会社の売却や事業承継を検討し始めると、M&A仲介会社から「成功報酬はレーマン方式です」と説明される場面があります。そのとき真っ先に気になるのは、自社の譲渡価格だと手数料が結局いくらになるのか、という具体的な金額ではないでしょうか。
レーマン方式は、取引金額を段階に分けて料率をかけ合算する成功報酬の計算方法です。5段階の料率テーブルと途中式さえ分かれば、自社の譲渡価格を当てはめて手数料のおおよその額を自分で求められます。
本記事では、5段階の料率表と途中式つきの段階計算例、自分の金額で引ける早見表を前半にまとめ、報酬基準額の4つの種類で手数料がいくら変わるか、最低報酬額の水準までを順に解説します。自社の譲渡価格を手元に置きながら、必要な手数料を実際に計算してみましょう。
目次
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レーマン方式とは|成功報酬の計算の全体像
レーマン方式は、報酬の計算のもとになる「報酬基準額」を金額帯で区切り、区切りごとに異なる料率をかけて合算し、成功報酬を算定する方法です。金額が大きくなるほど高い金額帯の料率が下がる逓減制(ていげんせい)が特徴で、M&Aの成功報酬で広く用いられています。名称は、かつての米投資銀行リーマン・ブラザーズに由来するとされます。
中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」(2024年8月)も、レーマン方式を「基準となる価額に応じて変動する各階層の乗じる割合を、各階層の基準となる価額に該当する各部分にそれぞれ乗じた金額を合算して、報酬を算定する手法」と説明し、M&A専門業者で広く用いられていると述べています。一律に1つの料率をかけるのではなく、階層ごとに分けてかけて合算する点が計算の核心です。
注意したいのは、レーマン方式の料率が法律で定められているわけではないことです。中小M&Aガイドラインは、手数料について次のように述べています。
仲介者・FA の手数料には一般的な法規制がなく、どのような料金体系を採用するかは、あくまで各仲介者・FA による点については留意が必要である
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)本文 第Ⅴ章|中小企業庁
つまりレーマン方式は、法令上の定率ではなく各社が自社の料金体系として採用している業界慣行です。後述する料率テーブルや報酬基準額の定義、最低報酬額の水準は会社ごとに異なるため、実際の契約では自社が依頼する会社の料金体系を必ず確認する必要があります。
レーマン方式の計算方法|料率テーブルと段階計算
ここからは、本記事の中心である手数料の計算を、料率テーブル・途中式つきの計算例・早見表の順で見ていきます。自分の譲渡価格を当てはめられる状態をめざします。
料率テーブル(5段階)
レーマン方式で広く使われる料率テーブルは、次の5段階です。報酬基準額を金額帯で区切り、それぞれの区分に対応する料率をかけます。
| 5億円以下の部分 | 5億円超〜10億円以下の部分 | 10億円超〜50億円以下の部分 | 50億円超〜100億円以下の部分 | 100億円超の部分 | |
|---|---|---|---|---|---|
| かける料率 | 5% | 4% | 3% | 2% | 1% |
この5段階は、M&A仲介会社やFA(ファイナンシャルアドバイザー)各社が自社サイトで示す料率とおおむね共通しています。実際に、一部のM&A仲介会社・FAも公式サイトで同様の区分別料率(5億円以下の部分5%/5億円超〜10億円以下4%/10億円超〜50億円以下3%/50億円超〜100億円以下2%/100億円超の部分1%)を公開しています。
この区分は、中小企業庁が中小M&Aガイドラインで示す「一例」とも一致します。ただしガイドラインは、あくまで一例であり水準は会社ごとに異なると明記しています。
【レーマン方式の一例】
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)本文 第Ⅴ章「レーマン方式及び最低手数料」|中小企業庁
基準となる価額(円)/乗じる割合(%)
5億円以下の部分……5
5億円超10億円以下の部分……4
10億円超50億円以下の部分……3
50億円超100億円以下の部分……2
100億円超の部分……1
