取引先に請求書を出すとき、あるいは受け取ったときに、「支払期日をいつにすればよいのか」「そもそも法律で決まった期限はあるのか」と迷ったことはないでしょうか。締め日と支払日の関係や、月末締め翌月末といった商慣行は、日々の請求業務では当たり前に使われている一方で、いざ改めて問われると根拠まで説明しにくいものです。
結論から言えば、一般的なBtoB取引では支払期日に法律上の一律の決まりはなく、取引の当事者が合意して決めます。ただし、取適法(旧・下請法)やフリーランス新法が適用される取引では「受領後60日以内」という上限があり、自社が該当するかどうかで扱いが変わります。さらに、支払期日を過ぎても入金されないときに備えて、遅延損害金や時効といった実務知識も押さえておく必要があります。
本記事では、請求書の支払期日(支払期限)とは何かという定義から、決め方・書き方、法律上の60日ルール、そして支払期日を過ぎても入金されないときの段階的な対処法・遅延損害金・時効までを整理します。最後に、繰り返す未回収を仕組みで減らすための督促自動化・回収代行・保証といった解決手段も紹介します。
目次
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請求書の支払期日(支払期限)とは
請求書の支払期日とは、買い手(代金を支払う側)が請求された代金を入金すべき期限の日のことです。請求書では「お支払期限」「支払期日」などと記載され、どちらも同じ意味で使われます。売り手にとっては入金を見込む基準日であり、買い手にとっては遅れずに支払うべき締め切りにあたります。
支払期日は、売掛金の管理や未回収時の対応の起点にもなります。後述する遅延損害金や消滅時効は、いずれも「支払期日を過ぎたかどうか」を基準に考えるため、請求書に支払期日を明確に記載しておくことが実務上の出発点になります。
支払サイト・締め日・支払日の関係
支払期日を理解するうえで欠かせないのが、締め日・支払日・支払サイトの3つの関係です。締め日は、一定期間の取引をまとめて集計する区切りの日を指します。支払日は、締めた分の代金を実際に支払う日で、これが支払期日にあたります。
支払サイトは、締め日から支払日までの期間のことです。たとえば「月末締め・翌月末払い」なら支払サイトは約30日、「月末締め・翌々月末払い」なら約60日となります。支払サイトが長いほど買い手の資金繰りには余裕が出ますが、売り手にとっては入金までの期間が延びる点に注意が必要です。

支払サイトの意味や、30日・60日といった長さが下請法や自社の資金繰りにどう影響するかを詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
支払期日を明記する理由
支払期日を請求書に明記しておくと、買い手にいつまでに支払えばよいかが明確に伝わり、支払い忘れや認識の食い違いを防げます。「請求書を受け取ってから適当なタイミングで」といった曖昧な運用では、入金が遅れても催促の基準がはっきりせず、回収が後手に回りがちです。
また、支払期日は入金消込(どの請求に対する入金かを突き合わせる作業)の管理基準にもなります。取引先ごとに支払期日を統一・可視化しておくことで、期日を過ぎた売掛金をすばやく把握でき、次の一手に移りやすくなります。
請求書の支払期日の決め方(2つのパターンと支払サイト)
ここからは、支払期日を実際にどう決めるかを見ていきます。BtoBの継続的な取引では、都度支払期日を決めるのではなく、締め日と支払サイトをあらかじめ取り決めておくのが一般的です。代表的なのが、次の2つのパターンです。
- 月末締め・翌月末払い(支払サイト約30日):たとえば4月中の取引を4月末で締め、5月末までに支払う形です。入金までの期間が比較的短く、売り手の資金繰りに配慮したパターンです。
- 月末締め・翌々月末払い(支払サイト約60日):4月中の取引を4月末で締め、6月末までに支払う形です。買い手側の資金繰りに余裕を持たせやすく、大手企業との取引で採用されることがあります。
どちらのパターンを採用するかは、業界の慣行や取引先との力関係、双方の資金繰りを踏まえて決めます。迷ったときの目安として、実務では「月末締め・翌月末払い(支払サイト約30日)」が広く使われており、新規取引で特段の事情がなければ、まずこの形を基準に取引先と調整するのが一般的です。
新規取引を始める際は、支払サイトを見積書や基本契約書の段階で取り決めておくと、請求のたびに支払期日で迷わずに済みます。ただし、次に述べるとおり、取引の種類によっては支払サイトに法律上の上限がある点に注意が必要です。
支払期日に関する法律上のルール(受領後60日以内の上限)
