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未払い債権の回収方法|初期対応から内容証明・支払督促・強制執行までの手順と費用

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督促・売掛金回収代行比較表(2026年版)のプレビュー

主要21サービスの料金・機能を無料で一覧比較

督促・売掛金回収代行比較表(2026年版)

取引先に商品やサービスを提供したのに、支払期日を過ぎても代金が振り込まれない。催促のメールを送っても反応が鈍く、「このまま待っていて大丈夫なのか、そもそも何をどの順で進めれば回収できるのか」と迷う場面は珍しくありません。

未払い債権の回収は、いきなり訴訟を起こすものではありません。電話・メールでの催促から始め、内容証明郵便、支払督促や少額訴訟、そして強制執行へと段階的に進めるのが基本です。どの段階にいるかによって、次に取るべき一手は変わります。

本記事では、未払い債権を回収するまでの全体フローを最初に示し、各手段の使い分け(使える金額・費用の目安・自力でできるか)、時効の残り年数と止め方、弁護士・認定司法書士・債権回収会社への委託の可否、回収できないときの後始末までを順に整理します。自社の状況(債権額・相手の対応・証拠の有無)に当てはめながら、次の一手を決める材料として読み進めてください。

未払い債権を回収するまでの全体フロー

未払い債権の回収は、負担の軽い手段から段階的に進めるのが基本です。まず全体像を押さえ、自社が今どの段階にいて次に何をすべきかを掴んでおきましょう。

未払い債権を回収するまでの全体フローを段階順に示した図。負担の軽い手段から段階的に進める。STEP1 初期対応(出荷停止・相殺・契約書の確認)、STEP2 催促(電話・メールで支払いを促す)、STEP3 内容証明郵便(請求を証拠化し時効を一時停止)、STEP4 交渉・公正証書(合意を執行力ある文書に)、STEP5 法的手段(支払督促・少額訴訟・通常訴訟で債務名義を取得)、STEP6 強制執行(財産を差し押さえて回収)。
  1. 初期対応:さらなる出荷・サービス提供を止め、相殺できる債務がないか調べ、契約書で金額や支払条件を確認します。
  2. 催促(電話・メール):支払いの遅れを相手に伝え、いつ払えるかを確認します。行き違いや失念であれば、この段階で解決することも少なくありません。
  3. 内容証明郵便:催促に応じないときは、請求内容と送付の事実を証拠に残す内容証明郵便で督促します。時効を一時的に止める効果もあります。
  4. 交渉・公正証書:相手が支払いを認めるなら、分割払いなどを取り決め、強制執行認諾文言付きの公正証書にしておくと、裁判を経ずに差押えへ進めます。
  5. 法的手段:相手が応じないときは、支払督促・少額訴訟・通常訴訟で「債務名義」(強制執行の根拠となる公的な文書)を取得します。財産を隠されそうなら、その前に仮差押えで保全します。
  6. 強制執行:債務名義をもとに、相手の預金・売掛金・動産などを差し押さえて回収します。

それぞれの手段には、使える金額の目安・費用・かかる期間の違いがあります。次章以降で、まず自力でできる初期対応、続いて法的手段の使い分けを具体的に見ていきます。

支払いが遅れたらまず行う初期対応

ここからは、法的手段に入る前に自力でできる最初の3つの対応を解説します。損失の拡大を防ぎ、その後の回収を進めやすくする下地づくりです。

出荷・サービスの提供を止める

代金が支払われていない相手に取引を続けると、未回収の債権がさらに膨らみます。継続的な出荷や役務提供がある場合は、契約内容を確認したうえで、次回以降の提供を止められないかを検討します。すでに納品した商品でも、契約に所有権留保(代金完済まで所有権を売主に残す取り決め)があれば、引き揚げを求められる場合があります。

相殺できる債務(買掛など)がないか調べる

相手に対して自社も買掛金などの支払い義務を負っている場合、その額と未払い債権を差し引きする「相殺」で実質的に回収できます。民法は、互いに同種の債務を負い、双方が弁済期にあるときは対当額で相殺できると定めています。

二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。

出典:民法 第505条第1項|e-Gov法令検索

相殺は相手の同意がなくても、一方的な意思表示で効力が生じます。後日の証拠として、相殺する旨を内容証明郵便で通知しておくと確実です。

契約書を確認する(金額・支払条件・期限の利益喪失条項)

