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売掛金回収を弁護士に依頼する費用と流れ|費用倒れの目安・自力回収との違いを解説

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督促・売掛金回収代行比較表(2026年版)のプレビュー

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督促・売掛金回収代行比較表(2026年版)

取引先に商品やサービスを納めたのに、支払期日を過ぎても売掛金が入金されず、電話やメールで催促しても支払いの気配がありません。自社だけでは回収が難しくなり、「弁護士に頼めば取り立ててもらえるのか」と考える経理・財務の担当者や経営者は少なくありません。

ただし、弁護士に依頼するとなると、まず気になるのは費用です。売掛金が数十万円から数百万円という規模だと、弁護士費用の方が高くつく「費用倒れ」の心配もあります。着手金や報酬金がいくらかかり、回収できなかったときはどうなるのか。自力回収や少額訴訟で足りる場面との線引きも、依頼を決める前に知っておきたいところです。

本記事では、弁護士に売掛金回収を依頼したときの費用の実額と費用倒れの目安を先に示したうえで、弁護士が使える回収手段と自力回収との違い、頼むべきケースの見極め方、そして弁護士に頼む前・以外に検討できる選択肢までを解説します。各手続きの根拠となる条文も明記しています。

弁護士に売掛金回収を依頼する費用の実額と費用倒れの目安

ここからは、弁護士に売掛金回収を依頼したときにかかる費用を、実額を交えて解説します。弁護士費用は2004年に自由化され、現在は各弁護士・事務所が自由に金額を定めています。「事務所によって違う」のはこのためですが、多くの事務所は旧・日本弁護士連合会の報酬基準を今も目安にしており、費用の全体像はつかめます。

相談料・着手金・報酬金という3つの費用

弁護士費用は、主に相談料・着手金・報酬金の3つで構成されます。着手金は依頼した時点で支払う費用で、結果にかかわらず原則として返還されません。報酬金は回収に成功したときに、回収できた金額に応じて支払う成功報酬です。

着手金と報酬金は、回収額(経済的利益)に料率をかけて計算するのが一般的です。旧・日本弁護士連合会の報酬基準では、経済的利益が300万円以下の場合、着手金が8%、報酬金が16%とされていました。この方式を目安にしている事務所が多く、着手金には最低額(10万円程度〜)を設けているのが通例です。

出典・参考資料(2件)

手続き別・請求額帯別の費用の目安

手続きごとの費用の目安を、実際に料金を公開している法律事務所の例をもとに整理しました。着手金・報酬金は料率で計算する事務所と定額で示す事務所があり、料率制でも着手金には最低額があるため、少額の場合は実質その最低額になります。金額には幅があるので、下表は代表的な水準として捉えてください。

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費用項目費用の目安(税込)
法律相談料初回無料〜5,500円/30分程度(無料相談を設ける事務所もある)
内容証明郵便の作成33,000円〜55,000円程度(弁護士名で送るかどうかで差が出る)
交渉の着手金110,000円程度〜、または回収額の料率(報酬金は成功時に別途)
支払督促・訴状の作成110,000円程度〜(1通あたりの作成費用の例)
訴訟の着手金220,000円程度〜、または経済的利益の5〜8%程度(最低22〜33万円)
報酬金(成功報酬)回収額の16〜17.6%程度(回収できて初めて発生)
強制執行の着手金220,000円程度〜(差押えまで進む場合)
実費別途(収入印紙・郵便切手・予納金など)

料金例は各事務所の公開料金ページ(2026年9月時点)にもとづく。実際の費用は事務所・事案により異なる。

回収する売掛金の額ごとに、弁護士費用の合計と手元に残る額の概算を示します。着手金を回収額の8%(最低10万円程度)、報酬金を回収額の16%とした場合の目安です。

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回収する売掛金50万円100万円300万円
着手金の目安約10万円約10万円約24万円
報酬金の目安約8万円約16万円約48万円
弁護士費用の合計(目安)約18万円約26万円約72万円
手元に残る額(目安)約32万円約74万円約228万円

着手金8%(最低10万円程度)・報酬金16%で計算した概算(旧・日本弁護士連合会の報酬基準にもとづく)。実費・消費税は含まない。実際の料率・最低額は事務所により異なる。

