インタビュイー:
株式会社サスガキャピタルパートナー 代表取締役 仲川 氏
サスガキャピタルパートナーの事業内容について、改めて教えてください
当社は、中小企業や医療法人・クリニックなど医療機関を対象とした事業承継のM&A仲介、およびファイナンシャルアドバイザリー業務を提供しています。特に医療業界に特化してご相談をいただくケースが多く、後継者不在に悩む個人クリニックの先生から、複数院を展開する医療法人の組織再編まで、幅広いご相談に対応しています。
医療業界のM&Aを手掛けるようになった経緯を教えてください
もともと私はM&Aを専門にやっていたわけではなく、日本で初めての独立系IFA(金融アドバイザー)専業証券会社の経営に参画し、SBI証券へ事業譲渡した経験を持っています。その中で、ある地方で50床ほどの病床を持つ医療法人の理事長様から、病院を第三者に譲渡したいというご相談をいただいたことがきっかけです。当時はM&A自体を手掛けたことがありませんでしたが、ぜひやらせてくださいとお受けし、結果的に良いお相手を見つけて合併という形でまとめることができました。この案件が非常に難易度の高いものだったこともあり、医療機関のM&Aという仕事の社会的な意義や有用性を強く感じたことが、現在の事業を中心に据えるきっかけになっています。
医療機関のM&Aは、一般的な事業会社のM&Aとどのような点が異なりますか?
通常の事業会社のM&Aであれば、株式譲渡によって所有権が移転すれば基本的に完結します。ところが医療機関の場合はそれだけでは済みません。譲渡する前に所管の保健所へ事前相談が必要ですし、譲渡後、売手は旧クリニックの廃止手続きが、買手は新規開設の手続きが発生します。医療法人が絡む場合はさらに、都道府県知事への認可申請や定款変更の手続きも必要になり、専門的な知識がないと円滑に進めることが難しい領域です。ここをしっかり分かっていないと円滑な医療機関の承継手続きが進められないというのが、私たちの強みにもつながっている部分だと考えています。
競合他社と比較した際の強みは何ですか?
大きく2点あります。1点目は、私自身がM&Aの当事者としての経験を持っていることです。多くのM&A仲介会社の担当者は、ご自身がM&Aの当事者になった経験をお持ちの方は多くないと思います。私は上述の証券会社の経営者として、事業譲渡を自ら経験していますので、クライアント様と同じ目線に立ってサポートできる点が強みだと考えています。2点目は、医療機関のM&Aには医療法人同士の合併や、医療法人から個人ドクターへの医療法人譲渡もしくは事業譲渡、個人クリニックから医療法人への事業譲渡など、多様なパターンのスキームがありますが、当社はほぼすべてのスキームを実務として経験しており、各々のパターンにおいて異なる複雑な行政手続きにも精通していることです。加えて、当社は小規模な事業者だからこそ迅速で柔軟な意思決定ができ、土日祝日や深夜を含めて24時間365日対応できる点も、クライアント様から高く評価いただいているポイントです。
独立系のブティックFASという立ち位置は、大手仲介会社と比べてどのような違いを生んでいますか?
社員を多数抱える大手の仲介会社様では、どうしても規模の利益や決算に応じた期間収益を追求する必要があり、案件を短期間でまとめなければならないインセンティブが働きやすくなります。当社は独立系かつ小規模で運営しているため、そうした規模の利益や近視眼的な収益を追う必要がなく、クライアント様本位でのディールを推進しやすい環境にあります。実際に、当社を含めて複数社に相談されている案件でも、他社からは初回の面談以降まったく連絡がないという声を伺うことがあります。当社では難易度の高い案件であっても、こまめにご連絡を取りながら継続的な対応を続けています。
医療機関から相談が多い導入理由を教えてください
最も多いのは後継者不在です。ご子息やご息女がドクターであっても、勤務医を続けたい、あるいは研究者として別の道を進みたいという理由でクリニックを継がないケースが多く、廃業してもよいものの地域医療として患者様が困ってしまうことを懸念され、第三者承継のご相談をいただきます。ほかにも、比較的若いうちに早期リタイアを希望されるドクターや、複数クリニックを展開する医療法人等が組織再編の一環として戦略地域外に所在するクリニックや主たる診療科目を標榜していないクリニックを切り離したいというご相談、また医療機関のM&Aに知見を有されていない同業他社様からのご紹介など、さまざまな経緯でお声がけをいただいています。
特に印象に残っている成功事例を教えてください
いくつかございますが、1つは、当社が医療機関のM&Aに携わるきっかけとなった、50床ほどの療養病床を持つ医療法人の案件です。買い手側が人工透析に特化したクリニックを複数展開されており、通院患者様の高齢化を見据えて病床確保のニーズをお持ちでした。売り手・買い手双方のニーズが合致し、合併という形でまとまった後、病院を透析特化にリニューアルしたことで患者数が増え、収益も大きく伸びました。譲渡から1年後には、売り手の理事長様から直接お食事にお招きいただくほど感謝いただいた案件です。もう1つは、勤務医の先生が独立開業するために個人経営クリニックを事業譲渡で買収した案件で、売り手の先生が非常勤として残り、若い買い手の先生が管理医師/院長として承継後は2人体制で診療にあたったケースです。前の先生についていた患者様の離脱をほとんど防ぐことができ、円滑な経営の引き継ぎと承継後の収益の大幅な向上につながりました。
ご相談から成約までは、どのくらいの期間を見ておくとよいですか?
