取引先から振り込まれる代金の入金消込に、毎月多くの時間を取られていませんか。振込人の名義が請求書の宛先や社名と一致せず、通帳やインターネットバンキングの入金明細と売掛金台帳を1件ずつ目視で突き合わせている経理・財務の現場は少なくありません。取引先や入金件数が増えるほど照合の手作業は膨らみ、月末の締め処理が遅れる原因になります。
こうした入金消込の負担を軽くする手段が、取引先や請求ごとに専用の振込先を割り当てる「法人向けバーチャル口座(振込入金専用口座)」です。誰からの入金かを口座番号で判別できるため、名義の表記ゆれに左右されずに消込を自動化できます。
ネット銀行・メガバンク・決済代行など提供元は幅広く、料金体系や対応できる業務範囲も異なるため、自社の入金件数やビジネスモデルに合う提供元をどう選ぶかが導入の分かれ目になります。
本記事では、法人向けバーチャル口座・入金消込サービス14製品を提供元のタイプ別に比較・解説します。仕組みや割当方式、料金の比較ポイントに加え、口座を払い出す銀行・決済代行と、入金データと請求データを突き合わせて消込まで担う債権管理サービスの役割分担を整理しました。自社の状況に合った導入先を判断するための材料としてご活用ください。
また、自社の入金件数や利用したい決済手段に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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法人向けバーチャル口座(振込入金専用口座)とは?
法人向けバーチャル口座とは、取引先や請求ごとに割り当てる振込専用の口座番号のことです。仮想的な口座番号を発行して取引先ごとの振込先とし、振り込まれた資金は企業の代表口座(実口座)にまとめて入金される仕組みで、「振込入金専用口座」とも呼ばれます。ここでは、経理の現場で起きている課題と、バーチャル口座による入金消込の自動化について整理します。
振込名義が請求先・注文と合わず、入金消込が手作業になる課題
銀行振込で代金を受け取る場合、入金明細に表示されるのは振込人が指定した名義です。この名義が請求書の宛名や自社の売掛金台帳上の取引先名と一致しないことは珍しくありません。担当者個人の名前で振り込まれたり、部署名や略称、旧社名が使われたり、複数の請求分がまとめて振り込まれたりすると、どの売掛金に対する入金なのかを名義だけでは特定できなくなります。
その結果、経理担当者は入金明細と請求データを1件ずつ目視で照合し、金額や振込日から推測して消込を行うことになります。取引先数や入金件数が多い企業ほどこの作業量は増え、月末月初の業務が逼迫します。照合ミスは売掛金の計上漏れや二重計上、取引先への誤った督促につながるため、確認にも慎重さが求められます。
バーチャル口座とは — 入金消込を自動化するしくみ
バーチャル口座は、この名義照合の問題を「口座番号による判別」に置き換えます。取引先や請求ごとに異なる振込先口座番号をあらかじめ割り当てておけば、入金明細に記録された口座番号を見るだけで、誰からの・どの請求に対する入金かを一意に特定できます。振込人がどのような名義で振り込んでも、口座番号が入金元を示すため、名義の表記ゆれに左右されません。
割り当てた口座への入金は代表口座へ自動的に集約されるため、資金を複数の実口座で管理する必要はありません。口座番号と取引先・請求情報のひも付けをシステムで持っておけば、入金データを取り込んだ時点で自動的に消込を行えます。これにより、手作業の照合が減り、入金確認から売掛金の回収状況把握までのスピードが上がります。
バーチャル口座の仕組みと割当方式
バーチャル口座の割当方式には、大きく分けて「注文ごと」と「取引先ごと」の2種類があります。どちらを採用するかで、消込の粒度や運用の手間が変わります。ここでは、それぞれの方式と、各サービスが備える主な機能を整理します。

注文ごとに口座番号を割り当てる方式
注文や請求が発生するたびに、その1件専用の口座番号を発行する方式です。1つの取引に1つの口座番号が対応するため、入金があった時点で「どの注文・どの請求に対する支払いか」を金額まで含めて自動で特定できます。
都度発行のため消込の精度が高く、ECサイトの都度決済や、同じ取引先から複数の請求が並行して発生する取引に向いています。一方で、発行する口座番号の数が取引件数に比例して増えるため、発行数の上限や運用ルールをあらかじめ確認しておく必要があります。
取引先(顧客)ごとに口座番号を割り当てる方式
取引先ごとに固定の口座番号を1つ割り当てる方式です。同じ取引先からの入金は常に同じ口座番号に集まるため、継続的に取引がある相手や、毎月定額を請求する契約に適しています。
口座番号の発行数は取引先数に応じた規模で済み、管理がシンプルになります。ただし、1つの取引先が複数の請求をまとめて振り込んだ場合は、口座番号だけでは請求単位までは分けられないため、金額や入金データの取り込みによる補完が必要になります。
バーチャル口座の主な機能
提供元によって差はありますが、バーチャル口座・入金消込サービスは一般に次のような機能を備えています。入金された資金を代表口座へまとめる自動集約、口座番号の入力誤りを検知するチェックデジット、取引先が識別しやすいよう口座名義を任意の文字列に設定できる名義カスタマイズなどです。
入金データの受け渡し方法も選定のポイントになります。入金明細をCSVでダウンロードする方式、全銀協規定のフォーマットで伝送する方式、リアルタイムに入金を通知するAPI連携など、提供元によって対応が分かれます。自社の会計システムや販売管理システムと連携して消込まで自動化したい場合は、API連携やCSV取り込みへの対応状況を確認しておくとよいでしょう。
法人がバーチャル口座を導入するメリット
バーチャル口座の中心的なメリットは、前述した入金消込の自動化による業務負担の軽減です。ここでは、それ以外に法人にとって見逃せない便益を整理します。
1つは、実際の口座を取引先ごとに新規開設しなくても、必要な数の振込先を用意できる点です。資金は代表口座に集約されるため、資金管理の対象を増やさずに、取引先ごと・請求ごとの入金を切り分けられます。
もう1つは、回収の見通しが立てやすくなる点です。入金の有無をリアルタイムに把握できれば、入金確認から出荷やサービス提供、督促といった次のアクションまでのスピードが上がり、資金繰りの見通しも立てやすくなります。こうした効果は、導入コストに見合うかを社内で説明する際の材料にもなります。
バーチャル口座を「払い出す側」と「消込する側」の役割分担
バーチャル口座を検討するうえで押さえておきたいのが、「口座を払い出す機能」と「消込を行う機能」は必ずしも同じサービスが担うわけではない、という点です。役割を切り分けて捉えると、自社に必要なサービスの組み合わせが見えやすくなります。

