入退社のたびの社会保険の手続き、毎月の給与計算や勤怠の集計、年末調整——労務の仕事を担当者が片手間でこなしてきたものの、人員の増加や担当者の退職で回らなくなってきた、という声は少なくありません。そんなとき、まず知りたいのは「労務の仕事は外に出せるのか、出せるとしたら何をどこまで任せられるのか」ではないでしょうか。
労務の外注とは、給与計算や勤怠管理、社会保険の手続きといった労務の実務を、外部の専門会社や社会保険労務士に委託することです。ただし、すべての業務を誰にでも任せられるわけではなく、社会保険・労働保険の手続きのように、社会保険労務士でなければ代行できない業務もあります。
本記事では、労務で外注できる業務とできない業務の線引きを、根拠となる法律とあわせて整理します。そのうえで、依頼先となる社会保険労務士事務所・労務BPO・給与計算アウトソーシングの違い、業務範囲や従業員規模ごとの費用の目安、失敗しない選び方までを解説します。
自社の労務のどこを・いくらで・誰に任せられるかを、順に見ていきましょう。
目次
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労務の外注とは?2つの「労務 外注」を先に整理する
「労務 外注」という言葉は、大きく2つの意味で使われます。検索した目的がどちらなのかによって、知りたい答えが変わります。
1つは、労務の実務(給与計算・勤怠管理・社会保険の手続きなど)を外部に委託することです。労務アウトソーシング、人事労務代行、労務BPOなどとも呼ばれます。担当者の負担軽減や属人化の解消を目的に、業務の全部または一部を外部の専門会社や社会保険労務士に任せます。本記事が主に解説するのはこちらです。
もう1つは、会計上の勘定科目としての「労務外注費」です。他社から作業員を受け入れた場合などに支払う費用を指す言葉で、建設業の経理などで使われます。給与との区分や仕訳が論点になります。こちらを調べている場合は、記事末尾の「会計用語の『労務外注費』とは」をご覧ください。
以降は、1つ目の「労務の実務を外部に委託する」意味での労務の外注を解説します。まずは、自社のどの業務が外に出せるのかを整理します。
労務で外注できる業務・できない業務の一覧
ここからは、労務のうち何を外注でき、何ができないのかを、自社の業務に当てはめられる形で整理します。給与計算や勤怠集計、入退社の手続きといった日々の実務の多くは外注できますが、社会保険・労働保険の手続きのように、社会保険労務士でなければ代行できない業務もあります。

| 労務の業務 | 給与計算・賞与計算 | 勤怠集計・勤怠管理 | 入社・退社の事務手続き | 年末調整 | 社会保険・労働保険の手続き(資格取得・喪失届、算定基礎届、労働保険の年度更新など) | 就業規則の作成・労務相談 | 人事評価・採用の最終判断 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 外注できるか | 外注できる | 外注できる | 外注できる | 外注できる | 社会保険労務士に限られる | 外注できる(社労士への依頼が中心) | 社内に残す |
| 補足 | 明細作成・振込データ作成まで、労務BPOや給与計算アウトソーシングが中心業務として対応します | 勤怠システムの運用・集計・給与計算への連携まで委託できます | 情報登録や書類作成などの事務。ただし社会保険・雇用保険の届出そのものは社労士が担当します | 計算・書類作成に対応。税務署などへの電子申告は税理士が担う場合があります | 報酬を得て代行できるのは社会保険労務士・社会保険労務士法人のみです(次の項で解説) | 社労士の独占業務ではありませんが、専門性の高さから社労士が担うのが一般的です | 経営・人事の意思決定にあたるため、外注先に委ねられません |
※上記は一般的な委託範囲の整理です。実際の対応範囲は依頼先ごとに異なるため、各社の資料・見積りでご確認ください。
上の表は主な業務の整理で、これ以外にも、健康診断の受診案内・日程調整などの事務、ストレスチェックの実施に関する事務、給与・賞与明細の配布といった付随的な業務を委託できる場合があります。任せたい業務を書き出しておくと、依頼先ごとの対応範囲を照らし合わせやすくなります。
