ネットショップや通販、あるいはBtoBの取引の現場では、支払いの踏み倒し・受取拒否・過剰な返品・悪質なクレームを繰り返す相手に、担当者が対応を悩まされる場面があります。同じ相手からの注文や取引を次回以降は受けたくない、社内で「この人は要注意」と共有して弾きたい、という声は少なくありません。
こうした相手を要注意顧客・ブラックリストとして扱うには、いくつかの判断が必要です。どんな行動を対象にするのか、どこからが取引拒否まで踏み込む段階なのか、そして同じ相手をどう見分けて登録するのか、という点を整理しておかないと、社内で運用がぶれてしまいます。
本記事では、要注意・ブラックとして扱える行動の判定基準と段階、同じ相手を見抜く名寄せ(照合キー)の選び方、登録して次回から弾く実務、そして取引拒否や要注意リストの運用で気をつけたい法的な注意点までを解説します。あわせて、手作業では追いきれない反社・与信リスクの判定を仕組み化するサービスも紹介します。
ここでいう「ブラックリスト」は、消費者信用の事故情報(自分が「ブラック」かどうか)やメール送信元の迷惑メール判定とは別の話です。事業者が自社の顧客・取引先を要注意や取引拒否として判定・管理する、という意味で使います。
目次
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要注意顧客・ブラックリストとして扱える行動の一覧(判定基準と段階)
まず押さえたいのは、対象になる行動と、その扱いを「警告」と「取引拒否」の2段階に分けて考えることです。段階を分けておくと、いきなり取引を断るほどではない相手を要注意として記録しつつ、悪質さが確定した相手だけを取引拒否に回す、という運用ができます。
対象になる行動と段階の目安
要注意・ブラックの対象になりやすいのは、取引の相手として繰り返し支障を生む行動です。1回きりの行き違いではなく、常習性や悪質性があるかどうかが、要注意にとどめるか取引拒否まで踏み込むかの分かれ目になります。代表的な行動と段階の目安は次のとおりです。
| 行動の例 | 代金の未払い・支払い遅延 | 商品の受取拒否 | 過剰・悪質な返品 | 悪質クレーム・カスタマーハラスメント | いたずら注文・架空注文 | チャージバック・不正利用の疑い |
|---|---|---|---|---|---|---|
| どんなケースか | 後払い・掛け取引で入金が滞る。督促しても支払わない | 代金引換などで注文後に受け取りを拒む。返送が繰り返される | 使用後の返品、返品を前提とした大量注文を繰り返す | 根拠のない返金・金品要求、威圧的な言動、長時間の拘束 | 受け取る意思のない注文、他人名義・虚偽情報での発注 | クレジットカードの支払い取消を繰り返す、盗用カードの疑い |
| 段階の目安 | 初回は要注意。督促無視や踏み倒しが確定すればブラック | 常習化すればブラック(送料・在庫の実損が生じるため) | 繰り返しが確認できれば要注意〜ブラック | 要注意。従業員への脅迫・暴言が続けばブラック | ブラック(取引自体が成立しないため) | ブラック。決済会社への確認とあわせて対応 |
この一覧はあくまで出発点です。自社の商材や取引条件によって、どの行動をどの段階に置くかは変わります。たとえば少額のEC販売と高額のBtoB取引では、同じ支払い遅延でも許容できる範囲が異なります。まずは自社で実際に起きたトラブルを書き出し、行動ごとに段階を割り当てるところから始めると、判断が属人的になりません。
「要注意(警告)」と「ブラック(取引拒否)」の段階の違いと社内ルール化
2つの段階は、次に同じ相手が来たときの「扱い」で分かれます。要注意は、注文や問い合わせは受け付けたうえで、担当者に警告を表示して慎重に対応する段階です。ブラックは、注文や取引そのものを受け付けない、または自動で保留にする段階を指します。
この二段構えは、実際の受注管理システムやECカートでも採られている考え方です。たとえば受注管理システムのなかには、顧客を「通常」「要確認」「要注意」「ブロックリスト」の4段階に分類し、ブロックに設定した相手の注文を後から特定できるようにしているものがあります。
ECカートでも、該当する相手の注文にアラートを表示するか、購入自体を拒否するかを選べる仕組みが提供されています。段階を分けておくと、警告どまりの相手と取引を止める相手を、現場が迷わず扱えます。
