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個人相手の売掛金が回収できない|督促・少額訴訟から貸倒損失までの進め方

個人相手の売掛金が回収できないときのサムネイル画像
督促・売掛金回収代行比較表(2026年版)のプレビュー

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督促・売掛金回収代行比較表(2026年版)

個人のお客様や個人事業主の取引先に商品・サービスを掛けで提供したものの、支払期日を過ぎても入金がなく、連絡も取りづらくなってきた——そんな状況で「相手が個人だと、法人と同じように回収してよいのか」「少額なのに裁判までやる価値はあるのか」と迷っていませんか。相手が個人の場合、死亡や自己破産、所在不明といった、法人取引にはない詰まりどころも出てきます。

先に結論をお伝えすると、相手が個人でも、取れる回収手段は残っています。まずは催促や内容証明で任意の支払いを促し、応じなければ支払督促・少額訴訟・強制執行と段階的に進めます。どこまで試みても回収できないと判断できた売掛金は、貸倒損失として損金(個人事業主は必要経費)に計上します。

本記事では、個人相手の売掛金を回収する手段を着手順に整理し、支払督促・少額訴訟・強制執行などの使い分けを金額・費用・期間・実効性で比較します。あわせて、相手の死亡・所在不明・自己破産といった個人ならではの対処、消滅時効、回収不能が確定したときの貸倒損失の要件と仕訳までを、民法や国税庁の根拠とともに解説します。自社のケースで「次に何をすべきか」を判断する材料にしてください。

相手が個人でも売掛金の回収手段は残っている(段階フロー)

取引先が個人客や個人事業主であっても、売掛金を回収する手段は法人相手と基本的に同じで、段階を追って進めていきます。いきなり裁判を起こすのではなく、費用と手間の軽い手段から順に試し、応じてもらえなければ次の段階へ移るのが基本です。まずは全体の流れを押さえてください。

個人相手の売掛金の回収手段を段階順に示した図。STEP1は電話・メールでの催促、STEP2は内容証明郵便による催告で時効の完成を6か月猶予、STEP3は相殺・分割払いの交渉、STEP4は支払督促・少額訴訟で債務名義を取得、STEP5は強制執行で預貯金・不動産などを差し押さえる。費用と手間の軽い手段から順に進め、どこまで試みても回収できなければ、貸倒損失として損金(個人事業主は必要経費)に計上する。

ただし、個人客の場合は請求書に記載された程度の住所・氏名しか把握できていないことも多く、相手の住所地が必要な支払督促や訴訟で入口につまずきやすい点は、法人相手と違う注意点です。相手が一般の消費者だと、こちらが相殺に使える買掛金などの支払債務が生じにくいという違いもあります。次の各手段で、個人相手ならではの効き方・つまずき方も併せて見ていきます。

  1. 電話・メールでの催促:支払いの失念や請求内容の行き違いなら、これで解決することも少なくありません。
  2. 内容証明郵便による督促(催告):支払いを正式に求めた記録を残し、後述の時効の完成猶予(6か月)にもつなげます。
  3. 相殺・分割払いの交渉:相手に対する自社の支払債務があれば相殺で回収でき、一括が難しければ分割で回収の確度を上げます。
  4. 支払督促・少額訴訟などの法的手続き:任意の支払いに応じないときは、簡易裁判所の手続きで債務名義(強制執行の根拠となる公的な文書)を取りにいきます。
  5. 強制執行:債務名義をもとに、相手の預貯金や不動産などを差し押さえて回収します。

この流れのどこまで進めるかは、債権額の大きさや相手の状況によって変わります。少額の売掛金なら、費用と手間が回収額を上回る「費用倒れ」を避ける判断も必要です。次章で、各手段の対象金額・費用・期間・実効性を比較し、自社のケースでどこまでやる価値があるかを見極められるようにします。

