従業員が立て替えた経費の精算に毎月追われていませんか。中小企業では、経理担当が少人数で立替金の確認や仕訳をこなすケースが多く、支払いのたびに現金や個人カードが混在すると、経費の把握もキャッシュフローの管理も煩雑になりがちです。法人カードを導入すると、事業の支払いを1枚に集約し、利用明細を会計ソフトへ自動で取り込めるようになります。
とはいえ、法人カードは年会費が無料のものから数万円のもの、利用限度額や追加カードの発行枚数、ポイント還元率、会計ソフトとの連携まで、条件がカードごとに大きく異なります。自社の規模や経費の使い方に合った1枚を選ぶには、どの観点で比較すればよいのでしょうか。
本記事では、中小企業向けの法人カード12枚を利用目的別(コスト重視・会計ソフト連携・ポイント/マイル還元・海外決済・ステータス)に整理し、年会費や利用限度額、会計連携の実務まで横断的に比較します。自社に合う1枚を判断するための材料としてご活用ください。
比較対象は、年会費無料で使えるカードから、会計データを与信に活かす新しいタイプのカード、海外取引の外貨決済に強いカードまで幅広く取り上げます。主要な発行会社のカードを取り上げ、自社の使い方に近いカードから検討できるようにしています。
目次
本記事が対象とする「中小企業向け法人カード」
ここでは、従業員数名から300名程度までの企業や、設立して間もない法人、これから事業を本格化させる個人事業主を主な対象として、法人カードを比較します。大企業が数百枚単位で発行するコーポレートカードとは選び方が異なり、少人数でも申し込みやすく、経理の負担を減らせるカードに焦点を当てます。
法人カードは「ビジネスカード」「コーポレートカード」とも呼ばれます。一般に中小企業や個人事業主が使うのは、申込者個人の与信と一体で発行され、少数の追加カードを持てるビジネスカードです。設立直後で決算書が用意できない場合でも申し込めるカードが多く、事業規模の拡大に合わせて上位カードへ切り替えていく使い方もできます。
法人カードと個人カードの違い
法人カードは、事業用の支払いを個人の家計と分けて管理できる点が個人カードとの大きな違いです。引き落とし口座を法人口座または事業用口座に設定でき、利用明細がそのまま事業の経費記録になります。個人カードで立て替えて後から精算する手間がなくなり、私的な支出と事業支出が混ざるのも防げます。
利用限度額も個人カードより高めに設定されるものが多く、仕入れや広告費などまとまった支払いに対応しやすくなっています。従業員向けの追加カードを発行すれば、部署ごとの経費を1つの明細で把握でき、経費計上や仕訳の作業も効率化できます。
また、自社の使い方に合うカードを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる法人カード診断」もご用意しています。いくつかの質問に答えるだけで、目的に合ったカードの候補が絞り込めます。
中小企業が法人カードを導入するメリット
ここからは、中小企業が法人カードを導入することで得られる効果を整理します。単なる支払い手段ではなく、経理の効率化や資金繰りの改善につながる点が導入の理由になります。
経費精算と立替の負担を減らせる
従業員が個人カードや現金で立て替えると、領収書の回収と精算処理が毎月発生します。法人カードで事業の支払いを集約すれば、立替金のやり取りがなくなり、利用明細がそのまま経費の記録になります。追加カードを従業員に持たせれば、誰が何にいくら使ったかを1つの明細で確認でき、経理担当の確認作業も軽くなります。
会計ソフト連携で経理業務を効率化できる
多くの法人カードは、利用明細を会計ソフトへ自動で取り込む連携機能を備えています。明細を手入力する必要がなくなり、仕訳の候補も自動で提案されるため、記帳の手間と入力ミスを減らせます。会計ソフト連携をどこまで活用できるかは導入後の効率化に直結するため、後半の運用の章で具体的に解説します。
支払いを後ろ倒しにしてキャッシュフローに余裕が生まれる
法人カードで支払うと、実際の引き落としは締め日から数週間後になります。仕入れや経費の支払いを一時的に後ろ倒しにできるため、入金までの資金繰りに余裕が生まれます。支払いサイトの長さ(締め日から引き落としまでの日数)はカードによって異なり、資金繰りを重視するなら選び方の観点の1つになります。
利用額に応じてポイント・マイルが貯まる
事業の支払いは金額が大きくなりやすいため、還元率の差がそのまま貯まるポイントやマイルの差になります。貯めたポイントを支払いに充当したり、出張の多い企業がマイルへ移行したりと、経費の一部を実質的に取り戻せます。還元をどこまで重視するかは、自社の支出構造に合わせて判断します。
年会費や利用額を経費として計上できる
事業に関連して支払った費用は、一般に損金として計上できます。法人カードの年会費や事業用の利用額も、事業関連の費用であれば経費計上の対象になります。損金算入の一般的な考え方は法人税法にも定められています。個別の勘定科目や計上方法は自社の会計処理の方針に沿って判断してください。
中小企業が法人カードを選ぶときに見るべき7つの観点
ここからは、中小企業が自社に合う法人カードを絞り込むための観点を整理します。次の項目のうち、自社の経費の使い方で優先度が高いものから順に確認していくと選びやすくなります。
年会費は事業規模に見合っているか
年会費は永年無料のものから、数万円のステータスカードまで幅があります。コストを抑えたい設立初期は年会費無料のカードが候補になりますが、還元率や付帯サービス、利用限度額とのバランスで判断します。追加カードやETCカードに別途年会費がかかる場合があるため、本会員だけでなく追加分の費用も合わせて確認しておきましょう。
