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OTセキュリティ対策の会社を比較|工場・制御システムの診断から監視・運用まで対応範囲で選ぶ

OTセキュリティ対策の会社を比較 診断から監視・運用まで対応範囲で選ぶのサムネイル画像

工場の生産ラインや制御システムを狙うサイバー攻撃が国内でも相次ぎ、一度の侵入でラインが停止すれば納期遅延や損害に直結します。ITシステムとは勝手が違うOT(制御技術)領域の対策を、社内の情報システム部門だけで担うのは簡単ではありません。OT専門の人材が足りず、稼働中の設備を止めずに調査できるのか、何から着手すべきかが分からないまま検討が止まっている企業も少なくありません。

こうした背景から、工場や制御システムのセキュリティ対策を外部の会社に任せる動きが広がっています。ただ「OTセキュリティ対策の会社」といっても、診断を得意とする会社、監視や運用まで引き受ける会社、経営層向けのコンサルを主とする会社まで幅があり、対応範囲は大きく異なります。自社がどこまで任せたいかを起点に選ばないと、依頼後にミスマッチが起きます。

本記事では、OTセキュリティ対策を提供する主要22社を、診断・可視化からネットワーク監視(SOC)、コンサルティング、インシデント対応・復旧までの「対応範囲」を軸に横断比較します。SIer・コンサルティング会社から海外のOT専業ベンダーまでを一枚で見渡せる形で整理し、自社の段階に合った依頼先を選ぶための判断材料として活用いただけます。対策の進め方や費用・期間の目安もあわせて解説します。

また、自社の状況に合う依頼先のタイプを最短で見つけられるよう、「かんたん診断ツール」をご用意しています。いくつかの質問に答えるだけで、合う対応範囲の会社に橋渡しします。

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OTセキュリティ対策を会社に任せるとは

はじめに、OTセキュリティ対策を外部の会社に任せるとはどういうことか、依頼先を選ぶ前提として押さえておきたい基本を整理します。

OT(Operational Technology:制御技術)は、工場の生産設備やプラントの制御システムを動かす技術の総称です。OTセキュリティ対策とは、こうした制御システムやネットワークをサイバー攻撃や不正侵入から守る取り組みを指します。資産を洗い出す現状把握から、ネットワークの分離・監視、被害時の復旧までが対象で、自社だけで賄えない部分を専門の会社に委ねるのが「会社に任せる」ことです。

ITセキュリティとの違い

OTセキュリティがITセキュリティと同じ手法で守れない理由は、守るべき優先順位と環境が異なるためです。ITシステムでは情報漏えいを防ぐ「機密性」が重視されますが、工場の制御システムでは設備を止めないこと、すなわち「可用性」が最優先されます。セキュリティパッチを当てるために設備を再起動する、といった対応すら生産停止につながるため、ITの常識をそのまま持ち込めません。

加えて、工場には10年、20年と稼働し続けるレガシー機器が残り、最新OSへの更新やセキュリティソフトの導入ができない設備も珍しくありません。制御システム特有の通信プロトコルが使われている点も、汎用的なIT向け製品では検知・防御が難しい一因です。こうした特性を理解したうえで、稼働を止めずに守る方法を設計できるかどうかが、依頼先に求められる前提になります。

いま外部の会社に任せる企業が増えている背景

工場のスマート化やDXで、これまで外部ネットワークから切り離されていた制御システムが、生産データの収集やリモート保守のために社外とつながるようになりました。利便性が高まる一方で攻撃者が侵入できる経路も増え、工場を狙うランサムウェア被害が国内外で報告されています。

制御システムへの攻撃は、大型機械の誤作動など物理的な被害につながりうる点で、情報システムへの攻撃とは影響の範囲が異なります。取引先から、サプライチェーン全体のセキュリティ水準として対策状況の提出を求められるケースも増えました。

一方で、ITとOTの両方に精通した人材は社内に乏しく、生産技術部門と情報システム部門のどちらが主管するかが曖昧なまま対策が進まない、という声は多く聞かれます。何から着手すべきか、稼働を止めずに診断できるのかといった実務上の壁を越えるために、OT領域の知見を持つ会社へ診断や監視を委ねる企業が増えています。

工場のセンサーやカメラなど、つながる機器そのものにどんな脆弱性があり何から確認すべきかを具体的に知りたい方は、以下の記事で代表的な種類と国内外の実被害事例をもとに整理しています。

依頼先の選び方(対応範囲で見る)

ここからは、OTセキュリティ対策の会社を選ぶ判断軸を解説します。各社の違いは「どこまでを引き受けてくれるか」という対応範囲に表れるため、自社が任せたい範囲を起点に候補を絞るのが近道です。

自社の対策段階で選ぶ

自社がいまどの段階にいるかで、適した依頼先は変わります。これから始める段階なら、まず現状把握のための診断・アセスメントを得意とする会社が向きます。工場にどんな機器がつながっているかの可視化から、リスクの洗い出しと優先順位づけまでを支援してもらい、対策の全体像を描くところから始められます。

一部の対策を導入済みの段階では、不足した要素を補える会社が候補になります。分離は済んでいるが監視ができていないなら、OT向けの侵入検知(OT-IDS)や監視サービスを持つ会社が挙がります。運用まで任せたい段階なら、検知後の対応・復旧まで代行するSOC(セキュリティ監視センター)や伴走型の運用支援を持つ会社が適します。段階を見極めずに依頼すると、過不足のある契約になりやすい点に注意が必要です。

対応範囲で選ぶ

OTセキュリティ対策の対応範囲は、おおむね次の領域に分けられます。各社がどこを自社で提供し、どこを他社製品の導入支援でカバーするのかを確認すると、比較の軸が定まります。

