事業譲渡を専門家に相談しようとすると、まず気になるのが「手数料がいくらかかるのか」ではないでしょうか。M&Aアドバイザリーや仲介会社に支払う費用は、着手金・企業価値評価費用・月額報酬・中間金・成功報酬といった複数の名目に分かれ、中心となる成功報酬は「レーマン方式」と呼ばれる計算で決まります。
さらに事業譲渡では、売り手には譲渡益への税金が、買い手には譲り受けた資産への税金がかかります。手数料と税金を合わせて把握しておかないと、手取りの試算はできません。
本記事では、事業譲渡の手数料を名目ごとの目安額で整理し、成功報酬のレーマン方式の計算を譲渡規模別の例で解説します。あわせて、売り手・買い手にかかる税金、補助金などで費用を抑える方法、手数料を相談できる専門家までをまとめました。自社の事業譲渡にかかる費用の全体像をつかむための材料としてご活用ください。
目次
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事業譲渡の手数料の名目と目安額【一覧】
ここでは、事業譲渡をM&Aアドバイザリーや仲介会社に依頼したときに発生する手数料を、名目ごとに整理します。手数料は一本の金額ではなく、依頼の段階に応じて複数の名目に分かれて発生するのが基本です。

主な名目と、それぞれの内容・発生タイミング・目安は次のとおりです。金額は会社の料金体系によって大きく変わるため、ここでは考え方の目安として示します。
| 着手金 | 企業価値評価費用 | 月額報酬(リテイナーフィー) | 中間金(中間報酬) | 成功報酬 | デューデリジェンス(買収監査)費用 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 内容 | 相談から契約初期の段階で払う費用。企業評価料・案件化料を含むことがある | 譲渡する事業・会社の価値を算定する費用 | 契約期間中、毎月払う固定費 | 基本合意など中間段階で払う費用。成功報酬の一部前払いとする場合がある | M&Aが成約したときに払う費用。手数料の中心になる。レーマン方式で計算されるのが一般的 | 主に買い手が、譲渡対象の財務・法務などを調査する費用。弁護士・会計士に依頼する |
| 発生タイミング | 仲介・アドバイザリー契約の締結時 | 評価の実施時(着手金に含む会社もある) | 毎月 | 基本合意契約の締結時 | 最終契約の締結・譲渡の完了時 | デューデリジェンスの実施時 |
| 目安(会社により異なる) | 0円〜数百万円。着手金0円の完全成功報酬型も多い。支払うと不成約でも返らない | 着手金に含まれることが多い。別建ての場合もある | 採用しない会社が多い。採用する場合は月額固定 | 会社により有無・金額が異なる。支払うと不成約でも返らないことが多い | レーマン方式(下記で解説)。最低報酬が設定されることが多い | 調査範囲により変動。仲介手数料とは別にかかる |
※2026年10月時点の一般的な手数料の名目です。金額・有無は各社の料金体系により異なります。
注意したいのは、着手金・中間金のように成約前に支払う費用は、M&Aが成立しなくても返金されないのが一般的だという点です。一方で、着手金・中間金・月額報酬をすべて0円とし、成約時の成功報酬だけを受け取る「完全成功報酬型」の会社も増えています。どの名目がいくら発生するかは会社ごとに差が大きいため、料金表の有無と各費用の発生条件を、契約前に確認しておくことが欠かせません。
名目ごとの金額を公表している会社は限られます。たとえば着手金を公開している報酬表では、簿価総資産額に応じて企業評価料・案件化料を定めており、簿価総資産2億円以下で合計100万円、2億円超10億円以下で200万円といった水準の例があります。成功報酬以外の名目は金額を公表していない会社も多いため、各名目の有無と金額は見積もりで確認するのが確実です。
出典・参考資料(1件)
成功報酬の計算方法(レーマン方式)と規模別の計算例
ここからは、手数料の中心となる成功報酬の計算方法を解説します。成功報酬は「レーマン方式」で算定されるのが一般的で、自社の譲渡規模に当てはめれば、おおよその金額をイメージできます。
レーマン方式の料率表
レーマン方式とは、金額の段階ごとに異なる料率を掛け、その合計を手数料とする計算方法です。法律で定められた制度ではなく、M&A仲介・アドバイザリーの業界で広く使われる報酬の算定方法で、料率や基準となる金額は会社ごとに異なります。代表的な料率は、金額が大きくなるほど料率が下がる次のような5段階です。