個人相手の売掛金回収手段の使い分け

ここからは、回収手段を一つずつ見ていきます。まず、代表的な手段を対象金額・費用の目安・期間・向いている状況・実効性で並べると、次のように整理できます。

手段対象金額費用の目安かかる期間向いている状況実効性
内容証明郵便(催告)制限なし郵便料金など数千円即日〜数日まず正式に支払いを求めたい/時効が近い強制力はないが、心理的な督促と時効の完成猶予(6か月)の効果
支払督促上限なし申立手数料(通常訴訟の半額)+郵便費用数週間〜相手の住所が分かり、争いが少ない異議がなければ仮執行宣言を経て強制執行が可能。相手が異議を出すと通常訴訟へ移行
少額訴訟60万円以下申立手数料(訴額に応じる)+郵便費用原則1回の期日で判決60万円以下で早く決着させたい判決で債務名義を取得。被告が希望すると通常訴訟へ移行
通常訴訟制限なし申立手数料+郵便費用(+弁護士費用)数か月〜1年以上高額、または事実に争いがある判決で債務名義を取得。金額が大きいほど費用対効果が見合いやすい
強制執行制限なし(債務名義が前提)申立手数料+予納金財産を特定できれば数週間〜債務名義があり、相手に差し押さえる財産がある預貯金・不動産などを差し押さえて回収。財産が不明なら財産開示手続などが前段に必要
ファクタリング—(未回収前の売掛債権)売却額に応じた手数料最短即日回収不能になる前に早期資金化したい売掛債権を売却して現金化。すでに回収不能が確定した債権は対象外が一般的

※費用・手数料は訴額などにより変動します。具体額は裁判所の手数料早見表や各社の見積もりでご確認ください(2026年9月時点)。

費用の目安をもう少し具体的にすると、裁判所に納める申立手数料(収入印紙)は請求額に応じて決まり、たとえば請求額が10万円なら1,000円、60万円なら6,000円です(民事訴訟費用等に関する法律)。支払督促はその半額です。

少額訴訟・通常訴訟では、これとは別に連絡用の郵便切手(予納郵券)を数千円程度納めます。内容証明郵便は文書料・郵便料などを合わせて1,500円前後、強制執行は申立手数料に加えて予納金(預貯金などの差押えでは数千円〜数万円程度、不動産の競売では数十万円になる場合があります)がかかります。数万円の少額債権では、これらの費用と手間が回収額を上回りやすい点を念頭に、どこまで進めるかを判断してください。

出典・参考資料(2件)

内容証明・相殺・分割交渉(自分でできる初期対応)

電話やメールでの催促で支払われないときは、内容証明郵便で正式に支払いを求めます。内容証明は、いつ・誰が・どんな内容の督促をしたかを郵便局が証明する制度で、それ自体に相手を強制する力はありません。ただし「催告」に当たり、後述のとおり時効の完成を6か月先延ばしにする効果があります。

文面には、債権の内容と金額・支払期限・振込先に加え、応じない場合は法的手段を取る旨を記載するのが一般的です。自社で作成・送付もできますが、書き方や次の一手の見立てに不安があれば、弁護士や司法書士に依頼する方法もあります。

相手に対して自社も買掛金などの支払債務がある場合は、相殺によって対当額を回収できます。相殺は、双方の債務が弁済期にあるときに、一方の意思表示で行えます(民法505条・506条)。相手が一括では払えないという場合は、分割払いの合意を取り付けるのも有効です。分割の申し出や一部の入金は、次章で触れる「承認」に当たり、時効が更新される(振り出しに戻る)実益もあります。

支払督促(簡易裁判所の督促手続)

支払督促は、簡易裁判所の裁判所書記官が、債権者の申立てにもとづいて相手に支払いを命じる書面手続きです(民事訴訟法382条・383条)。裁判官の審理や口頭弁論がなく、金額の上限もないため、証拠がそろっていて相手が争ってこないと見込める場合に、簡易で費用も抑えられる手段です。申立ては相手の住所地を管轄する簡易裁判所に対して行います。

注意したいのは2点です。相手が支払督促に対して督促異議を申し立てると、通常訴訟へ移行します。また、支払督促は公示送達(相手の所在が不明なときに使う送達方法)ができないため、相手が所在不明の個人には使えません(民事訴訟法382条ただし書)。所在不明のケースへの対処は後述します。

少額訴訟(60万円以下)

少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に使える簡易な訴訟手続きで、原則として1回の期日で審理と判決が行われます。個人相手の少額の売掛金を、早く決着させたいときに向いています。民事訴訟法368条1項は、次のように定めています。

簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求めることができない。

出典:民事訴訟法 第368条|e-Gov法令検索

同じ簡易裁判所に対して同じ年に申し立てられる回数には上限(年10回)があります。また、被告(相手)が通常訴訟での審理を求めた場合は、通常訴訟に移行します。勝訴して判決が確定すれば、それが債務名義となり、強制執行に進めます。

通常訴訟・仮差押え・強制執行

債権額が60万円を超える場合や、金額・事実そのものに争いがある場合は、通常の民事訴訟で争います。時間と費用はかかりますが、金額が大きいほど費用対効果は見合いやすくなります。判決や和解で権利が確定すれば、債務名義を得られます。

