取引先から届く書類が「注文書」だったり「発注書」だったりして、社内でも人によって呼び方が分かれている——BtoBで日々受発注をやり取りしていると、こうした場面は珍しくありません。呼び方が違うだけなのか、それとも法的・税務的に別物で使い分けが必要なのか、判断に迷ったことのある担当者は多いはずです。
結論から言えば、注文書と発注書は法的にも実質的にも同じ書類で、呼び方が違うだけです。ただし「では自社はどちらを使えばよいのか」「発注請書や見積書とはどう違うのか」「保存期間や収入印紙、下請法の扱いはどうなるのか」まで含めて正しく押さえておかないと、書式の統一や実務の運用でつまずきます。
本記事では、注文書と発注書が同じである根拠を民法の条文で示したうえで、使い分けの慣習、紛らわしい関連書類との違い、記載項目、発行のタイミング、保存期間・収入印紙・取適法(旧・下請法)の実務までを整理します。最後に、発注書の作成・保存・管理を効率化する受発注システムも紹介します。
目次
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注文書と発注書に違いはある?結論:法的にも実質的にも同じ書類
注文書と発注書は、法的にも実質的にも同じ書類です。呼び方が違うだけで、担う役割・記載する内容・法律上の位置づけに差はありません。取引先が「注文書」と呼び、自社が「発注書」と呼んでいても、書類としての効力に違いは生じません。
その根拠は民法にあります。民法は、契約が「申込み」と「承諾」の合致で成立すると定めています。注文書も発注書も、この「申込み」にあたる書類です。名称によって法的な扱いが変わる規定は存在しません。
第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
出典:民法 第522条|e-Gov法令検索
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
条文が定めているのは「申込みと承諾で契約が成立する」という枠組みで、「注文書・発注書が申込みにあたる」という当てはめ自体は標準的な法解釈です。いずれにせよ、どちらの名称でも書類の性質は「発注側からの申込み」であり、名前による区別はありません。第2項が示すとおり、契約成立そのものに書面は必須ではないため、注文書・発注書という書面をどう呼ぶかに法的な決まりがないこともここから読み取れます。
そもそも発注書・注文書とは
発注書(注文書)は、商品やサービスを注文する側が、取引内容を具体的に示して相手に交付する書類です。何を・いくつ・いくらで・いつまでに納めてほしいのかを明記し、口頭やメールだけでは曖昧になりがちな取引条件を書面として確定させます。
多くの取引では、受注側が提示した見積書の内容を発注側が確認し、それを受けて発注書(注文書)を発行する流れになります。名称は取引先や業界によって「注文書」「発注書」と分かれますが、書類が果たす機能は同じです。
発注書(注文書)を発行する役割
発注書(注文書)を発行する最大の目的は、取引条件を明確にしてトラブルを防ぐことです。数量・単価・納期・支払条件を書面で残しておけば、「言った・言わない」の食い違いや、数量・金額の認識ズレを避けられます。
会計・税務の面でも、発注書は取引の実在や内容を裏づける証拠書類として機能します。後述するとおり、法人・個人ともに一定期間の保存が求められ、取適法(旧・下請法)が適用される取引では、発注時の条件明示が法律上の義務にもなります。
なぜ「注文書」と「発注書」の2つの呼び方がある?使い分けの慣習
法的な違いがないのに2つの呼び方が併存しているのは、業界や企業ごとの商慣習によるものです。どちらを使わなければならないという法律上の決まりはなく、社内ルールや取引先の慣行に合わせて選べば問題ありません。
とはいえ「一般的にはこう使い分けられている」という傾向はあります。以下は、あくまで慣習としての目安です(法的な区分ではありません)。
| 切り口 | 対象 | 相手 | ニュアンス |
|---|---|---|---|
| 「注文書」が使われやすい | 既製品・物品の購入(売買) | 個人・小売寄りの取引でも使われる | 「品物を注文する」という日常的な語感 |
| 「発注書」が使われやすい | 製造・加工・工事・システム開発など請負・業務委託 | 事業者間(BtoB)の取引で使われやすい | 「業務を発注する」という事業寄りの語感 |
ただし、これらはあくまで傾向で、実際には物品購入を「発注書」と呼ぶ企業も、業務委託を「注文書」と呼ぶ企業もあります。自社で迷う場合は、どちらか一方に呼び方を統一し、取引先とやり取りする書類の名称を社内で揃えておくのが実務上おすすめです。名称よりも、後述する記載項目が漏れなく入っているかどうかのほうが重要です。
発注書・注文書と紛らわしい関連書類の違い