利用限度額が経費規模に合っているか
仕入れや広告費などまとまった支払いをカードに集約するなら、月間の経費規模に対して限度額が十分かどうかが確認したいポイントです。限度額は申込者の与信によって決まるため、設立直後は低めに設定されることがあります。事業拡大に合わせて限度額を引き上げられるか、与信を柔軟に見てもらえるかも、成長中の企業では判断材料になります。
追加カードやETCカードを必要な枚数発行できるか
従業員に経費用のカードを持たせたい場合は、追加カードを何枚まで発行できるか、発行に年会費がかかるかを確認しておきましょう。カードによっては追加カードを発行できないものや、逆にバーチャルカードを人数分無制限に発行できるものもあります。車両を使う事業ならETCカードの発行枚数や年会費も合わせてチェックしておきたいところです。
従業員が多く全員にカードを配りたい規模なら、追加カードやバーチャルカードを無制限に発行できるタイプが向きます。発行枚数が数枚に限られるカードでは、規模の大きい組織では足りないことがあります。
ポイント・マイルの還元率は自社の支出に合うか
還元率はカードによって差があり、特定のサービスやモール利用で優遇されるものもあります。自社の支出が多い費目で還元が上乗せされるか、貯めたポイントを支払いに使えるか、マイルへ移行できるかが確認したい点です。出張が多い企業はマイル還元、日常経費が中心なら支払い充当と、使い道から逆算すると選びやすくなります。
会計ソフト連携・経費管理の機能があるか
使っている会計ソフト、あるいは導入予定の会計ソフトと連携できるかどうかも確認したいポイントです。ここでは「連携に対応しているか」「利用者や部門ごとに利用状況を管理できるか」といった有無と対応範囲が判断軸になります。明細の自動連携で経理が具体的にどう変わるかは、後半の運用の章で掘り下げます。
締め日・支払日と付帯サービスは適切か
締め日から引き落としまでの日数(支払いサイト)は資金繰りに影響します。ただし締め日・支払日はカードごとに異なり、公式サイトで確認が必要な項目です。支払いを後ろ倒しにして余裕を持たせたいなら、候補を絞った段階で各カードの締め日・支払日を公式情報で確かめてください。あわせて、出張の多い企業なら旅行傷害保険や空港ラウンジ、ショッピング保険といった付帯サービスが自社に役立つかも見ておきます。
海外取引の外貨決済コストを抑えられるか
輸入や越境EC、海外SaaSの支払いがある企業は、外貨決済にかかるコストが見落とされがちです。一般的なクレジットカードは、決済ごとに為替手数料(事務手数料)が上乗せされます。手数料率は国際ブランドや発行会社によって異なりますが、海外利用では2〜3%程度が上乗せされ、近年は引き上げの動きもあります。
実勢レートに近い水準で外貨決済できるカードやアカウントを併用すると、海外取引の多い中小企業ではコストを抑えられます。
利用目的別に見る中小企業向け法人カードの5タイプ
ここからは、中小企業が法人カードに求める目的別に、カードを5つのタイプに整理します。自社がどの目的を最も重視するかを起点に、候補を絞り込んでください。1枚が複数の目的に当てはまることもあります。
年会費を抑えてコストを最小化したい
設立初期でカードの固定コストを抑えたい企業に向くタイプです。年会費が永年無料、または条件付きで無料になるカードが中心で、まず1枚持って経費をまとめたい場合の入り口になります。該当するカードは、このあとの比較表と個別紹介で確認できます。
経費管理・会計ソフト連携で経理を効率化したい
明細の自動連携や、利用者・部門ごとの管理を重視する企業に向くタイプです。会計データを与信に活かして決算書なしでも発行できるカードや、バーチャルカードを人数分発行して利用上限を細かく管理できるカードがあります。会計ソフトとの連携で経理を効率化したい企業に向いています。
ポイント・マイル還元を重視したい
事業の支払いで効率よくポイントやマイルを貯めたい企業に向くタイプです。特定サービスでの還元が高いカードや、マイルへ移行できるカードが該当します。ポイントやマイルで経費の一部を実質的に取り戻したい企業に向いています。
海外取引・外貨決済のコストを抑えたい
輸入・越境EC・海外SaaSの支払いなど、外貨決済の多い企業に向くタイプです。実勢レートに近い水準で外貨を決済できる法人向けアカウントとカードを併用することで、為替コストを抑えられます。海外取引が多く、外貨決済のコストを下げたい企業に向いています。
ステータス・付帯サービスを重視したい
出張が多い、あるいは取引先への信用や手厚い付帯サービスを重視する企業に向くタイプです。空港ラウンジやコンシェルジュ、手厚い付帯保険を備える上位カードが該当します。出張が多く、付帯サービスや取引先への信用を重視する企業に向いています。
【比較表】中小企業向け法人カード12枚を一覧比較
ここからは、本記事で取り上げる12枚を横並びで比較します。年会費や利用限度額、還元率、会計ソフト連携などを一覧で確認し、気になったカードは次の章の個別紹介で詳しく見てください。各カード名から、それぞれの詳しい紹介にジャンプできます。