回収を進める前に、契約書・発注書・納品書・請求書で「いくらの債権が・いつ支払われるべきか」を確認します。特に、分割払いの一部でも滞れば残額を一括請求できる「期限の利益喪失条項」があると、残債全体を一度に請求できます。契約書がなくても、発注メールや納品記録など債権の存在を示す資料があれば回収は可能です。

相手が応じないときの法的手段と使い分け

催促しても支払われないときは、法的手段に進みます。ここからは、内容証明郵便から強制執行までの各手段を、使える場面・費用・かかる期間・自力でできるかの観点で個別に解説し、最後に一覧表で整理します。相手と話し合いの余地がある場合は、簡易裁判所の民事調停で合意による解決を目指す選択肢もあります。

内容証明郵便で督促する

内容証明郵便は、「いつ・誰が・どんな内容の文書を送ったか」を郵便局が証明してくれる郵便です。それ自体に相手を強制する力はありませんが、請求した事実を証拠に残せ、後述する時効を一時的に止める効果(催告)もあります。相手に「本気で回収する」という姿勢を示す意味でも、法的手段の入口としてよく使われます。

費用は、内容証明の加算料金が480円(文書2枚目以降は1枚ごとに290円。2026年9月時点)で、これに一般書留の料金と郵送料が加わります(内容証明は一般書留とすることが必須です)。配達された事実も残したい場合は配達証明を付けます。

差出には、同じ文面を3通(相手用・差出人控え・郵便局保管用)用意します。手書き・パソコンいずれも可能で、1行の字数や1枚の行数に書式上の制限があります。日本郵便のe内容証明(Web上で作成・差出ができるサービス)を使えば、書式の調整や複数通の用意といった手間を抑えられます。

出典・参考資料(1件)

公正証書で執行力を確保する(相手が支払いを認める場合の近道)

相手が債務を認め、分割払いなどで合意できる場合は、その内容を公正証書にしておくと有効です。「支払わないときは直ちに強制執行に服する」という強制執行認諾文言を入れた公正証書は、それ自体が債務名義になり、裁判を経ずに差押えへ進めます。相手が支払いに応じる姿勢を見せているうちに、公証役場で作成しておくのが安全策です。

出典・参考資料(1件)

支払督促(簡易裁判所)

支払督促は、簡易裁判所の裁判所書記官が、債権者の申立てだけをもとに相手へ支払いを命じる手続きです。裁判所に出向いての審理がなく、書類審査で進むため、費用と手間を抑えられます。相手が送達を受けてから2週間以内に異議を出さなければ、仮執行宣言付きの支払督促となり、強制執行の根拠(債務名義)になります。

ただし、相手が異議を申し立てると通常訴訟へ移行します。相手が争う姿勢を見せている場合には向きません。申立先は相手の所在地を管轄する簡易裁判所で、金額の上限はありません。申立てから発付までは、書類に不備がなければおおむね数日〜数週間が目安です。

出典・参考資料(1件)

少額訴訟(60万円以下)

少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に使える、簡易裁判所の特別な訴訟手続きです。原則として1回の期日で審理を終えて判決が出るため、通常訴訟より早く決着します。

簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。

出典:民事訴訟法 第368条第1項|e-Gov法令検索

同じ簡易裁判所で少額訴訟を利用できる回数は、年10回までに制限されています。相手が異議を出せば通常訴訟に移る点は支払督促と同じです。申立てから判決までは、おおむね1〜2か月程度が目安です。

通常訴訟

金額が大きい、または相手が支払いを争っている場合は、通常訴訟で判決を得ます。訴える裁判所は請求額で分かれ、140万円を超えない請求は簡易裁判所、140万円を超える請求は地方裁判所が第一審を担当します。判決(確定判決)は債務名義となり、強制執行に進めます。争いのある債権を確定させる本格的な手段ですが、判決までに数か月〜1年以上かかることもあり、時間と手間は最もかかります。

出典・参考資料(1件)

仮差押えで財産を保全する

訴訟や支払督促には時間がかかるため、その間に相手が預金を引き出したり財産を処分したりすると、勝訴しても回収できません。これを防ぐのが仮差押えです。判決を得る前に、裁判所の決定で相手の預金や不動産などを仮に押さえておき、財産の流出を止めます。相手に知られる前に進める必要があるため、財産隠しの兆候があるときに検討します(一定の担保金の供託が必要です)。

