NFTアートを買おうとして、あるいは自作のイラストをNFTにして売ろうとして、「これを買った(売った)人は、作品の著作権まで手に入れるのだろうか」と迷っていませんか。数十万円で取引される作品もあり、権利がどう動くのかは気になるところです。
先に結論をお伝えすると、NFTを買っても(自分の作品をNFT化しても)、その作品の著作権は移りません。著作権は原則として作者に残り、買った人が手にするのは多くの場合、作品を使える範囲を定めたライセンス(利用権)です。所有権と著作権は別の権利であり、ここを取り違えるとトラブルのもとになります。
本記事では、NFTを買う側・売る(発行する)側それぞれの立場から、著作権がどうなるのかを整理します。得られる権利の範囲、他人の作品を無断でNFT化したときに問題になる権利、著作権を譲る・もらう場合の実務、実際に起きたトラブル事例までを、著作権法の条文に紐づけて解説します。
目次
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結論:NFTを買っても(NFT化しても)著作権は移らない
NFTを買っても、その作品の著作権は買った人のものになりません。自分の作品をNFT化して売っても、著作権は原則として作者である自分に残ります。著作権は作品を創作した時点で作者に発生し、他人へ移るのは譲渡の契約を結んだときだけだからです。NFTを発行したり購入したりするという行為だけでは、著作権は動きません。
この結論は、著作権法の2つの条文で説明できます。著作権は登録などの手続きを一切必要とせず創作と同時に発生し(第17条2項)、他者へ移すには「譲渡」が必要(第61条)と定められています。
第十七条2 著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。
出典:著作権法 第17条・第61条|e-Gov法令検索
第六十一条 著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。
そもそもNFTとは何か
NFT(非代替性トークン)は、ブロックチェーン上に記録される、他のものと取り替えのきかない固有のデジタルデータです。「このトークンは誰が保有しているか」という記録が改ざんされにくい形で残るため、デジタル作品に唯一無二の来歴を持たせる用途で使われています。
ここで押さえておきたいのは、NFTそのものと、それに紐づく作品(画像などのデータ)は別だという点です。買い手が受け取るのはトークンの保有記録であり、作品データや作品に対する権利まで自動でついてくるわけではありません。この区別が、著作権の話を理解する出発点になります。
所有権と著作権は別物
「買ったのだから自分のものだ」という感覚は、物を買うときの所有権のイメージから来ています。しかし所有権は、民法上「有体物」と呼ばれる形のある物にしか成立しません。
第八十五条 この法律において「物」とは、有体物をいう。
出典:民法第85条|e-Gov法令検索
NFTや紐づくデジタルデータは形のない無体物なので、そもそも民法上の所有権の対象になりません。一方、著作権は無体の創作物に対する権利で、著作権法という別の法律が扱います。系統の違う2つの権利が、NFTの取引では同時に登場するため混同されやすいのです。
この違いは、形のある絵画と比べるとはっきりします。有体物である絵画には、原作品を買った人がそれを展示できるという調整規定が著作権法に用意されています(第45条1項)。無体物であるNFTには、これに対応する規定がありません。物としての支配が及ぶかどうかが、両者を分ける境目になります。
では、買ったNFTを自分の端末で表示して眺めるのはどうでしょうか。これはデータを閲覧しているだけで、複製や公衆送信といった著作権のはたらく行為には通常あたらないため、実務上は問題になりにくいと考えられます。著作権が関わってくるのは、SNSへの掲載や商用利用など、私的な鑑賞を超えて作品を使う場面です。
出典・参考資料(1件)
NFT保有で「得られるもの」と「得られないもの」
「著作権は移らない」の裏返しとして、では買った人は何を手にするのかを整理します。NFTを保有して得られるもの・得られないものを並べると、次のようになります。

| 項目 | NFTを買うと | 補足 |
|---|---|---|