| 5億円以下の部分 | 5億円超〜10億円以下の部分 | 10億円超〜50億円以下の部分 | 50億円超〜100億円以下の部分 | 100億円超の部分 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 手数料率 | 5% | 4% | 3% | 2% | 1% |
※料率は代表例です。料率・段階・基準額は会社ごとに異なります。
ポイントは、全体に一律の料率を掛けるのではなく、金額を段階に分けて、それぞれの部分に対応する料率を掛けた合計を手数料とする点です。たとえば7億円であれば、5億円までの部分に5%、残りの2億円に4%を掛けて足し合わせます。

成功報酬の算定基礎となる金額
料率を掛ける前に押さえておきたいのが、「何に料率を掛けるか」という算定基礎の金額です。これも会社によって扱いが分かれ、譲渡対価そのものを基準にする会社もあれば、譲渡対象の資産総額にのれん(営業権)を加えた「時価総資産額」を基準にする会社もあります。
基準が資産総額や負債を含む金額になると、同じ譲渡対価でも算定の土台が大きくなり、手数料も高くなります。料率の数字だけでなく、何を基準に計算するのかを合わせて確認することが大切です。
段階ごとの料率の掛け方や、何を基準に計算するか(報酬基準額)の違いをさらに詳しく確認したい方は、計算手順を料率表・早見表つきで解説した以下の記事もあわせてご覧ください。
レーマン方式の計算方法をわかりやすく解説|料率表・早見表と4つの報酬基準額の違い
会社の売却や事業承継を検討し始めると、M&A仲介会社から「成功報酬はレーマン方式です」と説明される場面があります。そのとき真っ先に気になるのは、自社の譲渡価格だと手数料が結局いくらになるのか、という具体的な金額ではないでしょうか。…
最低報酬額と「小規模ほど料率換算が高くなる」仕組み
成功報酬には、レーマン方式で計算した金額がそれを下回っても必ず支払う「最低報酬額」が設定されていることがほとんどです。最低報酬額は会社によって異なり、2,000万円程度を設定している会社もあります。
この最低報酬があるため、譲渡対価が小さい案件ほど、支払う手数料が譲渡対価に占める割合(料率換算)は高くなります。たとえば最低報酬が2,000万円の会社に、料率5%で計算すると手数料が最低報酬に届かない規模の事業を依頼した場合、料率計算の金額ではなく2,000万円を支払うことになります。小規模な事業の譲渡を検討する場合は、料率よりも最低報酬額が総額を左右しやすいため、最初に確認しておきたい項目です。
譲渡規模別の計算例
ここまでの料率・算定基礎・最低報酬を踏まえ、代表的なレーマン方式(5億円以下の部分5%〜、最低報酬2,000万円)を例に、成功報酬の目安を計算します。以下の金額は、料率を掛ける算定基礎額(会社により譲渡対価または時価総資産額)とします。実際の金額は会社の料率・基準・最低報酬によって変わるため、あくまで考え方の例としてご覧ください。
- 算定基礎額5,000万円の場合:5,000万円 × 5% = 250万円。ただし最低報酬2,000万円を下回るため、支払いは2,000万円となる(料率換算では40%)
- 算定基礎額3億円の場合:3億円 × 5% = 1,500万円。ただし最低報酬2,000万円を下回るため、支払いは2,000万円となる(料率換算では約6.7%)
- 算定基礎額7億円の場合:5億円 × 5%(2,500万円)+ 2億円 × 4%(800万円)= 3,300万円
- 算定基礎額12億円の場合:5億円 × 5%(2,500万円)+ 5億円 × 4%(2,000万円)+ 2億円 × 3%(600万円)= 5,100万円
7億円の例のように、段階ごとに料率を掛けて足し合わせるのがレーマン方式です。一方、5,000万円や3億円の例のように、算定基礎額が小さいほど最低報酬が総額を押し上げ、料率換算の負担は重くなります。
そのため、ごく小規模な事業の譲渡では、成約手数料が無料〜低率のM&Aマッチングサイトなど、より手数料の軽い相談先も選択肢になります。この計算例で用いた料率・最低報酬・算定基礎は、公表されている報酬表の一例です(日本M&Aセンターの公式報酬表。算定基礎は、営業権を含む時価総資産額)。
出典・参考資料(1件)
事業譲渡の手数料は誰が払う?仲介型と売り手専任(FA)型の違い
同じレーマン方式でも、手数料を誰が負担するかは、依頼する相手のタイプによって変わります。相談先は大きく「M&A仲介」と「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」に分かれ、自社がどちらに依頼するかで負担する手数料が変わるため、仕組みを押さえておきましょう。