このように、給与計算・勤怠・入退社の事務・年末調整といった日常の実務は外注でき、人事評価のような経営判断は社内に残す、という切り分けが基本になります。問題は、その中間にある「社会保険・労働保険の手続き」です。これは誰が代行できるのかが法律で決まっているため、次の項で詳しく見ます。
外注できない業務(社会保険・労働保険の手続き)と社労士の独占業務
社会保険(健康保険・厚生年金保険)や労働保険(労災保険・雇用保険)の資格取得・喪失届、算定基礎届、労働保険の年度更新といった行政機関への手続きは、報酬を得て代行できるのが社会保険労務士(社労士)と社会保険労務士法人に限られる、いわゆる独占業務です。これは社会保険労務士法で定められています。
同法第2条は、労働社会保険諸法令にもとづく申請書等の作成、その提出に関する手続の代行(提出代行)、申請などについての代理(事務代理)を、社労士が業として行う事務と定めています。そのうえで第27条が、社労士・社労士法人でない者がこれらの事務を業として行うことを制限しています。
第二十七条 社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない。
出典:社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)第27条|e-Gov法令検索
この制限に違反すると、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります(同法第32条の2第1項第6号)。社会保険・労働保険の手続きを「報酬を得て代行する」には、社労士資格が必要だということです。
一方で、第27条が制限しているのは、他人の求めに応じ、報酬を得て、業として行う場合です。この文言からは、事業主が自社の従業員について自社のために行う手続きは、この制限の対象外と解されます。社会保険の手続きを自社で行うこと自体に資格は求められず、報酬を得て他社の手続きを代行する場合に社労士が必要になる、という線引きです。
ここが、労務の外注先を考えるうえで重要なポイントになります。給与計算そのものや勤怠の運用、労務の相談は独占業務ではないため、社労士以外の労務BPOや給与計算アウトソーシングでも対応できます。しかし社会保険・労働保険の手続き代行が必要なら、その業務は社労士(または社労士と提携した会社)に任せることになります。次章で、この違いを依頼先のタイプ別に整理します。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:社会保険労務士法|e-Gov法令検索
依頼先3タイプ(社労士事務所/労務BPO・代行会社/給与計算アウトソーシング)の違い
労務の外注先は、大きく3つのタイプに分かれます。社会保険の手続きが社労士の独占業務であることを踏まえると、「社会保険・労働保険の手続きを誰が担うのか」が、タイプを見分ける軸になります。
| 依頼先のタイプ | 社会保険労務士事務所・社労士法人 | 労務BPO・代行会社 | 給与計算アウトソーシング |
|---|---|---|---|
| 主な依頼先 | 社会保険労務士(有資格者) | BPO事業者(社保手続きは提携社労士が担当) | 給与計算専門のBPO(社保は自社の社労士法人または提携社労士) |
| 社会保険・労働保険の手続き | 対応できる(社労士の独占業務) | 提携する社労士を通じて対応 | 自社または提携する社労士が対応 |
| 給与計算・勤怠 | 対応するところもある | 対応できる | 中心業務として対応 |
| 向いている企業 | 社会保険手続きや就業規則の整備・労務相談まで、専門家にまとめて任せたい企業 | 給与・勤怠・入退社の事務をまとめて外注し、窓口を一本化したい企業 | 毎月の給与計算の負担を軽くし、社会保険の手続きまで一括で任せたい企業 |
※タイプの境界は明確に分かれるものではなく、社労士法人が給与計算まで一括で請け負う例や、BPOが提携社労士と連携して社会保険手続きまで対応する例もあります。
社会保険労務士事務所・社労士法人は、社会保険・労働保険の手続きを自ら代行できる唯一のタイプです。就業規則の作成や労務相談、助成金の相談まで含めて、法令にかかわる領域を専門家に任せたい場合に向きます。一方で、毎月の給与計算や勤怠の集計といった定型業務を主力にしていない事務所もあるため、委託したい範囲に対応しているかの確認が必要です。