  • 現状把握・可視化:制御システムの資産(機器・通信)を洗い出し、どこにリスクがあるかを見える化する。
  • 脆弱性診断・アセスメント:工場ネットワークや設備の弱点を評価し、対策の優先順位を提示する。
  • ネットワーク防御・OT-IDS:IT網とOT網の分離、ファイアウォール、制御通信に対応した侵入検知の導入。
  • 監視(SOC)・運用:検知した異常を継続的に監視し、インシデントの兆候を見つけて対応につなげる。
  • コンサルティング・ガイドライン対応:経営層向けの方針策定や、国内外のガイドラインへの準拠を支援する。

診断だけを担う会社もあれば、診断から監視・運用までを一貫して提供する会社もあります。自社で製品を持つベンダーか、複数ベンダーの製品を組み合わせて導入するSIer・コンサルかという違いも、対応範囲の幅に関わります。後述の比較表で各社の対応範囲を一覧できるようにしているので、あわせて確認してください。

インシデント対応・復旧まで任せられるか

攻撃を防ぎきれなかった場合に、どこまで対応してもらえるかも重要な判断軸です。制御システムが被害を受けると、原因調査や封じ込めだけでなく、止まったラインをいかに早く復旧させるかが事業へのダメージを左右します。監視までを契約していても、実際にインシデントが起きた際の調査・対応・復旧支援が別契約だったり、提供範囲外だったりするケースがあります。

緊急時にどの時間帯まで対応窓口があるか、復旧を支援する仕組みを持っているかを、契約前に確認しておくと安心です。インシデント対応を自社で持たない会社でも、提携先と連携して対応する体制を用意している場合があるため、「いざというとき誰がどこまで動くのか」を具体的に聞いておくとミスマッチを防げます。

工場を止めずに・社内に専門人材がいなくても回せるか

OT環境ならではの制約として、診断や監視のために設備を止められない点があります。通信をミラーリングして解析するなど、稼働を止めずに資産の可視化や監視ができる方式を採れるかは、現場にとって大きな違いになります。エージェント(監視用ソフト)を機器に入れられない制御コンソールでも導入できるか、といった点も確認しておきたいところです。

社内にOT専門の担当者がいない場合は、導入後の運用まで伴走してくれるか、監視と対応を代行するマネージドサービスがあるかが鍵になります。製品を導入して終わりではなく、日々のアラート対応や定期的な見直しまで任せられる会社を選べば、限られた人員でも対策を継続できます。

【比較表】対応範囲で主要なOTセキュリティ対策会社を比較

主要なOTセキュリティ対策の会社・サービスを、対応範囲と提供形態、費用・期間の目安で横断比較します。自社が任せたい範囲に当てはまる会社を絞り込む起点として活用してください。各社名をクリックすると、個別の紹介に移動します。

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サービス名Network BlackboxDarktraceNRIセキュア OTセキュリティNTTセキュリティ・ジャパン OTセキュリティNTT東日本 工場(OT)セキュリティNTT-AT OTセキュリティモニタリング横河デジタル OTセキュリティコンサルティング三菱電機 OTセキュリティソリューションソフトバンク OTセキュリティ Type NTIS OTセキュリティコンサルティングサービスCTC OTセキュリティアセスメントEY OTセキュリティネットワンシステムズ OTセキュリティミカサ商事 OTセキュリティBa10ics(ビジネスアジリティ)IdealRoute OTセキュリティ診断Nozomi NetworksClarotyTXOne NetworksTenable OT SecurityFortinet OT SecurityPalo Alto Networks IoT Security
診断・アセスメント××●●●×●●●●●●×●●●×××●××
可視化・資産管理×●●●●●●●●●××●●××●●×●●●
ネットワーク防御・OT-IDS××●●●×●●×●×××××××●●×●●
監視・運用(SOC/MDR)●●●●●●●●●×××●×××●●××●×
コンサル・ガイドライン対応××●●●×●●●●●●×●●×××××××
インシデント対応・復旧●●●●××●×●●××●×●×××××××
提供形態製品ベンダー製品ベンダーセキュリティ専業セキュリティ専業通信事業者通信事業者系コンサル(制御機器系)SIer(FA系)通信事業者SIerSIerコンサル/監査法人SIer(NW系)商社コンサル(独立系)コンサル製品ベンダー製品ベンダー製品ベンダー製品ベンダー製品ベンダー(NW機器)製品ベンダー(NW機器)
費用・期間の目安要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ簡易診断は無料
以降は要問い合わせ
初回相談・資料は無料
以降は要問い合わせ
要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
(PoCは有償)
要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
(可視化診断は最短数週間〜)
アセスメント 数十万〜数百万円
包括支援 約300万円(半年)
ペネトレ 約500万円〜(約3カ月)
診断は無料要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
詳細情報公式資料を見るサービス詳細を見る公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

※●=対応/×=公式情報で確認できない、または非対応を表します。対応範囲は各社公式情報(2026年10月時点)をもとに整理した目安で、実際の提供範囲・形態(標準・オプション等)や費用は変わる場合があるため、導入時に各社の最新情報をご確認ください。

主要なOTセキュリティ対策会社の個別紹介

ここからは、各社の対応範囲・強み・向いている企業を個別に紹介します。掲載順は順不同で、優劣を示すものではありません。自社の段階と任せたい範囲に照らしながら読み進めてください。

1. Network Blackbox(株式会社クワッドマイナージャパン)

Network Blackbox の公式サイト

Network Blackbox は、ネットワークを流れる全パケットをミラーリングで取り込み、脅威の検知から事後の調査までを担うNDR(ネットワーク検知・対応)製品です。提供元は韓国Quad Miners社の日本法人である株式会社クワッドマイナージャパンで、収集・検知・ハンティング・フォレンジック・対応の5つの機能を一つの製品に備えます。

通信をミラーリングして解析する方式のため、監視する機器にエージェント(監視用ソフト)を入れる必要がありません。そのため、EDRを導入できない制御コンソールが残る製造現場でも、通信側から異常を監視できる点が特徴です。検知はシグネチャによる既知攻撃の検出に加え、ユーザー行為の記録に基づく検出やデータ内容を復元するコンテンツ分析を併用します。