強制執行(差押え)で回収する

確定判決・仮執行宣言付き支払督促・強制執行認諾文言付き公正証書などの債務名義があれば、強制執行で相手の財産を差し押さえて回収できます。差押えの対象は、預金、相手が持つ売掛金、不動産、動産などです。回収の実効性は「どの財産を差し押さえるか」で決まるため、相手の取引銀行や資産の情報を把握できているほど成功率が上がります。

【一覧】手段の使い分け(金額・費用・自力でできるか)

ここまでの手段を、使える金額の目安・費用・自力でできるかで並べて比べます。自社の債権額や相手の対応に照らして、どの段階から着手するかの判断に使ってください。

手段使える場面・金額の目安費用の目安自分でできるか
内容証明郵便金額を問わず、催促・証拠化・時効の一時停止に加算料金480円(2枚目以降+290円)+一般書留料金+郵送料できる
支払督促相手が争わない見込みのとき(金額上限なし)申立手数料は訴訟の半額(例:60万円で3,000円、100万円で5,000円)+郵券できる
少額訴訟60万円以下の金銭請求を早く決着させたいとき申立手数料(例:60万円で6,000円)+郵券できる(1回の期日)
通常訴訟金額が大きい・相手が争うとき(140万円で簡裁/地裁が分岐)申立手数料(例:100万円で10,000円、140万円で12,000円)+郵券。弁護士に依頼する場合は別途費用できるが弁護士依頼が多い
仮差押え財産隠しの恐れがあり、判決前に保全したいとき申立手数料のほか担保金の供託が必要弁護士に依頼するのが一般的
強制執行債務名義を得た後、実際に回収するとき申立手数料・執行費用(回収額に応じ変動)弁護士・専門家の関与が多い

申立手数料は収入印紙で納めます(金額は2026年9月時点)。訴額に応じて変わり、別途、郵便切手(予納郵券)や強制執行時の費用がかかります。

出典・参考資料(2件)

未払い債権の消滅時効は原則5年(完成猶予・更新で止める)

未払い債権を放置すると、時効で権利そのものが消えてしまいます。回収を急ぐべき理由がここにあります。この章では、時効の年数と、時効を止める方法を確認します。

売掛金・請負代金の時効は原則5年

売掛金や請負代金などの債権は、権利を行使できると知った時から5年、または権利を行使できる時から10年のいずれか早いほうで時効により消滅します。BtoB取引では支払期日を過ぎれば「行使できると知った時」に当たるのが通常のため、実務では支払期日の翌日から原則5年が基準になります。

債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

出典:民法 第166条第1項|e-Gov法令検索

2020年(令和2年)4月1日施行の改正民法より前は、業種ごとに1〜3年の短い時効が定められていましたが、この職業別の短期消滅時効は廃止され、原則5年に統一されました。ただし、施行日より前に発生した債権には改正前のルールが適用される場合があるため、古い債権は個別に確認が必要です。

時効を止める方法(完成猶予・更新)

時効の完成が迫っているときは、「完成猶予」と「更新」で進行を止められます。完成猶予は時効の完成を一時的に先延ばしにするもの、更新は時効の進行をリセットしてゼロから数え直すものです。

  • 催告(完成猶予):内容証明郵便などで請求すると、その時から6か月間は時効が完成しません。ただし猶予は1回きりで、この6か月の間に訴訟や支払督促などの本手続きを取る必要があります。
  • 裁判上の請求など(完成猶予+更新):訴訟・支払督促・調停などを起こすと完成猶予となり、確定判決などで権利が確定すれば時効が更新されます。
  • 承認(更新):相手が債務を認める、一部でも支払う、支払猶予を求めるといった行為があると、時効はその時点から更新されます。

催告による6か月の猶予は「時間稼ぎ」にすぎません。時効が近い債権は、催告で猶予を得たうえで、速やかに支払督促や訴訟へ進めるのが確実です。

出典・参考資料(1件)
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自力で回収するか、専門家に頼むか

内容証明や少額訴訟は自力でも進められますが、金額が大きい・相手が争う・財産の把握が難しいといった場合は専門家に頼るのが現実的です。目安としては、少額(数万〜十数万円程度)なら費用倒れを避けて自力の内容証明・少額訴訟で、それ以上で相手が応じない場合は専門家への依頼を検討する、という切り分けになります。