労務BPO・代行会社は、給与計算・勤怠管理・入退社の事務など、社労士の独占業務にあたらない実務を幅広く引き受けます。社会保険の手続きは提携する社労士を通じて対応するのが一般的で、窓口はBPO会社に一本化できる場合が多いのが特徴です。日々の実務をまとめて外に出したい企業に向きます。
給与計算アウトソーシングは、毎月の給与計算を中心に、勤怠・年末調整・社会保険の手続きまでを組み合わせて任せられるサービスです。社会保険の手続きを自社グループの社労士法人が担う会社もあれば、提携社労士が担う会社もあります。「社会保険の届出まで一括で任せたい」場合は、社労士の対応体制があるサービスを選ぶのがポイントです。記事後半で、社会保険の手続きまで対応する具体的なサービスを紹介します。
労務を外注する費用の目安(業務範囲別)
労務の外注費用は、委託する業務範囲と従業員数で大きく変わります。多くのサービスが個別見積りのため一律の料金表はありませんが、おおまかな目安を業務範囲別に整理すると、検討の出発点になります。
| 委託する業務範囲 | 給与計算のみ(明細作成・振込データ作成など) | 給与計算+勤怠集計+入退社の事務 | 労務全般(上記+社会保険・労働保険の手続き、年末調整など) |
|---|---|---|---|
| 月額費用の目安 | 月5万円前後〜 | 月10万円前後〜 | 月10万円以上(範囲・規模により数十万円規模になることも) |
| 主な変動要因 | 従業員数、給与・手当体系の複雑さ | 従業員数、処理件数、入退社の頻度 | 委託する業務範囲、従業員数、社労士連携の有無 |
※上記は一般的な目安で、確立した公的な統計はありません。実際の費用は委託範囲・従業員数・処理件数で変わり、多くのサービスが個別見積りです。正確な費用は各社の見積りでご確認ください。
費用は、従業員数が増えるほど、また委託する業務の種類が増えるほど上がります。月額基本料のほかに初期費用がかかる場合や、従業員1人あたりの単価、年末調整などのスポット料金が別に設定されていることもあります。見積りを取るときは、初期費用の有無と、基本料に含まれる業務範囲・オプション扱いの業務を確認しておきましょう。
また、社会保険・労働保険の手続きを中心に社会保険労務士法人へ依頼する場合は、料金プランの一部を公開しているサービスもあります。
たとえば後半で紹介する社会保険労務士法人のプラン例では、従業員1〜19名規模の社会保険・労働保険手続きが月額2万円(税別)から、社会保険手続きと給与計算を合わせた100名規模の例で月額15万円からと公開されています(2026年10月時点)。社労士に手続きを頼む場合の費用感をつかむ手がかりになります。
上記はあくまで業務範囲ごとのおおまかな目安です。従業員数や1人あたりの単価、オプションごとに費用の内訳をもう少し具体的に確認したい場合は、給与計算の外注費用を人数別・単価別に整理した以下の記事もあわせてご覧ください。
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労務を外注するメリットとデメリット
労務の外注を検討するときは、負担軽減などのメリットと、コストや社内への影響といった注意点の両方を押さえておくと、委託範囲を決めやすくなります。
労務を外注するメリット
最も分かりやすいメリットは、担当者の工数削減です。毎月の給与計算や勤怠集計、年末調整などの定型業務を外に出すことで、担当者は採用や人事制度の設計といった社内でしかできない仕事に時間を使えるようになります。
次に、専門性による法令対応です。社会保険の料率改定や労働関連法の改正は頻繁にあり、自社だけで追い続けるのは負担になります。社労士や労務の専門会社に任せれば、最新の法令にもとづいた処理が期待でき、誤りや対応漏れのリスクを抑えられます。
もう1つは、属人化と担当者退職リスクの解消です。労務業務が特定の担当者に集中していると、その人が急に退職・休職したときに業務が止まりかねません。外注しておけば、担当者の異動や退職があっても処理を続けられる体制を保てます。
労務を外注するデメリットと注意点
一方で、コストが発生する点はデメリットです。委託範囲が広がるほど費用は上がるため、自社で対応する場合の人件費と比べて、どこまで任せるのが妥当かを見極める必要があります。