社内ルールにするときは、「どの行動を・どの段階にするか」「誰が登録・解除を判断するか」「登録した理由をどこに記録するか」の3点を決めておくとよいでしょう。担当者の主観で登録すると、後で「なぜこの人が要注意なのか」を説明できず、解除の判断もできなくなります。段階と登録理由をセットで残す運用にしておくと、上長や監査への説明にも耐えられます。
出典・参考資料(2件)
- 参考:Robot-in 顧客管理マニュアル|株式会社ハングリード(https://www.hunglead.com/robot-in-manual/2_1kokyaku.html)
- 参考:顧客・受注のブラックリスト登録機能|e-shopsカートS(https://cart.e-shops.jp/function/order/o-blacklist.html)
同じ相手を見抜く名寄せ=照合キーの選び方
要注意・ブラックとして登録しても、次に来たときに同じ相手だと判定できなければ意味がありません。この「同じ相手かどうか」を突き合わせる作業を名寄せと呼び、突き合わせに使う情報を照合キーといいます。氏名を少し変える、別のメールアドレスで注文する、といった回避に強いかどうかは、どの照合キーを使うかで決まります。
照合キーには、それぞれ強みと弱みがあります。とくに氏名は、表記の揺れや改名、同姓同名が起こりやすく、単独では取りこぼしと誤同定の両方が生じます。主な照合キーの特徴を整理すると次のようになります。
| 照合キー | 氏名 | メールアドレス | 電話番号 | 住所 | IPアドレス | 会員ID・アカウント | クレジットカード番号 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 強み | どの取引でも必ず取得できる基本情報 | 一意性が比較的高く、突合しやすい | 変更頻度が氏名より低い | 配送先として実在性を確認しやすい | アカウントをまたいでも同一回線を捕捉できる | 過去の注文履歴と確実に紐づく | 決済主体を捕捉できる |
| 弱み・誤同定のリスク | 漢字・カナ・スペースの表記揺れや改名で一致しにくい。同姓同名で別人を誤って弾く | フリーメールを使い捨て・複数取得されると別人扱いになる | 使い捨て番号や番号変更で回避される。家族と共有の番号もある | 転居・部屋番号の有無・勤務先送付などで表記が揺れる | 動的IP・モバイル回線・VPNで変わる。家庭や職場の共有回線で別人を誤同定する | 別アカウントを新規作成されると追えない | 家族カードや複数枚のカードで分散される。そもそも加盟店は生のカード番号を保持できないのが原則で(PCI DSS=クレジットカード情報を扱う国際的なセキュリティ基準)、突合は決済会社側の識別(トークンやチャージバック情報)に依存するため、自社で持つ照合キーにはしにくい |
実務では、単一のキーに頼らず複数の照合キーを組み合わせます。組み合わせ方には、いずれか1つでも一致すれば同一とみなすOR判定と、複数が一致したときだけ同一とみなす方式があります。
ECカートのなかには、購入者名・メール・会員ログイン・電話・IPのいずれかが一致すれば該当と判定するOR判定を採るものがあり、受注管理システムには「名前・郵便番号・電話番号のうち2つが一致」で同一顧客とみなすものもあります。
OR判定は取りこぼしを減らせる一方、共有回線や同姓同名で誤ヒットが増えます。逆に一致条件を厳しくすると、氏名を変えた相手を取り逃がしやすくなります。どちらに寄せるかは、誤って弾いたときの損失と、取り逃がしたときの損失のどちらが自社にとって重いかで判断することになります。氏名単独では弱いという前提に立ち、メール・電話・住所など変えにくい情報を必ず1つ以上組み合わせておくのが基本です。
ただし、氏名も連絡先も住所も変えてくる相手は、こうした手作業の照合では捕捉しきれません。そこまで踏み込むなら、後述する外部サービスの名寄せ・データベース照合が必要になる、という限界ラインは意識しておきましょう。
要注意・ブラックとして登録し次回から弾く/警告する実務
判定基準と名寄せの方針が決まったら、実際に登録して次回以降に自動で弾く・警告する運用に落とし込みます。まず確認したいのは、いま使っているカート・受注管理・ECシステムに、その登録機能が備わっているかどうかです。