ここからは、誰に・どの範囲まで頼めるかを整理します。他人の債権回収を報酬を得て代行できるのは、法律で認められた専門家に限られる点が前提です。

弁護士に依頼できる範囲と費用

弁護士は、金額の制限なく、催促・交渉から訴訟・強制執行まで一貫して代理できます。相手との交渉を任せられ、法的手段への移行もスムーズです。費用は、旧・日本弁護士連合会の報酬基準が2004年に廃止されて以降、各事務所が自由に定めており、一律の相場はありません。多くの事務所は、依頼時に支払う着手金と、回収額に応じた成功報酬(回収額の一定割合)を組み合わせる形をとります。

金額や体系は事務所ごとに異なるため、依頼前に見積もりで総額を確認します。少額の債権では回収額より費用が上回る「費用倒れ」になりやすいので、回収見込み額と費用を比べてから依頼するかを判断します。

認定司法書士に頼める範囲(140万円以下)

法務大臣の認定を受けた司法書士(認定司法書士)は、簡易裁判所で扱える140万円以下の請求について、訴訟代理などを行えます。弁護士より費用を抑えられる場合がありますが、140万円を超える請求や、控訴・強制執行の代理には原則として対応できません。少額の債権を早く回収したい場合の選択肢です。

出典・参考資料(2件)

債権回収会社(サービサー)が扱える債権

結論からいうと、通常のBtoB取引で生じた売掛金は、原則として債権回収会社(サービサー)には委託できません。サービサーは法務大臣の許可を受けて債権の管理・回収を代行する専門業者ですが、扱えるのはサービサー法が定める「特定金銭債権」に限られるためです。

この法律において「債権管理回収業」とは、弁護士、弁護士法人又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人以外の者が委託を受けて法律事件に関する法律事務である特定金銭債権の管理及び回収を行う営業又は他人から譲り受けて訴訟、調停、和解その他の手段によって特定金銭債権の管理及び回収を行う営業をいう。

出典:債権管理回収業に関する特別措置法 第2条第2項|e-Gov法令検索

特定金銭債権は、金融機関の貸付債権やリース・クレジット債権などが中心で、通常のBtoB取引で生じた売掛金・請負代金は原則として対象外です。したがって、一般の未払い売掛金の回収をサービサーに委託することは基本的にできません。ただし、取引先が破産・民事再生などの手続開始決定を受けた場合は、その債権が特定金銭債権に該当し、例外的に対象になりうるケースがあります。

サービサーは許可業者か確認する(詐欺業者に注意)

正規のサービサーは法務大臣の許可制で、法務省が許可業者の一覧を公開しています。「債権回収」をうたう業者から連絡があった場合や委託を検討する場合は、この一覧で許可を受けた会社かを確認しましょう。実在する会社の名をかたった架空請求もあるため、法務省も注意を呼びかけています。

出典・参考資料(2件)

【一覧】誰にどの範囲を頼めるか(金額×主体)

ここまでの委託先を、扱える範囲で整理します。ファクタリング(債権の買取)は「回収の代行」ではなく債権そのものを売却する資金調達手段である点も、あわせて押さえておきましょう。

委託先扱える範囲向いている場面
自力催促・内容証明・支払督促・少額訴訟など金額が小さく、相手が争わない見込みのとき
認定司法書士140万円以下の請求(簡易裁判所の代理など)少額債権を費用を抑えて回収したいとき
弁護士金額制限なし。交渉・訴訟・強制執行まで一貫代理金額が大きい・相手が争う・法的手段まで見据えるとき
債権回収会社(サービサー)特定金銭債権のみ(通常の売掛金は原則対象外)金融・リース・クレジット債権など、対象となる債権のとき
ファクタリング会社債権の買取(回収代行ではない)回収を待たずに早期に資金化したいとき

弁護士・認定司法書士・債権回収会社(サービサー)に頼むと費用がいくらかかるのか、着手金・成功報酬の相場観と、回収できる額より費用が上回る「費用倒れ」の見極め方は、依頼先を選ぶ前に押さえておきたい判断材料です。

回収できないときの後始末と再発防止

手を尽くしても回収できないこともあります。その場合の税務上の後始末と、資金繰りを支える公的制度、そして次の未払いを防ぐ仕組みを確認します。

貸倒れとして損金処理する(国税庁の要件)