| サービス名 | JCB Biz ONE(一般) | 三井住友カード ビジネスオーナーズ(一般) | ライフカードビジネスライトプラス | マネーフォワード ビジネスカード | UPSIDER | freeeカード Unlimited | セゾンコバルト・ビジネスAMEX | 楽天ビジネスカード | Wise Business | アメックス・ビジネス・ゴールド | セゾンプラチナ・ビジネスAMEX | JCB法人カード(ゴールド/プラチナ) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 年会費(本会員/追加カード) | 本会員:永年無料(ゴールドは5,500円)/追加カード:発行不可 | 本会員:永年無料(ゴールド5,500円・プラチナプリファード33,000円)/追加カード:永年無料 | 本会員:無料(ゴールドは2,200円)/追加カード:無料 | 本会員:無料(未利用時のみ翌年1,000円)/追加カード:リアル2枚目以降990円 | 本会員:無料/追加カード:無料 | 本会員:永年無料/追加カード:無料 | 本会員:永年無料/追加カード:無料(最大9枚) | 本会員:2,200円+楽天プレミアムカード11,000円(計13,200円)/追加カード:発行対象外 | 本会員:無料(口座設定料のみ1回3,000円)/追加カード:無料 | 本会員:49,500円/追加カード:13,200円(付帯特典なしは無料) | 本会員:33,000円(初年度無料)/追加カード:3,300円(最大9枚) | 本会員:ゴールド11,000円(初年度無料)・プラチナ33,000円/追加カード:ゴールド3,300円・プラチナ6,600円 |
| 利用限度額 | 10万〜500万円 | 〜500万円(プラチナプリファードは〜9,999万円) | 最大500万円 | 最大10億円(独自与信) | 最大10億円(独自与信) | 最大5億円(独自与信) | 公式非公開 | 公式非公開 | 口座残高の範囲内(月間・日次の上限を任意設定) | 一律の上限なし(利用状況に応じ個別設定) | 最大9,990万円 | ゴールド50万〜500万円/プラチナ150万円〜 |
| ポイント・マイル還元率 | 1.0%(200円ごとに2ポイント) | 0.5%(特約店で最大1.5%) | 0.5% | 1.0%(マネーフォワード関連サービスは3%) | 1.0%〜 | 0.3%〜0.5%(月間利用額50万円以上で0.5%) | 0.5%相当(優遇加盟店で最大2%相当) | 1.0%(100円ごとに1ポイント) | ポイント還元なし | 100円ごとに1ポイント(円換算率は非公表) | 0.5%相当(SAISON MILE CLUB併用でJALマイル還元最大1.125%) | 0.5%(200円ごとに1ポイント、優待店で最大20倍) |
| 追加カード・ETCカード | 追加カード発行不可/ETCカード1枚のみ | 追加カード最大18枚/ETCカード発行可 | 従業員カード最大3枚/ETCカード1枚 | 追加カード無制限/ETCカード発行可 | 追加カード無制限/ETCカード発行可 | 追加カード無制限/ETCカード発行可 | 追加カード最大9枚/ETCカード発行可 | 追加カードなし(本会員追加型)/ETCカード発行可 | 従業員カード発行可/ETCカードなし | 追加カード最大99枚/ETCカード発行可 | 追加カード最大9枚/ETCカード最大5枚 | 追加カード複数枚/ETCカード複数枚 |
| 会計ソフト連携 | 弥生・freee会計・マネーフォワード クラウド会計 | Vpassで明細CSV出力(会計ソフト直接連携は非公表) | freee会計と連携(LIFE-Web Deskで明細を一元管理) | マネーフォワード クラウド会計・確定申告とリアルタイム連携(他社ソフトはCSV) | freee・マネーフォワード・勘定奉行・弥生・PCAに連携 | freee会計に自動連携(他社ソフトはCSV出力) | freee会計と明細同期(セゾンカード共通機能) | 明細CSV出力(会計ソフトの口座取込に対応) | Xero・QuickBooks等と連携(freee・マネーフォワードは公式連携先に非対応) | freee会計・弥生・マネーツリーとAPI連携 | セゾンコネクト経由でfreee・マネーフォワード・弥生に連携 | マネーフォワード・弥生・freee会計・楽楽精算・Concur等に対応 |
| 国際ブランド | JCB | Visa/Mastercard | Visa/Mastercard/JCB | Visa | Visa | Visa | American Express | Visa | デビット型(口座残高から引落) | American Express | American Express | JCB |
| 申込対象・特徴 | 法人代表者・個人事業主。本人確認書類のみで開業前も申込可。最短5分でカード番号発行 | 満18歳以上の法人代表者・個人事業主。年会費無料で最大500万円の利用枠 | 法人代表者・個人事業主。本人確認書類のみで最短3営業日発行 | 法人・個人事業主。決算書不要の独自与信。プリペイドとあと払いを併用できる | 法人限定(個人事業主は不可)。決算書不要の独自与信で最大10億円 | 法人のみ(個人事業主は不可)。決算書不要・キャッシュフロー与信 | 個人事業主・フリーランス・小規模法人。年会費無料・決算書不要で申込可 | 楽天プレミアムカード会員の法人代表者・個人事業主。楽天ポイントが貯まる | 法人・個人事業主。多通貨保有・海外送金に強いデビット型。外貨決済が多い事業者向け | 法人代表者・個人事業主。開業初日から申込可。付帯特典が充実 | 個人事業主・中小企業経営者。決算書不要。プラチナ特典とJALマイル積立 | 法人代表者・個人事業主(従業員50名未満が主対象)。一般〜プラチナの3グレード |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | オンライン相談を予約 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※各社公式情報にもとづく2026年9月時点の内容です。「要お問い合わせ」「公式非公開」は公式に金額・仕様が公表されていない項目です。年会費・還元率・利用限度額・国際ブランドなどは変更される場合があるため、申込時に各社の公式情報をご確認ください。また、Wise Businessはクレジットカードではなく、口座残高を原資とするデビット型カードです。