取引先ごと・請求ごとの振込先となる口座番号を発行し、入金があったことを口座番号とともに知らせる「払い出す側」を担うのは、銀行・ネット銀行や決済代行サービスです。ここで得られるのは「どの口座番号に、いくら入金があったか」という情報までです。
その入金データを自社の請求データや売掛金台帳と突き合わせ、どの請求が消し込まれたかを確定し、未入金や過不足を管理する「消込する側」は、会計システムや販売管理システム、債権管理サービスが担います。
銀行や決済代行のなかには入金データのCSV出力やAPI連携を用意しているものが多く、自社の会計システムに取り込んで消込する運用も可能です。なお、決済代行のなかには入金確認・消込や返金の代行まで行うものもあります。
一方で、入金件数が多く消込工数そのものが課題になっている場合は、バーチャル口座の払い出しから請求データとの自動照合、売掛金の管理・催促までを一体で担う債権管理サービスを選ぶと、口座と消込を別々に用意する手間を省けます。自社が「口座の払い出しだけあれば足りるのか」「消込・売掛管理まで任せたいのか」を見極めることが、提供元選びの起点になります。
入金消込を自動化する手立ては、バーチャル口座による口座番号での判別だけではありません。振込名義のパターンをもとに突き合わせる方式や、入金データと請求データをAIが照合する方式など、消込のやり方は複数あり、自社の入金の受け方によって向き不向きが分かれます。消込の方式そのものを横並びで比較して選びたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
なお、名称の似た「口座振替(自動引き落とし)」は、取引先の口座から自社が代金を引き落とす、資金の流れが逆の別サービスです。定期的な引き落としで回収したい場合は、バーチャル口座ではなく口座振替代行サービスの検討が適しています(両者の違いは記事末尾のよくある質問でも解説します)。
提供元のタイプと選び方
バーチャル口座の提供元は、大きく4つのタイプに分けられます。それぞれ初期費用や月額、対応できる業務範囲、サポート体制が異なります。自社の入金件数・利用したい決済手段・消込までの自動化範囲を軸に、どのタイプが合うかを見ていきましょう。