出典・参考資料(2件)

費用倒れの目安と、回収できなかった場合の着手金

費用倒れとは、回収できた金額よりも弁護士費用の方が高くついてしまう状態です。訴訟の着手金には最低額(22〜33万円程度)が設定されていることが多く、報酬金も回収額の16%前後がかかります。そのため、売掛金が数十万円以下の少額債権では、全額回収できても費用倒れになる可能性があります

加えて注意したいのが、着手金は回収の成否にかかわらず支払う費用だという点です。相手に支払能力がなく回収できなかった場合でも、着手金は原則として戻りません。相手の資力が乏しいことがわかっている場合は、着手金の負担も踏まえて依頼するかどうかを判断する必要があります。

費用倒れを避けるには、無料相談の場で「自社の債権額なら着手金・報酬金がいくらになり、回収できる見込みはどの程度か」を弁護士に確認するのが確実です。少額の場合は、次章以降で紹介する内容証明のみの依頼や、弁護士以外の選択肢も検討の対象になります。

弁護士が使える回収手段と依頼から解決までの流れ

ここからは、弁護士が売掛金回収のために使える具体的な手段を、依頼から解決までの流れに沿って解説します。弁護士は交渉から裁判手続き、財産の差押えまでを一貫して代理でき、自力での回収とは打てる手の幅が変わります。

内容証明から強制執行までの段階

売掛金回収は、話し合いによる解決から、裁判所を通じた手続きへと段階的に進みます。弁護士に依頼した場合、一般的には次の順序で手段を選んでいきます。

弁護士が売掛金回収に使える手段を段階順に示した図。段階1は話し合いによる解決で、内容証明郵便による請求、交渉、民事調停。段階2は裁判所の手続きで、支払督促、60万円以下の少額訴訟、通常訴訟。段階3は差押えによる回収で、債務名義にもとづく仮差押え・強制執行。前の段階で解決すればそこで終了し、応じなければ次の段階へ進む。
  1. 内容証明郵便による請求:支払いを求める通知を、いつ・どのような内容で送ったかを郵便局が証明する形で送付します。弁護士名で送ることで相手に本気度が伝わり、後述する消滅時効の完成を一時的に先延ばしする効果もあります。
  2. 交渉(任意の話し合い):弁護士が代理人として相手と支払いの交渉を行います。分割払いの合意など、柔軟な解決を図る段階です。
  3. 民事調停:簡易裁判所で、調停委員を交えて話し合いによる解決を目指す手続きです。
  4. 支払督促:簡易裁判所の裁判所書記官に申し立て、相手が2週間以内に異議を出さなければ、仮執行宣言を経て差押えが可能になります(民事訴訟法382条以下)。相手が異議を出すと通常訴訟に移行します。
  5. 少額訴訟:60万円以下の金銭請求について、原則1回の期日で判決まで進む簡易な訴訟です(民事訴訟法368条)。
  6. 通常訴訟:金額が大きい場合や争いがある場合の、一般的な民事訴訟です。勝訴して判決が確定すれば、強制執行の根拠になります。
  7. 仮差押え・強制執行:判決などの債務名義にもとづき、相手の預金や売掛債権などを差し押さえて回収します。訴訟の前に財産を保全する仮差押えという手段もあります。

支払督促は、相手が異議を出さなければ比較的短期に強制執行の根拠を得られる手続きです。根拠となる条文の要点を、原文で確認しておきます。

(支払督促の要件)第三百八十二条 金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。

出典:民事訴訟法第382条|e-Gov法令検索

強制執行を行うには、確定判決だけでなく、仮執行宣言を付した支払督促や、強制執行に服する旨を記した公正証書(執行証書)も「債務名義」として使えます(民事執行法22条)。訴訟まで進まなくても差押えにつなげられる道がある点は、手段を選ぶうえで押さえておきたいところです。

出典・参考資料(4件)

