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事業承継とは?引き継ぐ3つのもの・3つの方法と進め方・相談先をわかりやすく解説

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自社をこの先誰に引き継ぐのか、そろそろ考え始めたものの、「事業承継」という言葉が具体的に何を指すのかはっきりしない、という経営者は少なくありません。中小企業の経営者の平均年齢は60.5歳と過去最高を更新しており、引き継ぎの検討は多くの企業にとって先送りできないテーマになっています。

本記事では、事業承継とは何を・誰に・どう引き継ぐことなのかという全体像から、親族内・従業員・M&A(第三者承継)という3つの方法の違い、進め方と準備期間、かかる税金や使える制度、相談先の選び方までを整理します。「事業承継」と「事業継承」という表記の違いもあわせて解説し、最初の一歩を踏み出すための判断材料としてご活用いただけます。

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事業承継とは?引き継ぐ3つのもの・3つの方法の全体像

まず全体像からつかみましょう。事業承継とは、現経営者が築いてきた事業を後継者に引き継ぐことを指します。引き継ぐ対象は大きく3つ、引き継ぐ相手も大きく3つに分けて考えると、自社が何を・誰に引き継ぐのかを整理しやすくなります。

事業承継とは

事業承継とは、会社の経営を現経営者から後継者へ引き継ぐことです。中小企業庁は事業承継を「企業の熱い想いや技術を次の世代へつなぐこと」と説明しています。単に社長の座を渡すだけでなく、会社が培ってきた技術・信用・人のつながりを含めて次の世代へ受け渡す取り組みを指します。

出典・参考資料(1件)

事業承継で引き継ぐ3つの要素(経営権・資産・知的資産)

中小企業庁は、事業承継で引き継ぐものを「人(経営)の承継」「資産の承継」「知的資産の承継」の3つの要素に整理しています。それぞれ引き継ぎ方も注意点も異なるため、3つに分けて準備することが出発点になります。

  • 人(経営)の承継:経営権、すなわち後継者に会社の経営そのものを引き継ぐこと。後継者の選定・育成が中心になります。
  • 資産の承継:自社株式や事業用資産、資金など、事業に必要な資産を引き継ぐこと。株式の移転に伴う相続税・贈与税が論点になります。
  • 知的資産の承継:経営理念、技術・ノウハウ、取引先や従業員との信頼関係など、数字に表れない強みを引き継ぐこと。目に見えにくいぶん、計画的な引き継ぎが欠かせません。

事業承継の3つの方法(親族内・従業員・M&A)

誰に引き継ぐかによって、事業承継は次の3つに分類されます。中小企業庁も、引き継ぐ先によって親族内承継・従業員承継・M&A(社外への引継ぎ)の3つに分けて整理しています。

  • 親族内承継:子どもや親族を後継者として引き継ぐ方法です。
  • 従業員承継:役員や従業員など、親族以外の社内の人材へ引き継ぐ方法です。
  • M&A(第三者承継):社外の第三者(他社や個人)へ会社や事業を譲渡する方法です。後継者が社内にいない場合の選択肢になります。

それぞれの方法で、進めやすさ・資金負担・引き継げる範囲が変わります。次の章で、3つの方法のメリット・デメリットを横並びで見ていきます。

事業承継3つの方法のメリット・デメリットと向く企業

ここからは、親族内承継・従業員承継・M&Aの3つの方法を、メリット・デメリット・向いている企業の観点で比較します。どれが優れているということはなく、後継者の有無や会社の状況によって適した方法が変わります。

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承継方法親族内承継従業員承継M&A(第三者承継)
メリット後継者を早期に決めて長期間かけて育成できる
関係者や取引先の理解を得やすい
相続・贈与で資産を移転でき、事業承継税制を使いやすい
事業をよく理解した人材に引き継げる
社内外からの理解を得やすく経営の連続性を保ちやすい
親族・社内に後継者がいなくても会社や雇用を存続できる
経営者が株式の譲渡対価を得られる
デメリット親族に経営の意欲・適性があるとは限らない
相続時に他の相続人との間で遺留分などのトラブルが起きやすい
後継者となる従業員に自社株式の買い取り資金が必要になりやすい
個人保証(経営者保証)の引き継ぎが交渉上の課題になる
希望条件に合う相手を探す必要があり、相手ありきで進む
譲渡益に対して税金がかかる
向いている企業子や親族に引き継ぐ意思と適性があり、時間をかけて準備できる企業経営を任せられる役員・従業員がいて、資金面の手当てを計画できる企業親族にも社内にも後継者がいない企業、譲渡を機に次の一歩を考えたい経営者