回収不能となった債権は、一定の要件を満たせば貸倒損失として損金に算入できます。国税庁は、次の3つの類型を示しています。

  • 法律上の切捨て:会社更生・民事再生・特別清算などで債権が切り捨てられた場合や、債務者へ書面で債務免除した場合。
  • 全額回収不能:債務者の資産状況・支払能力から、その全額が回収できないことが明らかになった場合(担保があれば処分後。損金経理が要件)。
  • 一定期間の取引停止など:継続的な取引先との取引停止から1年以上が経過した場合など。BtoBの売掛金で使いやすい類型です。

類型ごとに認められる範囲や計上できる時期が異なるため、処理の前に自社の状況がどれに当たるかを確認します。

出典・参考資料(1件)

3つの類型ごとに、貸倒損失として認められる範囲や計上できる時期は異なります。自社のケースがどれに当たるかの見極め方や、貸倒れによる黒字倒産を避けるための備えは、次の記事で具体例とあわせて確認できます。

資金繰りを支える公的制度

取引先の倒産で資金繰りが厳しくなったときは、公的な支援制度も選択肢になります。中小機構の「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)」は、無担保・無保証で共済金を借りられる制度です。借入限度は、回収困難となった売掛金債権等の額と掛金総額の10倍(上限8,000万円)のいずれか少ない額までです。

日本政策金融公庫の「取引企業倒産対応資金(セーフティネット貸付)」は、取引先の倒産で経営に困難を来した中小企業向けの融資です。

出典・参考資料(2件)

再発を防ぐ与信管理・売掛保証・集金代行

未払いを繰り返さないためには、事前の与信管理(取引前に相手の支払能力を確認する)と、リスクを移す仕組みの活用が有効です。与信管理の具体的な進め方や与信限度額の決め方は、中小企業の与信管理のやり方で詳しく解説しています。

リスクを移す仕組みには、取引先の倒産などで売掛金が回収できないときに保証を受けられる「売掛保証」や、請求から入金までを立て替え・保証する「掛け払い(BtoB後払い)」があります。督促や集金そのものを外部に任せて回収業務を効率化する「集金代行」などのサービスは、次章でまとめて紹介します。

このうち売掛保証は、取引先ごとに保証枠を設けておき、倒産などで回収不能になった売掛金を保証会社にカバーしてもらう仕組みです。料金・保証範囲・目的別の選び方は、次の記事で比較できます。

未払い債権の督促・回収を効率化するサービスの活用

督促の電話やメール、督促状の発送は、件数が増えるほど担当者の負担が大きくなります。ここからは、督促・回収の手間を外部化・自動化できるサービスを、課題別に紹介します。自社に不足している機能を補う視点で選ぶのがポイントです。

ここで紹介するのは督促の連絡や集金といった事実行為の代行・自動化であり、前章で触れた「法律事務としての回収代行」(弁護士・認定司法書士・サービサーに限られる)とは別のものです。督促の連絡や集金の代行自体は、これらのサービスを使って外部化できます。

サービスの選び方(課題別)

督促・回収の効率化サービスは、自社の課題によって選ぶタイプが変わります。次の観点で候補を絞り込むと選びやすくなります。

  • 督促を自動化したい:メール・SMS・自動音声(オートコール)などで、督促の連絡を自動送信できるサービス。
  • 督促のチャネルを増やしたい:到達率の高いSMSや、支払いページへの誘導・決済までつなげる通知サービス。
  • 回収業務ごと外部に任せたい:請求書発行から督促状発送・入金管理までを代行する集金代行(BPO)。

この記事で紹介するサービスを課題別に整理すると、督促を自動化したいなら督促・回収の自動化システム型、督促のチャネルを増やしたいならSMSなどのメッセージ配信型、回収業務ごと外部に任せたいなら集金代行(BPO)型が候補になります。次の比較表と個別紹介で、それぞれに当たる具体的なサービスを確認してください。