中小企業におすすめの法人カード12枚の特徴
ここからは、利用目的別のタイプごとに、各カードの特徴を紹介します。年会費や還元率などの数値は前章の比較表とあわせて確認してください。
年会費を抑えてコストを最小化したい中小企業向け
ここからは、年会費を抑えつつ最初の1枚として持ちやすいカードを紹介します。
1. JCB Biz ONE(一般)(株式会社ジェーシービー)

JCB Biz ONE(一般)は、株式会社ジェーシービーが個人事業主・法人代表者向けに発行する、年会費が永年無料の法人カードです。法人の本人確認書類が不要で、開業前でも申し込める点を訴求しています。
ポイント還元率は利用金額200円(税込)につき2ポイントで、通常のJCB法人カードの2倍にあたる1%相当です。弥生会計・freee会計・マネーフォワード クラウド会計と連携でき、利用明細を会計ソフトへ自動で取り込めます。
一方で、追加カード(社員用カード)は発行できず、本人名義の1枚のみを利用する設計です。従業員に経費用カードを持たせたい場合は次に紹介するカードが候補になりますが、まず代表者が1枚持って経費をまとめたい場合の入り口になります。
2. 三井住友カード ビジネスオーナーズ(一般)(三井住友カード株式会社)

三井住友カード ビジネスオーナーズ(一般)は、本会員の年会費が永年無料の法人カードです。三井住友カード株式会社が、満18歳以上(高校生を除く)の法人代表者・個人事業主向けに提供しています。
追加カード(パートナーカード)も年会費永年無料で18枚まで発行できるため、従業員に経費用カードを持たせたい企業でもコストをかけずに枚数をそろえられます。ショッピング利用枠は所定の審査により最大500万円まで設定できます。
ポイント還元率は通常0.5%で、対象の特約店で条件を満たすと最大1.5%相当まで上がります。海外旅行傷害保険は最高2,000万円が付帯し、会員向けWEB明細サービス「Vpass」から利用明細をCSVでダウンロードして経費管理に使えます。
3. ライフカードビジネスライトプラス(ライフカード株式会社)

ライフカードビジネスライトプラスは、ライフカード株式会社が発行するビジネスカードで、申し込みは本人確認書類のみで手続きできます。スタンダードは年会費が無料です。
本人確認書類のみで申し込め、最短3営業日で発行されるため、設立直後で決算実績がない法人や開業直後の個人事業主でも申し込みを進めやすい設計です。国際ブランドはVisa・Mastercard・JCBの3つから選べます。
従業員カードは最大3枚、ETCカードは代表者名義で1枚を、いずれも年会費無料で発行できます。会員専用の「LIFE-Web Desk」で全カードの利用明細を一元管理でき、クラウド会計ソフト「freee」との連携にも対応しています。
経費管理・会計ソフト連携で経理を効率化したい中小企業向け
ここからは、明細の自動連携や利用者・部門ごとの管理に強いカードを紹介します。
4. マネーフォワード ビジネスカード(株式会社マネーフォワード)

クラウド会計ソフトを展開する株式会社マネーフォワードが発行する、法人・個人事業主向けのVisaカードです。カード利用明細がマネーフォワード クラウド会計・確定申告にリアルタイムで反映され、そのまま仕訳候補として自動連携されるため、記帳の手間を抑えられます。
従業員や部署ごとに追加カードを枚数の上限なく発行でき、カードごとに1回あたり・月間の利用上限や支払先の制限を管理画面から設定できます。証憑はスマートフォンアプリやSlackから提出でき、AI-OCRが読み取ったインボイス登録番号を国税庁のデータベースと照合します。
申込時は登記事項証明書・決算書の提出が不要な独自の与信ロジックで審査するため、設立間もない企業や個人事業主でも申込の対象になります。事前に入金したウォレット残高で使うプリペイド決済であれば与信審査自体が不要で、決算実績のない事業者でも利用を始められます。
5. UPSIDER(株式会社UPSIDER)

連携した銀行口座の残高・入出金情報をもとにした独自の与信モデルで審査し、決算書の提出なしに最大10億円までの利用限度額を設定する法人カードです。運営は株式会社UPSIDERで、上場準備中のスタートアップから成長期の中小企業までを対象としています。
freee会計・マネーフォワードクラウド会計・勘定奉行クラウド・弥生会計クラウドなど主要な会計ソフトと連携し、CSV出力にも対応します。証憑が未提出の決済を一覧化して自動でリマインドするほか、決済の前後に稟議承認を組める利用申請機能を備え、月初1日には前月分の明細が揃います。
申込対象は法人に限られ、個人事業主は利用できません。ただし設立直後の企業でも、事前入金する前払い方式であれば与信審査なしに利用を開始できます。カードごとに日次・月次・1回あたりの利用上限や利用先を設定でき、従業員や業務委託先にはバーチャルカードを複数発行して配布できます。
6. freeeカード Unlimited(フリー株式会社)

freeeカード Unlimitedは、クラウド会計「freee会計」を展開するフリー株式会社のグループ会社、freee finance lab株式会社が発行する法人向けVisaカードです。freee会計に同期した銀行口座のキャッシュフローを独自の与信モデルで分析し、決算書の提出なしに審査します。