※上記は各承継方法の一般的な傾向です。実際の進め方や税務の扱いは、自社の状況や専門家の助言にもとづいてご確認ください。

承継方法の選び方の道筋

どの方法が自社に向くかは、次の3点を順に見ていくと絞り込めます。1つ目は、子や親族に引き継ぐ意思と適性があるかどうかです。あれば親族内承継を軸に、早めに育成と資産移転の準備を始めるのが基本になります。

2つ目は、親族に候補がいない場合に、経営を任せられる役員・従業員がいるかどうかです。いれば従業員承継が選択肢になり、自社株式の買い取り資金や個人保証の引き継ぎをどう解決するかもあわせた検討が必要になります。

3つ目として、親族にも社内にも後継者がいなければ、会社や雇用を残しながら経営者が譲渡対価を得られるM&A(第三者承継)が現実的な選択肢になります。

加えて、着手できる時間も判断材料になります。親族内・従業員承継は後継者の育成に時間がかかり、M&Aは相手が決まれば比較的短期間で進む傾向があります(期間の目安は後の章で解説します)。残された時間と後継者の有無を重ね合わせると、現実的な方法が見えてきます。

「事業承継」と「事業継承」はどちらが正しい?違いと使い分け

「事業承継」と「事業継承」は、どちらも読み方が似ていて混同されがちです。結論から言えば、公的な制度や実務で使われる正式な表記は「事業承継(じぎょうしょうけい)」です。中小企業庁も、事業承継税制・事業承継ガイドライン・事業承継・引継ぎ支援センターなど、制度名で一貫して「承継」を用いています。

「承継(しょうけい)」と「継承(けいしょう)」には、引き継ぐ対象のニュアンスの違いがあるとされます。承継は地位・精神・理念といった形のない抽象的なものを受け継ぐ意味合いが強く、継承は財産・権利・設備など形のある具体的なものを受け継ぐ場面で使われやすい言葉です。事業承継は、経営・資産・知的資産という形のあるものと形のないものの両方を受け継ぐため、「承継」が用いられています。

もっとも、「事業継承」と書いても意味が通じないわけではなく、日常的な表現としては誤りとまでは言えません。ただし補助金・税制・相談窓口などの制度名を調べるときは「事業承継」で検索・確認するのが確実です。また、会社の事業の一部または全部を売買する「事業譲渡」は、株式の移転を含まない取引手法を指す別の言葉で、事業承継の手段の一つとして位置づけられます。

中小企業の事業承継の現状と、早めの準備が必要な理由

事業承継の準備を早く始めるべき背景には、経営者の高齢化があります。中小企業庁によると、中小企業の経営者の平均年齢は60.5歳で過去最高を更新しています。引退を考える時期に差しかかる経営者が増える一方で、後継者が決まっていない企業も多く、後継者不在率はここ数年5割前後の高い水準で推移しています(近年は改善傾向も見られます)。

こうしたなかで、親族や社内に後継者がいない企業の選択肢として、M&Aによる第三者への承継が広がっています。中小企業庁の報告では、M&A専門業者による中小企業のM&A実施件数は2023年度に4,681件が報告され、中小M&A市場は拡大が続いています。後継者が決まらないまま時間が経つと、選べる方法が狭まり、最悪の場合は廃業に至ることもあります。

親族内・従業員承継では後継者の育成に年単位の時間がかかるため、現経営者が元気なうちに着手することが大切です。

出典・参考資料(2件)

事業承継の進め方|5つのステップと必要期間の目安

事業承継は、中小企業庁の事業承継ガイドラインが示す流れに沿って、おおむね次の5つのステップで進めます。何から手をつければよいか分からないときは、この順番を目安にすると整理しやすくなります。

ステップ1 事業承継に向けた準備の着手。まずは「いつ・誰に・どう引き継ぐか」を考え始め、必要に応じて支援機関や専門家に相談します。経営者が元気なうちに着手することが、選べる方法を広げます。

ステップ2 経営状況・経営課題の見える化。会社の資産・負債、収益力、強み・弱みを整理し、自社の現状を客観的に把握します。親族や従業員が個人保証や自社株式を引き継げるかも、この段階で確認します。

