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発注書の書き方と必須項目一覧|記入例・テンプレートと収入印紙・インボイス・電子帳簿保存法の注意点

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取引先へ発注書を出すことになったものの、これまで自分で作った経験がなく、何をどう書けばよいか迷っていませんか。発注書は決まった様式が法律で定められているわけではありませんが、記載する項目には実務上のほぼ共通した型があり、抜けがあると取引先での照合や社内処理でつまずきます。

本記事では、発注書に書くべき必須項目を記入例つきで一覧にし、そのまま使えるテンプレートの入手先や注文書との違いを整理します。あわせて、収入印紙・インボイス制度・電子帳簿保存法・下請法(2026年1月に中小受託取引適正化法へ改称)・保存期間といった実務の注意点も確認します。今日発行する1枚を正しく仕上げ、その後の発注業務まで見通せる状態を目指します。

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発注書に書くべき必須項目一覧【記入例つき】

まず、発注書に記載する項目を記入例とあわせて確認します。発注書の様式そのものは法律で定められていませんが、取引先が内容を確認し、後から見積書や請求書と照合できるよう、次の項目をそろえておくと安心です。

発注書に記載する項目と記入例

以下は、発注書に記載する項目と、それぞれに何を書くかを記入例で示した一覧です。「発注書」というタイトルと、発注する側・される側が特定できる情報、取引の中身(品名・数量・単価・金額)が中心になります。

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記載項目文書のタイトル宛先(発注先)発行日発注書番号発注者(自社)の情報品名(発注内容)数量単価金額消費税・合計金額納期・納品場所支払条件備考
記入する内容「発注書」または「注文書」と分かるように明記取引先の会社名。分かれば部署名・担当者名まで発注書を発行する日付自社で管理する通し番号(任意。見積書・請求書との照合に便利)自社の会社名・住所・電話番号・担当者名。社印や担当者印があるとなお良い発注する商品・サービスの名称や仕様発注する数量と単位1単位あたりの価格。税抜・税込を明確に数量×単価の小計税率ごとに区分した消費税額と、税込の合計金額希望する納品日と届け先支払方法と支払期日(締め日・支払日)分納の可否・検収条件など、取引固有の特記事項
記入例発注書株式会社サンプル商事 御中2026年9月16日No.2026-0916株式会社ミライ製作所/東京都千代田区〜/03-0000-0000/購買部 山田梱包用段ボール Aタイプ(60サイズ)1,000枚50円(税抜)50,000円消費税(10%)5,000円/合計 55,000円納期:2026年10月10日/納品場所:自社 越谷倉庫月末締め翌月末払い/銀行振込分納不可。検収後に請求書を送付

単価と合計金額は、税抜・税込のどちらで示しているかを必ず明確にしておく必要があります。消費税の税率が複数ある取引では、税率ごとに区分して消費税額を書いておくと、後の請求書との突き合わせがスムーズです。

発注書の記入イメージ(記入見本)

実際の1枚に落とし込むと、上部に「発注書」のタイトル・発行日・発注書番号と宛先、その下に発注者(自社)の情報を配置します。中央には品名・数量・単価・金額を並べた明細の表を置き、その下に消費税と税込合計を示します。末尾に納期・納品場所・支払条件・備考をまとめると、取引先が上から順に読んで内容を把握できます。

発注書の記入見本の図解。上部に文書タイトル「発注書」、宛先「株式会社サンプル商事 御中」、発行日2026年9月16日、発注書番号No.2026-0916、発注者として株式会社ミライ製作所ほかを配置。中央の明細表に品名「梱包用段ボール Aタイプ(60サイズ)」、数量1,000枚、単価50円(税抜)、金額50,000円を記載し、消費税(10%)5,000円、合計金額55,000円を示す。末尾に納期2026年10月10日・納品場所 自社 越谷倉庫、支払条件 月末締め翌月末払い/銀行振込、備考 分納不可・検収後に請求書を送付を配置。

先ほどの一覧の記入例をこの並びに当てはめれば、そのまま1枚の発注書になります。宛先には会社名のあとに「御中」を付け、担当者名まで書く場合は「サンプル商事 御中 資材部 佐藤様」のように併記します。

発注書をメールで送るときの文例

発注書はPDFにしてメールに添付して送るのが一般的です。本文には、発注した旨と添付ファイルの案内、確認のお願いを簡潔に書きます。次のような文面がそのまま使えます。

件名:発注書送付のご案内(梱包用段ボール)