判決が確定するまでには時間がかかり、その間に相手が預貯金を引き出したり財産を処分したりするおそれがあります。散逸のリスクが高いときは、訴訟に先立って相手の財産を仮に押さえておく「仮差押え」(民事保全)という手段があります。相手に知られる前に資産を押さえられる一方、担保金の予納が必要で、要件の判断も専門的なため、弁護士に相談して進めるのが一般的です。

債務名義を得ても相手が任意に支払わない場合は、強制執行で相手の財産(預貯金・不動産・売掛債権など)を差し押さえて回収します。ただし、どの財産をどこに持っているかは、原則として債権者が特定して申し立てる必要があります。財産が分からない個人相手のケースへの対処は、次章の「所在不明・財産不明」の項で扱います。

ファクタリングという選択肢

ファクタリングは、保有する売掛債権をファクタリング会社に売却して早期に現金化する方法です。取引先の入金を待たずに資金を確保できますが、すでに支払期日を大きく過ぎて回収不能が明らかな債権は、買い取りの対象外とされるのが一般的です。回収不能になったあとの手段というより、焦げ付く前の資金繰り対策や未回収リスクの移転策として位置づけるのが実態に合います。

自分で難しいときの依頼先(弁護士・債権回収代行)

相手が支払いに応じず、法的手続きまで自社で対応するのが難しい場合は、弁護士への依頼を検討します。弁護士は、内容証明の送付から交渉、支払督促・訴訟の代理、強制執行までを一貫して任せられます。ただし、着手金や報酬などの費用がかかるため、少額の債権では費用倒れになりやすい点に注意が必要です。回収額と費用の見込みを、依頼前に確認しておきましょう。

回収そのものではなく、督促の連絡業務を効率化・標準化したい場合は、督促を自動化するサービスを使う選択肢もあります。どのサービスがあるかは、記事後半の「再発防止・サービス活用」で紹介します(請求から回収までをまとめて任せる回収代行サービスの型は、記事末尾のリンク先で比較できます)。

出典・参考資料(4件)
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取引先が個人(個人事業主・個人客)ならではの詰まりどころ

ここまでの回収手段は法人相手と共通ですが、取引先が個人だと、法人取引では起きにくい詰まりどころがあります。代表的なのが、相手の死亡・所在不明・自己破産の3つです。それぞれ、どう考えればよいかを整理します。

取引先が個人の場合に法人取引では起きにくい3つの詰まりどころと対処を示した図。相手が死亡した場合は売掛金が消えず相続人に請求できるが(民法896条)、相続放棄をした人には請求できず全員が放棄すると回収が難しくなり、戸籍で相続人を調べる必要がある。所在不明・財産不明の場合は財産開示・情報取得手続で財産を調べられるが、確定判決などの債務名義が前提で、取得できるのは不動産・預貯金等の情報に限られ給与情報は取得できない。自己破産した場合は配当を受けられない残額の回収が事実上困難で、全額回収できないことが明らかなら事実上の貸倒れ(法人税基本通達9-6-2)で処理する。

相手が死亡した場合(相続人への請求・相続放棄)

個人事業主や個人のお客様が売掛金を残したまま亡くなっても、その債務は消えません。相続人が、亡くなった人(被相続人)の権利義務を引き継ぐためです。民法896条は、相続の効力を次のように定めています。

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

出典:民法 第896条|e-Gov法令検索

売掛金は相続人に請求できます。ただし、相続人が家庭裁判所に申述して相続放棄をすると、その人は初めから相続人でなかったものとみなされ、請求できなくなります(民法938条・939条)。相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から原則3か月以内に行うものとされています(民法915条)。

誰が相続人かを確かめるには戸籍をたどる調査が必要ですが、債権者が他人の戸籍を取得するのは容易ではなく、弁護士や司法書士による職務上請求(業務上必要な場合に戸籍などを取得できる制度)で調べてもらうのが一般的です。

相続人が全員放棄していれば回収は難しくなります。少額の売掛金では、相続人調査や請求にかかる手間・費用が回収見込みを上回り、回収を断念する判断になることもあります。次章の貸倒損失の要件とあわせて、どこで見切るかを検討してください。

所在不明・財産不明のとき(財産開示・情報取得手続)

相手の居所や財産が分からず、強制執行の対象を特定できないときは、裁判所を通じて相手の財産を調べる手続きがあります。一つは、相手本人を裁判所に呼び出して財産を陳述させる「財産開示手続」(民事執行法196条・197条)です。

もう一つは、裁判所が銀行や登記所などの第三者に照会する「第三者からの情報取得手続」で、売掛金の債権者が取得できるのは、相手名義の不動産(同法205条)と、預貯金・振替社債等(同法207条)の情報です。