機能の名称はシステムによって異なります。ブロックリスト・ブラックリスト登録・顧客ステータス・NG顧客リストといった名前で用意されていることが多いので、自社の管理画面やマニュアルをこれらの語で探すと見つけやすくなります。ただし利用できるかは契約プランに左右されることがあり、上位プランでのみ提供されるケースもあるため、あわせて確認しておきます。
登録機能があれば、受注の取り込みや注文の受付時に、システムが登録済みのリストと自動で照合します。該当した相手には、担当者向けにアラート(警告表示)を出す、注文を保留にする、購入自体を拒否する、といった動作を設定できます。突き合わせるタイミングは、注文時に止めるか、出荷前の確認で止めるかを、自社の運用に合わせて選べます。
自社のシステムに登録機能がない場合は、表計算ソフトで要注意リストを作って運用する方法もあります。その際は、氏名・メール・電話など変えにくい情報を列に分けておくと、突き合わせがしやすくなります。ただし手作業の照合は件数が増えると追いつかなくなるため、小規模なうちの暫定策と考えておくのが安全です。
どの方法で運用する場合も、対象者の情報だけでなく、登録した理由・段階・登録日・担当者をあわせて残しておきましょう。理由が記録されていないと、後から解除してよいか判断できず、名寄せの精度も検証できません。登録内容は定期的に見直し、事情の変化や解除の申し出があれば、記録した理由をもとに解除や段階変更の可否を判断することになります。
登録・取引拒否で気をつける法的・運用上の注意
要注意・ブラックの運用では、登録や取引拒否が不当にならないか、要注意リストという個人情報の扱いが適法かという不安がつきまといます。ここでは、取引拒否・要注意リストの保有と共有・反社が疑われる相手の排除について、根拠となる法令を確認しながら整理します。
不当な取引拒否のリスク(契約自由の原則の限界)
事業者が誰と取引するかは、原則として自由に決められます。民法第521条第1項は「何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる」と定めており、これが契約自由の原則です。困った相手からの次回以降の取引を断ること自体は、この原則から原則として問題になりません。
ただし、この自由には限界があります。独占禁止法は、優越的地位の濫用など不公正な取引方法を禁じています(同法第19条、第2条第9項第5号)。
もっとも、優越的地位の濫用は、継続的な取引関係のなかで自社の取引上の地位が相手より優越している場合の濫用行為が対象です。一見の悪質な客を単発で断るような場面には通常あたりません。過度に萎縮する必要はない一方、継続取引の相手に一方的な不利益を押し付けるような拒否は避ける、という温度感で運用するのが実務的です。
出典・参考資料(2件)
- 出典:民法 第521条(契約の締結及び内容の自由)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)
- 参考:私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第19条・第2条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000054)
要注意リストの保有・社内共有・目的外利用(個人情報保護法)
要注意顧客リストは、氏名・連絡先などを含む個人情報です。個人情報保護法は、個人情報を取り扱うにあたって、利用目的をできる限り特定するよう求めています(同法第17条)。受注管理のために取得した情報を要注意リストに使うなら、不正防止や要注意顧客の管理を利用目的に含め、プライバシーポリシーなどに記載しておく必要があります。
特定した利用目的の範囲を超えて個人情報を扱うことは、原則として制限されています。
(利用目的による制限)第十八条 個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。
出典:個人情報の保護に関する法律 第18条第1項|e-Gov法令検索(原文ママ)
ここで誤解されやすいのが「社内共有」の扱いです。同じ会社の別の部署へ要注意情報を共有することは、第三者提供にはあたりません。この点は、個人情報保護委員会のQ&Aが明確にしています。
Q7-2 会社の他の部署へ個人データを提供する場合、あらかじめ本人の同意を得る必要はありますか。