ネット銀行が提供するタイプ
オンラインで口座開設や設定が完結し、初期費用・月額を抑えて始めやすいのがネット銀行のバーチャル口座です。一定数までの口座発行を無料または低コストで提供する例もあり、まずは小規模に入金消込を自動化したい企業に向いています。
API連携やCSVでの入金明細取得に対応するものが多く、自社システムとの連携もしやすい傾向があります。振込入金に伴う手数料の水準や、無料で発行できる口座数の上限を確認しておくとよいでしょう。
店舗型銀行(メガバンク)が提供するタイプ
全国に店舗網を持つメガバンクは、既存のメインバンクとの取引を活かしながらバーチャル口座を導入できる点が強みです。大量の入金を扱う大企業や、対面での相談・手厚いサポートを重視する企業に適しています。海外取引を含む資金管理や、既存の銀行取引と入金管理を一元化したいニーズにも応えやすい一方、初期費用や月額基本料は相応の水準になる傾向があるため、入金件数に見合うかを費用対効果で判断します。
決済代行・企業間決済サービスが提供するタイプ
決済代行サービスが提供するバーチャル口座は、銀行振込だけでなくクレジットカードやコンビニ決済など複数の決済手段を1つの管理画面でまとめて扱える点が特徴です。ECサイトの都度決済や、継続課金(サブスクリプション)で毎月の金額が変動する取引など、決済手段が多様な事業に向いています。料金は月額に加えて決済ごとの手数料が発生する従量課金型が多く、入金件数や1件あたりの金額によって費用対効果が変わります。
バーチャル口座で消込まで自動化する債権管理サービスのタイプ
バーチャル口座の払い出しと入金消込・売掛金管理を一体で担うのが、債権管理サービスのタイプです。口座を用意するだけでなく、発行した請求データと入金データを自動で突き合わせて消込まで行い、未入金の督促や売掛金の状況把握までカバーします。
前述の「払い出す側」と「消込する側」を1つのサービスでまかなえるため、入金件数が多く消込工数そのものが課題になっている企業や、請求から回収までの業務をまとめて効率化したい企業に向いています。請求書の発行機能を併せ持つものもあり、経理業務全体の自動化を進めやすいのが利点です。
ここまで4つのタイプを見てきましたが、自社がどのタイプに合うか判断が難しいこともあります。そこで、自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、以下に「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。
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バーチャル口座の料金・費用の比較ポイント
バーチャル口座の料金は、提供元やタイプによって体系が異なります。費用を比較するときは、次の観点を横並びで確認すると、自社の入金件数に対してどのサービスが割安になるかを判断しやすくなります。
まず、導入時にかかる初期費用と、毎月固定でかかる月額費用です。ネット銀行では初期費用・月額を無料または低額に抑える例がある一方、メガバンクや高機能なサービスでは相応の基本料が設定されます。次に、入金1件ごとや口座1つごとに発生する決済手数料・口座維持費です。従量課金型は入金件数が少ないうちは割安ですが、件数が増えると固定費型のほうが有利になる分岐点があります。
加えて、無料または契約範囲で発行できる口座発行数の上限も重要です。注文ごとに口座を発行する運用では発行数が膨らみやすいため、上限や追加発行時の費用を確認しておく必要があります。さらに、自社システムと連携して消込まで自動化したい場合は、API連携やCSV取り込みが標準機能か、追加費用が必要かも費用比較に含めるとよいでしょう。
なお、料金を公式サイトで公開せず、請求件数や利用条件に応じた個別見積もりとしているサービスもあります(次の比較表では「要問い合わせ」と表記しています)。この場合も、料金体系(件数に応じた従量か固定か)は確認できることが多いため、体系を手がかりに問い合わせる先を絞り込めます。
おおまかな傾向として、入金件数が少ないうちは無料枠のあるネット銀行や従量課金型が割安で、件数が増えるほど定額型や、払い出しから消込までを一体で担う債権管理サービスのほうが費用対効果が高くなりやすい点も、自社の件数を見積もる際の目安になります。次の比較表では、これらの観点でサービスを横並びに整理しています。
【比較表】法人向けバーチャル口座・入金消込サービスの比較14選
ここからは、自社の課題や要件に合わせた客観的な比較・選定ができるよう、主要な法人向けバーチャル口座・入金消込サービス14製品を、提供元の4つのタイプ別に分類してご紹介します。割当方式・初期費用・月額費用・決済手数料・口座発行数の上限・入金通知やAPI連携・消込の自動化範囲を横並びで確認できます。
ネット銀行が提供するバーチャル口座の比較
| サービス名 | GMOあおぞらネット銀行 バーチャル口座 | ドコモSMTBネット銀行 バーチャル口座 | 楽天銀行ジャストマッチ | PayPay銀行 ワンタイム口座 |
|---|---|---|---|---|
| 割当方式 | 取引先ごと | 取引先ごと/請求書ごと | 取引先ごと | 取引先ごと |
| 初期費用 | 0円(2,000口座まで) | 0円 | 110,000円(税込) | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 0円(2,000口座まで) | 0円(利用手数料なし) | 11,000円〜(税込) ※口座数で3段階+口座利用料 | 要問い合わせ |
| 決済手数料・口座維持費 | 口座維持費0円 (2,000口座まで。超過分は要問い合わせ) | 口座維持手数料0円 (バーチャル口座の利用手数料なし) | 月額口座利用料 314円/100口座(税込) | 要問い合わせ |
| 口座発行数の上限 | 2,000口座まで無料 (超過分は要問い合わせ) | 1振替先口座あたり最大1,000口座 | 100口座単位で購入 (上限は要問い合わせ) | 要問い合わせ |
| 入金通知・API連携 | 無償の銀行APIで口座発行・入金明細照会に対応 (PDF・CSV出力可) | 代表口座の入出金明細で確認 (API連携は要問い合わせ) | 入金明細をCSV・伝送・APIの3方式で取得可 | 入金の都度リアルタイムにAPIで通知 (OAuth2.0認証) |
| 消込の自動化範囲 | 口座番号での入金元識別まで | 口座番号での入金元識別まで | 口座番号での入金元識別まで | 口座番号での入金元識別まで |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
店舗型銀行(メガバンク)が提供するバーチャル口座の比較
| サービス名 | けしこみ超人(三菱UFJ銀行) | みずほ銀行「ベストレシーバー」 | 三井住友銀行「パーフェクト」 |
|---|---|---|---|
| 割当方式 | 取引先ごと | 取引先ごと | 取引先ごと |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 220,000円(税込) |
| 月額費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ (オプション「みずほERP」は月額5,500円・税込) | 基本使用料 55,000円/月 +口座使用料3,300円/1,000口座(税込) |
| 決済手数料・口座維持費 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 口座使用料 1,000口座あたり月額3,300円(税込) |
| 口座発行数の上限 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 入金通知・API連携 | 要問い合わせ (データ連携形式は非公表) | みずほe-ビジネスサイト等で入金明細を確認 (MFクラウド請求書と自動連携実績) | 入金明細はWeb21等のEBサービス経由 (別途契約が必要) |
| 消込の自動化範囲 | 口座番号での識別まで (けしこみバンクWeb併用で消込も可) | 口座番号での識別まで (みずほERP併用で自動照合) | 口座番号での入金元識別まで |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
決済代行・企業間決済サービスが提供するバーチャル口座の比較
| サービス名 | PGマルチペイメントサービス 銀行振込 | 消込エクスプレス(ペイジェント) | 入金おまかせサービス(ゼウス) | イプシロン決済 銀行振込 | サブスクペイ バンクチェック |
|---|---|---|---|---|---|
| 割当方式 | 取引ごと (反復請求は継続口座) | 回転付番(取引ごと)/ 固定付番(顧客ごと) | 要問い合わせ | 注文ごと | 取引先ごと |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 0円 | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 要問い合わせ | 2万円〜(税別) | 0円 (決済手数料・売上処理料以外はかからない。クレジットカード決済契約が前提) | 1,000円/月(ビギナー)〜0円(上位プラン) ※別途プラン本体料金 | 要問い合わせ |
| 決済手数料・口座維持費 | 要問い合わせ (入金数・入金額に応じた従量課金) | 要問い合わせ (決済代行サービス料が別途) | 決済手数料1.5%+売上処理料50円/件(税別) | 20円/回(税抜)の定額 | 要問い合わせ |
| 口座発行数の上限 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 入金通知・API連携 | 振込後にリアルタイム入金通知、入金履歴照会APIに対応 | 管理画面での確認と電文通知に対応 | メール・CGI通知・売上管理画面で確認 (CSV・APIは要問い合わせ) | 管理画面で入金確認・CSV出力 (バーチャル口座固有のAPIは要問い合わせ) | Salesforce・kintone・Zoho CRM等と連携 (全国1,000以上の金融機関に対応) |
| 消込の自動化範囲 | 口座番号での入金元識別まで | 口座番号での識別・自動マッチングまで | 入金確認・消込・返金まで代行 | 口座番号での入金元識別まで | 入金の有無・過不足まで自動判定 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
バーチャル口座で消込まで自動化する債権管理サービスの比較
| サービス名 | 請求管理ロボ | Bill One債権管理 |
|---|---|---|
| 割当方式 | 取引先ごと | 取引先ごと |
| 初期費用 | 要問い合わせ (導入・運用支援費用、3ヵ月オンボーディング) | 要問い合わせ (環境構築・導入支援込み) |
| 月額費用 | 要問い合わせ (月額+請求件数の従量課金) | 要問い合わせ (発行請求書件数に応じた年額) |
| 決済手数料・口座維持費 | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 口座発行数の上限 | 要問い合わせ | 要問い合わせ (1社ごとに複数口座を発行可) |
| 入金通知・API連携 | 金融機関の入金情報を自動取得、SFA/CRM・会計ソフトと連携 | 入金情報をリアルタイムに把握 (口座は「Bill One Bank」で発行) |
| 消込の自動化範囲 | 請求発行〜消込〜自動催促まで一体 | 請求発行〜消込〜督促まで一体 (合算入金・名義不一致も自動消込) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
※料金・機能は2026年9月時点の各社公式サイトの情報にもとづきます。個別のサービスにおける実際の機能搭載の有無や提供形態(標準・オプション等)、最新の料金は各社の公式情報をご確認ください。
各サービスの特徴
ここからは、比較表で取り上げた各サービスの特徴を、提供元のタイプ別に紹介します。割当方式や料金、対応できる業務範囲、向いている企業を確認し、自社に合うサービスを絞り込む参考にしてください。
ネット銀行が提供するバーチャル口座
ここからは、ネット銀行が提供するバーチャル口座を紹介します。
1. GMOあおぞらネット銀行 バーチャル口座(GMOあおぞらネット銀行株式会社)

