M&Aで他社の買収を検討する際、対象会社の財務や法務に潜むリスクを見抜くデューデリジェンス(DD)は、取引の成否を左右する重要な工程です。しかし「どのコンサルやFASに任せればよいのか」「財務DDと法務DDで依頼先は変わるのか」「費用はどのくらいかかるのか」といった判断は、はじめてM&Aに臨む企業ほど迷いやすいところです。
デューデリジェンスの依頼先には、大手FAS(フィナンシャル・アドバイザリー・サービス)・監査法人系・会計事務所系・独立系コンサル・弁護士など複数の種類があり、それぞれ得意な案件規模や対応できるDDの範囲が異なります。自社の案件に合った依頼先を選ぶには、どのような観点で比較すればよいのでしょうか。
本記事では、デューデリジェンスに強いコンサル・FAS19社を、依頼先のタイプ別に比較・解説します。DDの種類や調査領域、費用相場、進め方といった基礎に加え、依頼先タイプ×案件規模×DD種類の対応関係や、依頼後のトラブルを防ぐ見極め基準まで整理しました。M&Aの意思決定に関わる経営者・経営企画・財務の担当者が、DDの委託先を選ぶ判断材料としてご活用ください。
紹介する19社は、財務・税務DD中心型/独立系総合・ワンストップ型/大手FAS・グローバル総合型/Web3・ブロックチェーン領域特化型の4タイプに整理しています。なお本記事は、買い手(譲り受け側)がDDを委託する依頼先の比較を中心に解説します。
また、自社の案件規模や必要なDDの範囲から、合う依頼先タイプを手早く把握できるよう「30秒で終わる依頼先タイプ診断」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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デューデリジェンス(DD)とは|目的・種類・調査領域
はじめに、依頼先を選ぶ前提として、デューデリジェンスの目的と調査する領域を整理します。どの種類のDDが自社の案件に必要かが見えると、任せるべき依頼先のタイプも絞り込みやすくなります。
DDの目的と全体像
デューデリジェンス(Due Diligence)は、買収の対象となる会社に潜む財務・法務・事業などのリスクを、買い手側が外部の専門家を活用して精査する調査です。中小企業庁の「中小M&Aガイドライン(第3版)」は、DDを次のように説明しています。
デュー・ディリジェンス(Due Diligence)とは、対象企業である譲り渡し側における各種のリスク等を精査するため、主に譲り受け側が FA や士業等専門家に依頼して実施する調査をいう(「DD」と略することが多い。)。調査項目は、M&A の規模や実施希望者の意向等により異なるが、一般的に、資産・負債等に関する財務調査(財務 DD)や株式・契約内容等に関する法務調査(法務 DD)等から構成される。
出典:中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」(2024年8月)https://www.meti.go.jp/files/900016275.pdf
DDは法律で義務づけられた手続きではなく、M&Aの実務で積み重ねられてきた調査です。買い手は調査で判明した実態を踏まえて、買収価格の妥当性を検証したり、契約条件に反映したり、買収そのものを見直したりします。このため「誰に・どの範囲を任せるか」が、M&Aの意思決定の質を大きく左右します。
DDの種類と調査領域(財務・ビジネス・税務・法務・IT)
ひとくちにDDといっても、調べる対象ごとに種類が分かれます。中小M&Aガイドラインは、代表的な財務DD・法務DDに加え、次のような多様なDDが存在すると整理しています。
なお、その他にも、ビジネスモデル等に関するビジネス(事業)DD、税務 DD(財務 DD 等に一部含まれることがある。)、人事労務 DD(法務 DD 等に一部含まれることがある。)、知的財産(知財)DD、環境 DD、不動産 DD、ITDDといった多様な DDが存在する。
出典:中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」(2024年8月)https://www.meti.go.jp/files/900016275.pdf
実務で依頼されることが多いのは、次の5つの領域です。税務DDは財務DDに、人事労務DDは法務DDに一部含めて実施されることもあり、種類の線引きは案件や依頼先によって変わります。
- 財務DD:資産・負債や収益の実態、簿外債務・偶発債務などの財務リスクを調べます。主に公認会計士が担います。
- ビジネス(事業)DD:事業モデル・市場環境・競争力・将来の収益見通しなど、事業そのものの実態を調べます。
- 税務DD:過去の申告内容や繰越欠損金、税務リスクなどを調べます。財務DDに含めて行われることもあります。
- 法務DD:株式・契約内容・許認可・訴訟リスク・労務問題などの法的リスクを調べます。弁護士が担うのが一般的です。