A 同一事業者内での個人データの提供は、第三者提供には該当しないため、第三者提供に関する本人の同意は必要ありません。ただし、他の部署によって、当初特定した利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報が利用される場合には、あらかじめ、目的外利用に関する本人の同意を得る必要があります(法第18条第1項)。
出典:「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A Q7-2|個人情報保護委員会(原文ママ)
社内での要注意情報の共有は、第三者提供(同法第27条)ではなく、当初の利用目的を超えていないか(同法第18条第1項)という観点で考えるのが正確です。一方で、別法人やグループ会社への共有、外部の反社チェックツールや調査会社とのデータのやり取りは第三者提供にあたるため、本人の同意か、法令にもとづく場合などの例外に該当するかを確認する必要があります。
あわせて、要注意リストを差別的・不当な取扱いを助長する方法で使わないこと(同法第19条 不適正な利用の禁止)、漏えいや持ち出しを防ぐ安全管理措置を講じること(同法第23条)も求められます。要注意情報はとくに慎重に扱うべき記録なので、閲覧できる担当者やアクセス範囲を絞っておくと安全です。
出典・参考資料(2件)
- 出典:個人情報の保護に関する法律(第17条・第18条・第19条・第23条・第27条)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057)
- 出典:「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A|個人情報保護委員会(https://www.ppc.go.jp/all_faq_index/faq1-q7-2/)
反社が疑われる相手の排除(暴排条例・政府指針・暴排条項)
要注意・ブラックの相手のなかでも、反社会的勢力が疑われる相手の排除には、別の後押しがあります。各都道府県の暴力団排除条例は、事業者に対し、契約相手が暴力団関係者でないかの確認と、契約書への暴力団排除条項の導入を求めています。代表例として、東京都暴力団排除条例は次のように定めています。
(契約時における措置)第十八条 事業者は、その行う事業に係る契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認める場合には、当該事業に係る契約の相手方、代理又は媒介をする者その他の関係者が暴力団関係者でないことを確認するよう努めるものとする。
2 事業者は、その行う事業に係る契約を書面により締結する場合には、次に掲げる内容の特約を契約書その他の書面に定めるよう努めるものとする。
出典:東京都暴力団排除条例 第18条|東京都例規集(原文ママ)
一 当該事業に係る契約の相手方又は代理若しくは媒介をする者が暴力団関係者であることが判明した場合には、当該事業者は催告することなく当該事業に係る契約を解除することができること。
条文は「努めるものとする」という努力義務の形をとっており、違反に直接の罰則があるわけではありません。それでも、暴力団排除条項を契約書に入れ、判明した場合は催告なしで解除できるようにしておくことは、反社が疑われる相手を弾く実務の明確な根拠になります。
政府も「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(平成19年6月19日 犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)で、反社会的勢力との取引を含めた一切の関係遮断を基本としています。同指針は契約書への暴力団排除条項の導入などを企業に求めており、こうした排除の実務を後押しするものです。
出典・参考資料(2件)
- 出典:東京都暴力団排除条例|東京都例規集(https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00004199.html)
- 参考:企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針|法務省(https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji42.html)