受発注では、発注書(注文書)以外にも似た名前の書類が飛び交います。特に混同しやすいのが、発注請書(注文請書)・見積書・個別契約書・依頼書です。これらは「誰が出すか」「申込みなのか承諾なのか」で整理すると、役割の違いが一目で分かります。
民法上、契約は発注側の「申込み」と受注側の「承諾」がそろって成立します。発注書(注文書)が申込み、発注請書(注文請書)が承諾にあたり、この2枚が対になることで合意内容が書面で明確になります。
| 書類 | 発注書=注文書 | 発注請書=注文請書 | 見積書 | 個別契約書 | 依頼書 |
|---|---|---|---|---|---|
| 誰が出す | 発注側(買い手) | 受注側(売り手) | 受注側(売り手) | 双方 | 発注側(買い手) |
| 申込みか承諾か | 申込み | 承諾 | 申込みの前段(条件提示) | 双方の合意 | 内容による |
| 主な役割 | 数量・単価・納期など取引条件を示して注文する | 発注を引き受けることを示す | 価格・数量・納期などの条件を提示する | 個別取引の条件を双方合意で明記する | 作業や対応を依頼する |
| 契約上の位置づけ | 民法上の「申込み」。相手の承諾で契約が成立する | 民法上の「承諾」。発注書と対になり合意を明確にする | 契約前の条件提示。これを受けて発注書が発行される | 双方の署名・押印があれば契約書。印紙税の課税対象になる場合がある | 取引条件が明確なら発注書に近い。法的性質は記載内容による |
※ 書類の位置づけは民法の申込み・承諾の枠組みにもとづく一般的な整理です。
発注書と発注請書がそろうと、発注側の申込みと受注側の承諾が書面で残り、契約成立の事実を証明しやすくなります。見積書は発注の前段階、個別契約書は基本契約を前提に個別の取引条件を定める書類、依頼書は記載内容によって発注書に近くも遠くもなる、と押さえておくと混乱しません。
納品書・検収書・請求書も受発注で飛び交う書類ですが、これらは商品やサービスを納めたあとにやり取りする取引後の書類です。発注書との前後関係は、後述の「発注書(注文書)を発行するタイミングと取引の流れ」で確認できます。
出典・参考資料(1件)
- 出典:民法 第522条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)
発注書(注文書)に記載する項目と書き方
ここからは、発注書(注文書)に何を書けばよいのかを整理します。名称が注文書でも発注書でも、記載する項目は変わりません。
発注書(注文書)に記載する項目チェックリスト
一般的な発注書(注文書)には、次の項目を記載します。自社の書式を確認するチェックリストとして使えます。
- 発注先(受注者)の宛名
- 発注元(発注者)の会社名・住所・連絡先
- 発行日
- 発注書番号(管理用の通し番号)
- 商品・サービス名
- 数量・単価・金額
- 消費税額・合計金額
- 納期・納品場所
- 支払条件(支払期日・支払方法)
- 備考(特記事項があれば)
書式を整えるうえで迷いやすいのは、次のような点です。宛名は相手が法人なら「御中」、担当者個人あてなら「様」を使い、会社名は「(株)」などと略さず正式名称で記載します。発注書番号は「2026-0001」のように連番で採番しておくと、あとから特定・照合しやすくなります。数量には個・式・人日などの単位を明記し、金額は税率ごとに区分し、消費税額と税込合計を分けて示すと、認識のズレを防げます。
取適法(旧・下請法)が適用される取引では、発注時に明示すべき事項が法律で定められています。給付の内容・代金の額・支払期日・支払方法などがこれにあたり、一般的な記載項目とは別に、法律上の必須事項として漏れなく明示する必要があります。対象取引かどうかの切り分けと概要は後述の実務セクションで、必須項目の全リストは実務セクションから案内する関連記事で解説します。
発注書(注文書)の作成方法
発注書(注文書)の作成方法は、主に次の3つです。取引量や社内体制に応じて選ぶとよいでしょう。上のチェックリストの項目をそのまま並べれば書式は完成しますが、レイアウトの見本が欲しい場合は、ExcelやWordの無料テンプレートを土台にすると迷わず作れます。
- ExcelやWordのテンプレート:導入コストがかからず手軽ですが、番号採番や履歴管理は手作業になり、件数が増えると管理が煩雑になります。
- 販売管理・発注管理の専用ソフト:発注書の作成から履歴管理までを一元化できます。既存の会計・在庫システムと連携できるものもあります。
- 受発注システム(Web受発注):取引先とのやり取り自体をWeb上で完結させ、発注書の発行・受領・保存までをオンラインで一元管理します。
作成した発注書(注文書)は、メール(PDF添付)・郵送・FAXなどで相手に届けます。メールやWebでやり取りしたものは電子取引にあたり、電子帳簿保存法にもとづいて電子データのまま保存する必要があります。取引条件を記した発注書は信書に該当するため、宅配便では送れません。紙で郵送する場合は、郵便(または信書便)を利用してください。