株式会社サンプル商事
資材部 佐藤様

いつもお世話になっております。株式会社ミライ製作所の山田です。
先日お見積りいただいた梱包用段ボールについて、発注書を添付にてお送りいたします。
ご確認のうえ、ご手配をお願いできますと幸いです。
ご不明な点がございましたら、山田までお知らせください。
よろしくお願いいたします。

紙で郵送する場合は、送付状を添えて封筒に入れます。なお、発注書のように特定の相手へ送る「信書」を、メール便など信書を送れない配送方法で送ることはできません。郵送するときは普通郵便やレターパックなど、信書を送れる方法を選びます。

すぐ使える発注書テンプレート(Excel・Word)の入手先

ここからは、テンプレートの入手方法を紹介します。発注書はゼロから作らなくても、上の必須項目一覧と記入例をそのままExcelやWordに写せば、そのまま使える様式が作れます。列に「品名・数量・単価・金額」を並べ、上部に自社と宛先の情報、下部に納期・支払条件・備考を置くだけです。

自作せずに既成のひな形を使いたい場合は、会計ソフトや請求書作成サービスの公式サイトが、Excel・Word形式の発注書テンプレートを無料で配布しています。多くは各社サイトの「テンプレート」「書式ダウンロード」ページにまとめられているので、そこから先ほどの必須項目がそろっているものを選びます。

選んだテンプレートは、自社の会社名・ロゴ・振込先を固定情報として登録しておくと便利です。次回以降は品名・数量・金額を入れ替えるだけで発行できます。

自作する場合や、配布テンプレートを調整する場合は、次のチェックリストで項目の抜けがないかを確認します。

  • 「発注書」のタイトル、発行日、発注書番号が上部にあるか
  • 宛先(発注先)と発注者(自社)の情報が両方そろっているか
  • 品名・数量・単価・金額の明細と、税率ごとの消費税・税込合計があるか
  • 納期・納品場所・支払条件・備考の欄があるか

発注書とは|役割と注文書・発注請書との違い

ここでは、発注書の役割と、混同しやすい書類との違いを整理します。名称が似た書類が多く、どれをいつ使うのか迷いやすいところです。

発注書の役割と発行の目的

発注書は、買い手が売り手に対して「この内容で注文します」という申し込みの意思を書面にしたものです。口頭やメールだけのやり取りでは、数量や金額、納期の認識がずれてトラブルになりがちです。発注書を交わしておくと、発注した内容が形に残り、後から見積書や請求書と突き合わせる際の根拠になります。

注文書との違いは呼び方だけ

結論から言うと、発注書と注文書は実務上ほぼ同じもので、法的な優劣もありません。どちらも「この条件で注文します」という申し込みを示す書類で、名称の違いにすぎません。取引先から「注文書で出してほしい」と言われた場合も、タイトルを合わせれば内容は同じで問題ありません。

発注請書・見積書・契約書との違い

発注書と一連の流れで登場する書類は、作る人と役割が異なります。次のように整理すると、それぞれの位置づけが分かりやすくなります。

  • 見積書:売り手が、価格や条件を提示する書類。取引の出発点になります
  • 発注書(注文書):買い手が、見積内容で注文する意思を示す書類
  • 発注請書(注文請書):売り手が、その注文を受ける(承諾する)ことを示す書類
  • 契約書:継続的な取引などで、双方が合意した条件を包括的に定める書類

発行タイミングと取引の流れ・契約が成立する時点

発注書を発行するのは、見積内容を確認して発注を決めた段階です。取引全体では、見積依頼から見積書の受領、発注書の発行、売り手による受注、検収、支払いという流れで進みます。

契約が成立する時点も押さえておきたいところです。民法では、契約は申し込みと承諾によって成立すると定められています。

契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

出典:民法 第522条|e-Gov法令検索

この考え方に当てはめると、発注書は「申し込み」、発注請書はそれに対する「承諾」にあたり、売り手が承諾した時点で契約が成立します。条文の2項のとおり、契約の成立自体は書面がなくても口頭で成立しますが、後から内容を証明できるよう、発注書と発注請書を残しておくのが安全です。基本契約書で、発注書の交付をもって個別契約が成立すると定めている場合は、発注書だけで契約が成立することもあります。

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発注書に関わる法令・税務の注意点(インボイス・下請法・収入印紙・電帳法・保存期間)

ここからは、発注書を発行・保存するうえで押さえておきたい制度上の注意点を、書くとき・発行するとき・保存するときの順にまとめます。インボイス制度や電子帳簿保存法など、近年の改正で対応が変わった点も含めて確認します。

