住民への催告や案内を郵送や電話で行っていて、「電話がつながらない」「郵送しても反応がない」「そのたびに人手と郵送費がかさむ」といった悩みを抱えていないでしょうか。
近年、こうした住民連絡の手段として、電話番号あてに短いメッセージを送るSMS(ショートメッセージサービス)を使う自治体が増えています。茅ヶ崎市のように16業務を超える連絡でSMSを使う市もあり、納税の催告から健診の案内、感染症対応や住民への緊急連絡まで用途は広がっています。
本記事では、地方自治体が具体的にどの業務でSMSを使っているのかを、実在する自治体名の事例つきで業務別に整理します。そのうえで、郵送・電話と比べた効果、LGWAN対応や個人情報保護といった役所ならではの導入要件、サービスの選び方・費用の目安・始め方までを解説します。
自庁のどの業務にSMSが効きそうか、導入をどう進めればよいかを判断する材料として役立てていただければと思います。
目次
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地方自治体のSMS活用シーンを業務別に一覧【実在自治体名つき】
まず、地方自治体が実際にどの業務でSMSを使っているのかを業務別に整理します。自庁の担当業務に近い行を探して、どんな内容をどのタイミングで送っているのか、どこの自治体が実践しているのかを確認してみてください。
| 業務分野 | 送る内容・タイミング | 実践している自治体(例) | 期待できる効果 |
|---|---|---|---|
| 納税・公共料金の催告・収納 | 市税・住民税・水道料金などの督促、納付のお知らせ | 豊島区(住民税の滞納催告)、大府市(水道料金の滞納督促)、茅ヶ崎市(保育料等滞納者への催告・住宅使用料の督促) | 電話・郵送より接触率が上がり、自主納付や収納額の向上につながる |
| 健診・母子保健・子育て支援 | こんにちは赤ちゃん訪問の日程調整、産後ケアの案内、給付金の交付決定通知 | 茅ヶ崎市(こんにちは赤ちゃん訪問・産後ケア)、貝塚市(出産・子育て応援交付金の通知)、刈谷市(妊婦向けアンケート) | 対象者に早く確実に届き、通知業務の工数と郵送費を削減できる |
| 感染症対応・住民への緊急連絡 | 感染症の接触者への事務連絡、療養案内など | 茅ヶ崎市(感染症接触者への事務連絡)、埼玉県(新型コロナ療養者へのファーストタッチ) | 大量の対象者へ一斉に、電話より短時間で連絡できる |
| 各種手続き・証明書交付の通知 | 許認可証の発行通知、所得申告の勧奨、書類不足の案内、検針票の送付 | 茅ヶ崎市(許認可証発行通知・所得未申告者への申告勧奨)、湖西市(検針票のSMS化・クレジット決済の本人認証) | 紙の通知を減らし、住民の手続き漏れを防ぐ |
| ふるさと納税・住民向けサービス連絡 | ふるさと納税寄附者への緊急連絡、各種お知らせ | 新潟県湯沢町(ふるさと納税寄附者への緊急連絡) | メールより開かれやすく、リンクの確認率が高まる |
たとえば茅ヶ崎市は、令和7年5月から市民への連絡手段の1つとしてSMSを導入し、許認可証の発行通知、保育料等滞納者への催告、住宅使用料の督促、こんにちは赤ちゃん訪問の日程調整、狂犬病予防注射案内ハガキの不達調査など、16を超える業務でSMSを使っています。1つのサービスを幅広い課で共通の連絡手段として使える点が、SMSの特徴です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:茅ヶ崎市「SMS(ショートメッセージサービス)を活用しています」|茅ヶ崎市(リンク)
自治体がSMSを使うメリット(郵送・電話と比べた開封・反応・コスト・工数)
ここからは、郵送や電話と比べてSMSにどのような効果があるのかを、自治体の実績をもとに整理します。庁内で導入を提案する際の説得材料としても活用できます。
前提として、SMSの宛先である携帯電話は広く普及しています。総務省の令和7年版情報通信白書によると、2024年のスマートフォンの世帯保有率は90.5%に達しました。多くの住民が日常的に使う端末へ直接届けられることが、SMSが行政連絡に選ばれる背景にあります。