取引先ごとに専用の振込入金口座(バーチャル口座)を割り当て、入金者の特定と消込を効率化する、GMOあおぞらネット銀行株式会社のサービスです。正式名称は「振込入金口座(バーチャル口座)」で、法人口座契約に付随するオプション機能として提供され、口座はインターネットバンキングから一口座単位で発行・停止・削除できます。
バーチャル口座は発行口座数2,000口座まで初期費用・月額利用料が0円で利用でき、2,000口座を超える場合の料金は公式サイトに記載がなく要問い合わせです。誤入金を防ぐチェックデジットを標準で備え、口座名義の一部を任意の文字列に設定して振込人が請求先を識別しやすくすることもできます。
口座の発行・状態変更・入金明細の照会は無償の銀行API経由で自動化でき、入出金明細はインターネットバンキングからPDF・CSV形式でダウンロードできます。オンラインで口座開設から設定まで完結するため、コストを抑えて入金消込の自動化を始めたい企業や、自社システムとAPIで連携したい企業に向いています。
2. ドコモSMTBネット銀行 バーチャル口座(株式会社ドコモSMTBネット銀行)

住信SBIネット銀行を前身とし、2025年10月にNTTドコモの連結子会社となったネット専業銀行が提供する、振込入金専用口座(バーチャル口座)です。運営会社は2026年8月3日付で商号を株式会社ドコモSMTBネット銀行に変更しています。代表口座(振替先口座)に紐づけて、請求書単位・取引先単位で専用の口座番号を発行できます。
バーチャル口座への着金は代表口座へ自動的に振り替えられ、利用手数料はかからないと商品概要説明書に明記されています。法人口座自体の口座維持手数料や法人インターネットバンキングの利用料も無料です。口座は1振替先口座あたり最大1,000口座まで作成でき、作成・確認はシステムメンテナンス時間を除く24時間365日行えます。
口座名義は振替先口座名義の後ろに任意の文字列を追加でき、取引先が振込先を識別しやすくなります。ただし利用できるのは法人第一支店やネオバンクビジネス支店など所定の支店に法人口座を持つ顧客に限られるため、口座開設先の支店を確認しておくとよいでしょう。口座維持手数料や利用手数料をかけずに入金消込を自動化したい企業に向いています。
3. 楽天銀行ジャストマッチ(楽天銀行株式会社)

取引先ごとにバーチャル口座を割り当て、振込・振替による入金を普通預金口座へ自動的に振り替える、楽天銀行株式会社の入金消込サービスです。正式名称は「楽天銀行あんしん受取サービス/楽天銀行ジャストマッチ」で、口座番号から振込人を特定して照合事務を削減します。
料金は税込で、初期導入手数料110,000円・月額基本利用料11,000円からかかります。月額基本利用料は口座数に応じて1,000口座未満11,000円・1,000〜10,000口座未満22,000円・10,000口座以上44,000円の3段階で定額化され、これに月額口座利用料314円/100口座が加わります。口座は100口座を1単位として購入します。
入金明細はCSVダウンロード・伝送・APIの3つの方法で取得でき、既存の請求管理システムとの連携方法を選べます。申し込みは書類を郵送し、口座開設とは別の審査を経て、申込書到着から2〜3週間程度で口座情報が納品されます。大量の請求先を抱え、口座数に応じた定額体系で料金を見積もりやすく運用したい企業に向いています。
4. PayPay銀行 ワンタイム口座(PayPay銀行株式会社)