件数が多く、FAXや電話・メールでの受発注に手間を感じている場合は、受発注システムの導入が有効です。この点は記事後半の「発注書の作成・保存・管理を効率化する受発注システム」で詳しく取り上げます。
発注書(注文書)を発行するタイミングと取引の流れ
発注書(注文書)は、取引全体のどの段階で発行するのかを押さえておくと、書類の抜け漏れを防げます。一般的な売買・請負では、次の流れで書類がやり取りされます。

- 見積依頼・見積書:発注側が条件を伝え、受注側が価格・納期などを提示します。
- 発注書(注文書):見積内容を確認した発注側が、正式な注文として発行します(=申込み)。
- 発注請書(注文請書):受注側が注文を引き受ける意思を示します(=承諾)。ここで契約内容が書面で確定します。
- 納品・納品書:受注側が商品・サービスを納め、納品書を添えます。
- 検収・検収書:発注側が内容を確認し、問題なければ検収します。
- 請求・請求書/支払・領収書:受注側が代金を請求し、発注側が支払います。
発注書(注文書)は、見積内容に合意して正式に注文する段階で発行するのが基本です。見積書を受け取る前に発注書を出してしまうと条件が固まらず、逆に発注書を省くと取引条件の証拠が残りません。発注請書とセットで残しておくと、後々のトラブル防止に役立ちます。
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発注書(注文書)の保存期間・収入印紙・取適法(旧・下請法)の実務
ここからは、発注書(注文書)を扱ううえで迷いやすい実務論点として、保存期間・収入印紙・取適法(旧・下請法)の3つを順に見ていきます。
発注書(注文書)の保存期間(法人7年・個人5年+例外)
発注書(注文書)は、受け取った側・作成した側ともに、帳簿書類として一定期間の保存が必要です。国税庁は、保存対象書類の例として注文書・契約書・領収書などを挙げています。
法人の場合、保存期間は原則7年です。起算日は「その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日」です。
その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければなりません
出典:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁
(青色申告書を提出した事業年度で欠損金額が生じた事業年度においては、10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間))
個人事業主の場合は、書類と帳簿で年数が分かれます。注文書・発注書などの書類は原則5年、収入金額や必要経費を記載した法定帳簿は7年です。「個人は一律5年」ではない点に注意してください。
さらに例外があります。消費税の課税事業者は、法人・個人を問わず帳簿・請求書等を7年間保存する義務があります。したがって、個人事業主でも消費税の課税事業者であれば、5年ではなく7年の保存が必要です。
起算日の数え方も、所得税・法人税が「確定申告書の提出期限の翌日」なのに対し、消費税は「帳簿の閉鎖の日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日」からと異なります。
また、メールやWeb上でやり取りした発注書(電子取引のデータ)は、紙に出力して保存するのではなく、電子データのまま保存することが電子帳簿保存法で義務づけられています。
第七条 所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。
出典:電子帳簿保存法 第7条|e-Gov法令検索
出典・参考資料(4件)
- 出典:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5930.htm)
- 出典:No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2080.htm)
- 出典:No.6621 帳簿の記載事項と保存|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6621.htm)
- 出典:電子帳簿保存法 第7条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC0000000025)
発注書(注文書)に収入印紙は必要か(原則不要+例外)
発注書(注文書)に収入印紙は、原則として不要です。国税庁は、注文書などと表示された文書の多くが「契約の申込みの事実を証明する目的で作成される」ため、通常は課税対象にならないとしています。