開封・反応が得られやすい
SMSは携帯電話の画面に直接表示されるため、メールより開かれやすい傾向があります。新潟県湯沢町がふるさと納税の寄附者へメールとSMSで同じ案内を送って比較したところ、2回目の配信では案内ページリンクのクリック率がメールの4.67%に対しSMSは18.92%と、SMSが4倍以上高い結果になりました。
郵送費・作業工数を削減できる
紙の通知を減らせるため、郵送費と印刷・封入の作業を圧縮できます。刈谷市が妊婦向けアンケートにSMSを使った事例では、郵送と比べてコストを30%削減しました。通知対象者の抽出や印刷物の作成にかかっていた時間も短縮でき、担当者が他の業務に充てられるようになります(自治体の具体的な効果は次章の事例で詳しく紹介します)。
電話業務の負担を軽くできる
1件ずつ架電していた連絡をSMSの一斉送信に切り替えれば、職員の対応時間を大きく減らせます。埼玉県では新型コロナ療養者へのファーストタッチについて、保健所職員が1件あたり10分以上かけて電話していた業務を、SMSにより1日1万件を超える連絡へと転換しました。転居や不在で電話がつながらない相手にも、番号が変わらなければメッセージが残る点も、電話にはない利点です。
ただし、到達率や反応率は送信する内容・対象・タイミングによって変わります。ここで挙げた数値は各自治体の個別事例であり、すべての業務で同じ効果が出るとは限らない点には留意が必要です。
出典・参考資料(5件)
自治体のSMS導入事例(自治体名・効果・出所つき)
ここでは、SMSを導入した自治体の効果を、自治体名・用途・数字とあわせて紹介します。いずれも各自治体や導入したサービスが公表している事例です。
大府市:水道料金の滞納督促をSMS化し、電話督促の工数を約6割削減
愛知県大府市(人口約9万人)の水道経営課では、水道料金の長期滞納者への督促を文書と電話で行っていました。1回あたり約360件の電話対応が発生し、1件につき説明に5分ほどかかるため、約30時間を22名で分担していました。
KDDI Message Castで督促をSMS化した結果、電話をかける件数が約160件に半減し、対応時間は約13時間へと約6割削減。半数以下の7名で対応できるようになり、電話件数を減らしても納付率は下がりませんでした。
豊島区:住民税の滞納催告で自主納付が進み、約871万円を収納
東京都豊島区(人口約29万人)では、住民税の滞納者への催告に絶対リーチ!SMSを活用しました。滞納者1,009人に配信し、825人への配信に成功。配信から1か月で159人が反応し、最終的に261人が自主納付、収納金額は8,715,203円にのぼりました。個人情報を扱う部署と連携し、メッセージには個人名を記載せず「税に関するお知らせ」という文面にとどめる配慮も行っています。
貝塚市:交付金の決定通知をSMS化し、作業工数を半減
大阪府貝塚市(人口約8万人)では、出産・子育て応援交付金の交付決定通知をジチタイSMSでデジタル化しました。令和5年2月から実施し、同年4月時点で約1,100件をSMSで通知。従来は対象者の抽出や印刷物の作成に1週間以上を要していた作業が、3名ほどの職員によるデータ入力・確認だけで数日で完了し、市の作業工数は半分以下になりました。
湖西市:検針票のSMS化と決済のデジタル化で、納付書を年間約6,800枚削減
静岡県湖西市(人口約5.7万人)の水道課では、2021年12月に検針票のSMS送信を開始し、2022年4月にはSMSの本人認証を使ったクレジットカード決済を導入しました。決済方法を紙の納付書からクレジットカードに変更した住民は1,135件にのぼり、年間で約6,800枚の納付書削減につながっています。滞納対策とは別に、通知や決済手段のデジタル化にもSMSが使われている例です。
これらの事例のように、SMSは滞納整理から通知業務のデジタル化まで、目的に応じて効果の出方が異なります。自庁で導入する際は、近い業務・近い規模の事例を参考にするとイメージしやすくなります。