カード利用明細は最短数秒から当日中にfreee会計へ自動で取り込まれ、繰り返し利用する取引は自動で仕訳されます。2024年9月からはfreee会計を利用していない法人も申込の対象となり、他社の会計ソフトを使う場合は利用明細から作成した仕訳をCSVで連携できます。
年会費は永年無料で、追加カードも手数料無料・枚数の上限なく発行できます。利用可能枠は現行の公式記載で最大5億円で、実際の枠は同期した口座情報や利用状況に応じて個社ごとに決まります。対象は法人に限られ、個人事業主は申し込めません。
ポイント・マイル還元を重視したい中小企業向け
ここからは、事業の支払いで効率よくポイント・マイルを貯めたい企業に向くカードを紹介します。
7. セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード(株式会社クレディセゾン)

株式会社クレディセゾンが発行する、個人事業主や小規模法人向けの年会費永年無料のビジネスカードです(国際ブランドはAmerican Express)。決算書や法人の登記簿謄本の提出が不要で、本人確認書類だけで申し込め、開業前のフリーランスや設立1年目の企業も対象としています。
通常のポイント還元は1,000円(税込)ごとに永久不滅ポイントが1ポイント貯まり(1ポイントは最大5円相当で還元率およそ0.5%相当)、有効期限はありません。加えて、AWSやマネーフォワード クラウド、モノタロウ(事業者向けサイト)など事業でよく使う10のサービスでは、永久不滅ポイントが通常の4倍(還元率およそ2%相当)になります。
追加カードは最大9枚まで、ETCカードも年会費無料で発行できます。上位カードのセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード(年会費33,000円)へ切り替える導線も用意されており、事業の拡大に合わせてカードを選べます。
8. 楽天ビジネスカード(楽天カード株式会社)

楽天ビジネスカードは、楽天カード株式会社が発行する法人代表者・個人事業主向けのカードです。単独では申し込めず、楽天プレミアムカード(年会費11,000円・税込)または楽天ブラックカードの会員が追加で持つカードという位置づけで、未保有の場合は楽天プレミアムカードとの同時申し込みが必要です。
楽天ビジネスカード自体の年会費は2,200円(税込)ですが、基となる楽天プレミアムカードの年会費11,000円(税込)が別途かかるため、実質の年間コストは合計13,200円(税込)になります。支払口座には法人名義の口座を設定でき、個人の利用と事業の支出を口座単位で分けられます。
ポイント還元は100円につき楽天ポイントが1ポイント(還元率1.0%)で、楽天市場や楽天トラベルなど楽天グループのサービスを日常的に使う事業者ほど貯めやすい設計です。空港ラウンジや旅行保険といった特典は、追加カードである本カードではなく、基カードの楽天プレミアムカード側に付帯します。
海外取引・外貨決済のコストを抑えたい中小企業向け
ここからは、海外取引の外貨決済コストを抑えたい企業に向く選択肢を紹介します。
9. Wise Business(ワイズ・ペイメンツ・ジャパン株式会社)

Wise Businessは、英国 Wise Payments Limited が運営する送金サービス「Wise」の法人版で、日本ではワイズ・ペイメンツ・ジャパン株式会社が資金移動業者として提供しています。一般的な法人クレジットカードとは異なり、アカウント残高を原資に都度引き落とすデビット型のカードで、後払いの与信枠は持ちません。
外貨決済では、1つのアカウントで40種類以上の通貨を手数料無料で保有でき、両替時は為替マージンを上乗せしないミッドマーケットレート(仲値)が適用されます。アカウント開設は無料で、外貨の口座情報を取得する際に1回限り3,000円の設定手数料がかかります。法人デビットカードは40通貨以上の決済に対応し、年会費は無料です。
従業員に配るカードは、カード保持者ごと・カードごとに利用限度額を設定でき、部門や拠点単位で外貨の支出を管理できます。日本では顧客資金を信託口座で分別管理する資金移動業者(関東財務局長第00040号)として運営されています。輸入や越境EC、海外SaaSの支払いなど、外貨建ての支出が多い中小企業に向いた選択肢です。
海外送金や外貨建ての支払いにかかる手数料・為替コストを掘り下げて抑えたい場合は、次の記事で法人向けの海外送金サービスを手数料と為替コストで比較しています。
ステータス・付帯サービスを重視したい中小企業向け
ここからは、付帯サービスやステータスを重視する企業に向く上位カードを紹介します。
10. アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード(アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド)

アメリカン・エキスプレスが自社ネットワークで発行するビジネス・カードの中位グレードです。カードの発行から決済処理までを一社で手がける仕組みで、出張や接待の多い経営者・個人事業主に向けた付帯サービスを備えます。年会費は49,500円(税込)です。
国内外の対象空港ラウンジを会員本人と同伴者1名まで無料で利用でき、最高1億円の旅行傷害保険や、購入品を90日間補償するショッピング・プロテクションが付帯します。利用できる金額に一律の制限を設けず、利用状況に応じて利用可能額を個別に設定する運用のため、まとまった支払いにも対応しやすくなっています。
付帯特典なしの追加カードは年会費無料で、本会員とあわせて最大99枚まで発行できます。freee会計・弥生・マネーツリーとのデータ連携に対応し、起業初年度からの申し込みも可能です。
11. セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード(株式会社クレディセゾン)

決算書や登記簿謄本の提出なしで申し込める、株式会社クレディセゾンが発行する法人向けプラチナカードです。国際ブランドはアメリカン・エキスプレスで、初年度は年会費無料、次年度以降は33,000円(税込)です。
プライオリティ・パスの無料付帯や国内主要空港のラウンジ利用に加え、旅行手配などに対応するプラチナ会員専用のコンシェルジュデスクを利用できます。付帯保険は、海外旅行傷害保険が最高1億円、国内旅行傷害保険が最高5,000万円、ショッピング安心保険が年間最高300万円です。
年会費5,500円(税込)のSAISON MILE CLUBに登録すると、1,000円の利用ごとにJALマイルが積算され、還元率は最大1.125%になります。追加カードは1枚3,300円(税込)で最大9枚まで発行できます。
12. JCB法人カード(ゴールド/プラチナ)(株式会社ジェーシービー)

株式会社ジェーシービーが中小企業・個人事業主向けに発行する法人カードで、ゴールドとプラチナのグレードがあります。従業員数に応じて追加カードとETCカードを複数枚発行でき、経費支払いの一本化を軸に設計されています。
ゴールドは年会費11,000円(税込、初年度無料)で、空港ラウンジの無料利用やゴルフサービス、最高1億円の海外旅行傷害保険が付帯します。プラチナは年会費33,000円(税込)で、24時間365日対応のコンシェルジュデスクと、世界各地の空港ラウンジを使えるプライオリティ・パスが加わります。
ポイント還元は200円(税込)ごとに1ポイントで、優待店では最大20倍になります。マネーフォワード クラウド・弥生・freee会計・楽楽精算・Concur Expenseなど、主要な会計ソフト・経費精算システムへの明細連携に対応します。
中小企業が法人カードを運用する際の実務と注意点
ここからは、法人カードを導入した後に押さえておきたい経理の実務と注意点を解説します。会計ソフト連携による効率化と、インボイス制度・電子帳簿保存法への対応、社内の利用ルールの3点を取り上げます。
会計ソフト連携・経費管理で経理業務がどう効率化されるか
会計ソフト連携に対応したカードでは、利用明細が会計ソフトへ自動で取り込まれます。日付・金額・利用先といった取引データが取り込まれ、仕訳の候補が自動で提案されるため、明細を手入力する作業がなくなります。カードによっては、勘定科目の推測や電子帳簿保存法に対応した証憑管理まで含めて連携するものもあります。
利用者や部門ごとに利用状況を管理できるカードなら、誰がどの経費に使ったかがリアルタイムで把握できます。バーチャルカードを従業員や用途ごとに発行し、それぞれに利用上限を設定すれば、使いすぎの防止と経費の可視化を同時に実現できます。経理の締め作業を待たずに支出を把握できる点は、少人数で経理を回す中小企業ほど効果が大きくなります。
法人カードに加えて、経費精算システムやペーパーレス化まで含めて経理業務全体の効率化を見直したい場合は、次の記事で手作業とミスを減らす具体的な進め方を整理しています。
インボイス制度・電子帳簿保存法への対応
法人カードを使う際に見落としやすいのが、インボイス制度(適格請求書等保存方式)への対応です。カード会社が発行する利用明細書は、仕入税額控除の要件を満たす請求書等には該当しません。国税庁は、次のように示しています。
クレジットカード会社の作成した請求明細書を保存することにより仕入税額控除の適用を受けることはできません。この場合、課税資産の譲渡等を行った他の事業者(カード加盟店)から受領した適格請求書等を保存することで、仕入税額控除の適用が認められます。
出典:質疑応答事例(消費税)「クレジットカード会社からの請求明細書」|国税庁(令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づく)
仕入税額控除を受けるには、カードの利用明細だけでなく、加盟店から受け取った適格請求書(領収書等)を保存しておく必要があります。
ただし例外として、基準期間の課税売上高が1億円以下などの要件を満たす事業者は、税込1万円未満の課税仕入れについて帳簿の保存のみで仕入税額控除を受けられる「少額特例」が設けられています。これは令和5年10月1日から令和11年9月30日までの期間限定の経過措置である点に注意してください。
電子帳簿保存法への対応も必要です。カードの利用明細をクラウドやダウンロードで電子的に受け取っている場合、その明細データは「電子取引」の取引情報に当たります。国税庁は、次のように示しています。
その事業に関連するクレジットカードの利用明細データを受領した場合のように、個々の取引を集約した取引書類のデータを授受した場合には、クレジットカードの利用明細データ自体も電子取引の取引情報に該当することから、その電磁的記録の保存が必要です。また、その利用明細データに含まれている個々の取引についても、請求書・領収書等データ(取引情報)を電磁的に授受している場合には、クレジットカードの利用明細データ等とは別途、その保存が必要となります。
出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和6年6月)問4|国税庁
電子で受け取った利用明細は、紙に出力して保存する方法が令和3年度の税制改正で廃止されており、電子データのまま保存する必要があります。会計ソフト連携に対応したカードを使うと、明細データの受領から保存要件を満たす形での保管までを一連の流れで扱えるため、電子帳簿保存法への対応の手間を抑えられます。