申込書、注文書、依頼書等(以下「申込書等」といいます。)と表示された文書は、その多くが契約の申込みの事実を証明する目的で作成されるものですから、通常、課税対象にはなりません。
出典:No.7118 申込書、注文書、依頼書等と表示された文書の取扱い|国税庁
しかし、申込書等と表示された文書であっても、その記載内容によっては、契約書に該当し、課税対象となる場合があります。
ただし例外があります。国税庁は、次のような場合には注文書などでも契約書に該当し、課税対象になるとしています。
- 基本契約書や約款等にもとづく申込みで、その注文書だけで自動的に契約が成立することになっている場合(別途、請書などが作成されないもの)
- 見積書など相手方が作成した文書にもとづく申込みであることが記載されている注文書(こちらも別途、請書などが作成されないもの)
- 契約当事者双方の署名または押印があるもの
自社の運用に当てはめると、普通に発注書(注文書)を発行し、相手から請書や受注の連絡が別に返ってくる形であれば、原則として収入印紙は不要です。一方、発注書の中に「この書面をもって契約成立とする」といった一文を入れて請書を省く運用や、双方が署名・押印して1枚で契約書を兼ねる運用にすると、課税対象になり得ます。判断に迷う書式は、国税庁の該当ページで確認するのが確実です。
また、発注請書(注文請書)の側にも注意が必要です。請負契約の成立を証明する内容であれば、印紙税額一覧表の第2号文書「請負に関する契約書」に該当し、課税対象になります。国税庁は、工事注文請書や物品加工注文請書などを請負に関する契約書の具体例として挙げています。自社が発行するのが売買の発注書か、請負を引き受ける請書かで、印紙の要否が変わる点を押さえておきましょう。
出典・参考資料(3件)
- 出典:No.7118 申込書、注文書、依頼書等と表示された文書の取扱い|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7118.htm)
- 出典:No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7100.htm)
- 出典:No.7102 請負に関する契約書|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7102.htm)
取適法(旧・下請法)による発注書面の明示義務
取引の内容によっては、発注書(注文書)にあたる書面の交付が法律上の義務になります。従来「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」と呼ばれてきた法律は、2026年1月1日施行の改正で中小受託取引適正化法(取適法)へ改称されました。本記事の公開時点では、この取適法が現行法です。
この義務は、すべての受発注に課されるわけではありません。取適法が適用されるのは、資本金の額が一定以上の委託事業者が、より小規模な事業者に対して製造・修理・情報成果物の作成・役務提供などを委託する取引です。単純な物品の売買や、資本金の条件に当てはまらない取引であれば、この節の義務は生じません。自社の取引が対象になりそうかどうかを、まず切り分けておくと読み進めやすくなります。
取適法では、委託事業者(旧・親事業者)が中小受託事業者(旧・下請事業者)に製造委託等をした場合、給付の内容・代金の額・支払期日・支払方法などを、直ちに書面または電磁的方法で明示する義務があります。旧法で「3条書面」と呼ばれていたものは、現行の第4条にもとづく「4条書面」にあたります。
第四条 委託事業者は、中小受託事業者に対し製造委託等をした場合は、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより、中小受託事業者の給付の内容、製造委託等代金の額、支払期日及び支払方法その他の事項を、書面又は電磁的方法(略)により中小受託事業者に対し明示しなければならない。
2 委託事業者は、前項の規定により同項に規定する事項を電磁的方法により明示した場合において、中小受託事業者から当該事項を記載した書面の交付を求められたときは、遅滞なく、公正取引委員会規則で定めるところにより、これを交付しなければならない。
出典:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律 第4条|e-Gov法令検索
現行法では、電磁的方法(電子データ)による明示が書面と対等の手段として位置づけられています。電子データで明示したうえで、相手方から書面の交付を求められたときは遅滞なく交付する、という建付けです。したがって、単なる「書面の交付義務」ではなく「書面または電磁的方法による明示等の義務」と理解するのが正確です。
明示すべき詳細な事項は公正取引委員会規則で定められています。自社の取引が取適法の対象になる場合は、公正取引委員会の解説もあわせて確認してください。