出典・参考資料(4件)
催告や督促にSMSを使う際は、送信してよい時間帯や、相手を萎縮させない表現など、法令・運用の面で気をつけたい点があります。実際の送り方の手順や使える例文は、次の記事で具体的に解説しています。
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役所がSMS導入前に押さえる要件と注意点
自治体でSMSを使う場合、民間企業とは異なる要件があります。技術・制度面の要件と、住民に「本物の役所からの連絡」と信じてもらうための運用の2つに分けて整理します。稟議や庁内合意の材料としても確認しておきたいポイントです。

技術・制度面の要件(LGWAN対応・個人情報保護・セキュリティ認証・送達確認)
役所の実務でSMSを使うには、次のような要件を確認しておく必要があります。
- LGWAN対応の要否:LGWAN(総合行政ネットワーク)は、地方公共団体をつなぐ行政専用の閉域ネットワークで、インターネットから切り離されて運用されています。目安として、LGWAN接続系の端末から送信するならLGWAN対応版が必要です。インターネット接続系の端末やクラウド経由で送るなら通常版で足りることが多いため、送信経路が判断できない場合は情報システム部門に相談しておくと安心です。
- 個人情報保護:令和5年4月1日から、地方公共団体にも全国共通ルールの個人情報保護法が適用され、個人情報保護委員会の監督下に入りました。送信対象の抽出・管理や委託先の扱いが法の規律に沿っているかの確認が欠かせません。貝塚市のように、双方向のやり取りは行わず案内通知にとどめ、メッセージに個人情報につながる内容を含めない運用も参考になります。
- セキュリティ認証:ISMS(ISO/IEC 27001)やプライバシーマークなど、提供事業者の情報セキュリティ体制を示す認証を取得しているかも見ておきたい点です。
- 送達確認・未達の把握:送ったメッセージが届いたか、未達だったかを確認できる機能があるかを確認します。誤って別人に届かないよう、番号の契約者を判定する仕組み(他人接続の判定など)を備えるサービスもあります。
- 送信元のなりすまし対策:事業者共通の送信元番号(0005で始まる番号)や、キャリアが正規の送信者であることを示す認証済みマークに対応しているかも確かめます。住民が「本物の役所からのSMS」と見分けやすくなり、詐欺との混同を防げます。
- 広告宣伝目的の送信への配慮:催告・通知・案内といった行政連絡の多くは広告宣伝目的ではありませんが、ふるさと納税のPRやイベント告知など宣伝色のある送信では、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)のオプトイン規制に留意が必要です。
出典・参考資料(3件)
「本物の役所からのSMS」と住民に信じてもらう運用(詐欺対策・発信者名の明示・住民周知)
SMSは詐欺にも悪用されるため、住民に「本物の役所からの連絡」と信じてもらう工夫が欠かせません。運用面では、送信元の電話番号を住民に事前に知らせることや、SMSでどのような案内をするのか・しないのかを明確に周知することが有効です。
茅ヶ崎市は、SMSの送信元番号(ソフトバンクは243056、それ以外は市の代表電話と同じ0467-82-1111)を公式サイトで公表したうえで、市が案内しないことを次のように明記しています。
茅ヶ崎市が、次のようなことをSMSにより案内することはありません。特定の金融機関や口座番号へ振り込みをお願いすること/ATM(銀行・コンビニエンスストアなどの現金自動預払機)の操作をお願いすること/通帳やキャッシュカードを預けるようお願いすること
出典:茅ヶ崎市「SMS(ショートメッセージサービス)を活用しています」|茅ヶ崎市
貝塚市も、個別送付のチラシやホームページ、窓口配布のチラシでキャリア別の発信番号を明示し、住民が安心して受け取れるよう工夫しています。湯沢町のように、ふるさと納税専用部署の電話番号を発信元として表示することで、寄附者が安心してリンクを開けるようにした例もあります。導入と同時に、こうした住民周知をセットで設計しておくことが大切です。