また、社内にノウハウが残りにくくなる点にも注意が必要です。業務を丸ごと外に出すと、社内で労務の知識が蓄積されず、いざ内製に戻したいときや外注先を変えたいときに対応しづらくなります。
さらに、従業員の個人情報や給与データを外部に渡すことになるため、情報漏えいのリスクも考慮が要ります。これらの注意点は、委託範囲の決め方や依頼先の選び方で抑えられる部分が大きいため、次章で具体的な対策とあわせて見ていきます。
失敗しない依頼先の選び方
労務の外注でよくある失敗は、委託範囲の決め方や依頼先の見極めが曖昧なまま契約してしまうことから起きます。前章で挙げた注意点を踏まえ、見積りを取る前に確認しておきたい観点を整理します。
委託する範囲と社内に残す業務を切り分ける。最初から全部を丸投げせず、「どの業務を外に出し、どの業務は社内で判断するか」を決めておきます。たとえば給与計算と社会保険の手続きは外注し、人事評価や従業員からの相談対応は社内に残す、といった切り分けです。範囲を明確にしておくと、社内にノウハウが残らないという事態も避けやすくなります。
社会保険の手続きまで任せるなら、社労士の対応体制を確認する。給与計算だけを外注するつもりが、途中で「社会保険の届出も任せたい」となったとき、依頼先に社労士の体制がないと対応できません。社会保険の手続きまで見据えるなら、社労士法人が運営している、または提携社労士と連携しているサービスを選んでおくと、後から委託範囲を広げやすくなります。
情報共有と引き継ぎの体制を見る。外注先とのやり取りの頻度や方法(専用システム・チャット・定例会など)、担当者が替わったときの引き継ぎ体制を事前に確認します。連絡がつきにくい、処理状況が見えない、といった状態は、月末や年末調整の繁忙期にトラブルの原因になります。
情報セキュリティの体制を確認する。給与・人事データを扱うため、プライバシーマークやISMS(ISO/IEC 27001)などの認証の有無、秘密保持契約(NDA)の締結、アクセス権限の管理といった対策を確認しておくと安心です。情報漏えいのリスクを抑える具体的な手立てとして、見積り段階でチェックしておきましょう。
価格だけで決めない。費用は重要な判断材料ですが、安さだけで選ぶと対応範囲が狭かったり、オプション料金がかさんだりして、結果的に割高になることもあります。基本料に含まれる業務範囲・対応品質・サポート体制を含めて、総合的に比較することが大切です。
社会保険の手続きまで任せられる給与計算アウトソーシング
ここからは、給与計算に加えて社会保険・労働保険の手続きまで対応できるサービスを紹介します。運営母体や対応規模の異なる4つのサービスを取り上げます。大手BPOから、従業員数十人規模の小規模プランを用意する社会保険労務士法人まで幅があり、いずれも社会保険の手続きは自社または提携の社会保険労務士(法人)が担う体制です。
| サービス名 | NOC給与計算アウトソーシング(現FOC) | COMIT HR | アクタス | 小林労務 |
|---|---|---|---|---|
| 運営・タイプ | 大手BPO(芙蓉アウトソーシング&コンサルティング) | 人事労務BPO(InfoDeliver) | 社会保険労務士法人(アクタスグループ) | 社会保険労務士法人(KBRグループ) |
| 社会保険・労働保険の手続きの担い手 | NOC社会保険労務士法人または提携社労士事務所 | 提携する社会保険労務士(法人・事務所) | 自社(アクタス社会保険労務士法人) | 自社(社会保険労務士法人小林労務) |
| 対応できる業務範囲 | 給与・賞与計算、年末調整、社会保険・労働保険業務。勤怠管理・入退社対応はオプション | 給与・勤怠・社会保険・年末調整・入退社(組み合わせ・部分委託可) | 給与・賞与計算、社会保険・労働保険の手続き、年末調整(部分委託可) | 社会保険・労働保険の手続き、給与計算、労務相談(部分委託可) |
| 対応規模の目安 | 主に300名以上(300名以下も相談可) | 導入事例は400〜1,100名(下限・上限の明記なし) | 100名規模〜1,000名超の事例(規模制限の明記なし) | 1〜19名の小規模プランから大手まで |