出典・参考資料(2件)
- 出典:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律 第4条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000120)
- 参考資料:取適法の概要|公正取引委員会(https://www.jftc.go.jp/toriteki/toritekigaiyo/gaiyo.html)
取適法(旧・下請法)が適用される取引で、発注書面(現行の4条書面)に具体的に何を記載しなければならないかは、以下の記事で必須項目の全リストとあわせて詳しく解説しています。自社の取引が対象になりそうな場合は、記載漏れの確認にお役立てください。
3条書面とは?記載事項の全項目・交付方法と取適法(4条書面)改正を解説
外注先に仕事を発注するとき、発注書に何を書けば法律に触れないのか——その答えの中心にあるのが「3条書面」です。3条書面は、下請法(現在の取適法)が発注側の企業に交付を義務づけている書面で、記載すべき項目が法令で細かく定められています。 20…
発注書の作成・保存・管理を効率化する受発注システム
ここまで見てきたとおり、発注書(注文書)は作成して終わりではなく、記載項目の整備・関連書類とのやり取り・法定期間の保存まで含めて正しく運用する必要があります。FAX・電話・メールと紙の書式で対応していると、転記ミスや保管の手間、電子取引データの保存義務への対応が負担になりがちです。
こうした課題を解決する手段が、受発注システムです。発注書の発行から受領・保存までをWeb上で一元化でき、電子データのまま保存できるため電子帳簿保存法にも対応しやすくなります。電子で発行・やり取りする発注書は、紙のように収入印紙を貼る必要がない点もコスト面のメリットです。
取引の件数や取引先の数がまだ少ないうちは、ExcelテンプレートやWordでの作成でも十分です。件数が増えて手作業での作成・送付・保管が限界に近づいてきたら、販売管理・発注管理の専用ソフトや、取引先とのやり取りごとWeb化する受発注システムを検討するのが現実的です。自社の規模と業務量に合った手段を選びましょう。
本記事で紹介する製品だけでなく、費用・機能・取引先にとっての使いやすさで複数の受発注システムを見比べて選びたい場合は、以下の記事でおすすめのサービスをタイプ別に比較しています。導入を検討される方は、あわせてご覧ください。
DX BtoB Web受発注システム(株式会社マルウェブ)

DX BtoB Web受発注システムは、株式会社マルウェブが提供する、FAX・電話・メール中心のBtoB受発注業務をWeb上に一元化するシステムです。とくに、多くの得意先から日々注文を受けている卸・製造業などが、その受発注のやり取りをWeb化したい場合に適しています。
Adobe Commerce(Magento)をベースに、得意先ごとの価格・掛率・与信・締日を反映した取引先限定の発注サイトを構築できます。
発注フローの面では、CSVによる一括発注や過去発注のコピーによる再注文、複数配送先の指定に対応します。見積依頼・見積提示・承認・受注確定という受発注のワークフローをオンラインで完結でき、発注書のやり取りを紙からWebへ置き換えられます。iOS・Android・PCのブラウザから同じ機能にアクセスでき、外出先や現場からの発注にも対応します。
既存の販売管理・在庫・会計システムとはCSVやAPIで連携でき、手書き・FAXの発注書をデータ化するAI OCRのオプションも用意されています。得意先向けのオンライン発注体験まで作り込みたい卸・製造業に向いたソリューションです。
料金は、カタログ掲載の提供企業情報によると、導入サポート・基本パックの初期費用が1,500,000円〜(税抜)、年間クラウド利用料が3,000,000円(税抜)です。無料トライアルはなく、デモ・見積相談での対応となります(2026年9月時点の税抜価格。最新の料金プランは資料請求で確認できます)。
まとめ
注文書と発注書は、法的にも実質的にも同じ書類で、呼び方が違うだけです。どちらを使うかは業界・企業の慣習によるもので、法律上の決まりはありません。大切なのは名称ではなく、記載項目が漏れなく入っていること、そして発注請書・見積書・個別契約書など関連書類との役割の違いを正しく理解しておくことです。
保存期間は法人7年・個人5年(消費税の課税事業者は7年など例外あり)、収入印紙は原則不要(契約書に該当する場合は例外)、取適法(旧・下請法)が適用される取引では発注時の書面または電磁的方法による明示が義務、というのが実務上の要点です。まずは社内で注文書・発注書の呼び方と書式を統一し、必要に応じて受発注システムで作成・保存・管理を効率化することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q. 発注書(注文書)とは何ですか?