自治体向けSMSサービスの選び方・費用・導入の進め方
ここからは、自治体がSMS送信サービスを選ぶときの観点、費用の目安、導入の進め方を解説します。特定のサービスに偏らず、自庁の要件に照らして比較する視点で確認してください。
サービスの選び方の観点(自治体実績・LGWAN対応・認証・大量送信・料金・サポート)
自治体でのSMS活用に適したサービスかどうかは、次の観点で確認すると判断しやすくなります。
- 自治体・官公庁での導入実績:役所特有の業務や制約を理解しているかは、実際の自治体導入実績に表れます。自庁と近い業務・規模の実績があるかがひとつの目安になります。
- LGWAN対応の可否:LGWAN環境から送信する必要がある場合、対応版を提供しているかが必須条件になります。
- セキュリティ認証:ISMS(ISO/IEC 27001)やプライバシーマークの取得は、情報を預ける前提として確認しておきたい要素です。
- 大量送信への対応と安定性:災害時や一斉通知で大量に送る場面では、携帯キャリアに直接接続する「直収」かどうかや、到達率の実績が安定性の目安になります。
- 料金体系:初期費用・月額費用の有無と、1通あたりの従量単価をチェックします。送信件数が読みにくい業務では、月額固定より従量課金が向く場合があります。
- サポート体制:導入時の設定支援や、運用中の問い合わせ対応があるかも見ておきます。庁内にノウハウが少ない場合ほど重要になります。
迷ったときは、自庁が最も重視する要件から候補を絞ると選びやすくなります。LGWAN環境からの送信が必須ならメディアSMS(オーロラSMS)・ジチタイSMS・空電プッシュが対応をうたっており、実名の自治体導入実績を重視するならSMSLINKや絶対リーチ!SMS、なりすまし・詐欺対策を重視するなら共通番号や認証済みマークに対応するKDDI Message Cast・空電プッシュが候補になります。
費用の目安(従量課金・1通単価)
SMS送信サービスは、初期費用・月額費用を0円とし、送信した分だけ課金する従量制が主流です。1通あたりの単価はサービスや文字数、契約内容によって異なり、たとえばSMSLINKは1通6円から、KDDI Message Castは1通9.35円(税込)からといった料金を公表しています。
詳細な単価やLGWAN対応版の料金は「要問い合わせ」としているサービスも多いため、複数社に見積もりを取って比較するのが確実です。
郵送の場合は1通あたり数十円から百円超の切手・はがき代に印刷・封入の手間が加わることを踏まえると、送信件数が多い業務ほどSMSのコスト優位が出やすくなります。
導入の進め方(庁内合意・スモール導入)

導入は、資料請求で複数サービスを比較し、無料トライアルで使用感と到達を確かめてから、庁内の合意形成に進むのが一般的な流れです。合意形成では、情報システム部門にはネットワーク環境やセキュリティを、個人情報保護の担当には送信対象の管理や委託の扱いを確認してもらうとスムーズです。
いきなり全庁展開を目指すより、催告や健診案内など効果が見えやすい1業務から小さく始め、工数削減や反応率の実績を庁内に示してから横展開する進め方が、合意を得やすく失敗も小さく抑えられます。
地方自治体のSMS活用を支えるサービス
ここからは、自治体での利用に適したSMS送信サービスを紹介します。自治体導入実績やLGWAN対応の有無を確認しながら、それぞれの特徴を見ていきましょう。まずは主要な観点で比較します。
| サービス | オーロラSMS by メディアSMS | SMSLINK | KDDI Message Cast | ジチタイSMS | 空電プッシュ | 絶対リーチ!SMS |
|---|---|---|---|---|---|---|
| LGWAN対応 | ●メディアSMS for LGWAN | 公式に記載なし | 公式に記載なし | ●LGWAN対応版(2022年1月〜) | ●空電プッシュ for LGWAN | 公式に記載なし |