入金の都度、指定したURLへAPI経由でリアルタイムに入金を通知する点を特徴とする、PayPay銀行株式会社の法人向けバーチャル口座サービスです。取引先ごとに専用の口座番号(ワンタイム口座)を発番し、入金明細上の口座番号から振込人を特定できます。
通知には口座番号・入金時刻・振込元の銀行名や支店名などが含まれ、バッチ処理ではなく入金時点で即時に届く点が公式サイトで訴求されています。API連携はOAuth2.0による認証を用い、取引明細や口座残高を自社システムに取り込んで消込を自動化できます。
初期費用・月額費用は公式サイトに記載がなく、要問い合わせです。導入には自社側でのシステム開発が必要で、問い合わせから稼働開始まで最短6週間(API連携は最短7週間)が目安とされています。家賃保証業務向けSaaSと連携した入金確認の事例もあり、入金をリアルタイムに把握して後続業務につなげたい企業に向いています。
店舗型銀行(メガバンク)が提供するバーチャル口座
続いて、店舗型銀行(メガバンク)が提供するバーチャル口座です。
5. 入金照合サービス「けしこみ超人」(株式会社三菱UFJ銀行)

取引先ごとに異なる振込入金専用口座番号(仮想口座)を発行し、着金した口座番号から振込人を自動で判別する、三菱UFJ銀行の入金照合サービスです。振込人の名義が請求先の社名と異なる場合や同姓同名の場合でも、口座番号を手がかりに入金元を特定できます。
入金情報の照会や請求データとの突合を支援する「けしこみバンクWeb」と併用すると、入金照合から消込までを一続きで扱えます。導入にあたっては当行所定の審査が必要で、決済代行会社を介さず銀行と直接契約する形態を選べる点が特徴です。
初期費用・月額費用・手数料や、発行できる口座数の上限は公式サイトで公表されておらず、取引担当を通じた個別の案内・見積もりが前提です。入金明細データの連携形式も公表されていないため、自社の会計システムとの連携可否を含めて事前に確認するとよいでしょう。決済代行を介さず銀行と直接契約して仮想口座で入金照合を運用したい企業に向いています。
6. みずほ銀行 入金管理サービス「ベストレシーバー」(株式会社みずほ銀行)

みずほ銀行が法人向けに提供する入金管理サービスで、法人インターネットバンキング「みずほe-ビジネスサイト」「みずほビジネスWEB」と一体で利用できます。請求先ごとに振込専用の口座番号を割り当て、振り込まれた資金は指定口座へ振り替えたうえで、入金明細に振込先の口座番号が付与されます。
振込人名ではなく口座番号を手がかりに消込照合できるため、名義の表記ゆれに左右されません。オプションの「みずほERP」(月額5,500円・税込)と併用すると、請求データとの自動照合の精度を高められます。
外部サービスとの連携では、株式会社マネーフォワードの「MFクラウド請求書」が2015年7月からベストレシーバーの入金データを自動取得し、請求データと自動照合する連携を提供しています。サービス単体の初期費用・月額費用は公式サイトで公表されておらず、料金や申し込みの詳細は取引部店への問い合わせが案内されています。
みずほ銀行をメインバンクとし、法人インターネットバンキングと一体で入金管理を進めたい企業に向いています。
7. 三井住友銀行 入金照合サービス「パーフェクト」(株式会社三井住友銀行)

三井住友銀行が提供する入金照合サービスで、同行がビジネスモデル特許を取得している点が特徴です。請求先ごとに「被振込専用口座」を発行し、この専用口座宛に振り込まれた資金は口座に残らず、あらかじめ指定した入金指定口座へ自動で移されます。
被振込専用口座は通帳やキャッシュカード、残高証明書の発行対象外で、振込を受けて資金を集約することに用途を絞った口座です。入金明細は法人向けインターネットバンキング「Web21」などのEBサービスを通じて提供されるため、明細の受け取りには別途これらのサービスの契約が必要です。
料金は公式サイトで公表されており、初期契約料220,000円、基本使用料が月額55,000円、口座使用料が1,000口座あたり月額3,300円(いずれも税込)です。契約期間は1年で、以後1年ごとに自動継続します。利用開始を希望する場合は、希望日の2カ月前までに最寄りの支店へ申し出る流れです。初期・月額の固定費が明確なため、請求先が多く料金を定額で見積もって運用したい企業に適しています。
決済代行・企業間決済サービスが提供するバーチャル口座
3つ目は、決済代行・企業間決済サービスが提供するバーチャル口座です。
8. PGマルチペイメントサービス 銀行振込(バーチャル口座)(GMOペイメントゲートウェイ株式会社)

GMOペイメントゲートウェイ株式会社の決済代行サービス「PGマルチペイメントサービス」で、決済手段の一つとして提供される銀行振込です。取引(請求先)ごとに専用の振込受付口座を自動発行し、入金と取引を1対1で対応づけて管理できます。
口座の提供元金融機関は三井住友銀行とGMOあおぞらネット銀行の2行から選べ、銀行ごとに料金体系や機能が異なります。GMOあおぞらネット銀行を利用する場合は、口座番号の入力誤りを検知するチェックデジットや口座閉塞といった誤入金防止機能を標準で備えます。
クレジットカード決済やコンビニ決済など他の決済手段と同一の契約・管理画面で運用でき、決済手段を追加する際に個別のシステム開発を要しません。振込処理後のリアルタイム入金通知やAPIでの入金履歴照会にも対応します。初期費用・月額費用・決済手数料はいずれも公式サイトで公開されておらず、利用条件に応じた個別見積もりとなります。
銀行振込に加えてカード・コンビニ決済も一つの管理画面でまとめて扱いたいEC・請求事業者に適しています。
9. 銀行振込(仮想口座方式)「消込エクスプレス」(株式会社ペイジェント)