ステップ3 事業の磨き上げ。本業の収益力を高めたり、承継の障害になる要素を整理したりして、引き継ぎやすい状態に会社を整えます。M&Aを選ぶ場合は、買い手から見た企業価値を高める工程にもなります。

ステップ4 承継方法・後継者の確定と計画の策定。親族内・従業員承継なら、後継者を定めて育成・資産移転の計画(事業承継計画)を作ります。M&Aなら、譲渡の条件を整理し、相手探しの準備に入ります。

ステップ5 承継の実行。計画に沿って経営権・資産・知的資産を引き継ぎます。M&Aの場合は、買い手候補の選定・交渉・基本合意・買収前調査(デューデリジェンス)・最終契約を経て譲渡が完了します。

準備期間の目安は方法によって異なります。親族内・従業員承継は後継者の育成を含めて5年から10年程度かかることもある一方、M&Aは相手が決まれば数か月から1年程度で進むこともあります。いずれにしても、思い立ってすぐ完了するものではないため、早めの着手が肝心です。

出典・参考資料(1件)

事業承継にかかるお金|税金と自社株評価の概算

ここからは、事業承継で発生するお金について整理します。どの承継方法を選ぶかによって、かかる税金の種類が変わります。親族内承継では主に相続税・贈与税が、従業員承継では自社株式を買い取るか贈与で受け取るかに応じた課税が、M&A(株式譲渡)では譲渡益に対する所得税・住民税が論点になります。

親族内承継で自社株式を引き継ぐ場合、相続または贈与の形をとります。相続税は法定相続分に応じた取得金額に、贈与税は基礎控除後の金額に、いずれも10%から55%までの8段階の超過累進税率がかかります。贈与税の暦年課税では、年間110万円の基礎控除を差し引いた後の金額に税率を乗じ、父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与には特例税率が適用されます。

非上場の自社株式は上場株式のような市場価格がないため、会社の純資産や同業他社の状況などをもとに評価され、業績や資産が大きい会社ほど評価額が高くなる傾向があります。評価額が高いほど相続税・贈与税の負担も大きくなるため、後述の事業承継税制(納税猶予)の活用が重要になります。

従業員承継で後継者となる役員・従業員が自社株式を引き継ぐ場合は、買い取り(有償譲渡)か贈与かで課税が変わります。後継者が買い取るときは、株式を手放す現経営者側に譲渡益への課税が生じます(税率は後述のM&Aによる株式譲渡と同じ扱いです)。このとき後継者側には買い取り資金が必要になります。

無償で贈与する場合は、受け取る後継者に贈与税がかかります。また、後述の事業承継税制は親族以外への承継も対象で、従業員承継でも後継者が会社の代表者となるなどの要件を満たせば相続税・贈与税の納税猶予を利用できます。

M&Aで経営者が株式を譲渡する場合、譲渡益(譲渡所得)に対して申告分離課税がかかります。非上場株式の譲渡益への税率は20%(所得税15%・住民税5%)で、これに復興特別所得税(所得税額の2.1%)が加わります。会社を売却したときに手元にいくら残るかを考える際の目安になります。こうした税負担を軽くする制度については、次の章で解説します。

出典・参考資料(3件)

事業承継で使える制度|税制・補助金・遺留分の民法特例・経営者保証

事業承継の負担を軽くするための制度やルールがいくつか用意されています。ここでは、事業承継税制・補助金・遺留分の民法特例・経営者保証の4つを、それぞれの根拠とあわせて整理します。

このうち事業承継税制と遺留分の民法特例は「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)」にもとづく制度、補助金は国の予算事業、経営者保証に関するガイドラインは日本商工会議所と全国銀行協会が定めた民間の自主的なルールです。

事業承継税制(納税猶予・特例措置)

事業承継税制(法人版)は、後継者が自社株式を相続・贈与で引き継いだ際の相続税・贈与税の納税を、一定の要件のもとで猶予・免除する制度です。経営承継円滑化法にもとづく都道府県知事の認定を受けることが前提になります。

納税猶予の割合は特例措置と一般措置で異なり、特例措置では100%、一般措置では相続のとき80%・贈与のとき100%です。

出典・参考資料(1件)

特例措置は、一般措置にある「総株式数の最大3分の2まで」という対象の制限が撤廃され、猶予割合も100%に引き上げられている点が特徴です。ただし特例措置には期限があり、適用を受けるには事前の計画提出が必要です。特例承継計画の提出期限は2027年9月30日まで、特例措置の対象となる贈与・相続は2027年12月31日までとされています(この2つは別の期日です)。