ここで2つの前提に注意してください。第一に、これらの手続きは、いずれも確定判決・支払督促の確定・少額訴訟の判決といった「執行力のある債務名義」を得ていることが前提です。いきなり相手の財産を調べられるわけではなく、先に法的手続きで債務名義を取る必要があります。

第二に、相手の勤務先(給与)情報の取得は、養育費や生命・身体の侵害による損害賠償など一定の債権者に限られ、通常の売掛金の債権者は申し立てられません(民事執行法206条、裁判所の案内)。売掛金で使えるのは不動産・預貯金などの情報に限られる点を押さえておきましょう。

そもそも相手の現住所が分からないと、その前段の訴訟や支払督促の書類を送達できず、入口でつまずきます。

実務では、弁護士に依頼して住民票や戸籍の附票を職務上請求で取り寄せ、現住所を特定するところから始めます。それでも所在がつかめない場合は、裁判所の掲示で送達したものとみなす「公示送達」を使って訴訟を進める方法もあります。ここまでの手間・費用が少額の回収見込みに見合わないときは、早めに貸倒れの判断へ切り替えるのも現実的な選択です。

相手が自己破産した場合(同時廃止・管財)

取引先の個人が自己破産すると、破産手続を通じて財産が処分・配当されます。配当できる財産がほとんどない場合は手続開始と同時に終了する「同時廃止」、一定の財産がある場合は破産管財人が財産を換価・配当する「管財事件」になります。いずれの場合も、配当を受けられなかった残りの売掛金の回収は、事実上難しくなります。

税務上の扱いには注意が必要です。破産の免責許可決定は、債権を法的に消滅させるわけではなく、支払いを強制できない「自然債務」に変えるものです。

そのため、更生計画などによる債権の「切捨て」を要件とする法律上の貸倒れ(後述の法人税基本通達9-6-1)ではなく、資産・支払能力から全額回収できないことが明らかな場合に当たる「事実上の貸倒れ」(法基通9-6-2)として処理するのが実務上の考え方です。貸倒損失の要件は次章で詳しく見ていきます。

出典・参考資料(3件)

売掛金の消滅時効と、いつまでに動けばよいか

回収を進めるうえで意識しておきたいのが、消滅時効です。一定期間、権利を行使しないままだと、売掛金を請求する権利そのものが消えてしまいます。時効が完成する前に、催告や法的手続きで手を打つ必要があります。

消滅時効は原則5年(2020年の民法改正後)

売掛金などの債権の消滅時効は、民法166条1項が次のように定めています。

債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

出典:民法 第166条|e-Gov法令検索

売掛金は通常、支払期日を自社で把握しているため、一号の「権利を行使できることを知った時から5年」が働き、実務上は支払期日の翌日から5年で時効が完成する場合が多くなります。

また、2020年4月1日施行の改正民法で、職業別の短期消滅時効(改正前は売掛金が原則2年など)は廃止されました。適用の分かれ目は債権の発生時期で、2020年3月31日以前に生じた売掛金には、改正前の短期時効(原則2年)が適用されます。古い債権を扱うときは、発生時期を確認してください。

時効を止める(完成猶予・更新)

時効の完成が近い場合は、進行を止める手立てがあります。改正民法では「完成猶予」(一定期間、時効の完成を先延ばしにする)と「更新」(時効の進行を振り出しに戻す)という用語で整理されています。

  • 催告(内容証明郵便など):催告があった時から6か月を経過するまで、時効は完成しません(民法150条)。ただし、この6か月の間に裁判上の請求などをしないと、更新には至りません。
  • 裁判上の請求・支払督促:訴えの提起や支払督促の申立てがあると、その手続きの間は時効が完成せず、判決などで権利が確定すれば、その時から時効が新たに進行します(民法147条)。
  • 承認:相手が一部を弁済したり、残高確認書に署名したり、支払いを猶予してほしいと申し入れたりすると「承認」に当たり、その時から時効が更新されます(民法152条)。個人相手でも取り組みやすい、実務で有効な手立てです。
出典・参考資料(1件)

回収不能が確定したときの貸倒損失の処理(要件と仕訳)

手を尽くしても回収できないと判断した売掛金は、貸倒損失として費用に計上します。ここでは、どこで「回収不能」と見切るかの考え方と、貸倒損失として損金(個人事業主は必要経費)に算入できる要件、具体的な仕訳を、国税庁の根拠とともに見ていきます。