| 手数料の負担者 | 立場 | 向いているケース | |
|---|---|---|---|
| M&A仲介(両手型) | 売り手・買い手の双方が、それぞれの契約に基づいて負担する | 売り手と買い手の間に立ち、両者の成約を仲介する | 買い手探しから成約までを一手に任せ、早期の成約を重視したい |
| FA・売り手専任(片手型) | 依頼した側のみが負担する(売り手が依頼すれば売り手のみ) | 依頼者(売り手)の側に立ち、依頼者の利益の最大化を目指す | 譲渡価格や雇用条件など、売り手側の希望を優先して交渉したい |
M&A仲介は売り手と買い手の双方から手数料を受け取るのに対し、売り手に専任するFAは依頼した売り手からのみ手数料を受け取ります。負担する側が違うだけでなく、交渉時に誰の利益を優先する立場かという点でも性格が異なります。手数料の金額だけでなく、「自社は誰に、どの立場で動いてもらうために払うのか」という観点で相談先を選ぶことが大切です。
M&A仲介とFA(アドバイザリー)の違いや、それぞれが向くケースをより詳しく知りたい方は、両者の違いと会社の選び方を解説した以下の記事もご覧ください。
M&Aアドバイザリーとは?M&A仲介との違いと会社の選び方をわかりやすく解説
後継者不在、事業拡大のための譲渡、ノンコア事業の切り出しなど、経営者がM&Aを本気で検討し始めた段階で、銀行担当者や税理士から「まずはM&Aアドバイザリーに一度話を聞いては」と勧められた、あるいはネットで調べていて「M…
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事業譲渡にかかる税金(売り手・買い手の対比)
事業譲渡の費用は、専門家への手数料だけではありません。売り手には譲渡益に対する税金が、買い手には譲り受けた資産に対する税金がかかります。手取りや総コストを試算するために、売り手・買い手それぞれにかかる主な税金を対比して確認します。
売り手・買い手にかかる税金の対比
| 法人税等 | 消費税 | 不動産取得税 | 登録免許税 | |
|---|---|---|---|---|
| 売り手 | 譲渡益(対価から譲渡資産の帳簿価額などを差し引いた利益)に課税される。資本金1億円以下の中小法人は、所得のうち年800万円以下の部分が15%、超える部分が23.2%。これとは別に住民税・事業税などがかかる | 買い手から預かって納付するため、売り手の手取りには影響しない(実際の負担は買い手) | — | — |
| 買い手 | — | 建物・のれん(営業権)・備品・棚卸資産などの課税資産に10%を負担する。土地・有価証券・金銭債権(売掛金など)は非課税 | 不動産を取得した場合に課税。土地は3%(税率・課税標準2分の1の特例とも令和9年3月31日まで。本則は4%)、事業用の建物は4% | 不動産の所有権移転登記に課税。土地の売買による移転は2%(令和11年3月31日まで軽減1.5%)、建物の売買による移転は2% |
※税率は2026年10月時点(令和8年4月1日現在法令等)の内容です。適用には要件があり、税制改正で変わる場合があります。
売り手側は、株式の移転を伴わないため事業承継税制(相続税・贈与税の納税猶予)は使えず、譲渡益への法人税等が中心の負担になります。法人税は上記の税率に加えて住民税・事業税などが加わるため、実際の負担割合はこれより高くなります。
買い手側は、課税資産に対する消費税のほか、不動産を引き継ぐ場合は不動産取得税・登録免許税が加わります。登記や不動産取得にかかる軽減税率は、自己の居住用の住宅など個人向けの制度が中心で、事業用の不動産には適用されないものがある点に注意が必要です。税率や計算方法、軽減措置の適用要件は改正で変わるため、具体的な税額は税理士など専門家への確認をおすすめします。
出典・参考資料(5件)
仲介手数料に含まれない実費と専門家への費用
仲介手数料や成功報酬とは別に、仲介手数料に含まれない実費がかかる点も見落とせません。公式の報酬表でも、次のような費用は仲介手数料に含まれないと明記されていることがあります。
- 不動産鑑定・登記・株券印刷などの実費
- 公認会計士・税理士・弁護士などへ支払う費用