利用を検討する場合は、早めに計画提出の準備を進めることが重要です。

出典・参考資料(1件)

事業承継・M&A補助金

国は、事業承継やM&Aを契機に新しい取り組みを行う中小企業を支援する補助金を用意しています。かつて「事業承継・引継ぎ補助金」と呼ばれていた制度は、現在は「事業承継・M&A補助金」として運用されています(所管は中小企業庁)。M&Aの専門家に支払う費用(M&A支援機関登録制度に登録された事業者によるもの)などが補助の対象になります。

補助率や上限額は公募回・支援の枠ごとに変わるため、利用を検討する際は最新の公募要領で確認してください。

出典・参考資料(1件)

遺留分の民法特例(除外合意・固定合意)

親族内承継では、後継者に自社株式を集中して引き継がせると、他の相続人の遺留分(最低限保障される相続分)を侵害してトラブルになることがあります。経営承継円滑化法には、これを防ぐための「遺留分に関する民法の特例」が設けられています。後継者が遺留分権利者全員と合意し、所定の手続き(経済産業大臣の確認と家庭裁判所の許可)を経ることで、次の2つの扱いが可能になります。

  • 除外合意:生前贈与した自社株式などを、遺留分を算定する基礎財産から除外する。
  • 固定合意:遺留分を算定する際の自社株式の評価額を、合意した時点の価額に固定する。

これらの特例を使うと、承継後に株価が上がっても遺留分の計算に影響しないため、後継者が安心して経営に集中しやすくなります。

出典・参考資料(1件)

経営者保証ガイドラインと個人保証の解除

中小企業の融資では、経営者が会社の借入の連帯保証人(個人保証)になっているケースが多く、これが事業承継の妨げになることがあります。後継者が個人保証まで引き継ぐことに不安を感じ、承継をためらう要因になるためです。日本商工会議所と全国銀行協会が策定した「経営者保証に関するガイドライン」は、経営者保証に依存しない融資を促す自主的なルールで、次の3つを要件として示しています。

  • ① 法人と経営者との関係の明確な区分・分離
  • ② 財務基盤の強化
  • ③ 財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保
出典:経営者保証に関するガイドライン|全国銀行協会・日本商工会議所

このガイドラインは2014年(平成26年)2月1日から適用されています。さらに事業承継の場面では、前の経営者と後継者の双方から二重に保証を求めない取り扱いを促す「事業承継時の特則」も設けられています。個人保証の扱いは金融機関との交渉になるため、承継の計画段階で金融機関や専門家に相談しておくと進めやすくなります。

事業承継で失敗しないための注意点とポイント

最後に、ここまで見てきた内容を踏まえ、事業承継で失敗しないために気をつけたい実務上のポイントを整理します。

  • とにかく早めに着手する:後継者の育成も、M&Aの相手探しも時間がかかります。経営者が元気で判断力があるうちに始めるほど、選べる方法が広がります。
  • 資金と税金の手当てを先に考える:自社株式の買い取り資金や相続税・贈与税は、準備なしでは後継者の重荷になります。事業承継税制などの制度を早めに検討します。
  • 相続トラブルを予防する:後継者に資産を集中させると、他の相続人の遺留分と衝突することがあります。遺留分の民法特例や遺言の活用を早めに検討します。
  • 個人保証の扱いを確認する:後継者が連帯保証を引き継ぐことに不安を感じやすいため、経営者保証ガイドラインを踏まえて金融機関と早めに相談します。
  • 後継者・家族・社内と十分に話し合う:引き継ぐ意思の確認や関係者への説明が不十分だと、承継後に経営が揺らぎます。経営理念や想いも含めて丁寧に引き継ぎます。

事業承継の相談先と選び方|公的な相談窓口から専門家まで

事業承継は、税務・法務・金融など幅広い論点が絡むため、専門家の力を借りて進めるのが現実的です。相談先にはいくつかの種類があり、段階や目的によって向き・不向きが分かれます。

何から始めればよいか分からない段階でまず頼りになるのが、事業承継・引継ぎ支援センターです。国が全国47都道府県に48カ所設置している公的な相談窓口で、承継の進め方や方法選びの入口を相談できます。令和6年度には全国で23,000者を超える相談を受け付けており、まず公的な窓口で全体像を整理してから、必要に応じて専門家につなぐという使い方ができます。