保存したパケットは後から検索・再構成でき、インシデント発生後に通信の宛先や時系列、やり取りされたファイルをさかのぼって調べる用途にも対応します。EDR・SIEMとはSyslogやREST APIで連携でき、エージェントを入れられない機器が多い製造現場の監視を既存の対策に組み合わせたい企業に向きます。料金は要問い合わせで、デモの申請ができます。

2. Darktrace(Darktrace Limited)

Darktrace の公式サイト

Darktrace は、英国ケンブリッジで2013年に設立されたDarktrace社が提供する、自己学習型AI(Self-Learning AI)を中核としたサイバーセキュリティプラットフォームです。組織ごとの「正常な挙動」をAIが学習し、そこからの逸脱によって既知・未知の脅威を検知する点が核になります。

OT向けには専用の製品ライン「Darktrace/OT」を備え、ICSやSCADAなどの制御ネットワークを対象に、シグネチャやルールに頼らず、運用プロセスを止めないパッシブな方式で異常を検知します。各機器や作業者の平常の挙動を学習するため、未知の攻撃や内部の不審な動きも捉えやすい設計です。

検知した異常はCyber AI Analystが自動で調査・優先度付けし、Autonomous Responseが必要に応じて封じ込めます。ネットワーク監視(NDR)を起点に、メール・クラウド・エンドポイント・OTを横断して相関分析できます。

NDR分野ではGartner Magic Quadrantで2年連続(2025・2026年)リーダーに位置づけられています。未知の脅威や内部の異常挙動まで検知したい企業に向いています。

3. NRIセキュア OTセキュリティ(NRIセキュアテクノロジーズ株式会社)

NRIセキュア OTセキュリティ の公式サイト

NRIセキュア OTセキュリティは、野村総合研究所グループのセキュリティ専業会社であるNRIセキュアテクノロジーズ株式会社が、工場・プラントの制御システム向けに提供する支援サービスです。現状評価(アセスメント)から関連文書の整備・CSIRT(インシデント対応チーム)構築、対策導入、監視・運用、インシデント対応・教育までを、15のメニューとして自社でそろえています。

監視面では、OT/IoT向けのマネージドNDR(ネットワーク検知・対応)「Nozomi Networks for OT/IoT」を用いたSOC/MSSを備え、可視化から運用までを引き受けます。アセスメントのメニューにはNIST SP800-171への準拠支援も明示しています。診断から運用・インシデント対応までを同一ベンダーで完結できるのが対応範囲の広さです。

製造・鉄鋼・電力・ガス・石油化学など幅広い業界での支援実績を公式に掲げており、診断から運用までをまとめて一社に任せたい企業に向きます。料金は公開されておらず、問い合わせでの個別見積もりとなります。

4. NTTセキュリティ・ジャパン OTセキュリティ(エヌ・ティ・ティ・セキュリティ・ジャパン株式会社)

NTTセキュリティ・ジャパン OTセキュリティ の公式サイト

エヌ・ティ・ティ・セキュリティ・ジャパン株式会社のOTセキュリティは、工場・プラントのOT環境を対象に、現状把握から侵入・拡散防止、監視、復旧までのメニューを区分して提供します。入口として、経済産業省ガイドラインに基づく32問・A〜Dの4段階で評価する簡易診断を無料で用意している点が特徴です。

可視化は工場内で取得した通信データ(PCAP)を分析する資産台帳作成、防御はOT-IDS(制御通信に対応した侵入検知)の導入・運用支援が中心で、運用支援では対応が必要なアラートを1日数件程度に絞り込みます。監視は、IT環境とOT環境を横断するIT/OT統合型のMDR(検知・対応を代行するマネージドサービス)として提供します。

復旧用には、エアギャップ技術でバックアップを保護するハードウェア「CRU」(Salvador Technologies製)を取り扱います。簡易診断は無料、その他のメニューは問い合わせでの見積もりとなるため、まず自社の現状を把握してから対策範囲を広げたい企業に適しています。

5. NTT東日本 工場(OT)セキュリティ(東日本電信電話株式会社)

NTT東日本 工場(OT)セキュリティ の公式サイト

NTT東日本(東日本電信電話株式会社)の工場(OT)セキュリティは、現状把握・防御体制の構築・監視分析という3つのステップに沿って、工場を持つ企業の対策を支援します。これから着手する企業にも分かりやすいよう、ITとOTの違いや対策の進め方の解説をまじえて対応範囲を示しているのが特徴です。

診断では、工場セキュリティガイドラインに基づくリスクアセスメントで組織・運用・技術・サプライチェーンの4領域をA〜Dで評価し、通信状況の可視化やロードマップ作成まで行います。防御はUTM/IPS(不正通信を遮断するネットワーク機器)やOT-IDS、産業用EPP/EDR(端末保護)の導入支援、監視は24時間365日体制のSOC運用代行までを自社で引き受けます。

初回相談は無料で、OTセキュリティに関する資料も無料でまとめて入手できます。アセスメントから運用までを通信事業者にまとめて任せたい企業や、何から始めるか決めあぐねている企業に向く選択肢です。

6. OTセキュリティモニタリング(NTTアドバンステクノロジ株式会社)

OTセキュリティモニタリング の公式サイト

稼働中の設備を止めずに監視したい現場に向くのが、NTTアドバンステクノロジ株式会社のOTセキュリティモニタリングです。工場内スイッチのミラーポートにセンサーを接続して通信を受動的に取得する方式のため、監視対象の機器にエージェント(監視用ソフト)を入れたり構成を変更したりせずに導入できます。

取得した通信から接続機器と通信をSaaSポータル上で可視化し、サイバー脅威・脆弱性・異常通信を検知します。検知して終わりではなく、有資格のアナリストが分析し週次でレポートするところまで含む運用代行型である点が特徴です。