これらは、デューデリジェンス(買収監査)や契約書の作成、税務の検討などを外部の専門家に依頼したときに発生します。士業への報酬は自由化されており、依頼する業務の範囲や事務所によって金額が異なるため、一律の相場はありません。手数料の総額を見積もるときは、仲介・アドバイザリーへの手数料に加えて、こうした実費が別途かかることを前提に考えておくと、後から想定外の負担が生じにくくなります。
出典・参考資料(1件)
事業譲渡の手数料・費用を抑える方法
ここまで見てきた手数料や税金は、工夫次第で負担を抑えられる部分があります。補助金の活用、相見積もり、料金体系の選び方という3つの観点から、費用を抑える方法を整理します。
事業承継・M&A補助金を活用する
国の「事業承継・M&A補助金」では、M&Aの専門家に支払う費用の一部が補助の対象になります。売り手が使える類型では、FA・仲介業務にかかる相談料・着手金・中間報酬・成功報酬などが補助対象経費に含まれます。
令和7年度補正予算の16次公募では、売り手が対象の主な枠は次のとおりです。いずれも補助の対象になるのは、国の「M&A支援機関登録制度」に登録された事業者が支援した費用に限られます。
- 売り手支援類型:補助上限600万円、補助率は2分の1または3分の2
- 小規模売り手支援類型:補助上限450万円、補助率は3分の2
補助率や上限、申請期間は公募ごとに変わり、16次公募の申請受付は2026年11月6日までとされています。活用を検討する場合は、公募要領で最新の要件と期間を確認してください。
出典・参考資料(1件)
事業承継・M&A補助金には、ここで挙げた売り手向けの枠以外にも利用できる枠があります。4つの枠それぞれの対象経費・補助上限・補助率をまとめて確認したい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
【2026年第16次】M&Aで使える補助金は?事業承継・M&A補助金4枠の対象・補助上限額・補助率を解説
事業承継や会社の売却・買収を考え始めると、M&Aの仲介手数料やファイナンシャルアドバイザー(FA)への報酬が数百万円規模になると知り、費用負担に不安を感じる経営者は少なくありません。この費用の一部を国が補助するのが「事業承継・M…
相見積もりを取り、「料率」でなく「手数料総額」で比較する
複数の相談先から見積もりを取ることも、費用を抑える基本です。このとき注意したいのは、成功報酬の料率だけで比較しないことです。料率が同じでも、最低報酬額や、着手金・中間金・月額報酬といった成約前にかかる固定費の有無で、実際に支払う総額は大きく変わります。
とくに、成約前に払う着手金・中間金は、M&Aが成立しなくても返金されないのが一般的です。料率・最低報酬額・固定費をすべて並べて「最終的にいくら払うか」という総額で見比べると、見かけの料率に惑わされずに相談先を選べます。
料金体系の選び方と手数料の損金算入
成約前の固定費を抑えたい場合は、着手金・中間金・月額報酬を0円とし、成約時の成功報酬だけを受け取る「完全成功報酬型」を選ぶ方法があります。ただし、完全成功報酬型でも最低報酬額は設定されていることが多いため、料率・最低報酬を含めて総額で確認することが前提です。
また、売り手が支払った仲介手数料などの費用は、原則として損金に算入でき、法人税の計算上の所得を圧縮します。税引き後の実質的な負担は、支払額そのものより小さくなる場合があります。損金算入の可否や処理は状況によって異なるため、税理士に確認しながら進めると確実です。
事業譲渡の手数料を相談できる専門家
ここまで見てきたとおり、事業譲渡の手数料は料率・最低報酬・負担者の仕組みが会社ごとに異なります。相談先には、売り手と買い手を仲介する仲介型、売り手に専任するFA型、オンラインのマッチング型などがあり、案件規模によって向く相手が変わります。
自社のケースでいくらかかるかを正確に知るには、料率や最低報酬を公開している相談先に具体的な見積もりを確認するのが近道です。ここではその一例として、手数料の仕組みを公開している売り手専任型の相談先を紹介します。
1. M&A Lead(M&A Lead株式会社)

M&A Leadは、売り手(譲渡企業)に専任するM&Aアドバイザリーです。2022年に設立したM&A Lead株式会社が運営し、売り手と買い手の間に立つ仲介会社ではなく、譲渡企業(売主)の側に立つセルサイド(売主専用)のアドバイザーであると位置づけています。
手数料の体系を公開しているのが特徴で、成功報酬は譲渡対価に応じたレーマン方式(5億円以下の部分5%〜100億円超の部分1%)を採用し、最低手数料は2,000万円(税抜)としています。着手金・中間金・月額報酬は0円の完全成功報酬型で、報酬を受け取るのは売り手からのみ、買い手からは受け取らない片手型です(2026年10月時点)。