インボイス制度で発注書に足しておくと良い項目(登録番号・税率区分)

まず前提として、インボイス制度(適格請求書等保存方式)で仕入税額控除の要件になるのは、売り手が交付する「適格請求書」です。発注書は買い手が作る申し込みの書類なので、発注書そのものが適格請求書になるわけではありません。

適格請求書等は税務署長の登録を受けた適格請求書発行事業者のみが交付することができるものです。

出典:No.6625 適格請求書等の記載事項|国税庁

したがって、インボイス制度への対応として発注書の側で必須になる項目はありません。強いて挙げるなら、発注の段階から税率ごとに区分した金額を発注書に記載しておくと、後で受け取る請求書との照合がしやすくなります。複数税率の取引が多い場合は、税率区分と税率ごとの消費税額を明細に入れておくと処理が楽になりますが、いずれも任意の対応です。

下請法(取適法)に当たる取引で追加する記載事項

取引の相手や内容によっては、発注時に一定の事項を書面で明示することが法律で義務づけられます。従来「下請法」と呼ばれてきた下請代金支払遅延等防止法は、2026年(令和8年)1月1日施行の改正で「中小受託取引適正化法(取適法)」に改称され、書面明示の義務は従来の第3条(通称「3条書面」)から第4条(「4条書面」)に移りました。

用語も「親事業者・下請事業者」が「委託事業者・中小受託事業者」に変わっています。まだ「下請法」の呼び方が定着しているため、以下では取適法(旧・下請法)と併記します。

対象になるのは、委託事業者(旧・親事業者)が、資本金の区分や従業員数の基準に応じて、中小受託事業者(旧・下請事業者)へ製造委託などをする場合です。自社と取引先がともに小規模な取引では対象にならないことも多いため、まずは自社と取引先の資本金・従業員数を確認し、下の区分に当てはまるかどうかで見当をつけましょう。

区分の目安は、製造委託・修理委託では資本金3億円超と3億円以下(または1千万円超と1千万円以下)、情報成果物作成委託・役務提供委託では5千万円超と5千万円以下(または1千万円超と1千万円以下)です。2026年の改正では、従業員数の基準(製造委託等は300人、情報成果物・役務提供委託は100人)も新たに加わりました。

取適法の対象になる取引では、委託後ただちに書面(または電子的な方法)で内容を明示する義務があります。

委託事業者は、中小受託事業者に対し製造委託等をした場合は、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより、中小受託事業者の給付の内容、製造委託等代金の額、支払期日及び支払方法その他の事項を、書面又は電磁的方法…により中小受託事業者に対し明示しなければならない。

出典:中小受託取引適正化法 第4条第1項|e-Gov法令検索

発注書がこの明示書面を兼ねる場合、通常の記載項目に加えて、次の事項を盛り込む必要があります。手形や一括決済など支払方法に応じた項目も含めると、実務では「12の記載事項」と整理されることもあります。

  • 委託事業者・中小受託事業者それぞれの名称(または事業者を識別できる番号・記号)
  • 製造委託などをした日
  • 給付の内容、給付を受領する期日と場所
  • 検査をする場合は、その検査を完了する期日
  • 代金の額と支払期日
  • 手形で支払う場合は、その金額と満期
  • 一括決済方式で支払う場合は、金融機関名・支払を受けられる額・金融機関へ支払う期日
  • 電子記録債権で支払う場合は、その額と支払期日
  • 原材料などを有償で支給する場合は、その品名・数量・対価・引渡しの期日・決済期日と方法

この書面を交付・明示しなかった場合、違反行為をした委託事業者の代表者や従業者は50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。対象取引に当たるかどうかは自社の状況で変わるため、判断に迷う場合は公正取引委員会の解説や専門家に確認するのが確実です。

出典・参考資料(2件)

委託の類型と資本金・従業員数の組み合わせは細かく、自社が対象かどうかの判定に迷うこともあります。5類型と資本金・従業員数の早見表で順を追って確認できる次の記事も、あわせてご覧ください。

発注書に収入印紙は必要か(原則不要と例外)

発注書に収入印紙を貼る必要があるかどうかは、貼り忘れが心配になりやすいところです。結論として、発注書は原則として収入印紙が不要です。国税庁も、注文書などの申込書は通常は課税対象にならないとしています。