一般的なBtoB取引では、支払期日を何日後にしなければならないという法律上の一律の決まりはありません。支払サイトは取引の当事者が合意して自由に決められます。ただし、取引の内容や当事者の規模によっては、次の2つの法律が「受領後60日以内」という上限を課します。自社の取引がこれらに該当するかを確認しておきましょう。
取適法(旧・下請法)が適用される取引
従来「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」と呼ばれていた法律は、2026年1月1日に改正法が施行され、名称が「中小受託取引適正化法(取適法)」に改められました。あわせて適用対象となる取引や事業者の範囲が拡大されています。取適法が適用される委託取引では、代金の支払期日を、給付を受領した日から起算して60日以内の、できる限り短い期間内に定めることが義務づけられています。
製造委託等代金の支払期日は、委託事業者が中小受託事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、委託事業者が中小受託事業者の給付を受領した日(役務提供委託又は特定運送委託の場合にあつては、中小受託事業者からその委託に係る役務の提供を受けた日。以下同じ。)から起算して、六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。
出典:中小受託取引適正化法(取適法)第3条|e-Gov法令検索
2026年1月の改正では、従来の資本金基準に加えて、常時使用する従業員数による基準(製造委託等で300人、役務提供委託等で100人)が新たに追加されました。委託事業者・受託事業者のいずれかが資本金基準または従業員基準を満たす場合に、取適法の適用対象となります。おおまかには委託する側が受託する側より規模の大きい取引が対象になり、具体的な線引きは資本金の区分で次のように定められています。
- 物品の製造・修理委託、および政令で定める情報成果物作成・役務提供委託(プログラム作成、運送・倉庫保管・情報処理など):委託側の資本金が3億円超で受託側が3億円以下、または委託側が1,000万円超3億円以下で受託側が1,000万円以下(いずれも個人を含む)の場合。
- 上記以外の情報成果物作成・役務提供委託:委託側の資本金が5,000万円超で受託側が5,000万円以下、または委託側が1,000万円超5,000万円以下で受託側が1,000万円以下(いずれも個人を含む)の場合。
これらの資本金基準か、前述の従業員数基準のいずれかに当てはまれば取適法の適用対象です。これまで対象外だった取引が新たに該当するケースもあるため、自社の取引が対象かどうかを、公正取引委員会や政府広報の公式情報もあわせて確認しておくことが大切です。
フリーランスに業務委託する取引(フリーランス新法)
フリーランス(従業員を雇用していない個人など=特定受託事業者)に業務委託する場合は、取適法とは別に「フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス新法)」が適用されます。この法律でも、報酬の支払期日を、給付を受領した日から起算して60日以内の、できる限り短い期間内に定めることが求められています。
特定業務委託事業者が特定受託事業者に対し業務委託をした場合における報酬の支払期日は、当該特定業務委託事業者が特定受託事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、当該特定業務委託事業者が特定受託事業者の給付を受領した日(第二条第三項第二号に該当する業務委託をした場合にあっては、特定受託事業者から当該役務の提供を受けた日。次項において同じ。)から起算して六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。
出典:フリーランス・事業者間取引適正化等法 第4条|e-Gov法令検索
逆にいえば、取適法にもフリーランス新法にも該当しない一般のBtoB取引では、支払期日に法律上の60日上限はなく、当事者の合意で決めることになります。自社の取引がどちらのケースかを見極めたうえで、支払サイトを設定しましょう。
請求書への支払期日の書き方
支払期日は、請求書の宛先・発行日・金額などと並ぶ基本項目のひとつです。書き方で最も大切なのは、「2026年10月31日」のように具体的な年月日で記載することです。年月日で明記しておけば、買い手が支払うべき日を一意に把握でき、認識の食い違いを防げます。
避けたいのは、「発行日から30日以内」「請求書到着後1ヶ月」といった相対的な表記です。発行日と到着日にずれがあると、いつが期日なのか双方の解釈が分かれるおそれがあります。特に月末締めの取引では、相対表記のままだと支払日が月ごとにずれてしまい、入金管理も煩雑になります。記載位置は、金額の近くや請求書の下部など、買い手がひと目で確認できる場所にまとめておきましょう。