A. 発注書(注文書)とは、商品やサービスを注文する側が、取引内容を具体的に示して相手に交付する書類です。何を・いくつ・いくらで・いつまでに納めてほしいのかを明記し、口頭やメールでは曖昧になりがちな取引条件を書面として確定させる役割があります。
Q. 注文書と発注書は同じものですか?違いはありますか?
A. 注文書と発注書は、法的にも実質的にも同じ書類で、呼び方が違うだけです。民法上はどちらも契約の「申込み」にあたり、名称によって効力や扱いが変わる規定はありません。取引先が「注文書」、自社が「発注書」と呼んでいても、書類としての意味や証拠力に差は生じません。
出典・参考資料(1件)
- 出典:民法 第522条|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)
Q. 注文書と発注書は、自社ではどちらを使えばよいですか?
A. 注文書と発注書はどちらを使っても法的に問題はなく、社内で呼び方を一方に統一しておくのがおすすめです。慣習としては、既製品の売買では「注文書」、製造・加工・請負や業務委託では「発注書」が使われやすい傾向がありますが、これは法律上の決まりではありません。名称そのものよりも、記載すべき項目が漏れなく入っているかどうかのほうが重要です。
Q. 発注書(注文書)はいつ発行するのが正しいですか?
A. 発注書(注文書)は、受注側から届いた見積書の内容に合意し、正式に注文する段階で発行するのが基本です。見積書を受け取る前に発行すると取引条件が固まらず、逆に発行を省くと条件の証拠が残りません。発行後は、受注側が発行する発注請書(注文請書)とセットで保管しておくと、後々のトラブル防止に役立ちます。
Q. 発注書と発注請書(注文請書)の違いは何ですか?
A. 発注書と発注請書の違いは、発注書が発注側の「申込み」、発注請書が受注側の「承諾」にあたる点です。発注書で注文を出し、それを受けた受注側が発注請書で引き受ける意思を示すことで、契約内容が書面で確定します。名前は似ていますが、発注書は買い手が、発注請書は売り手が発行する書類で、2枚が対になることで合意の事実を証明しやすくなります。
Q. 発注書(注文書)に収入印紙は必要ですか?
A. 発注書(注文書)に収入印紙は、原則として不要です。国税庁は、注文書などと表示された文書の多くは契約の申込みを証明する目的で作られるため、通常は課税対象にならないとしています。
ただし、その注文書だけで自動的に契約が成立する場合や、双方の署名・押印がある場合など、契約書に該当する内容であれば課税対象になります。また、請負を引き受ける発注請書(注文請書)は「請負に関する契約書」として課税対象になることがあります。
出典・参考資料(2件)
- 出典:No.7118 申込書、注文書、依頼書等と表示された文書の取扱い|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7118.htm)
- 出典:No.7102 請負に関する契約書|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7102.htm)
Q. 個人事業主の場合、発注書(注文書)の保存期間は何年ですか?
A. 個人事業主が受け取った・作成した発注書(注文書)の保存期間は、原則5年、ただし消費税の課税事業者は7年です。「個人は一律5年」ではなく、収入金額や必要経費を記載した法定帳簿は7年、消費税の課税事業者は書類も7年保存が必要になる点に注意してください(法人は原則7年)。
出典・参考資料(2件)
- 出典:No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2080.htm)
- 出典:No.6621 帳簿の記載事項と保存|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6621.htm)
Q. 発注書(注文書)を電子データでやり取りしても問題ありませんか?
A. 発注書(注文書)を電子データで発行・やり取りすることは法的に問題なく、紙のように収入印紙を貼る必要もありません。むしろ、メールやWeb上でやり取りした電子取引のデータは、電子帳簿保存法により電子データのまま保存することが義務づけられています。受発注システムを使えば、発注書の発行から受領・保存までをオンラインで一元管理でき、電子帳簿保存法にも対応しやすくなります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
















