれず穴が残る)や、導入して終わりにして継続的な改善を怠ることも、よくある失敗です。いずれも、全体構想・設計から運用まで、適切な段階で外部の力を借りることで避けやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q. ゼロトラストのコンサルティングとは何ですか?
A. ゼロトラストのコンサルティングとは、アクセスのたびに利用者・端末・状況を検証するゼロトラストの考え方で、ID・端末・ネットワーク・データ・監視までを組み直す計画・設計・導入・運用を外部の専門家が支援するサービスです。
ゼロトラストは特定の製品を指す言葉ではなく考え方であり、守るべき資産・業務フロー・リスクを棚卸ししたうえで、どの順序で何を導入するかの道筋を描く必要があります。この全体設計の部分を、自社に知見がない企業に代わって担うのがコンサルティングの役割です。
Q. ゼロトラストの導入は外部コンサルに頼むべきですか、自社で進められますか?
A. ゼロトラスト導入を自社で進められるかは社内の知見とリソース次第で、セキュリティ設計の経験者がいて製品選定も自力でできるなら自社でも可能、全体設計の経験がなければ外部コンサルに頼むのが現実的です。ゼロトラストはID・端末・ネットワーク・データ・監視と範囲が広く、製品を個別に入れても権限設計やポリシーの整合がとれていなければ穴が残ります。
自社で全体像を描きにくい場合は、現状評価と全体構想だけを外部に任せ実装は自社で進める、あるいは設計から運用まで一貫して任せる、といった分担を先に決めると判断しやすくなります。
Q. 相談から実際の着手までは、どのくらいの期間がかかりますか?
A. 明確な決まりはありませんが、無料の成熟度診断やヒアリングを入口にする場合、相談から着手までは数週間〜1〜2か月程度を見込むのが一般的です。無料診断を用意する会社なら、初回相談からアセスメント着手までは比較的短く進みます。
本格的な全体構想・設計に入る前には、守るべき資産や業務フローの棚卸しが必要です。社内の情報整理にかかる時間も見込んでおくと、現実的なスケジュールを立てやすくなります。
Q. 既存のVPNや境界型の仕組みを残したまま始められますか?
A. 残したまま始められます。デジタル庁も、ゼロトラストは境界型セキュリティを否定するものではないとしており、既存の境界防御を活かしながらアクセス制御の軸をID・端末の検証へ移していくのが現実的です。
いきなり全社のVPNを撤廃するのではなく、優先度の高い業務やデータから段階的に切り替えます。移行期のオンプレミス環境も支援対象に含める会社を選ぶと、既存資産を無駄にせず進められます。
Q. RFP(提案依頼書)の作成やベンダー選定まで依頼できますか?
A. 依頼できます。ベンダーフリーを掲げる会社の中には、中立の立場でRFPの作成や製品選定を支援するサービスを明示している会社があり、特定製品に縛られずに比較したい場合に向いています。
一方、自社・提携製品の導入まで一貫して引き受ける会社では、RFPを介さず自社の提案へ進むこともあります。中立な製品選定を重視するなら、RFP策定支援をメニューに掲げているかを確認しておくとよいでしょう。
Q. 依頼するとき、社内にはどれくらいの体制・工数が必要ですか?
A. 丸投げはできず、一定の社内体制が必要です。守るべき資産・業務フローの棚卸しや各部門との調整、意思決定には自社の関与が欠かせません。少なくとも情報システム部門の窓口担当と、経営層への報告ルートは用意しておきたいところです。
専任担当を置けない場合は、現状評価から運用代行までを広く引き受ける依頼先を選ぶと、社内の負荷を抑えられます。どこまで自社で担い、どこを任せるかを、依頼前に整理しておくとスムーズです。
Q. 導入後に、運用を社内(内製)へ移行できますか?
A. 移行できます。運用を代行してもらいながら、並行して社内の運用手順やナレッジを引き継ぐ形が一般的です。Microsoft製品の使い方などを扱う教育サービスを提供し、内製化を支援する会社もあります。
将来的に内製へ移したい場合は、運用設計やドキュメントの整備、担当者への教育まで含めて依頼できるかを、契約前に確認しておくと移行がスムーズです。
Q. 依頼先は1社に絞るべきですか、複数社に分けられますか?
A. どちらも可能です。上流の構想・設計をベンダーフリーの会社に任せ、導入・運用を別の会社に分ける進め方もあれば、計画から運用まで一社にまとめる進め方もあります。
複数社に分けると中立性を保ちやすい反面、各社の役割分担や連携の調整が必要です。一社にまとめると窓口を一本化できる反面、製品の選択肢が提案側の取り扱い範囲に寄ります。自社の体制と優先度で選ぶとよいでしょう。
まとめ
本記事では、ゼロトラスト導入を任せられるコンサルティング会社・サービス10社を、支援範囲・ベンダーフリーか特定製品前提か・対応領域・無料診断の有無・料金の5つの軸で比較し、導入の進め方と費用相場、段階別の選び方を整理しました。
依頼先選びで最も大切なのは、自社がどの段階にいて、どの工程を任せたいかを先に決めることです。現状把握から始めたいなら無料診断を備えた依頼先、中立に計画を立てたいならベンダーフリーを明言する依頼先、導入・運用まで一貫で任せたいなら一気通貫型の依頼先が、それぞれ有力な候補になります。計画のあとに入れる具体的なソリューションは、ID管理・多要素認証や脆弱性診断など、優先領域に合わせて選びます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