- 良い書き方:「お支払期限:2026年10月31日」のように、支払期日を具体的な年月日で明記する。
- 避けたい書き方:「発行日から30日以内」「請求書到着後1ヶ月以内」など、起算日が受け手によって変わる相対的な表記。
土日祝・年末年始に当たる場合の扱い
設定した支払期日が土日祝や年末年始などの金融機関の休業日に当たると、その日に振込が実行できません。実務では、休業日の場合は前営業日に前倒しするか、翌営業日に繰り下げるかを、あらかじめ取引先と取り決めておきます。どちらにするかは当事者の合意によりますが、請求書や基本契約書に「支払期日が金融機関休業日の場合は翌営業日とする」などと明記しておくと、期日前後のトラブルを避けられます。
支払期日の記載がない請求書を受け取ったら
取引先から届いた請求書に支払期日の記載がない場合は、自己判断で支払わず、まず発行元に支払期日を確認するのが安全です。期日が不明なまま放置すると、意図せず支払いが遅れて取引関係に影響しかねません。自社が請求書を発行する側であれば、支払期日は必ず記載し、受け取る側に確認の手間をかけさせないようにしましょう。
支払期日を過ぎても入金されないときの対処法(段階手順)
支払期日を過ぎても入金が確認できないときは、いきなり法的手段に出るのではなく、段階を踏んで対応するのが基本です。ここでは、①自社の請求内容の確認、②取引先への連絡、③内容証明郵便での催告、④支払督促・少額訴訟という4段階を、それぞれ「いつ・何をするか」の粒度で解説します。自社の状況が今どの段階にあるかを踏まえて、必要なところから読み進めてください。

①自社の請求内容に誤りがないか確認する
まず確認すべきは、自社側の請求に不備がなかったかです。請求書の送付先・送付日・金額・支払期日に誤りがないか、そもそも請求書が相手に届いているかを見直しましょう。請求書の未達や記載ミスが原因で入金されていないケースは少なくありません。自社側に原因があれば、正しい請求書を再送するだけで解決することもあります。
②取引先へ支払い状況を確認・連絡する
自社側に問題がなければ、取引先へ連絡して支払い状況を確認しましょう。最初は電話やメールでの穏やかな確認から始めるのが一般的です。単なる支払い忘れであれば、この段階で入金されることも多くあります。連絡しても支払われない、あるいは連絡がつかない場合は、書面での督促状(催促状)を送り、支払いを正式に求めます。いつ・誰に・どのように連絡したかを記録に残しておくと、後の手続きで役立ちます。
③内容証明郵便で催告する
通常の督促状で支払われないときは、内容証明郵便での催告に進みます。内容証明郵便は、いつ・どんな内容の文書を誰に送ったかを郵便局が証明する制度で、相手に心理的な圧力を与えるとともに、後の法的手続きで「請求した事実」の証拠になります。
さらに、内容証明郵便による請求は法律上の「催告」にあたり、時効の完成を6ヶ月間猶予する効果があります。時効の完成が近い売掛金では、この効果を使って時間を確保できます。ただし、再度の催告では猶予は延長されないため、催告の後は次の手続きに進む前提で動く必要があります。
催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
出典:民法 第150条|e-Gov法令検索
催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。
④支払督促・少額訴訟を申し立てる
それでも支払われない場合は、法的手続きを検討します。代表的なのが支払督促と少額訴訟です。
支払督促は、簡易裁判所を通じて書類審査のみで相手に支払いを促す手続きで、比較的簡易かつ迅速に進められます。相手が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議を申し立てなければ、裁判所は仮執行宣言を付し、債権者はこれをもとに強制執行を申し立てられます。ただし、相手が異議を申し立てると通常訴訟に移行します。
出典・参考資料(1件)
少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払いを求める訴えについて、原則として1回の審理で解決を図る手続きです。1人が同じ裁判所に申し立てられる回数は年10回までに制限されています。
相手の言い分が食い違っていて争いになりそうなときは少額訴訟、争いはなく迅速に債務名義(強制執行の根拠となる公的な文書)を得たいときは支払督促、というように使い分けます。どちらを選ぶか判断に迷う場合は、弁護士など専門家への相談も検討しましょう。
出典・参考資料(1件)
受領側(支払う側)として支払期限が短い・過ぎたときは