| そのトークン(NFT)の保有 | 得られる | ブロックチェーン上に「この番号のトークンは自分のもの」という記録が残る |
| 作品データの所有権 | 得られない | データは無体物で、民法上の所有権の対象にならない(民法第85条) |
| 作品の著作権 | 原則得られない | 譲渡の契約を結ばない限り、作者に残る(著作権法第17条・第61条) |
| 作品を使える範囲(利用権) | ライセンス次第 | アイコン利用・商用利用の可否は、各NFTの利用規約で決まる |
買った人が確実に手にするのはトークンの保有記録で、作品を使える範囲は付随するライセンスによって変わります。次章からは、この「使える範囲」を買う側・売る側それぞれの立場で見ていきます。
【買う側】購入したNFTで何ができる?利用範囲・アイコン利用・商用利用の可否
ここからは、NFTを買う側が実際に何をできるのかを解説します。著作権が移らない以上、できることの範囲は「そのNFTにどんなライセンスが付いているか」で決まります。
SNSのアイコンに使いたい、グッズにして販売したい、といった利用の可否は、法律が一律に決めているわけではありません。購入したNFTの利用規約やライセンス条項に、許された利用の範囲が書かれています。買う前に確認すべきは、この規約で商用利用・改変・再配布ができるかという3点です。
同じNFTでも、規約によって使える範囲は正反対になります。コレクション「Bored Ape Yacht Club」は、発行元のYuga Labsが保有者に「作品を使い・複製し・展示して二次的著作物を作る」広いライセンスを与えており、保有するエイプの画像をグッズ化して販売することまで認めています。商用利用まで踏み込んで許す例です。
反対に、NBAの名場面を扱う「NBA Top Shot」は、保有者へのライセンスを「個人的かつ非商業的な利用」に限っています。広告や商品への利用は禁止で、保有者でなくなればライセンスも消える設計です。私的な鑑賞・表示にとどめる例で、商用利用はできません。
どちらに当たるかは、規約で「商用利用(commercial use)の可否」「改変の可否」「再配布・譲渡後の扱い」を定めた条項を読めば判別できます。さらに、後述するCC0のように著作権そのものを放棄し、保有者かどうかを問わず誰でも自由に使えるとした作品もあります。
出典・参考資料(2件)
まず押さえておきたいのは、規約で許諾されていれば、その範囲内でSNSアイコンにも商用にも当然に使えるということです。過度に身構える必要はありません。問題になるのは規約に定めが無い場合で、「私的に楽しむだけなら著作権の例外で自由なのでは」と考える人もいますが、その例外の範囲は限定されています。
第三十条 著作権の目的となつている著作物…は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
出典:著作権法 第30条|e-Gov法令検索
私的使用が認められるのは「個人的又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲」に限られ、SNSのアイコン利用や商用利用、不特定多数への公開はこの範囲を超えます。つまり、規約に定めが無ければ私的使用の例外だけでは足りません。買ったNFTをどこまで使えるかは、まず利用規約・ライセンスで確認するのが安全です。
あわせて、買う前にその出品者が正当な権利者か(作者本人か、作者から許諾を受けた発行者か)も確認しておくとよいでしょう。他人の作品を無断でNFT化した出品も存在し、そうした違法な複製物を買っても、作品を適法に使える権利は得られません。出品者や発行元の情報、公式に告知された販売経路かどうかを手がかりに見極めてください。
ここまでは購入したNFTを「どう使えるか」という権利の話でしたが、NFTアートの具体的な買い方や、購入したあとの楽しみ方・売り方の手順まで知りたい場合は、次の記事で解説しています。
【売る・発行する側】他人の作品の無断NFT化は何権の侵害?複製権・公衆送信権・翻案権を条文で
ここからは、NFTを売る・発行する側の注意点を解説します。自分に権利のない他人の作品を勝手にNFT化すると、著作権法上のさまざまな権利を侵害するおそれがあります。
著作権は、複製・公衆送信・翻案といった行為ごとに分かれた権利(支分権)の集まりです。無断NFT化のどの行為が、どの権利に引っかかるのかを分けて考えると、自分の状況に当てはめやすくなります。中心になるのは、作品をサーバーに上げる行為に関わる複製権と公衆送信権です。