- IT・その他のDD:ITシステムや知的財産、環境、不動産など、案件の性質に応じて必要な領域を調べます。
このうち、買い手が最初に検討することが多いのが財務DDです。中小M&Aガイドラインは、財務DDの目的を「譲り渡し側の事業実態を調査し、当該調査対象が内包するリスク要因を把握すること」と説明しています。具体的には、過去の実績の把握、現在の財務状態の調査によるリスク特定、将来の事業計画の基礎となる情報の入手を目的とするとされています。
財務DDで実際に確認する項目としては、次の5つがよく挙げられます。いずれも、買収価格の算定や契約交渉の土台になる情報です。
- 収益性分析(正常収益力分析):一過性の要素や例外的な取引を除いて、継続的・実質的な収益力を評価します(欧米ではQuality of Earnings/QoEとも呼ばれます)。
- 運転資本分析:事業を回すために必要な運転資本の水準を把握します。
- 設備投資分析:維持・成長に必要な設備投資の規模を見極めます。
- ネットデット分析:実質的な有利子負債(純有利子負債)を把握します。
- 簿外債務・偶発債務:帳簿に表れていない債務や、将来発生し得る債務を洗い出します。
これらの分析項目は、財務DDで一般的に扱われる観点です。株式譲渡のスキームでは、簿外債務・偶発債務まで含めた全般的な調査が必要になることが多く、調査の深さは案件によって変わります。
出典・参考資料(2件)
- 出典:中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」(2024年8月)(https://www.meti.go.jp/files/900016275.pdf)
- 参考資料:M&Aキャピタルパートナーズ「財務デューデリジェンスとは?」(https://www.ma-cp.com/about-ma/financial-dd/)
DDの依頼先の種類と役割の違い
ここからは、DDを任せられる依頼先の種類と、それぞれの役割の違いを整理します。依頼先によって得意なDDの領域や案件規模が異なるため、自社の案件に合う相手を見極める前提になります。
依頼先の主な種類とそれぞれの特徴
DDの依頼先は、大きく次のように分けられます。実際には複数の機能を併せ持つ事務所も多く、組み合わせて依頼するケースもあります。
- 大手FAS:監査法人グループに属する専門ファームで、財務・税務・ビジネス・IT・環境まで幅広い領域を一貫した体制で対応します。大型・クロスボーダー案件に強みがあります。
- 監査法人・会計事務所系:公認会計士が中心となり、財務DD・税務DDを得意とします。会計の専門性が高く、中小〜中堅案件まで幅広く対応します。
- 独立系の総合コンサル・ワンストップ型:財務・税務・法務・労務を一括で受託し、DD後の再編・PMI(統合プロセス)・事業承継まで継続して支援できる事務所です。
- 弁護士・法律事務所:契約・許認可・訴訟・労務などの法務DDを担います。法務リスクが大きい案件では、ほかの依頼先と並行して起用します。
- 特定業界・技術領域に特化したファーム:特定の業界や、ITなどの技術領域に精通し、その分野ならではのリスクを深く調べられる専門ファームです。
誰がDDを実施するのか|M&A仲介・FAとDD実施主体の違い
混同しやすいのが、M&A仲介会社やFA(ファイナンシャル・アドバイザー)と、DDを実際に行う専門家の役割の違いです。中小M&Aガイドラインは、DDを「主に譲り受け側が、FAや士業等専門家を活用して調査する工程」と位置づけています。
このように、仲介会社やFAはM&Aのプロセス全体を取りまとめる立場で、DDそのものは公認会計士・税理士・弁護士といった専門家が実施するのが一般的です。仲介・FAを起用している場合でも、財務DDや法務DDは別の専門家に依頼する、あるいは紹介を受けるケースが多くあります。自社がどのDDを誰に任せるのかを整理したうえで、専門家を直接選ぶか、仲介・FA経由で手配するかを判断するとよいでしょう。
DDの依頼先だけでなく、M&Aや事業承継・財務戦略の全体を取りまとめるFA・コンサルの選び方も比べたい場合は、専門領域別の金融コンサル会社を費用相場とあわせて整理した以下の記事もご参照ください。
出典・参考資料(1件)
- 出典:中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」(2024年8月)(https://www.meti.go.jp/files/900016275.pdf)
自社に合うDDコンサルのタイプ別の選び方
ここからは、依頼先を「案件規模」と「対応できるDDの範囲」の2つの軸で4つのタイプに分け、自社がどのタイプに向くかを整理します。
前節の依頼先の種類を、選びやすいよう「案件規模」と「DDの範囲」で束ね直したものです。法務DD単独を担う弁護士・法律事務所は、必要に応じて各社と連携する形が一般的です。