ここまでは請求する側(売り手)の視点で説明してきましたが、支払う側(買い手)として支払期限が短すぎる、あるいはうっかり過ぎてしまったという場面もあります。期限が短くて資金繰りが厳しい場合は、早めに取引先へ相談し、支払サイトの見直しや分割・延長を交渉するのが基本です。
期限を過ぎてしまったときは、放置せずすみやかに連絡して事情を伝え、支払時期を明確にすることで、取引関係への影響を最小限にとどめられます。
支払期日を過ぎた場合の遅延損害金
支払期日を過ぎて代金が支払われない場合、売り手は買い手に対して遅延損害金を請求できます。遅延損害金は、支払いが遅れたことへの損害賠償にあたり、支払期日の翌日から実際に支払われる日までの日数に応じて発生します。
利率は、契約であらかじめ定めた約定利率があればそれによります。約定利率の定めがない場合は法定利率が適用され、法定利率は2026年時点で年3%です(法定利率は3年ごとに見直される変動制ですが、現行の期間も年3%に据え置かれています)。金銭債務の遅延損害金については、債権者は損害の証明をする必要がありません。
金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。
出典:民法 第419条|e-Gov法令検索
ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
遅延損害金の計算式は、実務では次のように考えます。
遅延損害金 = 未払いの元本 × 遅延日数 ÷ 365 × 利率
たとえば、未払いの元本が100万円、遅延日数が30日、法定利率年3%の場合、100万円 × 30 ÷ 365 × 0.03 = 約2,465円が遅延損害金の目安になります。金額自体は大きくないこともありますが、支払いを求める正当な根拠として、また支払いを促す材料として意味を持ちます。
ただし、取適法やフリーランス新法が適用される取引では扱いが異なります。取適法の適用取引で委託事業者が支払いを遅延した場合、受託側は受領日から60日を経過した日から実際に支払う日までの日数に応じて、年率14.6%の遅延利息を請求できます。これは取適法が定める遅延利息の特則で、一般の法定利率(年3%)より高い水準です。
同じ元本100万円・遅延30日で計算すると、100万円 × 30 ÷ 365 × 0.146 = 約1万2,000円となり、一般の法定利率年3%(約2,465円)より大きくなります。自社の取引がこれらの法律の対象かどうかで請求できる利率が変わるため、前述の適用対象の確認とあわせて押さえておきましょう。
出典・参考資料(2件)
売掛金(請求)の時効は支払期日の翌日から5年
売掛金には消滅時効があり、一定期間行使しないと権利が消滅します。現在の民法では、債権は「権利を行使できることを知った時から5年間」行使しないと時効によって消滅します。売掛金は支払期日に権利を行使できることがわかっているため、支払期日の翌日から5年で時効を迎えると考えます。
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
出典:民法 第166条|e-Gov法令検索
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
かつては職業別に2年・3年といった短期の消滅時効が定められていましたが、これらは2020年4月施行の民法改正で廃止され、現在は原則5年に統一されています。「売掛金の時効は2年」という古い情報を目にすることがありますが、現在新たに発行する請求書の売掛金は5年で考えるのが正確です。
ただし、2020年3月31日以前に発生した債権には改正前の民法が適用され、職業別の短期時効(2年など)が残っている場合があります。長く放置している古い売掛金は、発生した時点の法律にもとづいて時効を確認してください。
時効の進行は、一定の対応で止めたりリセットしたりできます。前述のとおり内容証明郵便による催告には時効の完成を6ヶ月猶予する効果があり、その間に支払督促や訴訟などの手続きをとれば時効を更新(リセット)できます。また、相手が債務を承認(支払猶予の申し入れや一部弁済など)した場合も、その時点から時効が新たに進行を始めます。
請求書を再発行しても時効は延びない点にも注意が必要です。未回収の売掛金は、時効を意識して早めに対応することが大切です。
繰り返す未回収を根本から減らす解決手段(督促自動化・売掛金回収代行・保証)
ここまで見てきた自力での督促・回収は、1件・2件であれば対応できても、未回収が繰り返し発生したり、滞留する売掛金が積み上がったりすると、社内の負担が大きくなります。そうした場合は、督促・回収の実務そのものを外部の仕組みやサービスに任せるという選択肢があります。まずは依頼先の全体像を整理しましょう。