自力回収と弁護士依頼は何が違うか

自力でも、催促の連絡や内容証明の送付、少額訴訟の申立ては可能です。弁護士に頼むと変わるのは、相手の財産を調べたうえで、差押えまで一貫して代理で進められる点です。

その中核が、弁護士会照会という制度です。弁護士は、受任した事件について、所属する弁護士会を通じて公的機関や企業に必要な事項を照会できます(弁護士法23条の2)。これにより、相手の取引銀行や財産の状況を調査し、差し押さえるべき財産を特定しやすくなります。自力では使えない、弁護士ならではの手段です。

(報告の請求)第二十三条の二 弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。

出典:弁護士法第23条の2|e-Gov法令検索

また、判決を待っていると相手が財産を隠すおそれがある場合には、訴訟の前に相手の預金や売掛債権を仮に押さえる仮差押えができます(民事保全法20条)。担保金を立てる必要はありますが、回収の実効性を高める手段として弁護士が代理して申し立てます。加えて、弁護士名での請求は相手に与える心理的な圧力が大きく、任意の支払いに応じやすくなる効果も期待できます。

出典・参考資料(1件)

消滅時効が迫っている場合の緊急対応

売掛金には消滅時効があり、放置すると法律上は請求できなくなります。現在の民法では、債権者が権利を行使できると知った時から5年間行使しないと、時効によって消滅します(民法166条1項)。売掛金は支払期日を過ぎれば通常は請求できると認識しているため、実務上はこの「5年」が起算の目安になります。

第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

出典:民法第166条第1項|e-Gov法令検索

基本は「権利を行使できると知った時から5年」と押さえておけば十分ですが、古い債権では期間が違うことがあります。以前は、売掛金などに2年といった職業別の短期消滅時効(旧民法173条)や、商人間の取引に5年の商事消滅時効(旧商法522条)が別に定められていました。

これらは2020年4月施行の改正で廃止され、民法166条の原則に一本化されています。発生の古い債権を扱う際は、適用される時効期間が異なる場合があるため、判断は弁護士に確認するのが安全です。

時効の完成が近い場合は、まず内容証明郵便で催告を行うと、そこから6か月間は時効の完成が猶予されます(民法150条)。ただし催告だけでは時効はリセットされないため、この6か月の間に、裁判上の請求や支払督促といった手続き(民法147条)に進む必要があります。時効が迫っているときこそ、手続きを的確に選べる弁護士への相談が急がれます。

出典・参考資料(2件)

依頼から解決までの期間の目安

解決までの期間は、どの手段で決着するかで大きく変わります。内容証明や交渉で相手が支払いに応じれば数週間から1〜2か月程度、支払督促で異議が出なければ2か月前後が目安です。一方、通常訴訟にまで進むと、半年から1年以上かかることもあります。相手が争う姿勢か、財産を把握できているかによって見通しは変わるため、初回相談で期間の見込みも確認しておくとよいでしょう。

弁護士に依頼するメリット・デメリットと頼むべきケースの見極め

ここからは、弁護士に依頼するメリットとデメリットを整理したうえで、自力や他の専門家で足りる場面との線引きを解説します。すべてのケースで弁護士依頼が最適とは限らないため、自社の債権額と状況に照らして判断することが大切です。

弁護士に依頼するメリット

最大のメリットは、回収の実効性が高まることです。前節のとおり、弁護士は財産調査から差押えまで一貫して代理でき、自力では届かない相手にも打てる手が増えます。

実務でもう一つ大きいのが、担当者の負担が軽くなる点です。催促の連絡や書面の作成、裁判手続きの対応を任せられるため、本業に時間を割けます。支払われる見込みや取るべき手段について専門家の判断を得られる安心感も、依頼する価値のひとつです。

弁護士に依頼するデメリット・注意点

一方で、着手金や実費が先に発生し、回収できなくても着手金は戻らないという費用面の負担があります。前述のとおり少額債権では費用倒れのリスクもあります。また、法的手段に踏み込むことで相手との取引関係が事実上終わることも多く、継続したい取引先に対しては慎重な判断が求められます。弁護士とよく相談し、交渉での柔軟な解決を優先するといった選択肢も含めて方針を決めるとよいでしょう。