申込書、注文書、依頼書等(以下「申込書等」という。)と称する文書は、通常、印紙税の課税対象とはなりませんが、契約の成立を証明する目的で作成される文書は印紙税の課税対象となります。

出典:No.7118 申込書、注文書、依頼書等と表示された文書の取扱い|国税庁

ただし、次のような場合は例外的に課税対象になることがあります。ひとつは、基本契約書や約款に基づく申し込みで、その申し込みだけで自動的に契約が成立すると記載されているなど、実質的に契約書と同じ役割を持つ場合です。

もうひとつは、売り手が返す注文請書が請負契約書に当たる場合で、このときは発注書ではなく注文請書の側に印紙税がかかります。双方の署名や押印がある文書も、契約書とみなされることがあります。

なお、発注書を紙ではなく電子データで発行・送付する場合は、印紙税はかかりません。国税庁も、電磁的記録は印紙税法上の「文書」に含まれないとの見解を示しています。

印紙税の課税対象となるのは、課税物件表の物件名欄に掲げられている文書であり、電磁的記録は文書に含まれません。
したがって、おたずねの電磁的記録に印紙税は課税されません。

出典:取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い(質疑応答事例)|国税庁
出典・参考資料(2件)

電子帳簿保存法への対応(電子でやり取りした発注書の保存)

メールやクラウドサービスを通じて電子的にやり取りした発注書は、電子帳簿保存法(電帳法)により電子データのまま保存する義務があります。受け取った、または送ったPDFを紙に印刷して保存するだけでは、要件を満たしません。

電子データを保存する際は、後から検索できるようにする必要があります。国税庁の一問一答では、検索の条件として次の3項目を設定できることが求められています。

取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索の条件として設定することができること。

出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】|国税庁

あわせて、データが改ざんされていないことを示す「真実性の確保」も求められます。具体的には、タイムスタンプを付す、訂正や削除の履歴が残る(または訂正削除ができない)システムを使う、訂正削除の防止に関する事務処理規程を定めて運用する、のいずれかの措置をとります。中小企業や個人事業主では、国税庁が配布しているサンプルを参考に事務処理規程を作成して備えておく方法が現実的です。

検索の要件には緩和もあります。税務職員のダウンロードの求めに応じられるようにしている場合は、範囲を指定した検索や複数項目を組み合わせた検索の要件が不要になります。さらに、基準期間の売上高が5,000万円以下の事業者などは、検索機能の確保の要件そのものが不要です。

また、相当の理由があると税務署長が認め、税務調査の際に出力書面の提示とデータのダウンロードの求めに応じられる場合には、検索や改ざん防止の要件を満たしていなくても電子データの保存が認められます。これは2024年(令和6年)1月以降の恒久的な猶予措置で、事前の申請は不要です。

ただし、いずれの場合も、電子データそのものを保存すること自体は必要です。紙の保存だけで済ませることはできない点に注意します。

出典・参考資料(1件)

発注書の保存期間(法人7年・個人5年)

作成・受領した発注書は、一定期間の保存が必要です。法人の場合、帳簿書類は原則7年間の保存が求められます。

帳簿および書類をその事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければなりません。

出典:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁

起算日は、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日です。青色申告で欠損金の繰越がある事業年度については、10年間の保存が必要になります。

個人事業主の場合、発注書は「書類」に当たり、原則5年の保存が目安です(収入金額や必要経費を記載した法定帳簿は7年)。ただし消費税の課税事業者には別の要件があるため、一律5年と決めつけず、帳簿や消費税関係は別途確認します。

さらに、会社法では会計帳簿と事業に関する重要な資料を10年間保存することが定められています。税務上の7年とは別の定めなので、法人は「税務は7年、会社法は10年」の二本立てで管理しておくと安全です。

出典・参考資料(3件)

発注書の作成でつまずきやすいポイント(実務トラブル対応)

ここでは、発注書を作って発行するときに迷いやすい場面と、その対処を整理します。細かい点ですが、対応を知っておくと発行後のやり直しを防げます。

金額や数量を間違えたときの訂正方法

発行前に誤りに気づいた場合は、修正して作り直すのが基本です。すでに取引先へ送ったあとで金額や数量の誤りが見つかったときは、正しい内容で発注書を再発行し、どちらが有効かが分かるように、発注書番号や発行日で新旧を区別できるようにしておきます。

手書きの発注書で軽微な訂正をする場合は、二重線を引いて訂正印を押す方法もあります。ただし、金額に関わる訂正はトラブルのもとになりやすいため、作り直して差し替えるほうが確実です。