費用対効果で「回収不能」と見切る判断軸

回収を続けるか諦めるかは、残っている回収手段でかかる費用・手間と、回収できる見込み額を比べて判断します。少額の売掛金に通常訴訟や相続人調査のコストをかけると、回収額を費用が上回る「費用倒れ」になりかねません。

相手が自己破産して配当がほとんど見込めない、相続人が全員放棄した、所在も財産も分からないといった状況では、回収の継続より、貸倒損失として損金処理し、督促や与信の体制を立て直す方が合理的な場合があります。

ただし、貸倒損失は「回収できない」と自社が判断すれば計上できるわけではなく、税務上の要件を満たす必要があります。要件を満たさない段階で損金にすると、税務調査で否認されるおそれがあります。次に、その要件を確認します。

国税庁のタックスアンサーNo.5320は、貸倒損失として処理できる場合として3つの場合を挙げています。これらは一般に「法律上の貸倒れ」「事実上の貸倒れ」「形式上の貸倒れ」と呼ばれ、それぞれ法人税基本通達9-6-1〜9-6-3が根拠です。いずれかに当てはまれば、法人税法22条3項の損金に算入できます。

貸倒損失として処理できる3つの要件を示した図。国税庁タックスアンサーNo.5320に基づき、いずれか1つを満たせば損金(個人事業主は必要経費)に算入できる。法律上の貸倒れ(法人税基本通達9-6-1)は、更生・再生計画の認可や書面による債務免除で債権が法的に切り捨てられた場合で、切り捨てられた金額を損金にする。事実上の貸倒れ(9-6-2)は、資産状況・支払能力から全額が回収できないことが明らかな場合で、担保があれば処分後に全額を損金にする。形式上の貸倒れ(9-6-3)は、取引停止から1年以上経過などの場合で、対象は売掛債権に限られ、継続取引が前提で単発取引には使えず、備忘価額1円を残して残額を損金にする。

法律上の貸倒れは、更生計画・再生計画の認可決定や、書面による債務免除などで、債権が法的に切り捨てられた場合です。切り捨てられた金額を、その事実が生じた事業年度の損金に算入します。法人税基本通達9-6-1は次のように定めています。

9−6−1 法人の有する金銭債権について次に掲げる事実が発生した場合には、その金銭債権の額のうち次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する。
(1) 更生計画認可の決定又は再生計画認可の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(2) 特別清算に係る協定の認可の決定があった場合において、この決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(3) 法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で次に掲げるものにより切り捨てられることとなった部分の金額
 イ 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの
 ロ 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイに準ずるもの
(4) 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額

出典:法人税基本通達 9-6-1|国税庁

個人相手で使いやすいのは(4)の、書面による債務免除です。債務超過が相当期間続き、弁済を受けられないと認められる相手に、書面で債務を免除したことを明らかにすれば、その免除額を貸倒損失にできます。回収を断念して債権を放棄する場合は、口頭ではなく書面で免除の意思を残すことが要件になります。

事実上の貸倒れ(法基通9-6-2)

事実上の貸倒れは、法的な手続きがなくても、相手の資産状況や支払能力から売掛金の全額が回収できないことが明らかになった場合です。前述の自己破産で配当が見込めないケースなどが、これに当たります。法人税基本通達9-6-2は次のように定めています。

9−6−2 法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができる。この場合において、当該金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理をすることはできないものとする。

出典:法人税基本通達 9-6-2|国税庁

ポイントは、対象が「全額」が回収できないと明らかな場合に限られる点です。一部でも回収の見込みが残る段階では、この要件では貸倒損失にできません。また、担保があるときは、担保を処分した後でなければ計上できません。「全額回収できないことが明らか」かどうかは、相手の資産・負債や支払能力を示す資料で客観的に裏づける、個別性の高い判断になります。

形式上の貸倒れ(取引停止1年以上など・法基通9-6-3)

形式上の貸倒れは、全額回収不能とまでは言い切れなくても、一定の事実があれば売掛債権を貸倒れにできる取扱いです。対象は売掛金などの売掛債権に限られ、貸付金は含まれません。備忘価額(通常1円)を残した残額を損金経理します。法人税基本通達9-6-3は次のように定めています。

9−6−3 債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない。以下9−6−3において同じ。)について法人が当該売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、これを認める。
(1) 債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)
(2) 法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないとき

出典:法人税基本通達 9-6-3|国税庁

(1)は、継続的に取引していた相手の資産状況が悪化して取引を停止し、その後1年以上弁済がない場合です。ここで注意したいのは、(1)が「継続的な取引」を行っていた相手を前提としている点です。単発(スポット)の取引で生じた売掛金には、この形式上の貸倒れは使えません。