基盤にはNTTコミュニケーションズのOT/IoT監視基盤「OsecT」を用い、NTT-ATがその運用を支援する体制をとります。導入設計から日々の監視までを任せられるため、監視の担当者を社内に確保しにくい工場・ビルの管理者に適しています。料金は問い合わせでの個別見積もりです。

7. 横河デジタル OTセキュリティコンサルティング(横河デジタル株式会社)

横河デジタル OTセキュリティコンサルティング の公式サイト

計測・制御機器大手の横河電機グループでデジタル事業を担う横河デジタル株式会社は、製造業の工場・プラント向けにOTセキュリティコンサルティングを提供しています。現状把握のアセスメントから提案・設計、構築、運用支援までの4段階をそろえ、アセスメントのみ・運用のみといった個別支援にも応じます。

アセスメントはNIST CSF 2.0をベースに脆弱性・リスクを分析し、経済産業省の工場セキュリティ対策ガイドラインを参照します。ネットワーク分離などの技術的対策、FSIRT(工場向けのインシデント対応チーム)構築、IT/OTを対象としたSOCの導入・運用支援、ISO/IEC 27001などの認証取得支援まで、計8つのメニューを備えます。

化学・石油・重工業・電力・製造など幅広い業界を対象とし、制御システムの現場経験を土台にIT・OT双方を踏まえた支援を掲げます。機器が入り組んだ現場の資産整理や、設計から運用までを制御系に詳しい会社に任せたい企業に向きます。料金は非掲載で、見積もり相談となります。

8. 三菱電機 OTセキュリティソリューション(三菱電機株式会社)

三菱電機 OTセキュリティソリューション の公式サイト

三菱電機株式会社のOTセキュリティソリューションは、課題抽出・対策立案のアセスメント、対策導入、運用の3フェーズを一社でまとめて引き受けるSIer型のサービスです。制御機器(FA)で培ったOTの知見に、金融分野で培ったITセキュリティの経験を組み合わせる点を強みに掲げます。

対策導入では、可視化・異常検知、設備ベンダーや保守業者のアクセスを監視・制御するゼロトラストリモートアクセス、ネットワークのマイクロセグメント化やエンドポイント防御を組み合わせます。運用は24時間365日のSOC監視まで対応し、三菱電機以外のOT機器にも対応すると明記しています。

工場の可用性と安全性を重視する設計を掲げ、アセスメントから監視運用までを伴走します。OTセキュリティの専門人材を社内に確保しにくい企業や、製品単体ではなく設計から運用まで任せたい企業に適しています。価格は個別見積もりです。

9. OTセキュリティ Type N(ソフトバンク株式会社)

OTセキュリティ Type N の公式サイト

ソフトバンク株式会社のOTセキュリティ Type Nは、OT環境の可視化・検知製品であるNozomi Networks Guardianの導入を軸に、事前のコンサルティングから運用監視までをまとめて提供するソリューションです。工場やスマートファクトリーを目指す企業のOT環境を対象にします。

導入前にリスクアセスメントやガイドライン作成、PoC(実証実験、有償)、導入設計を行い、Nozomi Guardianで通信・資産の可視化と脅威検知を担います。スイッチのミラーポートを使うパッシブモニタリング方式のため、稼働中の制御システムへの影響を抑えて導入できます。

運用面では、24時間365日の監視をマネージドセキュリティサービス(MSS)として代行し、インシデント発生時はアラート通知と推奨対処方法の提案で早期対処を支援します。製品の導入だけでなく監視・運用まで通信事業者にまとめて任せたい企業に向きます。料金は非公開で、PoCは有償です。

10. TIS OTセキュリティコンサルティングサービス(TIS株式会社)

TIS OTセキュリティコンサルティングサービス の公式サイト

TIS株式会社のOTセキュリティコンサルティングサービスは、2024年11月に提供を開始した、工場を持つ産業・インフラ分野の企業向けの支援サービスです。現状把握のアセスメントから対策導入・運用支援、レジリエンス強化、ガバナンス構築・運用までを4段階のメニューとして整理しています。

対策導入・運用支援では通信制御の見直しや資産管理・異常検知、脆弱性診断を行い、レジリエンス強化ではセキュリティ教育やインシデント対応支援を担います。ガバナンスの段階では、OT関連規定の整備やFSIRT(工場向けのインシデント対応チーム)の構築・運用まで支援します。

取引先3,000社超、50年以上の業界知識、グループ従業員2万人という独立系大手SIerの基盤を背景に、組織づくりまで含めて一気通貫で任せたい企業に向きます。料金は公開されておらず、問い合わせでの見積もりとなります。

11. CTC OTセキュリティアセスメントサービス(伊藤忠テクノソリューションズ株式会社)

CTC OTセキュリティアセスメントサービス の公式サイト

大手システムインテグレーターの伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)は、伊藤忠グループの一員として、OTセキュリティアセスメントサービスを提供しています。経済産業省の包括的ガイドラインと業界別ガイドラインの体系を整理したうえで、対策が進まない理由から逆算した導入ステップを示す点が入口です。

導入ステップは、現状把握と評価(アセスメント)、工場システムの資産管理、工場設備・ネットワークの保護の3段階で示されます。現状把握のアセスメントが支援の中心で、その先の監視や製品導入をどこまで自社で担うかは公開情報からは確認できないため、依頼前に対応範囲を確かめておくと安心です。

製造業のDXを背景に、まずガイドラインに沿って現状を評価し、対策の全体像を描くところから着手したい企業に向きます。費用は公開されておらず、アセスメントの相談・問い合わせから始める流れになります。

12. EY OTセキュリティサービス(EY Japan)

EY OTセキュリティサービス の公式サイト

EYのOTセキュリティサービスは、OT製品を販売しない立場から、独立した視点で工場・プラントのリスク評価とガバナンス強化を支援するサービスです。公式に「OTセキュリティの各種製品やサービスを提供していない法人であり、独立的な視点でお客さまへのサポートが可能となります」と記載し、製品非販売の立ち位置を打ち出しています。