見積書と内容が合っているかを確認する

発注書は、先に受け取った見積書の内容と一致していることが前提です。単価・数量・合計金額・納期・支払条件が見積書とずれていないかを、発行前に必ず突き合わせておきます。見積書と発注書で条件が食い違うと、後の請求段階で金額が合わなくなり、支払処理が止まる原因になります。

押印は必須ではないが、あると信頼性が高まる

発注書への押印は、法律上の義務ではありません。押印がなくても発注書として有効です。ただし、社印や担当者印があると発行元が明確になり、社内の稟議や取引先での確認がスムーズになります。電子発行の場合は、押印の代わりに電子署名やシステム上の承認記録で発行者を示す方法が一般的です。

発注書の作成方法の選び方と受発注システムでの効率化

最後に、発注書をどの方法で作るのがよいかを整理します。発注の頻度や、取引先とのやり取りの量によって、向いている方法は変わります。

手書き・Excel・システムの選び方

発注の件数が少なく、たまにしか発注書を作らないのであれば、手書きやテンプレートを使ったExcel・Wordで十分です。一方、発注が定期的に発生し、取引先も複数にわたる場合は、発注から受注・請求までを一元管理できる受発注システムを使うと、転記ミスや二重発注を防ぎやすくなります。以下は、それぞれの作成方法の特徴を整理した比較です。

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作成方法手書きExcel・Word(テンプレート)受発注システム
手軽さすぐ始められる無料テンプレですぐ作成初期設定は必要
ミス・再利用転記・再利用に手間様式を再利用できるが手入力は残る発注データを一元管理・再注文が容易
電子帳簿保存法・保存紙で保管PDF化して電子保存も可能電子保存・検索要件に対応しやすい
向いているケース発注がごくたまにある発注が月数件程度発注が多く取引先も複数

※上記は一般的な傾向です。個別のサービスの機能や対応状況は各社情報をご確認ください。

発注がたまにであれば、ここまでの仕組みは必要なく、Excelやテンプレートでの作成で十分です。一方、受発注システムは、取引先ごとの価格や納期を登録しておけるほか、電子帳簿保存法の検索要件に対応した保存や、発注書から請求までのデータ連携ができる製品もあります。発注の件数が多く、受発注業務そのものをWeb化して手間を減らしたい場合は、次のようなサービスが選択肢になります。

DX BtoB Web受発注システム(株式会社マルウェブ)

DX BtoB Web受発注システムのウェブサイト

DX BtoB Web受発注システムは、FAX・電話・メール中心の受発注業務をWeb上に一元化するシステムです。株式会社マルウェブが、ECサイト構築基盤のAdobe Commerce(Magento)をベースに提供しており、得意先ごとの価格や掛け率、締め日を反映したクローズドな発注サイトを構築できます。

CSVでの一括発注や過去の発注内容をコピーする再注文に対応し、見積依頼から受注確定までの承認フローもシステム内で完結します。手書きやFAXの発注書をデータ化するAI OCRのオプションもあり、紙の発注業務が残っている取引先から段階的にWeb化を進めやすい構成です。既存の販売管理・在庫・会計システムとのデータ連携にも対応しています。

料金は、導入サポート・基本パックの初期費用が1,500,000円(税抜)から、標準パッケージが3,000,000円(税抜)で、これにシステム保守やサーバー保守が加わります。取引先が多く、受発注の仕組みごと見直したい中堅・大企業に向いた選択肢です。

出典・参考資料(1件)

受発注システムはここで紹介した製品のほかにも多くの選択肢があり、費用や機能、取引先にとっての使いやすさは製品ごとに幅があります。以下の記事では、主要な受発注システムを比較し、FAX・電話からのWeb化を見据えた選び方を詳しく解説しています。発注業務そのものの効率化を検討する場合は、あわせてご覧ください。

まとめ

発注書は決まった様式こそありませんが、宛先・発行日・品名・数量・単価・金額・消費税・納期・支払条件といった必須項目をそろえれば、そのまま実務で使える1枚になります。注文書との違いは呼び方だけで、迷ったときは記入例のとおりに埋めれば問題ありません。

あわせて、収入印紙は原則不要であること、電子でやり取りした発注書は電子帳簿保存法に沿って電子保存が必要なこと、保存期間は法人7年・個人5年が目安であること、下請法(取適法)に当たる取引では追加の記載事項があることを押さえておけば、税務や取引のトラブルを避けられます。発注が定期的に発生するようになったら、受発注システムでの効率化も検討してみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 発注書とは何ですか?