個人のお客様との一回限りの取引で焦げ付いた売掛金は、(1)ではなく、全額回収不能が明らかな事実上の貸倒れ(9-6-2)に当たるかで判断することになります。(2)は、取立ての旅費などより債権額が少なく、督促しても支払われない少額債権のケースです。

具体的な仕訳と、個人事業主の場合の扱い

貸倒損失の仕訳は、借方に「貸倒損失」、貸方に「売掛金」を立てるのが基本形です。継続的に取引していた個人事業主の取引先との取引を停止し、1年以上弁済がない売掛金15万円を、形式上の貸倒れ(9-6-3)で処理する場合は、備忘価額1円を残した残額を計上します。

借方金額貸方金額
貸倒損失149,999円売掛金149,999円

備忘価額の1円を残すのは、その債権が帳簿上に存在した記録を残しておくためです。一方、単発の個人客との取引が焦げ付いたケースなど、全額回収不能が明らかな事実上の貸倒れ(9-6-2)や、書面で全額を免除した法律上の貸倒れ(9-6-1(4))の場合は、備忘価額を残さず全額を貸倒損失に計上します。同じ売掛金15万円を全額計上する場合の仕訳は、次のとおりです。

借方金額貸方金額
貸倒損失150,000円売掛金150,000円

ここまでは法人(債権者)を前提にしましたが、債権者が個人事業主の場合も、事業の遂行上生じた売掛金の貸倒れは、その年分の事業所得などの計算上、必要経費に算入できます(所得税法51条2項)。勘定科目が貸倒損失である点や、法律上・事実上・形式上という要件の考え方は法人と共通です(法人税では損金、所得税では必要経費という扱いの違いがあります)。

また、課税売上として計上していた売掛金が貸し倒れたときは、その分の消費税額を控除できる仕組みもあります(消費税法39条)。どの要件で貸倒れとしたか、証拠書類が十分かの判断は個別の事情で変わるため、記帳・申告の前に顧問税理士へ確認するのが安全です。

出典・参考資料(4件)

同じ未回収を繰り返さない再発防止(サービス活用)

ここからは、いま抱えている債権の回収そのものより、次から同じ未回収を繰り返さないための備えの話です。今回の未回収を教訓に、再発防止の仕組みも見直しておきたいところです。個人相手の取引では、取引開始時の与信や前受け・前払いの設定に加えて、支払期日の督促を確実に・早めに届ける体制づくりが効きます。

とくに督促は、連絡が属人的になったり後回しになったりしがちなため、SMS・電話(自動音声のオートコール)・メールで自動化・標準化すると、初期の未回収対応を取りこぼしにくくなります。

SMS・オートコール・メールといったチャネルは、個人(消費者)への届きやすさや、費用・使い分けの向き不向きがそれぞれ異なります。どのチャネルをどう組み合わせて督促を自動化すればよいかは、以下の記事で具体的に比較しています。

ここでは、個人のお客様への督促・回収に活用できる主なサービスを紹介します。まずは特徴を一覧で比較します。

← 横にスクロールできます →
サービス名DHKクラウドオートコールオーロラSMS by メディアSMS債権回収ロボ
提供会社株式会社電話放送局株式会社メディア4u株式会社ROBOT PAYMENT
タイプ督促自動化
(オートコール/IVR)
SMS配信
(法人向け)
督促・回収の
自動化SaaS
対応チャネル電話(オートコール)
・SMS・メール
SMSメール・SMS
・オートコール(電話)
主な機能・対象未入金者への入金案内・督促架電を
自動音声で一斉に自動化(応答課金型)。
個人債権の督促実績あり
携帯番号へSMSで支払期日の
リマインド・督促。到達率99.9%、
法人向けSMS配信数5年連続No.1
多チャネルの督促シナリオを自動実行し
督促状況・履歴を一元管理。
個人(消費者)債権の回収実績あり
料金体系初期50,000円〜/月額50,000円〜
(月1,000件まで含む・応答従量)
初期0円・月額基本料0円
/SMS従量制(単価は要問い合わせ)
初期費用・月額とも要問い合わせ
(要見積)
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DHKクラウドオートコール(株式会社電話放送局)

DHKクラウドオートコールのウェブサイト

自動音声で電話をかける「オートコール」で、入金案内や督促の架電を自動化するサービスです。未入金の個人客へ、あらかじめ用意した音声メッセージで支払いを促す一次連絡を、人手をかけずに一斉に実行できます。課金は応答した分だけの応答課金型で、郵送や手動架電のように全件へコストがかからないのが特徴です。督促のように件数が多く定型的な業務のコスト効率を高めたいときに向いています。