自力・少額訴訟で足りる場面

相手が支払いを認めていて資力もあり、単に支払いが遅れているだけといった場合は、まず自社での催促や内容証明の送付で解決することもあります。金額が60万円以下であれば、原則1回の期日で判決まで進む少額訴訟を自力で利用する選択肢もあります(民事訴訟法368条)。

申立先は相手の住所地などを管轄する簡易裁判所で、手数料は請求額(訴額)に応じて決まります。手続きが比較的簡易なため、少額債権で費用を抑えたい場合の有力な手段です。

ただし、相手が争ってきたり、財産の調査や差押えが必要になったりすると、自力での対応は難しくなります。少額訴訟も、相手が通常訴訟への移行を求めれば通常の裁判に進みます。手に負えないと感じた段階で、早めに弁護士へ切り替える判断が大切です。

認定司法書士・サービサーとの違い

売掛金回収に関わる専門家として、認定司法書士や債権回収会社(サービサー)が挙げられることがあります。それぞれ扱える範囲が法律で決まっているため、弁護士との違いを押さえておきましょう。

認定司法書士は、法務大臣の認定を受けた司法書士で、簡易裁判所で扱える訴額140万円以下の事件について代理できます(司法書士法3条、裁判所法33条1項1号)。ただし、強制執行に関する事項は原則として代理できません(司法書士法3条1項6号ただし書)。金額が140万円を超える場合や、差押えまで見据える場合は弁護士に依頼する必要があります。

債権回収会社(サービサー)は、法務大臣の許可を受けた株式会社ですが、扱えるのはサービサー法が定める「特定金銭債権」に限られます(債権管理回収業に関する特別措置法2条・3条)。金融機関の貸付債権やリース料債権などが対象で、一般の商取引で生じる通常の売掛金は原則としてサービサーの取扱範囲外です

弁護士でない者が報酬を得る目的で他人の債権の交渉・回収を業として代行することは、原則として認められていません(弁護士法72条)。

出典・参考資料(4件)

債権額から考える「あきらめる・自力・専門家依頼」の使い分け

どの手段を選ぶかは、債権額・相手の資力・取引を続けたいかによって変わります。費用対効果の観点から、大まかな目安を整理しました。あくまで判断の出発点として、最終的には無料相談で見込みを確認してください。

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状況検討したい進め方
債権額が数十万円以下で、着手金の負担が回収額に見合わない自社での催促・内容証明、60万円以下なら少額訴訟。督促代行サービスの活用も選択肢
債権額が60万〜140万円程度で、相手が支払いを認めている少額訴訟・支払督促のほか、認定司法書士や弁護士への相談
債権額が大きい、相手が争う、財産の差押えが必要弁護士に依頼し、財産調査・仮差押え・訴訟・強制執行を一貫して進める
相手の資力が乏しく、回収の見込みが低い着手金の負担も踏まえ、あきらめる判断や、税務上の貸倒処理も含めて検討
今後も取引を続けたい相手法的手段の前に、交渉での柔軟な解決や分割払いの合意を優先

回収できる見込みは、相手が事業を続けているか、差し押さえられる財産(預金や他社への売掛金など)がありそうか、連絡が取れるか、がひとつの判断材料になります。相手にまったく資力がない場合は、弁護士に依頼しても回収は難しく、無理に費用をかけるより貸倒処理を検討したほうがよいこともあります。

表の最後に挙げた「税務上の貸倒処理」とは、回収できなくなった売掛金を貸倒損失として損金に算入する会計・税務の手続きです。損金算入が認められる要件や、貸し倒れによる黒字倒産を避けるための備え方は、以下の記事で解説しています。

弁護士への相談の始め方

ここからは、実際に弁護士へ相談するときの準備と流れを解説します。事前に材料をそろえておくと、初回相談で回収の見込みや費用の見積もりを具体的に聞けます。

相談前に用意する資料

相談をスムーズに進めるため、債権の存在と経緯がわかる資料を持参するとよいでしょう。具体的には、次のような書類が役立ちます。

  • 契約書・発注書・注文請書(取引の合意内容がわかるもの)
  • 請求書・納品書・受領書(債権額と納品の事実がわかるもの)
  • 催促のやりとりの記録(メール・書面・通話メモなど)
  • 相手の会社情報(所在地・代表者・取引の経緯)