財務・税務DD中心型(財務DDに強い会計系・独立系)
財務DD・税務DDを主力とする会計系・独立系のファームです。中小・スモールM&Aでコストを抑えて依頼したい場合から、案件によっては中堅・上場企業・PE(プライベート・エクイティ)の取引まで、対応先があります。調査範囲を財務・税務に絞って依頼したい買い手や、バリュエーション(企業価値評価)まで会計の専門性で任せたい買い手に向いています。
独立系総合・ワンストップ型(財務〜法務を一括)
中堅規模のM&Aで、財務・税務・法務・労務を一括で任せたい場合に向くタイプです。窓口を一本化してDD全体の調整負荷を減らせるほか、DD後の再編・PMI・事業承継まで継続して相談できる事務所が多いのが特徴です。複数の専門家を個別に手配する手間を省きたい買い手に適しています。
大手FAS・グローバル総合型(全領域を一貫体制で網羅)
上場企業やクロスボーダーが絡む大型・複雑な案件に向くタイプです。財務から法務・IT・環境まで網羅的なDDを、一貫した体制で実施できます。DD前後のバリュエーション(企業価値評価)や再編スキームの検討まで相談できる体制があり、関係者が多く調査の網羅性が求められる案件に適しています。
Web3・ブロックチェーン領域特化型(暗号資産・ブロックチェーン業界のM&Aに強い)
暗号資産・ブロックチェーンなど、特定の技術・業界に特化した専門ファームです。一般的な財務・法務DDだけでは捉えきれない、その領域ならではの技術・事業リスクを深く調べられます。対象会社がWeb3・暗号資産業界に属する、あるいはブロックチェーン技術がM&Aの要になる案件に向いています。自社の業界に特化したファームが見当たらない場合は、大手FASやその業界の実績がある会社に相談するのが現実的です。
4つのタイプと、得意な案件規模・DDの対応範囲の対応関係を一覧にすると、次のとおりです。自社の案件規模と、必要なDDの範囲を照らし合わせて、合うタイプを確認してください。
| 依頼先タイプ | 得意な案件規模 | 対応範囲の中心 | こんな企業に向く |
|---|---|---|---|
| 財務・税務DD中心型 | 中小〜中堅(案件により上場・PEも) | 財務DD・税務DD(+バリュエーション) | 財務・税務を会計の専門性で任せたい |
| 独立系総合・ワンストップ型 | 中堅 | 財務〜法務・労務を一括 | 窓口を一本化し再編・PMIまで相談したい |
| 大手FAS・グローバル総合型 | 大型・クロスボーダー | 財務〜法務・IT・環境まで網羅 | 複雑な案件を一貫体制で任せたい |
| Web3・ブロックチェーン領域特化型 | 案件規模を問わない | Web3・ブロックチェーン業界の技術・事業DD | 暗号資産・ブロックチェーン業界のM&Aを進めている |
DDの依頼先を選ぶ比較ポイントと見極め基準
ここからは、タイプを絞ったあとに個別の依頼先を比べるための、具体的な見極め基準を解説します。依頼後に「調査漏れがあった」「報告書が意思決定に使えなかった」といった事態を防ぐために、次の観点を確認しましょう。
対応できるDDの種類・範囲は自社の案件に足りているか
自社の案件に必要なDDの種類(財務・税務・法務・ビジネス・ITなど)を、その依頼先が自社でカバーできるかを確認します。財務DDに強い事務所でも、法務DDは提携弁護士に外注する場合があり、範囲によっては複数の依頼先を組み合わせる必要があります。窓口を一本化したい場合は、ワンストップで対応できるかが分かれ目になります。
専門家の体制と保有資格は十分か
財務DDは公認会計士、法務DDは弁護士というように、担当する専門家の資格と実務経験を確認します。公認会計士・税理士・弁護士などの有資格者が何名在籍し、どの専門家が自社の案件を担当するのかを事前に把握しておくと、調査の質を見込みやすくなります。
自社の案件規模・業界での実績があるか
同程度の案件規模や、同じ業界でのDD実績があるかを確認します。案件規模が合わないと、調査の粒度や報告書の観点が自社のニーズとずれることがあります。業界特有のリスク(規制・商習慣・技術など)がある場合は、その業界の実績が見極めの決め手になります。
報告書の品質とアウトプットは確認できるか
DDの成果物は報告書です。買収価格の交渉や社内の意思決定に使えるだけの具体性・分かりやすさがあるかを、事前にサンプルやフォーマットで確認できると安心です。検出したリスクをどう整理し、価格や契約条件への反映まで示してくれるかは、依頼先によって差が出るところです。
費用体系と対応スピードは案件に見合うか
費用の見積もり方(作業時間ベースか、定額のパッケージか)と、スケジュールに間に合う体制かを確認します。M&Aは基本合意から最終契約までの期間が限られるため、必要な時期に調査を終えられるかは重要です。見積もりを取る際は、どこまでの範囲が費用に含まれるかを明確にしておくと、後の追加費用のトラブルを防げます。
また、依頼先がM&Aの仲介・FA業務も行う場合は、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録されているかも一つの参考になります。ただしこの登録制度の対象はFA・仲介業務を行う者に限られ、DDのみを受託する監査法人・会計事務所などは対象外です。そのため、DD専業の依頼先については登録の有無で判断せず、上記の体制・実績・報告書品質で見極めてください。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:中小企業庁「M&A支援機関登録制度の概要」(2021年8月)(https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2021/210802m_and_a.pdf)
DDの費用相場(DD種類×案件規模別の目安)
ここからは、DDの費用相場の目安を解説します。DDの費用は公的に定められた基準がなく、案件規模・調査範囲・依頼先の体制によって大きく変動します。以下はあくまで一般的な目安として、出所を添えて示すものです。実際の費用は、必ず複数の依頼先から見積もりを取って比較してください。
財務DDの費用について、上場M&AアドバイザリーのM&Aキャピタルパートナーズは、対象会社の規模に応じて「数十万円から数百万円程度」で、作業単価と作業時間で決まると公表しています。
一方、コンサル業界の転職・情報メディアであるコンコード(CONCORD)の用語解説では、より高い水準のレンジも示されています(二次情報のため参考値)。具体的には、財務DDで500万〜2,000万円、ビジネスDDで1,000万〜3,000万円、法務DDで300万〜1,000万円といった目安です。両者の差は、想定する案件規模や依頼先タイプ(財務DD中心か大手FASか)の違いによるものと考えられます。
| 観点 | 目安 | 出所 |
|---|---|---|
| 財務DD(中小・小規模案件) | 数十万円〜数百万円程度 | M&Aキャピタルパートナーズ(公式) |
| 財務DD(中堅〜大型案件の目安) | 500万〜2,000万円程度 | コンコード(用語解説・参考値) |
| ビジネスDD(同上) | 1,000万〜3,000万円程度 | コンコード(用語解説・参考値) |
| 法務DD(同上) | 300万〜1,000万円程度 | コンコード(用語解説・参考値) |
費用は案件規模・調査範囲・依頼先により大きく変動します。上表は一般的な目安であり、実額は見積もりでご確認ください。
費用を抑えたい場合は、調査範囲を自社にとって重要な領域に絞る、簡易なプランを活用するといった方法があります。ただし、リスクの大きい領域の調査まで削ってしまうと、DD本来の目的を損ないかねません。何を優先して調べるかを依頼先と相談しながら、範囲と費用のバランスを決めるとよいでしょう。
出典・参考資料(2件)
- 参考資料:M&Aキャピタルパートナーズ「財務デューデリジェンスとは?」(https://www.ma-cp.com/about-ma/financial-dd/)
- 参考資料(二次情報):コンコード「デューデリジェンス(コンサル用語集)」(https://www.concord-career.com/dictionary/duediligence)
DDの進め方と期間の目安
依頼先を選ぶ前に、DDがどのような流れで進み、どのくらいの期間がかかるかを把握しておくと、社内のスケジュール調整がしやすくなります。中小M&Aガイドラインは、DDをM&Aプロセスのうち基本合意のあと最終契約の前に行う工程として位置づけています。
財務DDの一般的な進め方は、次のステップで進みます。
- 専門家の選定
- 調査対象項目の決定
- 資料開示・調査
- マネジメントインタビュー
- 報告書の作成