専門家は、相談したい内容によって適した相手が変わります。自社株式の評価や相続税・贈与税の対策は税理士、遺留分の対策や契約など法務面は弁護士、個人保証の解除や承継に伴う資金調達は取引先の金融機関が主な相談先です。親族にも社内にも後継者がいない場合は、第三者への引き継ぎ(M&A)を扱うM&Aの専門会社が選択肢になります。

大まかな進め方としては、まず公的な支援センターで全体像を整理し、方法の方向性が見えてきたら、税理士・弁護士といった専門家、金融機関、M&Aの専門会社へと、目的に応じてつないでいくと無理なく進められます。どの承継方法でも、早い段階で相談しておくほど選べる手段が広がります。

出典・参考資料(2件)

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後継者がいない場合の選択肢|売主側M&Aアドバイザリーへの相談

親族にも社内にも後継者がいない場合でも、M&Aによって会社や雇用を残しながら事業を引き継ぐ道があります。売り手(譲渡企業)として条件を有利に進めたいときは、売り手側に専任でつくM&Aアドバイザリー(セルサイドFA)が相談先の候補になります。ここでは、事業承継での譲渡を考える経営者に適したサービスを紹介します。

M&Aの相談先には、売り手と買い手の間に立つ「仲介」と、売り手または買い手の一方に専任でつく「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」があります。売り手の利益を優先して交渉してほしい場合は、売り手側に専任でつくFAが向いています。

← 横にスクロールできます →
項目M&A Lead
サービス形態売主専属(セルサイド)
M&Aアドバイザリー
着手金0円
中間金0円
月額報酬0円
成功報酬譲渡対価×レーマン方式の料率
(5億円以下の部分5%〜
100億円超の部分1%)
最低手数料2,000万円
手数料負担売主のみ
(買主からは受領しない)
対応エリア全国
無料相談あり
詳細情報公式資料を見る

※上記は2026年10月時点の公開情報にもとづく概要です。手数料の税区分など詳細は変動する場合があるため、相談時に最新の条件をご確認ください。

M&A Lead(M&A Lead株式会社)

M&A Leadのウェブサイト

M&A Leadは、売り手(譲渡企業)に専任でつくセルサイドのM&Aアドバイザリーです。買い手からは手数料を受け取らず売り手側からのみ報酬を受け取る立場をとり、譲渡価格や従業員の雇用条件など、売り手の条件の実現に向けて交渉を支援します。公式サイトでは相談者の悩みの一つに「親族にも社員にも後継者がいない」を挙げており、後継者不在による事業承継を考える経営者を主な相談者として想定しています。

料金は完全成功報酬制で、着手金・中間金・月額報酬はいずれも0円、報酬は譲渡完了時のみ発生します(最低手数料は2,000万円)。相談は無料で、譲渡の意思が固まっていない検討段階から相談できます。自社のアドバイザーに加え、他社のアドバイザーや買い手側FA、地方銀行を中心とする金融機関のネットワークと連携して買い手候補を探す点も特徴です。

成功報酬は、譲渡対価が大きくなるほど料率が下がるレーマン方式で計算されます。対応エリアは全国で、中小企業庁のM&A支援機関登録制度の登録支援機関として、中小M&Aガイドライン(第3版)の遵守を宣言しています。

M&Aで事業を引き継ぐ場合、売り手側に専任でつくFAのほかにも、仲介型やBig4系など相談先にはいくつかのタイプがあり、案件の規模や希望する進め方によって適した相手が変わります。以下の記事では、M&Aアドバイザリー会社をタイプ別・案件規模別に比較し、自社に合う相談先の選び方を整理しています。

まとめ

事業承継とは、現経営者が築いた経営・資産・知的資産を後継者へ引き継ぐことで、引き継ぐ相手によって親族内承継・従業員承継・M&A(第三者承継)の3つの方法に分かれます。どの方法が向くかは、後継者の有無・資金・残された時間によって変わります。進め方は見える化から実行までの段階を踏み、親族内・従業員承継は年単位、M&Aは数か月から1年程度が目安です。

税負担を軽くする事業承継税制や遺留分の民法特例、経営者保証ガイドラインなど、使える制度は整ってきています。いずれも早めの準備が選択肢を広げるため、まずは事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的窓口や、目的に合った専門家に相談するところから始めてみてください。後継者がいない場合も、売り手側のM&Aアドバイザリーに相談することで、会社と雇用を残す道を探せます。

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よくある質問(FAQ)