株式会社NTTデータと三菱UFJニコス株式会社が折半出資する株式会社ペイジェントが提供する、銀行振込の入金消込を自動化するサービスです。三菱UFJ銀行の口座を用いた仮想口座を取引または顧客ごとに発行し、どの口座に入金があったかで振込元を特定します。ブランド名は「消込エクスプレス」で、利用は法人に限られます。
付番方式は、取引ごとに口座を発番する「回転付番方式」と、顧客ごとに口座を割り当てる「固定付番方式」の2種類があり、オンライン販売の都度決済と請求先への継続的な料金回収で使い分けられます。管理画面での手動運用ならシステム開発は不要で、ECサイトへ組み込むモジュールタイプではクレジットカードやコンビニ決済とまとめて導入できます。
料金は月額2万円(税別)からで、公式サイトでは月に100件以上の振込がある場合に費用対効果が見込めると案内されています。初期費用や決済代行サービス料は公開されておらず、個別の見積もりが必要です。利用開始までの期間の目安は1〜2ヶ月で、三菱UFJ銀行の審査を経て運用を始めます。月100件以上の振込があり、都度決済と継続的な料金回収の両方で消込を自動化したい企業に向いています。
10. 銀行振込決済(入金おまかせサービス)(株式会社ゼウス)

株式会社ゼウスが、クレジットカード決済などの契約に付随して提供する銀行振込入金の消込代行サービスです。顧客からの振込先を同社名義のバーチャル口座(ワンタイム口座)に統一し、入金確認から入金消込、返金対応までをゼウス側が代行します。
振込方法は顧客の利用金融機関によって分かれます。ドコモSMTBネット銀行・楽天銀行・PayPay銀行の利用者はWEB上でリアルタイムに振込が完了し、ゆうちょ銀行やその他の金融機関の利用者は案内されるワンタイム口座へ振り込み、最大15分以内に入金状況を確認できます。振込結果はメールまたはCGI通知と売上管理画面で確認します。
料金は決済手数料1.5%(税別)と売上処理料50円/件(税別)で、公式サイトのFAQではこれ以外の費用はかからないと案内されています。ただし利用には基本的にクレジットカード決済の申し込みが必要とされ、単体での導入可否は営業担当への相談が案内されています。クレジットカード決済とあわせて、振込入金の確認・消込・返金対応まで外部に任せたい企業に向いています。
11. イプシロン決済 銀行振込(バーチャル口座)(GMOイプシロン株式会社)

GMOペイメントゲートウェイ株式会社の100%子会社であるGMOイプシロン株式会社が、決済代行サービス「イプシロン決済」の決済手段の一つとして提供する銀行振込です。注文ごとに専用のバーチャル口座番号を自動発行し、購入者がその口座へ振り込むことで決済が完了します。発行される口座はGMOあおぞらネット銀行のバーチャル口座で、加盟店側で専用口座を用意する必要はありません。
料金は、いずれかの契約プラン(ビギナー・スタンダード・プレミアム)に加入したうえで、銀行振込の月額費用と決済手数料が加わる構造です。銀行振込の決済手数料は20円/回(税抜)の定額で、月額費用はビギナープランで1,000円(税抜)、スタンダード・プレミアムプランでは0円です。売上金額に対する定率ではないため、高額決済ほど手数料の負担率は下がります。
入金の確認はイプシロンの管理画面で行い、注文情報と入金情報をまとめて確認できるほか、口座番号や入金日などの項目をCSVで出力できます。makeshopやカラーミーショップなどのECカートと連携し、カート側の管理画面からも入金を確認できます。振込の支払期限は初期設定で注文受付日から30日後、注文日の翌日から1〜29日の範囲で変更できます。
ECカートを利用し、定額の振込手数料で費用を抑えたいネットショップに向いています。
12. サブスクペイ バンクチェック(銀行振込・バーチャル口座)(株式会社ROBOT PAYMENT)

株式会社ROBOT PAYMENT(東証グロース)が提供する決済プラットフォーム「サブスクペイ」の決済手段の一つ、「バンクチェック(銀行振込・バーチャル口座)」です。取引先ごとに個別のバーチャル口座を発行し、どの取引先からの入金かをID単位で自動的に振り分け、入金の有無や過不足を自動で判定します。継続課金で毎月の金額が変わる取引にも対応します。
全国1,000以上の金融機関(都市銀行・地方銀行・信用金庫・JAバンク等)に対応し、クレジットカード決済・口座振替・コンビニ決済と共通の管理画面で運用できます。Salesforce・kintone・Zoho CRMなどのSFA/CRMと連携し、入金結果を各サービスの画面上で確認することも可能です。
提供プランは「サブスクペイ Standard」です。初期費用・月額費用・決済手数料は公式サイトに記載がなく、いずれも都度見積もりとなるため、導入にあたっては資料請求や問い合わせでの確認が必要です。全国1,000以上の金融機関に対応し、継続課金で毎月の金額が変わる取引の入金を自動判定したい企業に向いています。
バーチャル口座で消込まで自動化する債権管理サービス
最後に、バーチャル口座の払い出しから入金消込・売掛金管理までを一体で担う債権管理サービスです。
13. 請求管理ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