期間は、M&Aキャピタルパートナーズによると財務DDで基本合意後おおむね1ヶ月半から2ヶ月が一つの目安とされます。ただしこれは一律ではなく、案件の規模・調査範囲・依頼先によって異なります。予算やスケジュールの制約がある場合は、検討対象を絞る工夫をしながら、必要な調査の密度を確保することが大切です。
出典・参考資料(2件)
- 出典:中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」(2024年8月)(https://www.meti.go.jp/files/900016275.pdf)
- 参考資料:M&Aキャピタルパートナーズ「財務デューデリジェンスとは?」(https://www.ma-cp.com/about-ma/financial-dd/)
30秒でわかる|自社に合うDD依頼先タイプ診断
ここまでの内容を踏まえ、自社の案件規模や必要なDDの範囲から、合う依頼先タイプを手早く確認できる診断をご用意しました。いくつかの質問に答えるだけで、候補となるタイプとサービスが分かります。
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【比較表】DDに強いコンサル・FAS一覧比較
ここからは、DDに強いコンサル・FAS19社を、4つのタイプ別に比較します。対応できるDDの種類、得意な案件規模、費用の目安、体制などを一覧にまとめました。気になるサービスは、各社の詳しい紹介もあわせてご確認ください。
財務・税務DD中心型の比較
| サービス名 | かえでファイナンシャルアドバイザリー | 船井総研あがたFAS | Stand by C | TSAコンサルティング | シザコンサルティング |
|---|---|---|---|---|---|
| 対応するDD種類 | 財務DD中心 (株価算定・バリュエーション) | 財務DD・ビジネスDD (企業価値評価・組織再編・PMI) | 財務DD・税務DD中心 (バリュエーション・PPA・FA・PMI) | 財務DD・税務DD中心 (財務のみ・税務のみの個別依頼も可/法務は外部連携) | 財務DD・ビジネスDD中心 (バリュエーション・PMI/税務・法務DDは公式記載なし) |
| 得意な案件規模 | 中小・ベンチャー (売上1億円前後〜の事業承継・M&A) | 中堅・中小企業 (全国・180以上の業種) | PE〜上場企業 (TOB・特別委員会向け実績) | 売上数億円〜100億円 (上場会社が買い手の案件も) | 要問い合わせ |
| 費用の目安 | 財務DD(中小企業)は100万〜300万円(税別)の定額 ※M&A仲介の成功報酬は完全成功報酬制で別体系 | 要問い合わせ | 要問い合わせ (バリュエーションは大手比5〜7割程度と公表) | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 体制・保有資格 | 会計事務所系グループ (かえで監査法人・税理士法人を擁する) | 船井総研HD(東証プライム)×あがたグローバル経営の合弁 (経営コンサル+会計・税務) | 監査法人系FAS出身者が中心 (税務DDはグループの税理士法人が担当) | 代表は公認会計士(あずさ監査法人出身) 登録M&A支援機関 | 公認会計士+コンサルタント (事業再生・事業計画の経験をPMIに活用) |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
独立系総合・ワンストップ型の比較
| サービス名 | 山田コンサルティンググループ | ユニヴィスグループ | AGSコンサルティング | 辻・本郷グループ(辻・本郷FAS) | ブリッジコンサルティンググループ | TOMAコンサルタンツグループ | グローバル・コーポレート・コンサルティング | マクサス・コーポレートアドバイザリー | コーポレート・アドバイザーズM&A |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 対応するDD種類 | 財務〜税務・法務をグループ連携でワンストップ (買収監査〜組織再編・PMI・事業承継) | 財務・税務・法務・労務・ビジネスの5領域をワンストップ (法務はグループ法律事務所でフルスコープ) | 財務・税務を土台に買収監査(DD)を実行 (法務は法律事務所と連携) | 財務DD・税務DD中心 (バリュエーション・PPA・PMI・SPA反映/税務・法務はグループ連携) | M&Aアドバイザリー・DD・バリュエーション (IPO準備支援が主軸) | 事業DD・財務DD (事業再生に手厚く、再生計画・ハンズオン支援まで) | 財務・税務・労務・法務の4領域をワンストップ (ビジネスDDは簡易版、株価算定も同時対応) | 財務・税務DD (企業価値評価・PPA・事業承継・事業再生) | 財務・税務・労務DD (バリュエーション・企業再編・PMI/グループ連携) |
| 得意な案件規模 | 国内外を問わない | 要問い合わせ (短期・タイトな案件にも対応と公表) | 要問い合わせ (M&A支援は累計390件) | 売上1億円未満〜100億円超 (投資ファンド・上場企業・中小企業) | 要問い合わせ (IPO準備企業が中心) | 年商数億円〜50億円規模の中堅・中小 (規模は限定しない) | 要問い合わせ | 中規模M&A (片側FAで利益相反を回避) | 要問い合わせ |
| 費用の目安 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 着手金・中間金 各100万〜300万円 成功報酬はレーマン方式または固定報酬(公式メディア記載) | 要問い合わせ (30分のオンライン無料相談あり) | 要問い合わせ (相談・見積もりは無料) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 成功報酬中心 (事業承継の売却案件は原則、着手金・月額報酬なし) | 着手金・企業価値試算は無料 中間金200万円/成功報酬は株価レーマン方式・最低2,000万円(別途消費税) |
| 体制・保有資格 | 東証プライム上場 公認会計士31名・税理士40名・司法書士17名ほか(グループ1,223名) | 公認会計士等49名・弁護士20名・税理士10名ほか (DD500件超の実績) | 会計事務所系(AGSグループ) 公認会計士121名・税理士124名ほか782名体制 | 辻・本郷 税理士法人を母体とするFAS (年間80件以上のDD・バリュエーション) | 東証グロース上場 外部の公認会計士など専門人材5,000名以上を案件にアサイン | 税理士・公認会計士・社労士・行政書士など約200名 (ワンストップ体制) | 公認会計士・税理士・社労士を擁する66名体制 (会計系・大阪拠点) | 公認会計士9名・税理士2名ほか30名体制 (Oaklinsに加盟) | 日本クレアスグループ 税理士61名・公認会計士17名・弁護士8名ほか650名 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
大手FAS・グローバル総合型の比較
| サービス名 | デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー | PwCアドバイザリー | KPMG FAS | EYストラテジー・アンド・コンサルティング |
|---|---|---|---|---|
| 対応するDD種類 | 財務〜税務・法務をグループ連携で網羅 (フォレンジック・事業再生・PMIまで一貫) | 財務DD・ビジネスDDを自社で網羅 (FA・バリュエーション・PMI・事業再生・インフラ/PwCネットワークで幅広く対応) | 財務DD・フォレンジック(不正調査)を自社保有 (企業価値評価・PMI・事業再生/KPMGネットワークで幅広く対応) | DD・バリュエーション・リードアドバイザリー (金融規制・サステナビリティ対応に強み/EYネットワークで幅広く対応) |
| 得意な案件規模 | 大型・クロスボーダー (大企業・上場企業中心) | 大型ディール (大企業・上場企業中心、インフラ/PPP・PFIも) | 大型・クロスボーダー (大企業・上場企業中心) | 大企業・大手金融機関中心 (クロスボーダー・海外規制対応) |
| 費用の目安 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 体制・保有資格 | 合同会社デロイト トーマツ(BIG4系) 150を超える国・地域のグローバルネットワーク | PwC Japanグループ(BIG4系) 第二種金融商品取引業登録 | KPMGグローバルネットワーク(BIG4系) 国内5拠点(東京・大阪・京都・名古屋・福岡) | EYストラテジー・アンド・コンサルティング(BIG4系EY) 国内4,310名(2025年7月時点)/金融サービス分野を重点領域 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
Web3・ブロックチェーン領域特化型の比較
| サービス名 | Web3業界特化M&Aアドバイザリー(Consensus Base) |
|---|---|
| 対応するDD種類 | 技術DD・ビジネスDD(Web3特化) (DDマネジメント・スマートコントラクト監査観点のアセスメント) |
| 得意な案件規模 | 案件規模を問わない (Web3事業の買収参入・売却/資本提携) |
| 費用の目安 | 要問い合わせ (構想段階からの無料相談あり) |
| 体制・保有資格 | ブロックチェーン開発100件超の知見 M&A歴10年以上のアドバイザリーメンバー |
| 詳細情報 | 公式資料を見る |
DDに強いコンサル・FASのサービス個別紹介
ここからは、各社の特徴・強み・実績を、タイプ別に詳しく紹介します。自社の案件に合いそうな依頼先を見つけたら、資料請求や相談で詳細を確認してみてください。
財務・税務DD中心型のコンサル・FAS
まずは、財務DD・税務DDを主力とする会計系・独立系のファームです。中小・スモールM&Aから、案件により中堅・上場企業・PEの取引まで対応先があります。
1. かえでファイナンシャルアドバイザリー(かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社)

かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社は、かえで監査法人・かえで税理士法人などを擁するかえでグループの一員で、2005年の創業以来、M&Aアドバイザリーや企業価値評価、財務調査(デューデリジェンス)を手がけてきた会計事務所系のファームです。「プレM&Aコンサルティングサービス」は、M&A実行の数年前から売り手企業の準備を支援するメニューです。
財務DDは中小企業向けで100万〜300万円(税別)の定額料金を公式に示しており、株価算定やバリュエーション(企業価値評価)も会計の専門性で対応します。これとは別に、M&A仲介の成功報酬は完全成功報酬制(レーマン方式・最低報酬500万円・税別)で、定額のDD費用とは体系が分かれています。
プレM&Aコンサルティングサービスは月額10万円から(最低1年から)で、利益・財務体質の改善を図る事業価値向上コンサルティングと、株主・株式関係の整備や経営者保証の解除などを進めるM&Aリスク低減コンサルティングの2本柱で構成されます。数年以内のM&A・事業承継を見据えて、売却前に財務や管理体制を整えたいオーナー企業に向いています。
2. 船井総研あがたFAS(株式会社船井総研あがたFAS)

船井総研あがたFASは、経営コンサルティング大手の船井総合研究所を擁する船井総研ホールディングス(東証プライム上場)と、財務・税務を担うあがたグローバル経営グループが2025年1月に合弁で設立した、中堅・中小企業向けの事業承継・M&Aコンサルティング会社です。
M&Aコンサルティングや財務デューデリジェンス・ビジネスデューデリジェンス、企業価値評価、組織再編、PMI支援までを扱い、経営戦略・マーケティングと会計・税務の両面から支援する体制を掲げています。M&Aを前提とせず、譲渡・譲受が本当に最善の選択肢かという検討段階から関与する姿勢を特徴に挙げています。
拠点は東京・大阪・名古屋の3カ所で、全国・180以上の業種に対応すると公式サイトに記載しています。料金体系は公開されておらず、着手金や成功報酬などの詳細は要問い合わせです。
3. Stand by C(株式会社Stand by C)

大手監査法人や監査法人系FASの出身者が中心となり、2010年に創業したのが株式会社Stand by Cです。東京本社と大阪営業所を構え、財務・会計を軸にしたM&Aアドバイザリーを提供しています。
デューデリジェンスは財務DDと税務DDを主力とし、税務DDはグループの税理士法人Stand by Cが担います。財政状態・損益・資金繰り・管理体制の調査や、実態純資産・正常収益力の把握を行い、株式価値算定(バリュエーション)やPPA、FA、PMI支援まで同一社で展開しています。
対象はプライベート・エクイティ(PE)から上場企業までと公式に記載し、上場企業のTOB(株式公開買付け)や特別委員会向けの価値算定・財務アドバイザーの実績を複数公表しています。DDの料金は非公開で、バリュエーションについては公式が「少なくとも大手との比較では5割〜7割程度の報酬」と自社の目安を示しています。
4. TSAコンサルティング(TSAコンサルティング株式会社)

大阪を拠点とするTSAコンサルティング株式会社は、デューデリジェンスとM&A支援を主軸とするファームです。代表の柴田年和氏はあずさ監査法人出身の公認会計士で、同社は中小企業庁の登録M&A支援機関として活動しています(2022年3月登録)。
財務DDと税務DDを主力に、企業価値算定、M&A税制の申請支援、会社分割などの組織再編、クロージング・PMIまで対応します。財務DDのみ、税務DDのみといった個別依頼にも応じ、法務領域は弁護士など外部の専門家と連携します。契約から報告書納品まで通常1か月程度を目安としています。
支援の中心は売上規模が数億円〜100億円のディールで、中堅・中小企業のM&Aに加え、上場会社が買い手となる案件の実績も公式に記載しています。料金は公開されておらず、調査範囲を踏まえた見積もりとなります。
5. シザコンサルティング(株式会社シザコンサルティング)

株式会社シザコンサルティング(CIZA CONSULTING)は、事業再生や利益改善などの経営コンサルティングとあわせてM&A支援を手がける、2012年設立の大阪拠点のファームです。社名の「シザ」は「視座」に由来します。
M&A支援は財務デューデリジェンス、価値算定(バリュエーション)、ビジネスデューデリジェンス・PMIの3領域で構成されます。財務DDでは財務諸表の妥当性・損益・資金繰りを確認し、マネジメントインタビューと財務調査を経て、報告書と役員・M&A担当者向けの報告会を成果物とします。価値算定はインカム・マーケット・コストの3アプローチに対応します。
公認会計士とコンサルタントの体制で、事業再生・事業計画策定の経験をディール後のPMI支援にも活かすと説明しています。税務DD・法務DDは公式サイトに記載がなく、対象案件規模や料金も公開されていないため、詳細は問い合わせが必要です。
独立系総合・ワンストップ型のコンサル・FAS
続いて、財務から法務・労務まで一括で任せられ、DD後の再編やPMIまで相談できるワンストップ型の各社です。
6. 山田コンサルティンググループ(山田コンサルティンググループ株式会社)