※あくまで一例であり、各階層における価額・割合は各仲介者・FA により異なる。
公的文書が示す一例と実在社の公表料率が同じ区分で並ぶことから、この5段階が実務で広く通用する目安だと分かります。一方で、ガイドライン自身が『レーマン方式を採用せず、「基準となる価額」によらず一律の割合を乗じるケースや、定額とするケースもある』と補足しているとおり、すべての会社がこの表どおりとは限りません。
出典・参考資料(1件)
段階計算の実例(途中式つき)
計算でつまずきやすいのが、報酬基準額の全体に1つの料率をかけてしまう誤りです。たとえば報酬基準額7億円を「7億円×4%」と計算するのは誤りで、金額帯ごとに分けてかけ、合算します。
まず、報酬基準額が5億円以下であれば、全額が5%の区分に収まるため1段で計算が終わります。たとえば報酬基準額(譲渡対価)が2億円なら、2億円×5%=1,000万円です。ここまでの計算例は会社を売る側(売主)を想定していますが、買い手側でも、支払う手数料をレーマン方式で計算する考え方は同じです。
報酬基準額が5億円を超えると、段階に分けた計算が必要になります。報酬基準額が7億円の場合の途中式は、次のとおりです(いずれも税抜)。
| 5億円以下の部分 | 5億円超〜7億円の部分(2億円) | 合計(成功報酬) | |
|---|---|---|---|
| 計算 | 5億円 × 5% | 2億円 × 4% | 2,500万円 + 800万円 |
| 金額 | 2,500万円 | 800万円 | 3,300万円 |
もう一段大きい報酬基準額15億円では、10億円超の部分に3%の区分まで使います。
| 5億円以下の部分 | 5億円超〜10億円の部分(5億円) | 10億円超〜15億円の部分(5億円) | 合計(成功報酬) | |
|---|---|---|---|---|
| 計算 | 5億円 × 5% | 5億円 × 4% | 5億円 × 3% | 2,500万円 + 2,000万円 + 1,500万円 |
| 金額 | 2,500万円 | 2,000万円 | 1,500万円 | 6,000万円 |

この「金額帯ごとに分けてかけて合算する」という段階計算は、中小M&Aガイドラインも具体例で示しています。ガイドラインの事例は消費税込み(各段階に110%をかけた金額)で記載されている点に注意してください。
成功報酬:(5億円以下)5億円×5%×110%=2750万円(税込)/(5億円超10億円以下)5億円×4%×110%=2200万円(税込)
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)本文 第Ⅴ章「具体例」|中小企業庁
消費税の扱いは会社や見積りの前提によって変わるため、実際の金額は税込・税抜のどちらで示された数字かをあわせて確認すると安心です。本記事の計算例は、仕組みを分かりやすくするため税抜で統一しています。
自分の金額で引ける早見表
自分の譲渡価格に近い金額を探せるよう、報酬基準額ごとの成功報酬と、報酬基準額に対する実質的な料率(成功報酬÷報酬基準額)を早見表にまとめました。いずれも5段階の料率テーブルから機械的に算出した税抜の金額です。
| 5,000万円 | 1億円 | 3億円 | 5億円 | 7億円 | 10億円 | 15億円 | 30億円 | 50億円 | 100億円 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 成功報酬 | 250万円 | 500万円 | 1,500万円 | 2,500万円 | 3,300万円 | 4,500万円 | 6,000万円 | 1億500万円 | 1億6,500万円 | 2億6,500万円 |
| 実質料率 | 5.00% | 5.00% | 5.00% | 5.00% | 4.71% | 4.50% | 4.00% | 3.50% | 3.30% | 2.65% |
※ 5段階の料率テーブル(5億円以下5%〜100億円超1%)から算出した税抜の目安です。実際の金額・料率は依頼先の料金体系により異なります。
報酬基準額が5億円までは実質料率が5%のまま変わらず、5億円を超えたところから少しずつ下がっていきます。報酬基準額(株価基準なら譲渡対価そのもの。次章のとおり、何を基準額にするかで金額は変わります)に近い行を見れば、成功報酬のおおよその額と、何%くらいの負担になるかの見当がつきます。会社ごとに料率が多少異なることはあっても、まずはこの5段階の料率表を基準に考えて差し支えありません。