こうした条項や指針は反社会的勢力を排除する根拠になりますが、相手方が素性を隠している場合、表面的な調査だけでは背後の反社会的勢力を見抜けません。弁護士の阿部由羅氏は、会社名や代表者名を調べるだけでは不十分だとして、次のように指摘しています。

インターネット検索や新聞記事のデータベースなどを利用して、相手方の会社名や代表者名を検索しても、背後にいる反社会的勢力の存在は判明しません。相手方の実質的支配者まで遡って徹底的に反社チェックを行い、少しでも疑わしい要素があれば取引中止を検討するといった厳密な取り組みが求められます。
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要注意先の判定を仕組みで回すサービスの活用
対消費者のEC・店舗で個人客が起こすトラブル(受取拒否・過剰返品・悪質クレームなど)は、まず自社カート・受注管理の要注意/ブロック機能で対応するのが基本です。そのうえで、氏名を変えた相手の名寄せ精度、既存取引先の継続的なモニタリング、BtoBの取引先・法人や人物の反社・与信リスクまで踏み込む段になると、以下で紹介する反社チェック・与信リスク判定サービスが効いてきます。
これらのサービスは、会社名や個人名を入力すると、公知情報や新聞記事、独自のデータベースを横断して反社・ネガティブ情報を調べ、判定の証跡を残せます。ただし取引先・法人や人物のネガティブ情報や与信を判定するのが中心で、個人の悪質客をそのままブロックする機能ではない点には注意してください。ここでは代表的な4つのサービスを取り上げます。
| サービス名 | RiskAnalyze(リスクアナライズ) | RISK EYES(リスクアイズ) | RoboRoboコンプライアンスチェック | パワーサーチ |
|---|---|---|---|---|
| 主な用途 | 反社・コンプライアンスチェック | 反社・コンプライアンスチェック | 反社・コンプライアンスチェック | 与信管理+反社チェック |
| 調査データソース | 国内約1,000媒体を1時間おきに自動収集 | WEB・新聞・ブログ/掲示板 制裁リスト・独自の反社DB | インターネット記事・新聞記事DB 海外情報DB・反社DB連携 | 公知情報・公的機関・提携調査会社 約500万社のデータ |
| 海外情報の対応 | 240以上の国と地域 | 日米の制裁リスト | 約190ヵ国・約540万件 | 国内情報が中心(海外対応は要問い合わせ) |
| 一括検索・処理スピード | 1件最短0.4秒 CSV一括1,000件を約1分 | リスト一括検索に対応(実施は予約制・受付後に対応) ※単発検索の速さではなく一括の受付リードタイム | Excelで取引先を一括登録 1クリックで検索 | 会社名入力でワンクリック 結果は最短数秒 |
| 精度・ノイズ対策 | 専門家がキュレーションした判定済みデータベースを参照 | 生年・住所・除外ワード・AI判定で目視件数を削減 | 生成AI/LLMが記事を要約し注目度を高・中・低で自動判別 | AI解析+専任担当者が与信判断の見解を付与 |
| 継続モニタリング | 要問い合わせ | ●差分検索・リスクアラート | 要問い合わせ | ●リスク変化を検知・通知 |
| API・外部連携 | ●API無料・Salesforce/kintone連携 | ●既存システムと連携 | ●API・RPA連携(オプション) | △エンタープライズプランのみ |
| 料金の目安 | 初期費用無料 月額27,500円〜(ライト/年間600検索) | 初期費用無料 月額最低15,000円〜(税別)+300円/検索(1媒体ごと) | 初期費用無料 従量プラン0円〜/1件250円〜(税抜) | 初期費用無料 月額3,000円〜(ポイント制)/反社チェック1件500円〜 |
| 無料トライアル | ●期間・件数は要相談 | ●本番の操作画面を利用可 | ●取引先10件まで | ●30日間 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
※2026年9月時点の各社公式情報にもとづきます。最新の料金・仕様は各サービスの公式サイトでご確認ください。
1. RiskAnalyze(リスクアナライズ)

KYCコンサルティング株式会社が提供する、AIを活用したWEBサービス型のコンプライアンス・反社チェックツールです。個人名・企業名を入力すると、反社会的勢力とのつながり・逮捕歴・行政処分・訴訟歴・風評などを調べ、判定済みの調査レポートを1件あたり最短0.4秒で表示します。