明細や証憑を電子データのまま保存する仕組みを本格的に整えたい場合は、次の記事で電子帳簿保存法の3区分ごとの対応状況と料金を比較しています。
出典・参考資料(2件)
- 出典:質疑応答事例(消費税)「クレジットカード会社からの請求明細書」|国税庁(https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/18/05.htm)
- 出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和6年6月)問4|国税庁(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0024005-113_r603.pdf)
社員用カードの利用ルールと不正・使いすぎの防止
従業員に追加カードを持たせる場合は、利用範囲や上限、私的利用の禁止といったルールをあらかじめ決めておきましょう。ルールが曖昧なまま配ると、事業と関係ない支出や使いすぎが起こりやすくなります。利用者・部門ごとに上限を設定できるカードや、利用通知・承認フローを備えたカードを選ぶと、ルールをシステム側で担保でき、管理の負担を減らせます。
領収書や証憑の回収ルールも合わせて整えておきます。前述のとおり、インボイス制度や電子帳簿保存法では明細だけでなく個別の領収書等の保存が求められるため、誰がいつどの証憑を保存するかを運用に組み込んでおくと、後からの手戻りを防げます。
中小企業の法人カードの審査・必要書類(設立直後でも作れるか)
ここからは、法人カードの申し込みで確認される点と必要書類、設立直後でも作れるかを解説します。個人カードとは審査の視点が一部異なります。
設立直後や決算書がなくても申し込めるか
従来の法人カードは決算書の提出を求めるものもありましたが、近年は決算書や登記簿の提出が不要で、代表者の本人確認だけで申し込めるカードが増えています。設立直後で決算実績がない場合は、こうしたカードや、代表者個人の信用情報を重視するカードが候補になります。会計データを与信に活かすタイプのカードは、決算書がなくても事業の実態から与信を判断できる点が特徴です。
審査で見られる点と必要書類
審査では、事業内容や代表者の信用情報、カードによっては決算内容などが確認されます。必要書類は代表者の本人確認書類が基本で、カードによって登記簿謄本や決算書が加わります。申込前に、自社が用意できる書類で申し込めるカードかを確認しておくと、手続きがスムーズです。
個人事業主でも法人カードを作れるか
個人事業主でも申し込める法人カード(ビジネスカード)は多く、開業直後や開業前でも申し込めるものもあります。一方で、法人格を求めるカードや、複数枚の追加カード発行を前提とするカードは、従業員を抱える法人向けの色合いが強くなります。事業形態に合わせて、申込対象に自社が含まれるかを確認してください。
まとめ:自社の利用目的から法人カードを選ぶ
中小企業の法人カード選びは、年会費の安さだけでなく、自社が最も重視する目的から絞り込むのが近道です。コストを抑えたいのか、会計連携で経理を効率化したいのか、還元やマイルを重視するのか、海外決済のコストを抑えたいのか、ステータスや付帯サービスを求めるのか。目的が定まれば、利用限度額や追加カード枚数、締め日といった細かな条件で候補を比較しやすくなります。
導入後は、会計ソフト連携による効率化と、インボイス制度・電子帳簿保存法への対応、社内の利用ルールを整えることで、経費管理の負担を継続的に軽くできます。気になるカードは資料を取り寄せ、自社の経費規模や運用体制に合うかを確かめてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 法人カードとは何ですか?
A. 法人カードとは、企業や個人事業主が事業用の支払いに使うことを前提に発行されるクレジットカードです。引き落とし口座を法人口座や事業用口座に設定でき、利用明細がそのまま経費の記録になるため、事業の支出を個人の家計と分けて管理できます。「ビジネスカード」「コーポレートカード」とも呼ばれます。
Q. 法人カードとビジネスカード・コーポレートカードの違いは何ですか?
A. これらはいずれも法人カードの呼び名ですが、一般に中小企業や個人事業主が使うのが「ビジネスカード」、大企業が多人数向けに発行するのが「コーポレートカード」と区別されます。
ビジネスカードは申込者個人の与信と一体で発行され、少数の追加カードを持つ使い方が中心です。コーポレートカードは法人の与信で審査され、数十枚から数百枚単位の発行を前提とします。本記事は中小企業向けのビジネスカードを主な対象としています。
Q. 法人カードと個人カードは何が違いますか?
A. 法人カードは、事業用の支払いを個人の家計と分けて管理でき、利用限度額も個人カードより高めに設定されやすい点が個人カードとの違いです。引き落とし口座を法人・事業用口座に設定でき、利用明細がそのまま経費記録になるため、立替精算の手間や公私混同を防げます。従業員向けの追加カードを発行して、部門ごとの経費を1つの明細で把握できるのも法人カードならではの特徴です。
Q. 個人カードを法人用として使っても問題ありませんか?
A. 個人カードを事業の支払いに使うこと自体は禁止されていませんが、事業支出と私的支出が混在して経費管理や仕訳が煩雑になりやすいため、法人カードの利用をおすすめします。個人名義の口座から事業費が出ると、経費の抽出や立替精算に手間がかかり、税務上の説明もしにくくなります。法人カードなら明細がそのまま事業の記録になり、会計ソフト連携で記帳も効率化できます。