公式サイトでは「会社全体(株式)だけでなく、一部の事業譲渡も可能」と説明しており、本記事で扱う事業の一部譲渡にも対応します。買い手探しでは、自社の買い手候補に加え、他社のM&A仲介会社や買い手側のアドバイザー、地方銀行を中心とした金融機関のネットワークを通じて候補を探します。全国に対応し、オンラインでの相談が可能で、譲渡の意思が固まっていない段階の相談も無料で受け付けています。
中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」の登録支援機関であり、料率と最低報酬を公開しているため、自社の譲渡規模での手数料の見当をつけやすい相談先です。後継者不在による承継から事業の一部譲渡まで、売り手の立場で一貫して支援を受けたい企業に適しています。
ここで紹介したM&A Leadのほかにも、相談先となるM&Aアドバイザリー・FAは数多くあります。仲介型・FA・Big4系まで、案件規模に応じて相談先を比較検討したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
M&Aアドバイザリー会社おすすめ比較|仲介型・FA・Big4系まで案件規模別に紹介
事業承継の受け皿が親族や社内に見当たらず外部への売却を検討している、あるいは成長のために同業や隣接領域の会社を買収したい。そう考えて相談先を探しても、「M&Aアドバイザリー会社」「M&A仲介」「FA(ファイナンシャルアドバイ…
まとめ
事業譲渡の手数料は、着手金・企業価値評価費用・月額報酬・中間金・成功報酬といった名目に分かれて発生し、中心となる成功報酬はレーマン方式で計算されます。料率だけでなく、算定基礎となる金額や最低報酬額によって総額が変わり、小規模な譲渡ほど最低報酬が総額を左右しやすい点に注意が必要です。
総コストを見積もるときは、成功報酬に着手金・中間金・実費を足した手数料の合計に、譲渡益にかかる税金を重ねて考えます。
たとえば算定基礎額3億円なら、成功報酬は最低報酬の2,000万円が目安です。これに士業などの実費が加わり、さらに譲渡益に応じた法人税等(中小法人の法人税は15%・23.2%に住民税・事業税が加わる)が差し引かれます。税額は譲渡益の大きさで変わるため、手取りの試算は税理士に確認しながら進めると確実です。
さらに、売り手には譲渡益への法人税等が、買い手には課税資産への消費税や不動産取得税・登録免許税がかかります。手数料と税金を合わせて把握し、補助金や相見積もり、料金体系の選び方で負担を抑えながら、自社の譲渡規模に合う相談先を選ぶことが、納得のいく事業譲渡につながります。料率や最低報酬を公開している相談先に、早い段階で具体的な見積もりを確認しておくことをおすすめします。
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よくある質問(FAQ)
Q. レーマン方式とは何ですか?
A. レーマン方式とは、取引金額を段階に分け、金額が大きい部分ほど低い料率を掛けて、その合計を手数料とする成功報酬の計算方法です。法律で定められた制度ではなく、M&A仲介・アドバイザリーの業界で広く使われる算定方法で、料率や基準となる金額は会社ごとに異なります。
たとえば「5億円以下の部分5%、5億円超〜10億円以下の部分4%」のように、全体に一律の料率を掛けるのではなく、金額の段階ごとに対応する料率を掛けて足し合わせます。
Q. 事業譲渡の手数料にはどのような名目がありますか?
A. 事業譲渡の手数料は、着手金・企業価値評価費用・月額報酬(リテイナーフィー)・中間金・成功報酬・デューデリジェンス費用といった名目に分かれて発生します。中心となるのは成約時に支払う成功報酬で、レーマン方式で計算されるのが一般的です。近年は、着手金・中間金・月額報酬を0円とし、成約時の成功報酬だけを受け取る「完全成功報酬型」の会社も増えています。
Q. 事業譲渡の手数料の相場はどのくらいですか?
A. 事業譲渡の手数料は、成功報酬がレーマン方式(譲渡規模5億円以下の部分で料率5%程度〜)で計算され、最低報酬額として2,000万円程度を設定する会社が多いのが一つの目安です。ただし、料率・算定基礎・最低報酬額は会社ごとに差が大きく、着手金や中間金の有無でも総額は変わります。自社の譲渡規模での正確な金額は、料率と最低報酬を公開している相談先に見積もりを確認するのが確実です。