A. 発注書とは、買い手が売り手に対して「この内容で注文します」という申し込みの意思を書面にした書類です。決まった様式は法律で定められていませんが、宛先・発行日・品名・数量・単価・金額・納期・支払条件などの項目をそろえるのが一般的で、後から見積書や請求書と照合する際の根拠になります。

Q. 発注書と注文書はどう違いますか?

A. 発注書と注文書は、実務上ほぼ同じ書類で、名称が違うだけです。どちらも「この条件で注文します」という申し込みを示すもので、法的な優劣もありません。取引先から「注文書で出してほしい」と言われた場合も、タイトルを合わせれば内容はそのままで問題ありません。

Q. 発注書と発注請書(注文請書)はどう違いますか?

A. 発注書と発注請書の違いは、発注書が買い手の「申し込み」、発注請書が売り手の「承諾」を示す点にあります。民法では申し込みと承諾によって契約が成立するため、発注書に対して売り手が発注請書を返した時点で契約が成立します。作る人と役割が逆の書類だと整理すると分かりやすくなります。

Q. 発注書はいつ発行しますか?

A. 発注書を発行するのは、見積書の内容を確認し、発注を決めた段階です。取引全体では、見積依頼→見積書の受領→発注書の発行→売り手による受注→検収→支払いという流れで進みます。発注書は「申し込み」にあたり、売り手が承諾(受注・発注請書の返送など)した時点で契約が成立します。

Q. 発注書に押印は必要ですか?

A. 発注書への押印は、法律上の義務ではなく、押印がなくても発注書として有効です。ただし社印や担当者印があると発行元が明確になり、社内の稟議や取引先での確認がスムーズになります。電子発行の場合は、押印の代わりに電子署名やシステム上の承認記録で発行者を示すのが一般的です。

Q. 発注書に収入印紙は必要ですか?

A. 発注書は、原則として収入印紙が不要です。国税庁も、注文書などの申込書は通常は印紙税の課税対象にならないとしています。ただし、基本契約に基づき発注書だけで契約が成立すると記載されている場合など、実質的に契約書に当たるものは例外的に課税対象になります。なお、電子データで発行・送付する発注書には印紙税はかかりません。

出典・参考資料(2件)

Q. 発注書はメールで送ってもよいですか?

A. 発注書は、PDFにしてメールに添付して送るのが一般的で、法律上も問題ありません。ただし紙で郵送する場合は、発注書が特定の相手へ送る「信書」に当たるため、信書を送れないメール便では送れず、普通郵便やレターパックなど信書を送れる方法を使います。メールなど電子でやり取りした発注書は、電子帳簿保存法により電子データのまま保存する必要があります。

Q. 発注書の保存期間は何年ですか?

A. 発注書の保存期間は、法人は原則7年、個人事業主は書類として5年が目安です。法人は帳簿書類を確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存する必要があり、青色申告で欠損金の繰越がある事業年度は10年になります。個人事業主は請求書・納品書などの書類が5年です。さらに会社法では会計帳簿と重要な資料を10年間保存すると定められているため、法人は「税務は7年、会社法は10年」で管理しておくと安全です。

出典・参考資料(3件)

Q. インボイス制度や電子帳簿保存法で、発注書の扱いはどう変わりましたか?

A. インボイス制度では、発注書そのものは適格請求書にはならず、登録番号や税率区分の記載は任意です。仕入税額控除の要件になるのは、売り手が交付する適格請求書だからです。

一方で電子帳簿保存法では、メールなど電子でやり取りした発注書は電子データのまま保存する義務があり、紙に印刷して保存するだけでは要件を満たしません。保存の際は取引年月日・取引金額・取引先で検索できるようにし、あわせて改ざん防止の措置をとります。

出典・参考資料(2件)

Q. 下請法(取適法)に当たる取引では、発注書に何が必要ですか?

A. 従来「下請法」と呼ばれてきた法律は、2026年1月に「中小受託取引適正化法(取適法)」へ改称され、書面明示の義務は従来の「3条書面」から「4条書面」に移りました。委託事業者(旧・親事業者)が中小受託事業者(旧・下請事業者)へ製造委託などをする取引で、発注書がこの明示書面を兼ねる場合は、通常の記載項目に加えて、給付の内容・代金の額・支払期日・支払方法などを明示する必要があります。

明示を怠ると、違反行為をした委託事業者の代表者や従業者は50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

出典・参考資料(2件)

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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