なお、この早見表と本記事の計算例は、いずれも税抜で統一しています。実際の請求では消費税(×1.1)が加わることが多いため、見積りの金額が税抜か税込かもあわせて確認してください。
報酬基準額の4つの種類と同一価格での差額比較
ここでは、料率をかける土台となる「報酬基準額」として何を使うかを整理します。同じ会社の取引でも、報酬基準額の取り方が変わると手数料が大きく動くため、計算と同じくらい重要なポイントです。
実務では、報酬基準額として次の4つの種類が使われることが多く、本記事でもこの4区分で整理します。違いは、株式の譲渡対価に何を加えるかにあります。
- 株価基準:株式の譲渡対価そのものを報酬基準額とします。もっとも分かりやすい取り方です。
- オーナー受取額基準:株式の譲渡対価に、役員(オーナー)からの借入金の返済額などを加える扱いとする会社もあります。
- 企業価値基準:株式の譲渡対価に有利子負債を加えた金額を報酬基準額とします。
- 移動総資産基準:株式の譲渡対価に負債の総額を加えるため、報酬基準額がもっとも大きくなりやすい取り方です。
このうち、企業価値基準の加算対象については、M&A Leadが公式ページで「企業価値基準=(譲渡対価+有利子負債総額)×料率」「移動総資産基準=(譲渡対価+負債総額)×料率」と具体的に示しています。一方、オーナー受取額基準で何を加えるかは会社によって扱いが分かれるため、依頼先に確認するのが確実です。
中小M&Aガイドラインは、報酬基準額を4つではなく3つの区分で整理しています。本記事の区分と枠組みは完全には一致せず、ガイドラインには企業価値基準やオーナー受取額基準はなく、代わりに純資産額基準が挙げられています。
仲介者・FA の場合は、主に以下の3つの基準となる価額のいずれかに、一定の方式に則った計算を施すものが多い。
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)本文 第Ⅴ章「手数料の種類」|中小企業庁
① 譲渡額(譲受額) 譲り渡した(譲り受けた)金額そのものを基準とするものである。
② 移動総資産額 主に譲渡額に負債額を加えた、いわゆる「移動総資産額」を基準とするものである。
③ 純資産額 資産と負債の差額である。
呼び方や区分の数は会社・資料によって幅があり、純資産額(資産と負債の差額)を基準にする資料もあります。本記事の4区分とガイドラインの3区分は一対一で対応するわけではありませんが、いずれも「譲渡対価に何を足し引きして報酬基準額を算定するか」の違いにすぎません。見積りでは各社が何を基準額にしているかを見れば、どの取り方かを押さえられ、足す金額が大きいほど手数料も上がります。
どれだけ差が出るかを、同じ譲渡対価5億円の会社で試算してみましょう。役員借入金5,000万円、有利子負債総額3億円、負債総額5億円と仮定した場合の成功報酬(税抜)は、次のようになります。
| 株価基準 | オーナー受取額基準 | 企業価値基準 | 移動総資産基準 | |
|---|---|---|---|---|
| 加算するもの | なし(譲渡対価のみ) | 役員借入金 5,000万円※ | 有利子負債総額 3億円 | 負債総額 5億円 |
| 報酬基準額 | 5億円 | 5億5,000万円 | 8億円 | 10億円 |
| 成功報酬 | 2,500万円 | 2,700万円 | 3,700万円 | 4,500万円 |
| 株価基準との差 | − | +200万円 | +1,200万円 | +2,000万円 |
※ 加算額は試算のための仮定値です。オーナー受取額基準で加える対象は会社により扱いが異なります。成功報酬は5段階の料率テーブルから算出した税抜の目安です。
同じ譲渡対価5億円でも、報酬基準額の取り方によって成功報酬は2,500万円から4,500万円まで開きます。負債が大きい会社ほど、企業価値基準や移動総資産基準では手数料が上がりやすくなります。見積りを比べるときは、各社が同じ報酬基準額で計算しているかをそろえて確認することが大切です。
最低報酬額(ミニマムチャージ)の水準
レーマン方式で計算した成功報酬より、あらかじめ定められた最低報酬額(ミニマムチャージ)のほうが高くなるケースがあります。とくに小規模な案件では、この最低額が実際の手数料を左右します。