| セキュリティ認証(ISMS・Pマーク) | ●ISMS・Pマーク・ASPIC認定 | △Pマークのみ(ISMSは公式に記載なし) | △KDDI本体は全社ISMS(サービス単位の明示なし) | ×公式に記載なし | △FISC安全対策基準準拠(ISMS・Pマークは公式に記載なし) | ●ISMS・Pマーク |
| 自治体導入実績 | 行政機関への導入多数(全体で7,500件超・自治体含む) | 埼玉県・新潟県湯沢町など。広島県三原市で全国初の全庁導入(2024年) | 愛知県大府市(水道料金督促)など | 全国140以上の自治体(2024年12月末時点) | 兵庫県伊丹市(市税徴収)など | 東京都豊島区(住民税催告・約871万円収納) |
| 料金(初期・1通単価の目安) | 初期0円/月額0円/単価は要問い合わせ | 初期0円/月額0円/1通6円〜 | 初期0円/月額0円/1通9.35円(税込)〜 | 初期・月額は要問い合わせ/試算例で1通10円 | 初期・月額・単価とも要問い合わせ | 初期0円/月額1,000円〜/単価は要問い合わせ |
| サポート | 電話・メール(24時間365日の障害対応デスク) | 専任担当による導入・運用支援(手段・時間は公式に記載なし) | 24時間365日の監視運用サポート | 電話・メール。元自治体職員による導入支援 | 専任担当・24時間365日の電話受付 | 営業+カスタマーサポート、24時間閲覧のFAQサイト |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年9月時点の各社公式情報にもとづきます。最新の料金・仕様・対応状況は各公式サイトでご確認ください。
オーロラSMS by メディアSMS(株式会社メディア4u)

金融機関や行政機関への導入を多く手がける、国内法人向けのSMS配信サービスです。行政専用網から送信できる「メディアSMS for LGWAN」を提供し、役所のネットワーク環境に対応します。キャリアへ直接接続する直収により到達率99.9%をうたい、誤送信を防ぐ他人接続の判定にも対応。ISO/IEC 27001・27017やプライバシーマークなどの認証を取得し、導入実績は7,500件を超えます。
初期費用・月額費用は0円で、送信した分だけの完全従量制です。1通あたりの単価は利用条件により異なるため、個別の問い合わせが必要です。LGWANとセキュリティ認証の両方を満たしたい庁内に適した選択肢です。
SMSLINK(株式会社ネクスウェイ)

35年以上にわたり法人向けの情報伝達サービスを提供してきたネクスウェイのSMS配信サービスです。国内4キャリアへの直収により到達率は約98%とされ、埼玉県の新型コロナ療養案内や新潟県湯沢町のふるさと納税連絡など、自治体の実運用で使われてきました。広島県三原市では2024年4月に全国で初めての自治体全庁導入が公表されています。プライバシーマークを取得済みです。
スタンダードプランは初期費用・月額費用が0円で、SMSは1通6円から利用できます。自治体での導入実績を重視して選びたい場合に候補になります。
庁内にSMS運用のノウハウが少ない場合、導入後にどこまで支援を受けられるかも判断材料になります。提供元のネクスウェイは、サポート体制についてインタビューで次のように話しています。

営業からカスタマーサクセスまで専任の担当がつき、導入後も伴走します。文面作成のアドバイスや文字数制限への対応など、運用面まで踏み込んで支援している点は高く評価いただいています。
KDDI Message Cast(KDDI株式会社)

通信事業者KDDIが提供するSMS送信サービスです。キャリア直収で到達率98%以上をうたい、大府市の水道料金滞納督促のように、電話業務の工数削減に使われた実績があります。事業者共通の送信元番号「0005」や認証済みマーク、SMSの詐欺対策パッケージを備え、住民に本物と信じてもらうための「なりすまし対策」という自治体の課題に正面から対応している点が特徴です。