Q. 事業承継とは何ですか?

A. 事業承継とは、現経営者が築いてきた会社の経営を後継者へ引き継ぐことです。引き継ぐ対象は「人(経営権)」「資産(自社株式など)」「知的資産(技術・信用・人のつながり)」の3つに整理され、引き継ぐ相手によって親族内承継・従業員承継・M&A(第三者承継)の3つの方法に分かれます。

中小企業庁は事業承継を「企業の熱い想いや技術を次の世代へつなぐこと」と説明しており、単に社長の座を渡すだけでなく、会社が培ってきた強みを含めて次の世代へ受け渡す取り組みを指します。

出典・参考資料(1件)

Q. 事業承継と事業継承の違いは何ですか?

A. 公的な制度や実務で使われる正式な表記は「事業承継(じぎょうしょうけい)」です。「承継」は地位・理念など形のない抽象的なものを受け継ぐ意味合いが強く、「継承」は財産・設備など形のある具体的なものを受け継ぐ場面で使われやすい言葉です。

事業承継は経営・資産・知的資産という形のあるものと形のないものの両方を受け継ぐため「承継」が用いられ、中小企業庁も事業承継税制や事業承継・引継ぎ支援センターなど、制度名で一貫して「承継」を使っています。「事業継承」と書いても意味は通じ誤りとまでは言えませんが、補助金・税制・相談窓口などの制度を調べるときは「事業承継」で検索・確認するのが確実です。

Q. 事業承継の準備は何歳から・いつから始めるべきですか?

A. 事業承継は、経営者が元気で判断力があるうちに、できるだけ早く着手するのが基本です。何歳からという決まりはありませんが、中小企業の経営者の平均年齢は60.5歳と過去最高を更新しており、引き継ぎを検討すべき時期に差しかかる経営者が増えています。親族内承継・従業員承継では後継者の育成を含めて5年から10年程度かかることもあり、M&Aでも相手探しから譲渡完了まで数か月から1年程度を要します。

着手が遅れると選べる方法が狭まり、最悪の場合は廃業に至ることもあるため、「まだ早い」と感じる段階から準備を始めることが選択肢を広げます。

Q. 事業承継にはどれくらいの費用・税金がかかりますか?

A. かかる税金は承継方法によって異なり、親族内承継では相続税・贈与税、M&A(株式譲渡)では譲渡益への所得税・住民税が中心になります。相続税・贈与税はいずれも課税対象となる金額に応じて10%から55%までの累進税率がかかります。M&Aで経営者が非上場株式を譲渡した場合の譲渡益には、20%(所得税15%・住民税5%)に復興特別所得税(所得税額の2.1%)が加わります。

ただし事業承継税制(納税猶予)を使えば、一定の要件を満たすことで自社株式にかかる相続税・贈与税の納税が猶予・免除されます(猶予割合は特例措置100%、一般措置は相続80%・贈与100%)。このほかM&Aの場合は、アドバイザリーに支払う報酬も費用として見込んでおく必要があります。

出典・参考資料(4件)

Q. 事業承継はどこに相談すればよいですか?

A. 何から始めればよいか分からない段階では、まず国が設置する公的窓口「事業承継・引継ぎ支援センター」に相談するのが入口として適しています。全国47都道府県に48カ所設置された公的な相談窓口で、承継の進め方や方法選びの入口を相談できます。

そのうえで、自社株式の評価や相続税・贈与税の対策は税理士、遺留分や契約など法務面は弁護士、第三者へのM&Aを考える場合はM&Aの専門会社(仲介またはFA)と、目的に応じて専門家を使い分けます。まず公的窓口で全体像を整理し、必要に応じて専門家につなぐ流れが無理なく進めやすい方法です。

出典・参考資料(1件)

Q. 後継者がいない会社はどうすればよいですか?

A. 後継者がいない場合でも、M&Aによって第三者へ会社や事業を引き継げば、会社と雇用を残しながら事業を存続できます。親族にも社内にも後継者がいない中小企業の選択肢としてM&Aは広がっており、M&A専門業者による中小企業のM&A実施件数は2023年度に4,681件が報告されています。

会社がいくらで売れるかは、業績・財務・事業の将来性などをもとにした個別の企業価値評価で決まるため、一律の相場はありません。売り手として譲渡価格や従業員の雇用条件を有利に進めたい場合は、売り手側に専任でつくM&Aアドバイザリー(セルサイドFA)に相談すると、希望を踏まえて買い手探しと交渉を進められます。

出典・参考資料(1件)

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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