依頼先タイプの地図(請求代行・督促自動化/保証・ファクタリング/サービサー・弁護士)
未回収への対応を外部に頼る場合、依頼先は大きく3つのタイプに分けられます。自社の状況に合うのがどれかを見極めるのが、最初のステップです。
- ①請求代行・督促自動化:請求書の発行から入金消込、督促(メール・SMS・電話・郵送)までを代行またはツールで自動化するタイプです。すでに発生した未収の督促を仕組み化したい、繰り返す未回収の手間を減らしたい場合に向きます。
- ②保証・ファクタリング:売掛金の未回収リスクを保証会社に移転したり、売掛債権を買い取って早期に資金化したりするタイプです。将来の取引の焦げ付きを未然に防ぐ・資金繰りを安定させる目的に向きます。すでに支払期日を過ぎた売掛金の回収そのものには直接効きにくい点に注意が必要です。
- ③サービサー(債権回収会社)・弁護士:法的な回収まで踏み込むタイプです。回収が難航している債権や、法的手続きが必要な債権を専門家に委ねます。
このうち②の保証で未回収リスクに備える方法は、将来の取引の焦げ付きを未然に抑えたい場合の選択肢です。保証範囲や料金、ファクタリングとの違いをふまえた選び方は、以下の記事で比較しています。
このうちサービサー(債権回収会社)を利用する際は、必ず正規の許可を受けた業者かを確認しましょう。他人の債権の管理回収を業として行えるのは、サービサー法にもとづき法務大臣の許可を受けた株式会社に限られます。無許可の業者による債権回収は違法であり、トラブルの原因になります。
債権管理回収業は、法務大臣の許可を受けた株式会社でなければ、営むことができない。
出典:債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)第3条|e-Gov法令検索
督促・回収を自動化・代行する主なサービスを比較
ここでは、支払期日を過ぎた売掛金や繰り返す未収に対して、督促・回収の実務を自動化または代行するサービスを比較します。それぞれ督促のチャネル(メール・SMS・電話・郵送)や、請求から回収までどこまでをカバーするかが異なります。自社が「督促を仕組みで自動化したい」のか「請求から回収まで丸ごと任せたい」のかを軸に見比べてください。
| サービス名 | 請求まるなげロボ | 請求管理ロボ | DHKクラウドオートコール | 債権回収ロボ | Lecto |
|---|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社ROBOT PAYMENT | 株式会社ROBOT PAYMENT | 株式会社電話放送局 | 株式会社ROBOT PAYMENT | Lecto株式会社 |
| タイプ | 請求代行(与信〜回収・保証) | 請求管理システム(SaaS) | 督促自動化(オートコール) | 督促・回収自動化(SaaS) | 督促・回収DX(SaaS) |
| 督促チャネル | メール・電話(弁護士法人対応含む) | メール(自動催促) SMS・電話は債権回収ロボ連携 | オートコール(IVR)・SMS・メール | メール・SMS・オートコール(IVR)・郵送 | メール・SMS・IVR(自動音声)・書面 |
| カバー範囲 | 与信〜請求・回収・消込・督促を一括代行 | 請求書発行〜送付〜入金消込〜督促(メール) | 督促架電の自動化(入金案内・リマインド) | 未収債権の多チャネル督促・回収 | 督促〜入金管理・消込の一元化 |
| 売掛金保証 | ●100%保証(適格・与信通過債権) | × | × | × | × |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 50,000円〜 | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 要問い合わせ (月額利用料+手数料1.0%〜) | 要問い合わせ (月額+請求件数従量) | 50,000円〜 (月1,000件まで含む) | 要問い合わせ | 要問い合わせ (基本料+督促数の従量) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る |
※2026年9月時点の各社公式情報にもとづく。最新の料金・機能は各社の公式資料をご確認ください。
各サービスの特徴
1. 請求まるなげロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

請求まるなげロボは、与信審査から請求書の発行・送付、代金回収、入金消込、そして未入金時の督促(メール・電話・弁護士法人による対応)までを一括で代行する請求代行サービスです。回収業務そのものを外部化できるため、繰り返す未回収に社内リソースを割きたくない企業に向きます。与信を通過した適格な取引については売掛金の100%保証が付く点も特徴です。