初期費用・月額費用は0円で、SMSは1通9.35円(税込)からの到達課金です。自治体・医療機関向けの特別プランも用意されています。詐欺対策や信頼性を重視する自治体に向いています。
ジチタイSMS(株式会社ジチタイワークス)

自治体向けに特化したSMSサービスで、2022年1月にLGWAN対応版をリリースしています。全国140以上の自治体で導入され(2024年12月末時点の公式表記)、貝塚市の交付金通知など具体的な活用事例を公表しています。
市税催告に関わる業務時間を50時間から10時間へ削減した事例も紹介されており、送達確認や他人接続の判定にも対応。元自治体職員による導入支援を受けられる点も、庁内にノウハウが少ない自治体には心強い特徴です。
料金は要問い合わせですが、公式サイトでは郵送110円に対しSMS10円といった試算例(各100件の場合)が示されています。自治体専用という安心感と支援体制を重視する場合の候補です。
空電プッシュ(NTTドコモビジネスX株式会社/旧・NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社)

NTTグループが提供するSMS送信サービスで、行政専用網に対応した「空電プッシュ for LGWAN」を用意しています。企業間で送るA2P-SMSの国内法人市場でシェア1位をうたい、金融機関向けの安全基準であるFISCの安全対策基準にも準拠。事業者共通の送信元番号「0005」や認証済みマークに対応し、なりすまし対策の面でも役所の要件に応えます。
料金は初期・月額・従量とも公開されておらず、問い合わせでの確認が必要です。NTTグループの信頼性とLGWAN連携を求める場合に検討したいサービスです。
絶対リーチ!SMS(AI CROSS株式会社)

AI CROSSが提供するSMS送信サービスで、豊島区の住民税滞納催告で自主納付を促し約871万円を収納した事例を公表しています。地方自治体向けの活用シーンを整理した専用ページを設けており、納付催告や健診・避難連絡などの用途を想定した機能を備えます。ISO/IEC 27001とプライバシーマークを取得し、到達率99%(直接接続では99.9%)をうたっています。
基本プランは初期費用0円・月額1,000円からで、SMSの従量単価は要問い合わせです。実名の自治体事例をもとに検討したい場合の候補になります。
本記事では自治体での利用に適したサービスを中心に取り上げましたが、認証・督促・販促といった用途も含めてSMS送信サービス全体を、料金相場や到達率から広く比較したい場合は次の記事が参考になります。
まとめ
地方自治体のSMS活用は、納税・公共料金の催告から健診・子育て支援の案内、防災・緊急連絡、証明書交付の通知まで、幅広い業務に広がっています。茅ヶ崎市のように16業務を超えて使う自治体もあり、郵送・電話と比べて到達・反応が得られやすく、郵送費や電話業務の工数を削減できることが、豊島区・大府市・貝塚市・湯沢町などの事例で示されています。
導入にあたっては、LGWAN対応の要否・個人情報保護・セキュリティ認証・送達確認といった技術面の要件と、送信元番号の周知や詐欺対策といった住民に信じてもらう運用の両方を押さえることが大切です。まずは効果の見えやすい1業務から小さく始め、複数のサービスを資料請求で比較しながら、自庁に合った1本を選んでください。
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地方自治体のSMSに関するよくある質問(FAQ)
Q. 自治体向けSMS送信サービスとは何ですか?
A. 自治体向けSMS送信サービスとは、住民の携帯電話番号あてに短いテキストメッセージ(SMS)を一斉・個別に送れる、行政利用を想定したクラウド型のサービスです。納税の催告、健診・子育ての案内、防災連絡などに使われ、LGWAN(行政専用の閉域ネットワーク)対応やセキュリティ認証、送達確認といった役所特有の要件に応えた製品が提供されています。