CSVによる一括検索は1,000件を約1分で処理でき、調査の証跡はクラウド上に7年間自動保存されます。国内約1,000媒体を1時間おきに自動収集し、海外は240以上の国と地域の情報に対応するため、取引先の名寄せや継続確認を仕組みとして回しやすい設計です。CRMや基幹システムと連携するAPIは利用料無料で、Salesforce・kintoneとの連携にも対応します。
累計導入企業数は1,300社(2025年6月時点)で、情報セキュリティの国際規格ISO/IEC 27001:2022を取得済みです。料金は初期導入費用が無料で、月額27,500円(年間600検索のライトプラン)から利用できます。無料トライアルも用意されており、まず判定精度を試したい場合の入り口になります。
2. RISK EYES(リスクアイズ)

ソーシャルワイヤー株式会社が提供する「RISK EYES」は、法人名・人名と逮捕などのネガティブワードを組み合わせ、WEBニュース・新聞記事・ブログ/掲示板・制裁リスト・独自の反社データベースを横断して検索できる反社チェック専用ツールです。取引先や採用候補者について、反社会的勢力との関係・犯罪への関与・不祥事の有無を確認したいときに使います。
特徴は、確認すべき記事を絞り込む仕組みです。生年や住所などの補足情報、除外ワード、AIによる記事の関連度・懸念度判定を使い、同名の別人や関連性の低い情報を減らすことで、担当者が目視する件数を抑えます。前回検索以降に追加・更新された情報だけを調べる差分検索や、登録した対象のリスク報道を通知するモニタリング機能もあり、既存取引先の定期チェックにも向いています。
料金は初期費用が無料で、月間最低利用料金15,000円(税別)、検索費用は1媒体ごとに300円という従量制です。無料トライアルでは本番の操作画面を使えます。手作業での検索や担当者ごとに異なる判断方法を、証跡を残せる標準化された運用に変えたい企業に適しています。
実際にどの程度の業務削減につながるかについて、同社は導入事例を挙げて次のように説明しています。

導入事例では、広報支援会社で検索業務を約93%削減、オンラインマッチングサービスを運営する企業で反社チェック業務を約95%削減、採用管理システムを提供する企業で従来比約85%の工数削減を実現しています。採用管理システムを提供する企業では、日次20~30件の確認に100~150分かかっていた業務が大幅に短縮されました。
3. RoboRoboコンプライアンスチェック

取引先や採用候補者に法令違反や社会規範に反する活動がないかを自動でチェックするのが、オープン株式会社の「RoboRoboコンプライアンスチェック」です。インターネット記事検索・新聞記事DB検索・海外情報DB検索を組み合わせ、生成AI/LLMによる記事の要約・解析と、注目度を高・中・低の3段階で自動判別する機能を備えています。
Excelデータのドラッグ&ドロップで取引先を一括登録し、1クリックでまとめて検索できるため、チェック件数が多い運用に向いています。海外情報は約190ヵ国・約540万件のデータベースに対応します。上場企業に求められるコンプライアンスチェックの要件という観点でSBI証券の監修を受けている点も、上場準備企業には確認材料になります。
導入社数は10,000社を突破しています(2026年2月時点)。料金は初期費用が無料で、月額最低利用料のない従量プランは0円から、ミニマムプランは月額5,000円から利用でき、インターネット検索は1件あたり250円からです。実際の取引先を10件まで無料でチェックできるトライアルがあり、少額から試しやすい料金設計です。
反社チェックの結果は白か黒かで割り切れるとは限らず、グレーゾーンの相手をどう扱うかは企業ごとに判断が分かれます。この点について、同社は次のように述べています。

単体の反社チェックのスピードだけを比較すると、データベース検索に特化した他社ツールの方が速い場合もあります。ただし当社はリアルタイムのネット検索も行うため、白黒だけでなくグレーゾーンの情報まで取得できます。会社によってはグレーゾーンでも取引を進める判断もあれば、取引しないという判断もある。
4. パワーサーチ