支援の中核は3つです。資産ベースと被害発生シナリオベースの両面で評価するOTリスクアセスメント、取引先まで含めて評価するサプライチェーンセキュリティリスクアセスメント、評価結果をもとにしたガバナンス高度化支援で、OT領域のセキュリティ監査サービスも扱います。

標準としてISO27000シリーズやIEC62443、IPAが示すリスクシナリオベースの考え方を参照します。製品導入や運用・監視はこのサービスの中心ではなく、評価とガバナンスに軸足があるため、特定のベンダーに寄らない立場で現状評価や経営層向けの方針づくりを相談したい企業に向きます。費用は非掲載で、問い合わせから始まります。

13. ネットワンシステムズ OTセキュリティサービス(ネットワンシステムズ株式会社)

ネットワンシステムズのOTセキュリティサービスを発表した公式プレスリリース

ネットワンシステムズ OTセキュリティサービスは、ネットワークインテグレーターのネットワンシステムズ株式会社が、製造ラインや社会インフラのOT環境を対象に提供するサービスです。2025年5月のプレスリリースによると、OT資産・脆弱性の可視化と、自社SOCによる監視を軸にしています。

可視化・検知には、2025年5月に対象製品へ加えたNozomi Networksの「Nozomi Guardian」を用い、ITネットワークとの接続関係まで含めて資産・脆弱性を可視化します。可視化データに基づくリスク分析を月次レポートにまとめ、自社の知見に基づくインシデント解析を強みに掲げています。

監視は「NetOne-SOC」による24時間監視で担い、計画から運用・監視までをワンストップで支援するとしています。幅広いOTプロトコルに対応して既存環境に合わせて柔軟に導入できるとしており、ネットワーク構築から監視運用までをまとめて任せたい企業に向く選択肢です。料金は要問い合わせです。

14. ミカサ商事 OTセキュリティサービス(ミカサ商事株式会社)

ミカサ商事 OTセキュリティサービス の公式サイト

工場やプラントの制御系システムを対象に、ネットワークの可視化(アセスメント)を入口に据えているのが、ミカサ商事株式会社のOTセキュリティサービスです。商社系の立場で、可視化・分析・ポリシー策定を専門パートナーと連携して提供すると公式ページに記載しています。

メニューは5項目です。制御システムやIoT機器を自動で検出・分類する工場内資産の可視化、優先順位付きの脆弱性診断・ベースライン分析、OTセキュリティポリシーの策定支援、ネットワーク論理構成図の作成、短期・中長期の改善ロードマップ策定が並びます。論理構成図はセキュリティ監査や内部統制の資料としても使えます。

ネットワーク防御や監視(SOC)、インシデント対応は本サービスのページには示されておらず、可視化・診断・計画が中心です。可視化診断のみなら数週間程度から始められるとFAQで案内し、費用は段階的なプランがあるとしています。レガシー設備も含めて診断でき、何から着手するか決めあぐねている段階の企業に向きます。

15. Ba10ics(株式会社ビジネスアジリティ)

Ba10ics の公式サイト

Ba10icsは、OTセキュリティを専門とする産業サイバーセキュリティコンサルティング企業、株式会社ビジネスアジリティが提供するコンサルティングサービスです。制御システム開発の実務を経て独立した福田敏博氏が代表を務め、技術士や情報処理安全確保支援士など30種以上の資格を保有すると公式に記載しています。

製品を持たない独立系の立場から、IEC62443シリーズに準拠したリスク分析(現状把握)、ポリシー策定から実装までの対策実行、FSIRT構築やペネトレーションテストを含む運用強化まで、フェーズ別に支援します。相談先の選び方や依頼時の注意点も、導入段階別に解説しています。

支援内容別の費用相場を金額で公開している点も特徴で、リスクアセスメントは数十万円から数百万円程度、包括的なコンサルティングは半年程度のプロジェクトで300万円程度、ペネトレーションテストは約3か月で500万円からを目安に挙げています。特定の製品に縛られず、経営層を含めた体制づくりから相談したい企業に向きます。

16. IdealRoute OTセキュリティ診断(アイディルートコンサルティング株式会社)

IdealRoute OTセキュリティ診断 の公式サイト

IdealRoute OTセキュリティ診断は、アイディルートコンサルティング株式会社が提供する無料のオンライン診断です。全12問に答えると「OTセキュリティ偏差値」と対策が提示され、セキュリティ専門家が最短2営業日で人力の回答を送る仕組みになっています。

同社はチェンジホールディングス/サイリーグホールディングスのグループでサイバーセキュリティ事業を担う会社で、ISO/IEC27001の認証を取得しています。提供サービスにはOT/IoTセキュリティやセキュリティアセスメント、サイバーレジリエンスなども挙げています。

この診断はNozomi Networksと関連づけられていますが、再販やパートナーといった契約関係はLP上では明示されていません。相談先の比較や費用、選び方までは扱わない診断特化のサービスのため、他社と比べた自社の対策レベルや、数ある対策の優先順位をまず知りたい段階の企業に向きます。診断は無料です。

17. Nozomi Networks(Nozomi Networks Inc.)

Nozomi Networks の公式サイト

Nozomi Networksは、米国本社のNozomi Networks Inc.が開発する産業用サイバーセキュリティ製品で、2026年1月に三菱電機の完全子会社となりました。ネットワークのミラーポートやタップに接続し、通信を妨げずにOT/IoT資産を監視する受動(パッシブ)監視を中核に据えています。

資産の自動検出と可視化、AIによる異常・脅威検知、脆弱性管理を提供し、SaaSの「Vantage」で複数拠点を一元管理できます。完全オンプレミスやエアギャップ環境に対応するセンサー「Guardian」と、クラウド管理を使い分けられる構成です。