Q. 中小企業はいつから法人カードを持つべきですか?
A. 法人カードは、会社の設立時や開業のタイミングなど、事業の支払いが発生し始めた早い段階で持つのがおすすめです。早く導入するほど、事業用口座からの支払いを1枚に集約でき、経費と私費の切り分けや会計ソフトへの明細取り込みを最初から整えられます。決算書がなくても申し込めるカードが増えているため、設立直後でも導入を検討できます。
Q. 設立直後で決算書がなくても法人カードは作れますか?
A. 設立直後で決算実績がない企業でも、決算書や登記簿の提出が不要で、代表者の本人確認だけで申し込める法人カードが増えています。会計データや口座の入出金をもとに与信を判断するタイプのカードや、事前入金の前払い方式であれば与信審査なしで使えるカードもあり、決算実績がなくても導入しやすくなっています。詳しくは本記事の審査・必要書類の章で解説しています。
Q. 法人カードの審査は厳しいですか?
A. 法人カードの審査基準はカードによって幅があり、本人確認書類だけで申し込めるものから、決算内容まで確認するものまでさまざまです。近年は代表者個人の信用情報を重視するカードや、会計データ・口座の入出金から与信を判断するカードが増え、設立直後でも申し込みやすい選択肢があります。自社が用意できる書類で申し込めるカードかを事前に確認しておくと、手続きがスムーズです。
Q. 追加カード(社員用カード)は何枚まで発行できますか?
A. 追加カードの発行可能枚数はカードによって大きく異なり、数枚までのものから、バーチャルカードを人数分ほぼ無制限に発行できるものまであります。追加カードは本会員の審査に基づいて発行されるため、1枚ずつの個別審査は原則不要です。従業員に経費用カードを持たせたい場合は、必要な枚数を年会費無料で発行できるか、カードごとに利用上限を設定できるかを確認するとよいでしょう。
Q. 年会費無料の法人カードはありますか?
A. 中小企業向けの法人カードには、本会員の年会費が永年無料のものが複数あります。本記事でも、年会費無料で持てるコスト重視タイプのカードを複数紹介しており、比較表と個別紹介で確認できます。ただし追加カードやETCカードに別途年会費がかかる場合や、上位グレードで有料になる場合があるため、本会員以外の費用も合わせて確認してください。
Q. 法人カードで税金の支払いはできますか?
A. 法人税や消費税などの国税、地方税は、専用の納付サイトを通じて法人カードで納付できます。ただし納付額に応じた決済手数料がかかり、得られるポイントより手数料が上回る場合もあります。決済手数料とポイント還元、支払いを後ろ倒しにできる資金繰り上のメリットを比べたうえで、利用するかを判断してください。
Q. 法人カードで貯めたポイントを個人で使ってもよいですか?
A. 法人カードで貯めたポイントを代表者個人の買い物などに使うことは、経理・税務の観点から避けるのが無難です。事業の支払いで得たポイントを私的に使うと、事業と個人の線引きが曖昧になり、税務上の扱いが問題になる可能性があります。貯めたポイントは、事業の支払いへの充当やマイルへの移行など、事業の範囲で活用するのが基本です。
Q. 法人カードを私的な支払いに使ってしまったらどうなりますか?
A. 法人カードを私的な支払いに使うと、その分は経費にできず、役員貸付金などとして別途精算・処理する必要があります。規約上も私的利用を認めていないカードが多く、常態化すると税務調査で指摘されるおそれがあります。従業員に追加カードを持たせる場合は、利用範囲や私的利用の禁止をあらかじめルールとして定めておくことが大切です。
Q. 法人カードの年会費や利用額は経費として計上できますか?
A. 事業に関連して支払った法人カードの年会費や利用額は、一般に事業関連費用として損金(経費)に計上できます。事業に関連する費用が損金に算入されることは、法人税法にも一般則として定められています。ただし勘定科目や具体的な計上方法は、自社の会計処理の方針や顧問税理士の判断に沿って処理してください。
Q. カードの利用明細だけでインボイス制度(仕入税額控除)に対応できますか?
A. カード会社が発行する利用明細書だけでは、原則として仕入税額控除の要件を満たさず、加盟店から受け取った適格請求書(領収書等)を別途保存する必要があります。国税庁も、請求明細書の保存だけでは仕入税額控除を受けられないとしています。
ただし、基準期間の課税売上高が1億円以下などの要件を満たす事業者は、税込1万円未満の課税仕入れについて帳簿の保存のみで控除できる「少額特例」(令和5年10月1日から令和11年9月30日までの経過措置)があります。詳しくは本記事の運用の章をご覧ください。
Q. 海外取引の外貨決済コストを抑えるにはどの法人カードが向いていますか?
A. 輸入や越境EC、海外SaaSの支払いなど外貨決済が多い場合は、為替手数料の上乗せが少なく、実勢レートに近い水準で外貨を決済できるカードやアカウントを併用するとコストを抑えられます。一般的なクレジットカードは決済ごとに為替事務手数料が上乗せされます。
本記事でも、複数通貨を保有して仲値に近いレートで決済できる法人向けの選択肢を、海外取引向けに取り上げています。詳しくは利用目的別のタイプと比較表をご覧ください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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