| 料金 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 小規模プラン(1〜19名・社会保険/労働保険手続き)月額20,000円〜(税別)などプラン例を公開 |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※2026年10月時点の各社公式サイトの公開情報にもとづく整理です。対応業務の範囲・社会保険手続きの体制・料金は委託内容や従業員規模によって異なり、いずれも個別見積りのため、最新の条件は各社の資料・見積りでご確認ください。
ここで取り上げたのは、社会保険の手続きまで任せられる給与計算アウトソーシングの一例です。提供形態や料金体系、対応できる従業員規模は各社で幅があるため、より多くのサービスを横並びで比較して自社に合う依頼先を絞り込みたい場合は、以下の記事が役立ちます。業務範囲・料金体系から規模別の選び方までを解説しています。
給与計算アウトソーシングおすすめ34選を比較|業務範囲・料金体系・規模別の選び方
毎月の給与計算や賞与計算、年末調整、社会保険の手続きに、特定の担当者が追われていないでしょうか。社会保険料率や税制は毎年のように改正され、その都度の確認作業まで含めると、経理や人事、総務の少人数体制では業務が属人化しやすくなります。担当者が…
1. NOC給与計算アウトソーシング(現FOC)(芙蓉アウトソーシング&コンサルティング株式会社)

NOC給与計算アウトソーシング(現FOC)は、芙蓉総合リースグループの芙蓉アウトソーシング&コンサルティング株式会社が提供する給与計算アウトソーシングです。旧称はNOCアウトソーシング&コンサルティング株式会社で、給与・賞与計算や年末調整に加え、社会保険・労働保険の業務まで、委託したい内容をヒアリングのうえ個別に設計して請け負います。
社会保険・労働保険の手続きは、NOC社会保険労務士法人または提携する社会保険労務士事務所が担当する体制です。勤怠データのCSV出力に対応したシステムであれば連携でき、自社開発のクラウド「SMART LINKシリーズ」(勤怠管理・人事管理・Web明細・ワークフロー)を組み合わせることもできます。
対応規模は300名以上が目安ですが、スポット業務や300名以下の相談にも応じるとしています。プライバシーマークとISO/IEC 27001を保有し、情報管理の体制が整っている点も確認できます。料金は業務範囲・従業員規模に応じた個別見積りです。
2. COMIT HR(株式会社InfoDeliver)

株式会社InfoDeliverが提供するCOMIT HRは、給与計算を基盤に、勤怠管理・社会保険手続き・年末調整・入退社手続き・従業員からの問い合わせ対応までを組み合わせて利用できる人事労務BPOです。フルアウトソーシングから特定業務だけの部分委託まで、委託範囲を柔軟に設計できます。
社会保険に関する申請と手続き代理は、同社自身ではなく提携する社会保険労務士法人が担当すると公式に明記しており、独占業務の線引きに沿った体制を取っています。問い合わせ窓口はCOMIT HRに一本化でき、必要な情報の連携や給与計算は同社が行います。
Jobcan・King of Timeなどのクラウド勤怠・給与システムからの移行支援にも対応し、公式サイトの価格シミュレーションで委託前にコスト感を把握できます。導入事例は従業員400〜1,100名規模の企業が中心です。料金は要問い合わせとなっています。
3. アクタス(アクタス社会保険労務士法人)

アクタスの給与計算アウトソーシングは、アクタス社会保険労務士法人が契約主体となって提供するサービスです。社会保険手続きの代理が社労士の独占業務であることから、一般的なBPOが提携社労士と連携する形とは異なり、社労士法人自身が給与計算から社会保険・労働保険の手続き、年末調整までを一元的に受託します。
「給与計算だけ」「社会保険手続きだけ」といった業務単位の部分委託にも対応し、導入時のシステム構築はグループのITコンサルティング会社が支援します。資格取得・喪失、算定基礎届、月額変更届などの手続きに対応し、運用開始後は社労士による定例会議や法改正情報の提供も受けられます。導入事例は100名規模から1,000名超まであり、ISO/IEC 27001を取得しています。料金は要問い合わせです。
4. 小林労務(社会保険労務士法人小林労務)