2. 請求管理ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

同じ株式会社ROBOT PAYMENTが提供する請求管理ロボは、請求書の発行から入金消込までを自動化する請求管理システムです。支払期日前のリマインドメールと期限後の催促メールを、あらかじめ設定した日数に沿って自動送信し、未入金を可視化して督促の抜け漏れを防ぎます。単体の督促はメールが中心で、SMS・電話・郵送を含む多チャネルの督促は、同社の債権回収ロボと連携して拡張できます。
3. DHKクラウドオートコール(株式会社電話放送局)

DHKクラウドオートコールは、未入金・滞納者への督促架電を自動音声(IVR)とSMSで自動化するサービスです。オペレーターが1件ずつ架電する必要がなく、督促の架電工程を人手に頼らず回せます。初期の未収から中長期の督促・入金案内まで対応し、カード・後払い事業者などでの導入事例があります。電話での督促を効率化したい場面に向きます。
督促の架電を自動化する際は、効率だけでなく、案内の仕方によって受け手とのトラブルが起きやすい点にも配慮が必要です。この設計上の考え方について、電話放送局の前田氏は次のように述べています。

入金案内や督促は、伝える内容が定型化しやすい一方で、案内の仕方によってはトラブルや苦情につながりやすい業務です。一方で、入金コールは人が案内する場合と比べて、トラブルや苦情を軽減できる側面もあります。だからこそ、まずは“自動化しても顧客体験を損ねにくい設計”をすることが大切だと考えています。
オートコールは使い方を間違えると社会問題になりかねません。だから当社としては、用途の相性を見極めて、やめた方がいいケースは止める。その線引きも含めて一緒に考えています。
4. 債権回収ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

督促・回収に特化しているのが、株式会社ROBOT PAYMENTの債権回収ロボです。メール・SMS・オートコール(IVR)・郵送の4チャネルで督促シナリオを自動実行し、BtoBの売掛金からBtoCの消費者債権まで対応します。督促のタイミングやチャネルをシナリオとして設計・自動化でき、同社の請求管理ロボと連携すれば請求から督促・回収までを一気通貫でつなげられます。料金は取引規模に応じた見積制です。
5. Lecto(Lecto株式会社)

Lectoは、メール・SMS・IVR・書面の多チャネル督促から入金管理までを一元化する督促・回収DXプラットフォームです。督促業務を標準化・自動化し、回収状況を可視化できます。ローンや後払い、サブスクリプションなど継続課金・分割払いを扱う事業者での活用が中心で、督促・回収の選択肢を広げるうえで比較材料になります。料金は要問い合わせです。
ここで取り上げたのは、督促・回収を自動化・代行するサービスの一部です。売掛金回収代行の依頼先を、請求代行・督促自動化から保証、サービサーまで依頼先タイプ別に比較し、費用相場や選び方まで詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
売掛金回収代行サービスおすすめ21選を徹底比較|依頼先タイプ別の選び方・費用相場・督促自動化まで解説
取引先に商品やサービスを納めたのに、支払期日を過ぎても売掛金が入金されない。督促の電話やメールを送っても先延ばしにされ、自社の手間ばかりがかさんでいく。そんな未回収の売掛金を前に、どう動けばよいか判断しかねていませんか。回収にかけられる人手…
まとめ
請求書の支払期日は、一般的なBtoB取引では当事者の合意で決めますが、取適法(旧・下請法)やフリーランス新法が適用される取引では受領後60日以内という上限があります。支払期日は「月末締め・翌月末/翌々月末」といった支払サイトで設定し、請求書には具体的な年月日で明記するのが基本です。
支払期日を過ぎても入金されないときは、自社の請求確認から取引先への連絡、内容証明郵便での催告、支払督促・少額訴訟へと段階を踏んで対応します。遅延損害金は支払期日の翌日から年3%(取適法適用取引は年14.6%)で発生し、売掛金の時効は支払期日の翌日から5年です。
未回収が繰り返し発生する場合は、督促自動化・回収代行・保証といった外部の仕組みを取り入れることで、回収の手間を根本から減らせます。まずは各サービスの資料を取り寄せ、自社の課題に合うものを比較検討してみましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 請求書の支払期日とは何ですか?