多くの会社は、レーマン方式で計算した成功報酬が一定額を下回っても、あらかじめ定めた最低報酬額を受け取る仕組みを設けています。たとえば譲渡対価5,000万円なら料率5%で計算上は250万円ですが、最低報酬額が500万円と定められていれば、実際の手数料は500万円になります。
この構造は、中小M&Aガイドラインも具体例で示しています。譲渡額5,000万円のレーマン計算より、最低手数料のほうが高くなる例です。
成功報酬:5000万円×5%×110%=275万円(税込) < 最低手数料1000万円×110%=1100万円(税込) ⇒手数料総額:1100万円(税込)
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)本文 第Ⅴ章「具体例」|中小企業庁
最低報酬額の水準は会社ごとに幅があります。小規模な案件を多く扱う仲介会社では数百万円〜500万円程度から設定することもあれば、1,000万円や2,000万円を掲げる会社もあります。同じ「最低報酬額」でも会社によって大きく開くため、税込・税抜の別とあわせて各社の料金体系で確認が必要です。自社の規模で最低報酬額が効いてくるかは、見積りを取って確かめるのが確実です。
最低報酬額を含む各社の登録情報は、中小企業庁の「登録支援機関データベース」で確認できます(下記)。M&A Leadの最低手数料2,000万円も、同データベースの登録内容として掲載されているものです。
譲渡価格が小さいほど、レーマン計算の金額より最低報酬額が上回りやすく、譲渡価格に対する実質的な負担割合は高くなります。小規模な案件を検討している場合は、料率だけでなく最低報酬額がいくらかを早い段階で確認しておくと、手数料の見通しを誤りにくくなります。
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成功報酬以外にかかる費用と完全成功報酬制
手数料の総額を見通すには、成功報酬だけでなく、それ以外に発生しうる費用もあわせて押さえておく必要があります。ここでは主な費目と、これらを求めない完全成功報酬制について整理します。
中小M&Aガイドラインは、成功報酬以外の手数料として着手金・月額報酬・中間金を挙げています。発生するタイミングはそれぞれ異なり、請求するかどうかも会社によって分かれます。
- 着手金:アドバイザリー契約の締結時に発生します。請求する会社と、無料とする会社に分かれます。
- 月額報酬(リテーナーフィー):契約期間中、月ごとに定額で発生します。設定する会社としない会社があります。
- 中間金(マイルストーンフィー):基本合意の締結時など、案件完了前の一定の時点で発生します。設定する会社としない会社があります。
費目ではありませんが、報酬の発生条件として押さえておきたいのが「テイル条項」です。契約終了後の一定期間内に紹介先と成約した場合に成功報酬が発生する条項で、成功報酬をいつまで負うかを定めます。着手金・月額報酬・中間金の有無や金額、テイル条項の期間は会社ごとに異なります。見積りを受け取ったら、成功報酬以外にどの費用や条件が付くかを一つずつ確認しましょう。
出典・参考資料(1件)
一方で、着手金・月額報酬・中間金を求めず、成約時の成功報酬だけを受け取る「完全成功報酬制」をとる会社もあります。完全成功報酬制をとる会社では、着手金・中間金・月額報酬をいずれも0円とし、譲渡が完了したときに初めて成功報酬を受け取ります。成約まで費用が発生しないため、検討段階で費用負担を抑えたい場合に向きます。
レーマン方式のメリットと注意点
レーマン方式には、成約前でも手数料の目安を見積もれる利点がある一方、小規模な案件では負担が大きくなりやすいといった注意点もあります。ここまでの計算を踏まえて、両面を押さえておきましょう。
メリット
- 手数料の目安を事前に算出できる:料率テーブルと報酬基準額が分かれば、成約前でもおおよその成功報酬を見積もれます。
- 取引規模が大きいほど料率が下がる:逓減制のため、金額が大きい案件ほど報酬基準額に対する実質的な負担割合が抑えられます。
- 成果報酬型である:成功報酬は成約して初めて発生するため、成約という成果に連動した料金体系になっています。
注意点
- 小規模案件では負担が大きくなりやすい:譲渡価格が小さいと最低報酬額が効き、譲渡価格に対する手数料の割合が高くなりがちです。