与信判断と反社チェックを一体で扱えるのが、アラームボックス株式会社が提供する「パワーサーチ」です。新規取引先の与信判断・反社チェック・企業調査を、会社名の入力だけで実施できる与信管理クラウドサービスで、インターネット上の公知情報・公的機関情報・提携調査会社のデータを毎日収集し、独自アルゴリズムとAIで解析します。
約500万社のデータを活用し、調査レポートには専任の調査担当者による与信判断の見解・アドバイスが付きます。
反社チェックは、専門調査会社情報・新聞記事・WEB情報を組み合わせて調査範囲を4段階から選べ、1件500円(ワンコイン)から実施できます。取引先の支払い能力を段階的な信用レベルに格付けする機能や、商業登記情報の取得、既存取引先のリスク変化を検知するモニタリングもあり、新規取引時の判断から継続監視までを一続きで扱えます。
EC向けの困った客対応にとどまらず、BtoBの取引先の与信・反社リスクまで広げて確認したい場合に向いています。
アラームボックス株式会社は、2025年7月に弥生グループの一員となりました。料金は初期費用が無料で、月額3,000円(ライトプラン)からのポイント制です。30日間の無料トライアルも用意されています。
ここで取り上げた4サービスは、反社チェック・与信リスク判定サービスの一例です。より多くの選択肢を料金・データソース・精度で見比べて自社に合うものを選びたい場合は、主要ツールを横断比較した以下の記事もあわせてご覧ください。
反社チェックツールおすすめ16選を比較|料金・データソース・精度で失敗しない選び方
取引先や株主、採用候補の反社チェックを、担当者が新聞記事やインターネットを手作業で検索して進めていませんか。1件ずつ調べる方法は時間がかかるうえ、調べ漏れ(見落とし)と、同姓同名による誤判定(過検知)の両方が起きやすく、調査の質が担当者の経…
まとめ
要注意顧客・ブラックリストの運用は、まず「どんな行動を・どの段階で扱うか」を決めることから始まります。要注意(警告)とブラック(取引拒否)の2段階に分け、登録理由と段階をセットで記録しておくと、判断が属人的にならず、解除や監査対応にも耐えられます。
同じ相手を見抜くには、氏名単独ではなくメール・電話・住所など変えにくい照合キーを組み合わせた名寄せが欠かせません。
登録・取引拒否そのものは契約自由の原則から原則として認められますが、要注意リストは個人情報として利用目的の範囲内で扱い、社内共有は目的外利用の観点で、別法人・外部ツールとのやり取りは第三者提供の観点で確認します。反社が疑われる相手には、暴力団排除条例や暴力団排除条項が排除の根拠になります。
手作業の名寄せや継続監視、取引先の与信・反社リスクまで踏み込むと、目視だけでは追いきれません。判定を仕組みで回したい場合は、公知情報や独自データベースを横断して調べられる反社チェック・与信リスク判定サービスの活用を検討するとよいでしょう。各サービスの判定精度・料金・対応範囲は、資料を取り寄せて見比べるのが確実です。
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よくある質問(FAQ)
Q. 要注意顧客・ブラックリストとは何ですか?
A. 要注意顧客・ブラックリストとは、支払いの踏み倒し・受取拒否・過剰返品・悪質クレームなどを繰り返す相手を、事業者が次回以降の取引で警告または拒否できるよう記録・分類する仕組みです。
同じ「ブラックリスト」でも、消費者信用の事故情報(自分が「ブラック」かどうか)やメール送信元の迷惑メール判定とは別物で、顧客を判定・処理する事業者側の実務を指します。多くの受注管理システムやECカートは、顧客を「通常」「要確認」「要注意」「ブロック」のように段階分類して扱えるようになっています。
Q. 要注意(警告)とブラック(取引拒否)はどこで線引きすればいいですか?
A. 要注意とブラックの線引きは、その行動に常習性・悪質性があるかどうかが目安になります。要注意は注文や問い合わせは受け付けたうえで担当者に警告を表示し慎重に対応する段階、ブラックは注文・取引そのものを受け付けない(自動で保留・拒否する)段階です。
1回きりの行き違いは要注意にとどめ、督促無視や踏み倒しが確定した相手だけをブラックに回す二段構えにすると、現場が迷わず扱えます。社内ルールにするときは「どの行動を・どの段階にするか」「誰が登録・解除を判断するか」「登録理由をどこに記録するか」をあわせて決めておくと、判断が属人的になりません。