無料相談で聞かれること・依頼までの流れ

初回相談では、債権の内容(金額・発生時期・支払期日)、相手の対応状況、これまでの催促の経緯などを聞かれます。そのうえで弁護士から、回収の見込み・想定される手段・費用の見積もり・解決までの期間が示されるのが一般的な流れです。売掛金回収を扱う法律事務所には初回無料相談を設けているところも多く、まずは費用倒れにならないかを含めて相談してみるとよいでしょう。

相談内容に納得できれば、委任契約を結び、着手金を支払って正式に依頼します。その後は弁護士が内容証明の送付から順に手続きを進め、回収に成功した段階で報酬金を支払う、という流れが一般的です。

相談先が見つからない場合は、各地の弁護士会が実施する法律相談や、法テラス(日本司法支援センター)の窓口から探せます。売掛金回収は企業法務・債権回収を扱う事務所が対応するため、この分野の取扱実績がある事務所を選ぶと話が進めやすくなります。

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弁護士に頼む前・以外に検討したい選択肢と使い分け

売掛金の未回収に対しては、弁護士への依頼だけでなく、督促や回収を代行・自動化するサービスや、そもそも貸し倒れを防ぐ仕組みも選択肢になります。すでに依頼を決めた人は前節を、まだ迷う人や今後の予防も考えたい人はこの節を参考にしてください。以下では、弁護士に頼む前・以外に検討できる手段を横並びで整理します。

弁護士と他の選択肢の違い

それぞれの手段は、費用の性質・対応の速さ・すでに未回収になった債権を回収できるか・将来の貸し倒れを予防できるか、といった点で役割が異なります。大まかな違いを整理しました。

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手段弁護士への依頼督促・回収代行サービス請求代行+売掛金保証ファクタリングODR(オンライン紛争解決)
費用の性質着手金+成功報酬月額・従量など月額利用料+手数料売却手数料サービスにより異なる
既発生の未回収の回収◎(差押えまで可)○(法的手段を除く督促の効率化)△(保証対象は条件あり)×○(オンラインでの交渉・和解)
貸し倒れの予防××
向いている場面相手が争う・差押えが必要・時効が迫る多数の未回収を仕組みで督促したい与信・請求・回収をまとめて外部化したい入金期日前の債権を早期に資金化したい(焦げ付いた債権の回収手段ではない)費用や手間を抑えて交渉したい

すでに支払いを拒む相手から強制的に回収するには、差押えまで進められる弁護士が有力です。一方、督促の手間を減らしたい、あるいは今後の貸し倒れを防ぎたいという場合は、督促代行や請求代行+売掛金保証といったサービスが適しています。弁護士でない事業者が代行できるのは、交渉・法的請求に至らない請求・督促の事務が中心である点(弁護士法72条)も踏まえ、自社の目的に合わせて選ぶとよいでしょう。

表に挙げたODR(オンライン紛争解決)は、民間事業者や裁判所がオンライン上で和解・調停を仲介する新しい手段です。費用や手間を抑えて話し合いで解決したい場合の選択肢ですが、国内で対応する事業者はまだ限られるため、利用できるかは個別に確認が必要です。

このうち「そもそも貸し倒れを防ぎたい」場合には、取引先が倒産などで支払えなくなったときに保証会社が売掛金を立て替える売掛保証(債権保証)という手段もあります。保証範囲や料金の違い、ファクタリングとの使い分けは、以下の記事で比較しています。

督促・回収を支えるサービスの比較

ここで紹介するサービスは、いま焦げ付いている特定の1件を強制的に回収するものではなく、今後の督促を効率化したり貸し倒れを予防したりする手段です。すでに未回収になった1件は弁護士や回収代行での回収を検討し、これらは再発防止・業務効率化の観点で使い分けるとよいでしょう。目的に応じて代行型・自社運用型・保証型があります。