Q. 自治体が送るSMSは住民全員に届きますか?
A. 自治体のSMSは、自治体が把握している電話番号あてに届くもので、住民全員に自動で一斉配信されるわけではありません。携帯電話を持っていない、番号を登録していない、引っ越しや機種変更で番号が変わっているといった場合は届きません。SMSは対象者を絞って送る運用が基本のため、郵送や広報など他の手段と組み合わせて補完するのが現実的です。
Q. 高齢者やガラケー(フィーチャーフォン)を使う住民にもSMSは届きますか?
A. SMSは、スマートフォンかどうかを問わず、電話番号を持つ携帯電話であれば受信できる標準機能のため、ガラケー(フィーチャーフォン)を使う高齢者にも届きます。専用アプリのインストールや友だち登録が要らず、電話番号だけで送れるのが特徴です。ただしSMSでは長い文章や画像を送りにくいため、詳しい案内は問い合わせ先の電話番号や窓口への誘導と組み合わせると親切です。
Q. 自治体からのSMSは、迷惑SMSや詐欺SMSとどう見分ければよいですか?
A. 自治体の公式なSMSは、送信元が明確で、振り込みやATM操作・口座情報の入力などを求めない点が、詐欺・迷惑SMSとの違いです。茅ヶ崎市のように、自治体は送信元の電話番号を公式サイトで事前に公表し、「特定の金融機関や口座への振り込み・ATMの操作・通帳やキャッシュカードを預けるよう求めることはSMSでは案内しない」と明記する運用が広がっています。
導入時は、こうした住民周知をセットで設計しておくことが、詐欺と間違われないために重要です。
Q. 自治体がSMSを送るときの誤送信リスクと対策は?
A. SMSの誤送信は、送信対象の登録ミスや操作ミスが主な原因で、複数人でのダブルチェック・テスト配信・システムの誤送信防止機能で抑えられます。番号の契約者を判定する「他人接続の判定」で別人への到達を防ぐサービスや、送達確認で結果を確認できるサービスもあります。
豊島区のようにメッセージへ個人名を載せず「税に関するお知らせ」といった文面にとどめれば、万一の誤送信でも個人情報につながる情報の漏えいリスクを下げられます。
Q. SMSを送った後、住民に届いたか(到達・未達)を把握できますか?
A. 多くの自治体向けSMS送信サービスでは、送信結果を「到達」「未達」などのステータスで受信者ごとに確認でき、届かなかった相手を把握できます。未達だった住民には郵送や電話でフォローするなど、次の手を打つ判断に使えます。開封や反応の有無を追える機能を備えるサービスもあり、催告や案内の効果測定にも役立ちます。
Q. 自治体のSMSは、防災無線・LINE・メールとどう使い分ければよいですか?
A. 自治体のSMSは、電話番号さえ分かれば個別に届き開封されやすいため、特定の住民への確実な連絡に向く点で、不特定多数向けの防災無線や、登録が前提のLINE・開封されにくいメールと使い分けるのが基本です。防災無線やLINEは受信に住民側の準備(放送圏内にいること・友だち登録)が要る一方、SMSはアプリ登録なしに電話番号だけで送れます。
湯沢町の事例では、同じ案内をメールとSMSで送ったところSMSのリンククリック率がメールの4倍以上でした。緊急時の一斉周知は防災無線、確実に届けたい個別連絡はSMS、というように役割で組み合わせるのが現実的です。
Q. 自治体がSMSを導入する費用の目安は?
A. 自治体向けSMSは、初期費用・月額費用を0円とし、送信した分だけ課金する従量制が主流で、1通あたり数円〜10円程度が目安です。公表例では、SMSLINKが1通6円から、KDDI Message Castが1通9.35円(税込)からとなっています。
LGWAN対応版は個別見積もりとなることが多く、文字数・契約内容・最低利用料の有無でも単価は変わります。「要問い合わせ」の製品も多いため、複数社に見積もりを取って比較するのが確実です。郵送の切手・はがき代と印刷・封入の手間を踏まえると、送信件数が多い業務ほどSMSのコスト優位が出やすくなります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。