小林労務は、社会保険労務士法人小林労務(KBRグループ)が提供する社会保険手続き・給与計算のアウトソーシングです。社労士法人が契約主体のため、社会保険・労働保険の手続きを自法人の社労士が担い、あわせて給与計算や労務相談にも対応します。中小から大手まで幅広く、部分委託にも応じています。
料金プランの一部を公開しており、社会保険・労働保険手続きの小規模プラン(1〜19名)は月額20,000円〜(税別)、社会保険手続きと給与計算を合わせた100名規模の例では月額150,000円〜としています。給与計算は既存のシステムを変えずに代行でき、電子申請ソフト「e-asy電子申請.com」を活用した手続きにも対応します。
出典・参考資料(1件)
【補足】会計用語の「労務外注費」とは(勘定科目・仕訳・給与との違い)
ここからは、冒頭で触れた会計用語としての「労務外注費」について補足します。会計の勘定科目としての「労務外注費」を調べている場合向けに、仕訳や給与との違いを整理します。
労務外注費は、他社から作業員の提供を受けるなどして、自社の業務を外部の労働力に頼ったときに支払う費用を指す勘定科目です。建設業の経理などで使われることが多く、自社の従業員に支払う給与(労務費・人件費)とは区別されます。外部へ業務を委託した対価という点では「外注費」の一種として扱われます。
外注費と給与の区分(源泉徴収・消費税との関係)
外注費と給与は、支払いの名目ではなく、契約や働き方の実態で区分されます。雇用契約にもとづく対価であれば給与、請負などによる対価であれば外注費です。この区分は、源泉徴収の要否や、消費税の仕入税額控除の可否に影響するため、税務上重要になります。
区分が明らかでないときの判断材料として、国税庁は消費税法基本通達で次の事項を総合勘案するとしています。
出典:消費税法基本通達 1-1-1(個人事業者と給与所得者の区分)|国税庁
- (1) その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。
- (2) 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。
- (3) まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。
- (4) 役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。
名目上は外注でも、実態が指揮監督下の労働に近い場合は給与と判断され、源泉徴収や消費税の扱いが変わることがあります(いわゆる偽装請負・給与認定のリスク)。建設業の工事原価区分など、より詳しい会計・税務の扱いは専門の解説や税理士への相談で確認してください。
出典・参考資料(1件)
まとめ
労務の外注では、給与計算・勤怠集計・入退社の事務・年末調整といった日々の実務の多くを外に出せます。一方で、社会保険・労働保険の手続きを報酬を得て代行できるのは社会保険労務士・社会保険労務士法人に限られるため、この手続きまで任せたい場合は、社労士法人や提携社労士と連携したサービスを選ぶことになります。
依頼先は社労士事務所・労務BPO・給与計算アウトソーシングに分かれ、費用は委託範囲と従業員数で変わります。まずは自社のどの業務を外に出し、どこを社内に残すかを切り分け、社会保険の手続きまで見据えるなら社労士の対応体制があるサービスを候補に、2〜3社の資料を取り寄せて比べてみるとよいでしょう。
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よくある質問(FAQ)
Q. 労務の外注とは何ですか?
A. 労務の外注とは、給与計算・勤怠管理・社会保険の手続きといった労務の実務を、外部の専門会社や社会保険労務士に委託することです。担当者の負担軽減や業務の属人化の解消を目的に、業務の全部または一部を任せます。会計の勘定科目としての「労務外注費」は、他社の労働力に支払う費用を指す別の概念です。
Q. 労務の外注では、どの業務まで外注できますか?
A. 労務の外注では、給与計算・賞与計算、勤怠集計、入退社の事務手続き、年末調整といった日々の実務の多くを外注できます。一方で、社会保険・労働保険の手続きの代行は社会保険労務士の独占業務にあたり、人事評価や採用の最終判断のような経営判断は社内に残すのが基本です。自社のどの業務を外に出し、どこを社内に残すかを切り分けたうえで、依頼先を選びます。