お相手がどのくらいの期間で見つかるかにもよりますが、目安としては最低でも3か月から6か月程度は要すると思います。個人経営クリニックを個人医師が事業譲渡で承継するケースで、お互いに合意ができており、買い手の先生がすぐに今の勤務先を退職できる場合などは、3か月程度で譲渡実行まで進むこともあります。一方で医療法人が絡む場合は、所管保健所への事前相談から、都道府県知事への仮申請を行い、正式な申請書面の提出から認可まで標準処理期間として2か月程度を要するので、6か月から1年程度は見ておく必要があります。特にお相手がなかなか見つかりにくい地域の案件や診療科目によっては、複数年にわたってお付き合いすることもあります。また、都道府県によっては対応が異なるケースもあり、行政ごとの性質を把握しておくことも欠かせません。
どういった医療機関が成功パターンに当てはまりやすいですか?
まず、売り手と買い手の診療科目やご所望の所在地が合致する案件は非常にスムーズに進みやすい傾向にあります。また、譲渡後も売り手の院長(管理医師)がそのまま残るケースは、分院展開を目指す医療法人等にとっては非常にニーズが高い案件になります。買い手としては医療機関を買収できても管理医師を別途確保しなければならないという課題があるため、その点をはじめからクリアできている案件は評価が高くなります。また、医師ではない事業会社等が買い手側になる場合については、医療経営についてきちんと理解があり、行政手続きを含めた知見をお持ちであることも重要な条件です。診療科目では内科の人気が高い一方、小児科や産婦人科は収益面の課題から買い手が少ない傾向があります。
成約後のサポート体制について教えてください
これまでのディールでクライアント様から特にご評価いただいているのが、行政への届出・手続きサポートです。個人のドクターの場合、行政手続きの知見をお持ちでないことがほとんどですので、事前に工程表を作成し、どの時点でどのようなアクションや手続きが必要になるか等を、最初から最後まで一気通貫でお示ししながら進めています。また、基本合意から最終契約までまとまった後は、スタッフ様に対しての承継に関しての情報開示のタイミングや伝え方も非常に重要になります。開示のやり方を誤るとスタッフ様が離職してしまうこともあるため、その部分のサポートも丁寧に行っています。加えて、顧問税理士の先生には早い段階から関わっていただくようにしています。M&Aに不慣れな税理士の先生が案件終盤で初めて売主様から承継のお話を聞かされた場合などは、税理士先生自身が阻害されたような心情も相まって承継案件に否定的な立場をとって反発されたりすると案件推進の障害になったりトラブルにつながりやすいため、顧問税理士の先生の立場も尊重しながら進行に協力いただけるよう配慮しています。
料金体系について教えてください
当社は着手金無料の完全成功報酬型です。成功報酬額は譲渡対価に応じて決まる仕組みで、クリニックの譲渡対価は一般的に営業利益の1年分程度が目安になるケースが多くなっています。事業会社のM&Aでは営業利益の何年分という基準になることが多いのに対し、クリニックの場合は診療報酬改定などのリスクもあるため、1年程度を基準にすることが多いです。報酬は譲渡対価の10%、もしくは最低報酬500万円としており、契約時にあらかじめご説明していますので、売り手様・買い手様ともに費用感を把握した上でお話を進めていただけます。
今後の展望を教えてください
引き続き医療機関のM&Aを中心事業としつつ、医療行政と親和性の高い福祉施設や介護施設の分野へも案件を広げていきたいと考えています。実際にご相談も増えてきている領域です。加えて、少子化で厳しい状況にある学校法人(幼稚園など)についても、単なるM&A支援にとどまらず、地域の課題解決と絡めた形での支援ができないか、視野に入れています。
まとめ・編集部コメント
株式会社サスガキャピタルパートナーは、医療法人・クリニックの事業承継に特化したM&A仲介・ファイナンシャルアドバイザリーサービスを提供しています。代表自らがIFA専業証券会社の事業譲渡というM&A当事者の経験を持ち、行政手続きが複雑に絡む医療機関特有の事情に精通している点が大きな特徴です。
後継者不在に悩む個人クリニックから、分院展開を進める医療法人まで、幅広いニーズに対応してきた実績があり、独立系・小規模だからこそ実現できる迅速な対応とクライアント本位のディール推進も強みとなっています。着手金無料の完全成功報酬型で、料金体系も契約前に明確に説明される点は安心材料といえるでしょう。
後継者不在や第三者承継を検討している医療機関、あるいは分院展開や新規開業先を探している医療法人・ドクターにとって、実務に精通した伴走先として相談してみる価値のあるサービスです。