山田コンサルティンググループは、1989年設立・東証プライム上場(証券コード4792)の経営コンサルティングファームです。事業承継・M&A・事業再生・会計税務・海外事業支援を、税理士法人山田&パートナーズなどグループの関連法人と連携してワンストップで提供します。
M&Aアドバイザリーでは、買い手側の支援内容として買収監査(デューデリジェンス)の実施を公式サイトに掲げ、FA(ファイナンシャル・アドバイザー)業務とM&A仲介業務の両方に対応します。公認会計士31名・税理士40名・司法書士17名ほかの有資格者を擁し(2026年4月1日現在)、グループ総人員は1,223名です。
対応する案件規模は国内外を問わないとしており、料金は公開されておらず案件ごとの個別見積もりです。DDに続く組織再編やPMI、事業承継まで同じグループ内で相談したい買い手に向きます。
7. ユニヴィスグループ(株式会社ユニヴィス)

ユニヴィスグループは、株式会社ユニヴィス(2018年設立)を中核に、税理士法人・法律事務所・社会保険労務士法人などを擁するグループです。M&Aのデューデリジェンスでは、財務・税務・法務・労務・ビジネスの5領域をワンストップで対応し、法務はグループ内の法律事務所と連携してフルスコープで調査できる体制を公式に掲げています。
グループ内には公認会計士等49名、弁護士20名、税理士10名などが在籍し、株価算定やストックオプション評価まで一括で依頼できます。公式の支援実績として、DD500件超、バリュエーション400社超、クライアント700社超を掲載しています。
買い手支援の際も売り手に負担をかけない進め方を重視し、スケジュールのタイトな案件にもリソースを投下して短期間で実施するとしています。料金は公開されておらず、要問い合わせです。
8. AGSコンサルティング(株式会社AGSコンサルティング)

AGSコンサルティングは、AGS税理士法人と一体で「AGSグループ」を構成する会計事務所発の総合コンサルティングファームです。税務・会計顧問を土台に、組織再編・事業承継・M&A など幅広い分野をワンストップで手がけます。公認会計士121名・税理士124名を含む782名体制です(2026年1月現在)。
M&Aアドバイザリーでは、ターゲット企業の選定・打診から、買収監査(DD)の実行・対応支援、法律事務所などとの連携支援までを支援範囲に挙げています。M&A支援は累計390件、組織再編コンサルティングは年間約200件の実績を公式に掲載しています。
M&Aアドバイザリーの報酬は、着手金・中間金が各100万〜300万円、成功報酬はレーマン方式または固定報酬方式が目安とされ(公式メディア記載)、初回相談は無料です。具体額は案件ごとの問い合わせとなります。
9. 辻・本郷グループ(辻・本郷FAS株式会社)

辻・本郷グループでM&Aのデューデリジェンスを担うのは、辻・本郷FAS株式会社です(外部のDD比較サイトには辻・本郷 ビジネスコンサルティング株式会社名義で掲載されています)。辻・本郷 税理士法人を母体とし、税務・法務・M&A仲介はグループ内の専門家と連携して対応します。
提供メニューは、財務DD・税務DDを中心に、バリュエーション、事業計画策定支援、PPA(取得原価の配分)、PMI支援、DD結果の株式譲渡契約(SPA)への反映までです。依頼者の内訳は買い手が約9割を占め、買収局面の財務・税務DDに軸足を置いています。
調査対象となる会社の売上規模は1億円未満から100億円超まで幅があり、投資ファンド・上場企業・中小企業が利用しています。年間80件以上のDD・バリュエーションを支援してきたとしており、料金は非公開で、30分のオンライン無料相談を受け付けています。
10. ブリッジコンサルティンググループ(ブリッジコンサルティンググループ株式会社)

ブリッジコンサルティンググループは、2011年設立・東証グロース上場(証券コード9225)のコンサルティングファームです。公認会計士プラットフォーム「会計士.job」を基盤としたプロシェアリング事業を中核に、IPO準備企業の経営管理支援を主軸としています。
IPO支援に加えて、FAS領域としてM&Aアドバイザリー・デューデリジェンス・バリュエーションを提供サービスに掲げています。登録する公認会計士などの外部専門家を案件に応じてアサインする体制で、国内IPO達成企業の5社に1社超を支援したと公式に訴求しています(2024年実績)。
自社従業員62名に対し、プラットフォーム上の専門人材は5,000名以上とされ、プロジェクト単位のチームで伴走します。料金は公開されておらず、相談・見積もりは無料です。IPOを見据えた経営管理とあわせてDD・FASも相談したい企業の候補になります。
11. TOMAコンサルタンツグループ(TOMAコンサルタンツグループ株式会社)

TOMAコンサルタンツグループは、税理士・公認会計士・社会保険労務士・行政書士など約200名の専門家を擁するワンストップ型のファームです(1982年設立)。TOMA税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人などが連携し、税務・会計・監査から事業承継・M&A・人事まで一気通貫で対応します。
デューデリジェンスは事業再生の領域で手厚く、事業DD・財務DDから再生計画の策定、金融機関との交渉、コンサルタント常駐によるハンズオン実行支援までを担います。資産売却や再生ファンドの紹介による資金化も支援します。
対象は年商数億円から50億円規模の中堅・中小企業が中心で、規模は限定しないとしています。料金は公開されておらず、要問い合わせです。財務が悪化した対象会社の再生を含めて相談したい場合の候補になります。
12. グローバル・コーポレート・コンサルティング(株式会社グローバル・コーポレート・コンサルティング)

グローバル・コーポレート・コンサルティング(GCC)は、株式会社グローバル・コーポレート・コンサルティングと税理士法人GCCの2法人で構成される、大阪拠点の会計系コンサルティングファームです。公認会計士・税理士・社会保険労務士を自社に擁し、計66名の体制です(2026年3月時点)。
M&Aのデューデリジェンスは、財務・税務・労務・法務の4領域をワンストップの窓口で対応するとしています。財務DDでは過年度の財務諸表分析や簿外負債の把握などを公認会計士が担い、株価算定を同時に実施できる点を挙げています。ビジネスDDは簡易版での対応となります。
M&Aコンサルティングでは、合併・株式取得・会社分割などのスキーム検討からクロージング、その後の会計・税務処理までを支援し、FA契約や仲介にも対応します。料金・実績は公開されておらず、要問い合わせです。
13. マクサス・コーポレートアドバイザリー(マクサス・コーポレートアドバイザリー株式会社)