Q. 要注意顧客は氏名だけで名寄せ(同一人物の判定)できますか?
A. 要注意顧客を氏名だけで名寄せするのは不十分で、メール・電話・住所など変えにくい情報を必ず1つ以上組み合わせる必要があります。氏名は漢字・カナ・スペースの表記揺れや改名で一致しにくく、同姓同名で別人を誤って弾いてしまうリスクもあるためです。
実在のシステムでも「名前・郵便番号・電話番号のうち2つが一致」で同一顧客とみなす方式や、購入者名・メール・会員ログイン・電話・IPのいずれかが一致すれば該当とみなすOR判定が使われています。誤って弾いたときの損失と、取り逃がしたときの損失のどちらが重いかで、一致条件の厳しさを調整します。
Q. 自社のカートや受注管理システムに要注意・ブラックの登録機能がない場合はどうすればいいですか?
A. 登録機能がない場合は、表計算ソフトで要注意リストを作り手作業で突き合わせる方法が出発点になりますが、件数が増えると照合が追いつかず、氏名を変えた相手や取引先企業そのもののリスクまでは見抜けません。
名寄せの精度や継続的な監視まで求めるなら、会社名・個人名から公知情報や独自データベースを横断して調べられる外部の反社チェック・与信リスク判定サービスを使う選択肢が現実的です。まずは自社の契約プランで要注意・ブロック機能が使えるか、管理画面やマニュアルで確認するところから始めるとよいでしょう。
Q. 困った顧客の登録や取引拒否は違法になりませんか?
A. 困った顧客を要注意・ブラックとして登録し、次回以降の取引を断ること自体は、契約自由の原則により原則として問題ありません(民法第521条第1項)。
ただし、継続的な取引関係のなかで自社の取引上の地位が相手より優越している場合に、一方的な不利益を押し付ける拒否は、独占禁止法の優越的地位の濫用にあたる恐れがあるため避けるのが安全です。一見の悪質な客を単発で断るような場面は、通常この濫用にはあたりません。
出典・参考資料(2件)
- 出典:民法 第521条(契約の締結及び内容の自由)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)
- 出典:私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第19条・第2条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000054)
Q. 要注意顧客リストを社内の別部署に共有しても個人情報保護法の問題になりませんか?
A. 同じ会社の別部署へ要注意情報を共有することは、第三者提供にはあたらず、本人の同意は不要です。ただし、当初特定した利用目的の達成に必要な範囲を超えて利用する場合は目的外利用となり、本人の同意が必要になります(個人情報保護法第18条第1項)。
そのため、不正防止や要注意顧客の管理を利用目的に含め、プライバシーポリシーなどに記載しておくとよいでしょう。一方で、別法人・グループ会社や外部の反社チェックツール・調査会社への共有は第三者提供にあたるため、本人の同意か法令にもとづく例外に該当するかの確認が必要です。
出典・参考資料(2件)
- 出典:個人情報の保護に関する法律 第18条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057)
- 出典:「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A Q7-2|個人情報保護委員会(https://www.ppc.go.jp/all_faq_index/faq1-q7-2/)
Q. BtoBの取引先の反社・与信リスクはどう判定すればいいですか?
A. BtoBの取引先の反社・与信リスクは、会社名や個人名から公知情報・新聞記事・独自データベースを横断して調べ、判定の証跡を残せる反社チェック・与信リスク判定サービスで仕組み化するのが実務的です。
取引先の支払い能力を段階的な信用レベルに格付けしたり、既存取引先のリスク変化を継続的にモニタリングできるサービスもあります。反社が疑われる相手を排除する際は、各都道府県の暴力団排除条例や、契約書に定める暴力団排除条項が根拠になります。EC上の困った客対応にとどまらず、取引先の与信・反社リスクまで広げて確認したい場合の選択肢になります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:東京都暴力団排除条例|東京都例規集(https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00004199.html)
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