第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
出典:著作権法 第21条・第23条|e-Gov法令検索
第二十三条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
注意したいのは、問題になるのは「トークンを発行する」こと自体ではないという点です。ブロックチェーンに記録を作る行為そのものではなく、その過程で他人の作品を複製し、誰でもアクセスできる状態に置く(公衆送信する)ことが侵害の中心になります。だからこそ、権利のない作品を素材に使わないことが要になります。
【表】行為別・無断NFT化で問題になる支分権マップ
無断NFT化にまつわる行為を、問題になる権利と条番号に対応づけると、次の表のように整理できます。名称を覚える必要はなく、自分がやろうとしている(された)行為がどの列に当たるかを確認してください。
| 行為 | 問題になる権利(条番号) | どういうことか |
|---|---|---|
| 他人の作品をサーバーに上げてNFT化・出品する | 複製権(第21条)/公衆送信権・送信可能化(第23条1項) | アップロード自体が複製にあたり、誰でもアクセスできる状態に置くことが公衆送信にあたる |
| 無断でNFT化された作品を転売・譲渡する | 譲渡権(第26条の2第1項) | 違法に作られた複製物を売る行為に及ぶ。適法に売り出された物のその後の転売には及ばない(消尽・第26条の2第2項1号) |
| 元の作品を改変してNFT化する | 翻案権(第27条)/同一性保持権(第20条1項) | トリミングや加工で作り変える行為。作者の意に反する改変も問題になる |
| まだ公表されていない作品を無断で公開する | 公表権(第18条) | 公表するかどうかを決める権利を作者から奪う |
| 作者名を偽る・消してNFT化する | 氏名表示権(第19条) | 作者として名前を出すかどうかを決める権利を侵害する |
表の下段にある公表権・氏名表示権・同一性保持権は、著作者人格権と呼ばれ、作者の人格に関わる権利です。著作者人格権は契約で譲り渡すことができず、著作権をまとめて譲った後でも作者に残ります。無断NFT化を防ぐ側から見ると、複製・公衆送信だけでなく、名前の表示や改変まで幅広く争える点が押さえどころになります。
譲渡権については、消尽という考え方に注意が必要です。適法に売り出された作品を買った人がそれを転売する行為には、譲渡権は及びません(第26条の2第2項1号)。問題になるのは、無断でNFT化した違法な複製物を流通させる場合です。
出典・参考資料(1件)
著作権ごと譲りたい・もらいたい場合|利用規約・ライセンス(CC0)の読み方
ここからは、作品の著作権そのものを一緒に動かしたいケースを解説します。「著作権もセットで譲りたい」「もらったつもりでいたい」という場合は、NFTの取引とは別に、契約とライセンスの中身を確認する必要があります。
著作権を譲るには、明示的な譲渡の契約が要ります。しかも、譲渡契約を結んでも、翻案権(第27条)と二次的著作物の利用に関する権利(第28条)については、契約書に特別に書き出しておかない限り、譲った側に残ると推定されます。
第六十一条2 著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。
出典:著作権法 第61条2項|e-Gov法令検索
「全部譲る」つもりでも、契約書に翻案権・二次利用の権利を書き出していないと、これらが手元に残ってしまうということです。作品を作り替えて展開する予定があるなら、譲り受ける側は契約書のこの点を必ず確認してください。
著作権を丸ごと動かさずに「自由に使ってよい」と示す手段として、ライセンス表記もあります。代表的なものが、権利者が著作権などを可能な限り放棄してパブリックドメインに置く「CC0」です。
CC0 is a universal legal tool that allows creators and rightsholders to waive all copyright and related rights in their works to the fullest extent permitted by law.(CC0は、法が許す最大限の範囲で、作者や権利者が自らの作品に対するすべての著作権および関連する権利を放棄できる、普遍的な法的ツールです。)