日本国内はテリロジーなどの代理店経由で販売・導入支援を受ける形のため、監視運用まで任せたい場合は代理店側の体制を確認する必要があります。エアギャップや多拠点のOT環境を、通信を止めずに可視化したい企業に適した構成です。費用は個別見積もりとなります。

18. Claroty(Claroty Ltd.)

Claroty の公式サイト

Clarotyは、Claroty Ltd.(米国ニューヨーク本社)が提供する、サイバーフィジカルシステム(CPS)向けのセキュリティプラットフォームです。OT・IoT・医療機器(IoMT)・ビル設備などを一つの基盤で可視化し、保護することを掲げています。

複数の手法を組み合わせた資産の可視化、脆弱性や攻撃経路を優先度付けするエクスポージャー管理、脅威検知に加え、既存のファイアウォールやスイッチを使ったネットワーク分離(セグメンテーション)まで扱います。SaaS版の「xDome」とオンプレミス版の「CTD」から選べます。

日本では横浜市のFirstQA Systems株式会社と提携していますが、正式な国内販売代理店や日本法人は公開情報からは確認できませんでした。新たな監視機器を増やさず、既存のネットワーク機器を活かして保護を広げたい企業に向きます。料金は非開示で、問い合わせから始まります。

19. TXOne Networks(TXOne Networks Japan 合同会社)

TXOne Networks の公式サイト

稼働を止めないことを前提に設計されているのが、TXOne Networksの工場・産業向けOTセキュリティです。トレンドマイクロと台湾MOXAの合弁で生まれた専業ベンダーで、「運用を止めない(zero operational disruption)」を掲げています。

製品は、ネットワークセキュリティの「Edge」とレガシーWindowsを含むエンドポイント保護の「Stellar」を中心に、持ち込み機器・媒体の検査や拠点横断の資産集中管理まで4製品で構成されます。機器・通信・持ち込み媒体・集中管理を縦に揃える点が特徴です。

国内はTXOne Networks Japan 合同会社と、NRIセキュアテクノロジーズや東京エレクトロンデバイスなどの認定パートナーが導入・運用支援を担います。レガシー設備を止めずに、エンドポイントから媒体検査まで一貫して守りたい工場に合う選択肢です。価格は問い合わせで確認できます。

20. Tenable OT Security(Tenable Network Security Japan 株式会社)

Tenable OT Security の公式サイト

脆弱性管理に強みを持つTenable, Inc.のOT向け製品が、Tenable OT Securityです。現在は同社のエクスポージャー管理基盤に統合され、公式日本語ページでは「Tenable One OT Exposure」と表記されます。

OT・IoT・ITを横断して資産インベントリを構築し、パッシブ監視にプロセスへ害を与えないとする「Safe Active Query」を併用して、ファームウェアや構成まで把握します。検出した脆弱性を実際の悪用可能性(VPR)で優先順位づけし、SIEM/SOARやファイアウォール、JIRA/ServiceNowと連携できます。

日本法人のTenable Network Security Japan 株式会社と日本語ページがあり、導入は国内の代理店・パートナー経由が一般的です。IT・OT・IoTの脆弱性を悪用可能性で優先順位づけし、まとめて管理したい企業に適しています。料金は個別の見積もりです。

21. Fortinet OT Security(フォーティネットジャパン合同会社)

Fortinet OT Security の公式サイト

Fortinet OT Securityは、ファイアウォール「FortiGate」を核に、IT環境とOT環境を同じ基盤(FortiOS・Security Fabric)で守るソリューションです。日本法人のフォーティネットジャパン合同会社が提供し、ネットワーク機器ベンダーの強みを活かします。

粉塵や振動に耐える堅牢化(Rugged)モデルのFortiGate/FortiSwitch、レガシー機器を守る仮想パッチ、エンドポイントのFortiEDR、リモートアクセスのFortiPAM、SOC分析のFortiSIEM/FortiSOARまで製品群で揃えます。OT資産の自動検出やセグメンテーションも扱います。

国内はSCSKや三井情報など認定OTパートナーが導入・運用支援を担い、日本語で相談できます。ファイアウォールの更改と同じ枠組みでOT防御まで広げたい企業で検討しやすい構成です。費用は要問い合わせです。

22. Palo Alto Networks IoT Security(パロアルトネットワークス株式会社)

Palo Alto Networks IoT Security の公式サイト

Palo Alto Networks IoT Securityは、機械学習とAIでIoT・IoMT・OT機器を検出し、リスク評価と保護を継続的に行う製品です。次世代ファイアウォールやPrismaと連携して、機器側に追加のセンサーを導入せず、ネットワークのトラフィックやログから資産を識別します。

管理対象外を含む機器のインベントリ構築、リスクスコアリング、リスク適応型ポリシーの作成を支援します。産業向けの「Industrial OT Security」では、OT/IT/IoT機器のプロファイリング、最小権限アクセスの推奨、セグメンテーション、仮想パッチ(Frontier Virtual Patching)を扱います。

日本法人はパロアルトネットワークス株式会社で、導入は国内の販売代理店・SIer経由が中心です。製品はクラウド配信型で、既存のPalo Altoのファイアウォールを活かして、IoT/OT機器の可視化と制御を加えたい企業に向いています。価格は個別見積もりで確認します。

OTセキュリティ対策の進め方(現状把握→防御→監視)

依頼先を選ぶ前提として、OTセキュリティ対策を何から着手し、どの順で進めるのかの全体像を押さえておきます。ここで整理する流れは、各社の対応範囲がどの段階を支援するものかを読み解く地図にもなります。

OTセキュリティ対策の進め方を3ステップで示した図解。STEP1 現状把握・資産の可視化(機器の洗い出しと脆弱性・リスクの優先順位づけ)、STEP2 防御(IT網とOT網の分離、UTM/IPS・OT-IDSの導入)、STEP3 監視・運用・インシデント対応(SOC等による継続監視と対応・復旧)を矢印でつなぎ、すべての段階の土台として経済産業省ガイドライン・NIST CSF・IEC 62443を示している。