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サービス名請求まるなげロボ債権回収ロボLecto
提供会社株式会社ROBOT PAYMENT株式会社ROBOT PAYMENTLecto株式会社
提供形態代行型
(請求・回収をアウトソース)
自社運用型
(督促自動化SaaS)
自社運用型
(債権管理・督促DX)
主な機能与信審査・請求書発行/送付・代金回収・入金消込・督促多チャネル督促の自動実行・督促シナリオ設計・履歴の一元管理債権管理・多チャネル督促の自動化・入金管理・分析
督促チャネルメール・電話・弁護士法人メール・SMS・オートコール(IVR)メール・SMS・IVR・書面
売掛金保証適格・与信通過債権のみ××
料金体系月額利用料+手数料1.0%〜
(個別算出)
要問い合わせ月額基本料+督促数の従量
(要問い合わせ)
向いている企業与信〜請求・回収を丸ごと外部化したい企業多数の未回収を仕組みで督促したい企業督促を自社運用で効率化したい金融サービス事業者など
詳細情報公式資料を見るオンライン相談を予約サービス詳細を見る

1. 請求まるなげロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

請求まるなげロボのウェブサイト

請求まるなげロボは、企業間取引の請求業務を丸ごとアウトソースできるサービスです。与信審査・請求書の発行と送付・代金回収・入金消込・督促までをROBOT PAYMENTが代行します。同社の審査で適格債権と判断され、かつ与信を通過した債権については、回収の成否にかかわらず売掛金の支払いが保証されます。督促は自社窓口に加えて弁護士法人が対応する体制です。

保証の対象は与信を通過した適格債権に限られるため、すべての未回収を防げるわけではありませんが、新規取引先の与信をアウトソースしたい、与信落ちの取引先も含めて請求業務を一元管理したいという場合に適しています。手数料は取引内容に応じた個別算出です。

2. 債権回収ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

債権回収ロボのウェブサイト

同じくROBOT PAYMENTが提供する債権回収ロボは、未入金の督促・回収業務を自動化するサービスです。メール・SMS・オートコール(自動音声)といった複数チャネルを組み合わせた督促シナリオを設計し、債務者の属性や過去の履歴に応じて自動で実行します。

督促の状況や履歴を一元管理でき、同社の請求管理ロボと連携して請求から督促・回収までをつなげられます。2026年3月に提供が始まった比較的新しいサービスです。

数多くの未回収を人力で督促している企業が、督促を仕組み化して抜け漏れなく回収を進めたい場合に向いています。料金は要見積もりです。

3. Lecto(Lecto株式会社)

Lectoのウェブサイト

自社で督促を運用しながら効率化したい企業に向くのがLectoです。債権管理・督促・回収を一元化するデジタルプラットフォームで、メール・SMS・IVR(自動音声)・書面の複数チャネルで督促を自動送信し、債務者管理・入金管理・督促履歴の記録までを自社運用で完結できます。

ダッシュボードでの分析やCSV・API連携にも対応します。金融サービスを扱う事業者を主要な顧客としており、消費者向け債権を含む回収にも対応しています。

督促の運用を自社に持ちつつ効率化したい企業に向いた自社運用型のサービスです。月額基本料に督促数に応じた従量課金が加わる料金体系で、詳細は問い合わせが必要です。

ここで取り上げた3サービスは、督促・回収を支えるサービスの一例です。回収代行・督促の自動化・売掛金保証まで、依頼先のタイプ別の選び方や費用相場も含めて全体を比較したい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ

弁護士に売掛金回収を依頼すると、着手金と成功報酬がかかり、少額債権では費用倒れになることもあります。一方で、弁護士会照会による財産調査や仮差押え・強制執行まで一貫して代理でき、相手が支払いに応じない場合の回収の実効性は高まります。まずは自社の債権額と相手の状況を踏まえ、自力・少額訴訟で足りるのか、弁護士に依頼すべきかを見極めることが出発点です。

費用倒れが心配な場合や、そもそも督促の手間を減らしたい・貸し倒れを防ぎたい場合は、督促代行や請求代行+売掛金保証といったサービスも選択肢になります。目的に応じて手段を使い分け、無料相談も活用しながら、自社に合った回収の進め方を選んでください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 売掛金回収を弁護士に依頼すると、自分で対応するのと何が違いますか?