個人債権の督促での活用も進んでいます。クレジットカードのライフカードでは、入金案内をオートコールで無人化し、発信業務の人員を30%削減しながら、発信可能な最大件数を200%に増やしたと公表されています。

EC通販向け後払い決済のAGミライバライでは、延滞増加に対して架電を自動化し、債権数が150%に増える中で架電数を50%削減、接続した相手の約70%が自動音声で完結したとされています。提供元の株式会社電話放送局は、プライバシーマークとISMS(ISO/IEC 27001)を取得しています。

督促を自動音声で行ううえで気をつけるべき点について、提供元の電話放送局は次のように述べています。

前田氏
株式会社電話放送局 営業部 営業推進課 課長
前田氏
独自インタビューより

入金案内や督促は、伝える内容が定型化しやすい一方で、案内の仕方によってはトラブルや苦情につながりやすい業務です。一方で、入金コールは人が案内する場合と比べて、トラブルや苦情を軽減できる側面ももあります。だからこそ、まずは“自動化しても顧客体験を損ねにくい設計”をすることが大切だと考えています。
オートコールは使い方を間違えると社会問題になりかねません。だから当社としては、用途の相性を見極めて、やめた方がいいケースは止める。その線引きも含めて一緒に考えています。

オーロラSMS by メディアSMS(株式会社メディア4u)

オーロラSMS by メディアSMSのウェブサイト

個人の携帯電話番号へ直接SMSを送れる、法人向けのSMS配信サービスです。メールよりも開封されやすいSMSで、支払期日のリマインドや督促を送れるため、電話に出てもらえない・メールを見てもらえない個人のお客様への連絡手段として使えます。国内4キャリアとの直接接続(直収接続)による設計で、自社検証にもとづく到達率は99.9%(受信拒否・圏外・電源オフを除く)とされています。

デロイト トーマツ ミック経済研究所の調査では、国内法人向けSMS配信数シェアで5年連続No.1(2021〜2025年度)とされ、督促用途での実績も積み重ねてきたサービスです。初期費用・月額基本料は0円で、SMSの送信は成功分だけの従量制です(1通あたりの単価は要問い合わせ)。まずは少量から督促の到達率を高めたい場合に検討できます。

債権回収ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

債権回収ロボのウェブサイト

未入金の督促・回収業務を自動化するサービスです。メール・SMS・オートコール(自動音声)を組み合わせた督促シナリオを、債務者の属性や債権額に応じて設計し、自動で実行します。

督促の状況や受信・返信の履歴を一元管理できるため、担当者ごとにばらつきがちな督促業務を標準化できるのが強みです。2026年3月に提供が始まった比較的新しいサービスで、債務者の特性に応じて催促のスケジュールを最適化する技術について特許を出願しています。

個人(消費者)向けの債権回収での導入事例もあります。個人向けの新車サブスクリプションを提供するクルカでは、月額利用料の回収に活用されています。同社の請求管理システムと連携すれば請求から督促・回収までを一元管理できるほか、単独での利用もできます。料金は要見積もりで、提供元の株式会社ROBOT PAYMENTはISMS(ISO/IEC 27001)を取得しています。

ここで取り上げた督促自動化サービスのほかにも、売掛金の督促や回収を代行するサービスは数多くあります。依頼先のタイプ別の選び方や費用相場、督促の自動化まで含めて幅広く比較検討したい場合は、以下の記事をご覧ください。

まとめ

取引先が個人でも、売掛金の回収手段は残っています。電話・メールでの催促から始め、内容証明郵便(催告)、相殺・分割交渉、支払督促・少額訴訟(60万円以下)・通常訴訟、そして強制執行へと、費用と手間の軽い手段から段階的に進めます。少額の売掛金では、費用が回収額を上回る「費用倒れ」を避ける見極めも欠かせません。

個人相手では、死亡(相続人への請求・相続放棄)、所在不明(財産開示・情報取得手続。ただし債務名義が前提で、給与情報は取得できません)、自己破産といった詰まりどころもあります。手を尽くしても回収できない売掛金は、法律上・事実上・形式上のいずれかの要件を満たすかを確認し、貸倒損失として損金(個人事業主は必要経費)に計上します。

時効(原則5年)にも注意し、完成が近ければ催告や法的手続きで止めてください。処理に迷う場合は、記帳・申告の前に顧問税理士に相談するのが安全です。今回の未回収を教訓に、督促の自動化や与信の見直しといった再発防止もあわせて検討しましょう。