マクサス・コーポレートアドバイザリーは、大型案件と小規模案件の中間にあたる中規模M&Aを主戦場とするアドバイザリー会社です(2013年設立)。売り手・買い手のいずれか一方とだけ契約する「片側FA」体制で利益相反を避ける方針を公式に掲げています。
サービスは、買収側・売却側のM&Aアドバイザリーに加え、企業価値評価、財務・税務DDやPPA(取得原価の配分)、事業承継、事業再生に及びます。公認会計士9名・税理士2名などを含む30名体制で(2026年6月時点)、2025年7月には独立系M&Aファームのグローバルネットワーク「Oaklins」に加盟しました。
報酬は成功報酬が中心で、事業承継オーナーの売却案件は原則として着手金・月額報酬がかからないとしています。無料相談を受け付けており、初期検討段階からの相談を案内しています。
14. コーポレート・アドバイザーズM&A(株式会社コーポレート・アドバイザーズM&A)

コーポレート・アドバイザーズM&Aは、2007年設立、会計・税務・法務・労務の専門法人を擁する日本クレアスグループのM&A仲介部門です。グループ全体では税理士61名・公認会計士17名・弁護士8名などを含む650名が在籍します(2026年7月現在)。
買収を検討する企業向けには、デューデリジェンス(財務・税務・労務)、バリュエーション(株価算定)、企業再編コンサルティング、PMI支援をメニューに掲げ、グループ内の専門家と連携して対応します。自社運営の案件プラットフォーム「CREASマッチング」も展開しています。
料金は着手金・企業価値試算が無料で、買収検討者向けには中間金200万円、成功報酬は株価レーマン方式(5億円以下5%〜100億円超1%)、最低成功報酬は2,000万円と公開しています(いずれも別途消費税)。グループ累計では20年で2,000件以上のM&A支援実績を掲げています。
大手FAS・グローバル総合型のコンサル・FAS
次に、大型・クロスボーダー案件を全領域で一貫して対応できる大手FASの各社です。
15. デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー(合同会社デロイト トーマツ)

デロイト トーマツ グループでM&Aアドバイザリー・フォレンジック・事業再生を担ってきたファイナンシャルアドバイザリー機能です。2025年12月1日にコンサルティング・リスクアドバイザリーの2社と合併し、現在は「合同会社デロイト トーマツ」のもとで、複数の専門分野を組み合わせて提供する体制に移行しました。
バイサイド・セルサイドの両面で、M&A戦略の立案から対象企業の選定、デューデリジェンス、交渉、クロージング、PMIまでを一貫して支援します。150を超える国・地域のグローバルネットワークを活用したクロスボーダー案件への対応を公式に掲げています。
グループ内の法務・税務・財務の専門家と連携し、大型・複雑な案件を一貫体制で任せたい買い手の相談先です。料金は公開されておらず、案件ごとの個別見積もりとなります。
16. PwCアドバイザリー(PwCアドバイザリー合同会社)

PwC Japanグループに属し、M&A・事業再生・インフラ領域のディールアドバイザリーを手がけるFASです。第二種金融商品取引業(関東財務局長(金商)第3239号)の登録を受けています。
サービスは、M&A戦略やフィナンシャルアドバイザリー、バリュエーション、デューデリジェンス、PMI、事業再生までを自社内で網羅します。加えて民間インフラや官民連携事業(PPP/PFI)のディールを独立したサービスラインとして掲げる点が特徴です。
PwCグローバルネットワークを通じたクロスボーダー案件への対応も志向しています。料金は公開されておらず、案件に応じた個別見積もりです。
17. KPMG FAS(株式会社KPMG FAS)

M&A・事業再生・不正対策といったトランザクション領域を専門に扱う、KPMGグローバルネットワークのFASです。経営コンサルティングを主業とするKPMGコンサルティング株式会社とは別法人にあたります。
M&Aアドバイザリーや財務デューデリジェンス、企業価値評価、PMI、企業再生(ターンアラウンド&リストラクチャリング)を自社内で一貫して提供します。あわせて不正調査・予防(フォレンジック)の専門機能を社内に備え、有事対応から平時の不正予防までを扱います。
拠点は東京・大阪・京都・名古屋・福岡の国内5カ所です。料金は公開されておらず、案件ごとに見積もる形です。
18. EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社)

EY Japanの一員として、経営戦略の策定から実行までを担うコンサルティング法人です。2020年10月に、トランザクション支援のEYトランザクション・アドバイザリー・サービスと、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングが統合して発足しました。
M&A領域ではデューデリジェンス、バリュエーション、リードアドバイザリーを手がけ、戦略策定とトランザクション支援を同一法人内で提供します。銀行・証券・保険などの金融サービス分野を重点領域に据え、サステナブルファイナンスや金融規制(FSRM、バーゼルⅢ最終化など)への対応に専門チームを置いています。
従業員数は4,310名(2025年7月1日時点)で、世界約393,000人・700を超える拠点のネットワークを背景に、海外規制対応やクロスボーダー案件に対応します。料金は公開されておらず、プロジェクト単位の個別見積もりとなります。
Web3・ブロックチェーン領域特化型のコンサル・FAS
最後に、特定の業界や技術領域に特化し、その分野ならではのリスクを深く調べられる専門ファームです。
19. Web3業界特化M&Aアドバイザリー(コンセンサス・ベイス株式会社)