まず、督促・回収に使える主なサービスを一覧で比べてみましょう。

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サービスDHKクラウドオートコールオーロラSMSKDDI Message CastSMSマルチPay債権回収ロボLectoFOC 集金代行
提供会社株式会社電話放送局株式会社メディア4uKDDI株式会社(Supership株式会社と共同運営)株式会社ネクスウェイ(株式会社アグレックスと連携)株式会社ROBOT PAYMENTLecto株式会社芙蓉アウトソーシング&コンサルティング株式会社(FOC)
タイプ(提供形態)督促自動化(オートコール・IVR)SMS配信(督促連絡)SMS・RCS配信(督促連絡)SMS請求・未収金回収(決済まで連携)督促・回収自動化システム債権管理・督促・回収プラットフォーム集金代行BPO(人手で請求〜回収を代行)
対応チャネル自動音声(オートコール)・SMS・メールSMS・IVR(発信)SMS・RCS・+メッセージSMS(+督促架電・督促状発送のBPO連携)メール・SMS・オートコール(IVR)メール・SMS・IVR(自動音声)・書面督促状発送・入金管理などの人手代行(決済代行会社と連携)
初期費用50,000円〜0円0円20,000円〜要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
月額費用50,000円〜(月1,000件まで含む)0円0円0円要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
従量・単価応答課金(固定21円・携帯32円/件、1,001件目以降)送信成功分の従量課金(単価は要問い合わせ)SMS 9.35円(税込)〜(到達課金)/RCSは要問い合わせ送信単価20円〜(決済手数料は要問い合わせ)要問い合わせ督促数に応じた従量課金(要問い合わせ)要問い合わせ(業務範囲に応じた個別見積)
こんな企業に向く督促の架電を自動化し大量に処理したい督促のチャネルをSMSで増やしたいSMSに加えRCSも使い到達率を高めたい督促から支払いまでオンラインで完結させたい複数チャネルの督促を1つのシナリオで自動化したい人力中心の督促をシステムに置き換えたい督促・回収の業務ごと外部に任せたい
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約サービス詳細を見るサービス詳細を見る

※料金は2026年9月時点の各社公式サイト等の情報にもとづきます。最新の料金・手数料は各社にご確認ください。

1. DHKクラウドオートコール(株式会社電話放送局)

DHKクラウドオートコール(オートコールIVR)のウェブサイト

株式会社電話放送局が運営するDHKクラウドオートコールは、未収金への督促架電を自動音声(オートコール・IVR=自動音声応答)で大量かつ定時に実行できます。あらかじめ用意した発信リストへシステムが自動で一斉架電し、合成音声または録音音声で入金を案内します。1時間に5,000件以上の自動架電が可能とされ、在宅率の高い時間帯への一斉発信で連絡の到達率を高められます。

料金は初期費用・月額費用が各50,000円〜(月額には月間1,000件までの応答を含む)で、以降は応答があった分のみ課金される応答課金型のため、郵送のような全件コストが発生しません。ライフカードやAGミライバライなど、未収金督促での公式導入事例があり、債権管理システムとのAPI連携で架電の自動化までカバーできます。

督促や入金案内をオートコールで自動化する際に気をつけるべき点について、電話放送局の前田氏は次のように話しています。

前田氏
株式会社電話放送局 営業部 営業推進課 課長
前田氏
独自インタビューより

入金案内や督促は、伝える内容が定型化しやすい一方で、案内の仕方によってはトラブルや苦情につながりやすい業務です。一方で、入金コールは人が案内する場合と比べて、トラブルや苦情を軽減できる側面もあります。だからこそ、まずは“自動化しても顧客体験を損ねにくい設計”をすることが大切だと考えています。オートコールは使い方を間違えると社会問題になりかねません。だから当社としては、用途の相性を見極めて、やめた方がいいケースは止める。その線引きも含めて一緒に考えています。

2. オーロラSMS by メディアSMS(株式会社メディア4u)

オーロラSMS by メディアSMSのウェブサイト

督促のチャネルをSMSで増やしたいときに使えるのが、株式会社メディア4uのオーロラSMSです。国内携帯キャリアとの直接接続を特徴とし、開封されやすいSMSで支払いのリマインドや督促連絡を届けられます。電話や郵送に比べて相手に気づいてもらいやすく、SMS認証やIVR(発信)認証にも対応します。

初期費用・月額基本料は0円で、送信した分だけの従量課金です。デロイト トーマツ ミック経済研究所のリポートで国内法人SMS配信数5年連続No.1(2021〜2025年度)と記載されており、過去の用途別では督促用途の比率が高かった実績があります。まず督促のチャネルを増やしたい企業に向いています。

3. KDDI Message Cast(KDDI株式会社)

KDDI Message Castのウェブサイト

KDDI株式会社とSupership株式会社が共同運営するKDDI Message Castは、携帯電話番号宛にSMS・RCS(次世代SMS規格)・+メッセージを一斉/自動配信できる法人向けメッセージ配信サービスです。公式のユースケースに「支払い督促」が挙げられ、キャリア網への直接接続による高い到達率を訴求しています。