出典:CC0|Creative Commons
CC0が付いた作品は、著作権のうえでは自由にNFT化・商用利用できます。ただし放棄されるのは著作権と関連する権利までで、作者の商標権などは対象外です。また、CC0で作品がパブリックドメインになっていても、トークン自体は一度に1人しか保有できません。作品を使える権利と、トークンを持っていることは別々に考える必要があります。
実際に起きた著作権・商標をめぐるNFTトラブル事例
ここからは、実際に起きたトラブル事例を見て、自分の身に起きうる形をつかみます。無断NFT化が著作権侵害と正面から認められた例として、中国の判決があります。
画家が描いた水墨画を、ある会社が本人に無断でNFTのデジタルコレクションとして販売した事件がありました。この事件で裁判所は、作品をサーバーにアップロードした行為が公衆送信にあたる権利(日本の公衆送信権・自動公衆送信権に相当)を侵害すると認めました。無断でサーバーに上げてNFT化・販売する行為が、複製と公衆送信の侵害になるという先ほどの支分権マップと符合する内容です。
日本では、NFT特有の著作権侵害を判断した判例はまだ多くありません。国内で無断NFT化が争われた場合も、NFT用の特別な条文があるわけではなく、複製権や公衆送信権など既存の著作権法の規定に照らして判断されると考えられます。問われる行為と論点は、上の中国判例と共通します。
視点を変えると、著作権ではなくブランドの商標をめぐってNFTが争われた事例もあります。無断NFT化の著作権侵害とは論点が異なりますが、NFTでもブランドのIPが保護の対象になる例として、海外の2件を簡単に見ておきます。
1件目は、高級ブランドのバッグを模したNFT「MetaBirkins」をめぐる事件です。ブランド側が発行者を商標権の侵害などで訴え、2023年2月に侵害を認める陪審評決が出ましたが、発行者が控訴し、本記事の作成時点で最終的な判断は確定していません。
2件目は、NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club」の発行元Yuga Labs社が、そっくりの画像を使ったNFTの発行者を商標権の侵害などで訴えた事件です。2025年に控訴審が一審判決を破棄して審理を差し戻し、2026年4月に当事者間で和解しています。
出典・参考資料(3件)
これらは著作権ではなく商標をめぐる争いですが、NFTだからといって法の外にあるわけではなく、著作権・商標権それぞれの枠組みで責任を問われうる点は共通します。売る・発行する側は、無断NFT化による著作権侵害だけでなく、他社ブランドの流用による商標トラブルにも注意が必要です。
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【事業者向け】自社IPをNFT化するときの権利設計と発行代行という選択肢
ここからは、自社のキャラクターやブランド、会員特典などをNFT化したい事業者に向けて、権利まわりの決めごとと進め方を解説します。個人の売買と違い、事業として発行する場合は、あらかじめ権利の扱いを設計しておく必要があります。
自社IPをNFT化する際に決めておく権利まわり
自社IPをNFT化するときにまず決めるべきは、著作権を誰が持つのかです。外部のクリエイターにデザインを委託する場合、制作物の著作権は原則として制作者に発生します。自社に集約したいなら、委託契約で譲渡を明示し、翻案権・二次利用の権利も特掲しておく必要があります。
次に決めるのが、購入者に何を許諾するかです。買った人がSNSアイコンに使ってよいのか、グッズ化などの商用利用まで認めるのか、改変を許すのかを、利用規約に落とし込みます。買う側の判断材料になるだけでなく、後の紛争を避ける土台にもなります。
二次流通の扱いも設計に含めます。転売時にロイヤリティ(発行者への還元)を受け取る設計にするか、転売後の利用権をどう引き継がせるかは、スマートコントラクトや利用規約であらかじめ定めておく必要があります。
難所は、こうして決めた権利の扱いを実装に落とす部分です。誰が著作権を持ち、購入者にどこまで許諾するかの取り決めは、規約に正確に書き出す必要があります。二次流通のロイヤリティや利用権の引き継ぎをスマートコントラクトのコードに反映する作業には、法務とブロックチェーン双方の専門知識が要ります。