決済代行サービス「サブスクペイ」を手がける株式会社ROBOT PAYMENTが提供する、請求書の発行から集金・入金消込・督促までをクラウド上で自動化する請求・債権管理システムです。銀行振込・バーチャル口座・クレジットカード・口座振替・コンビニ決済という複数の決済手段からの入金を一括で管理できます。
バーチャル口座を使う場合は、金融機関から取得した入金情報と請求データを自動で照合し、入金元の取引先を口座番号で特定して消し込みます。口座の払い出しから入金消込、未入金への自動催促メールまでを1つのサービスで完結できるため、口座と消込のシステムを別々に用意する必要がありません。
Salesforce・kintoneといったSFA/CRMや、弥生会計・マネーフォワード クラウド会計などの会計ソフトと連携でき、商談から請求、仕訳までのデータをつなげられます。料金は初期費用(導入・運用支援費用)と、月額に請求件数に応じた従量課金を加えた構成で、具体額は資料請求で確認する形です。
口座の払い出しから入金消込・督促までを1つのサービスでまとめ、請求業務全体を自動化したい企業に向いています。
14. Bill One債権管理(Sansan株式会社)

請求先ごとに固有のバーチャル口座番号を自動で割り当て、その口座を振込先とした請求書を発行することで、入金情報と債権情報を自動で突き合わせて消し込むクラウド債権管理サービスです。名刺管理サービスなどを手がけるSansan株式会社が、請求書管理サービス「Bill One」の機能の一つとして提供しています。
バーチャル口座を入金の起点にするため、振込人名義の事前登録に頼りません。複数の請求分をまとめて振り込む合算入金や、債権の名義と振込人名義が一致しない入金など、従来の自動消込が苦手とするケースも自動で処理できる点が特徴です。
口座自体はSansanが銀行代理業者として提供する「Bill One Bank」で発行されるため、口座の払い出しと消込を別々に契約する必要がありません。料金は環境構築・導入支援を含む初期費用と、発行する請求書の件数に応じた年額で構成され、利用ユーザー数による追加料金は発生しません。具体額は資料請求で確認します。
合算入金や名義不一致が多く、口座の払い出しと消込を分けずに一体で運用したい企業に適しています。
バーチャル口座導入の注意点と導入までの流れ
バーチャル口座には入金消込を効率化するメリットがある一方、導入前に確認しておきたい注意点もあります。費用面と運用面の両方を押さえ、導入までの流れも把握しておきましょう。
導入・運用コストと口座開設数・決済手数料の注意点
バーチャル口座の導入には、初期費用や月額基本料に加え、入金1件ごとの決済手数料や口座維持費がかかる場合があります。入金件数が少ない段階では固定費が重く感じられることもあるため、想定する入金件数で費用対効果が見合うかを事前に試算しておくことが重要です。
また、発行できる口座番号の数には上限が設けられていることが一般的です。注文ごとに口座を発行する運用では発行数が急速に増えるため、契約プランの上限や、上限を超えた場合の追加費用・運用ルールを確認しておく必要があります。既存の会計システムや販売管理システムと連携できるか、連携が標準機能か追加開発が必要かも、運用開始後の手間を左右します。
申し込みから審査・利用開始までの流れ
導入の一般的な流れは、提供元への問い合わせ・申し込みから始まります。銀行や決済代行のサービスでは、利用にあたって所定の審査があり、事業内容や取扱商材によっては審査に一定の期間を要します。
審査を通過すると、代表口座やバーチャル口座の設定、入金データの受け渡し方法(CSV・伝送・API連携)の設定を行い、テストを経て運用を開始します。自社の会計システムとの連携設定を含める場合は、その準備期間も見込んでスケジュールを立てるとよいでしょう。
バーチャル口座の活用が向いている企業・ビジネスモデル
バーチャル口座は、銀行振込で多くの取引先から代金を受け取り、入金消込に手間がかかっている企業ほど効果が大きくなります。具体的には、多数の企業へ請求書を発行するBtoBの卸売業や、注文件数の多いECサイト・通販事業、毎月定額を請求するサブスクリプション・継続課金型のサービス、会費や月謝を多くの会員から集める事業などが代表例です。
入金件数が多く、名義の不一致による照合作業が経理の負担になっている場合は、バーチャル口座による自動化の効果が見合いやすいといえます。反対に、取引先が少なく入金件数も限られる場合は、固定費が費用対効果に見合わないこともあるため、想定件数をもとに判断するとよいでしょう。消込・売掛管理まで含めて自動化したい場合は、口座の払い出しにとどまらず、債権管理サービスまで視野に入れて検討することをおすすめします。
入金消込だけでなく、請求書の発行から与信・売掛金の管理・督促まで含めて債権管理の全体像を比較検討したい場合は、以下の記事で各タイプの違いと選び方を解説しています。
まとめ
法人向けバーチャル口座は、取引先や請求ごとに専用の口座番号を割り当てることで、振込名義に左右されずに入金消込を自動化できる仕組みです。提供元はネット銀行・メガバンク・決済代行・債権管理サービスの4タイプに分かれ、初期費用や月額、対応できる決済手段、消込までの自動化範囲が異なります。
選定にあたっては、自社の入金件数や利用したい決済手段に加え、「口座の払い出しだけで足りるのか、消込・売掛管理まで任せたいのか」を見極めることが重要です。
口座を用意するだけなら銀行・ネット銀行や決済代行のタイプが、入金件数が多く消込工数そのものを減らしたいなら払い出しから消込まで一体で担う債権管理サービスのタイプが有力な選択肢になります。本記事の比較表と診断ツールを活用し、自社に合ったサービスを見つけてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 法人向けバーチャル口座とは何ですか?