A. 弁護士に依頼する最大の違いは、相手の財産を調べたうえで、交渉から支払督促・訴訟、財産の差押え(強制執行)までを一貫して代理してもらえる点です。とくに、所属弁護士会を通じて取引銀行などに照会して財産を調べる弁護士会照会(弁護士法23条の2)は、自力では使えない弁護士ならではの手段です。

自力でも催促や内容証明の送付、60万円以下の少額訴訟(民事訴訟法368条)は可能ですが、相手が争ってきたり財産の差押えが必要になったりすると、対応が難しくなります。

Q. 売掛金回収の弁護士費用の相場はどのくらいですか?

A. 売掛金回収の弁護士費用は相談料・着手金・報酬金で構成され、着手金は回収額(経済的利益)の8%前後、報酬金は16%前後を目安とする事務所が多いです。これは2004年に自由化される前の旧・日本弁護士連合会の報酬基準にもとづく水準で、着手金には10万円程度の最低額を設けているのが通例です。

内容証明の作成のみであれば3万〜5万5千円程度で対応する例もあります。金額は事務所や事案によって幅があるため、正確な費用は無料相談で見積もりを取って確認してください。

Q. 売掛金が少額でも、弁護士に依頼すると費用倒れになりませんか?

A. 売掛金が数十万円以下の少額債権では、全額回収できても着手金と報酬金が回収額を上回り、費用倒れになる可能性があります。訴訟の着手金には22〜33万円程度の最低額が設定されていることが多いためです。

60万円以下であれば自力での少額訴訟(民事訴訟法368条)や、督促代行サービスの活用も選択肢になります。依頼前に、無料相談で「自社の債権額なら費用がいくらで、回収の見込みはどの程度か」を確認するのが確実です。

Q. 弁護士に依頼しても売掛金を回収できなかった場合、着手金は返ってきますか?

A. 回収できなかった場合でも、着手金は原則として返還されません。着手金は依頼した時点で支払う費用で、結果にかかわらず発生するためです。一方、報酬金は回収に成功して初めて発生する成功報酬です。相手に支払能力がないことがわかっている場合は、着手金が戻らないことを踏まえて依頼の可否を判断する必要があります。

Q. 契約書がなくても売掛金は回収できますか?

A. 契約書がなくても、売掛金の回収は可能です。契約は口頭でも成立するため、契約書そのものがなくても取引の事実を示せれば請求できます。発注書・納品書・請求書や、注文・納品に関するメールなどのやりとりの記録が、債権の存在を裏づける証拠になります。相談の際は、こうした書類をできるだけそろえて持参するとよいでしょう。

Q. 弁護士に依頼すると、取引先との関係は悪化しますか?

A. 法的手段に踏み込むと、取引先との取引関係が事実上終わってしまうことが多いです。そのため、今後も取引を続けたい相手に対しては、いきなり訴訟に進むのではなく、交渉による柔軟な解決や分割払いの合意を優先する判断もあります。弁護士に依頼する場合も、どこまで強い手段を取るかは相談したうえで方針を決められます。

Q. 取引先から売掛金を分割払いにしたいと言われました。応じても回収を確実にできますか?

A. 分割払いに応じる場合は、公正証書(執行証書)の作成や、担保・連帯保証を付けることで回収を確実にしやすくなります。とくに、強制執行に服する旨を記した公正証書を作成しておけば、支払いが滞ったときに訴訟を経ずに差押えへ進めます(民事執行法22条5号)。合意内容を書面化しないまま口頭で分割払いに応じると、後から回収が難しくなるため注意が必要です。

Q. 売掛金の消滅時効(5年)が過ぎたら、もう回収できないのですか?

A. 時効期間が過ぎても、相手が時効を主張(援用)しない限りは請求でき、時効の完成が近い段階なら内容証明による催告でそこから6か月間は完成を猶予できます(民法150条)。売掛金は、権利を行使できると知った時から5年で時効消滅するのが原則です(民法166条1項)。

ただし催告だけでは時効はリセットされないため、この6か月以内に裁判上の請求や支払督促(民法147条)へ進む必要があります。時効が迫っているときこそ、手続きを的確に選べる弁護士への相談が急がれます。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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