この部分でつまずかないために、発行・配布を支援するサービスを使う選択肢があります。著作権の観点でサービスを選ぶなら、購入者に渡す利用条件や権利表記をどこまで柔軟に設定できるか、二次流通のロイヤリティ率を発行時に設定できるかといった、権利設計を支える機能の有無を見ておくと安心です。
発行・配布を安全に代行するサービスという選択肢
NFTの発行・配布を支援するサービスを使うと、ブロックチェーンやスマートコントラクトの専門知識がなくても、ロイヤリティ設定や配布方法の設計を含めて自社IPをNFT化できます。ここでは、企業のNFT発行を支援する3つのサービスを紹介します。以下は、これから紹介する発行・配布支援サービスの比較表です。
| サービス名 | NFT INFINITY | HAZAMA BASE | NFT Garden |
|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社OCT-PATH | 株式会社IndieSquare | Connectiv株式会社 |
| 発行形態 | 伴走型の開発支援 (企画〜保守運用まで支援) | ノーコード(自社で発行) 非エンジニア向け | ノーコードGUI+API (自社で発行) |
| 料金体系 | 要問い合わせ (個別提案) | 無料〜 Enterprise 月額15,680円 (カタログ掲載情報) | 無料〜 Growth 月額10,000円 Business 月額150,000円 |
| 発行できるトークン | NFT(ERC721/1155) ERC20トークン | NFT・SBT/POAP 独自通貨・DAO(VOTE) | NFT・SBT |
| 対応ブロックチェーン | Ethereum・Polygon等 プライベートチェーンも可 | HAZAMA・Ethereum Polygon の3種 | 19種類 (Ethereum・Polygon・Solana・JOC等) |
| ロイヤリティ設定 | ●(手数料・ロイヤリティを柔軟に設計) | ●(発行時にロイヤリティ率を設定) | 要問い合わせ |
| 決済・ガス代 | 法定通貨決済に対応 (日本円決済に対応) | 法定通貨決済に対応 (HAZAMAチェーンはガス代不要) | 法定通貨決済に対応 (料金にガス代を含む) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
1. NFT INFINITY(株式会社OCT-PATH)

NFT INFINITYは、企業が独自のNFTマーケットプレイスを立ち上げるための構築サービスです。株式会社OCT-PATHが、新規事業の企画段階から要件定義・UI/UX設計・開発・リリース後の保守運用までを伴走して支援します。テンプレートを自分で操作する形ではなく、事業内容に合わせて作り込む開発支援型のパッケージです。
NFTの規格はERC721・ERC1155に対応し、対応ブロックチェーンはEthereum・Polygonなどのパブリックチェーンに加えプライベートチェーンも選べます。手数料やロイヤリティを柔軟に設計でき、日本円決済にも対応するため、暗号資産に不慣れな購入者を含む事業にも展開しやすい設計です。
導入期間はカスタマイズなしの場合で最短3か月が目安とされています。初期費用・月額費用は事業内容に応じた個別提案のため、要お問い合わせとなります。
2. HAZAMA BASE(株式会社IndieSquare)

プログラミングの知識がなくても管理画面の操作だけでNFTを発行できるのが、株式会社IndieSquareのHAZAMA BASEです。NFTのほか、譲渡できないSBT・POAP(参加証明トークン)、独自通貨、DAO(投票機能)まで、テンプレート化された6種類のスマートコントラクトから選んで発行できます。
発行する企業は暗号資産やクレジットカード、ウォレットを事前に用意する必要がなく、登録時にウォレットが自動生成されます。受け取る側も、QRコードの読み取りとメールアドレス登録だけでNFTを取得できた配布実績があり、Web3に不慣れな一般ユーザーへの展開に向きます。
内閣官房や自由民主党青年局など、公共・政治分野での採用実績も持ちます。料金は無料プランから始められ、Enterpriseプランは月額15,680円(カタログ掲載情報)です。