A. 法人向けバーチャル口座とは、取引先や請求ごとに割り当てる振込専用の口座番号のことです。仮想的な口座番号を発行して取引先ごとの振込先とし、振り込まれた資金は企業の代表口座(実口座)へまとめて集約されます。入金明細に記録された口座番号を見るだけで、誰からの・どの請求に対する入金かを特定できるため、「振込入金専用口座」とも呼ばれ、振込名義の表記ゆれに左右されずに入金消込を自動化できる点が特徴です。
Q. 法人向けバーチャル口座への振込方法は、通常の銀行振込と違いますか?
A. 振込方法は、取引先から見れば通常の銀行振込と変わりません。取引先は割り当てられた専用の口座番号あてに振り込むだけで、特別な操作は不要です。振り込まれた資金は自動的に企業の代表口座へ集約され、受け取る側は入金明細に付与された口座番号から入金元を判別します。取引先に負担をかけずに、自社の入金消込だけを効率化できる仕組みです。
Q. 法人向けバーチャル口座の「注文ごと」と「取引先ごと」の割当方式はどう使い分けますか?
A. 法人向けバーチャル口座の割当方式は、都度発生する取引には「注文ごと」、継続的な取引には「取引先ごと」が向いています。注文ごとの方式は請求1件専用の口座番号を発行するため、金額まで含めてどの請求への入金かを特定でき、消込の精度が高い一方、発行する口座数が取引件数に比例して増えます。
ECの都度決済や、同じ取引先から複数の請求が並行して発生する取引に適しています。取引先ごとの方式は固定の口座番号を1つ割り当てるため管理がシンプルで、継続取引や毎月定額を請求する契約に向きますが、複数請求の合算入金は口座番号だけでは請求単位に分けられず、金額や入金データの取り込みによる補完が必要です。
Q. 銀行が提供するバーチャル口座と決済代行が提供するバーチャル口座は何が違いますか?
A. 両者の主な違いは、銀行は銀行振込の入金識別に特化し、決済代行はクレジットカードやコンビニ決済など複数の決済手段を1つの管理画面でまとめて扱える点です。銀行(ネット銀行・メガバンク)が提供するタイプは、既存の銀行取引を活かして振込入金の消込を効率化したい企業に向きます。
決済代行が提供するタイプは、銀行振込に加えて多様な決済手段を一元管理でき、月額に加えて決済ごとの手数料が発生する従量課金型が多いため、決済手段が多いEC・サブスクリプション事業に適しています。自社が銀行振込の消込だけを効率化したいのか、複数の決済手段をまとめたいのかで選ぶとよいでしょう。
Q. 法人向けバーチャル口座を導入すれば、入金の消込まで自動で行えますか?
A. 法人向けバーチャル口座だけでは、「どの口座番号にいくら入金があったか」までは分かりますが、請求データと突き合わせて消し込む処理は別のシステムが担うのが基本です。口座を払い出すのは銀行・決済代行で、その入金データを自社の請求データや売掛金台帳と照合して消込・売掛管理を行うのは、会計システムや販売管理システム、債権管理サービスです。
入金データのCSV出力やAPI連携を使えば自社の会計システムに取り込んで消込する運用もできますが、入金件数が多く消込工数そのものが課題であれば、口座の払い出しから請求データとの自動照合・売掛管理までを一体で担う債権管理サービスのタイプを選ぶと、口座と消込を別々に用意する手間を省けます。
Q. 法人向けバーチャル口座と口座振替(自動引き落とし)の口座番号による識別は何が違いますか?
A. 両者は資金の流れる向きが逆です。バーチャル口座は取引先が自社へ振り込む「入金」を口座番号で識別する仕組みであるのに対し、口座振替は自社が取引先の口座から代金を引き落とす「回収」の仕組みです。
銀行によっては引き落とし側でも仮想の口座番号を明細判別に使うことがあり名称が紛らわしいものの、目的が異なります。取引先が自ら振り込む代金の消込を自動化したい場合はバーチャル口座、取引先の同意を得て定期的に代金を引き落としたい場合は口座振替サービスの検討が適しています。
Q. 法人向けバーチャル口座の料金体系(初期費用・月額・手数料)はどうなっていますか?
A. 法人向けバーチャル口座の料金は、初期費用・月額費用・入金1件ごとの手数料(または口座利用料)の組み合わせが基本で、提供元のタイプによって体系が大きく異なります。ネット銀行は一定数まで初期費用・月額を無料または低額に抑える例がある一方、メガバンクや高機能なサービスでは相応の基本料が設定されます。
決済代行は月額に加えて決済ごとの手数料が発生する従量課金型が多く見られます。加えて、無料または契約範囲で発行できる口座数の上限や、API連携・CSV取り込みが標準機能か追加費用かも費用に影響します。従量課金型は入金件数が少ないうちは割安ですが、件数が増えると固定費型のほうが有利になる分岐点があるため、想定する入金件数で費用対効果を試算して比較することが重要です。
Q. 法人向けバーチャル口座は申し込みから利用開始まで、審査期間を含めてどのくらいかかりますか?
A. 導入にかかる期間は、申し込みから利用開始まで数週間〜2ヶ月程度が目安で、提供元の審査期間や連携方法によって幅があります。銀行・決済代行では利用にあたって事業内容や取扱商材に応じた所定の審査があり、審査を通過すると代表口座やバーチャル口座の設定、入金データの受け渡し方法(CSV・伝送・API連携)の設定を行い、テストを経て運用を開始します。
API連携や自社の会計システムとの連携設定を含める場合は、その開発・準備期間も見込む必要があるため、余裕を持ってスケジュールを立てるとよいでしょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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