2025年5月からRCS配信に対応し、リッチな表現や双方向のやり取りにも使えます。SMS送信APIを備え、督促連絡を既存の債権管理システムに組み込んで自動化できる点も特徴です。SMSに加えてRCSも活用したい企業に適しています。

4. SMSマルチPay(株式会社ネクスウェイ)

SMSマルチPay|請求・未収金回収サービスのウェブサイト

SMSマルチPayは、SMSでの支払い通知から本人認証、決済までをオンラインで一気通貫させる請求・未収金回収サービスです。到達率の高いSMSで支払いを案内し、利用者ごとに生成した専用ページで金額・期日を確認させ、複数の決済手段から選んで支払ってもらえます。督促の連絡だけでなく、その場で支払いまで完了させられるのが特徴です。

初期費用20,000円〜・月額費用0円・送信単価20円〜で、決済手数料は取扱金額や決済手段に応じて別途発生します。管理画面で送達・アクセス・入金の状況を可視化して未収を検知でき、コールセンターからの督促架電・督促状発送といったBPOと組み合わせて回収を強化することもできます。

5. 債権回収ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

債権回収ロボのウェブサイト

未入金の督促・回収業務そのものを自動化する専用クラウドが、株式会社ROBOT PAYMENTの債権回収ロボです。メール・SMS・オートコール(自動音声)といった複数チャネルを組み合わせた督促シナリオを設計し、債務者の属性や債権額に応じて自動で実行します。督促の状況や受信・返信の履歴を一元管理でき、属人化しやすい督促業務を標準化できます。

同社の請求管理サービス「請求管理ロボ」と連携すれば、請求から督促・回収までを一気通貫で管理できます。料金は公式サイトに掲載がなく、要問い合わせです。複数チャネルの督促を1つのシナリオで自動化したい企業に向いています。

6. Lecto(Lecto株式会社)

Lectoのウェブサイト

人力中心の督促をシステムに置き換えたい企業に向くのが、Lecto株式会社のLectoです。債権管理・督促・回収に特化したデジタルプラットフォームで、メール・SMS・IVR(自動音声)・書面の複数チャネルで督促を自動送信し、債務者情報・回収の進捗・入金状況までを一元管理できます。督促履歴や交渉履歴が自動で記録され、ダッシュボードで回収状況を分析できます。

料金は月額基本料に加え、督促数に応じた従量課金で、金額は要問い合わせです。CSVやWeb APIでのデータ連携に対応し、導入は最短1か月程度とされています。人力の電話・手紙中心の督促をシステムに置き換えたい企業に適しています。

7. FOC 集金代行・収納代行サービス(芙蓉アウトソーシング&コンサルティング株式会社)

FOC 集金代行・収納代行サービスのウェブサイト

請求から回収までの一連業務を人手でまるごと代行するのが、芙蓉アウトソーシング&コンサルティング株式会社のFOC 集金代行・収納代行サービスです。クレジットカード・コンビニ払いなどの決済を各決済代行会社と連携して扱うほか、利用明細・払込票・督促状の発送、入金管理までを請け負います。自社に督促・回収のリソースがない場合に、業務ごと外部化できます。

クライアントの事業に合わせて体制を構築する個別対応型で、督促状の発送を含む回収実務までカバーする点が、システム提供型のサービスとの違いです。バックオフィスが手薄な企業や、集金業務のコストを削減したい企業に向いています。

ここで紹介したのは、督促・回収の効率化に使える代表的なサービスです。回収業務そのものを外部に委託する選択肢も含め、依頼先のタイプ別に費用相場や選び方を幅広く比較したい場合は、次の記事が参考になります。

まとめ

未払い債権の回収は、初期対応(出荷停止・相殺・契約書確認)から始め、内容証明郵便での督促、相手が応じなければ支払督促・少額訴訟・通常訴訟で債務名義を得て、強制執行で回収する、という段階を踏むのが基本です。60万円以下なら少額訴訟、争いがなければ支払督促、と手段を使い分けると、費用と手間を抑えられます。