- 報酬基準額の取り方で金額が変わる:同じ譲渡対価でも、企業価値基準や移動総資産基準では手数料が上がります。どの基準かを必ず確認しましょう。
- 契約書で詳細を確かめる:料率・報酬基準額・最低報酬額・成功報酬以外の費用・テイル条項などは契約書に記載されます。署名前に内容を確認しましょう。
手数料が妥当かどうかの判断に迷うときは、1社の見積りだけで決めず、複数のM&A仲介会社・FAから見積りを取って比べるのが現実的です。その際は、料率だけでなく報酬基準額の取り方や最低報酬額、成功報酬以外の費用までそろえて比較すると、総額での違いが見えてきます。
複数の依頼先を比べる段階に進んだら、費用相場や失敗しない選び方、主要なM&Aアドバイザリー・FA各社を専門領域別に整理した以下の記事が、見積りを取る前の絞り込みに役立ちます。
金融コンサル会社徹底比較|専門領域別おすすめ19選と選び方【費用相場も解説】
資金繰りや財務戦略、事業承継やM&Aといった経営の重要局面では、社内の知見だけで最適解にたどり着くのが難しい場面が少なくありません。「専門家に相談したいが、どの金融コンサルに頼めばよいのか分からない」と迷う方も多いでしょう。 金融コ…
レーマン方式の手数料が妥当か、M&Aアドバイザー・FAに相談する
計算した手数料が自社のケースで妥当かは、料率や最低手数料を公表しているサービスに直接相談すると確かめられます。ここではその一例として、本記事で料率を引用したM&A Leadを紹介します。
M&A Lead(M&A Lead株式会社)

M&A Leadは、売主(譲渡企業)側だけに立つセルサイド専門のM&Aアドバイザリーです。買主からは手数料を受け取らず、売主からのみ受け取る立場をとるため、譲渡価格や従業員の雇用条件など、売主側の希望の実現に向けて交渉を進めます。本記事で取り上げた料率テーブルや完全成功報酬制を公式サイトで公開している点が、計算の妥当性を確かめたい読者にとって手がかりになります。
料金は完全成功報酬制で、着手金・中間金・月額報酬はいずれも0円、相談も無料です。成功報酬はレーマン方式の区分別料率(5億円以下の部分5%〜100億円超の部分1%)を譲渡対価にかけて算定し、最低手数料は2,000万円とされています。自社の買い手探しに加え、他社のアドバイザーや買い手側FA、地方銀行を中心とする金融機関のネットワークと連携して候補を探す点も特徴です。
全国に対応し、譲渡の意思が固まっていない検討段階からの相談も受け付けています。レーマン方式の計算で手数料の目安を掴んだうえで、自社のケースで具体的にいくらになるか、妥当な水準かを相談したいときに向くサービスです。
まとめ
レーマン方式は、報酬基準額を金額帯で区切り、区分ごとに料率をかけて合算する成功報酬の計算方法です。5段階の料率テーブルと途中式さえ押さえれば、「5億円×5%+超過分×4%」のように自分の譲渡価格を当てはめて、手数料のおおよその額を求められます。
手数料は、報酬基準額を株価基準・オーナー受取額基準・企業価値基準・移動総資産基準のどれで取るかによって変わり、小規模な案件では最低報酬額が効きます。料率・報酬基準額・最低報酬額・成功報酬以外の費用までそろえて確認し、計算した金額が妥当かを複数のM&A仲介会社・FAに相談して確かめていきましょう。
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よくある質問(FAQ)
Q. レーマン方式とは何ですか?
A. レーマン方式とは、M&Aの成功報酬を、報酬基準額を金額帯で区切り、区分ごとに異なる料率をかけて合算して算定する計算方法です。取引金額が大きくなるほど高い金額帯の料率が下がる逓減制が特徴で、M&Aの成功報酬で広く用いられています。法律で定められた料率ではなく、各社が自社の料金体系として採用している業界慣行である点に注意が必要です。
Q. レーマン方式の料率は、M&A会社によって違いますか?
A. レーマン方式の料率は、法律で定められたものではなく各社が設定する業界慣行のため、会社によって異なることがあります。「5億円以下の部分5%〜100億円超の部分1%」の5段階が広く使われる目安ですが、中小企業庁の中小M&Aガイドラインも、各階層の価額・割合は各仲介者・FAにより異なると明記しています。実際の契約では、依頼先が公表する料金体系を必ず確認してください。