対策の土台となるガイドライン(経産省ガイドライン・IEC 62443)への対応を会社に任せる

工場のOTセキュリティ対策は、国内外のガイドラインを土台に進めるのが一般的です。日本では経済産業省が「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」を策定・公開しており、対策企画・導入の進め方を次の3ステップで示しています(引用はVer1.0時点の記載。最新版はVer1.1)。

3.1 ステップ1 内外要件(経営層の取組や法令等)や業務、保護対象等の整理/3.2 ステップ2 セキュリティ対策の立案/3.3 ステップ3 セキュリティ対策の実行、及び計画・対策・運用体制の不断の見直し(PDCAサイクルの実施)

出典:工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン Ver1.0|経済産業省

本記事では、依頼先の対応範囲と結びつけやすいよう、実務でよく使われる「現状把握→防御→監視」の流れで整理します。経済産業省の3ステップ(要件の整理→対策の立案→実行・PDCA)は対策を企画し運用し続ける全体プロセスで、実務ではその中で現状把握から防御・監視へと具体化します。米国のNISTサイバーセキュリティフレームワーク(CSF)も「識別・防御・検知・対応・復旧」で整理しています。

経済産業省のガイドライン付録では、取引先や顧客から標準規格への対応を求められる場面が増えていると指摘されています。制御システムのセキュリティを体系的に規定した国際標準規格群であるIEC 62443や、米国のNIST SP 800シリーズへの対応が、その代表例です。

市場・顧客から、標準規格「IEC62443 規格群」や、サイバーセキュリティに関わるグローバルに参照されている米国「NIST SP 800 シリーズ」、経済産業省の産業分野別セキュリティ対策ガイドラインなどへの対応が要求される場合も増えている。

出典:工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン Ver1.0 付録B|経済産業省

こうした規格やガイドラインへの準拠を自社だけで読み解くのは負担が大きく、どの規格のどこに対応すべきかの解釈から支援してもらえる会社を選ぶと進めやすくなります。欧州でも2024年成立のサイバーレジリエンス法(CRA:Regulation (EU) 2024/2847)で製品にセキュリティ要件が課されました。2027年12月から全面適用される予定で、対応の重要性は国際的にも高まっています。

出典・参考資料(2件)

ステップ1 現状把握・資産の可視化

最初のステップは、工場のネットワークにどんな機器がつながり、どこにリスクがあるかを把握することです。制御システムは増改築を重ねて複雑化していることが多く、管理者すら全容を把握できていない例もあります。通信を解析して資産の一覧を作り、外部とつながる経路や既知の脆弱性を洗い出すことで、対策の優先順位を決める土台ができます。

情報処理推進機構(IPA)は「制御システムのセキュリティリスク分析ガイド」で、資産ベースと事業被害ベースの2つのリスク分析手法を示しています。自社で手順を組み立てるのが難しい場合は、この段階の診断・アセスメントを専門の会社に依頼し、現状を客観的に評価してもらうところから始めるのが現実的です。

出典・参考資料(1件)

ステップ2 防御(ネットワーク分離・UTM/IPS・OT-IDS)

現状を把握したら、攻撃の侵入経路を減らす防御に移ります。IT網とOT網を分離してつなぎ目に防御機器を置く、外部との通信を必要最小限に絞る、といった基本の設計が中心です。設備を止められない環境では、既存の構成を大きく変えずに守る方法を設計できるかが問われます。

防御だけで攻撃を完全に止めることは難しいため、制御システムの通信を監視して異常を検知するOT向けの侵入検知(OT-IDS)を組み合わせる考え方が広がっています。IPAも、防御に加えて検知と対応を重視する必要があると示しており、制御システムの通信に対応した検知・対応ツールの導入が進んでいます。

出典・参考資料(1件)

ステップ3 監視・運用・インシデント対応

導入した仕組みは、運用して初めて効果を発揮します。検知した異常を継続的に監視し、インシデントの兆候を見つけて対応するまでが一連の流れです。社内に監視体制を持てない場合は、OTに対応したSOCサービスやマネージドサービスで監視と対応を代行してもらう選択肢があります。

万一インシデントが発生した際には、原因調査から封じ込め、復旧までを迅速に進める必要があります。NISTのフレームワークが示す「対応」「復旧」の機能にあたる部分で、復旧を支援する仕組みを持つ会社や、緊急対応の窓口を用意する会社を選んでおくと、被害を最小限に抑えられます。監視・運用・インシデント対応をどこまで任せるかは、前述の依頼先の選び方とあわせて決めると判断しやすくなります。

OTセキュリティ対策の費用・期間の目安

OTセキュリティ対策の費用は、どこまでを任せるかによって大きく変わります。多くの会社が個別見積もりとしており、公開されている定価は限られますが、段階ごとのおおまかな考え方を押さえておくと稟議の材料になります。

まず現状把握・診断(アセスメント)は、対象範囲や工場数で幅がありますが、数週間から1か月半程度で実施されることが多く、簡易診断を無料提供する会社もあります。次の防御の導入はネットワーク機器やOT-IDS製品のライセンス・構築費用が中心で、拠点や機器数で変動します。最後の監視・運用はSOC・マネージドサービスとして月額の継続費用が発生する形が一般的です。

いきなり全体を契約するのではなく、まず診断で自社のリスクと必要な対策を見極め、優先度の高いところから段階的に投資する進め方が、費用対効果を見ながら進めやすい方法です。各社の費用・期間の目安は比較表にも整理しているので、自社の規模感に近い範囲から検討してください。

まとめ

OTセキュリティ対策の会社を選ぶときは、会社の知名度ではなく「自社が任せたい対応範囲に合うか」を起点にすると、ミスマッチを防げます。これから始めるなら診断・可視化が得意な会社、運用まで任せたいなら監視(SOC)やマネージドサービスを持つ会社、というように、自社の段階と対応範囲を照らし合わせて候補を絞り込むのが近道です。