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個人相手の売掛金の回収不能に関するよくある質問(FAQ)

Q. 貸倒損失とは何ですか?

A. 貸倒損失とは、取引先の倒産や資力の悪化などで売掛金や貸付金が回収できなくなったときに、その回収不能額を損失として計上する会計・税務上の処理です。法人では損金、個人事業主では必要経費に算入できます。

ただし「回収できない」と自社が判断するだけでは計上できず、国税庁のタックスアンサーNo.5320が示す「法律上・事実上・形式上」いずれかの要件を満たす必要があります。3つの要件と具体的な仕訳は、本文「回収不能が確定したときの貸倒損失の処理」で解説しています。

出典・参考資料(1件)

Q. 個人事業主の取引先が売掛金を残して死亡した場合、誰に請求できますか?

A. 個人事業主の取引先が亡くなっても売掛金は消えず、その相続人に請求できます。相続人が、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するためです(民法896条)。ただし、相続人が家庭裁判所で相続放棄をするとその人には請求できなくなり、相続人が全員放棄すると回収は難しくなります。

誰が相続人かは戸籍をたどる調査が必要で、少額の売掛金では調査や請求の手間・費用が回収見込みを上回ることもあります。詳しくは本文「相手が死亡した場合」を参照してください。

出典・参考資料(1件)

Q. 取引先の個人が自己破産したら、売掛金は貸倒損失にできますか?

A. 相手の資産・支払能力から全額回収できないことが明らかであれば、「事実上の貸倒れ」(法人税基本通達9-6-2)として貸倒損失に計上できます。破産の免責許可決定は債権を法的に消滅させるわけではなく、支払いを強制できない自然債務に変えるものです。

そのため、更生計画などによる債権の「切捨て」を要件とする法律上の貸倒れ(9-6-1)ではなく、全額回収不能が明らかな事実上の貸倒れに当たるかで判断するのが実務上の考え方です。本文「相手が自己破産した場合」で詳しく解説しています。

出典・参考資料(2件)

Q. 少額の売掛金でも、裁判をして回収する価値はありますか?

A. 回収できる見込み額と、手続きにかかる費用・手間を比べ、費用が回収額を上回る「費用倒れ」になるなら、無理に裁判を起こさず見送る判断が現実的です。60万円以下なら原則1回の期日で結審する少額訴訟や、書面手続きで進む支払督促は、費用を抑えやすい選択肢です。

一方で、相続人調査や弁護士費用がかさむケースでは、回収を断念して貸倒損失に切り替える方が合理的なこともあります。判断の目安は本文「費用対効果で『回収不能』と見切る判断軸」を参照してください。

Q. 個人相手の売掛金の時効は5年ですか?

A. 2020年4月の民法改正後に生じた売掛金は、原則として支払期日の翌日から5年で消滅時効にかかります(民法166条1項)。改正前にあった職業別の短期消滅時効は廃止されましたが、2020年3月31日以前に発生した売掛金には、改正前の短期時効(原則2年など)が適用されます。古い債権を扱うときは、発生時期を確認してください。詳しくは本文「消滅時効は原則5年」を参照してください。

出典・参考資料(1件)

Q. 内容証明郵便を送れば売掛金の時効は止まりますか?

A. 内容証明郵便による催告は、その時から6か月間だけ時効の完成を先延ばしにする効果(完成猶予)がありますが、それだけでは時効はリセットされません(民法150条)。

時効を振り出しに戻す(更新する)には、この6か月の間に訴訟や支払督促などの裁判上の請求を行う必要があります。また、相手の一部弁済や支払猶予の申し出(承認)があれば、その時点で時効が更新されます(民法152条)。本文「時効を止める(完成猶予・更新)」で解説しています。

出典・参考資料(1件)

Q. 債権者が個人事業主でも、売掛金の貸倒れを必要経費にできますか?

A. 債権者が個人事業主の場合も、事業の遂行上生じた売掛金の貸倒れは、その年分の事業所得などの計算上、必要経費に算入できます(所得税法51条2項)。勘定科目が貸倒損失である点や、法律上・事実上・形式上という要件の考え方は法人と共通で、法人税では損金、所得税では必要経費という扱いの違いがあります。

どの要件で貸倒れとするか、証拠書類が十分かは個別の事情で変わるため、記帳・申告の前に顧問税理士へ確認するのが安全です。具体的な仕訳は本文「具体的な仕訳と、個人事業主の場合の扱い」を参照してください。

出典・参考資料(1件)

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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