A. 請求書の支払期日とは、買い手(代金を支払う側)が請求された代金を入金すべき期限の日のことです。請求書では「お支払期限」「支払期日」などと記載され、どちらもほぼ同じ意味で使われます。売り手にとっては入金を見込む基準日、買い手にとっては遅れずに支払うべき締め切りにあたり、後述する遅延損害金や時効を考える際の起点にもなります。
Q. 請求書の「支払期日」と「支払期限」に違いはありますか?
A. 請求書の「支払期日」と「支払期限」は、実務上はどちらも代金を入金すべき日を指す同じ意味の言葉で、明確な使い分けはありません。各社の記事やフォーマットでは「支払期限」の表記が多く見られますが、指している内容は同一です。どちらの表記を使う場合でも、請求書には具体的な年月日を明記しておけば、買い手との認識の食い違いを防げます。
Q. 請求書の支払期日は法律で何日以内と決めなければなりませんか?
A. 請求書の支払期日は、一般的なBtoB取引では法律上の一律の決まりはなく当事者の合意で自由に決められますが、取適法(旧・下請法)やフリーランス新法が適用される取引では「受領後60日以内」が上限となります。自社の取引がこれらの法律の対象かどうかで扱いが変わるため、資本金・従業員数の基準や委託の内容を確認しておきましょう。
取適法は2026年1月の改正で名称と適用範囲が変わっており、これまで対象外だった取引が新たに該当するケースもあります。
出典・参考資料(3件)
Q. 支払期日の記載がない請求書を受け取ったらどうすればよいですか?
A. 支払期日の記載がない請求書を受け取ったら、自己判断で支払わず、まず発行元に支払期日を確認するのが安全です。期日が不明なまま放置すると、意図せず支払いが遅れて取引関係に影響しかねません。自社が請求書を発行する側であれば、支払期日は必ず具体的な年月日で記載し、受け取る側に確認の手間をかけさせないようにしましょう。
Q. 請求書を再発行すると売掛金の時効は延びますか?
A. 請求書を再発行しても、売掛金の時効(支払期日の翌日から5年)は延びません。時効の進行を止めるには、内容証明郵便による催告(時効の完成を6ヶ月猶予)や、支払督促・訴訟、相手による債務の承認(支払猶予の申し入れや一部弁済など)といった法律上の手続きが必要です。未回収の売掛金は再発行に頼らず、時効を意識して早めに対応することが大切です。
出典・参考資料(1件)
Q. 請求書の支払期日を過ぎたら、すぐに法的措置を取られますか?
A. 請求書の支払期日を過ぎても、すぐに法的措置が取られることはまれで、通常はまず電話・メールや督促状での連絡から始まります。多くの未払いは単なる支払い忘れで、この段階で入金されることも少なくありません。ただし、支払遅延が長期化・常習化すると、内容証明郵便による催告や支払督促・少額訴訟といった法的手続きに進むリスクが高まるため、放置は避けましょう。
Q. 支払う側として支払期日に間に合いそうにないときはどうすればよいですか?
A. 支払う側として支払期日に間に合いそうにないときは、放置せず、期日前のできるだけ早い段階で取引先に連絡し、事情と支払見通しを伝えるのが基本です。1〜2週間程度の延長や分割払いは、合理的な理由と明確な支払計画を示せば応じてもらえるケースもあります。無断で遅れると信用を損なうため、誠実な連絡と交渉で取引関係への影響を最小限にとどめましょう。
Q. 請求書の督促や売掛金の回収は外部のサービスに任せられますか?
A. 請求書の督促や売掛金の回収は、督促自動化ツールや請求代行・回収代行サービスに任せられます。メール・SMS・オートコール・郵送での督促を自動化する仕組みや、請求書の発行から入金消込・督促・回収までを一括で代行するサービスがあり、繰り返す未回収にかかる社内の手間を減らせます。
依頼先を選ぶ際は許可の有無にも注意が必要です。他人の債権の管理回収を業として行えるのは、サービサー法にもとづき法務大臣の許可を受けた債権回収会社に限られるため、正規の許可業者かを確認しましょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