工場を止めずに診断・監視できるか、社内に専門人材がいなくても運用を回せるか、インシデント対応・復旧まで任せられるかといった観点も、契約前に具体的に確認しておきたいポイントです。まずは複数社の資料を取り寄せて対応範囲を見比べ、自社の進め方に合う依頼先を見極めることをおすすめします。

OT(工場・制御システム)は、社内で守るべき対象の一つです。端末・ネットワーク・ID・データまで含めて、どのタイプの対策から着手すべきか全体像を整理したい場合は、守る対象別にソリューションを比較した以下の記事もあわせてご覧ください。

OTセキュリティ対策の会社選びでよくある質問

Q. OTセキュリティとは何ですか?

A. OTセキュリティとは、工場の生産設備やプラントの制御システム(OT)を、サイバー攻撃や不正侵入から守る取り組みです。情報の機密性を最優先するITセキュリティと異なり、設備を止めない「可用性」を最優先する点が特徴です。制御機器の資産を洗い出す現状把握から、ネットワークの分離・監視、被害を受けた際の復旧までが対象になります。

Q. OTセキュリティ対策は何から始めればよいですか?

A. OTセキュリティ対策は、どんな制御機器がネットワークにつながっているかを洗い出す「現状把握(可視化・診断)」から始めるのが基本です。資産とリスクを把握しないまま製品を導入しても過不足が生じるため、まず診断で自社のリスクと必要な対策の優先順位を見極め、防御・監視へと段階的に広げる進め方が無理なく進められます。無料の簡易診断を用意している会社もあり、現在地の把握から着手できます。

Q. 経済産業省の工場セキュリティガイドラインやIEC 62443への対応も会社に任せられますか?

A. 任せられます。経済産業省の工場セキュリティガイドラインやIEC 62443を踏まえたアセスメント・方針策定を支援する会社が多くあります。同ガイドラインは、取引先からIEC 62443などへの対応を求められる場面が増えた背景で対策の進め方を示したものです。IEC 62443は制御システムのセキュリティを規定した国際標準規格群で、準拠支援があるかは依頼先選びの確認ポイントです。

出典・参考資料(1件)

Q. OTセキュリティ対策の費用・期間はどのくらいかかりますか?

A. 費用・期間は、どこまで任せるかで大きく変わり、多くは個別見積もりです。現状把握・診断は数週間〜1か月半程度が多く、簡易診断を無料提供する会社もあります。防御はネットワーク機器やOT-IDS製品のライセンス・構築費用、監視・運用はSOC・マネージドサービスの月額費用が中心です。独立系コンサルでは、リスクアセスメント数十万〜数百万円、包括支援が半年300万円程度の公開例もあります。

Q. OTネットワークを可視化すると何が分かりますか?

A. OTネットワークの可視化では、どんな制御機器やIoT端末がつながり、どんな通信をしているかを把握でき、どこに潜在的なリスクがあるかが見えるようになります。OT環境には管理者が把握していない機器や通信が残っていることが多く、台帳にない資産は対策の抜け穴になります。可視化は対策の優先順位づけや規格準拠の前提になるため、多くの会社が診断・アセスメントの入口に位置づけています。

Q. レガシーな(古い)制御設備でもOTセキュリティの診断・対策はできますか?

A. できます。10年、20年と稼働し続ける古い設備でも、ネットワークの通信を解析する方式を用いれば診断・対策が可能です。最新OSへの更新やセキュリティソフトの導入ができない設備でも、通信をミラーリングして解析するパッシブ型の可視化・監視なら、設備側に手を加えずに対応できます。古い設備ほど見落とされやすく攻撃の起点になりやすいため、レガシー環境こそ可視化と対策の優先度が高くなります。

Q. OTセキュリティ対策は工場を止めずに診断・監視できますか?

A. 止めずに実施できます。通信をミラーリングして解析するパッシブ(受動)方式なら、設備の稼働を止めずに資産の可視化や監視ができます。セキュリティ用のソフトを入れられない制御端末でも、ネットワーク側から監視する方法なら導入できます。ただし会社や製品によって採れる方式は異なるため、「稼働中の設備を止めずに診断・監視できるか」を契約前に確認しておくと安心です。

Q. 社内にOT専門の人材がいなくてもOTセキュリティ対策を任せられますか?

A. 任せられます。監視と対応を代行するマネージドサービス(SOC/MDR)や、導入後の運用まで伴走する会社を選べば、社内にOT専門人材がいなくても対策を継続できます。製品を導入して終わりではなく、日々のアラート対応や定期的な見直しまで含めて委ねられるかが鍵です。どこまでを代行してもらえるか、緊急時にどの時間帯まで対応窓口があるかを確認しておくと、限られた人員でも運用を回せます。

Q. OTセキュリティの診断(アセスメント)だけを依頼することはできますか?

A. できます。診断・アセスメントのみを単体で請け負う会社があり、無料の簡易診断を入口にしている会社もあります。まず現状とリスクを把握したい段階なら、診断特化のサービスや、診断から始めて必要に応じて防御・監視へ広げられる会社が向きます。監視・運用まで一貫して任せたい場合は対応範囲の広い会社が適するため、自社がいまどこまでを任せたいかを起点に選ぶのがミスマッチを防ぐコツです。

Q. 中小規模の工場でもOTセキュリティ対策の会社に依頼できますか?

A. 依頼できます。サプライチェーン全体のセキュリティ水準を求められる流れから、中小規模の工場でも対策を外部に委ねる動きが広がっています。拠点数や機器数で費用・期間が変わるため、小規模なら診断や可視化といった範囲の狭いメニューから段階的に始められます。取引先から対策状況の提出を求められているなら、まず現状把握の診断で現在地を示せるようにしておくと、社内外への説明材料にもなります。

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MCB FinTechカタログでは、掲載するOTセキュリティ関連サービスの資料を無料で請求でき、対応範囲や費用を見比べて自社に合う依頼先を選べます。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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