売掛金・請負代金の時効は原則5年です。放置すると権利が消えるため、催告や訴訟で時効を止めながら、早めに動くことが回収の成否を分けます。金額が大きい・相手が争うといった場合は、弁護士や認定司法書士への依頼も検討しましょう。日々の督促・回収の負担が大きいときは、督促の自動化や集金代行といったサービスの活用も有効です。

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よくある質問(FAQ)

Q. 未払い債権の回収とは何ですか?

未払い債権の回収とは、取引先が支払期日を過ぎても払わない売掛金や請負代金などの代金を、催促から法的手段まで段階的に取り立てることです。電話・メールでの催促に始まり、内容証明郵便での督促、支払督促・少額訴訟・通常訴訟による債務名義(強制執行の根拠となる公的な文書)の取得、そして強制執行、という順で、負担の軽い手段から進めるのが基本です。

Q. 未払い債権の消滅時効は何年ですか?

売掛金や請負代金などの未払い債権の消滅時効は、支払期日の翌日から原則5年です。2020年4月施行の改正民法で業種ごとの短期消滅時効が廃止され、原則5年に統一されました(権利を行使できると知った時から5年、または行使できる時から10年のいずれか早いほう)。時効が迫るときは、内容証明郵便による催告で6か月の完成猶予を得たうえで、その間に支払督促や訴訟に進めて時効を止めます。

出典・参考資料(1件)

Q. 未払い債権は自分で回収できますか、それとも専門家に頼むべきですか?

未払い債権は、内容証明郵便・支払督促・少額訴訟(60万円以下)までは自力でも進められますが、金額が大きい・相手が争う・財産の把握が難しい場合は専門家に依頼するのが現実的です。認定司法書士は140万円以下の請求について訴訟代理などを行え、弁護士は金額の制限なく交渉から訴訟・強制執行まで一貫して代理できます。

まずは自力の初期対応(催促・内容証明)で動き、相手が応じない段階で依頼を検討するのが一般的です。

Q. 通常の売掛金を債権回収会社(サービサー)に委託できますか?

通常のBtoB取引で生じた売掛金・請負代金は、原則として債権回収会社(サービサー)に回収を委託できません。サービサーが扱えるのは、サービサー法が定める「特定金銭債権」(金融機関の貸付債権やリース・クレジット債権などが中心)に限られるためです。ただし、取引先が破産・民事再生などの手続開始決定を受けた場合は、例外的に対象になりうるケースがあります。

一般の売掛金の回収代行は、弁護士(金額制限なし)または認定司法書士(140万円以下)に依頼します。

出典・参考資料(2件)

Q. 支払督促と少額訴訟はどう違いますか?

支払督促は金額の上限がなく、相手が争わない見込みのときに書類審査だけで進められる手続きで、少額訴訟は60万円以下の請求を原則1回の期日で決着させる手続きです。どちらも簡易裁判所を使い、相手が異議を申し立てると通常訴訟へ移行する点は共通します。相手が支払いを渋っているが争ってはこないケースは支払督促、少額で早く判決を得たいケースは少額訴訟が向きます。

Q. 契約書がなくても未払い債権は回収できますか?

契約書がなくても、発注メールや納品書、請求書など債権の存在を示す資料があれば未払い債権は回収できます。契約は当事者の合意があれば書面がなくても有効に成立するためです。ただし契約書があるほうが金額や支払条件を立証しやすく回収は容易になるため、回収に着手する前に、取引のやり取りの記録をできるだけ集めておくことが重要です。

Q. 強制執行で確実に回収するには何が必要ですか?

強制執行で回収の実効性を高めるには、債務名義に加えて「相手のどの財産を差し押さえるか」という財産情報が欠かせません。差押えの対象は預金・相手が持つ売掛金・不動産・動産などで、相手の取引銀行や資産を把握できているほど成功率が上がります。訴訟中に財産を隠されそうな兆候があるときは、判決を得る前に仮差押えで財産を保全しておくと安全です。

Q. 未払い債権がどうしても回収できないときはどう処理すればよいですか?

回収不能となった未払い債権は、国税庁が定める要件を満たせば貸倒損失として損金に算入できます。「法律上の切捨て」「全額回収不能」「一定期間の取引停止など」の3類型があり、BtoBの売掛金では継続的な取引先との取引停止から1年以上が経過した場合の類型が使いやすいとされます。あわせて、経営セーフティ共済やセーフティネット貸付など、資金繰りを支える公的制度の利用も検討できます。

出典・参考資料(1件)

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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