3. NFT Garden(Connectiv株式会社)

対応ブロックチェーンの広さで選ぶなら、Connectiv株式会社のNFT Gardenが候補になります。Polygon・Ethereum・Solana・Japan Open Chainなど、公式ドキュメント(2024年5月時点)で19種類のチェーンに対応し、ノーコードのWeb画面と開発者向けAPIの両方でNFTを生成できます。
決済はクレジットカードなどの法定通貨で完結し、料金にガス代を含むため、利用企業がガス代の変動リスクを負いません。会員証や参加証明のように本人だけが持つ意味を持つ用途に使えるSBTの生成にも標準対応します。
トヨタ自動車グループのKINTOが、安全運転ドライバー向けの証明書NFTを発行する実証実験でAPIを採用した事例があります。料金はFreeプランのほか、Growthプランが月額10,000円、Businessプランが月額150,000円です。
ここで紹介した3サービスのほかにも、法人向けのNFT発行・配布ツールは数多くあります。対応ブロックチェーンや料金体系、ノーコードで発行できるかといった観点で候補を幅広く比較したい場合は、次の記事が参考になります。
まとめ
NFTを買っても、自分の作品をNFT化しても、作品の著作権は移りません。著作権は創作した時点で作者に発生し、譲渡の契約がない限り作者に残ります。買った人が手にするのはトークンの保有記録と、利用規約で定められた範囲のライセンスです。
買う側はそのNFTの利用規約で商用利用・改変・再配布の可否を確認し、売る・発行する側は他人の作品の無断NFT化が複製権・公衆送信権などの侵害になりうる点を押さえる必要があります。自社IPをNFT化する事業者は、著作権を誰が持つか・購入者に何を許諾するか・二次流通をどう扱うかを設計したうえで、発行・配布を支援するサービスの活用が有効です。自社IPのNFT化に向けて、各社の資料を比較検討してください。
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NFTの著作権に関するよくある質問(FAQ)
Q. そもそもNFTとは何で、著作権とどう関わりますか?
A. NFTは、ブロックチェーン上でデジタルデータの保有者を記録する仕組みで、記録される「トークン」と、それが指し示す作品(画像など)は切り離して考えます。著作権の話でつまずきやすいのはこの切り分けで、トークンの保有者になっても作品の著作権まで手にするわけではない、という点が出発点になります。
Q. NFTを買うと、その作品の著作権も手に入りますか?
A. NFTを買っても、その作品の著作権は原則として手に入りません。著作権は作品を創作した時点で作者に発生し(著作権法第17条2項)、他人に移るのは譲渡の契約を結んだときだけ(第61条)だからです。NFTを発行したり購入したりするという行為だけでは著作権は動かず、買った人が手にするのは、多くの場合トークンの保有記録と、利用規約で定められた範囲のライセンス(利用権)です。
出典・参考資料(1件)
Q. NFTの所有権と著作権は何が違いますか?
A. 所有権は形のある「物」にしか成立せず、無体物であるNFTや紐づくデジタルデータには成立しません(民法第85条)。一方、著作権は形のない創作物に対する権利で、著作権法という別の法律が扱います。系統の違う2つの権利がNFTの取引で同時に登場するため混同されやすいのですが、NFTを買っても民法上の所有権も作品の著作権も当然には得られない、という点は共通しています。
出典・参考資料(1件)
Q. 購入したNFTの画像を、SNSのアイコンや商用利用に使ってもいいですか?
A. 使えるかどうかは、そのNFTに付いた利用規約・ライセンスの内容で決まります。アイコン利用・商用利用・改変・再配布の可否を法律が一律に定めているわけではないので、購入前に規約の「商用利用の可否」「改変の可否」「再配布の可否」を確認する必要があります。
私的使用のための複製という著作権法の例外(第30条)は「個人的又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲」に限られ、SNSでの公開や商用利用はこの範囲を超えるため、例外では守られません。
出典・参考資料(1件)