Q. 事業譲渡の手数料は、不成約の場合でも返金されませんか?
A. 事業譲渡で成約前に支払う着手金・中間金は、M&Aが成立しなくても返金されないのが一般的です。一方、成約時に支払う成功報酬は、譲渡が完了して初めて発生します。成約前の固定費を避けたい場合は、着手金・中間金・月額報酬を0円とする「完全成功報酬型」を選ぶ方法がありますが、その場合も最低報酬額が設定されていることが多いため、契約前に各費用の発生条件を確認しておくことが大切です。
Q. 事業譲渡の手数料は売り手と買い手のどちらが負担しますか?
A. 事業譲渡の手数料を誰が負担するかは、依頼する相手のタイプによって変わります。売り手と買い手の双方を仲介するM&A仲介(両手型)では双方がそれぞれ負担し、売り手に専任するFA(片手型)では依頼した売り手のみが負担します。手数料の金額だけでなく、交渉時に誰の利益を優先する立場かという点でも性格が異なるため、「誰に、どの立場で動いてもらうために払うのか」という観点で相談先を選ぶことが大切です。
Q. 事業譲渡では小規模な案件ほど手数料の割合が高くなるのはなぜですか?
A. 事業譲渡の成功報酬には、レーマン方式で計算した金額を下回っても必ず支払う「最低報酬額」が設定されていることが多く、譲渡対価が小さい案件ほど、支払う手数料が譲渡対価に占める割合(料率換算)が高くなるためです。
たとえば最低報酬が2,000万円の会社に、料率計算では手数料が最低報酬に届かない規模の事業を依頼すると、料率計算の金額ではなく2,000万円を支払うことになります。小規模な譲渡では、料率よりも最低報酬額が総額を左右しやすい点に注意が必要です。
Q. 事業譲渡で売り手にはどのような税金がかかりますか?
A. 事業譲渡の売り手には、譲渡益(対価から譲渡資産の帳簿価額などを差し引いた利益)に対する法人税等がかかります。資本金1億円以下の中小法人の場合、法人税は所得のうち年800万円以下の部分が15%、超える部分が23.2%で、これとは別に住民税・事業税などが加わります(2026年10月時点)。
株式の移転を伴わないため、事業承継税制(相続税・贈与税の納税猶予)は使えません。具体的な税額は税制改正や個別の状況で変わるため、税理士など専門家への確認をおすすめします。
Q. 事業譲渡で買い手が負担する税金には何がありますか?
A. 事業譲渡の買い手には、建物・のれん(営業権)・備品・棚卸資産などの課税資産に対する消費税(10%)がかかり、不動産を引き継ぐ場合はさらに不動産取得税・登録免許税が加わります(2026年10月時点)。土地・有価証券・金銭債権(売掛金など)は消費税が非課税です。
不動産の軽減税率には自己の居住用の住宅を対象とする制度が多く、事業用の不動産には適用されないものがある点に注意が必要です。税率や軽減措置の適用要件は改正で変わるため、税理士への確認をおすすめします。
Q. 事業譲渡の手数料は補助金で抑えられますか?
A. 事業譲渡の手数料は、国の「事業承継・M&A補助金」を使うと、FA・仲介業務にかかる相談料・着手金・中間報酬・成功報酬などの一部が補助の対象になります。売り手が対象の枠には、売り手支援類型(補助上限600万円、補助率2分の1または3分の2)や小規模売り手支援類型(補助上限450万円、補助率3分の2)があります。
補助の対象になるのは「M&A支援機関登録制度」に登録された事業者が支援した費用に限られ、補助率・上限・申請期間は公募ごとに変わるため、最新の公募要領で要件を確認してください。
Q. 事業譲渡の仲介手数料に含まれない実費には何がありますか?
A. 事業譲渡の仲介手数料には、不動産鑑定・登記・株券印刷などの実費や、公認会計士・税理士・弁護士などへ支払う費用は含まれないのが一般的です。これらは、デューデリジェンス(買収監査)や契約書の作成、税務の検討を外部の専門家に依頼したときに別途発生します。
士業への報酬は自由化されており、依頼する業務の範囲や事務所によって金額が異なるため、一律の相場はありません。手数料の総額を見積もるときは、仲介・アドバイザリーへの手数料に加えて、こうした実費が別途かかることを前提に考えておくと安心です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