Q. 労務の外注で、社会保険の手続きまで任せられますか?
A. 社会保険の手続きまで任せること自体は可能ですが、報酬を得てこの手続きを代行できるのは社会保険労務士・社会保険労務士法人に限られます(社会保険労務士法第27条)。
そのため、給与計算や勤怠を請け負う労務BPO・給与計算アウトソーシングでは、社会保険・労働保険の手続きを提携社労士や自社グループの社労士法人が担当する体制を取っています。社会保険の届出まで一括で任せたい場合は、社労士の対応体制があるサービスを選びましょう。
Q. 労務の外注費用の相場はどれくらいですか?
A. 労務の外注費用は委託範囲と従業員数で変わり、給与計算のみなら月5万円前後から、社会保険の手続きまで含む労務全般では月10万円以上が一つの目安です。多くのサービスが個別見積りで、月額基本料に加えて従業員1人あたりの単価や、年末調整などのスポット料金が別に設定されることもあります。初期費用やオプション扱いになる業務を含めて、各社の見積りで確認するのが確実です。
Q. 小規模な会社(従業員10名未満)でも労務を外注できますか?
A. 小規模な会社でも労務の外注は可能で、専任の担当者を置きにくい小規模企業ほど外注と相性が良いといえます。従業員数が少なければ費用も抑えやすく、給与計算だけ、社会保険の手続きだけといった部分的な委託から始めることもできます。ただしサービスによっては対応規模の目安が設けられている場合があるため、自社の規模で依頼できるかを事前に確認しておきましょう。
Q. 社労士事務所と給与計算アウトソーシングは、どちらに頼むべきですか?
A. 就業規則の整備や労務相談まで専門家にまとめて任せたいなら社労士事務所、毎月の給与計算の負担を軽くしつつ社会保険の手続きまで一括で任せたいなら給与計算アウトソーシングが向いています。
社会保険・労働保険の手続きを自ら代行できるのは社労士事務所ですが、給与計算アウトソーシングや労務BPOも、自社グループや提携の社労士を通じて同じ手続きに対応できます。委託したい業務の中心が「法令にかかわる相談・手続き」か「毎月の定型業務」かで選ぶとよいでしょう。
Q. すでに顧問社労士がいても、労務の外注は併用できますか?
A. 顧問社労士がいる場合でも、給与計算や勤怠といった社労士の独占業務にあたらない実務を、労務BPOや給与計算アウトソーシングに併用で委託できます。社会保険の手続きは顧問社労士に任せ、日々の定型業務は外注先に任せる、といった役割分担が可能です。委託先を決める前に、既存の社労士との業務の切り分けやデータ連携の方法を整理しておくと、二重対応や連絡の行き違いを防げます。
Q. 社内に労務の担当者がいなくても、外注だけで回りますか?
A. 労務を外注しても、承認や最終判断の場面があるため、社内に最低限の窓口担当は必要です。勤怠の締めや給与の支給内容の確認、従業員情報の連携など、外注先とやり取りする役割は社内に残ります。担当者の工数を大きく減らすことはできますが、「完全に誰も関わらなくてよい」状態にはならない点を踏まえて委託範囲を決めましょう。
Q. 労務を外注すると、情報漏えいのリスクはありませんか?
A. 給与・人事データを外部に渡すため情報漏えいのリスクはゼロではありませんが、プライバシーマークやISMS(ISO/IEC 27001)の認証、秘密保持契約(NDA)、アクセス権限の管理といった体制を備えた依頼先を選ぶことで、リスクを抑えられます。見積り段階で、認証の有無やデータの取り扱い・保管方法を確認しておくと安心です。
Q. 契約後に委託する業務範囲を変更・拡大できますか?
A. 多くのサービスでは、契約後に委託する業務範囲を変更・拡大できます。給与計算だけで始めて、後から勤怠集計や社会保険の手続きを追加する、といった段階的な進め方が一般的です。ただし社会保険の手続きを後から足すには依頼先に社労士の対応体制が必要なため、将来的に範囲を広げる可能性があるなら、社労士と連携したサービスを最初から選んでおくと移行がスムーズです。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