GameFi・NFT・DeFi・ウォレット開発といったWeb3・ブロックチェーン領域の企業買収や提携に特化したM&Aアドバイザリーです。ブロックチェーン受託開発で培った技術理解を、対象会社の技術デューデリジェンス(技術DD)や事業評価に活かす点を、コンセンサス・ベイス株式会社(Consensus Base)が強みに掲げています。
支援範囲は、買収候補のロングリスト作成からLOI・基本合意書の締結、DDのマネジメント、契約交渉・契約書策定、PMI(統合プロセス)まで。技術DDやスマートコントラクト監査観点でのアセスメント、取引スキーム設計、トークンの取扱いに関する法務的な整理など、Web3特有の論点に対応すると公式に説明しています。
対象は、Web3事業を買収して参入したい企業や、自社のWeb3アセットを売却・資本提携したい企業です。M&A歴10年以上のアドバイザリーメンバーが買収交渉・契約交渉・PMIに対応するとしています。料金は非公開で、構想段階からの無料相談を受け付けています。
まとめ
デューデリジェンスの依頼先は、案件規模と必要なDDの範囲によって、適した相手が変わります。中小・スモールM&Aで財務DDを中心にコストを抑えたいのか、財務から法務まで一括で任せたいのか、大型・複雑な案件を全領域で網羅したいのか――まず自社の案件を整理することが、依頼先選びの出発点です。
そのうえで、対応できるDDの種類・専門家の体制・案件規模の実績・報告書の品質・費用体系を比べ、依頼後のトラブルを防げる相手を見極めてください。費用や期間は案件によって変わるため、複数の依頼先から見積もりとスケジュールを取り、内容を比較することをおすすめします。
気になる依頼先が見つかったら、各社の資料をまとめて請求し、対応範囲や費用を見比べてから相談に進みましょう。
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よくあるご質問(FAQ)
Q. デューデリジェンス(DD)とは何ですか?
A. デューデリジェンス(DD)とは、M&Aの買い手が、買収対象の会社に潜む財務・法務・事業などのリスクを、外部の専門家を活用して精査する調査です。法律で義務づけられた手続きではなく、買い手は調査で判明した実態を踏まえて、買収価格の妥当性の検証や契約条件への反映、買収そのものの見直しを判断します。財務DD・法務DDが代表的で、案件に応じて税務DD・ビジネスDD・ITDDなどの領域も調べます。
Q. デューデリジェンスは必ず外部のコンサル・FASに依頼すべきですか?
A. デューデリジェンスは、財務は公認会計士、法務は弁護士といった専門家が実施するのが一般的で、外部への依頼が基本です。簿外債務・偶発債務や契約・訴訟リスクの見極めには専門知識と第三者としての客観性が必要で、社内のみで完結させるのは難しい領域です。M&A仲介会社やFAを起用している場合でも、DD自体は専門家に依頼するか紹介を受ける形が多くなります。
Q. デューデリジェンスの依頼先にはどんな種類があり、何が違うのですか?
A. デューデリジェンスの依頼先は、大手FAS・監査法人/会計事務所系・独立系の総合コンサル・弁護士/法律事務所・特定業界/技術特化ファームに大きく分かれ、得意なDDの領域や対応できる案件規模が異なります。
大手FASは財務から法務・IT・環境まで一貫体制で大型・クロスボーダー案件に、会計事務所系は財務DD・税務DDに、独立系ワンストップ型は財務〜法務・労務を一括で、弁護士は法務DDに強みがあります。自社の案件規模と、必要なDDの範囲を照らし合わせて選ぶのが基本です。
Q. 財務DD・法務DDなど、どの種類のデューデリジェンスを依頼すればよいですか?
A. デューデリジェンスは財務DD・税務DD・法務DDが基本で、案件の性質に応じてビジネスDDやITDDなどを追加するのが一般的です。
財務DDは資産・負債や収益の実態と簿外債務、法務DDは契約・許認可・訴訟・労務の法的リスク、税務DDは過去の申告や税務リスクを調べます。技術やシステムが買収の要になる場合はITDDを、事業性を見極めたい場合はビジネスDDを加えるなど、リスクの大きい領域から優先して範囲を決めるとよいでしょう。
Q. デューデリジェンスの費用はどのくらいが目安ですか?
A. デューデリジェンスの費用に公的な基準はなく、案件規模・調査範囲・依頼先によって数十万円から数千万円程度まで大きく変動します。
一例として財務DDは中小・小規模案件で数十万円〜数百万円程度(M&Aキャピタルパートナーズの公表)、中堅〜大型案件では500万〜2,000万円程度、ビジネスDDで1,000万〜3,000万円程度、法務DDで300万〜1,000万円程度といった目安も示されています。いずれもあくまで目安のため、実額は必ず複数の依頼先から見積もりを取って比較してください。
Q. デューデリジェンスにはどのくらいの期間がかかりますか?
A. デューデリジェンスの期間は案件規模や調査範囲によって異なりますが、財務DDでは基本合意後おおむね1ヶ月半〜2ヶ月程度が一つの目安とされます(M&Aキャピタルパートナーズの公表)。
専門家の選定→調査項目の決定→資料開示・調査→マネジメントインタビュー→報告書の作成という流れで進みます。M&Aは基本合意から最終契約までの期間が限られるため、必要な時期に調査を終えられる体制かを事前に確認しておくと安心です。
Q. M&A仲介会社やFAに依頼すれば、デューデリジェンスもやってもらえますか?
A. M&A仲介会社やFAはM&Aのプロセス全体を取りまとめる立場で、デューデリジェンスそのものは公認会計士・税理士・弁護士などの専門家が実施するのが一般的です。仲介・FAを起用していても、財務DDや法務DDは別の専門家に依頼する、または紹介を受けるケースが多くあります。どのDDを誰に任せるかを整理したうえで、専門家を直接選ぶか、仲介・FA経由で手配するかを判断するとよいでしょう。
Q. 自社の案件に合うデューデリジェンスの依頼先は、どう選べばよいですか?
A. デューデリジェンスの依頼先は、「案件規模」と「必要なDDの範囲」を軸に合うタイプを絞ってから、個別の候補を見極めるのが基本です。
中小・スモールM&Aで財務DD中心ならコスト重視の特化型、中堅で財務〜法務を一括したいなら独立系ワンストップ型、大型・クロスボーダーなら大手FASが向きます。タイプを絞ったあとは、対応できるDDの範囲・専門家の資格と体制・同規模や同業界での実績・報告書の品質・費用とスピードを確認して選びましょう。
Q. デューデリジェンスの費用を抑えるにはどうすればよいですか?
A. デューデリジェンスの費用は、調査範囲を自社にとって重要な領域に絞ったり、簡易なプランを活用したりすることで抑えられます。ただし、リスクの大きい領域の調査まで削ってしまうと、DD本来の目的を損ないかねません。何を優先して調べるかを依頼先と相談しながら範囲と費用のバランスを決め、見積もり時にはどこまでが費用に含まれるかを明確にしておくと、後の追加費用のトラブルも防げます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