Q. レーマン方式と完全成功報酬制は、どう違うのですか?
A. レーマン方式は成功報酬の「計算方法」、完全成功報酬制は着手金・中間金・月額報酬を求めず成功報酬だけを受け取る「料金体系」であり、対立する概念ではありません。完全成功報酬制の会社でも、成功報酬の金額自体はレーマン方式で計算するのが一般的です。成約まで費用が発生しないため、検討段階で費用負担を抑えたい場合に向きます。
Q. レーマン方式の手数料は、売り手と買い手のどちらが支払うのですか?
A. レーマン方式の成功報酬を売り手・買い手のどちらが支払うかは、依頼した会社がどちら側に立つか(片手か両手か)によって決まります。売り手・買い手の双方から報酬を受け取る「両手取引」は直ちに違法ではありませんが、利益相反が生じやすいため、管理体制を確認することが大切です。売主側だけに立つセルサイド専門の会社であれば、買い手からは報酬を受け取りません。
Q. テイル条項とは何ですか?
A. テイル条項とは、M&Aの仲介契約が終了した後も、一定期間内にその会社が紹介した相手と成約した場合には成功報酬が発生する、という契約条項です。契約終了後にアドバイザーを介さず成約する「抜け駆け」を防ぐために設けられます。期間や対象範囲は会社ごとに異なるため、契約前に条件を確認しておくとよいでしょう。
Q. レーマン方式で計算した手数料に、消費税は含まれますか?
A. レーマン方式の計算例は、税抜で示される場合と消費税込みで示される場合があり、どちらを前提にするかで最終的な金額が変わります。中小M&Aガイドラインの具体例は、各段階に110%をかけた税込で記載されています。本記事の計算例は仕組みを分かりやすくするため税抜で統一していますが、見積りを受け取ったら提示額が税抜か税込かをあわせて確認すると安心です。
Q. 小規模な会社の売却でも、最低報酬額は必ずかかりますか?
A. 最低報酬額(ミニマムチャージ)は、多くのM&A会社が設けており、レーマン方式の計算額がその水準を下回る小規模な案件では、計算額ではなく最低報酬額が実際の手数料になります。水準は会社ごとに幅があり、500万円や1,000万円、2,000万円といった例があります。譲渡価格が小さいほど譲渡価格に対する実質的な負担割合が高くなりやすいため、料率とあわせて早めに確認しておくとよいでしょう。
Q. M&A仲介会社とFA(ファイナンシャルアドバイザー)は、何が違いますか?
A. M&A仲介会社は売り手と買い手の間に立って双方を仲介するのに対し、FA(ファイナンシャルアドバイザー)は売り手か買い手のどちらか一方の側に立って助言・交渉を行う点が異なります。仲介は双方の合意形成を重視し、FAは依頼主の利益の最大化を重視する傾向があります。どちらもレーマン方式を採用することが多いため、立場の違いを理解したうえで相談先を選ぶとよいでしょう。
Q. M&A仲介会社を使わずに会社を売却する方法はありますか?
A. M&Aマッチングプラットフォームを使えば、仲介会社を介さずに自分で買い手候補を探して交渉を進めることもできます。仲介手数料を抑えやすい一方、相手探しや条件交渉を自力で行う負担があります。小規模な案件や、まず相場感をつかみたい段階では選択肢になりますが、不安があればM&A仲介会社・FAへの相談と併用するのが現実的です。
Q. レーマン方式の手数料を抑えるにはどうすればよいですか?
A. レーマン方式の手数料を抑えるには、料率だけを見るのではなく、報酬基準額の取り方・最低報酬額・成功報酬以外の費用までそろえて複数のM&A会社を比較することが現実的です。同じ譲渡対価でも報酬基準額の取り方で手数料は変わり、小規模な案件では最低報酬額が効きます。着手金や月額報酬を求めない完全成功報酬制の会社を選ぶことも、総額を抑える一つの方法です。
Q. 譲渡価格がまだ決まっていなくても、レーマン方式で手数料を計算できますか?
A. 譲渡価格が未確定でも、希望する譲渡価格を報酬基準額に当てはめれば、レーマン方式で手数料のおおよその額を試算できます。ただし確定金額は、最終的な譲渡価格・報酬基準額の取り方・最低報酬額が決まって初めて定まります。まずは希望価格で早見表や途中式を使って目安をつかみ、具体的な金額はM&A会社・FAに見積りを依頼して確かめるとよいでしょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