Q. 他人の作品を無断でNFT化すると、何の権利の侵害になりますか?
A. 他人の作品を無断でNFT化する行為は、作品をサーバーに上げてNFT化・出品する時点で、複製権(著作権法第21条)と公衆送信権(第23条1項)の侵害になりえます。
さらに、元の作品を加工すれば翻案権(第27条)・同一性保持権(第20条1項)、まだ公表されていない作品なら公表権(第18条)、作者名を偽れば氏名表示権(第19条)の侵害にもなりえます。
公表権・氏名表示権・同一性保持権は著作者人格権と呼ばれ、譲渡できず作者に残るため、無断NFT化を防ぐ側から見ると幅広く争える点が押さえどころです。
出典・参考資料(1件)
Q. 自分の作品を無断でNFT化されたら、どう対処すればいいですか?
A. まず出品ページやトークン情報など侵害の証拠を保全し、マーケットプレイスへの削除申請と、必要に応じて弁護士への相談を進めるのが基本です。無断NFT化は複製権・公衆送信権などの侵害にあたりえるため、出品の差止めや損害賠償を求められる余地があります。
実際に、画家が描いた水墨画を本人に無断でNFT販売した事件で、作品をサーバーにアップロードした行為が公衆送信にあたる権利の侵害と認められた海外判例もあります。
Q. NFTと一緒に作品の著作権も譲る(もらう)には、どうすればいいですか?
A. NFTの取引とは別に、著作権を移す明示的な譲渡の契約を結ぶ必要があります。しかも譲渡契約を結んでも、翻案権(第27条)と二次的著作物の利用に関する権利(第28条)は、契約書に特別に書き出さない限り譲った側に残ると推定されます(第61条2項)。作品を作り替えて展開する予定があるなら、譲り受ける側は契約書にこれらの権利が明記されているかを必ず確認してください。
出典・参考資料(1件)
Q. CC0とは何ですか?CC0が付いたNFTは自由に使えますか?
A. CC0とは、作者や権利者が法の許す最大限の範囲で著作権と関連する権利を放棄し、作品をパブリックドメインに置くための表示です。CC0が付いた作品は、著作権のうえでは自由にNFT化・商用利用できます。
ただし放棄されるのは著作権と関連する権利までで、作者の商標権などは対象外です。また、作品がパブリックドメインになっていても、トークン自体は一度に1人しか保有できないため、作品を使える権利とトークンを持っていることは別々に考える必要があります。
出典・参考資料(1件)
Q. 買ったNFTを転売するとき、著作権や利用権はどうなりますか?
A. 適法に売り出されたNFTを買った人がそれを転売する行為そのものは、著作権(譲渡権)の侵害にはなりません(消尽・著作権法第26条の2第2項1号)。ただし転売後に作品を使える範囲は、そのNFTの利用規約に従います。
規約によっては転売で利用権が消滅する設計もあるため、転売する側・買い取る側とも規約の定めを確認する必要があります。譲渡権が問題になるのは、無断でNFT化された違法な複製物を流通させる場合です。
出典・参考資料(1件)
Q. 自社のキャラクターやIPをNFT化するとき、著作権まわりで何を決めておくべきですか?
A. 著作権を誰が持つか・購入者に何を許諾するか・二次流通をどう扱うか、の3点をあらかじめ設計しておく必要があります。外部クリエイターに制作を委託する場合、著作権は原則として制作者に発生するため、自社に集約したいなら委託契約で譲渡を明示し、翻案権・二次利用の権利も特掲します。
購入者の利用範囲(アイコン・商用利用・改変の可否)は利用規約に落とし込み、転売時のロイヤリティや利用権の引き継ぎはスマートコントラクトや規約で定めます。こうした権利処理を自前で組み立てるのは負担が大きいため、発行・配布を支援するサービスを使う方法もあります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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